「椎間板ヘルニアには腰椎伸展位が良い」を問い直す。

良い姿勢、ってなんでしょうね?

姿勢は動的に評価してこそ意味があるのではないか、という議論はひとまず置いておいて、今日は静的な面に限った姿勢の話を少ししたいと思います。さて、良い姿勢ってどんなものだろう?と、「Good Posture (良い姿勢)」という言葉で画像検索すると、実に様々な写真が引っ掛かります。
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例えば、とあるウェブサイトで「良い姿勢」の見本としてこんな写真(↑)が使われています。これは私個人に限った経験かもしれませんが、「姿勢が悪いよ、背筋伸ばしなっ」と注意されてこんな風に背筋を「反らす」ヒトって少なくないんじゃないか(↓、こちらも「良い姿勢」で検索)と思うのです。しかし、
私はこれらの姿勢を「良い」とは全く思えないのです。
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腰椎の形状、アラインメントやそのカーブが腰痛や機能不全に与える影響1-5は大きく、中でも椎間板は(様々な定説こそあれ)腰痛の原因となっている可能性は根強く残っています。6 そしてその椎間板にかかる負荷やストレスは、無理矢理外部からの力によって腰椎をへし曲げられているんでもない限りは、他でもない胴回りの筋活動に大きく左右されているのです。7
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ではどういった筋活動、どういった姿勢が椎間板にかかるストレスを増やす・減らすのか?…ということを検証した論文7をひとつ読んだ(↓)のでまとめておきます。
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この論文では腰痛の既往歴の無い18人の健康な被験者(男13人、女5人、平均28.0±6.94歳)を対象に、2種類の姿勢を取らせてそれぞれの脊柱をレントゲン写真に撮り、パソコンに取り込んで特殊なソフトウェアを使って椎間板にかかる力を生体力学的に分析をしています(なるほど、椎間板にかかるストレスってどう可視化、モデル化してるんだろうと思ったらこういうのが一般的なんですね8-10)。

検証対象となる姿勢というのはA: 骨盤を動かさず、しかし胸を前に突き出す姿勢 (Anterior translation of thorax、T1がT12の真上に来るイメージ↓写真A)と、 B: 力を抜いて自然に立ってもらう(↓写真B)の2種類で、実際の脊柱のカーブはこれによってこういう風に変化したそうです(↓写真右)。当たり前ですが、Anterior Postureのほうが脊柱・身体そのものが前方にシフトしており、Center of Mass(COM)もつま先へ前方移動していることは容易に想像できますね。7 前方に移動した体重を何とか後方に引き返そうと脊柱起立筋群が過活動を起こし、腰椎の一部(特にL4-5)を、腰を反るように極端に伸展させているのも見て取れます。さらに特筆すべきは、胸椎もそれに付随するように伸展し、それによって胸椎の前弯が失われて、いわゆる「フラットバック」という状態が生まれていることです(写真右: T4-L3までがほとんど平らです)。その一方で自然に立ってもらったほうの姿勢Bは腰椎は本来のLordotic(前弯)カーブがL1からL5にかけて満遍なく保たれながらも局所的で過度な進展は見られず、胸椎(T1-12)はこれまた全体的にゆるやかに屈曲、つまりKyohotic(後弯)カーブを描いています。加えて、姿勢Bでは脊柱全体が姿勢Aに比べて後方に位置しているため、COMはつま先から踵へ後方移動を起こしていることもわかります。7
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要約すると、Aの姿勢は「腰椎の一部と胸椎全体で過度に伸展/フラットバック」、「つま先体重」と結び付けられる一方で、Bはむしろ「腰椎の全体の滑らかな伸展と胸椎全体のこれまた滑らかな屈曲」、「かかと体重」と深い関係にあることがわかるわけです。これらのVisual findingsは、実験内の統計によっても裏付けられており、1) T1-12の胸椎のポジションは姿勢AとBでは統計学的に有意な差が見られ(p = 0.007); 具体的には、姿勢Aを取ることで、Bと比較して: 2) 胸椎(T1-12)の角度が平均13.1±10.3度失われ(= 胸椎伸展)、3) 腰椎(T12-S1)の角度が平均1.7±12.9度増え(= 腰椎伸展);Ferguson Angle (腰仙角度)は平均9.5±6.7度増えた(= 骨盤前傾)と論文内で報告されています。お、おもしれぇぇぇぇ…!

さて、それではこの姿勢の違いがどんな椎間板へのストレスの差を呼んだかというと、わかりやすいグラフはこちら(↓)。一つ目のグラフがCompressive Stress(圧縮応力)、二つ目がShear Stress(剪断応力)を示しています。
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一目瞭然、という感じではありますが、グラフが示すように、姿勢Aは姿勢Bに比べて、T9-10からL5-S1の椎間板にかけて(Compressive Stress)、そして、ST6-7からL5-S1の椎間板にかけて(Shear Stress)、ハッキリと高い負荷がかかっていることが分かったのです。これらの差は統計的に有意(p < 0.05)で、中でも最大の負荷上昇率が見られたのはCompressiveでL5-S1椎間板の92.2%、Shearに至ってはL3-4椎間板で609%、つまり約6倍ものストレスが確認されました。L5-S1椎間板にかかる負担は、数字にすると400N(= 40弱kg重分の重さ)にもなるのでは、と著者らは予測しています。加えて、それに伴うように脊柱起立筋群の負荷もT7以下では942%も高まっており、「姿勢Aは筋肉がより頑張らなきゃいけない上に、椎間板にかかるストレスも格段に増える、非常に生きていく上で効率の悪い姿勢」ということがわかります。

この論文7は「矢状面での姿勢・脊柱アラインメント異常(Anterior Trunk Translationとそれに伴う胸椎伸展、腰椎伸展、骨盤の前傾)は脊柱起立筋群の過活動を促し、下位胸椎及び腰椎の椎間板にかかるストレスを増やす」という結論を述べていますが、これは従来の「椎間板ヘルニアに屈曲は悪い、伸展してNucleus pulposus(髄核)を押し返せ!」という『伸展推奨』理論の真逆を言っています。見る人が見たら非常に衝撃的な結論かも知れません。ええー!?と気になる方は、ご自分でこの研究の全文を読むことをお勧めします。面白いのでオススメです。
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「椎間板ヘルニアに伸展位はむしろ悪い。屈曲位のほうが良いのでは」という『屈曲推奨』説をサポートする論文はもうひとつあります。こちらの論文(↑)11は最新型のフルオープンMRIを用いれば患者のポジションを様々に変えながらでも画像を撮ることが可能になったので、「同じ患者でも、患部をよりはっきりと写すにはどういったポジションで画像を撮るのが理想的か?」という観点から、色々試し撮りをおこない、その報告をまとめているわけです。こんな論文滅多に出会えないですね、これも面白い…。
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中でも見ていただきたいのが上の比較画像です。これは、実は全く同じ「椎間板ヘルニア」持ちの患者の腰を撮ったもので、左は立位・伸展位(↓左)で、右は立位・屈曲位(↓右)で撮影がおこなわれました。右の画像(↑)はL4-5とL5-S1椎間板にヘルニアがはっきりと見て取れますが、左の画像(↑)を見て「ヘルニアが認められる」と判断する医師や画像技師はいないのではないでしょうか。
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著者らはこの研究で最も意味のある発見のひとつとして「立・伸展位のMRIは、ヘルニアが悪化しより狭窄が顕著に出る一方で、立・屈曲位のMRIではその度合いが小さくなるか、場合によっては完全に狭窄が消失することがある("complete resolution of the same central canal and neural foramen narrowing")」と記しています。



