おしり談義。
“聞いて、こんなことがあったのよ!Syなら大笑いしてくれると思うんだけど。
あのね、今日うちの陸上の選手、フレッシュマンの女の子が、
練習前にふらっとAthletic Training Roomにやってきて、私にこう言うの。
‘Syいる?おしりマッサージをする人って聞いたから、私もしてもらおうと思って’って”
えぇええええ。
その選手とは面識もありません。なのに私を指名してきたというのです。
か…勝手におしりマッサージ専門家にされてしまいました!
続けてJulie曰く、“ちゃんと言っておいたよ、
1) あなたのAthletic Trainerは私、他のAthletic Trainerには治療を受けにいってはダメ
2) あなたのお尻はただのsoreなんだから、マッサージなどいりません
3) というか、そもそもSyはそんなサービスしてないから!!!”
お、おし…おしりマッサージ…
二人で大爆笑してしまいました。
まぁそもそもの始まりは、私が女子バスケの選手におしりマッサージをするからで。
…というか!おしりマッサージというのはそもそも選手たちが楽しんでそう呼んでいるだけで、
(みんな、Sy, butt massage(おしりマッサージ)してぇー!とやってくる)
正式名称は“Piriformis Release (梨状筋リリース)”。
バスケットボールではHip ROMが他のスポーツにも増して重要だと思うので、うちの選手たちをストレッチするときに、時間があればPiriformis Releaseも混ぜるようにしているのです。
まぁ見た目がね、あまり良くないのは認めます。何をするかというと、おしりのど真ん中、梨状筋目掛けて親指をぐっと深く入れ(←写真では肘ですけれど)、Hipをinternal/external rotationさせてほぐす、っていう、それだけなんですけれど。
アメリカ人はおしりに結構オープンですが、(男の子も女の子も、誰それのおしりがかわいい!
という表現をしたりします。日本語ではちょっと下世話だけど、アメリカでは意外と普通)
それでも一応パーソナルな部位ではあるので、初めての際は必ず事前に確認を取るようにしています。おしりにぐりっといくけどいいかね、と。最初は“おしりにぐりっと!?’とびっくりする選手も、おしりの深いところにこういう筋肉があるんだけど、それをほぐすためなんだよ、と説明すると、やってみてやってみて!と結構乗り気になってくれます。一度やると気に入ってくれる子が非常に多く(股関節が何しろ軽くなるので)、リピーター率は当社比で95%を超えます。いや、100%かも?
まぁともあれ、私の担当のATSで陸上の選手も兼ねている子がいたことから、
それが冒頭の陸上選手の耳に渡り、おしりが痛い→Syにマッサージしてもらおう、という思考になったみたいです。フレッシュマンだったし、怪我は担当ATCに報告しなければいけないという大学のシステムもまだよくわかっていなかったみたい。いやいや、まさかおしりマッサージで有名になるなんて思ってもみなかったからびっくりです。それにしても改めて面白いけど。でも通りすがりの人が聞いたら誤解されかねない文章なので、どうしよう、これからはうちの子たちにもちゃんとPiriformis releaseと呼ばせたほうがいいのかな…呼ばないんだろうなぁーあいつらー。ぬぅ。
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さて。そんなおしり談義はさておきまして。
今日は相方からこんな話を聞きました。
Déjà vu(デジャヴ)という言葉とその意味は皆さんご存知かと思いますが、
これは初めての状況や環境であるにも関わらず、“あ、これ知ってる” “ここ来たことある”
と感じる経験のことを言います。日本語では既視感(きしかん)と言うみたいです。
では皆さん、その逆はご存知ですか?
Jamaisu vu(ジャメヴ)と呼ばれるこの現象、日本語では未視感(みしかん)という名前がついていますが、こちらは見慣れたはずのものを“知らない”と錯覚すること、なんだそうです。
見慣れたものを知らないって、どういうことなんでしょ?
デジャヴは私自身も体験したことが何度もあるけれど、ジャメヴは知らないやー、とこの定義だけ聞いて思いました。しかーし、具体例を聞いたらああそういうことか、と非常に納得。というか、そういうこと、めちゃくちゃ経験したことある!解説してもらうと、例えばどうやらこういうことみたいなんです。
小学校の頃、漢字ドリルの書き取りをやっていて、同じ漢字を何度も何度も書いていると、ふと、ずっと書いているはずの漢字なのに“これ、何?見たことない” “こんな漢字本当に在るんだっけ?”という感覚に陥ったことありませんか?これ、まさにJamaisu vuの症状なんだそうです。子供のころ、ずっと不思議だったけどそんなのは自分だけなのかと思って、誰にも言ったことがなかった…ちゃんと名前のついた現象だったんですね!
Form: 水、という漢字は一定の形を持ち、“みず”という発音があります。
Meaning: 水という文字は“酸素と水素の化合物”という定義を持ち、
無職無味無臭で、常温では液状である、というのは誰もが知るコンセプトです。
Function: 文章内で水という単語を用いたとき、それは全体が“意味の通る文章”になるのに
一役買っています。“私は水が飲みたい”と言うのは誰もに通じる文章ですが、
“私はカラスが飲みたい”では意味の通る文章ではありません。
水という単語が前者の文章の中で的確な役目を果たしているからこそ、
ひとつの意味を成す文章として成立しているのです。
文字というものはこの3つが揃ってこそ意味を成すのであって、
どれかが欠けてしまえば文字としての機能を失ってしまうことになります。
それじゃあ書き取りという行為はこの3つの関係にどういう影響を及ぼすのでしょうか?
書き取り、というのは知ってのごとく、ひたすらその文字を紙に書いていく、という作業です。
この3つのaspectの中で考えると、強調されているのはFormのみ。意味や機能のへったくれもありません。ひたすら書いて、書いて、書いて、Formを覚える、という作業。それを繰り返していると、その文字の形だけが強烈に人の記憶に残り、逆に意味や機能を失ってしまって、改めて文字だけ見たときに、そのものがもはやその人にとって何も意味を成さないただの“カタチ”になってしまい、
“…これ何?”となってしまうというからくりだったわけです。
うおぉ、なるほどー!考えたこともなかったけど、それは非常にmake sense!!
何の授業でこんなこと習ったの?と聞いたら、
Seizure(癲癇)の症状のひとつに挙げられていて、見たことなかったから調べてみた、と。
それでここまで掘り下げる相方もなかなかマニアックで素敵です。それでこそうちの相方!
最近AT関係の深い内容も更新できていないので、おしりの話だけじゃなくて(苦笑)、
最近習った新しいコンセプトなどについてもまた時間があるときに書けたらと思います。
でもとりあえずは、週明けにあるテストの問題製作に相当な時間を費やさないと…。
テスト問題って、明確にシンプルに混乱を起こさないよう書くのって難しいよー!
by supersy | 2010-09-28 21:00 | Athletic Training