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NPIって、知っていますか。

今回の更新はATC有資格者の皆さんに向けてです。でも現役Athletic Training Studentさんにも聞いてほしいし、全然関係ない分野のヒトにも知ってほしいな。えーと、つまるところ、皆、読んでくれたら有難いです(苦笑)。
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NPIって、知っていますか?

NPINational Provider Identifierの略で、アメリカ国内で資格を保有しているHealth Care Professionalひとりひとりに課せられる、10桁の登録番号です。Centers for Medicare & Medicaid Servicesという機関が管理しています。
ここで下の記述をよく読んで頂きたいのですが、

All individual HIPAA covered healthcare providers (physicians, physician assistants, nurse practitioners, dentists, chiropractors, physical therapists, athletic trainers etc.) or organizations (hospitals, home health care agencies, nursing homes, residential treatment centers, group practices, laboratories, pharmacies, medical equipment companies, etc.) must obtain an NPI for use in all HIPAA standard transactions, even if a billing agency prepares the transaction. Once assigned, a provider's NPI is permanent and remains with the provider regardless of job or location changes.

つまるところ、NPIというのは"administrative and financial transactions specified by HIPAA"のプロセスで使われる番号なのです。Billingとか、そういうことです。これは、例えばATCやLATの資格を修得したときに自動的にassignされるものではなく、資格を修得した後に、特定のウェブサイトに行って自分でアプライする必要があります。お金はかかりませんし、フォームを埋めるだけ。時間にして10-15分くらいのプロセスでしょうか。
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さて、ATC有資格者の皆さん。
皆さんは、プロのHealth Care Providerです。
NPIを持っていますか?

持っていないと答えた方、何故持っていないのですか?

そんなものがあるのを初めて聞いた? 本当ですか?去年の11月に、NATAは組織としてのofficial statementを出しています(要ログイン)。全てのAthletic trainerは、NPIを取得するべきである、と。NATA Range of Motion (Email Newsletter)で受け取りませんでしたか?

高校や大学に勤務していて、自分のprovideしているサービスに課金をすることがないから、そんな番号は必要ないじゃないかって?
確かにあなたの働くsettingでは無くても困らないかも知れません。でもクリニックで働くATは年々増加傾向にあります。あなただって、今はそう考えていなくても、将来クリニックで働くようなこともあるかも知れない。クリニックで働くAT達が中でも最も苦しんでいることの一つは、PTたちのように医療サービスにchargeできないということにあります。例えば、PTたちが、ice bagひとつで$15!なんてThird party reimbursementに代金を請求できるのに対し、私達ATのやる全てのことは無料サービスです。ATを他のmedical professionと同等の立場に引っ張り上げていくためにも、彼らが当たり前にこなしていることを私達もやらなければいけません。もし「将来私達ATも提供する医療サービスをbillできるようにするべきだ」とあなたが少しでも信じているなら、できることから始めなければいけません。それは、例えば、「全てのhealth care professionalが持っているべき登録番号を取得する」とかです。

これは前回の記事ともつながるのですが、なんでATはこうなんだああなんだ、あれもできないんだこれもできないんだと文句を言う前に、私達にはやるべき最低限のことをやる義務があります。前述したのは、例えば欲しい物を欲しいと主張するとか、交渉するとか、なんですけども。
このBillingに関するissueや、他の医療従事職に比べての制限や不便さに関しても同じです。「全てのhealth care professionalが持っているべき登録番号を、自分も取得する」私達もこういう「ちょっとしたこと」を、当たり前にやるようになりませんか?

もし今回、「NPIというのは聞いたことがなかった!是非私も取得してみよう」と思ってくれた方がいましたら、是非是非やってみてください。
私も当然ながらNPI持っています。デメリットはひとつもありません。一人でも多くのATC有資格者がこれを取得すれば、Medicare/Medicare Service側に「こんなにATってのは数がいるのか、立派な職業じゃないか!」と認識してもらうことにつながるかも…。これは大きな第一歩になります。ちなみに学生さん(ATS)でもNPIは取得できるんですよ。この機会に、是非!NPIにアプライするにはこちらから。
*When filling out your application use: Provider Code 22 (Respiratory, Rehabilitative & Restorative Service Providers) and Taxonomy Code 2255A2300X (Athletic Trainer)

