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PRIに関する最新研究論文のまとめ。その2。

なぜ風船を使ってエクササイズをするのか?(2016-02-18)
PRIに関する最新研究論文のまとめ。(2018-03-02)

以前PRI関連の文献を4つ(全部インド研究者によるマイナー・ジャーナルのもの)をまとめましたが(2018年3月2日付↑)、今回新たにまた別のジャーナルでPRI関連の研究が発表された1と耳にしたのでレビューしておきます。何故かこれもインドの研究者によるもので、PRI本部も「なぜインドがアツいんだ??」と困惑しているようです(以前にも書きましたが、これらの研究者さんがPRI講習を受講したという記録が一切見つからないのです。どこでどう知ったのか…)。
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なんか…前回からの偏見かもしれませんがまず見た目が怪しいですね、第3著者の名前に「Prof.」って入ってますけど、普通そんなの入れませんもん。Global Journal for Research Analysisというジャーナル、見たことも聞いたことが無かったのでこれもついでに調べてみました。Impact Factor(IF)が5.156って該当ウェブサイトには書いてあるんですけど…(これが真実であればトップ6.5%に入る超優良ジャーナルということになりますが。記事左上にはIF 4.547と異なる数字が書いてあり、どれが最新なのか…)、うーん、とてもホントウとは思えません。インターネットでその評判を調べてみたら、最近増えてきているPredatory Journal(お金さえ払えば論文掲載させてくれる、学術的価値はほぼ無いとされる「エセ学術誌」)の類だと言われているようで、なんというか…納得です。正直、前回紹介したジャーナル4つ全てもPredatoryだと思います。

…で、肝心の記事なんですが、2ページしかありません。マトモな研究が2ページにまとめられるはずもないのでこれまた嫌な予感しかありません。

イントロ部分からして突っ込みどころがいっぱいです。「腰痛(LBP)はこういう風に定義されています」や「腰痛は発症率が異様に高い、世界的に深刻な問題なんです、そしてインドも例外ではありません…」という導入を書こうとしている狙いは分かりますし、その内容は間違っていないと思うのですが、例えば「WHOによって成人の84%は生涯のうち一度は腰痛を経験していると報告されている」という誰もが目にしたことのあるあの文句を引用なしで書いていたりとか、「インドでも腰痛発症率は23.09%と報告されている」という個所は(ここは唯一引用があり、それは評価しなければなりませんが)その数字が世界的なものと比べて圧倒的に低かったりとか(84% vs 23%? その程度ならインドはうまいこと腰痛をmanageできてるってことになりませんか?)…もし私の学生がこういうイントロを書いてきたら、「not a bad intention, need to cite more sources(意図は悪くないけど、文献引用が足りないから説得力に欠ける)」と批評されること間違いなしです。

腰痛におけるハムストリングと腹壁の活性の重要性についての論理的背景はこれ(↓)しか書かれていません。
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一文一文が無駄に長く、一般的に「論文を書く際に使うべき好まれる英語」ではありません。繰り返しも多く、分かりづらい構成です。最初の文に限っては文章が終わっておらず(ピリオドがない…)、ふわふわと浮いた状態になっています。私が書き換えるなら、

The Postural Restoration Institute has proposed the holistic approach to patients with LBP: Their principles emphasize the importance of 1) the restoration of the proper diaphragmatic mechanics and 2) hamstring and abdominal muscles activation as a mean of regulating polyarticular chains of muscles and thus altering Ober's test results. Recent case reports1-3 and a RCT4 support this point of view and have reported that exercises with such emphasis can decrease immediately pain and increase passive hip abduction ROM.

1. Robey JH, Boyle K. The role of prism glass and postural restoration in managing a collegiate baseball player with bilateral sacroiliac joint dysfunction: a case report. Int J Sports Phys Ther. 2013;8(5):716-728.
2. Tenney HR, Boyle KL, Debord A. Influence of hamstring and abdominal muscle activation on a positive ober's test in people with lumbopelvic pain. Physiother Can. 2013;65(1):4-11. doi: 10.3138/ptc.2011-33.
3. Fernandes J, Chougule A. Effects of hemibridge with ball and balloon exercise on forced expiatory volume and pain in patients with chronic low back pain: an experimental study. Int J Med Res Health. 2017;6(8):47-52.
4. Kage V, Naidu SK. Effect of iliotibial band stretching versus hamstrings and abdominal muscle activation on a positive ober’s test in subjects with lumbopelvic pain: a randomized clinical trial. IJTRR. 2015;4(4):111-116. doi:10.5455/ijtrr.00000075.

…という感じでしょうか。それにしたって一文目にまだ引用が必要だと思うけど。
まぁ文章の構成とか引用とか理論の立て方とか指摘しているとキリがないので、この研究のキモの話に移ります。

腰痛持ちでOber's Test陽性の30人の被験者(性別、年齢不明)をランダムにグループAかBに分類し、グループAはヒートパックとITバンドのストレッチ(側臥位で、1分間ホールドx3回)を、グループBはヒートパックとPRIエクササイズ(90-90 Hip Lift with Balloonと90-90 Hemibridge with Balloon)を、合計6セッション行って前後のテスト結果を比較したそうです。一週間に何セッションやったかは明記されていませんので、例えば一週間あたり3セッションで2週間かけてこれらのInterventionを行ったのか、はたまた一日に6セッション詰め込んで一気にデータコレクションを終わらせたのか(まぁこれはないとは思いますが、記述がない以上否定はできないので)は不明です。計測されたアウトカムはVAS、Oswestry Disability Index (ODI)、スマホを使ったInclinometer (Ober's Test時の股関節内転角度)とPelvic Inclinometer(骨盤の前傾度、しかしどのようなポジションで何をlandmarkに計測されたのか記述無し)だったそうで。
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結果はこちら(↑)です。ベースラインで腰痛が60mm程度ならば、VASのMCIDは19mmで、2 ODIのMCIDは12.8-12.9のはず3,4 ですから、「両グループとも等しく、統計学的にも臨床的にも有意な痛み(VAS 30-34mm)と機能(ODI 18-19)の向上が認められた」「両グループとも等しく股関節の内転度(約4°)は向上したが、骨盤の前傾度はグループBのみ改善(0.087°)が見られた…とはいえ、臨床的意味があるような角度とは考えにくい」と私ならば結論づけたくなるのですが…著者は「ストレッチも効果的だったが、PRIエクササイズのほうがより統計学的に大きな効果が見られた」「臨床的に、ストレッチの効果は短期で消失したのに比べ、PRIエクササイズは痛み・股関節可動域・骨盤傾度・機能においてよりその効果がより長持ちした」「つまり、総合的にOber's Test陽性の腰痛患者にはITバンドのストレッチよりPRIエクササイズのほうが有効」と結論づけています。個人的には、以下の理由で同意しかねます
- 「統計学的に」というならどういった統計的分析に基づいて「PRIエクササイズのほうが優れている」と断定できたのか?各グループ内のpre-とpost-interventionの比較こそあれ、グループ間の改善幅を直接比較したような統計的分析は一切見られないが?
- 文中にはセッション1を始める前とセッション6の終わりに(合計2回)アウトカムを計測、とあるが、それ以外のタイミングでもアウトカムを計測したならそのタイムラインはどのようなものだったのか?それらのデータを開示せずに「長持ちしました」というのはあまりに乱暴では?

むしろ、私はこの結果を見て、「意外とITバンドのストレッチも効果的じゃん」「いや、つーかヒートパックがストレッチ・PRIエクササイズの効果を凌駕するほどめちゃめちゃ有能なのでは?」という感想を抱くのですけれど…。

他にも、突っ込みどころとして、
- Inclusion/Exclusion Criteriaに基づき被験者を選んだ…と書いてありますが、その基準に関しての記述が一切ない
- スペーシングエラーが異様に多い
- 大文字・小文字の表記に一貫性がない
- 論文の最後に全部で5つの文献が列挙されているが、実際に文中で使われているのは1~3のみ。1と2は[1] 、[2]という風にカッコ表記なのに対して3はそのまま3と書かれているなど、こちらも一貫性がない
- スマートフォンをInclinometerとして使う妥当性の正当化が十分にされていない
- PRIエクササイズは90-90 Hip Liftと90-90 Hemibridgeをしたとあるが、これはどの被験者も両方を行ったのか?多分先行研究に則ってOber's 片側陽性患者がHemibridge、両側陽性患者がHip Liftをやったのだろうが、そうであればきちんと明記するべき
…などの「欠陥」が挙げられます。

うーん、改めて、これが私の学生(学部生)の提出する論文ならば、「よく頑張ったね、方向性と努力は悪くないから『AA』、でも論理的構成と統計的分析はまだまだだから『C+』だよ」と優しく成績をつけるんですけれど。仮にもジャーナルに掲載されている論文なのですから、その質は厳しく『F』レベルだと私は判断します。特に臨床家さんが読む価値も、考慮する価値もないでしょう。最近蔓延しつつあるPredatory Journalには気を付けなければいけない、Abstract(抄録)だけ読んでその論文を分かった気になってはいけないなと、改めて考えさせられます…。

1. Basu S, Kakade PP, Palekar TJ, Chitgopkar V. Influence of abdominal and hamstring muscle activation exercises over iliotibial band stretching on a positive ober's test in subjects with low back pain. Glob J Res Anal. 2017;6(15):704-705.
2. Katz NP, Paillard FC, Ekman E. Determining the clinical importance of treatment benefits for interventions for painful orthopedic conditions. J Orthop Surg Res. 2015;10:24. doi: 10.1186/s13018-014-0144-x.
3. Copay AG, Glassman SD, Subach BR, Berven S, Schuler TC, Carreon LY. Minimum clinically important difference in lumbar spine surgery patients: a choice of methods using the oswestry disability index, medical outcomes study questionnaire short form 36, and pain scales. Spine J. 2008;8(6):968-974. doi: 10.1016/j.spinee.2007.11.006.
4. Johnsen LG, Hellum C, Nygaard OP, et al. Comparison of the SF6D, the EQ5D, and the oswestry disability index in patients with chronic low back pain and degenerative disc disease. BMC Musculoskelet Disord. 2013;14:148. doi: 10.1186/1471-2474-14-148.

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  by supersy | 2018-08-15 19:30 | PRI | Comments(0)

完全帰国しました、と、しゃっくりの話。

最終告知です!7月14日(土)のEBP講習があと一週間半後に迫っています。席がまだ若干数残っていますので、興味のある方はぜひ!

今回は基礎レベルの「治療介入編」と(3時間、3.0 EBP CEUs)、臨床応用レベルの「治療アプローチ・AMI編」「治療アプローチ・腱障害編」(各2時間、それぞれ2.0 EBP CEUs)をまとめて一日で開催します。日程と構成は以下の通りです。

<講習日時>
2018年7月14日(土)
9:30am-12:45pm  エビデンスに基づく治療介入: 基本から応用まで
           *途中休憩15分含む3時間講習
12:45pm-14:00pm 昼食(各自)
14:00pm-16:00pm エビデンスに基づく治療アプローチ: AMIと抑制解除療法
16:15pm-18:15pm エビデンスに基づく治療アプローチ: 腱障害リハビリ

ちなみに、基礎レベルの講習は「エビデンス(科学的根拠)に基づく…」とかよく耳にするけれど、どういうことか実はよくわからない、今更ヒトにも聞きにくい、という完全初心者さんウェルカムな講習です。午後に行う講習ふたつはどちらも「臨床応用レベル」の講習で、今までの「基礎レベル」の内容から一歩踏み込み、実際に臨床の現場で皆さんがぶつかっていそうな症例についてお話をします。「エビデンスに基づく治療介入: 基本から応用まで」講習の事前・同日履修を強くお勧めしますが、必須ではありません。p値や効果量の何たるかがわかっている方であれば問題なく楽しめる内容になっております。

全講習、参加者の資格は問いません。元々ATC資格保持者さんのためにと思って企画した講習でしたが、今までPT、OT、柔道整復・あんま・鍼灸師さん、医師の方や大学教員・研究者さんなど幅広くご参加頂いており、学生さんも大歓迎です!リピーターさんも、リフレッシュにまたという方も結構いらっしゃいます。