そんなわけで、椎間板ヘルニアの患者を治療するにあたって、カギはいかに「骨盤前傾、胸椎伸展、腰椎伸展のポジションに陥らない」かじゃないかと思うんですよね。先日、ちょうどまさに腰椎間板ヘルニアの選手のコンサルティングをする機会があったのですが、座位でも立位でも伸展しっぱなしのこの選手を伸展位から脱させることに重きを置き、一時間半ほどセッションをしました。癖ですぐに背を反らせてしまうので、いかに屈曲が素晴らしいポジションなのかを分かりやすい言葉で話し、「ここ(伸展位)から出てもいいんだよー」「ここ(屈曲位)にいってもいいんだよー」と、それをまず理解・実感してもらうことにたっぷり時間を費やしました。
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こういうことを書くと、「屈曲って、こういう姿勢がいいって言ってるの?(↑写真左)」と怪訝に思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。左の写真の女のヒト、一見すると「屈曲位」にいるように見えるかもしれませんが、実は彼女がしているのは「伸展位からの屈曲(しているように見せかけているだけ」で、真の屈曲ではないのです。この人は一度も伸展位を出ていないんですよ…線を付けるとよりわかりやすいでしょうか(↓)。
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こんな風に「猫背」に見える人が屈曲の達人かというとそうではなくて、実は進化しただけの伸展の達人ということはよくあります。見た目の脊柱のカーブに捕らわれず、安易に屈曲を悪者にせず、 患者にとっての理想的な姿勢を作り上げていくことって、大事じゃないかなぁと思っていたりします。

1. Colloca CJ, Keller TS, Peterson TK, Seltzer DE. Comparison of dynamic posteroanterior spinal stiffness to plain film radiographic images of
lumbar disk height. J Manipulative Physiol Ther. 2003;26:233–241.
2. Harrison DD, Cailliet R, Janik TJ, Troyanovich SJ, Harrison DE, Holland B. Elliptical modeling of the sagittal lumbar lordosis and segmental rotation angles as a method to discriminate between normal and low back pain subjects. J Spinal Disord. 1998;11:430–439.
3. Jackson RP, McManus AC. Radiographic analysis of sagittal plane alignment and balance in standing volunteers and patients with low back pain matched for age, sex, and size. A prospective controlled clinical study. Spine. 1994;19:1611–1618.
4. Janik TJ, Harrison DD, Cailliet R, Troyanovich SJ, Harrison DE. Can the sagittal lumbar curvature be closely approximated by an ellipse? J Orthop Res. 1998;16:766–770.
5. Troyanovich SJ, Cailliet R, Janik TJ, Harrison DD, Harrison DE. Radiographic mensuration characteristics of the sagittal lumbar spine from a normal population with a method to synthesize prior studies of lordosis. J Spinal Disord. 1997;10:380–386.
6. Harrington JF, Messier AA, Bereiter D, Barnes B, Epstein MH. Herniated lumbar disc material as a source of free glutamate available to affect pain signals through the dorsal root ganglion. Spine. 2000;25(8):929-936.
7. Harrison DE, Colloca CJ, Harrison DD, Janik TJ, Haas JW, Keller TS. Anterior thoracic posture increases thoracolumbar disc loading. Eur Spine J. 2005;14(3):234-242.
8. Keller TS, Nathan M. Height change caused by creep in intervertebral discs: a sagittal plane model. J Spine Discord. 1999;12:313-324.
9. Keller TS, Harrison DE, Colloca CJ, Harrison DD, Janik TJ. Prediction of osteoporotic spinal deformity. Spine. 2003;28:455-462.
10. Nagurka ML, Hayes WC. An interactive graphics package for complex shapes. J Biomech. 1980;13:59-64.
11. Jinkins, JR, Dworkin, JS, Green, CA, et al. Upright, Weight-Bearing, Dynamic-Kinetic MRI of the Spine: pMRI/kMRI. Rivista di Neuroradiologia. 2002;15:333-357.


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  # by supersy | 2017-08-09 22:00 | Athletic Training | Comments(0)

Breathing and Chronic Neck Pain: 慢性頸椎痛と呼吸の関係。

慢性的に首が痛い、というのも決して珍しい主訴ではないと思うんですが、頸部の痛みも呼吸と呼吸障害への密接な関係があります…という論文ふたつ、さくっとレビューです。
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首の痛みが呼吸障害を生むのでは?という論文1は見たことがあったんですけど、これは常々chicken or eggなんじゃないのかなと思っておりました。私個人の意見としては、どちらかというとdriving forceは呼吸なんじゃないかと。それで痛みによって不安に駆られ交感神経優位になり、ますます呼吸が悪化するんじゃないのかな、とか。まー恐らく正解はこの中間の「どちらもchickenでどちらもegg」なんでしょうけれども。

さて。この論文2では45人の慢性頸椎痛患者(男13人、女32人、平均年齢35.9±14.5歳)と同じく45人のmatched-control(男13人、女32人、平均年齢35.4±14.0歳)を対象に、1) 息を吸う・吐く強さ (ICC=0.81~0.83); 2) 首の屈曲筋・伸展筋の強さ (Isometric Strength、ICC=0.90~0.96); 3) Craniocervical Flexion Test (*首の深層屈曲筋群の持久力を見るテスト、ICC=0.91); 4) 頸椎可動域; 5) Forward Head Postureの度合い(craniovertebral angle: C7から耳までの角度を計算、ICC=0.88, 下図参照); 6) VAS; 7) 全5つのPatient-Based Outcome Measures - Neck Disability Index (=痛みによるdisabilityがどれほどあるか), the Baecke Questionnaire of Habitual Physical Activity (普段どれだけ運動をしているか), Hospital Anxiety and Depression Scale, Tampa Scale for Kinesiophobia, Pain Catastrophizing Scale…を計測、記録したそうな。うわー膨大なデータ。これらのOutcome Measureの測定の順番はランダムだったそうで、バイアスやorder effectsがないようにしましたよー、という記述アリです。それぞれの測定法とrationaleをしっかり説明しているところも好感が持てます。
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*知らなかったので調べてみました。テーブルに寝た状態で、バイオフィードバック圧力計を首の下に入れて20 mmHgになるまで膨らませてから(↓写真左、中央)、Chin tuckをして圧を22 mmHg; 24 mmHg; 26 mmHg; 28 mmHg; 30 mmHgまで上げ(↓写真右)それを10秒キープする…というのをそれぞれの圧で3回繰り返すんだそうな。
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で、結果はというと、慢性頸椎痛のある患者は健康なコントロールに比べて…
1. Forward Head Postureと鬱・不安症の症状に関しては大差なし
2. 頸椎伸展筋が著しく弱く(p<005)、屈曲筋群も弱い傾向にある(p-value not reported)。深層屈曲筋群の持久力は著しく低く (p<0.05)、頸椎の可動域も全ての面において制限が大きい(p<0.05)。
3. 吸気/呼気の割合こそ大差が見られなかったものの(p>0.05)、最大吸気圧(13.8%)、最大呼気圧(15.4%)はそれぞれ共に、健康な被験者のそれに比べて著しく低かった(p<0.05、Table 1参照)。
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…で、最大吸気圧と相関性が見られたのは、頸椎屈曲筋(r=0.70, p<0.001)と伸展筋(r=0.62, p<0.001)の強さ、Kinesiophobia(r=-0.43, p<0.01)、とCatastrophizing(r=-0.3, p< 0.05)。最大吸気圧との相関性が認められたのは頸椎屈曲筋(r=0.69, p<0.001)と伸展筋(r=0.66, p<0.001)の強さ、頸椎の痛み (r=0.33, p<0.05)、Neck Disability Index(r=-0.35, p<0.05), Kinesiophobia (r=-0.40, p<0.05)とCatastrophizing (r=-0.36, p<0.05)だったそうで。
つまるところ、ものすごくざっくり言って、首の屈曲・伸展筋群が弱い、首が痛い、機能制限がある、首を動かすことに恐怖心がある…こういった度合が高ければ高いほど呼吸力が下がっている傾向にあるというわけですね。
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この論文は、慢性頸椎痛の患者のアセスメント・リハビリは呼吸の要素を含むべきである、という風に〆られていますが、もっと言うと、呼吸介入を早めにすれば頸椎慢性痛そのものの予防にもつながるかもしれませんね。もちろん、相関関係≒因果関係なので、これは他の研究を持って証明する必要がありますけど。