もし、「まだNPIってものが良く分からない、もうちょっとよく知りたい」と思っていらっしゃる方がいましたら、SEATAのこのページや、NATAのFAQなんかがextra infoにオススメです。
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最後にもうひとつ付け足せるなら…。
生意気を承知でですが、ちゃんとNATAや自分のregionからの連絡は目を通すようにしましょう!
私たちの母体である組織が何かアナウンスメントをしているなら、それは私達が一日のほんの1-2分の時間を取って読む価値は十分にあるものだと思いませんか。NATA newsやNATA Range of Motionのemailレター等を通じて、「professional communication」を保つことも我々プロの責任かなと思ってます。若いころは私もめんどくさいぜ!と思っちゃっていたほうだけれど、教育界に足をつっこんでみて、「NATAがいま何を考え、何を成そうとしているのか」というトレンドに敏感であること、そして母体組織が何かを伝えようとしているそのチャンスを逃さないことの大切さをひしひしと学んでいます。願わくば、これを読んでくれている多くの皆さんが、「NPIの話を今更してんの?古いぜ!とっくにやったぜ!」と思ってくれていますように。

  # by supersy | 2012-05-10 18:00 | Athletic Training

「AT離れ」が進む現状と向き合う。

どうも、皆さんの忘れた頃に登場する、さゆりです。元気です。
しばらく更新していなかったのに、アクセス数が伸びているのでちょっと驚きです。
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まず、現在は学期末真っ只中です。今日が期末試験最終日というカキイレドキ。
…しかし、私の教えている授業の期末試験は初日に終了したため、
実は私はもう成績も提出し終えて余裕をぶっこいております。
このへんの要領は2年目にしてだいぶ良くなりました。むふふん。
ただ、私が去年まで教えていた授業のサポートをしなきゃいけないので、実技試験の監督官等、まだ細々した仕事が残っています。春学期正式終了まで、あとほんの少し。

さて、更新していなかった間にも色々ありました。

最近の出来事で面白かったのは、SWATA Young Professionals' Committeeの代表者、
Tiffany McGuffin氏が我らTAMUCCを訪問して下さり、学生を対象に、「卒業後、プロとしてどうやっていくか」 「NATA、SWATAがYoung Professional達をどうお手伝いできるのか」というトピック等について色々お話をしてくれたことでした。内容はかなりざっくばらんで刺激的でした。

まずは、Young Professionals' Committee(YPC)というものの説明から。
YPCは32歳以下の若いメンバーで構成されたグループで、
Young professionalsのニーズとは何なのか、どうすればそのニーズを満たすことができるか、プロ意識とは何なのか、そして、若いものたち同士のprofessional socializationの場を深めていこう、若い世代に加速しつつある、AT離れを食い止めよう、など、様々な目標を掲げています。
(NATAのYPCのページはこちら)

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トピックの中でも特に興味を引いたのが、AT離れという現状でした。

誇張でも何でもなく、Athletic training student(以下AT学生)というのは
とんでもない日々を送っています。
フルタイムと見做される毎学期12単位以上の授業をこなしつつ、私が学生の頃は、インシーズンのスポーツに就くことになれば、週40-50時間の実習をこなすことは暗黙の了解でした。練習やトリートメントがあればそこに自分がいることは義務だと思っていたし、授業も練習時間に重ならないように組むことが最低条件。授業があるからと実習を抜けていれば白い目で見られていたもんです。
現在はそれとはだいぶ変わり、「学生はあくまで学生、学業の負担にならないように」というCAATEの現在の方針もあり、学業は絶対優先。「実習は週最大25時間まで」という厳しい規則がうちのプログラムでも設けれられるようになりました。これは近い将来にも、更に学生を守る方向へ変化していくかも知れません。
それにしても、平均して月⇔金まで毎日5時間もの実習をこなし、通常の勉強に加えて「知識」のみならず「技術」の習得を目指して、授業外・実習外でも多大な時間を費やすためには、私生活の色々なものを犠牲にしなければなりません。AT学生時代に友人からの遊びのお誘いを「今夜は試合があるから」「明日は朝練で朝早いから」「明日は実技試験があるから」と断った経験も、現ATCの皆さん、身に覚えあるでしょう?

