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SWATA Competency Workshop & PRI Postural-Vision Integration Course

色々とイベントフルな週末でした。

一つ目のイベントはSWATA Competency Workshop。毎年1月末の木~土曜の3日に渡ってDistrict 6 (Texas & Arkansas)に住む現役のAT学生3・4年生(もしくは大学院1・2年生)を対象に行われるBOC試験対策勉強会です。会場となったのは私の母校のTexas State University-San Marcos! 訪問したのは実に4年ぶりでした。
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卒業してもう11年と言う年月が経っているのですが、奇跡的(?)に当時の恩師やPreceptorがまだ大学に残っているので押しかけていって挨拶をしたり、元同級生が今、ここで教職をやっているのでcatch upしたり、思いがけず定年退職した教授が私がくることを聞きつけてわざわざ会いに来てくれたりと、さながら小さな同窓会のようでした。
学生のころ通った教室やAT Clinic、Endzone Complexに足を踏み入れると思い出がとめどなく流れてくるので驚きました。ここで皆でくだらない冗談言ってゲラゲラ笑ったなー、とか、選手がミーティングに行っている間、この部屋で皆で勉強して時間潰したっけ、とか、ここで熱中症になって倒れたっけ(笑えない)、とか…。キャンパスはどんどん大きく立派になっていくけど、変わらない「ホーム」がここにあります。学部生時代を過ごした場所はやはり自分にとって少し特別ですよね。初心に帰る思いでした。

そもそもなんで学生対象の勉強会に参加したかって、実は講師としてお呼ばれしていたからです。昨年も講師として来てくれないかと声をかけていただいていたのですが、「すみません、既に申し込みをしてしまった講習と重なっていて…」と泣く泣く断らざるを得ず。今年はスケジュールががっつり合ったので是非に!ということで、私は日程の2日目、3時間の講義・実技を担当させていただきました。「BOCの試験に合格することはもちろん重要だ。でも受かった後も色々勉強しなきゃいけないことはたくさんあるよね、例えばATとして最低限の知識・技術をブラッシュアップするためにPosition Statementを読むとか…」という話から、「それからね、ATCになったあとは自分の好きなことを選んでがっつりずっぷり勉強できるという楽しみがあるよ!例えばこんなものがあるんだけど…」という流れでPRIのイントロの授業をやらせていただきました。講義と実技(↓)、結構みっちりやりましたよ。こんな斬新ともいえる切り口の講習を依頼してくれたCarlaのオープンさが素直にありがたいです。楽しんでもらえたかなー。
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Workshopが終わった後はダラスに移動し、土・日を利用してPRI Visionの講習を履修してきました。こっちは教えるほうでなく、受講するほうです。PRI Visionのコースは一般のPRIのコースに比べてまだまだ米国内でも関心が低いというか、参加者が限られていて非常にもったいない気がします(受講者の数が足らずに講習がキャンセルになることも度々あると聞きます)。私がこの講習を取るのは二回目なんですが、講師のRonもHeidiも「どうしたら受講者にもっとclinically applicableなやり方でmaterialを教えられるか?」を常に試行錯誤しているため、毎回切り口が少し違って、取るたびに大きな発見があります。今回も非常に実りの多い時間が過ごせました。講習を受けながら考えていたことを忘れないうちにまとめておこうと思います。

目は口ほどに物を言う、なんてことわざもありますが、目の外観以上に、各々がその二つの目をどう使ってどんな世界を見ているかもその人のヒトトナリを表しているのではという気もします。 
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その人がどんな風に世界を捉えているのか…というのは例えばその人の描く絵に大きく反映されますよね。「光の魔術師」と言われる有名画家のレンブラントの書き残した多くの自画像…それら見てみると、油絵もエッチングも(油絵は鏡を見て描いたものなので左右が反転し、エッチングは印刷の過程で再反転するので左右は結局元通りになるはずなのですが)関係なく、多くの絵の中の「自分(extension of self)」の左半身が陰に包まれているのが見て取れます。光の魔術師と言われるほどの光の使い手が、敢えて自らの左を影で塗りつぶしたその背景には、どんな意図があったのでしょうか?彼は自分自身の「左」をどういう風に見て、何を感じていたのでしょうか?色々と探求したくなる絵たちです。
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実は、これには参考になるかもしれない歴史的見解があるのです。それは、「レンブラントは目に異常があったのではないか」という説。論文も出ています。1,2 下のエッチングによる「自画像」では、左目が少し外に逸れており、目の焦点が定まりきっていないようにも見えます。一説には、レンブラントは外斜視(exotropia)があり、それによって物事を立体的に捉えることができなかったのではないか、つまり立体盲だったのではないかと推測されているのです。尤も、これは画家としては決して悪いことではないらしく(美術学校では生徒に「片目を瞑って対象物を見ろ」と指導したりすることもあるらしい)、寧ろ彼の強みになったのかもしれませんが…。1 どちらにしても、彼の世界の見方、捉え方は我々が一般的に考えるそれから少しばかり逸脱していたことは間違いなさそうです。
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「見ている世界」に影響を与えるのは、目の異常だけでなく、脳の異常も然りです。例えば脳卒中を経験した患者さんがUnilateral Spatial Neglect (半側空間無視、以下USN)をdevelopしてしまう、ということがあります。 空間無視とは文字通り、空間の存在に気が付かずそちらに注意を向けることができなくなってしまった状態を差し(= the inability to pay attention to people and things on one side)、その空間を見ることができなくなってしまった状態(= inability to see one side)とは異なります。見えてはいても、認識ができないのです。そちら側の世界に、意識が飛ばせないのです。

いまいちどういうことかよくわからない、という方もいるかもしれません。例えば、USNの患者さんに、「手本(↓左)を見てその通り絵をかいてみてください」と指示すると、こういった絵(↓右)を描くのが典型的なんだそうです。時計も家も花も、お手本の左半分が全く見えていないような、その存在を無視した絵になっているのが分かります。自分の左視野内に何があるのか、把握しきれていないのです。こういった患者さんは、日常生活の中でも、髭を剃るときは顔の右側だけを剃ったり、食事時も左側に置いてあるものに一切手を付けなかったり、車椅子を運転中も左側のものに何度もぶつかったりするそう。「左」という空間を把握する能力がぽっかりと欠如してしまう(そしてその本人は自らの『無視』に気が付いていない)というわけです。
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今「左の世界を」と言いましたが、これまた興味深いことに、USNの殆どは左に起こるのだそうです。これはwikipediaからの引用になりますが(信頼できるエビデンスではありませんけど 笑)

右半球障害による左側半側空間無視が一般的である。左半球障害による右側半側空間無視も存在するが、左半球障害が起こると通常失語症が前面に出てくる。左眼が失明している場合も多いが、見えていることもあり、半盲とは別の病気と捉えられる。
そうなんです、「左の空間無視が圧倒的に多い」のは、我々人間がそもそもどういうわけか右視野を把握する能力に長けていることに起因します。脳には頭頂葉(parietal lobe)と呼ばれる部位があり、これが空間把握を司どっている…というのは皆さんもご存知でしょうけれども、「右の頭頂葉は右と左の空間把握を司り、左の頭頂葉は右の空間把握のみを司っている」という左右の違いは知っていましたか("The right parietal lobe contains a spatial map for the both right and left visual field, while the left parietal lobe contains the right visual field only.")?私は恥ずかしながら一年前にPRI Visionの講習を初受講するまで知りませんでした。…ということは、そう、左脳で脳卒中が起きて頭頂葉が壊死しても左右の空間把握能力はそれほど影響されない一方で、右脳で脳卒中が起こって頭頂葉が影響を受けると、ヒトは左の空間把握能力のみを失ってしまうというわけなのです。

