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足部の種子骨についてのエビデンスまとめ。

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足部の種子骨について調べていたらこんな論文1 発見しました。マニアックー。

37件の足部種子骨に関する論文をレビュー、メタ解析したこの論文、面白かった発見をサクサクとまとめていきます。

1. 母趾MTP関節の種子骨(x2)
これはヒトの足で最もconsistentな種子骨で、種子骨が欠如していた足は13,066中7(0.054%)で、うち6件は内側種子骨がなく、外側種子骨が欠如していたケースはたった一件だったとのこと。逆に言えば、この種子骨は99.95%の確率で両側とも正常に認められる、ということ。
種子骨が分化(partition、↓下の左足内側種子骨)を起こしていることも稀にあるらしいのですが、この有病率は12%程で、2,321件の分化はその殆ど(92%)が二分化(bipartite)で、7.5%が三分化(tripartism)、0.2%が四分化(quadripartism)だったんだそうな。報告された分化の多くは内側で起こっており(95.83%、23/24)、外側種子骨の分化は非常に珍しい(4.17%、1/24)とのこと。男女でリスクの差こそないものの、種子骨の分化は外反母趾変形と関連性があり、外反母趾があると通常の足の人よりも3.0 (95%CI 2.1-4.4)倍種子骨の分化が起こる可能性が高まるのだとか。言われてみれば下の写真も左足のほうが外反母趾が角度ついてる…?
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2. 母趾IP関節の種子骨
総発症率は6,460の足のデータを併せて22.4%…結構高いですね。データは多くはないですが左右差はあまりないようで、もしかしたら男性のほうがある確率が多い(13/20件)…?
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3. 第2~5趾のMTP関節/IP関節種子骨
複数ある場合もあるのですが、少なくともひとつの母趾以外でのMTP関節種子骨が発生する可能性は第2趾で1.9% (1.1-2.8%)、第3趾で0.32% (0.20-0.50%)、第4趾で0.9% (0.5-1.4%)、第5趾で13% (9.4-17.1%)だそう。左右の足で発症率にあまり差はなく、男女差もない。これらが分化している可能性は10.5% (0.1-34.0%)程で、このデータは第5趾のみのもの、第2-4趾MTP関節種子骨の分化は現存の文献で一度も報告されていないんだとか。ほうほう!!第2-5趾IP関節については、第4趾のPIP/DIP、第5趾のDIPではまだ一件も種子骨の存在が報告されておらず、第2趾のPIP/DIPはそれぞれ0.29%と0.08%(14/4746と4/4746)、第3趾のPIP/DIPは両方とも0.19%(9/4746と9/4746)、第5趾のPIPは1.03%(49/4746)の発症率だったとのことで。へぇぇ。

こんな画像(AP, Lateral)をwikiで見つけましたが、これは副骨も含まれていて見ごたえがありますね。でも、種子骨に関しては今回の報告と食い違うものも少なくなさそうです。印象としては今回の論文で報告されている数字のほうが総じて高いかなって感じです。このデータはどこから持ってきたんだろう?

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ともあれ、ニンゲンの身体って余分な骨があったりなかったりで楽しいですね。教科書に書いてある「正常」の身体がいかに当たり前ではないか思い知らされます。皆自分なりの「普通」があってもいいんでしょうね。

1. Yammine K. The sesamoids of the feet in humans: a systematic review and meta-analysis. Anat Sci Int. 2015;90(3):144-160. doi: 10.1007/s12565-014-0239-9.

  by supersy | 2019-02-16 15:00 | Athletic Training

呼吸が中枢神経系に及ぼす影響。

Credit: Itamar Terem, Stanford University, Palo Alto, CA,
and Samantha Holdsworth, University of Auckland, New Zealand