<定員> 各講習45名

参加は一番興味のあるコースひとつだけでも、お好きな組み合わせで2つでも、3つ全てでも。お申し込みはGuardians Athletic Training & Therapyのウェブサイト上のこちらから(お手数ですが、複数講習参加する場合はリンク先から各イベントひとつずつお申し込みください)。複数受講される方には一昨年から導入した『セット割引』システムが適応、そして『学生割引』も健在です。

<受講料> 
一般 3時間講習(基礎編) 9,000円; 2時間講習(臨床応用編) 各6,000円
   2講習同時申込で10% off
    (例: 基礎+臨床応用で1,500円引き、臨床応用講習2つで1,200円引き)
   3講習以上同時申込で15% off
    (例: 基礎1つ+臨床応用2つで3,150円引き)
学生 3時間講習(基礎編) 8,100円 (10% off - 900円引き);
   2時間講習(臨床応用編) 各5,400円 (10% off - 600円引き)
   2講習同時申込で20% off
    (例: 基礎+臨床応用で3,000円引き、臨床応用講習2つで2,400円引き)
   3講習以上同時申込で25% off
    (例: 基礎1つ+臨床応用2つで5,250円引き)
     *現役大学・専門学校生(国内外不問)さん対象。申込後に学生証の提示が必要です、




で、本題です。そういえば前回の更新で書き忘れたんですけど、完全帰国しました!日本に帰ってきてからはや一か月、イベント盛りだくさんで書きたいことがいっぱいあるんですけど、まずは順番に。

日本に帰国する直前はPRI本部のあるネブラスカはリンカーンにお邪魔していました。一番の目的は初開催のNon-Manual Workshopに参加することだったんですけど(余談ですがこの講習本当に濃く、有益な内容でした、PRC/Tの皆さん一度機会を見て行ったほうが良いです…)、その前日に諸々の打ち合わせも兼ねてぴょこっとPRIに顔を出したら、PRIVYにゲスト出演することになって3本ほど収録してきました。

PRIVYというのはPRIが行っている有料動画配信サービスで、毎月4-6つのペースで動画(20-50分程度)がアップされています。雑誌の定期購読の要領だと思っていただければ。一月あたり$37か、年間$360($84割引)でSubscribeすることが可能です。内容はエクササイズの紹介から、最近PRIが受けた質問に対する回答まで実に様々ですが、ロンのおしゃべりに同席している雰囲気の、インフォーマルさが個人的には大好きです。

ちょっとどんな感じか動画を見てみたい、と言う人は無料視聴用のサンプル動画3本をご覧ください。


今回のトピックは私の「月に一度くらいしゃっくりが出るんですよね。これは『多い』と言われたことがあるんですけど…ロンはしゃっくりをどのようにとらえています?」という質問です。ロンのしゃっくりに対する解釈と対処法についてのお話が聞けます。興味のある方はぜひ!

んで。

このお喋りの後、興味が沸いたのでしゃっくりに関する文献をいくつか読んでみました。分かったことをまとめます。

英語でしゃっくりは広くHiccupsと呼ばれますが、正式な専門用語ではSingultusっていうんですって。これは一般な米国医療従事者でもまず知らない名前だと思う…。定義としては「直後(35ミリ秒後)に声門閉鎖を伴う、リズミカルな横隔膜の痙攣1で、しゃっくりが起こっている最中は呼気筋肉が完全に抑制されてその活動が全く行えないんだそう。しゃっくりが48時間以上続けば「persistent」30日以上続けば「intractable」と医学的に名前がつくんですって。そんなに長く続けば不眠症になり、疲労は蓄積し、食事ができずに体重減少・栄養失調などを起こしかねず、QOLに影響が出ることは明らか。2 うわー想像するだけでもしんどい。

その原因には様々なものが挙げられるのですけど、術前に全身麻酔の処置をしている際や、その間でしゃっくりが出るケースは多いというのは初耳。慢性しゃっくりの既往歴がある患者さんには特に慎重に麻酔を行わないといけないのだとか。他にも、手術中Vagus nerveの損傷やdisturbance、投薬で電解質バランスが乱れたりなどが原因で手術中のしゃっくりが起こったりということもあるらしい。 2

しゃっくりは反射メカニズムによって引き起こされており、
1) Afferent impulsesがVagus nerve、Phrenic nerve、もしくはT6-12の交感神経鎖を通じてHypothalaus (視床下部)、Brainstem (脳幹)、脊髄C3-5にあるHiccup Reflex Centerに送られる
2) Hiccups Reflex Centerがそのメッセージを受け取り、Efferent limbにシグナルを送る
3) Efferent limbであるPhrenic nerveに刺激された横隔膜、Intercostal nerveに刺激された肋間筋、斜角筋とVagal branchに支配された声紋がそれぞれ収縮もしくは閉鎖という反応をする→しゃっくりが起こる、
という出来事が順番に起こって引き起こされる現象なのだそう。何目的の反射なのさ?ってのが気になるところですが、しゃっくりは胎児に頻繁に起こり、子供や成人すると頻度が減ることから「主に胎児用の羊水を飲み込んでしまわないための反射ではないか」と言われてはいます…が、詳しいことはまだまだ分かっていないんだそうな。2

しゃっくりはただの呼吸反射ではない、という文章も印象的で、しゃっくりは咽頭と喉頭にある二つの機能的コンプレックスがReciprocal inhibition (相反抑制)を適切にできなくなったことによって起こるのだと。「二つの機能的コンプレックス」というのは声門閉鎖コンプレックス (glottis closure complex)と吸気コンプレックス (inspiratory complex)というものなんだそうで。2 わーもうこのへん全然聞いたことない名前ばっかり。だから、これらAfferent nerveに圧を与えるような変化(i.e. 腫瘍や妊娠)や炎症などによるirritation(食道炎や喘息など)でしゃっくりが起こる例が多く報告されているというのは至極当然なことなんでしょうね。 しゃっくりの原因として最も多いのは消化器官の疾患、パーキンソン病や多発性硬化症に代表されるような神経疾患、そして胸郭内の疾患らしいのですが(頻繁に起こる慢性しゃっくりは脳幹障害の可能性を示唆している、という衝撃的なタイトルの症例報告もありました3)、他に、代謝系の疾患(i.e. 糖尿病、腎臓疾患)で電解質のバランスが崩れることで起こったり、なんと精神疾患と結びつけられることもあるとのこと。文献にあった表2を抜粋しますが、こんな感じ(↓)。ひゃー長いリスト。前述したように手術や投薬などの「治療」がしゃっくりの原因になることもあるし、しゃっくり患者の「原因」を特定することは非常に難しいのだとか。
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これだけ原因が多岐に渡ればその治療が単純じゃないというのは一目瞭然かと思います。診断にもその治療にも複数の専門家が関わるべきである、というレビュー論文の結論はなかなかに頷けました。2 その他の介入論文を読んだ中ではVagal activityを増やすための手段のひとつとして、Vagus nerveにe-stimで直接刺激してしまえ!というもの4と、いやいや呼吸介入をしてCO2 Retentionを増やせばしゃっくり止まるべ、5という論文が特に面白かったです。前者は少し乱暴な感じがしますが(一時的に止まるだけで、また始まってしまうのでは?)、後者はプラスチック・バッグを抱えて呼吸するだけなのでお金はかからないし自分でできるし、利点は大きくあるように思います。

少し飛躍になるかもしれませんが、これは以前言及した、一般的頸椎痛・腰痛の患者はHypocapniaに陥っている、という話ともつながるので少しゾクゾクしております。しゃっくりが血中CO2濃度を高めることで解消された→しゃっくりは血中CO2濃度が異様に下がったことで起きた可能性がある、と先の研究を解釈すると、実はしゃっくりもHypocapniaが原因のひとつとしてあって、つまりハイパーインフレーション(息を吸い過ぎて胸郭が膨らんでいる)患者に見られる現象なのではないか、ということが言えるんじゃないかと思うんです。そのような患者には(例えばPRIが推奨しているような)息を長く強く吐くような呼吸法を実践することで血中CO2濃度が上がり、しゃっくりが止まる可能性を大いに示唆していると言えます。ひゃー、つながるねー、つながるなー。この論文ロンに送っておこう。

1. Samuels L. Hiccup; a ten year review of anatomy, etiology, and treatment. Can Med Assoc J. 1952;67:315–322.
2. Kohse EK, Hollmann MW, Bardenheuer HJ, Kessler J. Chronic hiccups: an underestimated problem. Anesth Analg. 2017;125(4):1169-1183. doi: 10.1213/ANE.0000000000002289.
3. Shastin D, Nidamanuri P, Nannapaneni R. Recurrent hiccups may signal brainstem pathology and should be investigated. BMJ Case Rep. 2018;pii:bcr-2017-222926. doi: 10.1136/bcr-2017-222926.
4. Petroianu GA. Treatment of hiccup by vagal maneuvers. J Hist Neurosci. 2015;24(2):123-136. doi: 10.1080/0964704X.2014.897133.
5. Obuchi T, Shimamura S, Miyahara N, Fujimura N, Iwasaki A. CO2 retention: the key to stopping hiccups. Clin Respir J. 2018. doi: 10.1111/crj.12910.

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  by supersy | 2018-07-06 23:20 | PRI | Comments(0)

世界で一番静かな場所に行ってきました: What You See and Hear When You Become Sensory-Deprived

PRIのImpingement and Instabilityという講習を取りにミネソタに行ってきました。講習も講習で非常に実りが多かったのですが、実は今回の旅は、滞在地からほど近いところに位置するOrfield Laboratories(オーフィールド研究所)に行く!という「おまけ」付きでした。

ん、オーフィールド研究所って何かって?実は「地球上最も静かな場所」というギネス記録を持つ場所なのです。興味のある方はこんな記事(日本語)をどうぞ。
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事前に1時間半のツアーを申し込んでおり、友人の吉本さんとふたりで一緒にお邪魔しました(建物の見た目がチョー怪しい!スタイリッシュな研究所をイメージしていたので、着いてびっくりしました)。あっさっそく公式ギネス記録が飾ってある!こんな見た目なんですね…。

気のいいおじさまが色々と施設を案内してくださったのですけど…衝撃的!の一言でした。相当期待していったのですけど、期待以上に楽しかったです。ここね、元々は音楽スタジオだったらしいんです。プリンスやボブ・ディランがここでレコーディングをしたりもしてたんですって。でも今は文字通りLaboratories(研究所)なんです。 でも、音が専門の研究所って、実際なにやってるのさ?って思うでしょ?

例えば…とある冷蔵庫メーカーが「うちの冷蔵庫を『世界一静かな冷蔵庫』として売り出したいんです」と言っているとします。そうすると、実際にこの会社の製品が他の会社のどの冷蔵庫よりも本当に静かなのかという検証をする必要がありますよね。なので、「世界一静かな場所」と言われる無響室に自社製品を含む様々な冷蔵庫をひとつずつ運び込み、電源を入れて、それぞれの製品が出す音(ノイズ)を録音する。そして、一般の方(Sound Juryという言い方をしていました、「音の陪審員」ですか、なるほど)を研究施設に呼んでそれぞれの冷蔵庫を「聞き比べ」てもらい、静かな順にランク付けをしてもらう…。この検証の結果、見事自社製品が「最も静か」とランク付けされれば、正式に「うちの製品は世界一静かなんです」と宣伝できるというわけです。
(しかし興味深いのは、「電化製品は静かすぎるものもそれはそれで嫌われるんですよ…主婦の方なんか、冷蔵庫にしても食器洗浄機にしても、あまりに無音だときちんと動いているのか不安になるみたいで。少し騒音があるくらいが結局好まれるんですよね。掃除機なんかもっと面白くて、音がうるさければうるさいほど、掃除をしている実感が生まれてお客さんの満足度が上がる」というおじさまの言葉…うーん…ノイズって「何かをしている実感」を生むために必要なものでもあるんですよね)

それから、もうひとつ。ハーレー・ダビッドソンのバイクってあるじゃないですか。あのオートバイをヨーロッパに輸出しようってなったときに、ヨーロッパの路上で許される騒音レベル(アメリカのそれよりも厳しい)までエンジン音を下げる必要があったらしいんですね。しかし、ハーレーのエンジン音、あの重低音の三拍子が好きでファンはあれに乗るわけで、単純にボリュームを下げてしまうとせっかくのトレードマークの「らしい音」が失われてしまうかもしれない。そんなわけで、ライダーが運転中に聞いている音を特殊なマイクを使って録音し(これは「世界一静かな場所」ではなく、路上で行ったそうなんですが)、その音を様々な周波数に分解しながら、ハーレーファンを研究所に集めて「聞き比べ」をしてもらい、一体どの周波数のどの音が「ハーレーらしいエンジン音」という実感を作っているのか研究・分析したそう。それでハーレーをハーレーにさせる周波数を特定し、その他の周波数の音を消すことで「騒音レベル」を下げたと。そうして「合法」かつ「ハーレーらしさ」を失わないエンジン音を作ったんだそうな!へーーー!