では実際に、脳卒中によって左の空間を感知できなくなってしまったUSNの患者さんたちは、一体どのように視野を「感知」、「処理」、そしてもしかしたら「修正」するのでしょうか?それについて書いてあるのがこの論文(↓)3 です。
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この論文の冒頭によれば、USNの患者は、回復早期の段階で、「右側のものに意識が向くようになる」というバイアスのため、自然と(無意識化で)gaze (注視点)が右にずれてくるんだそうですが、ひとたび自分自身の「neglect behavior (無視行動)」に気が付いて「あっ、私、左がちゃんと認識できていない」と自覚してからはgazeを意識的に左にずらすようになる人もいるんだそう。これをこの論文では「Compensatory Behavior」と呼んでいます(必ずしも悪い意味で使っているんではないと私は受け取っていますが)。

この実験では右脳・脳卒中患者(平均65.64±13.70歳)を対象にUSNに対する代償(= intentional left gaze shift)がどのように行われているか、行われている場合、脳の活性にどういった違いが見られるのかを検証。全49人の脳卒中患者さんのうち、(脳卒中こそ起こしたけれども)USNそのものがない患者は24人(脳の他の部位に損傷が認められたのか、USNを既に克服していたのかは不明)、USNが認められるが代償をしていない人が15人、USNがあり代償もしている人は10人いたそう。で、以下のタスクをこなしてもらい、その間の目の動きを観察・脳活動を計測したそうな。
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1. 5つの黒点が表示されたスクリーンを見るよう指示。
2. ビープ音の0.5秒後に、5つの点のひとつがランダムにフラッシュ(2秒間黒と赤の色の変化を交互に繰り返す)する。
3. 被験者はフラッシュしている点にできる限り速く目線を合わせ、見つめる。
4. 0.5秒の休憩を挟んでまたビープ音が鳴り、0.5秒後にまたひとつの点がフラッシュ…を合計25回繰り返す。

文章中に「4秒のインターバルで…」と書いてあるんですが、その下のFigure 1には「3秒のインターバル」とも表記してあり、図を見る限りではビープ音からフラッシュまでが0.5秒、2秒間フラッシュ、0.5秒の休憩を経てビープ音、0.5秒空いてまた2秒フラッシュ…という説明がありますから、足し算をすると一度目のフラッシュ開始から次のフラッシュ開始までは丁度3秒間。「3秒インターバル」という表現のほうが正しそうですね。

これらのタスクは2セット繰り返され、1セット目は特に指示を受けずに自然な状態で(= gaze shiftする人はするし、しない人はしない)行い、2セット目はフラッシュとフラッシュの間に画面の中央を見つめるように指示されて行った(= gaze shiftの要素を排除)そうな。
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結果は見たほうが早いですかね。こちらです。Experiment 1 (指示なし)の場合(↑図右)では、USNがない患者群(RHD、黒線)とUSNがあったけれども代償もしている患者群(USN+、青線)は全てのフラッシュに即時に対応できたのに対して、USNがあり且つ代償をしていない患者群(USN++、赤線)は左の点ふたつに反応しないこともあったり、反応に著しく時間がかかったりしたそう(p < 0.01)。目の移動線がそれを如実に表していますよね、3つの患者群で目の開始位置が全く違う。Experiment 1 (指示なし)の際に、USN+はそもそも目線が左に寄っているところから開始し、左から舐めるように右に移動することで左の見落としを防いでいるのに対して、USN++組は右寄りから開始し、そのまま中心線を割って左に行くことなく、右側にとどまり続けている(左半側空間無視)様子がよく分かります。Experiment 2ではどの組もそれほど差がなく、特にUSN+もUSN++も同様に左への反応が遅れているのが興味深いです。つまり、この両実験を比較することで「USN+の患者はleft gaze shiftという代償行動で見落としを防ぐ努力をしている」ということが言えます。

しかし、これはあくまで代償行為による見落とし防止が成功しているのであって、USN+の患者たちの脳の活性パターンは、RHDのそれとはハッキリ異なっていたそう(p < 0.05)。USN+の患者はタスク中前頭葉を過剰活性させ、頭頂葉の活動を補っているのであって(↓)、空間無視そのものを克服したわけではないのです。この論文の考察では、「USN発症」→「USNがあるという自覚が欠如しており、right gaze shiftが起こる」→「USNがあるという自覚が芽生え、前頭葉の活動を増やし、left gaze shiftをすることで左視野の把握に成功」→「左視野把握能力が徐々に脳の可塑性によって回復し、gaze shiftが消える」という流れでヒトがUSNを克服するのではないかと推測されています。なるほど、理には適っているように思います。
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左にgazeをshiftすることが、左の主視野(central vision)の再発見につながり、それがさらに広がって左の副視野(peripheral vision)の再習得につながるということなのかなー。副視野の取得がその後に起こるのであれば、gazeのshift(frontal plane movement)があくまで短期的なcompensatory strategyとして使われること事態はきっと何も問題ないはずだし、それはいわゆるプリズムを使った介入の目的(= 視界を一方向にズラす)とも非常に近いような気がする。というか、gazeが長期間経ってもshiftしない人たち(今回の研究でいうUSN++の人たち)は、そもそも左の副視野を有効活用できていなかった人たちなんじゃないかなー。認識できていない、その人にとって『存在』すらしていない世界にヒトが足を踏み込むことはないから、半側空間無視の患者さんは必然的にgaitの半分を失うことになる(左足のヒールストライク時には左の副視野からの感覚入力が必要不可欠。そこから左の立脚中期にかけて左副視野のoptic flowが生まれ、『前進している』感覚が生み出されるから)。…ん?そもそも左の世界を無視している人間が歩行をしたら、左荷重、左腕の前方スイングは生まれるのか?自分の目の前にスイングされた左腕すらも認識できないのに?認識できていない左地面に全ての体重をかけられるほど、その空間を信頼できるのか?もしかしてgaitのバイオメカニックスそのものが恐ろしいほど変化する?全てが右に偏った、lateralizeした世界で生きるのは窮屈だろうけれど、そんな狭まった選択肢で生きていることにも気が付かないなんてぞっとするし、もしかしたらその気が付かない理由が「そもそも脳卒中前から左が無かった」だったとしたら…。うーむ。色々考えてしまいます。

PRI Visionのコースを取ってから、歩行時に目の端でreferenceとなる背景を掴んでそれをさながら「視覚的足がかり」にしてぐいっと自分を引っ張るように進んでいる感覚が楽しくなっています。こうして人間は前進するのだと。歩行がいかに感覚統合の賜物かってこと、考えれば考えるほど圧倒されてしまいますね…。近視も乱視もがっつりある私ですが、PRI的に目の問題はどうやらそんなになさそうです。