…で、それだけの労力や努力を費やして、ATCになって1-3年くらいで、
すぐにこのprofessionを離れてしまうヒトが多いのです。
私の知り合いでも、ATをPT/PAへの踏み台として使っていたヒトたちもいたし、
医療から離れてPersonal trainerやコーチになってみたり、
Brace会社のセールスに就職したー、なんて同級生もいましたっけ。
彼なんかUFでバリバリGAやってただけに、正直聞いたときは「勿体無い!」と思いましたよ。
私の周りでも、同年代で「ATの勉強したけど結局今はやってない」なんてヒトは多いのです。
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で。これでいいのかAT!!!というわけです。
この仕事を2-3年やってきているならば、誰もが自らに問うたことのある質問なのではないでしょうか。これでいいのか、このままでいいのか。他の可能性、選択肢を考えた経験が誰しもあるのではと思います。私自身も例外ではありません。夢としてこの職業をずっと追ってきて、ようやくプロとして働き始めるようになった。理想と違う!というわけじゃない。厳しい職業であること、覚悟はしていた。でも、本当にこれでいいのかな?と考えてしまうんですよね。

このままでいいのか、と考える理由はmulti-dimentionalというか、
様々な次元の要素を含みます、特に日本人は。
(これはTiffanyが話してくれた内容からはずれますが…個人的なものも含めて)
  -給料
  -労働時間

    この2つは本当に職場にも職種(高校vs大学vsプロvsクリニック)にもよりますが。
    プロはシーズン中の労働は過酷な分、オフシーズンの4ヶ月ほどは休めたり、
    高校でも夏の間は2-3ヶ月はオフだったり。クリニックは逆に12ヶ月契約でまとまった
    休みは取れませんが、普段の勤務は8am-5pmだったりでリーズナブル。
    苦労自慢をするわけじゃありませんが、大学の仕事が一番時間&金銭的には
    不条理なんじゃないかとちょっと思います。毎日7am-7pmで働いて、
    週末も休みもありませんし、お給料は安い。時給換算すると悲しい悲しいことに。
  -この職業への周囲からの正しい認識・尊敬・感謝の欠如
    昔、高校勤務時代に、私の医療判断が気に入らなかったらしく、
    「私は看護師をもう20年もやっているのよ!」と保護者から怒鳴られたことが
    あったっけ。別に看護師さんをバカにしているわけでもなんでもなく、
    それぞれの医療従事者には専門性があって、
    看護師には看護師の、私達ATにはATの「分野」がある。
    それをリスペクトせず、ぐいぐい踏み込んでくるのは失礼極まりない行為。
    …まぁ、私が20そこらだったからおかーさまも不安だったのかも知れませんが、
    スポーツ医学に関してはちゃんとプロとして資格持って働いている身なので
    ぎゃんぎゃんと怒鳴られて、私も相当悔しい思いをしました。
    それにしたって、同じことをMDには言わないと思うんですよね。
    やっぱり医学界でATが下に見られている証拠。
  -家族、友人、大切な人から物理的に離れていること
  -Inflexibility

    お正月だろうがThanksgivingだろうが、仕事があれば仕事に行く。
    大事な一家集まってのイベントなど、休みたい時に休めないのはもちろん、
    風邪を引いたって休めない、というのはよくある話。私自身、食中毒でゴミ箱に
    かぶりつきながら練習をカバーしたこともあるし、うちの現在の同僚は今年、
    遠征中にACL/半月版を損傷したのですが、手術後3日から仕事復帰を余儀なく
    されていました。十分な治療やリハビリはできないままです。
    医者の不養生とはよく言いますが、実際の私たちの生活ってこんなもんです。
  -Quality of Life
    学生自体はそれでもなんとか趣味を楽しむ時間を確保していましたが、
    最近は家に帰っても仕事、たまの休みは外に行く気力もない、
    という軽いひきこもり状態に。人生の質…良くない…よなぁ。
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こういった問題をあれこれ話した後に、Tiffany氏は「Negotiate!!!」と一喝。
欲しいものはちゃんと欲しがらなきゃだめ!It's ok to ASK!!
ちゃんとプロとして、交渉できるようになりなさい、と明言したのにはちょっと目から鱗でした。

