AT学生と、セクハラ。

最初は告知です。

この夏もEBP講習を開催します!今回は基礎レベルの「治療介入編」と(3時間、3.0 EBP CEUs)、臨床応用レベルの「治療アプローチ・AMI編」「治療アプローチ・腱障害編」(各2時間、それぞれ2.0 EBP CEUs)をまとめて一日で開催します。全3講習に出席すればBOC EBP CEUを一気に7.0も獲得可能です。この講習は今まで昨年12月に一回開催したのみなんですが、ATC資格保持のためのCEU Reporting Cycleは皆さん昨年末でリセットされてますので、前回参加した方も再受講すればまた新たなEBP CEUとして申請可能ですよ。日程と構成は以下の通りです。

<講習日時>
2018年7月14日(土)
9:30am-12:45pm  エビデンスに基づく治療介入: 基本から応用まで
           *途中休憩15分含む3時間講習
12:45pm-14:00pm 昼食(各自)
14:00pm-16:00pm エビデンスに基づく治療アプローチ: AMIと抑制解除療法
16:15pm-18:15pm エビデンスに基づく治療アプローチ: 腱障害リハビリ

ちなみに、基礎レベルの講習は「エビデンス(科学的根拠)に基づく…」とかよく耳にするけれど、どういうことか実はよくわからない、今更ヒトにも聞きにくい、という完全初心者さんウェルカムな講習で、むしろエビデンスに対して不信感とか苦手意識のある方にこそ来ていただきたいと思っています。エビデンスに基づく実践って思ったほど難しくないや、結構楽しいかも!と思って帰っていただければそんな幸せなことはありません。

午後に行う講習ふたつはどちらも「臨床応用レベル」の講習で、今まで教えてきた「基礎レベル」の講習から一歩踏み込み、p値や効果量というコンセプトを踏まえた上で実際に臨床の現場で皆さんがぶつかっていそうな症例にとびかかり食らいついていきます。「エビデンスに基づく治療介入: 基本から応用まで」講習の事前履修を強くお勧めしますが、必須ではありません。p値や効果量の何たるかがわかっている方であれば問題なく楽しめる内容になっております。

AMI編では「Arthrogenic Muscle Inihibition (関節因性筋抑制)って何?」「どんな悪影響がある?」など紐解いた後で、「では、実際に現場ではどうすれば?」というところまで、腱障害編では「腱障害とはなんぞや?」「エキセントリック・エクササイズってそんなに効くの?」という話をしてから、「では、実際に現場で腱障害の患者がいたら、どうすれば?」というところまでをエビデンスを探し、読み解きながら検証します。「エビデンスを探す」部分では、私の愛用するPubMedのちょいとした小技もご紹介できればと思っています。

全講習、参加者の資格は問いません。元々ATC資格保持者さんのためにと思って企画した講習でしたが、今までPT、OT、柔道整復・あんま・鍼灸師さん、医師の方や大学教員・研究者さんなど幅広くご参加頂いています(ありがたやー)。学生さんも大歓迎です!リピーターさんも、リフレッシュにまたという方も結構いらっしゃいます。

<会場>
〒190-0022 東京都立川市錦町3-3-20
   JR中央線立川駅南口より、徒歩13分
   JR南武線西国立駅より、徒歩7分
   多摩モノレール立川南駅より、立川南通りを直進、徒歩12分

<定員> 各講習45名

今回も主催は高橋さんにお願いしています。お申し込みはGuardians Athletic Training & Therapyのウェブサイト上のこちらから。参加は一番興味のあるコースひとつだけでも、お好きな組み合わせで1つや2つでも、3つ全てでももちろん可能です(お手数ですが、複数講習参加する場合は、リンク先から各イベントひとつずつお申し込みください)。複数参加される方には一昨年から導入した『セット割引』システムが適応、そして『学生割引』も健在です。