空間無視…見えているのに把握できない…。実際に脳の中でどんな混乱が起きているのか、それとも私が思う以上に波一つない海のように静かで穏やかな世界なのか。脳卒中患者の頭の中、心の中をこっそり覗かせてもらいたい気持ちでいっぱいです。レンブラントがもしかしたら見えていなかったように、左にも光と色があり、空間が広がっているのだと実感しながら生きていきたいですね。PRI Visionを受講してのreflectionと絡めてのまとめになってしまいましたが、いやー、つまるところ、とても面白い論文でした!もうちょっとこの分野も読み込んでみるかなー。

1. Livingstone MS, Conway BR. Was Rembrandt stereoblind? N Engl J Med. 2004;351(12):1264-1265.
2. Mondero NE, Crotty RJ, West RW. Was Rembrandt strabismic? Optom Vis Sci. 2013;90(9):970-979. doi: 10.1097/OPX.0b013e31829d8d48.
3. Takamura Y, Imanishi M, Osaka M, et al. Intentional gaze shift to neglected space: a compensatory strategy during recovery after unilateral spatial neglect. Brain. 2016;139(11):2970-2982. doi: 10.1093/brain/aww226.

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  by supersy | 2018-01-30 23:30 | PRI | Comments(0)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』診断力のシステマティックレビュー・メタ分析風まとめ。






Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその5。(2018-01-22)


シリーズの集大成?って感じでしょうか。今までの総まとめです。百聞は一見に如かず。まずは下のテーブルをご覧ください(クリックで拡大)。今までのLever Sign関連研究の結果一覧表です。個人的に覚えておきたい各研究の癖やポイントは右側の「コメント」にまとめてあります。
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質の高い診断研究はまだまだ十分になく、最終結論を練りだすのは難しいかなぁという印象です。研究結果は、最後のMulligan et al以外はそれなりに一貫性が見られたんですけどねぇ…。

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この中で私が思う、「質が中ではそこそこかもしれない有意義な」研究たち…つまり、我々が結果を現場で応用するにあたってそれなりに実用性のある、「前向き(Prospective)で」「患者が意識がある状態で行われた」、且つ「Arthroscopy(診断ゴールドスタンダード)を比較テストに用いている」研究に絞ってメタ分析を行ってみました。総患者数は399人…ACL診断研究のメタ分析としては非常に少ない数字ではありますが(LachmanやAnterior Drawer, Pivot Shiftのメタ分析なんかでは何千もの被験者がいますから)、これが一応今のところ、「現時点でのまだエビデンスの質が高めな研究たちを集めて出した、統計的結論」といえるかと。もちろん、ACL断裂者割合が高すぎ(340/399 = 85.2%)て、実際のスポーツ現場でのprevalenceからかけ離れているとか、Sample Biasを始め色々問題はあるんですけども。

95%CIも含めてこれらの数字を眺めてみて、現時点の結論としては、「除外にはハッキリと有効、確定にもそれなりのチカラを持つ」、「Lachmanを超えるほど優秀ではないにしても、それに匹敵すると言ってもいい」、「利点は実施が簡単、特殊なスキルを要しない、患者との体格差を気にしなくてもいい、必要とする可動域が狭くてもいいなど複数挙げられる。これらは他のテストにはないユニーク且つ現場での応用の利く長所である」…ということが言えるんじゃないかと思います。どうでしょう?「結局のところLever Sign Testは使えるのか?」というテーマで何年か渡って複数の記事を書いてきましたが、今のとこは「どうやらなかなか使えそう」ってことで、いいんじゃないですかね。

今回レビューした合計7つの文献は、一番最初のテーブルに出てくる順にこんな感じになってます(↓)。一応現時点で出ているLever Sign関連文献は全て網羅しているつもりなんですけど、もし「こんなのもあるよー」なんてのがあったら是非教えて下さい。

1. Deveci A, Cankaya D, Yilmaz S, Özdemir G, Arslantaş E, Bozkurt M. The arthroscopical and radiological corelation of lever sign test for the diagnosis of anterior cruciate ligament rupture. Springerplus. 2015;4:830. doi: 10.1186/s40064-015-1628-9.
2. Thapa SS, Lamichhane AP, Mahara DP. Accuracy of Lelli test for anterior cruciate ligament tear. J Inst Med. 2015;37(2):91-94.
3. Lelli A, Di Turi RP, Spenciner DB, Dòmini M. The "Lever Sign": a new clinical test for the diagnosis of anterior cruciate ligament rupture. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2016;24(9):2794-2797. doi: 10.1007/s00167-014-3490-7.
4. Massey P, Harris J, Winston LA, Philip N, Delgado DA, McCulloch PC. (2017). Critical analysis of the lever test for diagnosis of anterior cruciate ligament insufficiency. Arthroscopy. 2017. doi:10.1016/j.arthro.2017.03.007.
5. Chong AC1,, Whitetree C, Priddy MC, Zimmerman PR, Haeder PR, Prohaska DJ. Evaluating different clinical diagnosis of anterior cruciate ligament ruptures in providers with different training backgrounds. Iowa Orthop J. 2017;37:71-79.
6. Jarbo KA, Hartigan DE, Scott KL, Patel KA, Chhabra A. Accuracy of the lever sign test in the diagnosis of anterior cruciate ligament injuries. Orthop J Sports Med. 2017;5(10):2325967117729809. doi: 10.1177/2325967117729809.
7. Mulligan EP, Anderson A, Watson S, Dimeff RJ. The diagnostic accuracy of the lever sign for detecting anterior cruciate ligament injury. Int J Sports Phys Ther. 2017;12(7):1057-1067.

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  by supersy | 2018-01-23 19:00 | Athletic Training | Comments(0)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその5。

Lelli's Test―ACL断裂のための新しいスペシャルテスト!? (2014-02-02)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその1。(2016-03-16)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその2。(2016-03-18)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその3。(2016-12-14)

Lelli Test、改め『Lever Sign Test』は結局のところ使えるの?最新エビデンスまとめその4。(2017-09-26)

ACLの話題が出たからってわけじゃないんですけど、Lever Sign Testについて新しい論文を2つ見つけたのでまとめておきます。なんだか結果的に壮大なシリーズものになってしまったなぁ。次回は今までに読んだ論文でメタ分析っぽいことしてみますね。思ったより短期間で論文がずいぶん集まったように思うので、今までの総合的な結果を出してみたいのです。
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さて、まずは2017年10月発表の論文1です。
この研究では複数の事柄が検証されており、1) Lever Sign Testの正確性はMRIと比較してどうか?(比較対象がMRIというのは理想的ではありませんね); 2) Lever Sign Testの正確性はAnterior Drawer, Lachman, Pivot Shift Testsと比較してどうか?; 3) Lever Sign Testを異なるレベルの臨床家が行った場合、正確性に違いはあるか?; 4) 患者が麻酔下にあるのとないのとではどうか?; 5) 患者が男性vs女性の場合で違いがあるか?のざっくり分けて5つ。わー面白そう。