実際に「録音した音から特定の周波数の音を抽出するスピーカー」とか、「音源とその反響を映像化するプログラム」なんかもツアーで見せてもらえました。す、すごい…。

それから「反響の部屋」も面白かった。一見なんてことないコンクリ張り+金属板をいくつか天上から吊るしている部屋なんですが、長い周波数の音をだし、それが壁や金属板に跳ね返ることで、音の波がお互いをcancelしたり(=音が消えて静かになる)、amplifyしたり(=音が大きくなる)するので、部屋をてくてく歩いていると異様に静かな場所があったり、騒がしい場所があったりするんです。音は波なんだ!ということを実感できる場所でしたね。

そしてツアーの目玉はなんといっても「無響室」!何重にもなる特殊構造でできたこの部屋(↓)は、発される音の全てを天上と壁が吸収してしまうので、音の反響が一切無いのです。おじさまの喋ってくれる声も、おじさまの口からまっすぐ私の耳に届く声のみは普通に聞こえるのですが、壁に反射して入ってくる他の方角からの音が一切ない。聞こえ方があまりに不自然で、非常に違和感があります。
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色々と説明してもらったあとで、「では今からこの部屋に貴方を残して扉を閉め、20分間無音状態を体感してもらいます。ついでに部屋の明かりも消しますか?」と聞かれたので、少し悩んで「では明かりもお願いします」と答え、部屋の照明も消してもらいました。せっかくなので聴覚だけでなく視覚も奪われた状態で私の身体がどう反応するのか感じてみたかったのです。おじさんは出てゆき、扉が閉められて部屋の中は完全に暗闇になります。何も見えません。



その時の20分間の体験を覚えているうちに言葉に残しておきたいと思います。



まず、真っ暗闇、無響空間のはずのその部屋の中で最初に感じたのは意外にも「眩しさ」でした。

床(であるはずの部分)から白い光が放たれているように感じたのです。暗い部屋でその「地面」は煌々とそれはそれは眩しく光っており、目を開けていられないほどでした。しかし、目をつぶってみてもこの光は瞼の裏に張り付いてでもいるかのように私を睨み続けるのです。「これは自分の思い込みが作っている光なのだ」「消せるはずだ」と何度か意識してみたのですが、この電気を消すことはしばらくできませんでした。

次に気になり始めたのは、自分の身体の中の音でした。そうなんです、無響空間では、周りからの音が全く耳に入ってこないので、自分の体内の音が聞こえ始めるのです。首を右に、左に向けると、頸椎のギシギシ軋む音が聞こえてきて自分がとたんに油の切れたドアヒンジになったように感じました。首をひねると同時に複数の箇所がギシギシ、ミシミシいうので、あっこれがOAで、あっちがC1/C2か?身体の動きって複雑な箇所が同時に動いて実現しているんだなー、と、他人ごとのように考えたりしていました。

その次に浮かんできた感情は「うるさいな」でした。地球で最も静かな空間で「うるさい」と感じたなんて、おかしいかもしれません。でも高い周波数の、例えるなら夏場にどこか遠くでセミの大群が一斉に鳴いているような音と、低い周波数の「ぼー」という音が同時に聞こえてきて、それがうるさいなぁと思ったのです。これも先ほどの光同様、「脳が勝手にない音を作り上げているのだ」と言い聞かせて、静かさに集中しようとしてみたのですが、その努力はセミの鳴き声をより大きくしただけでした。この音は、残りの時間ずーっと続きました。

終盤で感じた視覚体験もまた異様でした。前もっておじさまに「purple haze(紫の霞)のようなものが見えたりするからね」と言われていたのですが、本当に紫のモヤが目の前に現れ、上下左右にユラユラ揺れ始めたのです。まさか?と何度も目を凝らしてみたのですが(…という表現はおかしいかもしれません、意識を集中してこのモヤの正体を見つめようとしたのですが)、これはハッキリと紫色でした。なぜ紫なのか、理由は分かりませんが、私の所縁ある団体の象徴カラーが紫なので、あまりの偶然に少し笑ってしまいそうになりました。何も見えない究極の暗闇では紫が見えるんだよと、後でロンに教えてあげなきゃ、と思ったのを覚えています。
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20分は、長いようであっという間でした。部屋を出てから、周りの何気ないノイズが耳に流れてきて、それと共に止まっていた時間がやっと流れ始めたような妙な感覚を覚えました。いやもう、なんと表現したらいいか、とにかく本当に面白かったです。他ではできない感覚欠如体験です。興味のある方、時間のある方は是非この奇妙な研究所に一度足を延ばしてみることをお勧めします。**ツアーと見学は事前申し込み(支払いも含め、2週間前までに)が必要ですのでご注意ください。私は研究所に事前にメールして予約をし、それから電話でカード番号を口頭で伝える形で支払いを済ませました。
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最後におじさまと一緒に写真を撮りました。研究所の所長、Steven Orfield氏とも直接お話することもできて、ほくほくで今テキサスへの帰路についています。はー楽しかった…。「アメリカでやり残したことトップ6」のうちひとつがチェックできました(ちなみにもうひとつの「NYで博物館・美術館巡り」も3月に完遂できたので順調といってもいいでしょう)。残り4つはまた戻ってきたときに。

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  by supersy | 2018-05-22 21:30 | PRI | Comments(0)

PRIに関する最新研究論文のまとめ。

以前にPRI関連の文献を「なぜ風船を使ってエクササイズをするのか?」というタイトルで紹介したことがありましたが、今回はなんと、インドから新たに4つのPRIエクササイズ介入を検証した論文が発表されたのでまとめておきます。興味深いことに、本部曰く、これらのインドの研究者さんは一度もPRI講習を受講した記録がないんだそうです(笑)。どうやってこの研究者たちはPRIに出会ったんだろう?なんで検証しようと思ったんだろう?ここらへんのほうについつい私自身興味を持ってかれてしまいますね。

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最初はこの論文、2015年発表のもの1 です。仙腸関節痛、股関節痛、腰痛のいずれかを持っており、Ober's Testが片側、もしくは両側が陽性の患者30人を対象に1) Moist Heat Pack (以下MHP)を20分したのち、IT Bandのストレッチを1分3セットの「ストレッチ組(n = 15, 30.87 ± 9歳、男女比不明)」か; 2) MHP20分したのちPRIエクササイズ(片側陽性患者は90/90 hemibridge with balloon、両側陽性患者は90/90 hip lift with balloon)をする「PRIエクササイズ組(n = 15, 26.07 ± 5.8歳、男女比不明)」にランダムに分けられ、6セッション分の治療を繰り返したそう(どれくらいの期間に、どれくらいの頻度でセッションが行われていたかは不明)。んで、セッション前と後の股関節ROM、VAS、Modified Oswestry Low Back Pain Disability Questionnaire(MODQ)を使ってアウトカム計測したそうな。ここで浮かぶ疑問は二つ。股関節ROMはスマートフォンのinclinometerを使って計測したと書いてあるけれど、それがvalidated toolであるというエビデンスは被験者には股関節痛の患者も含まれていたはずだけど、何故にMODQが全員に使われたの

んで。結果です。VASはストレッチ組が7.33 ± 0.8から4.47 ± 1.68へPRIエクササイズ組は7.13 ± 1.3から2.27 ± 1.2へとどちらも著しく改善したもの(それぞれp = 0.0007, p = 0.0001)、改善幅を差として比較すると、PRIエクササイズ組の改善の方が統計的に有意に大きかった(p = 0.0004)そうな。同様に股関節外転角度も(from 21.60 ± 2.85 to 23.30 ± 2.38 vs from 19.80 ± 3.43 to 29.27 ±1.98, p = 0.00001)、MODQも(from 76.13 ± 7.26 to 52.73 ± 17.62 vs from 62 ± 12.32 to 24 ± 8.8, p = 0.0006)「両グループ共に改善したが、PRIエクササイズ組の方がはっきりと良い」という結果が出ています。ただね、ここでひとつ…特に股関節外転、SEMとかSDを考慮すると、あまりにp値が低すぎやしませんか?これ、この数値でたった15人の被験者でこんなに低い値になる!?!?ちょっと統計がおかしい気がするんすけど…。小数点もそろってないし…。怪しすぎる…。

この論文の結果には「どちらも効果あったけれど、PRIエクササイズのほうが効果が長く続いた」とありますが、「長く続いた」ってどういうこと?全く同じ時系列でアウトカム計測をしたんじゃないの?結果と結論が一致していません。「同期間行った場合、ストレッチよりもPRIエクササイズのほうがより痛みの軽減、可動域の向上と機能の改善につながる」だったらまだわかるんですけど。

この論文は、はっきり言って挙げ切れないほどの問題点があります。単純なスペルミススペーシングエラがいくつも目につきますし、文中のテーブルの線や数字もバラバラだし、英語もところどころおかしいし(意味が分からない文章も多々ある)、Table 3の股関節可動域が何故右側だけの表記なのかなんの説明もないし、テーブルに書いてある数字と本文の数字が合わないし、何より決定的なのは引用の文献番号が本文と文献リストとでズレていること。これでpeer reviewed journalとは恐ろしい…。こういった論文を手放しで「わーい。PRIの言っていることをサポートしてくれた論文が出たよ、素晴らしいよー!」と言って紹介してしまうと、私はただただ論文の批判的な読み方も知らない大馬鹿ものであると露呈するだけになります…。だから私は敢えて言います、この論文の出来は世に発表されるにはあまりにお粗末。うちの学生がこれを課題で提出してきたらB-を付けて「やりたいことは面白いんだけどなぁ、もう少しちゃんとやらなあかんで」と突っ返しますよ。

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んで。こちらの論文は2017年発表2 です。見た所さっきの研究グループとは違うみたいですね。所属大学が違うんで。
冒頭に「IT bandは又の名をMaissiat's Bandとも呼ばれていますが…」と書いてあるんですがむしろその名前を初めて聞きました!そんな別名が!…勉強になります。IT Bandは多関節筋連鎖の一部なのに、「IT Bandが『張っている』となると、ストレッチだなんだと局所的な治療をすることが多いですよね」というところから始まり、PRIのエクササイズであるRight Sidelying Respiratory Lest Adductor Pull Back (以下Pull Back)を代わりに介入としてやってみるのはどうか、ということのようです。この理論の流れはもっともです。

被験者になったのは30人の左側IT Bandの張り(=左Ober's test陽性)があった患者さん(平均29.16 ± 3.11歳、男16人、女14人)。何故「左」にこだわったのか、私はPRIかじってるんで分かりますけど、文中では一切説明がありません。ちょっと不親切では…というか、単純に「片側」とすればよかったのでは?ちなみに両側陽性の患者は今回の被験者の対象外だったようです。んで、これらの被験者をランダムに1) MHP(20分一日二回)+ストレッチ(15-20秒を3-5回)+Pull Backエクササイズ(説明は省きます、5回を一日二回)を3週間のPRIエクササイズ組(Group 1, n = 15); と2) MHP(20分を一日二回)+ストレッチ(15-20秒を3-5回)のみを3週間のストレッチ組(Group 2、n = 15)との2グループにわけたそう。これらが毎日自宅で行われたのか(その場合、MHPはどうやって手配したのか)それとも実験期間中は毎日クリニックに通院したのかは不明で、もし自宅で行われた場合、どのようにして患者がしっかり規定数の治療・エクササイズを行ったか確認したのか(compliance rate)も気になります。それから、どうしてストレッチのプロトコルに幅があるんでしょう?「15秒を3回(合計45秒)」を3週間(= 945秒)やった人と「20秒を5回(100秒)」3週間(= 2100秒)にやった人とではdosageがかなり(倍以上)違うのでは?と思いますが…