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同じ研究チームの論文で、こちら3も。
こちらの論文で着目しているのはthe actual gas exchange。冒頭で腰椎などの痛みを抱える患者はHypocapnia(血液中の二酸化炭素が下がり、pHがアルカリ性に傾く現象)に陥りやすいという理論を紹介(これは知らなかった)しており、4,5 この現象が慢性頸椎痛の患者にも認められるかどうか、先の研究と全く同じ被験者(慢性頸椎痛患者45人、Matched Control 45人)を使って検証しています(…というか、上野研究と同時進行で行われていますね、明らかに)。80% Statistical Powerを得るために必要な被験者数は各グループ26人だそうなので、45人はそれを優に超えている、という表記もいいですね。
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手っ取り速く、結果です。動脈内の二酸化炭素は慢性頸椎痛患者のほうが著しく低下しており(34.9±2.9 mmHg vs 37.3±3.5 mmHg、↑上表参照)、35 mmHg未満が一般的に"hypocapnia”と診断のつくカットオフになることを考えれば、平均的な慢性頸椎痛の持ち主はhypocapniaと名前がついて然るべきということが分かりますね。血中二酸化炭素との相関性が見られたのは頸椎屈曲筋(r=0.34)と伸展筋(r=0.35)の強さ、深層屈曲筋群の持久力(r=0.31)、痛みの強さ(r=0.34)、Kinesiophobia(r=0.35)とCatastrophizing(r=0.30; p<0.05)だったそうな。

Substance Pがhyperventilationを生むのか、痛みがあることによって患者の呼吸が浅くなり、self-induced hyperventilationが起こるのか…(過呼吸時は、ちょいとした興奮状態なので、痛みの感覚が鈍るんですよね。6 そのanalgesic effects/鎮痛効果を身体が自然に求めて、浅い呼吸をprogrammingしてしまうのか)。それとも、そもそも呼吸がこの痛みの原因のひとつなのか…。色々と妄想は尽きませんが、「首がずっと痛いんです」と訴えてくる患者の体の中でこれだけ複雑なことが起こっているとしたら、「よし、じゃあ鎮痛剤出しましょう」「ストレッチしましょう」「ホットパック当てましょう」のような対処療法では問題の本質に対して対応しきれないことは明らかですね。患者の主訴に対して原因を見極め、holistic approachを!とはアメリカでもよく謳われますが、最近の様々な研究結果を見ていると、呼吸に介入せずにholisticなアプローチをしているとはもはや言えないだけの科学的なエビデンスは十分にあるように思います。…まぁ、もちろんそう考える私の頭の中は私らしいバイアスでいっぱいなわけですけども。

1. Kapreli E, Vourazanis E, Strimpakos N. Neck pain causes respiratory dysfunction. Medical Hypotheses. 2008;70(5):1009-1013.
2. Dimitriadis Z, Kapreli E, Strimpakos N, Oldham J. Respiratory weakness in patients with chronic neck pain. Man Ther. 2013;18(3):248-253. doi: 10.1016/j.math.2012.10.014.
3. Dimitriadis Z, Kapreli E, Strimpakos N, Oldham J. Hypocapnia in patients with chronic neck pain: association with pain, muscle function, and psychologic states. Am J Phys Med Rehabil. 2013;92(9):746-754. doi: 10.1097/PHM.0b013e31829e74f7.
4. Glynn CJ, Lloyd JW, Folkhard S. Ventilatory response to intractable pain. Pain. 1981;11:201-211.
5. McLaughlin L, Goldsmith CH, Coleman K. Breathing evaluation and retraining as an adjunct to manual therapy. Man Ther. 2011;16:51-52.
6. Chalaye P, Goffaux P, Lafrenaye S, et al. Respiratoryeffects on experimental heat pain and cardiac activity. Pain Med. 2009;10:1334-1340

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  # by supersy | 2017-08-06 22:30 | Athletic Training | Comments(0)

横隔膜呼吸エクササイズでバランス能力が向上する?研究レビュー。

「知識アップデート期」と称して『トピックをひとつ決め、半日~一日かけてデータベース使って関連論文の検索・読み込みに費やす』みたいなことを定期的にするんですが、今日は呼吸関連の論文で最新のもの、読み飛ばしているのがないかどうかと色々と読み漁っていました。面白いものを見つけたのでまとめておきます。

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一番の収穫はこの論文ですかね。今年3月発表の比較的新しいPreliminary clinical trial。1

バランスを取る能力に欠けていると怪我をしやすくなる、2,3 だからバランス能力って大事ですよね、という観点から、コアを鍛えるとバランス能力が上がる4-8→ではコアの要とよく称される横隔膜を鍛えることでバランス能力は上がるのか?という新たな説を検証しています。呼吸エクササイズをやることでバランス能力が向上するか?っていう、その切り口が面白いっすね。

この研究はあくまで「この新説は検証する価値があるのか」を見極めるためのPreliminary clinical trialなんで規模は小さいし、control組もないんですけど、とりあえず詳細を見てみましょう。21歳以上の健康な被験者を募り、inclusion/exclusion criteriaには脳震盪・下肢のケガ・耳の病気など、バランス能力に直接影響が出そうな要素も含まれていて、こういった既往歴のある被験者は丁寧に除外してあります。研究に実際に参加した被験者の数は13人(男7人、女6人、平均年齢33歳)。80%のStatistical powerでlarge effectをdetectできるように統計を設定(=前例が無いので、この研究を通して適切な被験者数を決めようとしている)してますね。規模が小さい以外はここまでは妥当なデザインでしょうか。いーですね