被験者となったのは急性の膝の痛みを抱え、受診してきた患者102人(男58人、女44人、平均23歳)。受傷or症状が出始めてから4週間以内であることが条件で、以前に膝の手術を受けた既往歴があってもこの研究の被験者群からは除外されなかったそう。これは現場でのapplicabilityを考えたら全然アリですね。一方、今回試験者役を務めたのは学部生 (専攻、経験は不明)、医学生、整形外科研修医の3人。これらの試験者は患者の既往歴やレントゲン、MRIの結果などを全く知らない状態(blinded)でテストを行った、という点は評価できます…が、しかし、患者一人につき、ランダムに選ばれたこれら試験者3人のうちたったひとりが実際に試験を行った、という点は甚だ疑問です。どうしてそれぞれの試験者が全ての被験者をテストするデザインにしなかったのか(同じ被験者群を、様々な試験者がテストするからその結果比較に意味が生まれてくるのでは)?たまたま診察しやすい、結果が明確に分かりやすい患者が特定の試験者に集まってしまった可能性は?せっかくだったら、ランダムな順番で、それぞれの試験者が全ての被験者をテストする形にすればよかったのに…。このデザインにした正当性がよくわかりません。手間短縮?

しかしこの研究の最大の問題は、実験終了期間までに最終的に手術をした被験者たちは「手術組(n = 54)」、しなかった被験者たちは「非・手術組(n = 48)」と名付けられ、それぞれ異なる実験プロトコルを受けた点にあります。非・手術組は最初の診察(initial visit)時にこれら4つのテストを使って診察されたのに対して、手術組はこれら4つのテストを手術室で手術直前に、患者が麻酔下の状態で行ったそうなのです。これは試験環境があまりに違いすぎます。試験者は当然、手術組の被験者に対して「手術するほどひどいケガがあるのだろう」と怪我の深度を予測しやすいかもしれませんし、患者が麻酔下であれば、筋緊張やガーディングの要素が排除され、より正確な試験が実施できるのは明白です。手術組のほうが「ケガをしてから診察を受けるまでの期間」は圧倒的に長くなるでしょうし(実際にここのデータのレポートはないので想像の域を出ませんが)、それに伴って起こる変化(考えうる範囲では、受傷からの時間が経過すればするほど腫れやスパズムの消失、痛みの減少などが起こり、テストがより実施しやすい環境になるのではと考えられる)もある。あまりに一度に要素を変えすぎでしょう。これは大きなバイアスの元になりえるので、見逃してはいけない致命的な欠陥なのではと私は考えます。

ともあれ、最後まで読んでみます。結果です。
Raw data (2x2 table)がない & 95%CIは求められていない上に、計算が微妙に合わないです。総被験者数とACL断裂・非断裂患者の数、それにSN/SPが分かっているのでそこから逆算して2x2テーブルが作れなきゃおかしいんですが、それ通りに計算していくと被験者の数が整数で示しきれないというerrorが起きます。どうなってんのー。そんなわけで、完璧に正確ではないかもしれませんが、近似値を使って私が全力で作り直した2x2テーブルとそれに基づいて求めなおしたSN/SPたちと95% CIは以下の通りです。
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うーん、今までの研究と比較すると、Lever Sign TestのSensitivityが少し低め、ですかね。特に非麻酔時。他は特に驚くところもないといったところでしょうか。本文によれば、「麻酔の有るvs無し、女性vs男性被験者、それから学生vs研修医の比較ではいずれも統計的に有意な差は見られなかった」そうで、これを好意的に解釈すれば「Lever Sign Testは麻酔、患者の性別、臨床家のスキルに影響を受けない優秀なテスト」と言えるのでしょうけれど…くどいんですが、raw dataが一切論文内に含まれていませんし、あまりにここまでのデザインの欠陥が気になりすぎて断言はしづらいです。被験者が少ないため、統計的に十分な力が欠けており、95%CI幅も広いです。すっきりしないというか…消化不良な部分の多い論文です。ぐぬぬ…。

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次は2017年12月発表の論文2
これも相当おかしな…いや、興味深い研究デザインです。Lever Sign TestとProve Lachman, Supine Lachman Testsを比べてみよう!というのが目的。被験者は膝の痛みを訴えてERに来診に来た60人の患者(男38人、女22人、平均42.0±13.4歳、受傷から平均55±80日)で、痛みのレベルは10段階で7以下、関節可動域が最低でも20-120度はあることが条件(これ、それなりの可動域ですよね?当てはまらない患者は現場で多そう…)。OKR陽性や膝関節形成手術(knee arhtroplasty)の既往歴、PCLの損傷疑い(posterior sag signとquads active testをした模様。これはコンビネーションとしてはアリだと思います)や過去6か月以内の膝の手術歴があった場合は除外したと。試験者となったのは36年のスポーツリハビリの経験のあるPTさんだったそうで…いやー、一人で一貫して行ったのは評価できるんですが、36年ってのは随分経験あるなー、私の技術と一緒とは考えにくい…、ということは、私ではこの実験の数値を再現できないかもしれない…。今回検証の対象になった3つのテスト(Lever Sign, Prone Lachman, Supine Lachman)ですが、順番をランダムに行ったという点は特筆すべきでしょう。ここまではグッジョブです。

問題はここからです。60人の患者のうち、正規のDiagnostic Gold StandardであるArthroscopyを受けたのはたったの19人。他の41人はscopeによるエビデンスは「not available」だった、と書いてあります(どういうことでしょう?)。さらに、「これらの41人は代わりといってはなんですが、『臨床的発見を総合的に見て』ACLが断裂しているかどうか決めました」と書いてあるのですが、1) MRIで断裂が認められる; 2) KT-1000で3mm以上のlaxityが認められる; 3) 第三者のPhysicianによる「陽性」的発見の3条件のうち少なくとも2つを満たしていれば『臨床発見を総合的に見てACL断裂がある』と判断されたようです。こんなふわふわしたReference Standard、他のどんなACL研究でも見たことがありません。…なにこれ?なんでこんなのでいいと思ったの?妥当性、正当性は?MRIで断裂が認められてもKT-1000がスパズムによってlaxityを検出しない+医師も見逃したらACL断裂なし?逆もあり得ますよね?根拠が全く分かりません。個人的にはこれら41人分のデータは見るに値しないの(見ても混乱するだけ)では、と危惧します。正確である根拠に欠ける、「正確そうなもの」と比べても仕方ないのです。

さて、結果です。今回の研究では2x2テーブルが複数provideされていたので確認のために自分で計算したテーブルをまた作りました(クリックで拡大)。
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ほとんどの計算はどんぴしゃで論文本文内の統計とそのまま一致したのですが、ふたつだけ、どうしても矛盾する点があります。1) Lever Sign vs Prone vs SupineでGold Standard/Clinical Clusterの両方で陽性・陰性の人数に推移があるのは絶対におかしいです。この数字は各徒手テストによって影響されるはずのない「比較対象」となる絶対的テスト結果ですから。これも相当致命的な欠陥で、「本当の数字は結局なんなの?」と疑いたくなってしまいます。2) 本文によれば「Supine Lachmanの総合的Sensitivity(右一番下のテーブル)は94%("For all subjects combined, the sensitivity was 0.94 (95% CI 0.73-1.0) and... p.1062)"とあるのですが、テーブル通りの数字なら(本文p.1063 Table 2)、TPが16でFPが8もある、つまり16/(16+8)が94%になることはこれも絶対にないと思います。これは単純な計算ミスか、テーブルの数値が正しくないかのどちらかです。