ともあれ。計測したアウトカムは股関節の内転可動域のみ。結果は以下の通りです。
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つまるところ、「両グループともに著しく改善したけど、比べるとPRIエクササイズ組(Group 1)のほうが改善幅が統計的に有意に大きかった」というところでしょうか。個人的にはMHPとストレッチだけでもかなり可動域の改善という意味では上がっているのがびっくりですけどね。あと、どうしてOber's testをもう一度行ってテスト結果も計測しなかったんでしょう?せっかくだから陰性になるかどうか確かめればよかったのに。この論文の結論では「Pull BackエクササイズはIT Bandの張りに効果があっただけではなく、姿勢の左右非対称性の矯正、呼吸を整える効果がある」とまとめてあるんですが、おいおいちょっと、姿勢の矯正や呼吸への効果はこの論文では一切計っていないでしょう。どうしてそう話を飛躍させてしまうのか。「ただMHPとストレッチやるより、それにPull Backエクササイズを足した方が股関節内転可動域向上効果はより大きい」以上のことは言えないはずです。

うーん、やりたいことは分かりますし、確かにPRI理論を補足してくれている研究ではあるんですが、被験者の数も少ないですし、痛みなどの自覚症状がある患者さんってわけでもありませんし、「で?」という気はしないでもないです。今回読んだ論文の中では実はこれが一番マトモかとは思うんですが、個人的な感想や印象を書くと、やはりこの論文も少し怪しさが残ります。実験手順などで細かいところが省かれすぎてますし、あとは導入部分の文献引用が少なすぎて、多くの文章がふわふわと地面から浮いてしまっている印象です。もう少し丁寧に書かれている論文のほうが私の好みです。
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次はこちらー。2017年の3 です。これは最初の2015年の文献1 と同じ大学から発表されていますが、著者は異なりますね。んーしかしこの論文も冒頭の引用が甘いです。"Studies have found..."って言ってるのにその文章の終わりに複数どころかひとつの文献の引用もないって駄目でしょ。どの論文か予想はつきますけど、それでも著者がちゃんと自分で責任もって入れなきゃダメな個所なはずです。イントロで20は引用できる論文ありますよ。

ともあれ。この研究の対象は29人のtertiary care hospitalに来院した、最低でも12週間non-specific LBPに苦しんでいる慢性腰痛の患者さん(平均27.7 ± 7.5歳、男12人、女18人…つまるところ、通常よりもかなり深刻な腰痛患者と言ってもいいんじゃないでしょうか)。 3セッション参加してPRIエクササイズ(今回は90/90 Supported Hip Shift with Hemibridge with Balloonですね、文中に名前がハッキリ書かれていませんけど)を行い、VASとMODQとForced Expiratory Volume (FEV、1秒間の最大呼気量がFEV-1, 6秒間の最大呼気量がFEV-6)を計測したそうな。エクササイズは3日連続で行ったのか、間に数日空いたりしたのかは不明監督役のセラピストがいたのか、ホームエクササイズとして処方されたのかも不明。ここらへんの説明不足は実験の再現性をゼロにしてしまうので致命的かなー。1st Session時には被験者が46人いたのに3rd Sessionには29まで減ってる(17人もドロップアウト=37.0%!! 理由は「もっと早く効果が出ると思っていたから」と記述ありますが、17人が17人全く同じ理由ってことはありえるのでしょうか?12週間ずっと痛みがある、慢性腰痛の患者さんでしょ、3日の治療で「長すぎる」なんて言う?)のもかなり怪しい。PRIエクササイズそのものがドロップアウトの理由に深く関わっているなら、それらの患者さんを「そもそも存在しなかった」かのように消してしまって統計分析するのはバイアスの源にしかなりませんからね。今回の研究では比較対象になるコントロール群もいませんし。…まぁ、それはちょっと置いておいて、結果は以下の通り。
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p値、やっぱりこれもおかしくないですか?SDがここまで大きくて、p値がこんなに低い値になります?これらの数字を鵜呑みにすれば「PRIエクササイズはたった3セッションで慢性(>12週間)腰痛患者の痛み、6秒間の最大呼気量と機能を著しく向上させる」ってことになりますが、私はこれがどれもMCIDどころかMCDを満たしているとも思えないので、I am not soldって感じです。(最短でも)3日かけて、痛みが4.8から4.4に減ったって、MODQが0.9点上がったって、私が患者なら全くありがたくないです。せめて実感できるくらいの改善幅を見せてくれーい。
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最後です。これ4 も先に紹介した論文1,3と同じ大学の研究チームのものだ…よ、読む前から不安いっぱい!そして引用されているソースの多くが論文じゃない!うう…同じ文章をもっとちゃんとしたソースで書けるはずなのに!

50歳以上の膝のOA患者を対象にしたこの実験では、20人のGrade 2-3患者(後述する理由で年齢や性別などの詳細は不明)が集まったようで、ランダムに1) Short Wave Diathermy(15分)、TENS(最大20分)、3つのストレッチ・エクササイズ(15分を4回)と3つの筋力強化エクササイズ(ハムストリング、大腿四頭筋、ふくらはぎをそれぞれ強化する目的、10回3セット)行うコントロール群と、2) これら全てにPRIエクササイズ(これも90/90 Supported Hip Shift with Hemibridge with Balloonですね)を加えたPRIエクササイズ組に分け、それぞれの治療を10セッション10日間繰り返したそうです。前述した研究と同じで、10日連続だったのか、間に数日空いたりしたのかは全く記述がありませんTENSの「最大」20分という幅もナゾです。

そして、結果なんてすがええっとこの論文はここまでで一番やばいです。「結果はテーブル1-3参照」と書いてあるんですがテーブルが論文のどこにもひとつも見つかりません。こんなに読んでいて泣きたくなる論文は初めてです。

なので、文中から推測する結果を書くと「PRIエクササイズ組はコントロール組と比較して著しく痛みが減少、機能が向上した」ということらしいんですが、しかし、痛みに関しては直後に「これはminimal clinical differenceだった」とも報告いるので、初めてMCIDに言及しているのかなという感じです。これはいい傾向です。つまり、もう少し詳しく書くと「PRIエクササイズ組はコントロール組と比較して痛みはそこそこちょびっと減少、機能がそれなりにがっつり向上した」って感じなんでしょうか。しかしまぁくどいですが私自身の目でデータを確認せずにこの結論をそのまま飲み込むことはできないので、なんとかどうかエディター様様、データを…!テーブルを…!追加してください見てみたいんだー!

そんなわけで…ええと…何を書きたかったのか分からないブログになっていましたが、これらの論文全てでPRIエクササイズの効果が報告されてはいるんですが、全く手放しで喜べない、かなりお粗末な内容である、ということはここに書き記しておきます。同じ目的でももっと他にやりようはあったはず。怖いもの見たくて仕方ない皆様は、是非ご自分で下のリンクから各論文に飛んでみてください。Peer-reviewed journalの世界観変わりますよ、ふふ…。

1. Kage V, Naidu SK. Effect of iliotibial band stretching versus hamstrings and abdominal muscle activation on a positive ober’s test in subjects with lumbopelvic pain: a randomized clinical trial. IJTRR. 2015;4(4):111-116. doi:10.5455/ijtrr.00000075.
2. Shori G, Joshi A. Effect of right sidelying respiratory left adductor pull back exercise in subjects with iliotibial band tightness. Physiotherapy Quarterly. 2017;25(1):13-16. doi:10.1515/physio-2016-0014.
3. Fernandes J, Chougule A. Effects of hemibridge with ball and balloon exercise on forced expiatory volume and pain in patients with chronic low back pain: an experimental study. Int J Med Res Health. 2017;6(8):47-52.
4. Metgud S, Chougule A, Heggannaver A. Effects of hemibridge with ball and balloon exercise as an adjunct to conventional therapy in knee osteoarthritis patients: a randomized controlled trial. Asian J Med Health Res. 2017;2(6):42-50.

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  by supersy | 2018-03-02 23:59 | PRI | Comments(0)

SWATA Competency Workshop & PRI Postural-Vision Integration Course

色々とイベントフルな週末でした。

一つ目のイベントはSWATA Competency Workshop。毎年1月末の木~土曜の3日に渡ってDistrict 6 (Texas & Arkansas)に住む現役のAT学生3・4年生(もしくは大学院1・2年生)を対象に行われるBOC試験対策勉強会です。会場となったのは私の母校のTexas State University-San Marcos! 訪問したのは実に4年ぶりでした。
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卒業してもう11年と言う年月が経っているのですが、奇跡的(?)に当時の恩師やPreceptorがまだ大学に残っているので押しかけていって挨拶をしたり、元同級生が今、ここで教職をやっているのでcatch upしたり、思いがけず定年退職した教授が私がくることを聞きつけてわざわざ会いに来てくれたりと、さながら小さな同窓会のようでした。
学生のころ通った教室やAT Clinic、Endzone Complexに足を踏み入れると思い出がとめどなく流れてくるので驚きました。ここで皆でくだらない冗談言ってゲラゲラ笑ったなー、とか、選手がミーティングに行っている間、この部屋で皆で勉強して時間潰したっけ、とか、ここで熱中症になって倒れたっけ(笑えない)、とか…。キャンパスはどんどん大きく立派になっていくけど、変わらない「ホーム」がここにあります。学部生時代を過ごした場所はやはり自分にとって少し特別ですよね。初心に帰る思いでした。

そもそもなんで学生対象の勉強会に参加したかって、実は講師としてお呼ばれしていたからです。昨年も講師として来てくれないかと声をかけていただいていたのですが、「すみません、既に申し込みをしてしまった講習と重なっていて…」と泣く泣く断らざるを得ず。今年はスケジュールががっつり合ったので是非に!ということで、私は日程の2日目、3時間の講義・実技を担当させていただきました。「BOCの試験に合格することはもちろん重要だ。でも受かった後も色々勉強しなきゃいけないことはたくさんあるよね、例えばATとして最低限の知識・技術をブラッシュアップするためにPosition Statementを読むとか…」という話から、「それからね、ATCになったあとは自分の好きなことを選んでがっつりずっぷり勉強できるという楽しみがあるよ!例えばこんなものがあるんだけど…」という流れでPRIのイントロの授業をやらせていただきました。講義と実技(↓)、結構みっちりやりましたよ。こんな斬新ともいえる切り口の講習を依頼してくれたCarlaのオープンさが素直にありがたいです。楽しんでもらえたかなー。
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Workshopが終わった後はダラスに移動し、土・日を利用してPRI Visionの講習を履修してきました。こっちは教えるほうでなく、受講するほうです。PRI Visionのコースは一般のPRIのコースに比べてまだまだ米国内でも関心が低いというか、参加者が限られていて非常にもったいない気がします(受講者の数が足らずに講習がキャンセルになることも度々あると聞きます)。私がこの講習を取るのは二回目なんですが、講師のRonもHeidiも「どうしたら受講者にもっとclinically applicableなやり方でmaterialを教えられるか?」を常に試行錯誤しているため、毎回切り口が少し違って、取るたびに大きな発見があります。今回も非常に実りの多い時間が過ごせました。講習を受けながら考えていたことを忘れないうちにまとめておこうと思います。

目は口ほどに物を言う、なんてことわざもありますが、目の外観以上に、各々がその二つの目をどう使ってどんな世界を見ているかもその人のヒトトナリを表しているのではという気もします。 
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その人がどんな風に世界を捉えているのか…というのは例えばその人の描く絵に大きく反映されますよね。「光の魔術師」と言われる有名画家のレンブラントの書き残した多くの自画像…それら見てみると、油絵もエッチングも(油絵は鏡を見て描いたものなので左右が反転し、エッチングは印刷の過程で再反転するので左右は結局元通りになるはずなのですが)関係なく、多くの絵の中の「自分(extension of self)」の左半身が陰に包まれているのが見て取れます。光の魔術師と言われるほどの光の使い手が、敢えて自らの左を影で塗りつぶしたその背景には、どんな意図があったのでしょうか?彼は自分自身の「左」をどういう風に見て、何を感じていたのでしょうか?色々と探求したくなる絵たちです。
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実は、これには参考になるかもしれない歴史的見解があるのです。それは、「レンブラントは目に異常があったのではないか」という説。論文も出ています。1,2 下のエッチングによる「自画像」では、左目が少し外に逸れており、目の焦点が定まりきっていないようにも見えます。一説には、レンブラントは外斜視(exotropia)があり、それによって物事を立体的に捉えることができなかったのではないか、つまり立体盲だったのではないかと推測されているのです。尤も、これは画家としては決して悪いことではないらしく(美術学校では生徒に「片目を瞑って対象物を見ろ」と指導したりすることもあるらしい)、寧ろ彼の強みになったのかもしれませんが…。1 どちらにしても、彼の世界の見方、捉え方は我々が一般的に考えるそれから少しばかり逸脱していたことは間違いなさそうです。
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「見ている世界」に影響を与えるのは、目の異常だけでなく、脳の異常も然りです。例えば脳卒中を経験した患者さんがUnilateral Spatial Neglect (半側空間無視、以下USN)をdevelopしてしまう、ということがあります。 空間無視とは文字通り、空間の存在に気が付かずそちらに注意を向けることができなくなってしまった状態を差し(= the inability to pay attention to people and things on one side)、その空間を見ることができなくなってしまった状態(= inability to see one side)とは異なります。見えてはいても、認識ができないのです。そちら側の世界に、意識が飛ばせないのです。