Leave(sick, vacation)やPerk(clothing, allowance, etc)、昇給について、
オファーをacceptする前にきちんと質問する。明確な説明を求め、私はこれだけ要求したい、
とはっきり伝える。交渉なので、お互い妥協点を見つけなければいけなくはなるけれど、
理不尽さは残らないようにする。不利な条件は飲まない。

「例えば、年給が$13,000なんて仕事を取るのは本当にバカよね」と、Tiffany氏。
「バカなんてもんじゃないわ。相手がこの仕事にそれだけの価値しか見出してないなら、
 私の仕事はそんなに安くないと言ってやるべきなのよ。他をあたって下さいってね。
 …本当にバカだと思うでしょ?これ実は、私が大学卒業後一番最初に取った仕事の給料。
 こんなことをしては本当にだめよ。ATの価値そのものを下げることになる。
 この職業そのものに対する侮辱をしてしまったと、今では反省しているわ」

「頭の固いお偉いさんなら、言うかもしれないわね『そういうもんなんだ』って。
 子供の運動会のために仕事休めないのも、友人の結婚式に行けないもの、
 『そういうもんなんだ、あきらめろ』ってね。でも、そういうもんじゃないのよ!
 時代は変わってる。この職業も成長している。こういうところから変わらないといけないのよ。
 Young Professional達が、自分の身を守るために立ち上がらないといけないの。
 人間らしく、自分らしく生きられないなんておかしいわ。他の職業にはできているのに!」

なるほど。仕方ない、と受け入れるのではなく、上手に要求・交渉できるようになる。
「Noと言えるようになる」というのと同様、
確かに、このProfession全体として学んで行かなければいけないスキルかも。

「例えば私は、お給料自体はちょっと少なめでも、ちゃんと他のbenefitを提示してくれる仕事のほうが有難いと感じるわ。健康保険や扶養保険とか、CEU費用の負担をしてくれるか、とかね。NATAのMembership feeも」
「面接時に、こういうことをちゃんと聞いておくのよ。『やった前例がないから』とか逃げるように言われたら、では可能かどうか検討していただけますか?と尋ねる。ダメならダメで仕方ないけど、CEUなんか資格保持のために必要なことなんだから、頼むこと自体はフェアじゃない?」
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指咥えて待っていても欲しいものは降ってこないし、
欲しいものは欲しいと言わなきゃいけない。交渉しなきゃいけないというのは、
なんだか自分の中で妙な「気づき」でしたねぇ。
就労ビザを持って働いているイチ日本人としては、
ビザのスポンサーになってもらうだけでもありがたい、出された条件は飲まなきゃいけないし、
与えられた仕事にnoと言ったら、自分がアメリカに残れている理由(=仕事)を
自ら否定しているような気になるので、あまり強気に出たことはありませんでした。
一生懸命仕事してれば、それをきっと周りが見てくれる。評価してくれる、
そしてふさわしい条件を提示してくれるはずだと。
それはそれで間違いではないと今でも思うけど、同時に欲しい物を欲しいとも言わなければ、
えぇっ、これ欲しかったの?言ってくれればよかったのに!なんてミスコミュニケーション
につながることもあるかもしれないしね。聞くことは悪いことじゃない。
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ぐいぐいタイプのTiffany氏。私とは正反対なんだけど、だからこそ学ぶことが沢山ありました。
彼女の言った言葉で一番心に残ったのは、
"Be an advocate of your own profession."
この言葉は実に深くてですね。私は「自分の職業で気に入らないことがあるなら、自分で行動を起こして変えていかないと!自分が心から愛せる職業に変えていくことも、この職業に就いた義務の一つ!」という風に今回は取りました。これを一人ひとりがしていけば、AT離れはかなり減るんじゃないかと思います。費やした努力、時間やエネルギーを全てムダにして、もうATはこりごりー、とATを辞めてしまうより、よっぽど建設的な解決法だと思う。私自身、色々と悩んでいる最中なので、まずは自分の行動から変えて行こうと思っています。現在活躍中の若いATC諸君、皆も私のようにちょっとでも目から鱗してくれれば幸いです!