脳ってね、呼吸と共に動いてるんです。そりゃだったら横隔膜は中枢神経に影響を与えるよねって論文(↓)1についてまとめます。

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横隔膜はただ「呼吸」をするだけのもの、という存在を遥かに超越しており、expectoration(去痰)、vomiting(嘔吐)、defecation(排便)、urination(排尿)、swallowing(嚥下)とphonation(発声)をも助ける役目を果たす。それだけではない、横隔膜は代謝バランスも司り2,3、静脈やリンパ液の流れを作り、食道と胃の境界を明確にすることで胃酸の逆流を防ぎ4、姿勢、ロコモーション、上肢の適切な動きに貢献もする4-6。横隔膜は感情や精神面にも影響を及ぼすし、無呼吸症候群は全身の痛覚閾値を上げ、患者は痛覚に鈍感になることも知られている。7-9

…これは一番最初の段落のざっくりとした訳ですけど、ここだけでもゆっくり3回は声に出して読んで愛でたい文章ですね。唯一気になるところと言えばここで引用している文献が全てBordoni氏自身が筆頭著者の文献ばかりってところでしょうか。この方の論文は好きなのですが、説得力を持たせるには様々な研究者の文献を引用したほうがよかったかなという印象です。

…ともあれ。

面白いと思った内容を列挙していきます。

1. 横隔神経は行きっぱなしの神経ではなく、横隔膜からの感覚を脳に伝える求心性の役目も果たす。右の横隔神経はより垂直に走行しており、長さは短く、神経伝達は速い。共に横隔膜を支配する迷走神経は脳神経の中でももっと長く、その線維の20%が動作を、80%が感覚を司どるmixedタイプの神経である。

2. 脳は心拍、呼吸とそれぞれ連動性がある。具体的には心臓収縮期に脳全体と延髄(medulla oblongata)は尾側・内側に23ミリメートルほど移動し、拡張期に戻ることがMRI研究によって報告されている。10,11 呼吸のフェーズとの連動としては、呼気と共に尾側へ脳が移動、吸気と共に戻ることが明らかになっている。12 心拍と呼吸の大きな違いは脳移動に伴うCSF(脳脊髄液)の動きの質と量である。心拍と共に起こるCSFの動きはその「速さ」が特徴的だが、呼吸と共に動くCSFはゆっくりでありながら「移動量」が多い。13 気道閉塞や無呼吸症候群が見られるとくも膜下腔の空間減少が起こり、CSFの動きも阻害されるのではという報告もある。14,15 筆者はこの微細な神経の動きは健全な神経機能の維持には必要なものではと考察する。例えば心拍と共に視神経頭は収縮期に前へと「拍動」し、収縮期に戻る動作を起こす。16 これらの動作は最大で8.7μm、最低で2.9μmとほんの僅かなものだ。しかしこれと共に起こるほんの少しの組織のストレッチは組織合成や血流促進に役立っており、視神経と眼の健康を保っている17 ことを踏まえれば、呼吸が脳全体に対して同様の役割を果たしている可能性も高い。

3. 鼻呼吸と脳活性の話、それから呼吸と共に起こる脳活動の変化についての話もあったんですが、これらは前にもまとめたので省略。
ただ、横隔膜は血液の循環と頭蓋内圧にも影響を及ぼす、という観点から、呼吸と共に脳血流が変化すると頭蓋内圧が変わり、その際にaction potential(活動電位)が発生する…という観点は知らなかったのでメモ。まだまだ確固たるエビデンス出るの待ちっぽいですが、この分野は。呼吸と共に一次運動野の活性も起こるので、健全な呼吸をする→健全な動きが実行できる、というところも繋がってくるかも。

さて、この論文は〆もまた素晴らしい。

"Breath has patterns. Schemes create behavior. Breath is a behavior. Behavior represents the person. Breath reveals the
person (p.5)."1
呼吸にはパターンがある。人間の行動は適切なプランニングがあって生まれるもので、呼吸はその行動のひとつである。行動はヒトそのものを象徴するものであると考えれば、呼吸はヒトの本質を暴くものと言える。