被験者にassignされた呼吸エクササイズは各週2種類。ひとつのエクササイズにつき5分、一日2回ずつ毎日合計20分行ってもらい、それを一週間に少なくとも5日間、計8週間継続してもらったとのこと。呼吸エクササイズは全部で難易度別に5種類あり(↓)、全被験者は最も簡単なもの(難易度☆☆☆☆★)から始め、ぞれぞれの週の終わりの顔合わせ(face-to-face)のセッションでそれを完璧にやりこなせるようになっていれば、翌週からはひとつ難易度の高いエクササイズにレベルアップする…というシステム(完璧にできなければ、同じ難易度をもう一週繰り返す)。各エクササイズの指導動画のリンク(YouTube)が毎週被験者に送られ、必要があれば被験者が何度でも正しいエクササイズを確認できるような環境を整えていたのは評価されるべきですね。
 難易度☆☆☆☆★(1): supine breathing & crocodile breathing
 難易度☆☆☆★★(2): supine breathing w/ Theraband & crocodile breathing w/ Theraband
 難易度☆☆★★★(3): supine breathing w/ belt & crocodile breathing
 難易度☆★★★★(4): seated breathing & 90/90/90 breathing
 難易度★★★★★(5): seated breathing w/ Theraband & 90/90/90 breathing w/ belt
何故これらのエクササイズなのか(過去にどんな研究で使われたものなのか)?どうしてこれらのprogressionが正しいと言えるのか?説明が一切無いのが気になります(個人的にcrocodile breathingの利点はさほど感じません)。あと、face-to-faceセッションは週に一回で、残りの週6日はエクササイズを家で各自やってもらうシステムも、コントロールしていない要素を増やす原因になります。監視していない分、被験者が実際指示通りにエクササイズをやってくれていたかどうかの信憑性は低くなるわけです。研究の最後(8週目の終わり)に被験者は各自8週間分のエクササイズログを提出した、との記述は一応ありますが、そんなのはいくらでも偽造捏造できますからね。実際の被験者のcompliance rateも別にこの研究では報告されていませんし。あと、「少なくとも」5日間の「少なくとも」が個人的に気になってしまいます…。どうして「5日間」と決めず、幅を設けたのでしょう?週5日間やった人と、7日間やった人とでは効果の現れ方が違う可能性も否定できません。一週あたりたった2日間の違いでも、8週積み重ねれば16日分になりますしね。

…ともあれ。

各週に一度face-to-faceセッションがあったわけですが、このセッションでは横隔膜呼吸のエクササイズをする前に毎回以下のテストをおこなったそうです。ちなみにデータを取る側の研究スタッフは一貫性があるように毎回同じscriptを読み上げ、指示に違いが無いように配慮したそうな。
静的テスト: Modified BESS test (SCATに載ってるやつ)…なぜ正規のBESS Testでなく、Modified? Rationale?正規のもののほうが研究されているのは間違いないと思うが?
動的テスト: 目を開けて、そして閉じて、それぞれ40秒間その場で更新してもらい、パワープレートを使ってバランスを計測。右足で荷重していた時間と左足で荷重していた時間の差が少なければ動的バランスが取れているという指針になるらしい。OptoGait protocolsと呼ばれるプロトコルらしいんですが、私はこれを今までに見たことがありません。Reliability, validityの表記無し?
呼吸テスト: 試験者が被験者の脚を90/90/90 positionで支え(↓写真のように股関節、膝、足首を90°に屈曲)、肋骨を内旋位に持っていく。この状態で、試験者は下肢の支えを外し、被験者は自力でこのポジションを保ったまま「下腹部と胸部後方に空気を入れるようなイメージ」で呼吸。被験者が開始ポジション(90/90/90且つ肋骨内旋位)を保ったまま呼吸ができれば最高点の3点、代償が見られれば2点、フォームが崩れれば1点、痛みがあれば0点をつける。これもとある一冊のリハビリの教科書から抜粋されたもののようだけど、rationaleやvalidityは?「ポジションが保たれた」「代償がある」というのは判断する人によっても変わるのでは?どれほどのトレーニングを受けた試験者なら適切な判断ができるのか?
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手っ取り早く結論を言ってしまうと、呼吸テストの点数(p=0.001), Modified BESSの片足スタンス(p =0.001)とタンデム・スタンス(p=0.039)は時間軸を追うごとに著しく改善(Table 2, Figure 1, Figure 2参照)。特に片足バランスのスコアの改善は呼吸テストのスコアの改善と大いに関係あり(Figure 1参照)、と出たそうな。

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個人的には「取ったデータは全部見せやがれ」と思うタイプの私。incompleteなデータが何より嫌いなので、両足バランス時のBESSスコアと動的テストの結果が「Result」セクションで一切触れられていないのが納得いきません。書かれていないということは相関関係も改善もなかったと考えるのが全うだろうけど、もしかしたら悪化が認められたのかも、などとしたくもない詮索をしてしまうではありませんか。後述(「Discussion」セクション)で、両足スタンスはどの計測ポイントで誰もエラーを起こさなかったこと(=スコアは常に最高で、変化は全く見られなかった)、そして動的バランスに関しては計測器具の不備があったかもしれないことや、このOptoGaitプロトコルがやはりどれだけ確立されたものかのエビデンスが欠如していることが改めて挙げられています。…じゃあなんでこれ選んだの?時間の無駄では?Y-Balanceとかもっとシンプルでもっと研究が進んでいる動的バランステストじゃダメだったの?

あとですね、個人的には静的バランス能力に変化が出たのは面白いなぁと思う一方で、動的バランスに変化が(少なくともこの研究では)認められなかったとしたら、それはいったいどれほどのclinical relevanceがあるのかというイジワルな問いを著者らに投げかけたくはなりますね。

考察には、横隔膜呼吸を通して深層腹筋群の活性化が促されたのではとの見解が示されており、私もそれは妥当な推測ではないかと思います。もちろん、単純に8回テストを行ったから、learning effectsによって改善が見られたという可能性も否定できません。これは、次の研究でcontrol組と比較をおこなえば明らかになることでしょう。

考察に書いてあったことで、特筆されるべきと思ったこともメモしておきます。8週間のエクササイズを終えた13人の被験者に、研究の最後に口頭で感想インタビューを行ったらしいのですが(特に聞いた質問の一覧表などはなかったので、informalなものだったんだろうと推測します)、その際の感想として1) 被験者が呼吸エクササイズを総じて楽しんでおこなえたこと、2) 日常の様々な活動でその効果を感じられたこと(例: 趣味のロッククライミングの際により体のバランスが取れていると感じた、ロードバイクに乗っているときに腰痛が起きなかった、オリンピックリフティングをする際により力が入るようになったなど)が出てきたんだそうです。バランス向上のみならず多角的な改善が見られたのは興味深いです、本格的な研究をする際には、こういった声がもっと聞けるようにMixed-studyにしてQualitative analysisも入れてほしいですね!

さて、粗削りではありますし穴も多いですが、楽しく読めた論文でした。近々出るであろう本編の研究も楽しみにしたいと思います!