結論をまとめると、この研究で確認されたLever Sign TestのSensitivityは今までの研究に比べて著しく低く、Specificityもかなり低めで、「ACL診断への貢献度は低い」と言う感じ。Prone Lachmanが一番いいって、かなり意外な結果…。しかし被験者の少なさも災いして95% CI幅も広いですし、結局「本当のところはどうかよく分からない」と言うのが関の山でしょう。

…うーん、今回はどちらの研究もかなりお粗末で、ちょっとがっかりです。でもとりあえず、手元に幾つかのLever Sign Test関連の研究が集まったのは事実なので、明日の更新ではそれをメタ分析風にまとめて統計的な結論を出し、またやいやい論じてみることにします。やいやいー。

1. Jarbo KA, Hartigan DE, Scott KL, Patel KA, Chhabra A. Accuracy of the lever sign test in the diagnosis of anterior cruciate ligament injuries. Orthop J Sports Med. 2017;5(10):2325967117729809. doi: 10.1177/2325967117729809.
2. Mulligan EP, Anderson A, Watson S, Dimeff RJ. The diagnostic accuracy of the lever sign for detecting anterior cruciate ligament injury. Int J Sports Phys Ther. 2017;12(7):1057-1067.

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  by supersy | 2018-01-22 23:00 | Athletic Training | Comments(0)

ACL損傷予防に関する最新NATA Position Statement。

ずっと待ってましたよー、一週間ほど前、1月9日にやっと出ましたね!NATA Position Statement on "Prevention of ACL Injury"1!! 一度著者グループの御一方から直接中間報告のような発表を聞かせてもらう機会があり、 正式発表は今か今かと待っていましたが、そこから3年くらい経ちましたね。それだけ専門家の英知が詰まってるってことだと思います。早速読んでみます!
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このPosition Statementの冒頭では、ACL断裂受傷率が年々増加傾向にあること、ACL断裂が医療費負担の大きな原因になっていること、そして殆どのACL断裂はnon-contactで起こることを指摘。特に、ACL再建手術を受けた選手の82%が競技復帰を果たしているが、うち以前と同じ競技レベルに復帰できるのはたった63%である、という統計はなかなか効果的に危機感を煽ります。予防介入アプローチの可能性と、それらは単独要素にのみ着眼したものよりも、複数の要素をかけ合わせたプログラム(multicomponent training programs)のほうがACL予防に有効かもしれないことなどを述べています。

推奨項目の中で大事だと私が個人的に思うものを列挙していきます。いつも通り、推奨度の強い順に、A (= what we must do)、B (what we should do)、C (what we can do)もつけてまとめておきます。

●予防プログラムとその効果
1. Noncontactとindirect-contact ACL injuryを減らすプログラムには、これさえすれば大丈夫という絶対的なデザインは存在しない。共通する項目をまとめてガイドラインを提唱するとしたなら、("Land softly"や"Keep your knees over your toes"などの)テクニックに関してのフィードバックとstrength, plyometrics, agility, balance, flexibilityのうち最低でも3要素に重きを置いたmulticomponent training programが推奨される(推奨度・B)。これらのプログラム実施による具体的なリスク減少は39-73%(半数近い研究は>50%のリスク減少を示している)と、非常にencouraging(希望を持たせてくれる)でpromising(確信的)と言える。特に女子の中高生アスリート(12-18歳; この年齢、性別のアスリートは最もACL損傷リスクが高いと言われている)にはこういったプログラムの実施を強く強く推奨する(推奨度・A)。これらのプログラムは、ACL損傷予防はもちろん、膝の他の怪我の予防(RRR = 54$)と下肢一般の障害予防(RRR = 39%)に対しても支持されており(推奨度・A)、下肢のバイオメカニックスと筋活性の向上、ストレングス、パワー、バランスの向上、そして着地時の衝撃減少にもつながる(推奨度・C)のでオイシイことばかりである。

2. 実施のタイミングはプレシーズンとシーズン中で、少なくとも一週間に2-3回の頻度で行う(推奨度・B)。長さは最低でも1セッション15分(15-20分が一般的)、具体的には各カテゴリーから1-3つのエクササイズを選ぶようなイメージ(↓下のテーブル3参照)だが、トレーニング量と強度を上げると予防効果も上がるよう(= inverse dose response)なので、可能であればduration、頻度や強度を上げ、より長期にわたってプログラムを実施したほうが良い。Compliance rateも重要な要素で、こういったプログラムをあまりきちんとやらない(compliance rate 33.3-66.6%)、もしくはほとんどやらない選手(<33.3%)はきちんとこなす(>66.6%)選手と比較してACL損傷の受傷リスクがそれぞれ3.1倍、4.9倍まで上がるという。そのため、選手やコーチ陣への事前教育は必要不可欠である(推奨度・C)。

3. この予防プログラムは毎年繰り返す必要があるが(一年やって終わり、では効果は継続されない)、全く同じことをやり続けるわけではなく、正しいテクニックが実行できるレベルで、徐々に難易度を挙げていくこと。前のダイナミック・ウォームアップとして、もしくはStrength & Conditioningのプログラムの一環として監督する指導者がいる環境で行うのが良い(推奨度・C)。個人的には該当指導者はATかSCになるのかな、と感じています。

4. 特にこういったプログラムに参加すべき対象として、1) ジャンプ、着地、方向の変化(cutting)などを必要とする競技をしている選手(i.e. アメフトやサッカー、バスケットボールなど); 2) 女性アスリート; 3) ACL損傷の既往歴がある選手が挙げられる(推奨度・A)。可能であれば若いうち(中学校や小学校)から始めたほうが理想的である。
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しょ、正直に言います。「知っとるわ!」という内容ばかり…。Lit reviewの部分は面白い内容は確かに沢山あるのですが、推奨事項は今までここでまとめたことがあるような項目がほとんどでしたね。とはいえ、いつもと同様読みやすさを重視してまとめられていて、推奨項目も18と少ないので、ATCの資格を有する方は一度目を通しておかれることをお勧めします。ご存知の通り、NATA Position StatementとJournal of Athletic Trainingに掲載されている論文は全て全文無料なのでsubscriptionは必要ありません。リンクを下に貼っておきますねー。

1. Darin AP, Lindsay JD, Timothy EH, et al. National athletic trainers' association position statement: prevention of anterior cruciate ligament injury.
J Athl Train. 2018;53(1):0-0. doi: 10.4085/1062-6050-99-16.