<受講料> 
一般 3時間講習(基礎編) 9,000円; 2時間講習(臨床応用編) 各6,000円
   2講習同時申込で10% off
    (例: 基礎+臨床応用で1,500円引き、臨床応用講習2つで1,200円引き)
   3講習以上同時申込で15% off
    (例: 基礎1つ+臨床応用2つで3,150円引き)
学生 3時間講習(基礎編) 8,100円 (10% off - 900円引き);
   2時間講習(臨床応用編) 各5,400円 (10% off - 600円引き)
   2講習同時申込で20% off
    (例: 基礎+臨床応用で3,000円引き、臨床応用講習2つで2,400円引き)
   3講習以上同時申込で25% off
    (例: 基礎1つ+臨床応用2つで5,250円引き)
     *現役大学・専門学校生(国内外不問)さん対象。申込後に学生証の提示が必要です、

より多くの皆様にお会いできるのを楽しみにしております!セミナーの内容に関して質問があればここのコメントか私に直接ご連絡ください。会場、参加費など運営に関しての質問は高橋まで(tdtakahashi@guardiansatt.com)お願いいたします。



さて、さらっと論文ひとつだけまとめます。

最近世界的にセクハラが話題になっていますが、アスレティックトレーニング(AT)界隈も例外ではありません。もちろんATやAT学生が加害者側に回ってしまう可能性もありますが、2018年現在、現役ATの6割と現役AT学生の7割が女性である1 ことを考えれば、まだまだ男性社会である大学スポーツ・プロスポーツの現場等で実習経験を積む中で、セクハラ被害の場面に出くわすことも少なくないのではと思います。実際に、女性ATの64%が学生時代もしくはプロになってからセクハラに遭ったという報告2 もあるそうです。64%って…高い…。
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…というわけで今回の論文3です。ちなみにセクハラの定義を初めてこの論文でちゃんと呼んだのですけれど、
According to the Office of Civil Rights, sexual harassment prohibited by Title IX can include touching of a sexual nature; making sexual comments, jokes, or gestures; writing graffiti or displaying or distributing sexually explicit drawings, pictures, or written materials; calling students sexually charged names; spreading sexual rumors; rating students on sexual activity or performance; or circulating, showing, or creating e-mails or Web sites of a sexual nature.4
…ということなんだそうです。Sexually charged nameで呼ぶとアウト(でかパイちゃん、とか?)、や、容姿に点数を付けたり、抱きたい女ランキング、なんかをつけるのもアウトってことですね。こうして文字になっていると、おおおなるほど!と新鮮な気がします。

んで。きちんと学生と教育者を対象としたセクハラとジェンダー・センシティビティについてのトレーニングを実施すると、医学部内でのセクハラ、性差別が減る5…というエビデンスがある一方で、医学部と異なり、セクハラに関するトレーニングは必須ではないのが現代のATプログラム教育。今、実際にどのくらいの割合の大学で、どんな媒体でトレーニングが行われているのかという調査は行われたことがないそうです。とりあえず現状を調べてみるべか!というのが本論文の内容。

885人の現役AT学生(男272人、女613人、平均21.33±2.95歳)にアンケート調査を行った結果、セクハラトレーニングを受けたことがあるという学生は全体のたった41.0%だったそうな。割合としては、男子学生のほうが女子学生よりもトレーニングを受けている割合が多かった(46.9% vs 38.5%, p = 0.026)とのこと。それから、トレーニングを受けた学生のほうが圧倒的にセクハラに関するリソースの在処を知っている(91.5% vs 63.6%, p < 0.001)、とも。トレーニングを受けたことがあると答えた学生の半数以上は大学初年度時に受けた(新入生オリエンテーションなど)のだそうで、大学外では「夏の間にしたバイトで」「インターン先で」などの回答が多かったそうな。

これ、まとめると、「女性AT学生は男性AT学生に比べてセクハラ・トレーニングを受けていない場合が多く、トレーニングを受けたことのない学生は、受けたことのある学生よりも6倍、どこにセクハラに関するリソースがあるか分かっていない=実際にセクハラを受けても、どう対処していいかわからない可能性が高い」ということでしょうか。最後は少し飛躍かもしれませんけど。被害者になる可能性が高そうな女性AT学生がトレーニングを十分に受けていないというのは問題であると思います。…とはいえ、我々ATのSpecialtyはセクハラではありませんから、しっかりしたトレーニングを積ませようとなったら、大学内の他の部署に依頼をしたり、外部の専門家を呼ぶなどして積極的に外のチカラを借りる必要がありそうですね。これらのトレーニング対象には学生だけでなく、AT教授やPreceptorも含まれるべきだとも思います。