あ、おまけですがこんな論文9も読みました。こちらは一年ほど前に発表されたもの。
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この論文にはAbdominal hollowingやabdominal bracing maneuversはpelvic floor(骨盤底筋群)の不活性を促す、という内容の結論が書かれており、理想的な横隔膜の活動には協調性のある骨盤底筋活動が欠かせないという他の研究結果10,11と合わせて解釈すれば、abdominal hollowingやabdominal bracing maneuversをおこなっている際、横隔膜を最大限に使った呼吸は実践できていないということになります。abdominal hollowingやbracingそのものができる能力があること、そしてそれを状況に応じて時に選択・実行することには何も問題はないと思うのですが(以前書きましたね、availabilityやvariabilityの話に繋がります)、こういった呼吸がhabitualになったり、こういった呼吸法のみしか選択肢がなくなってしまったら、身体の様々なdysfunctionに繋がるのではないかと危惧させられるような結果です。

1. Stephens RJ, Haas M, Moore WL, Emmil JR, Sipress JA, Williams A. Effects of diaphragmatic breathing patterns on balance: a preliminary clinical trial. J Manipulative Physiol Ther. 2017;40(3):169-175. doi: 10.1016/j.jmpt.2017.01.005.
2. Hrysomallis C, McLaughlin P, Goodman C. Balance and injury in elite Australian footballers. Int J Sports Med. 2007;28(10):
844-847.
3. McGuine TA, Greene JJ, Best T, Leverson G. Balance as a predictor of ankle injuries in high school basketball players. Clin J Sport Med. 2000;10(4):239-244.
4. Sato K, Mokha M. Does core strength training influence running kinetics, lower-extremity stability, and 5000M performance
in runners? J Strength Cond Res. 2009;23(1):133-140.
5. Sekendiz B, Cug M, Korkusuz F. Effects of Swiss-ball core strength training on strength, endurance, flexibility and balance in
sedentary women. J Strength Cond Res. 2010;24(11):3032-3040.
6. Filipa A, Byrnes R, Paterno MV, Myer GD, Hewett TE. Neuromuscular training improves performance on the star
excursion balance test in young female athletes. J Orthop Sports Phys Ther. 2010;40(9):551-558.
7. Zazulak BT, Hewett TE, Reeves NP, Goldberg B, Cholewicki J. Deficits in neuromuscular control of the trunk predict knee
injury risk: A prospective biomechanical-epidemiology study. Am J Sports Med. 2007;35(7):1123-1130.
8. Sandrey MA, Mitzel JG. Improvement in dynamic balance and core endurance after a 6-week core-stability-training program in high school track and field athletes. J Sport Rehabil. 2013;22(4):264-271.
9. Ehsani F, Arab AM, Assadi H, Karimi N, Shanbehzadeh S. Evaluation of pelvic floor muscles activity with and without abdominal maneuvers in subjects with and without low back pain. J Back Musculoskelet Rehabil. 2016;29(2):241-247.
10. Park H, Han D. The effect of the correlation between the contraction of the pelvic floor muscles and diaphragmatic motion during breathing. J Phys Ther Sci. 2015;27(7):2113-2115. doi: 10.1589/jpts.27.2113.
11. Park H, Hwang B, Kim Y. The impact of the pelvic floor muscles on dynamic ventilation maneuvers. J Phys Ther Sci. 2015;27(10):3155-3157. doi: 10.1589/jpts.27.3155.

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  # by supersy | 2017-08-06 02:00 | Athletic Training | Comments(0)

PRIポスチュラル・レスピレーション東京・名古屋講習終了!と、Talking About Perception。

PRIポスチュラル・レスピレーション、東京(7月14~15日)講習、名古屋(7月16~17日)講習の怒涛の4日間が無事終わりました!!!!
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東京講習(↑): 主催の帝京大学のスタッフさん一同はいつにも増してPRI愛に溢れており、感謝しかありません!参加者60名超の大所帯講習でした。

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名古屋講習(↑): こちらも濃い面々ばかり。鋭い質問が飛び交う講習になりました。
近藤先生、鈴木さん、ありがとうございました!

今回も「どうしたらロンの言葉がもっと伝わるだろう?」とケニーと試行錯誤をしながらの濃厚な5日間(前日準備も入れて)でした。講習参加してくださった皆様には最後に衝撃ニュースもありましたが…こちらもPRIジャパンから近々正式告知があることでしょう。いやー、体力勝負の4日間でした。終わって今、がっつり風邪を引いています!やっぱりね!!引くとおもったもんね!!!!

それから、この怒涛の4日連続講習の直前の7月12日には、ひょんなご縁があり、順天堂大学(↓)で特別講演をさせていただく機会にも恵まれました。
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学部生、大学院生、教授陣にAT専門vs非AT専門が聴衆に入り乱れる中、全ての人に何かしらの学びを…!というこれまた難しい設定の講習会でしたが、「ナンジャコリャー」とゆるーく楽しんでいただければ幸いです。講演のあとには体操部の練習見学という貴重な体験まで…!新しくできたばかりという体操アリーナ、う、美しい…!鹿倉先生、窪田先生、中新田先生、本当にありがとうございました!

明日アメリカに戻ります。2か月のこの夏の日本滞在、お陰様で非常に濃密なものになりました。お会いしてくださった皆様、遊んでくれた友人、色々と将来に関してアドバイスを下さったAT先輩の方々、全てに感謝しています。それではまた、冬にー!



ここからはおまけというか本題なのですが(どっちだ)、最近頭の中でモヤモヤ妄想していたことをまとめておきます。

教育者という仕事をしている以上、「私が表現する」世界は世の中に起こる普遍的で再現性の高い事柄を、すべての(もしくはなるべく多くの)人に理解できる言語で表現するようでなければいけないと思いますが、それとは相反する位置に「私が感じる」世界というものがあります。こちらの世界は私個人しか知覚し得ないもので満たされており、その全ては個人的な経験であって、他の誰にも再現することができません。

表現する世界と感じる世界。与える世界と受け取る世界。アウトプットとインプット。どちらにも興味はあるのですが、最近は特に後者の知覚する・受け取る世界とインプットの神経経路内での咀嚼・解釈の方について考えることが多いです。
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貴方が自分を取り囲む環境をどう知覚しているか、私が永遠に理解できることがないように、貴方にも私が知覚している世界をそっくりそのまま体験していただくことは不可能でしょう。しかし、そんな多様性のある知覚でも、我々人間が頼りがちなポイントがいくつかあります。例えば、踵から入ってくる、今地面をどういう風に踏みしめているか、という情報は、今自分が地面に対してどのように身体を起こし(あるいは寝かせ)ているか、という判断に大いに役立ちますし、耳から入ってくる貴方の声が右耳より先に左耳が受け取れば、私は貴方に対して右側に立っている、と定義づけることが可能になります。視覚情報も同様です。