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  by supersy | 2018-01-15 23:55 | Athletic Training | Comments(0)

呼吸と共に頭蓋は動く。

2日連続で長い記事を書いたので今日は短めで。
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仙腸関節は動かない、という意見の方は一定数いますが、個人的には半分synovial, 半分syndemosisの仙腸関節が動かないわけがないと思っています。だって、遠位脛腓関節は100% syndemosis(繊維でガチガチ)ですが、でもあそこの動きを否定する人はいないでしょ?SIは半分synovialなんですよ。関節包があって滑液がふたつの骨の間に存在するんですよ。造りとしては遠位脛腓関節よりも明らかに動かなければ理に適っていない。SI関節が動かないというなら、経験則(i.e. 「だって動かない気がするから」)でなく動かないという確固たるエビデンスを示してほしい。私は業界ではそんなに論文を読んでいるほうではないかもしれませんが、そういったデータを今まで個人的に見たことがないのです。

でもこういう議論って実は「動かない」派の人たちのほうが圧倒的に不利だとも思うんです。だって、動かないことを証明するのは理論上ほぼ不可能ですから。何かが存在しないというエビデンスを示すのって、それが存在するかもしれない、ということに繋がるエビデンスをひとつひとつ全て否定することですからね。
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一方で、頭蓋が動かない、という意見は、SIよりはまだ理解できます。頭蓋はsuture jointsでできており、syndesmosisと基本同じ、fibrous jointという構造で繊維でガチガチに固められていますからね。でもそれでも言ってしまうと、私は「頭蓋も動く」と考えています。例えsutureであろうともそれが関節である限り、そこに動きはあって然るべきだと思うからです。動きが必要でないならば、ひとつの完璧に結合している骨(one fused bone)で頭蓋をくるっとまるっと造っておけばいい話なんですから。It just doesn't make sense that it's a joint if it's not meant to move、とどうしても感じちゃうんです。

「動く」エビデンスを示すのは「動かない」エビデンスを示すよりも圧倒的に楽である、という不公平さを踏まえて、「動く」エビデンスになる論文1をひとつだけ紹介しておきますね。こちら(↓)です。
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Fluid dynamicsの観点から頭蓋の動きについてまとめた文献は実は結構色々出てるんですよね。2-5 うち、NASAがサポートしている研究も多いですし、ロシア宇宙研究チームによる研究も複数ありますし6-8 …なんでしょう、宇宙空間で無重力になり、CSFに影響が出るとしたらそれによって頭蓋がどんな影響を受けるか解明しなきゃ、みたいな資金投資があったんでしょうか(完全な推測)?動物実験もそうなんですけど、献体9と生体10を使った実験でも頭蓋が動くとは今までに報告はされてるんです。パイロット研究などで少ない被験者ではありますけど、レントゲン10でMRI7,8で頭蓋の動きが確認できるっていう論文も発表されてますしね。これらの頭蓋の動きは心拍や呼吸などの生理的機能に伴うoscillationと深い関係があるんじゃないか、という説があり、これはDr. Sutherlandの提唱したPrimary Respiratory Mechanism (RPM)とも密接な関係があります。Dr. SutherlandはOsteopathyの分野で初めてCranial Approachを系統立てて確立・教育した著名なオステオパシック医師ですね。呼吸と共に頭蓋は屈曲・伸展を繰り返すというアレです(↓参考図 - 屈曲時には横に広がり、前後・上下には狭まる。眼窩が広がって眼球は突出する; 伸展時にはその逆が起こる)。
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で。健康的な成人被験者を使って、RPM伸展・屈曲時に頭部MRIでどれだけ頭蓋の動きが確認できるか検証してみましょうか、というのが今回の論文。1
20人の被験者(男13人、女7人、平均年齢36.7歳)が、頭部を下の図のようにテーブルにがっつり完全固定された状態で(↓Figure 1 & 2)、頭部MRIを撮影。45秒毎にイチ画像撮る、を8回くり返し、合計6分間の撮影を行ったそうです。この6分間、人間は呼吸と生理学的リズム、つまりゆっくりとRPM屈曲と伸展を繰り返しているわけですが、8枚撮れば屈曲時、伸展時の様々な写真が撮れるだろうというわけ。コンピューターを使ってそれら画像を解析し(↓Figure 3 & 4)、各被験者に対して断面積、外周、幅、高さ、Major/Minor軸、フェレ直径の最大値と最小値を産出。その差(= 頭蓋が動いたという数値的データ)を記録・分析したというわけ。
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で、結果です。下のテーブルを見れば一目瞭然かもと思いますが、統計的に有意な差が見られなかったのはPerimeter(外周の長さ)とMinor Axis for the best fit ellipseで(それぞれp = 0.80、p = 0.08)、その他のvalueでは全て著しく大きな変化が見受けられました。やはり頭蓋は外的な力がかかっていなくても、被験者自身の生命のリズムの中で動いている、ということが分かったわけです。自然に呼吸を繰り替えすうちに頭蓋は伸びたり、縮んだり、twistしたり、untwistしたりしている。しかもこの研究では特に呼吸に関して「深呼吸しろ」など研究者が被験者に指導したわけではありませんし、狙って「最大屈曲時に」「最大伸展時に」画像を撮影したわけではありませんから(画像撮影はあくまで「45秒毎、8回」)、この実験で確認できたRPM屈曲・伸展は最大屈曲・最大伸展を反映しているというわけでもなさそうです。つまり、もっともっと動く可能性はある、と。
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頭蓋が形を変えるとして、それがCSFの流れにどんな影響を与えるのか、脳細胞にかかる圧やshear forceが微妙に変化することで、脳機能にもoscillationが起こるのか…この論文を読むと新たな疑問も多く生まれますね。画像の質も年々上がっていますし、これらのclinical questionもいずれ回答されることを楽しみにしています。


1. Crow WT, King HH, Patterson RM, Giuliano V. Assessment of calvarial structure motion by MRI. Osteopath Med Prim Care. 2009;3:8. doi: 10.1186/1750-4732-3-8.
2. Heisey SR, Adams T. Role of cranial bone mobility in cranial compliance. Neurosurgery. 1993;33(5):869-877.
3. Ueno T, Ballard RE, Shuer LM, Yost WT, Cantrell JH, Hargens AR. Intracranial pressure dynamics during simulated microgravity using a new noninvasive ultrasonic technique. J Gravit Physiol. 1998;5(1):39-40.
4. Ueno T, Ballard RE, Shuer LM, Cantrell JH, Yost WT, Hargens AR. Noninvasive measurement of pulsatile intracranial pressure using ultrasound. Acta Neurochir Suppl. 1998;71:66-69.
5. Ueno T, Ballard RE, Macias BR, Yost WT, Hargens AR. Cranial diameter pulsations measured by non-invasive ultrasound decrease with tilt. Aviat Space Environ Med. 2003;74(8):882-885.
6. Moskalenko YE, Cooper R, Crow HJ, Walter G. Variations in blood volume and oxygen availability in the human brain. Nature. 1964;202:159-161.
7. Moskalenko IuE, Kravchenko TI, Gaĭdar BV, et al. The periodic mobility of the cranial bones in man. Fiziol Cheloveka. 1999;25(1):62-70.
8. Moskalenko IuE, Frymann V, Vaĭnshteĭn GB, et al. Slow rhythmic oscillations within the human cranium: phenomenology, origin, informational significance. Fiziol Cheloveka. 2001;27(2):47-55.
9. Sabini RC, Elkowitz DE. Significance of differences in patency among cranial sutures. J Am Osteopath Assoc. 2006 Oct;106(10):600-604.
10. Oleski SL, Smith GH, Crow WT. Radiographic evidence of cranial bone mobility. Cranio. 2002;20(1):34-38.