話が変わるようで続くのですが、実は私先学期、大学内で行われたトランスジェンダーのワークショップ(教授・スタッフ対象で無料)に行ってきました。これがなかなかどうしてかなり目からウロコの内容でして。一番驚いたのは、「Genderは男か女かの二択ではない。Genderにも細かく複数の種類が存在し、それらはスペクトラムとして考えられるべきだ」という考え方です。有名なのがSam Killermann氏が考案した"The Genderbread Person"というこの絵(↓ フリーリソース)。興味のある方は是非リンク先に飛んでじっくり読んでみてください。
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簡単にまとめると、
 - ジェンダーとは、男女「どちらかひとつ」ではなく、多くの場合は一個人の中に男女「どちらも」含まれているものである
 - Gender Identityとは、自分自身の「男性らしさ」「女性らしさ」がどれほどあると認識しているか
 - Gender Expressionは服装や仕草、言葉遣いからどれほど「男性らしさ」「女性らしさ」を表現する傾向にあるか
 - Biological Sexは身体的特徴や声の高低、ホルモンや遺伝子的観点からどれほど「男性らしい」「女性らしい」かを示したもの…で、
 - 性的に惹かれる対象は「男性・男性らしさ」「女性・女性らしさ」なのか
 - 心が惹かれる対象は「男性・男性らしさ」「女性・女性らしさ」なのか
…という風に、なんて言うんでしょうね、各項目に対して自分のプロファイリングができるようになっているんです。これ、自分について考えてみると非常に面白くないですか?例えばBiological Sex...私は身体特徴は100%女性ですけども、身長も高いし肩幅も広いし、顔も中性的とよく言われます(実際に髪を短くしていた大学生まではよく男の子と間違えられていました)。Gender Identifyでいうと特に自分を男らしいとも女らしいとも思わないし、服装や髪形などの自分のプレゼンテーション(Gender Expression)はどちらかというとさっぱり男性よりのことのほうが多いです。目盛で表すとこんな感じですかね。
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皆さんも「自分は男だからどの項目も男性目盛が目いっぱいで、女性目盛はゼロのはずだ!」「私は女だから恋愛対象も性的対象も男性でなければいけないはず」と自分の言い聞かせるように思いこむのではなく、ひとつひとつの項目について改めて見つめ直してみてはいかがでしょうか?いやー今思い返してもあのワークショップは面白かったです。開眼体験っていうんでしょうか。日本でもああいうことをもっと勉強できる機会があるなら是非参加したいです。ちなみに講師の方はどこからどう見ても普通の中年のおじさまだったのですが、元・女性のトランスジェンダーの男性だったというのもびっくりです…。日本にだって、そういう方がまだまだ発言権を得ていないだけで、たくさんいらっしゃると思うです…。

最近、アメリカでも性別の欄に「女性」「男性」のほかに、「トランスジェンダー」や、「どちらもでもない」、「Prefer not to answer (不回答、が一番近い日本語ですかね?)」という選択肢が増えてきました。本来二択でないものに対して二択で迫るからおかしなことになるのです。もう少しin-betweenに対して寛容な社会でも、いいんではないかと思いますね。

1. Winkelmann ZK, Neil ER, Eberman LE. Athletic training students' knowledge of ethical and legal practice with technology and social media. Athl Train Educ J. 2018;13(1):3-11.
2. Shingles RR, Smith Y. Perceptions of sexual harassment in athletic training. Athl Train Educ J. 2008;3(3):102–107.
3. Mansell J, Moffit DM, Russ AC, Thorpe JN. Sexual harassment training and reporting in athletic training students. Athl Train Educ J. 2017;12(1):3–9.
4. Hill C, Kearl H. AAUW Report: crossing the line: sexual harassment at school. http://www.aauw.org/files/2013/02/Crossing-the-Line-Sexual-Harassment-at-School.pdf. Published November 2011. Accessed September 2014.
5. Jacobs CD, Bergen MR, Korn D. Impact of a program to diminish gender insensitivity and sexual harassment at a medical school. Acad Med. 2000;75(5):464–469.

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  by supersy | 2018-05-10 21:00 | Athletic Training

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