机にもたれかかるように突っ伏したり、壁に寄りかかっている時には「机」や「壁」という対象物を利用して自らの状態を定義することができます。こういった「寄りかかり」癖がある人は、寄りかかれるもにが何もない状況下では、どうにかして自我を認識しようと歯を強く噛み締めたりするやもしれません。噛み合わせが全身に影響を及ぼす大きな理由の一つであると私は捉えています。
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多様性の高い「知覚」ではありますが、こういったことを踏まえれば知覚を通じての介入はこれらの踵や聴覚、視覚、噛み合わせを通じて行うのが最も効率的とも言えます。知覚をいじる、ひいては患者の生きる環境そのものを「ズラす」目的での足底版、プリズム、ホワイトノイズを使った介入は私が今非常に興味を持ち、もっと勉強を深めていきたい分野でもあります。個人的には、匂いをかぐことで感情を揺さぶられることが多いので、嗅覚の勉強をもっと掘り下げてやってみたいものです。嗅覚と自我の確立…そんな切り口のおススメの文献や本、講習会などあったら教えてください!
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さて、「知覚」といえば、なんですが。
共感覚というものに興味があり、移動時間などを利用して上の本を読んでいました。共感覚とは、例えば特定の言葉に特定の色がついて見えたり、音に手触りを感じたり、時間に空間を感じたり、という、非常にユニークな知覚能力のことを指し、2000人に一人がこの能力を持って生まれてくると言われています。

この能力は「病理」なのか、「崇高」な「進化の形」なのか…様々な議論が行われているようですが、共感覚の持ち主がは総じてその能力が無くなるのを望まないことから、「病理」であると解釈するには無理があるのではと思います(そうでなければよっぽど稀有な病気です)。ですから、優劣で考えるのではなく、これも「知覚の多様性」と捕えてみるのはどうでしょうか。共感覚がある彼らは、それぞれの文字や音を、「一般人」よりひとつ多元的にとらえている…一方、我々「一般人」も、共感覚者には想像もつかない情報の符号化を行っている…(例えば私は、覚えたい数字は5桁くらいまでならば、ひとつひとつ並べ、はっきり頭に思い浮かべてシャッターを押すようにアタマに焼き付けると、そのまま画像として一定期間保存しておくことが可能です。読み込んだ教科書も、一ページ一ページめくってどのページにどんなグラフがあるか、用語の解説があるかも画像として覚えておくことができます。あれは何だっけ?と思ったら、頭の中でページをペラペラめくり、ああ、あったあった、と情報を「見る」ことができるのです…私もできる、と頷かれる方も多いのでは?)。どちらがいい悪いでなく、どんな情報をどういう風に感じ、脳に取っておくかは十人十色。個体差があって然るべき、ということなのです。

今日は備忘録というか、すっかり自分のためのメモになってしまってすみません。しかし一度でいいから共感覚の方のアタマの中に潜り込ませていただきたいものです。文字を読むたびに色が迫ってくるなんて、なんて素敵なんでしょう!

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  # by supersy | 2017-07-20 21:30 | PRI | Comments(0)

船橋EBP講習を終えて、と、「PRICE」から「POLICE」に見る急性障害マネジメント理念の変化。

先週末はおおすか整形・船橋整形さんの合同開催によるクローズドのEBP講習を一日おこなって参りました。

EBPの基礎の話と絡め、今回はAMIや腱障害へのリハビリアプローチなどを「EBP治療介入・臨床応用編」として掘り下げてきました。この内容は、今回いただいたフィードバックを元に改良して、近日中に公式EBP講習の一環として申請しBOC認定を取る予定です。臨床で活躍する皆さんにぜひ役立てていただきたい内容ですので、受講ご希望の方は都内で開催する際にぜひ!
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せっかくリハビリの話もするなら、実践あるのみ!…ということで、(↑)皆でドロップスクワットも!じゅっかいさんせっとぉぉぉ!日曜日に皆で汗じっとりかきました。

多くの皆様、ご参加ありがとうございました。また来年も、きっとお世話になります!
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今回は初めてのコンシンカイもカイサイしました!アメリカの講習会では講師と参加者が飲んでコミュニケーション、という文化はないのでいわば「懇親会デビュー」でした。主催・運営してくださった主要スタッフ(↑)の多くが同年代だったので色々な「同年代話」で盛り上がりました。主にスラムダンクと幽遊白書…。



ついでにというかなんというか。Back to the basic...ということで、今回は怪我の対応の基礎のお話も少しだけ。

「足首の捻挫に、アメリカではギプスをしないんですか?」と聞かれたことがありました。

私はびっくりして「日本ではするんですか?」と逆に聞き返してしまいましたが、そうお尋ねしてくれた方曰く「よくする」んだそうで。骨折はともかく、アメリカで足首の捻挫対応にギプス固定はしたことも見たこともありません。私個人が選ぶアプローチとしては、荷重ができれば松葉杖やウォーキングブーツを併用しながらストレスを調節して歩かせるのが基本。痛みで荷重が一切できなければ、U字コンプレッション・パッドとバンテージで圧迫して(↓)松葉杖2本で非荷重状態を作ります…が、(荷重はまだ不可でもとりあえず)動かせるならクライオ・キネティックスなど早期に導入してなるべく動かせます。
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アメリカでは1970年代後半から2000年初頭にかけてRICE、またはその進化形のPRICEと言われるケガの救急処置のモデルがポピュラーになりましたが、2012年に発表されたこの論文1(↑ ちなみにこの論文は全文無料です)でBleakley氏らは「このモデルはエビデンスを伴わない」「より良いものにアップデートされるべき」と主張。この論文発表から5年たった2017年現在、PRICEまたはRICE「しか知らない」もしくは「に頼りきり」のマトモなクリニシャンはアメリカにはもういないのではないかと思います(状況によってPRICEやRICEのチカラを借りるのが適切なケースももちろんあります。取捨選択をしたうえでのこういった治療を否定するつもりは全くありません、念の為。実際、Grade IIIの足関節の捻挫においては、最長10日の膝下のキャストは有効であるとするシステマティック・レビューもあります2)。

さて、それではどんなモデルが現在より好ましいとされているのか?

この論文のタイトルには「Should we call the POLICE?」つまり、「『警察』を呼びましょうか?」なんて書かれていますが、実はこれ、「(新しいモデルを)『警察』と呼ぶのなんてどうでしょうか?」ともかけられていて、新たなモデルである『POLICE (= 警察)』という新たな略語を推奨したものでもあります。

PRICEは「Protection, Rest, Ice, Compression, Elevation」の略(RICEはそこからProtectionを抜いたもの)ですが、POLICEは「Protection, Optimal Loading, Ice, Compression, Elevation」の略です。大きく変わったのはR = Rest (休息)からOL = Optimal Loading (適切な負荷をかける)という点で、この変更は「受傷直後に少し非荷重・無負荷の時期を短期間設けるのはともかく、不必要に長期のimmobilization/unloadingは有害(harmful)であり、組織の形状や機能に悪影響を及ぼす」ことから、「早期mobilizationとloadingが回復のカギである(↓)」という理念に基づいています。1-3
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患部を甘やかしすぎることなく、早いうちから体重をかけて歩く。早いうちから動かす ― もちろん、これは負荷を早く多くかければかけるほど良いという単純なものではありません。キーワードはExcessive Loading (過度な負荷をかける)ではなく、Optimal Loading (適切な負荷をかける)なのですから、やりすぎず、しかしやらなすぎない、という境界線を見定めなければなりません。回復期にある組織に負荷をかけすぎるようなことがあってはせっかく形成されてきたcollagen cross-linkが破壊され、患部が再出血・腫脹の再発など、ケガそのものが悪化したりすることもあるでしょう。大切なのは患者ではなくプロである医療従事者が「今はここまでの負荷なら適切」と見極め、モニターして継続した回復を促すということなのです。