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  by supersy | 2018-01-14 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

寝る子は育つ?睡眠時間を延長すると、アスレティック・パフォーマンスは向上するか。その2。

続きです。

色々読んでいると、とにかく「エリートアスリートは睡眠の質が低い」ということが一般的に過去の研究で示されているようですね。オリンピック選手は(age- and sex-matched non-athlete controlと比較して)夜目を覚ます頻度が多く、総合的に効率の悪い眠りを取っている1、とか、オーストラリアの様々な協議のプロスポーツ選手(6.8±1.1時間)、中でもAustralian Football League (AFL)の選手ら(6.7±1.2時間)は2、National Sleep Foundationが成人に推奨する睡眠時間(7-9時間)3に満たない、とか。

そんで、6週間の睡眠介入でAFL選手のWell-beingとパフォーマンスはどう変化するか?を検証したのが今回の論文(↓)4です。シーズン真っ只中にこういった検証を行うのは選手が躊躇するかも、という理由で実験はシーズン直前に行われたようなんですが、何を検証したいかではなく、被験者のWilling ness to participateを一番に研究時期を決めるのは最善と言えるのかな…?と個人的には思ったりします。Applicabilityを考えるならシーズン開始直後からやるべきだったんじゃないかなと。とはいえ、十分な被験者が集まらなければ研究になりませんから、ここらへんのバランスは難しいところなんですけどね。

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冒頭にあるんですがまぁやっぱりというかなんというか、この時期の練習はそれほど強度が高くなく、「一週間に3日、一回につき2.5時間の練習が行われている」程度だった模様。うーん、やはり…シーズン中にトレーニング強度やPhysical demandがあがり、それによって睡眠が阻害されるというなら、この実験はシーズン中に行われてこそ意味があるのではと思ってしまうけどなー、くどいけど。

参加したAFL選手はまずSleep physician (って、初めて聞いたけどどんなCredentialとBackgroundを持ってる人なんだろう?)による睡眠教育のセッションを受け("Sleep hygiene, daytime stimulant avoidance and power napsについて一時間、一対一で話した"とは書いてあるけど、具体的にはどんな内容をどのようにプレゼンしたのが記述なし。詳細が分からないと再現のしようがないんだけどなー)、Self-report睡眠記録とActigraphyを6週間毎日記録。それのデータを元に、Research Assistantが毎週emailか携帯メールの形式で選手に「Feedback」を送信していたそう。具体的な内容はこれも不明で、Research Assistantがどんな有資格者なのかも不明。これに対しての被験者の反応義務があるかも不明なので、この「Feedback」の意図が少し…わからないかな。個人的には、これは介入といっていいの?何を目標としているの?という感じ。最低でも一日7時間寝るよう指導しました、とか書いてくれれば少しは意図がはっきりするんだけど、「睡眠の量と質改善のための指導」だと、具体的に何を目指していたのかさっぱりぷー。

研究の真ん中で(3週目の終わりと思われる。これも詳しいタイミングについては記述なし)、2度目となるSleep Physicianによる教育セッション ― ちなみにこれは一対一ではなく、1時間のグループセッションだったそう ― が再度行われたようです。Self-report平均睡眠時間がここまで7時間以下だった選手には特別指導が行われ、希望者には個別質疑応答カウンセリングタイムも設けられたそうですが、一体何人が「特別指導」されたのか、こういった個人セッションの時間を有効活用したのかも不明

実験開始時と、6週目の終わりに行われたアウトカム測定で測られた項目はこんな感じ。これでもかっ、ってくらいのPatient-based Outcome Measuresですね。ちょっとやりすぎ感あります。
ESS (日中の眠気); PSQI (睡眠の質); MEQ (朝型、夜型などのバイオリズムタイプ分類); Perceived Stress Scale (10-item, 不特定のストレス); 19-item Training Stress Scale (トレーニングによるストレス); POMS (ムード); PVT (反応時間)

んで。参加した25人のAFL選手(平均年齢23.7±2.0歳)のデータを分析。しかしね、こんなふわふわした感じの研究なのでね、ほとんど有意な変化がないのもあんまり驚かないですよ。計測してるOutcomeも多いし、百聞は一見に如かずなので、結果はこちらにまとめておきますね(↓)。統計的に有意な差があったのは4項目(下で黄色でハイライトしてます)ですけど、SDも高いし臨床的に有意とは考えにくいです。睡眠時間と睡眠効率の上昇も、Actigraphyもほうでは反映されてませんし、一貫性がないですしね。これが単なるoverestimationならいいんですけど、「やべっ寝てねーとなんか言われるから長めに書いとこ」でこうなったんだったらもう何の意味もないですしね。
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この研究の筆者はこれらの「改善」について考察であれこれ述べていますけど、あまり芯に響くものがありません。最も好意的に解釈すれば、「シーズン前のワークアウトが始まって本来ストレスが溜まってきたり、睡眠が不規則になってきたりするはずだったところがこの介入で未然に防げた(悪化せず現状維持できた)」ということにもなるのかもしれませんが…。うーん、久しぶりにがっかりな論文!

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さー気を取り直してつぎー!こちらはレビュー論文です5

冒頭に紹介されていた論文で書き残しておきたいものがあったのでひとつだけ。「17-19時間寝ていないだけで血中アルコール濃度が0.05%(体重70kgの成人が750mlのビールを飲む程度、飲酒運転で捕まる)と、28時間寝ていないと血中アルコール濃度が0.10%(体重70kgの成人が1.5ℓのビールを飲む程度、もちろん捕まる)なのと同じくらい認知・運動能力が落ちる」というアレ!今まで文章で目にしたことはあったけど、引用があって感動!これ6がその研究なのかー!お初お目にかかりまするー!

本筋に戻って。この論文は1) 睡眠がアスレティック/神経認知パフォーマンスに及ぼす影響; 2) 睡眠と肉体的健康の関連性; 3) 理想的な睡眠とは、という観点からまとめられたNarrative Reviewです。それぞれのセクションで私が面白いと思ったことをまとめると、

1) 徹夜すると同じ時間内に走行できる距離が低下したり、早く疲労感を感じるようになったり、心拍数が上がり、休息時に酸素消費量と二酸化炭素生成量が増え、乳酸血が上がるなど、つまるところスピードと持久力が低下する。リフティングに関しては「一日の徹夜ではそれほど影響がなくても、3日睡眠量が減ると挙げられる重量が低下する?」という少しバラツキのある結果が報告されており、具体的に4-5時間の睡眠ではテニスのサーブの正確性、ダーツの正確性が低下するようである。神経認知の観点からは、注意力、判断力と実行力、学習能力の低下も確認されている…とまぁ、睡眠が短くなると悪影響が出る、という研究は数多くある一方、前述のとおり睡眠時間を増やせば良い影響があるのかについて検証した研究は少ない。ここで昨日紹介した男子バスケ、テニスの研究も紹介されており、加えて「あまり寝られなかった日の翌日に30分の昼寝をすると、しなかった場合に比べてAlertnessとスプリントタイムが向上する」と報告された研究も紹介されている。