いまいちどういうことかよくわからない、という方もいるかもしれません。例えば、USNの患者さんに、「手本(↓左)を見てその通り絵をかいてみてください」と指示すると、こういった絵(↓右)を描くのが典型的なんだそうです。時計も家も花も、お手本の左半分が全く見えていないような、その存在を無視した絵になっているのが分かります。自分の左視野内に何があるのか、把握しきれていないのです。こういった患者さんは、日常生活の中でも、髭を剃るときは顔の右側だけを剃ったり、食事時も左側に置いてあるものに一切手を付けなかったり、車椅子を運転中も左側のものに何度もぶつかったりするそう。「左」という空間を把握する能力がぽっかりと欠如してしまう(そしてその本人は自らの『無視』に気が付いていない)というわけです。
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今「左の世界を」と言いましたが、これまた興味深いことに、USNの殆どは左に起こるのだそうです。これはwikipediaからの引用になりますが(信頼できるエビデンスではありませんけど 笑)

右半球障害による左側半側空間無視が一般的である。左半球障害による右側半側空間無視も存在するが、左半球障害が起こると通常失語症が前面に出てくる。左眼が失明している場合も多いが、見えていることもあり、半盲とは別の病気と捉えられる。
そうなんです、「左の空間無視が圧倒的に多い」のは、我々人間がそもそもどういうわけか右視野を把握する能力に長けていることに起因します。脳には頭頂葉(parietal lobe)と呼ばれる部位があり、これが空間把握を司どっている…というのは皆さんもご存知でしょうけれども、「右の頭頂葉は右と左の空間把握を司り、左の頭頂葉は右の空間把握のみを司っている」という左右の違いは知っていましたか("The right parietal lobe contains a spatial map for the both right and left visual field, while the left parietal lobe contains the right visual field only.")?私は恥ずかしながら一年前にPRI Visionの講習を初受講するまで知りませんでした。…ということは、そう、左脳で脳卒中が起きて頭頂葉が壊死しても左右の空間把握能力はそれほど影響されない一方で、右脳で脳卒中が起こって頭頂葉が影響を受けると、ヒトは左の空間把握能力のみを失ってしまうというわけなのです。

では実際に、脳卒中によって左の空間を感知できなくなってしまったUSNの患者さんたちは、一体どのように視野を「感知」、「処理」、そしてもしかしたら「修正」するのでしょうか?それについて書いてあるのがこの論文(↓)3 です。
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この論文の冒頭によれば、USNの患者は、回復早期の段階で、「右側のものに意識が向くようになる」というバイアスのため、自然と(無意識化で)gaze (注視点)が右にずれてくるんだそうですが、ひとたび自分自身の「neglect behavior (無視行動)」に気が付いて「あっ、私、左がちゃんと認識できていない」と自覚してからはgazeを意識的に左にずらすようになる人もいるんだそう。これをこの論文では「Compensatory Behavior」と呼んでいます(必ずしも悪い意味で使っているんではないと私は受け取っていますが)。

この実験では右脳・脳卒中患者(平均65.64±13.70歳)を対象にUSNに対する代償(= intentional left gaze shift)がどのように行われているか、行われている場合、脳の活性にどういった違いが見られるのかを検証。全49人の脳卒中患者さんのうち、(脳卒中こそ起こしたけれども)USNそのものがない患者は24人(脳の他の部位に損傷が認められたのか、USNを既に克服していたのかは不明)、USNが認められるが代償をしていない人が15人、USNがあり代償もしている人は10人いたそう。で、以下のタスクをこなしてもらい、その間の目の動きを観察・脳活動を計測したそうな。
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1. 5つの黒点が表示されたスクリーンを見るよう指示。
2. ビープ音の0.5秒後に、5つの点のひとつがランダムにフラッシュ(2秒間黒と赤の色の変化を交互に繰り返す)する。
3. 被験者はフラッシュしている点にできる限り速く目線を合わせ、見つめる。
4. 0.5秒の休憩を挟んでまたビープ音が鳴り、0.5秒後にまたひとつの点がフラッシュ…を合計25回繰り返す。

文章中に「4秒のインターバルで…」と書いてあるんですが、その下のFigure 1には「3秒のインターバル」とも表記してあり、図を見る限りではビープ音からフラッシュまでが0.5秒、2秒間フラッシュ、0.5秒の休憩を経てビープ音、0.5秒空いてまた2秒フラッシュ…という説明がありますから、足し算をすると一度目のフラッシュ開始から次のフラッシュ開始までは丁度3秒間。「3秒インターバル」という表現のほうが正しそうですね。

これらのタスクは2セット繰り返され、1セット目は特に指示を受けずに自然な状態で(= gaze shiftする人はするし、しない人はしない)行い、2セット目はフラッシュとフラッシュの間に画面の中央を見つめるように指示されて行った(= gaze shiftの要素を排除)そうな。
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結果は見たほうが早いですかね。こちらです。Experiment 1 (指示なし)の場合(↑図右)では、USNがない患者群(RHD、黒線)とUSNがあったけれども代償もしている患者群(USN+、青線)は全てのフラッシュに即時に対応できたのに対して、USNがあり且つ代償をしていない患者群(USN++、赤線)は左の点ふたつに反応しないこともあったり、反応に著しく時間がかかったりしたそう(p < 0.01)。目の移動線がそれを如実に表していますよね、3つの患者群で目の開始位置が全く違う。Experiment 1 (指示なし)の際に、USN+はそもそも目線が左に寄っているところから開始し、左から舐めるように右に移動することで左の見落としを防いでいるのに対して、USN++組は右寄りから開始し、そのまま中心線を割って左に行くことなく、右側にとどまり続けている(左半側空間無視)様子がよく分かります。Experiment 2ではどの組もそれほど差がなく、特にUSN+もUSN++も同様に左への反応が遅れているのが興味深いです。つまり、この両実験を比較することで「USN+の患者はleft gaze shiftという代償行動で見落としを防ぐ努力をしている」ということが言えます。

しかし、これはあくまで代償行為による見落とし防止が成功しているのであって、USN+の患者たちの脳の活性パターンは、RHDのそれとはハッキリ異なっていたそう(p < 0.05)。USN+の患者はタスク中前頭葉を過剰活性させ、頭頂葉の活動を補っているのであって(↓)、空間無視そのものを克服したわけではないのです。この論文の考察では、「USN発症」→「USNがあるという自覚が欠如しており、right gaze shiftが起こる」→「USNがあるという自覚が芽生え、前頭葉の活動を増やし、left gaze shiftをすることで左視野の把握に成功」→「左視野把握能力が徐々に脳の可塑性によって回復し、gaze shiftが消える」という流れでヒトがUSNを克服するのではないかと推測されています。なるほど、理には適っているように思います。
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左にgazeをshiftすることが、左の主視野(central vision)の再発見につながり、それがさらに広がって左の副視野(peripheral vision)の再習得につながるということなのかなー。副視野の取得がその後に起こるのであれば、gazeのshift(frontal plane movement)があくまで短期的なcompensatory strategyとして使われること事態はきっと何も問題ないはずだし、それはいわゆるプリズムを使った介入の目的(= 視界を一方向にズラす)とも非常に近いような気がする。というか、gazeが長期間経ってもshiftしない人たち(今回の研究でいうUSN++の人たち)は、そもそも左の副視野を有効活用できていなかった人たちなんじゃないかなー。認識できていない、その人にとって『存在』すらしていない世界にヒトが足を踏み込むことはないから、半側空間無視の患者さんは必然的にgaitの半分を失うことになる(左足のヒールストライク時には左の副視野からの感覚入力が必要不可欠。そこから左の立脚中期にかけて左副視野のoptic flowが生まれ、『前進している』感覚が生み出されるから)。…ん?そもそも左の世界を無視している人間が歩行をしたら、左荷重、左腕の前方スイングは生まれるのか?自分の目の前にスイングされた左腕すらも認識できないのに?認識できていない左地面に全ての体重をかけられるほど、その空間を信頼できるのか?もしかしてgaitのバイオメカニックスそのものが恐ろしいほど変化する?全てが右に偏った、lateralizeした世界で生きるのは窮屈だろうけれど、そんな狭まった選択肢で生きていることにも気が付かないなんてぞっとするし、もしかしたらその気が付かない理由が「そもそも脳卒中前から左が無かった」だったとしたら…。うーむ。色々考えてしまいます。

PRI Visionのコースを取ってから、歩行時に目の端でreferenceとなる背景を掴んでそれをさながら「視覚的足がかり」にしてぐいっと自分を引っ張るように進んでいる感覚が楽しくなっています。こうして人間は前進するのだと。歩行がいかに感覚統合の賜物かってこと、考えれば考えるほど圧倒されてしまいますね…。近視も乱視もがっつりある私ですが、PRI的に目の問題はどうやらそんなになさそうです。

空間無視…見えているのに把握できない…。実際に脳の中でどんな混乱が起きているのか、それとも私が思う以上に波一つない海のように静かで穏やかな世界なのか。脳卒中患者の頭の中、心の中をこっそり覗かせてもらいたい気持ちでいっぱいです。レンブラントがもしかしたら見えていなかったように、左にも光と色があり、空間が広がっているのだと実感しながら生きていきたいですね。PRI Visionを受講してのreflectionと絡めてのまとめになってしまいましたが、いやー、つまるところ、とても面白い論文でした!もうちょっとこの分野も読み込んでみるかなー。

1. Livingstone MS, Conway BR. Was Rembrandt stereoblind? N Engl J Med. 2004;351(12):1264-1265.
2. Mondero NE, Crotty RJ, West RW. Was Rembrandt strabismic? Optom Vis Sci. 2013;90(9):970-979. doi: 10.1097/OPX.0b013e31829d8d48.
3. Takamura Y, Imanishi M, Osaka M, et al. Intentional gaze shift to neglected space: a compensatory strategy during recovery after unilateral spatial neglect. Brain. 2016;139(11):2970-2982. doi: 10.1093/brain/aww226.