「休みっぱなし」でなく「動く」、「動いてよい」ということに楽しみを見出すのは患者だけでなく医療従事者もそうなのではと私は思うんですよね。従来の「Rest」に比べて、新たに加わった「Optimal Loading」という言葉は工夫の余地が大いにあって、ちょいとウキウキしませんか?どれくらいが適量かな?どういったloadingを提供しようかな?と考える、新たな知的好奇心の扉が開くというか。
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そういう意味では、近年アメリカで流行っているスクーターや膝に装着するタイプのハンズフリー・クラッチ(↑)は少し疑問なんですよねぇ…。よりselectiveな荷重が可能で確かに移動は楽そうだし、短期的に患者のHRQOLは向上するケースはあるのでしょうけど、アメリカにありがちな「便利さ・手軽さ」のみを追求していて、長い目で見ると身体には悪影響になっていることもあるような…。

(しかしアメリカは肥満人口が多すぎて、松葉杖すら使えない患者が多くいる(= 腕で自重をそもそも支えられない)のも事実ですが。この国の健康問題の根は、また別のところにあるのかも知れませんね…)

ちなみに今回、I = Iceの話は掘り下げませんでしたが、ケガの急性期でのアイシングに関しては私は必ずしも否定派ではありません。以前ブログでも書きましたが、世の中のどんな療法も使いどころさえ間違わなければ体に良い効果をもたらす可能性は十分に含んでいると考えています。アイシングは悪魔でもなければ神でもありません。問題は、ほとんどの場合は使う側の人間にあるんですよね。

1. Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med. 2012;46(4):220-221. doi: 10.1136/bjsports-2011-090297.
2. Petersen W, Rembitzki IV, Koppenburg AG, et al. Treatment of acute ankle ligament injuries: a systematic review. Arch Orthop Trauma Surg. 2013;133(8):1129-1141. doi:10.1007/s00402-013-1742-5.
3. Jones MH, Amendola AS. Acute treatment of inversion ankle sprains: immobilization versus functional treatment. Clin Orthop Relat Res. 2007;455:169-172.

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  # by supersy | 2017-07-05 23:45 | Athletic Training | Comments(4)

PRIマイオキネマティック・リストレーション仙台講習終了!

さて、更新が遅くなってしまいましたが、先週末は仙台でPRIマイオキン講習を無事に終えてまいりました。実はPRI講習は今まで東京から北に行ったことがなく、今回が初めての東北開催だったんです。どう受け取っていただけるかなぁとドキドキしていましたが、いつにも増して学びに活発な皆様と和気あいあいと充実した2日間を過ごすことができました。レトロ・ウォークはもちろん、今回は階段もあったのでレトロ・ステアまでやって〆ることができました。
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特筆すべきはやはりぬっきーさんの講師デビューでしょうか。昨年講師トレーニングを開始していたぬっきーさんですが、仙台講習では約4時間分の講義を担当しました。次回、7月の東京でのマイオキン講習(ケニー担当)ではもっと長い活躍を見せてくれることでしょう、楽しみです!
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今回お邪魔したのは「東北保健医療専門学校」という会場だったのですが、主催の方の「仙台」こだわりがもうとんでもなく素晴らしくてですね…。PRI講習ではいつも主催者さんに軽食の用意をお願いするのですが、今回は仙台銘菓がズラリと並んでおり、私もついつい幾つか手に取って休憩時間にむしゃむしゃ食べてしまいました。萩の月に牛タンせんべい、ずんだ饅頭にささかまも!し、しあわせ…。
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ご当地名物と言えば、私が初日に「牛タンが大好きなんです!」と騒いだので、主催・門間さんが「ではお昼ご飯は牛タン食べ比べしますか!」と一日目も二日目も(異なる専門店の)牛タン弁当を用意してくださって。夜ごはんにも牛タンが出たり、帰る日の昼食にも牛タンを食べたりしたので、3泊4日の仙台滞在で合計牛タンを5回もいただきました。さすがにこれは門間さんにも笑われました…。し、しゃわせ…。
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参加してくださった46名の皆様(↑)、主催の門間さんと、運営協力をしてくださった方々(↓)、ありがとうございました!これでこの夏の私が個人でお送りするPRI講習は全て終了しましたので、7月半ばのケニーとのダブル講師開催となるポスチュラル講習に向けてこちらの調整も進めていきたいと思います。
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話は変わりますが、つい先日、6月27日に帝京大学八王子キャンパスで行われた「第一回スポーツ医科学カンファレンス」にイチ聴衆としてお邪魔してきました。もともと、一番最初に案内を見たときは「午後のみ、参加無料(太っ腹!)」のカンファレンスとのことだったのですが、申し込んだ後に「希望者のみ、午前からのトレーニング講義・体験(同じく無料) & 駅伝競走部員が実際に食べているお昼ご飯を食べながら栄養士による講義(こちらはもちろん有料)も開催しますが、希望しますか?」という案内をいただき、もちろんですもちろんです!ということで丸一日参加してきました。
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駅伝部員が食べているというお弁当がこちら!この色彩とボリュームでたった700円。白米が250gと食べごたえがあり、ご飯が進むように少し濃い目の味付けになっていました。帝京大学の一貫した姿勢として、「様々な職種が協力し合ってアスリートに多角面からの良質なサポートと教育を用意するが、受け取り手にはそれを強制はしない」というものがあり、このお弁当も「希望する部員が取りに来て食べる、というシステムで、他に好きなものを食べたいという部員には強制することはない」んだそう。アメリカで決して美味しいとは言えないカフェテリアで食事をしていた身としては、こんなバランスの取れたお弁当が低価格で食べられるなら、毎日でも通ってしまいますが…。今日は友達と食べたい、とか、時間がないので手近にあるもので、とか、色々ありますもんね。
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午後からの講義も、トレーニングチーム、メディカルチーム、研究チームに栄養チームと、異なる専門から、どういったシステムを構築して、どう現場に貢献しようとしているかという実用的な話題が続きました。特に栄養士さんらの食育の取り組みと、整形外科の先生たちの早期エコー診断の導入の話は興味深く聞かせていただきました。ひとつの団体において、こういった独自の工夫や取り組みはついつい隠したくなってしまうものではないかな、と思うのですがそれをオープンにこうして(無料で!)不特定多数のヒトと共有し、地域を、社会を、国を良くしていくために我々が知っていることをシェアしたい、協力できることがあれば教えてください、そしてみんなで向上していきましょう、と言えるその寛大さが何より素晴らしいと感じました。

できたばかりという大講堂もキレイでした…施設も人材もそろっていますね。日本スポーツ界を牽引していく大学とは、こういうところを指すのかもしれません。

そんなわけでインプットもアウトプットも今回の滞在はかなりバランスが取れていて楽しいです。少し仕事は詰めすぎな感はありますが、体調を崩さず最後まで頑張りきっていきたいと思います。今週末は千葉へお邪魔しまーす。