  # by supersy | 2012-05-09 20:00 | Athletic Training

風邪を引いたら…

派手に風邪を引いております。
こんなにがっつりとした風邪は久しぶりー。現在春休み中でよかった。
これは仕事にも絶対行けてないレベルですもの。


さて、風邪を引いたら、皆さんどうします?
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風邪薬を飲む?
寝て汗をかく?
ビタミンCを取る?

他人に移したら治る、を信じて
人ごみに繰り出す?


ちなみに上記のことは全くの迷信で、科学的根拠はほぼないとされています。
…というか、むしろ人ごみを無理に歩いたりしたら悪化するかもですよね。
風邪薬も、症状を抑えて誤魔化しながらなんとか仕事を乗り切る、みたいなときには
いいですけれど、あんまり完全回復には貢献してないと思うんですよね。
まぁ、これは私が基本的にアンチドラッグだからかも知れないですが。
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日本には他にも面白い迷信があって、例えば梅干をコメカミに貼り付ける、とか、
ネギを首に巻く、とか…。(ネギは幼い頃にやらされて、ネギくさくて泣きそうになったことありました)
たまご酒やしょうが湯を飲む、はちみつレモンを飲むというのは何となく、
本当に喉によさそうですが。

…で。本題です。
こういう仕事をしていると選手が風邪を引くことも多くて、
「今夜あたりは胃に優しいものを食べなさいね」なんてアドバイスをすることも多いです。
(ちなみに英語だと「Eat something easy on your stomach」なります。近い表現ですね)

日本だと、風邪を引いたときの食事と言えば…やっぱりお粥ですよね!
他にも、柔らかめに似たおうどんとか。子供の頃は、キンキンに冷えたものでなく、
室温のアクエリアス等のスポーツドリンクも水分補給によく飲んでいました。
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だから私は昔はこういうものを思い浮かべながら「胃に優しいものをね」と言っていたのですが、
アメリカ人の思う「胃に優しい食べ物」というのは随分違うみたい。
お粥は無いし、オートミールとかそういうものを食べるのかなぁ?とアメリカに来た当初は思っていたのですが…アメリカにはアメリカなりの、「風邪を引いたときの食べ物」というのがあるんです。
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①チキンヌードルスープ
  これは日本でのお粥並みに、「ザ・風邪っぴきフード」として有名です(↑写真中央)。
  ぶつ切りのパスタに、チキン、ニンジン、セロリ等の野菜が入った、あったかスープ。
  栄養もあり消化にも良いし、あったまるので、私はこれも大好きです。
②炭酸
  スプライトや、7-UP、ジンジャエールなどの透明色の炭酸もアメリカ人はよく飲みます。
  Upset stomach(腹痛・下痢)のときは、Clear sodaを飲めばいい、というのは、
  アメリカでは常識のようです。そうとは知らずに、昔選手が「お腹痛い、スプライトある?」
  と聞いてきた時に、あほかー、と返してしまったことがありました。びっくりされた。
  私は元々炭酸は苦手だし、弱ってる時に刺激物は避けたいので、試したことはありません…。
③クラッカー、トースト、プレッツェル
  お医者さんが、選手に「クラッカー、トーストとか…」と勧めているのを聞いて
  これもびっくりしました。なんかこう、口の中の水分を全部持っていかれてしまいそうな、
  ぱさぱさした乾き物も食べるんですよね、アメリカ人…。
  弱ってるときにもがつがつ噛めるんですね!顎が強い!(じゃないか)

他にも、オレンジジュース飲んだり、シャーベットを食べる習慣もあったり、
中には「俺はピザ食うかな、あとコーラ」というツワモノな友人までいましたけどね…。
結局、アメリカ人のほうが頑丈にできてるってことなのかな、としみじみ思います。

これから徐々に夏になって気温が上がってくるけれど、夏場のアメリカ人の冷房のガンガンっぷりったらないし。日本人が上着着てがくがく震えている教室で、アメリカ人はタンクトップで涼しい顔してますもの。身体の造りが違うんだなぁと思わされる瞬間です。