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  by supersy | 2018-01-30 23:30 | PRI | Comments(0)

PRI Advanced Integration 4日目とそれに関連する文献色々。

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AIの一日目に、相棒のケニーと一緒にPRI Director's Dedication Awardsという非常に名誉ある賞を頂きました。これはPRIに大きな貢献をした人に与えられるもので、年に1-3人の受賞者が発表される(該当者がいない年もある)のですが、過去の受賞者を見てみると、Susan Henning, Joe Belding (2012); Kyndall Boyle, James Anderson, Michael Cantrell (2014); Jason Masek, Michal Niedzielski (2015); Jennifer Poulin, Lori Thomsen (2017)とまぁ、PRI Home of Fame(殿堂入り)といってもいいくらいの面子が並んでいて、恐縮しかありません。ありがたいことです。

仲間内で(賞を上げあって)何やってるんだ、と失笑されるかもしれませんが、私は未だにPRIを他人様のものだと強く思っていて、自分が内部の人間であるという認識は全くありません。PRI講習会に私自身が参加することは、Ronの頭の中を少し覗ける貴重な時間を分けてもらえることであり(そしてそれはあくまで私の知的探求心に基づく120%趣味の行為であり)、自分がPRI講師として活動させてもらう機会に恵まれているのもたまたまそういう話が出たときに私がいたからで(むしろ「これでがっつりPRIを勉強し続ける理由ができた!ラッキー!」と思い、利用させてもらうくらいの心づもりでいました)、別に私に代わる人材などこれからいくらでも出てくるでしょう。何ならPRIから「アンタはもういいから、これからは他の人にやってもらうわ」と言われるようなことがあれば「そうですか!今までありがとうございました」と講師の草鞋を脱いでイチ受講者に戻る準備はいつでもできています。

しかし、今回この賞を頂いて…それからこの日の夜にはRonがPRI講師を全員食事に招待し、感謝会を開いてくれたのですが、これもまた心温まる会合で、本当にもうすっかり名実ともに家族になったと言ってもいいのかなぁという気分になりました。PRI講習、日本で開催できたらきっと面白いだろうなぁ、と考え、その実現まで膨大な時間とエネルギーを費やしてきたのは、あくまで「私がそうしたかったから」なのですが、それをRonばかりか、PRIコミュニティーが認め、感謝をしてくれているという実感は素直に嬉しいものでした。「いつでもやめろと言われたらやめよう」ではなく、「いつまでも家族の一員として恥じない仕事をしよう、そしてそのプロセスを楽しもう」と考えを改めました。これからも一層帯を締めて頑張っていこうと思います。

しかし何より最も言及されるべきはケニーの存在、彼の努力と尽力っぷりです。私もPRIに対してそれなりの貢献はしてきたのかもしれませんが、彼のそれとは比べ物になりません。PRIに間違いなく最も精通している日本人、且つ、私の14年(+?)来の友人であり、共にATとして成長をしてきた仲間…。彼のことは兄弟というのも、親友というのもなんだかいまいちしっくりこないのです。親友と呼ぶにはあまりに私が彼に対して抱く尊敬の念が大きすぎるのかもしれません。渡米してから16年、これでも私は私なりに必死にここまで休むことなく勉強してきたつもりなのですが、彼は「さゆりさんたぶんこれ好きっすよ」「さゆりさんこの本おススメっすよ」といつでも私の2-3歩先を歩んでいて(そして彼がそういうものはたいがい私は大好きになり)、私にinspirationと道しるべを与え続けてくれた存在だからです。私にとってはまぁ、ちょっとした仏ですよ。神的存在。

だから、今回これだけの名誉な賞を、他でもないケニーと一緒に受け取れたということがもしかしたら私は一番光栄に感じているかもしれません。若いころ、気の合う仲間と「いつか何かでっかいことしようぜ!」と盛り上がることは誰にでもあることなのかもしれませんが、そういう仲間と実際に10年後くらいに「でっかいこと」ができる機会なんて、滅多にないでしょう?

相変わらずマイペースな私ですが、つながるご縁に感謝してこれからも頑張っていこうと思います。



さて。AIは終わって昨晩Corpusに帰ってきましたが、もうひとつだけそれに関係する内容で読む機会があった興味深い論文1 があるので、忘れないうちにまとめておきます。
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これは講習内で出た論文ってわけではないのですが、歩行と呼吸のphase-lockingについてケニーと盛り上がっていた時にケニーが見つけてきて「面白そうやん!」となったので(これがあるので気がある友人と一緒にいると勉強が終わらない止まらない)。

1) 歩行・走行時の矢状面での体幹屈曲によって起こる「ふいご(bellows)」効果
2) 慣性の法則によって生まれる「内臓ピストン(visceral piston)」効果
3) 多くの体軸筋(axial muscles)が呼吸とロコモーションの二役を担っていること(トカゲやトリ、イヌなどは、走っている最中はこれらの筋肉は呼吸筋としての活動を停止し、走行に貢献するんだそう。役割がスイッチで文字通り切り替わるんですね)
…などの要素から、呼吸とロコモーションは機械的、神経的相互作用してphase-lockし合い、Locomotor-respiratory coupling (LRC)を生み出す、そしてだからこそ四足歩行、ギャロップ歩行する哺乳類は1:1の割合でstride:breathを行うのだ…というのは、この前回の記事でも書きましたね。
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しかし人間は二足歩行なので、少しばかり力の作用の仕方が違ってきますよね。例えばfoot-strikeの際にズシンと地面からの力を受け、内臓の下降(downward displacement of the abdominal viscera)と胸郭の圧迫(compression of the thorax)、それから立脚初期から中期にかけてのアームスイングもそこに上から圧迫を足すんでしょうけども、全体的に四足歩行の動物と比べると、bellows効果やvisceral piston効果など、機械的・筋神経的相互作用は少ないような気がします。つまるところ、人間のロコモーション時にそれほどphase-lockingは見られないのでは?という説を唱えている人たちがいるのです。この説を「支持する」研究として、「トレッドミルで走行中、step-driven flow(歩行そのものによってもたらされる、体内の空気の流れ)はtidal volumeの1-2%程度にしかならない。これは、trivialと言えるくらいの量で、どうやらロコモーションは呼吸に影響をほとんど及ぼさないようである」というもの2 が紹介されていました。ふーむ。しかしこのclaimに対して今回の論文の著者らは「トレッドミルでジョギング中、腕を脇に休めるようにし、アームスイングをさせなかったことはこの結果に大いに影響を与えた可能性がある」と論じ、この「結論」に異議を唱えています。だから、今回の論文ではしっかり腕の振りも付けて走ってもらって、呼吸とロコモーションの関係性をもう一度見つめなおしてみよう!というわけです。

で。この研究では14人の被験者(平均36±2歳、男5人、女9人; うち、7人が一週間に最低20マイルは走るというレクリエーショナル・ランナー、7人は運動はしているがランニングはしていない人達)を対象に(人数は少なく、ランナーvs 非ランナーとグループ分けをされているわけでもないし、少し行き当たりばったりなsubject selectionという感じ。もう少し明確な比較目的などあればよかったかと思う)、「30分間走り続けられる各自お好みのペース」を選んでもらい、5分間のウォームアップののち、5分間ジョギング。その間の呼吸を計測。
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結果なんですが。被験者の全員に高い頻度(high frequency)で起こるstep-driven oscillations in flowがあることが判明。foot-strikeの直後に吸気衝動が、その直後の身体が最も加速する際に呼気衝動が起こるんだそうで、それぞれ動く空気量は-12.7±4.5%と10.7±3.2% (of total ventilation, = 2.5-3.0% tidal volume per step during 2:1 step her breath rhythm)と、前述の研究2 よりかなり高い結果になっています。例えば軽く息を吐いた時にズシン、とfoot-strikeが起こって吸気衝動が生まれれば、空気の流れが逆流し、吐いていた息が吸い込まれるくらい勢いがあって強いものなんだとか。

Stride:breathの比率は個人差が大きく、しかも走りながらペースを変化させる人も少なくなかったようですが、どんなロコモーション・呼吸パターンを見せた人たちでも、やはり「好きなタイミングで呼吸をさせた」場合のほうがstep-driven oscillation in flowに逆らわず、利用するように(=エネルギーの無駄を最小化して、最も効率良く)走行・呼吸をすることが多かったのだそうです。その際、LPCとしては2:1が最も多く、このテンポが一番効果的であるのではないか、というのが今回の研究の考察です。

被験者群にバラつきがあり、sample sizeも小さいので気を付けて解釈されるべき研究だとは思いますが、理想的なエネルギー消費、ついてはより長い距離を呼吸筋を披露させずに走る方法として、2:1の走行:呼吸のリズムが最適かもしれない、という結論は非常に興味が沸きますね。続報があったらまた読んでみたいです。面白かった!

1. Daley MA, Bramble DM, Carrier DR. Impact loading and locomotor-respiratory coordination significantly influence breathing dynamics in running humans. PLoS One. 2013;8(8):e70752. doi: 10.1371/journal.pone.0070752.
2. Banzett RB, Mead J, Reid MB, Topulos GP. Locomotion in men has no appreciable mechanical effect on breathing. J Appl Physiol (1985). 1992;72(5):1922-1926.

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  by supersy | 2017-12-11 23:30 | PRI | Comments(0)

PRI Advanced Integration 1-3日目とそれに関連する文献色々。

年に一度のPRIの祭典!Advanced Integration(通称: AI)に出席するためにまたネブラスカに来ています。AIは四日間、8時から5時まで(+夜の5-6時半くらいのゲストレクチャー)というもはや変人レベルの勉強会なんですけど、誇張なく、世界各国から(大半はアメリカ人なのですが、英国、韓国、日本、イスラエル、アイルランド、シンガポールなど他の様々な国からも)97人の猛者が参加しております。たーのーしーいー。
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今回はAIで話題に上がった論文のレビューをまとめておきます。どれも面白かった。
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まずはこちらの論文1。2011年発表の日本人研究チームのもの。
Adolescent Idiopathic Scoliosis(思春期特発性側弯症)の原因とは何なのか?どうして思春期で発症するのか、そしてどうして左の脊柱側弯症よりも圧倒的に右が多いのか?まだまだ謎の多いこの疾患ですが、もう少し踏み込んで、「病理的変化のない『一般的』と言われる脊柱でも、『思春期特発性側弯症』を思わせるような特徴はどれだけ認められるのか?成長と共にそれらの『特徴』は変化していくのか?」…に焦点を当てたのがこの論文です。
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検証方法は至ってシンプル。被験者の立位脊柱レントゲンを撮り、Cobb angle(上図参照)を計算して検証する、というもので、加えてCobb angle計測のintra- & inter-rater reliabilityも3人の整形外科医の間で検証されました。対象となったのは大きく分けて2種類の被験者群。既に脊柱側弯症と診断されている患者(44名)と、「通常」な脊柱を持つ人たち(1200名)です。この研究の目的は大きく2つ。脊柱側弯症患者は、右と左「どちらの方向」に湾曲が起こっているのか?健康な被験者は、「どちらの方向」に、脊柱側弯症とは言わないにしても「どの程度」の湾曲が見られるものなのか(又は全く湾曲なくまっすぐなのか)?ということを紐解こうとしているわけです。ふむふーむ。もう少し詳しい各被験者群の描写は以下の通り。

脊柱側弯症患者
Cobb angleが15-75度(= scoliosis)の非先天的且つ症状がない脊柱側弯症患者44人(年齢幅5-19歳, 平均12.7歳、男2人、女42人)。 *個人的には性別の偏りが気になります


「正常」な脊柱
幼少期(4-9歳)と思春期・青年期(10-19歳)、成人期(20-29歳)の被験者をそれぞれ400人(男女比は完璧に50:50、合計1200人)。
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結果です。
Intra- & Inter-rater Reliabilityは、同じX-rayを見ていても思ったより高くないんだなというのが正直な印象です。< 0.40 Poor; 0.40-0.59 Fair; 0.60-0.74 Good; 0.75-1.00 Excellentという基準を考慮すると、それでもGoodからExcellentのrangeには入るんですけど (↑Table 1 & 2参照)。

脊柱側弯症患者のなんと全員(44/44, 100%)は右側にその側弯症が認められたそうな。
「正常」な被験者では右の脊柱側弯症を正の数字(> +1)として、左の脊柱側弯症を負の数字(< -1)で表した場合、

  幼少期 男 +0.6±3.7° 女 +0.1±3.9°左 125人、側弯症無し 125人、右 155人
  思春期 男 +1.8±2.2° 女 +1.5±3.3°左 70人、側弯症無し 114人、右 216人
  成人期 男 +2.3±3.2° 女 +2.3±3.1°左 46人、側弯症無し 102人、右 252人

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というわけで、幼少期と比較すると思春期と成人期の右脊柱側弯症への傾向は著しく高い(p < 0.01, p < 0.001)ことが見えてきました。思春期と成人期は統計的に有意な違いは見られなかったそうな。男女差も特になかったそう。

つまるところ、何らかの理由で成長過程で我々の脊柱は右に向かって曲がっていくという傾向が確かにあるわけです。これらの1200人の被験者は「脊柱側弯症」という診断を下されておらず、見た目にも明らかな胸椎、胸郭の変形がない、自覚症状もない(脊柱とは全く関係のない身体の問題で病院に来院した)人たちだったわけですから、もしかしたらこれは我々が生活の中で繰り返す動きの癖やパターンに大いに関りがあるのかも知れません(これは私個人とPRIの意見で、本文では触れられていません)。加えて、今回報告された「思春期以降は健康な被験者にも右の脊柱側弯が認められる」という事実がAISのdevelopmental patternと酷似していることを考えれば、右の脊柱側弯症はそれなりに「normal variant」とも言えるのではないか?(特に症状を伴わない場合)病気や疾患という扱いをしてしまっていいのか?疑問が沸いてきます。くどいですが、これも私個人とPRIの見解です。ここらへんについてもっと知りたい方は前回紹介したPRIコンセプトと脊柱側弯症についての教科書の一章2をぜひご自分でお読みになってください。