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  # by supersy | 2017-06-30 15:00 | PRI | Comments(0)

「平均への回帰(Regression to the Mean)」を考える。

嘘か真か、今話題の藤井四段(プロ将棋棋士、14歳で日本記録の29連勝という偉業達成)が「今は勝敗が偏っている時期で、いずれ『平均への回帰』が起こるのではないかと思っています」と発言した、というニュースを目にしました。藤井四段、14歳とは思えない豊富な知識と語彙力で、本当に素晴らしいプロだなぁと33歳のおばさんは感心しきりなわけですが、この『平均への回帰』というコンセプトについてちょっと書いておきたいと思います。本当は別に書かなきゃいけないことがあったんですが、まぁそっちは後回しにします(笑)。

下に、私が最近実際に回答をしなければならなかったテスト問題に酷似した問題を示します(実際の問題を非医療分野に私が勝手にいじって変えたものです)。さぁ、皆さんはどう回答しますか?理論立てて説明をしてみてください。



とある学校に一学年8組のクラスがあります。この学校では、英語のテストを行うたびにあまりにこの8クラス内・外において点数にばらつきがある(=上がり下がりが毎回激しい)ことが教師間のミーティングで「改善点」として上がりました。一貫性のある学習成果を出そう、ということで、新たな学習試みとして「椅子を取り払った立位での英語授業」というシステムを導入することにしたのです。
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さて、そんなわけでこの一学年8クラス全てに「英語実力テスト(pre-test)」を実地し、点数が高かった上位4クラスはそのまま問題なしという解釈で「今まで通りの机と椅子(↑写真左)」での授業を、下位4クラスは改善の余地ありということで「椅子を取り払って立位(↑写真右)」での授業をそれぞれ4週間実践しました。

4週間後、再び8クラス共通の「英語実力テスト(post-test)」を実地。いよいよ結果の比較です。

点数を集計してみたところ、前回の実力テストと比較して下位4クラスの点数が著しく上昇し、上位4クラスの点数は逆に著しく下降していました。この結果から、教頭は「椅子を取り払って立位で行う英語授業は有効である」という結論を出し、「(この学年のみならず)全ての学年で英語の授業は立位で行う」というシステムの拡大を謳うべきではないか、とあなたに提案しています。さて、あなたはこの学校の校長先生です。あなたは教頭先生のこの意見に反対ですか、賛成ですか?それはなぜですか?理由も含め、回答しなさい。



もちろん、前述したようにこの「問題」は私が勝手に作ったもので、実際に立位での授業が生徒の学習に有効かどうか、私は全く知りません。あくまでこれは例として、上の「新たな教育の試み」を「介入」として考えたとき、「真の介入効果」を見極める上でこの「研究デザイン」にどういった欠点があるかを指摘できるかがこの問題のカギなのです。

●最大の問題点
この「研究デザイン」の最大の問題点は「グループ分け」にあります。実力テスト(pre-test)を行って上位・下位4クラスでそれぞれに分類したとありますが、注意すべきは問題文のこの一文です。

テストを行うたびにあまりにこの8クラス内・外において点数にばらつきがある(=上がり下がりが毎回激しい)

…ということは、この上位4クラスは「たまたま」この実力テスト(pre-test)で「実際の実力以上の」いい点が取れたクラスたちなのかも知れなくて、一方で下位4クラスは「たまたま」「実力を発揮できずに」悪い点数になってしまっただけなのかも知れませんよね。クラス内・外でのパフォーマンスが元々アップダウンが激しく、一貫性がないのが問題だとすでに示されているのですから、「この実力テスト(pre-test)の点数を元にグループ分けすることがそもそもの問題である」のです。
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この状態で2回目のテスト(post-test)を行えば、例え何も介入を行っていなくても、自然と上位4クラスの点数はクラス本来の「実力」である平均値に近づくように下降し、同様にたまたま悪いパフォーマンスが出てしまった下位4クラスはクラス本来の「実力」である平均値に近づくように上昇するでしょう(上図)。こうして、パフォーマンスを繰り返せば繰り返すほど偶然の要素が相殺し合い、本来あるべき値、つまり平均値に数値が近づいていくことを「平均への回帰(Regression to the Mean)」現象と言います。

言い方を変えるともう少しわかりやすいですかね。例えるならこの研究デザインは、サイコロを振って5や6が出たクラスと1や2が出たクラスをわけ、「次のサイコロは何が出るかな?」と言っているようなものなのです。次に振るサイコロの値は、サイコロの目の平均値(=(1+2+3+4+5+6)/6)である3.5に近づく可能性が高い…つまり、さっき5や6が出たグループは次のサイコロの目がそれよりも下がる場合が多く、1や2が出たグループは次のサイコロの目の値が下がる可能性が高くなるわけです。

(RPGにおいて、全く同じ攻撃力で敵を攻撃し、「かいしんのいちげき」が出た組と攻撃を「ミス」した組に分けた感覚にも似ています。次の攻撃は、おそらく本来の攻撃力に見合った一発になる可能性が最も高く、相手に与えるダメージ値は両グループ共に似通ってくるはずです。つまり、「かいしんのいちげき」組はパフォーマンスが下がったように見え、逆に「ミス」組は上がったように見えますが、本来の攻撃力は両グループ共に等しいわけです)

話をテストの点に戻しましょう。今回の話のpre-testとpost-testの「値の変化」は真の実力の推移を反映したものではなく、あくまでの統計学的に平均値は変わらないまま、自然と生まれるパフォーマンスの質そのもののゆらぎに起因する可能性が十分にあります。それを考慮した上で、私は「…以上の理由から、上位のクラスは失敗をするように、下位のクラスは成功をするように(意図的ではないにせよ)仕組まれた、不公平な研究デザインである。実際にこの学習法が効果があるかどうかを断定するにはエビデンスとしては不十分」と指摘。教頭の判断は時期尚早で「私は不賛成」とし、1) 8クラスを「ランダムに」グループわけすること、2) n数を増やすこと、3) Baseline時にhomogeneityを確立することを改善点として挙げ、再度検証をすることを勧めました。皆さんの回答と比べてどうでしたか?



パフォーマンスはいつの世も「ゆらぐ」ものであります。もちろんその「ゆらぎ」をどう本番に持ってくるかもプロは考えてしかるべきなのでしょうけれども、だからといってシンプルに一時の数字だけで ―一試合の勝敗で、打率や防御率で― ヒトの実力が上がった下がったとも一概に言えないのです。黒星が続くこともあれば、白星が続くこともある。しかしそのデータを積み重ねれば重ねるほど、その人の真の実力というものが見えてくるわけです。

藤井四段は誰よりもまっすぐその長くプロの道を見据え、「たまたま」続く白星に感謝をしながらも、これから来るであろう黒星も見据え、ゆらぎを考慮に入れながらも実力そのものの向上に向かおうとしているのではないかなという私の勝手な印象でした。願わくば、彼に黒星がついたときや続いたときに「絶不調」や「スランプ」なんて言葉を使う大人は少なくあってほしいものです。そんなときは言いましょう、「それは単なる平均への回帰ですよ」、と。

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  # by supersy | 2017-06-28 16:15 | Just Thoughts | Comments(2)

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