そんなわけで、私もそろそろ何か食べたほうがよさそうなので、
お粥でも作ってきます。卵でとじて、ネギもたっぷり入れよう。
やっぱり私は日本人。

  # by supersy | 2012-03-13 20:30 | Athletic Training

Vertigo(眩暈)について考察する。

サッカー女子日本代表の澤穂希選手がポルトガルにて開催されたアルガルベカップ中に体調不良を訴え、アメリカ戦・ドイツ戦と欠場。風邪かと思われたものの、帰国して良性発作性頭位眩暈(めまい)症と診断された、というニュースが先日発表されました。

この良性発作性頭位眩暈症、というやつ。
日本語ではピンと来なかったので調べてみると、Benign paroxysmal positional vertigo(BPPV)のことなんですね。相方が数年前これで苦労したので私は幸運にもちょっと知る機会があったのですが、Athletic Trainer(AT)には一般的にちょっと不慣れな分野かと。眩暈を訴えてくる選手って珍しくないし、その場合、私たちは脱水や風邪、脳震盪や脊髄障害から中耳炎、三半規管等の耳に関係するCondition、ひいては欝やパニック障害などの精神障害まで色々な可能性を考えなければならず、診断が難しかったり時間がかかってしまうことはよくあります。この際、BPPVの可能性をrule in/outするちょっとしたテクニックがあれば、耳のスペシャリストにreferする必要性の有無がささっと決断できて、便利じゃないかなーと思うので、ちょっとこれを気にまとめてみようと思います。興味ある方はお付き合いくださいませ。

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眩暈を経験したことがない方はいないんじゃないでしょうか。
私自身初めて経験したときは、地球がひっくり返ったんだと思って(まるで重力が横から来たかのように引っ張られ、どーんと倒れたので)びっくりしたのを覚えています。今でも立ちくらみは比較的頻繁に来るのですが、買い物中に下の段にある商品を取るためにかがんだり座り込んだりして、立ち上がった瞬間にくらりと来る、なんてしょっちゅうです。視界が歪んだり、周りが真っ白・真っ黒に見えたりしますよね。
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これはほんの一過性のもので、身体のポジションを変えた際に本来ならば血圧もそれに合わせて変化し適応すべきはずなのですが、私の身体はちょっとその順応が遅いようで、血圧が十分に上がりきらず、脳が一瞬酸欠状態になっているようです。ゆっくり立ち上がれば平気です。気をつけています。

さて、一言にVertigoと言っても様々な種類があり、メニエール病等の深刻な病気に関わるものから、アルコール摂取によるものや、前述の立ちくらみ等の一過性のものまで、色々です。
長々と書いてもキリがないので、今回はBPPVについてのみ焦点を当てたいと思います。

Benign paroxysmal positional vertigo (BPPV)の典型的な症状としては、
  ●頭部を急に動かすと、回転性の眩暈がする。吐き気を伴うことがある。
  ●横になったり、しばらく動かなければ眩暈は消える。
というのがあります。
相方がこれになったときも、「横になって寝ている分には全く元気だけれど、起き上がろうとした瞬間に眩暈がして、立ち上がれない。結果、何もできない。トイレに行くのも一苦労。」…だったそうです。回転性の眩暈(ex. 部屋がぐるぐる回るように錯覚する)、というのもかなり特徴的なので、他と区別できる点かな?