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この論文も面白いです。3
2015年発表のブラジル研究チームによるPatellofemoral Pain(PFP)患者に関する研究。PFPの危険因子には膝が内側に崩れるようなDylanic Valgusや、逆に片足立位時に股関節外転金の出力不足によって起こるVarusなど、いわゆる動的エラーと呼ばれる要素が上げられたりします。これらの要素をSingle-Leg Triple Hopというかなりインパクトの強い動作中に、PFPありの患者とない健康な被験者でどう動きに違いが出るか見てみましょうぜ、というのが検証内容。
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20人の女性PFP患者(平均23.1±3.3歳)と同じく20人のAge-matchedな健康な女性被験者(23.5±2.1歳)を対象(ちなみに90%のStatistical Powerを得るための「各グループ最低17人」の条件は十分に満たしています)に、10分間トレッドミルで歩いてウォームアップしてもらったのち、Single-Leg Triple Hop Testを実施。一度目のジャンプの着地から、2度目のジャンプの踏切りの間のTransitional PeriodのBiomechanical Analysisを行ったわけです(写真↑)。テストはPFP患者は痛みがある方の足で、被験者は利き足で行った…という表記がありますが、具体的に右が何人、左が何人という数字は記述がありませんでした。個人的にはそこが気になりますし、私は右足でこのテストを行った人数が圧倒的に多かったのではと予測します。数字がない以上、予測の域を出ることはできませんが。

結果です。
Peak Joint Angle Data (Table 2)より。
胴体: PFP患者はより胴を前方(p = 0.038)同側側(p = 001)に傾ける傾向があるが、同側回旋は非PFP患者に比べて起こらない(p = 0.003)。
骨盤: PFP患者は逆側のPelvic Drop(p = 0.001)が著しく大きく起こる一方で、同側回旋は起こりにくい(p = 0.001)。最大骨盤前傾度合いにグループ間の大きな差は見られない(p = 0.299)。
股関節: より大きな股関節内転(p = 0.02)と内旋(p = 0.002)が見られるが、屈曲は著しく少ない(p = 0.029)。
膝: 屈曲が少ない(p = 0.001)が、内転は大差なし(p = 0.614)。
足首: よりEversionが大きい(p = 0.019)が、Dorsiflexionは著しく少ない(p = 0.003)。
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ふーむ、矢状面での屈曲が少なく、水平面での内旋が早く過剰に起こってしまうことから、伸展・外旋による爆発力が生まれにくい。加えて全額面では支脚方向に身体が極端に寄ってしまう、ということなのか。Table3も4も含め、総合的に見るとPFP患者はこういう位置(↑)に自分の身体を置きやすいことが見えてきます(Aが健康な被験者、BがPFP患者)。立位側に胴体を傾け、逆側骨盤を落とし、立位側股関節は内転内旋…。写真で見比べてみても、PFP患者のほうがより身体を右半球に埋め込んでいる感じ、つまり、健康な被験者がやっていることをより大げさにしてしまっているのがPFP患者なんですね。これは研究筆者も同意見のようで、"While both groups that participated in this study exhibited a similar movement pattern, the pattern was more pronounced in those with PFP" (p.804)という表現が文中に確認できます。PFP患者と非PFP患者、同じ動的パターンを見せる傾向があっても、そのパターンをより色濃くしてしまうとpathologyに繋がるんだ、という発見が面白い研究でした。

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では、最後にこの論文です。4
この論文は美しい!詩のように流れるような文章で、それでいて充実した内容の情報が的確にまとめられていて。冒頭は特に芸術的です。"There is arguably no other muscle in the human body that is so central literally and figuratively to our physical, biochemical and emotional health as the diaphragm. From its most obvious role in respiration, to its less obvious roles in postural stability, spinal decompression, fluid dynamics, visceral health and emotional regulation, the diaphragm has a repertoire of function that is broad by any muscle's standards" (p.342). これは日本語に訳そうと思うことが失礼にあたるくらい完璧に書かれた文章です。アンダーライン引いて何度も読み返したい…。

「横隔膜の担う呼吸という役割は(特に休息時において)主要である一方で、この機能は実は発生学の観点からは「『二次的(exaptation, side-effect)』と言わざるを得ない」、詳しくは、我々がまだ海中生物だった頃に空気を吸い込んでしまうことを防ぐメカニズムとして(つまり今の「空気を吸う」のとは真逆の目的で)できた組織なのではないか、または他の生物と比べて異様に発達した脳を持つ胎児を産道から押し出すことだったのではないか…など、実にわくわくする説を展開しています。横隔膜は部位としてはTransverse Abdominis (TA)の肋間に触れる部分が剥がれてできたといっても過言ではないんだそうで。さらに、発生学的に考えると、TA, IO, EOなどの深層腹筋群とAnterior, Middle and Posterior Scaleneは同じ胚の部位からできているというstatementもめっちゃ面白かったです…。こうして考えるとScalenes(斜角筋)が呼吸に深い関りがあると言われるのも実に道理にかなっているのだと本文では説明されています。

横隔膜がphrenic nerve (C3-5)によって(動的・感覚的)神経支配されているのは周知の事実だと思うのですが、なんと下部の肋間神経(6-7)からも神経支配を受けているらしいです。だから、横隔膜に対する治療アプローチはがっつり肋骨の機能・形状に影響をもたらすのだ、と。それだけではありません。Phrenic nerveはAnterior Scaleneと「関りのある」fasica周りを通過することから、Whiplashなどによる損傷や慢性的過活動(i.e. FHP)など、Anterior Scaleneに変化が起こるとそれがPhrenic nerve機能不全を招いたりすることもあるんだそうな。だから、呼吸に問題のある患者に対して姿勢介入が有効だったりする、その理屈もここらへんから来ているのではないか、なんだと。他にも横隔膜は嚥下と消化にも深いつながりがあり(横隔膜下部はPhrenic nerveではなくてVagus nerveの神経支配を受けているので)、逆流性食道炎などの治療にも横隔膜が注目されていること(食べ物がスムーズに胃に辿りつくにはcruraの部分の横隔膜が適度にリラックスしている必要があり、且つその間も横隔膜は呼吸を止めるわけにはいかない、ということを考えれば、この「神経支配の住み分け」は至極当然なのかもしれません。これと同じことが嘔吐などの場合にも当てはまります)も言及されています。横隔膜の姿勢筋としての機能、IAP制御などについても表記がありますが(横隔膜はspindle cellの数が少ないのでtensionやプレッシャーのコントロールを一人ではとても仕切れない、abdominal wallやpelvic floorとの連携が必要不可欠である、など)、このへんの論文は自分でも読みつくしているし、真新しい情報はなかったので省略でいいかな。前にも書きましたしね。横隔膜の活動がgait(歩行)のフェーズや飲食のリズムと深い関係があることについても(なので歩行のフェーズに合わせた呼吸介入もそのリズムを取り戻すのに有効であるかもしれないことなど)少し記述がありましたし(ちなみに四足歩行の哺乳類の殆どは一歩歩くごとに一呼吸をするという1:1であるのに対して、ヒトは2:1~4:1程違いがあるそう。四足歩行の動物は移動の際に前後にvisceral piston、つまり内臓が前に押し出されることで横隔膜のドーム形状がリストアされ、次の呼吸がしやすくなるという独特のチカラの掛かり方が起こることを考えれば、1:1という割合は動物学的にもスジが通っています。四足歩行動物でもグレイハウンドのような長距離を走ることを得意とする動物は2:1の割合で呼吸をする種もいるんだそうで、それらの種はどうしてそんな進化を遂げるようになったのかも妄想をめぐらすと楽しいです。あ、話が逸れた。ヒトの呼吸は割合としては2:1が一番エネルギー消費の無駄が少ないのだとか)、感情のコントロールと横隔膜の機能の箇所では「例えば子供が痛みを感じるとハッと息を飲み込み(それらは横隔膜の収縮によってもらたされたものである)、その後に子供は大声で泣き始めるだろう(これは横隔膜のリラックスと、abdominal wallの収縮によって起こる現象だ)」と説明し、「ところが大人はどうだ、同じような痛みを感じて空気を飲み込むことはあっても、子供のように思いっきり泣いて吐き出すことは滅多にない。もしかしたらそういう出来事があるたびに横隔膜の緊張は高まっているのかもしれない」という推測も、ユニークで斬新でもうめちゃめちゃ面白いです…っていうか、この論文いちいちひと段落ひと段落が面白いです。横隔膜好きは一度読んだほうがいいです…。

それでは、キリがないし、明日も一日講義のでそろそろ休むことにします!AI後半の報告のため、また更新します。

1. Doi T, Harimaya K, Mitsuyasu H, Matsumoto Y, Masuda K, Kobayakawa K, Iwamoto Y. Right thoracic curvature in the normal spine. J Orthop Surg Res. 2011;6:4. doi: 10.1186/1749-799X-6-4.
2. Henning S, Mangino LC, Massé J. Postural restoration: a tri-planar asymmetrical framework for understanding, assessing, and treating scoliosis and other spinal dysfunctions. In: Bettany-Saltikov J, Schreiber S,eds. Innovations in Spinal Deformities and Postural Disorders. London, UK: InTech; 2017.
3. dos Reis AC, Correa JC, Bley AS, Rabelo ND, Fukuda TY, Lucareli PR. Kinematic and kinetic analysis of the single-leg triple hop test in women with and without patellofemoral pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(10):799-807. doi: 10.2519/jospt.2015.5011.
4. Wallden M. The diaphragm - More than an inspired design. J Bodyw Mov Ther. 2017;21(2):342-349. doi: 10.1016/j.jbmt.2017.03.013.

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  by supersy | 2017-12-09 23:30 | PRI | Comments(0)

PRIポスチュラル・レスピレーション東京・名古屋講習終了!と、Talking About Perception。

PRIポスチュラル・レスピレーション、東京(7月14~15日)講習、名古屋(7月16~17日)講習の怒涛の4日間が無事終わりました!!!!
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東京講習(↑): 主催の帝京大学のスタッフさん一同はいつにも増してPRI愛に溢れており、感謝しかありません!参加者60名超の大所帯講習でした。

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名古屋講習(↑): こちらも濃い面々ばかり。鋭い質問が飛び交う講習になりました。
近藤先生、鈴木さん、ありがとうございました!

今回も「どうしたらロンの言葉がもっと伝わるだろう?」とケニーと試行錯誤をしながらの濃厚な5日間(前日準備も入れて)でした。講習参加してくださった皆様には最後に衝撃ニュースもありましたが…こちらもPRIジャパンから近々正式告知があることでしょう。いやー、体力勝負の4日間でした。終わって今、がっつり風邪を引いています!やっぱりね!!引くとおもったもんね!!!!

それから、この怒涛の4日連続講習の直前の7月12日には、ひょんなご縁があり、順天堂大学(↓)で特別講演をさせていただく機会にも恵まれました。
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学部生、大学院生、教授陣にAT専門vs非AT専門が聴衆に入り乱れる中、全ての人に何かしらの学びを…!というこれまた難しい設定の講習会でしたが、「ナンジャコリャー」とゆるーく楽しんでいただければ幸いです。講演のあとには体操部の練習見学という貴重な体験まで…!新しくできたばかりという体操アリーナ、う、美しい…!鹿倉先生、窪田先生、中新田先生、本当にありがとうございました!

明日アメリカに戻ります。2か月のこの夏の日本滞在、お陰様で非常に濃密なものになりました。お会いしてくださった皆様、遊んでくれた友人、色々と将来に関してアドバイスを下さったAT先輩の方々、全てに感謝しています。それではまた、冬にー!