脳の動きについてこれだけ細かい研究が既に出ているとは知りませんでした。この人の文章、癖があるけど癖になる…!これからも注目して追っていきたいauthorです。

1. Bordoni B, Purgol S, Bizzarri A, Modica M, Morabito B. The influence of breathing on the central nervous system. Cureus. 2018;10(6):e2724. doi: 10.7759/cureus.2724.
2. Bordoni B, Zanier E. The continuity of the body: hypothesis of treatment of the five diaphragms. J Altern Complement Med. 2015;21:237-242. doi: 10.1089/acm.2013.0211.
3. Bordoni B. Network of breathing. Multifunctional role of the diaphragm: a review. Adv Respir Med. 2017;85:290-291. doi: 10.5603/ARM.a2017.0047.
4. Bordoni B, Marelli F, Morabito B, Sacconi B, Caiazzo P, Castagna R. Low-back pain and gastroesophageal reflux in patients with COPD: the disease in the breath. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018,13:325-334. doi: 10.2147/COPD.S150401.
5. Bordoni B, Marelli F, Morabito B, Sacconi B. Manual evaluation of the diaphragm muscle. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016;11:1949-1956. doi: 10.2147/COPD.S111634.
6. Bordoni B, Marelli F. Failed back surgery syndrome: review and new hypotheses. J Pain Res. 2016;9:17-22. doi: 10.2147/JPR.S96754.
7. Bordoni B, Marelli F, Bordoni G: A review of analgesic and emotive breathing: a multidisciplinary approach. J Multidiscip Healthc. 2016;9:97-102. doi: 10.2147/JMDH.S101208.
8. Bordoni B, Marelli F, Morabito B, Sacconi B. Depression, anxiety and chronic pain in patients with chronic obstructive pulmonary disease: the influence of breath. Monaldi Arch Chest Dis. 2017;87:811. doi: 10.4081/monaldi.2017.811.
9. Bordoni B, Marelli F, Morabito B, Sacconi B. Depression and anxiety in patients with chronic heart failure. Future Cardiology. 2018;14. doi: 10.2217/fca-2017-0073.
10. Nelson KE, Sergueef N, Lipinski CM, Chapman, Glonek T. Cranial rhythmic impulse related to the Traube-Hering-Mayer oscillation: comparing laser-Doppler flowmetry and palpation. J Am Osteopath Assoc. 2001;101:163-173.
11. Bordoni B, Zanier E. Sutherland's legacy in the new millennium: the osteopathic cranial model and modern osteopathy. Adv Mind Body Med. 2015;29:15-21.
12. Maier SE, Hardy CJ, Jolesz FA. Brain and cerebrospinal fluid motion: real-time quantification with M-mode MR imaging. Radiology. 1994;193:477-483. doi: 10.1148/radiology.193.2.7972766.
13. Takizawa K, Matsumae M, Sunohara S, Yatsushiro S, Kuroda K. Characterization of cardiacand respiratory-driven cerebrospinal fluid motion based on asynchronous phase-contrast magnetic resonance imaging in volunteers. Fluids Barriers CNS. 2017;14:25. doi: 10.1186/s12987-017-0074-1.
14. Wszedybyl-Winklewska M, Wolf J, Swierblewska E, et al. Increased inspiratory resistance affects the dynamic relationship between blood pressure changes and subarachnoid space width oscillations. PLoS One. 2017;12:0179503. doi: 10.1371/journal.pone.0179503.
15. Kalicka R, Mazur K, Wolf J, Frydrychowski AF, Narkiewicz K, Winklewski PJ. Modelling of subarachnoid space width changes in apnoea resulting as a function of blood flow parameters. Microvasc Res. 2017;113:16-21. doi: 10.1016/j.mvr.2017.03.010
16. Singh K, Dion C, Godin AG, et al. Pulsatile movement of the optic nerve head and the peripapillary retina in normal subjects and in glaucoma. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012;53:7819-7824. doi: 10.1167/iovs.12-9834.
17. An L, Chao J, Johnstone M, Wang RK: Noninvasive imaging of pulsatile movements of the optic nerve head in normal human subjects using phase-sensitive spectral domain optical coherence tomography. Opt Lett. 2013;38:1512-1514. doi: 10.1364/OL.38.001512.

  by supersy | 2019-02-09 23:30 | Athletic Training

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