こういった症状は、前触れ無くある日突然始まるケースがほとんどです。
それでは、一体何が原因なのでしょうか?
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注目すべきは、Inner ear(内耳)の構造です。
Cochlea(蝸牛)というのはカタツムリ状の聴覚を司る組織で、鼓膜と3つの耳骨から受け取った音圧を電気のインパルスに変え、Cochlea nerve(蝸牛神経)に伝達します。
一向、カタツムリ以外の部分(↓下図の色がついている部分)は平衡感覚を司ります。
Utricle(卵形嚢)とSaccule(球形嚢)には炭酸カルシウムでできたOtoconia/Otolith(耳石)という骨のような小さな塊があり、Semicircular canals(半規管)という管の中はリンパ液で満たされています。(ちなみに半規管が3つあるので三半規管です。脊椎動物はほとんど全て半規管が3つあるのですが、無顎類のウナギの中には2つもしくは1つしかないものもおり、これらには「三半規管」という名前は必然的に使えないことになります)
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(ちなみにこれも完全におまけですが、魚の耳石は木の年輪のように一年一年大きくなってゆくため、これを数えることで魚の年齢が分かると言われています。この写真右のニシンの稚魚(↓)は、透明なため耳石が眼の左に浮き出て見えます。)
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この耳石は、本来ゼラチン状のOtolithic Membraneという膜にくっついているのですが
そのうちUtricleにあるものが稀に剥がれ落ち、ころころと転がって半規管内に入り込み、
管の液体内でふわふわと浮遊し始めてしまうことがあります。
それが液体の異常な揺れを引き起こすことで、脳がイレギュラーなシグナルに混乱を起こしてしまい、情報を正しく解釈できずに直立していてもぐるぐる回転しているような錯覚を起こしてしまうのが、BPPV(良性発作性頭位眩暈)なのです。

診断にはDix-Hallpike Testというテストが有効で、
YouTubeでの動画ですとこちらなんかが非常に分かりやすくまとまっています。
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1. 患者をテーブルに長座させる。この際、患者がこの状態から仰向けに寝たときに
  首から上がテーブルから出るような位置に患者を座らせておくこと。
2. 患者の首を45度回転させ、まっすぐに患者の目を見る。
  この際、患者の眼球が安定していることを確認する。(↑写真左)
3. 患者の首を回転させたまま、素早く患者を仰向けに寝かせる。(写真中央)
4. 患者が完全に仰向けになったら、回転を保ったまま首を20度進展させる。(写真右)
  患者の眼球の動きを観察し、Nystagmus(眼球振)の有無を確認する。

陽性の場合、仰向けの体制(4)でNystagmusという眼球振が確認できます。
脳が混乱して、バランスを失いそうだと勘違いして、
姿勢を修正する努力の過程で、眼球を左右または上下に震えるように小刻みに揺らすのです。
この時、Peripheral Nystagmusの場合、目が振動をし始めるまで
数秒(5-10秒)かかる場合があるので最低でも10秒はこの状態を保つことが大事です。
一度発生すると、患者は眩暈と吐き気を再発し、
眼球振の消滅と共に数秒から一分くらいで通常に戻ります。

指でやっとつまめるくらいの小さな石が原因で、
立ってもいられなくなるというのだから、人間の身体の構想というのは実に興味深いものです。

さて、それでは治療は?
一般的には、Epley's maneuverという治療が最も有効だと言われています。
問題は、石が剥がれて変な場所にいってしまってる、ということなんですから、
石をまた逆に移動させて、直してやればいいだけのこと!
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どの半規管に耳石がstuckしているかにもよって回転の方向は違ってくるのですが、
簡単に言うと、一定の順番とタイミングでころころ転がって、
重力を利用して石を移動させ、Utricleに戻してやるようにするのです。
例えば、後方半規管に耳石がある場合、図のようにDix-Hallpike positionから、
患側の耳を下にして寝て30秒静止。そのあと、90度首を回転させ、
健側の耳を下に向け、また30秒静止。
そのあと、今向いている方向に寝返りを打つように方を回し、また30秒静止。
そして首の回転を保ちながら、また長座の姿勢に起き上がります。
これを、2回繰り返し、合計3回やるだけ。上図のように、耳石がUtricleに転がり戻り、
正常の変更感覚がrestoreされます。分かりにくい方用に、もうひとつの図解(↓)を。
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それぞれのポジションで30秒静止して、石が移動する時間を十分に与えてやると同時に、眩暈が回復してから次のポジションに進むこと。そしてもちろん、このテクニックを最大限に利用するためには、「どこに耳石があるのか」を正しく把握することにあります。専門医に診てもらい、場所を正しくidentifyしてから治療を開始しましょう。どこにあるか分からず適当にやってしまうと、症状が回復しないどころか悪化させてしまう可能性もあります。