ここからはおまけというか本題なのですが(どっちだ)、最近頭の中でモヤモヤ妄想していたことをまとめておきます。

教育者という仕事をしている以上、「私が表現する」世界は世の中に起こる普遍的で再現性の高い事柄を、すべての(もしくはなるべく多くの)人に理解できる言語で表現するようでなければいけないと思いますが、それとは相反する位置に「私が感じる」世界というものがあります。こちらの世界は私個人しか知覚し得ないもので満たされており、その全ては個人的な経験であって、他の誰にも再現することができません。

表現する世界と感じる世界。与える世界と受け取る世界。アウトプットとインプット。どちらにも興味はあるのですが、最近は特に後者の知覚する・受け取る世界とインプットの神経経路内での咀嚼・解釈の方について考えることが多いです。
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貴方が自分を取り囲む環境をどう知覚しているか、私が永遠に理解できることがないように、貴方にも私が知覚している世界をそっくりそのまま体験していただくことは不可能でしょう。しかし、そんな多様性のある知覚でも、我々人間が頼りがちなポイントがいくつかあります。例えば、踵から入ってくる、今地面をどういう風に踏みしめているか、という情報は、今自分が地面に対してどのように身体を起こし(あるいは寝かせ)ているか、という判断に大いに役立ちますし、耳から入ってくる貴方の声が右耳より先に左耳が受け取れば、私は貴方に対して右側に立っている、と定義づけることが可能になります。視覚情報も同様です。

机にもたれかかるように突っ伏したり、壁に寄りかかっている時には「机」や「壁」という対象物を利用して自らの状態を定義することができます。こういった「寄りかかり」癖がある人は、寄りかかれるもにが何もない状況下では、どうにかして自我を認識しようと歯を強く噛み締めたりするやもしれません。噛み合わせが全身に影響を及ぼす大きな理由の一つであると私は捉えています。
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多様性の高い「知覚」ではありますが、こういったことを踏まえれば知覚を通じての介入はこれらの踵や聴覚、視覚、噛み合わせを通じて行うのが最も効率的とも言えます。知覚をいじる、ひいては患者の生きる環境そのものを「ズラす」目的での足底版、プリズム、ホワイトノイズを使った介入は私が今非常に興味を持ち、もっと勉強を深めていきたい分野でもあります。個人的には、匂いをかぐことで感情を揺さぶられることが多いので、嗅覚の勉強をもっと掘り下げてやってみたいものです。嗅覚と自我の確立…そんな切り口のおススメの文献や本、講習会などあったら教えてください!
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さて、「知覚」といえば、なんですが。
共感覚というものに興味があり、移動時間などを利用して上の本を読んでいました。共感覚とは、例えば特定の言葉に特定の色がついて見えたり、音に手触りを感じたり、時間に空間を感じたり、という、非常にユニークな知覚能力のことを指し、2000人に一人がこの能力を持って生まれてくると言われています。

この能力は「病理」なのか、「崇高」な「進化の形」なのか…様々な議論が行われているようですが、共感覚の持ち主がは総じてその能力が無くなるのを望まないことから、「病理」であると解釈するには無理があるのではと思います(そうでなければよっぽど稀有な病気です)。ですから、優劣で考えるのではなく、これも「知覚の多様性」と捕えてみるのはどうでしょうか。共感覚がある彼らは、それぞれの文字や音を、「一般人」よりひとつ多元的にとらえている…一方、我々「一般人」も、共感覚者には想像もつかない情報の符号化を行っている…(例えば私は、覚えたい数字は5桁くらいまでならば、ひとつひとつ並べ、はっきり頭に思い浮かべてシャッターを押すようにアタマに焼き付けると、そのまま画像として一定期間保存しておくことが可能です。読み込んだ教科書も、一ページ一ページめくってどのページにどんなグラフがあるか、用語の解説があるかも画像として覚えておくことができます。あれは何だっけ?と思ったら、頭の中でページをペラペラめくり、ああ、あったあった、と情報を「見る」ことができるのです…私もできる、と頷かれる方も多いのでは?)。どちらがいい悪いでなく、どんな情報をどういう風に感じ、脳に取っておくかは十人十色。個体差があって然るべき、ということなのです。

今日は備忘録というか、すっかり自分のためのメモになってしまってすみません。しかし一度でいいから共感覚の方のアタマの中に潜り込ませていただきたいものです。文字を読むたびに色が迫ってくるなんて、なんて素敵なんでしょう!

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  by supersy | 2017-07-20 21:30 | PRI | Comments(0)

PRIマイオキネマティック・リストレーション仙台講習終了!

さて、更新が遅くなってしまいましたが、先週末は仙台でPRIマイオキン講習を無事に終えてまいりました。実はPRI講習は今まで東京から北に行ったことがなく、今回が初めての東北開催だったんです。どう受け取っていただけるかなぁとドキドキしていましたが、いつにも増して学びに活発な皆様と和気あいあいと充実した2日間を過ごすことができました。レトロ・ウォークはもちろん、今回は階段もあったのでレトロ・ステアまでやって〆ることができました。
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特筆すべきはやはりぬっきーさんの講師デビューでしょうか。昨年講師トレーニングを開始していたぬっきーさんですが、仙台講習では約4時間分の講義を担当しました。次回、7月の東京でのマイオキン講習(ケニー担当)ではもっと長い活躍を見せてくれることでしょう、楽しみです!
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今回お邪魔したのは「東北保健医療専門学校」という会場だったのですが、主催の方の「仙台」こだわりがもうとんでもなく素晴らしくてですね…。PRI講習ではいつも主催者さんに軽食の用意をお願いするのですが、今回は仙台銘菓がズラリと並んでおり、私もついつい幾つか手に取って休憩時間にむしゃむしゃ食べてしまいました。萩の月に牛タンせんべい、ずんだ饅頭にささかまも!し、しあわせ…。
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ご当地名物と言えば、私が初日に「牛タンが大好きなんです!」と騒いだので、主催・門間さんが「ではお昼ご飯は牛タン食べ比べしますか!」と一日目も二日目も(異なる専門店の)牛タン弁当を用意してくださって。夜ごはんにも牛タンが出たり、帰る日の昼食にも牛タンを食べたりしたので、3泊4日の仙台滞在で合計牛タンを5回もいただきました。さすがにこれは門間さんにも笑われました…。し、しゃわせ…。
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参加してくださった46名の皆様(↑)、主催の門間さんと、運営協力をしてくださった方々(↓)、ありがとうございました!これでこの夏の私が個人でお送りするPRI講習は全て終了しましたので、7月半ばのケニーとのダブル講師開催となるポスチュラル講習に向けてこちらの調整も進めていきたいと思います。
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話は変わりますが、つい先日、6月27日に帝京大学八王子キャンパスで行われた「第一回スポーツ医科学カンファレンス」にイチ聴衆としてお邪魔してきました。もともと、一番最初に案内を見たときは「午後のみ、参加無料(太っ腹!)」のカンファレンスとのことだったのですが、申し込んだ後に「希望者のみ、午前からのトレーニング講義・体験(同じく無料) & 駅伝競走部員が実際に食べているお昼ご飯を食べながら栄養士による講義(こちらはもちろん有料)も開催しますが、希望しますか?」という案内をいただき、もちろんですもちろんです!ということで丸一日参加してきました。
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駅伝部員が食べているというお弁当がこちら!この色彩とボリュームでたった700円。白米が250gと食べごたえがあり、ご飯が進むように少し濃い目の味付けになっていました。帝京大学の一貫した姿勢として、「様々な職種が協力し合ってアスリートに多角面からの良質なサポートと教育を用意するが、受け取り手にはそれを強制はしない」というものがあり、このお弁当も「希望する部員が取りに来て食べる、というシステムで、他に好きなものを食べたいという部員には強制することはない」んだそう。アメリカで決して美味しいとは言えないカフェテリアで食事をしていた身としては、こんなバランスの取れたお弁当が低価格で食べられるなら、毎日でも通ってしまいますが…。今日は友達と食べたい、とか、時間がないので手近にあるもので、とか、色々ありますもんね。
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午後からの講義も、トレーニングチーム、メディカルチーム、研究チームに栄養チームと、異なる専門から、どういったシステムを構築して、どう現場に貢献しようとしているかという実用的な話題が続きました。特に栄養士さんらの食育の取り組みと、整形外科の先生たちの早期エコー診断の導入の話は興味深く聞かせていただきました。ひとつの団体において、こういった独自の工夫や取り組みはついつい隠したくなってしまうものではないかな、と思うのですがそれをオープンにこうして(無料で!)不特定多数のヒトと共有し、地域を、社会を、国を良くしていくために我々が知っていることをシェアしたい、協力できることがあれば教えてください、そしてみんなで向上していきましょう、と言えるその寛大さが何より素晴らしいと感じました。

できたばかりという大講堂もキレイでした…施設も人材もそろっていますね。日本スポーツ界を牽引していく大学とは、こういうところを指すのかもしれません。

そんなわけでインプットもアウトプットも今回の滞在はかなりバランスが取れていて楽しいです。少し仕事は詰めすぎな感はありますが、体調を崩さず最後まで頑張りきっていきたいと思います。今週末は千葉へお邪魔しまーす。

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  by supersy | 2017-06-30 15:00 | PRI | Comments(0)

PRIマイオキネマティック・リストレーション広島講習終了!

熊本・福岡に引き続き、先週末は広島に講習へ行ってまいりました!
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PRI講習参加は初めて、という方がほとんどでしたが、その一方で日本の講習でもリピーターの方がじわじわと増えてきてうれしい限りです。PRI講習において、複数回同じ講習を履修することは全く恥ずかしいことではありません、ごくごく「当たり前」です。私もマイオキンだけでも5-6回は受講していますし、アメリカでも2-3回受講してる人は珍しくないんです、みんなやっているんですよー。今回「マイオキン講習参加は2回目」という方は4名ほどいらっしゃいました。「参加するたびにマイオキンの新しい面が見えてくる」と仰っていただけましたが、それは私も参加者として体感しつづけていますので頷けます。同じ講習でも、Ronが教えるもの、Jamesが教えるもの、Mikeが教えるもの、Jenが、Loriが…という風に、講師が違えば説明の工夫のされ方や切り口が異なりますので、なんでしょうこう、同じニンジンでも、こんな顔や面があるのねー、という…。あーニンジンって生でも美味しいと思ってたけどソテーもいけるのね、って発見がなかなか面白いんです。ここがPRI講習の醍醐味ともいえます。
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そんな風に日本でも私の教え方、ケニー(石井)の教え方が違うところが面白いんじゃないかと思いますし、ぬっきー(大貫)さんもいよいよ講師トレーニング中盤を過ぎて、部分的講習担当も始まります。PRIをじっくり腰を据えて勉強してみてもいいかな、と感じた方は、こんな風に3人の講師がそれぞれ持つ調理法も楽しんでいただけたらと願っています。もちろん根っこの部分、Ronの考えるPRI理念を形を変えずにそのまま伝えたい!という意思は講師3人変わりません。次回のPRIマイオキン講習は再来週・仙台にてですが、こちらもロンワールド全開で行きたいと思います。
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ご参加いただいた43名の皆様、主催のホグレルフィットネスの皆様、会場を提供してくださった朝日医療専門学校広島校の皆様、ありがとうございました!



広島には実は姉が住んでおりまして。講習後、滞在を一泊伸ばして観光したり姉と遊んでもらってきました。広島観光は以前にもしたことがあるので、今回はちょっと違うところに行きたい…ということで、姉に勧められて今話題の「呉」へ足を延ばしてきましたよ。
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大和ミュージアムに海軍自衛隊呉史料館、中央桟橋ターミナルやれんが通りなどあれこれ歩いて参りました。呉冷麺にフライケーキ美味しかった…グルメの町、呉!「海軍珈琲」など、喫茶店も充実しているようです。今度は食べ歩きできたーい!

さぁ、東京に帰ってきて、今は講習に参加する側にもなってみたり、ATCの先輩にお会いしたり、論文読んだり、これからある個人講習の準備をしたりなどしています。今週末は東京は立川でのEBP講習ですね!参加者リストを見せてもらったのですが、東京から来られる方は全体の3割ほど。北は青森、南は宮崎から、全国各地津々浦々の皆様にお会いできるようでこちらも大興奮です。楽しい土日にしたいと思います。会場が90人収容可能と広いのでまだ席は余っておりますから、今からでも申し込みしたいかたは是非こちらでー。

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  by supersy | 2017-06-16 10:00 | PRI | Comments(0)

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