Antihistamines、Anticholinergics、Sedative-hypnoticsといった薬を処方することもあるそうですが、あまり利かないのだとか。ひどい場合には手術もあるようですが、
多くのケースはこういったRepositioning Maneuverで回復するようです。
相方も専門医に診断をもらうまでの数日はひどい眩暈で大変だったそうですが、これをやってもらって一発で良くなったのだとか。治療のあと、数日は安静にしたほうがよさそうですが、コレに関して文献等ではまだconsensusに達しているわけではないようです。どういったアクティビティーをどれだけの期間避けたほうがよいのかはまだ不明ですが、行動に制限をかけなかった場合の患者は再発を経験する可能性が高く、同じトリートメントセッションをもう1-2回受ける必要が出てきたりと、不具合があるそうです。

結局長々と書いてしまいました。
風邪っぴきの頭でうんうん唸って書いていたら、熱が出てきてしまったので(苦笑)、今日はこれくらいにして休むことにします。とりあえず自分で理論と治療が分かったから自己満足!

  # by supersy | 2012-03-12 22:00 | Athletic Training

目まぐるしい日々。

えーと。何から書いてよいやら。

まず、女子バスケットボールのシーズンが終わりました。
土曜日の試合に勝てばプレイオフ進出の可能性が、という試合だったのですが、
相手はカンファレンスチャンピオン。一時はリードを保ちつつ優位に展開していたものの、
底力の差で徐々に追いつかれ、引き離され、残念ながら負けてしまいました。
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ちなみに、対戦相手はCentral Arkansasという大学で、かの有名なマイケルジョーダンと
共にブルズ黄金期を築いたScottie Pippenの出身校なんだそう。
彼の写真がアリーナのそこらじゅうに飾られていました。

シーズン終了をかみ締めながら、それでもたった12人という小さなチームで始めて、
一人も欠けることなく12人で終わることができてよかった、と思いながら、
アーカンソー州から飛行機でほぼ一日かけて帰ってきたのが昨日。

で、今日になって、コーチ陣の一斉解雇が発表されました。
去年の成績より今年はあがったものの、プレイオフを2年連続で逃すとなると、
やはり周囲の目は厳しいものです。
つい昨日まで一緒に働いていたコーチ達がここを去ることになってしまいました。
予想してなかったとは言わない。しかし、なんて展開が早いんだ。
すごく仲の良かった、良くしてくれたコーチもいたので…なんと声をかけて良いのか悩んでいます。
目まぐるしい日々。_b0112009_10581635.jpg
一方で良いニュースもありました。
今日、私のメールボックスにProvost(学長)とVice Provost(副学長)が連名差出人の郵便物が来ており、「何かしたっけ?!」と一瞬冷や汗をかいたものの、恐る恐る開けてみると、
「I wish to extend congratulations on your receiving the A&M System Student Recognition Award of $2,500 for Teaching Excellence for Fall 2011.」と書いてありました。Teaching Excellenceというのはつまるところ優秀な教師に送られる賞で、私の授業を履修した学生が授業を高く評価してくれたことで、私がこの賞を頂ける経緯に至ったようです。に、$2,500の臨終収入!
うちの大学内で選抜されるのかと思ったら、実はもっと規模が大きくて、
A&M Systemという、テキサスA&M系列の全11大学(College station, Commerce、Kingsville, San Antonio etc)の中から選ばれた教師のみが受けられる賞なんだそう。
新米教師なのにこんなに良い思いをしていいんだろうか…恐縮です。
でも、授業は教師だけでなく、履修している学生とのキャッチボールで一緒に創るものだから、本当に楽しんで授業を受けてくれた生徒たちに感謝です。これからも気を引き締めて、精進します!

そんなわけで、良い事も悪いことも目まぐるしく降りかかって来ますが、
一日一日をしっかり頑張り、学生や選手と真摯に向き合うことを忘れずに進みたいと思います。
これから数週間は練習も無いので、リハビリや治療に専念できるし、
AT学生たちにもこういう機会だからしっかり時間を取って教えられること、というのもあるしね。
そろそろ終わりを意識し始めているので、悔いのない仕事をしようと思います。
少しでも多く、ここの学生や選手たちが私から何かを吸収してくれて、
それがのちの彼らの人生をすこしでも有意義なものに変えられますように。

  # by supersy | 2012-03-05 20:30 | Athletic Training

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