2) 不十分な睡眠は怪我と病気のリスクを高める。具体的には「8時間未満の睡眠しか取っていない中・高校生は怪我のリスクが1.7倍(95% CI 1.0-3.0)に高ま」り7、「同じ量の活性風邪ウィルスを鼻から注入されても、7時間に満たない睡眠を取っている人は8時間以上取っている人に比べて2.94倍(95%CI 1.18-7.30)風邪を引きやすく8、睡眠時間が5-6時間や5時間を切った場合、風邪を引くリスクはさらにそれぞれ、4.24倍(95% CI 1.08-16.71)と4.50倍(95% CI1.08-18.69)に跳ね上がる9」んだそうである(後者のふたつ…すごい研究だ)。他にも、短い睡眠時間と食生活・代謝ホルモン分泌の乱れの関連性を認める論文や、結果BMIが高くなる、という報告もある。興味深いのは「痛みへの耐性」で、これは睡眠不足によって著しく減るという研究もあれば、増えるという研究もある。未解明の事柄も多いので、ここらへんはより詳しくこれからの研究で解明してほしいところ。

3) 介入としては、まずは2週間ほど自分の睡眠パターンを記録して現状を知り、そこから30-60分くらい睡眠時間を増やしてみて、例えば短距離走のタイムがどう変わるかを自分の身体を使って実験してみることをお勧めする(これらは実際に検証されたわけでなく、あくまで著者の個人的意見に基づくもののようですけど)。同時に、涼しく、暗く、静かで落ち着ける睡眠環境を確保すること、寝る前のRoutineを決めて実行すること、カフェインやアルコール摂取は避けるなど…まぁ、こういうのは一般常識ですかね。いちいちここに書かなくていいですかね。

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最後はこんな論文を。エリートアスリートには国境とTime Zoneを越えた遠征はつきもの。時差ボケをどう理解し、どのように付き合うか、という論文がこちら10。例えば、「生活リズムを調節するのは、早めるより遅くするほうが簡単」「故に、Time Zoneを超えて移動する場合、西より東に移動したほうが楽である(時差ボケになりにくい)」などと言われますが、これは本当なのか?実際に、アスレティック・パフォーマンスに影響がでるのか?についてはあまり研究されてきませんでした。これを検証しちゃおうというわけです。

ところで私初めて聞いたんですけど、「長距離の移動をすると、グリップストレングスが落ちる」というのは結構よく知れた事実なんですって。11-13 知ってました?ジャンプテストのパフォーマンスが落ちたりもするらしい。14 へー。へー。

また話が逸れた。この研究では10人の大学生アスリート(全員男性、平均年齢20.6±2.7歳)が被験者となり(少ないですね、お金がかかりそうな研究デザインだから仕方ないのかもしれないけど)、あちこちに移動しながら、15分のスタンダード・ウォームアップをしたのち、1) ジャンプテスト; 2) 20m走; 3) YYIR1テスト(持久力とリカバリーを図るテスト、動画参照)のパフォーマンス計測と、時差ボケ自覚症状チェック、そして睡眠状態の計測を行なったんだそうな。

パフォーマンス計測セッションは大別して4回。
#1: 遠征の2週間前に朝9時と夕方5時の一日二回、4日連続ベースラインデータを計測; #2: オーストラリアからカタール(西方向)に移動してからの4日間、*ちなみに時差は8時間、3便の飛行機(エコノミークラス)を乗り継いで、総移動時間は21時間にも及んだそうな; #3: カタールで4日間過ごした後(wash out)、カタールからオーストラリアに戻る(東方向)前の2日間と; #4: 移動してからの4日後。計測の24時間前はカフェイン、アルコールの摂取と極端な運動は禁止。なかなかややこしいですね!大変そう。

で。結果です。
興味深いことに、睡眠時間はベースラインと比較して、西への移動時は変わらなかったものの(06:28±00:48 vs 06:40±0.36)、東移動時は著しく減少(05:46±00:57, p < 0.05)。睡眠効率は、どれも大差なし(88.2±3.1%, 87.0± 4.7% vs 87.4±4.5%)。時差ボケ自覚症状は、西と東どちらに移動した場合もベースラインより悪化したものの(p < 0.05)、東のほうが西よりも著しく時差ボケ自覚症状が見られ、機能の低下、モチベーションの低下ともに東のほうが著しかった。移動の影響は、西方向よりも東のほうが大きく出る。ここまでの結果は、先の説と一致しますね。
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パフォーマンス計測の結果は上にまとめました。ジャンプテストの結果(上左)も同様に、Peak Forceが西・東どちらの計測も移動の影響を受けて悪化(p = 0.04)したものの、より東へ移動した際のほうが西よりも悪化(p = 0.03)。20m走(タイムなのでグラフの上に行けば行くほど悪いパフォーマンス、上中央)はやはり全体的にベースラインと比較しての悪化が確認できたが、中でも計測2日目は東(〇)に移動したときのほうが西(●)より悪化(p = 0.03)していた。YYIR1(これは走行できた距離を示しているので、下に行けば行くほど悪いパフォーマンス、上右)は一日目は西(〇)のほうが東(●)より著しく優れたパフォーマンスを見せたが(p < 0.001)、4日目には東のほうが高いパフォーマンスに(d = 1.00)なるなど、バラツキが見られた。

そんなわけで、多少の一貫性の欠如はあるものの総じて「東方向に移動したときのほうが、西へ移動するときよりも睡眠、時差ボケ、スポーツパフォーマンスへの悪影響が著しく出る」ということが言えそうです。遠征のスケジュールを組む場合、東方向の遠征は数日余裕を持ってつくようにして、リカバリーの時間を十分に設けることなどが具体的な臨床への応用法でしょうか。私の個人的な体感でいうと、逆なんですけどねー…。日本に帰るときのほうが(西)、アメリカに戻ってくる時より(東)時差ボケが思いっきり出て、長いことしんどい。でもこれはn = 1ですし、アメリカに戻ってくるときはいつも「学期が始まるぞっ」っていう緊張感があるからかも。

まぁそんなわけで、睡眠に関する文献をざざっと読みましたがどれも興味深かったです。もちろん、何時間寝たか、という時間量だけではないと思うんですけど(= 睡眠の質をいかに高めるかも充分大事だと思うんですけど)、やはり多くのアスリートにおいては睡眠の絶対量が単純に足りていない、という一般的事実はあるのではないかと思います。ここまで文献を読んで、「アスリートが普段寝ている時間よりも2時間ほど睡眠を延長することによって得られる利益は、思っているよりも多くあるのかもしれない」とは感じます。まぁでも実際問題…9時間睡眠を確保するのは難しいですよね…7時間だってなかなか厳しいのに…。私ももう少し寝たいなー、どうすんべかなー・

1. Leeder J, Glaister M, Pizzoferro K, Dawson J, Pedlar C. Sleep duration and quality in elite athletes measured using wristwatch actigraphy. J Sports Sci. 2012;30(6):541-545. doi: 10.1080/02640414.2012.660188.
2. Lastella M, Roach GD, Halson SL, Sargent C. Sleep/wake behaviours of elite athletes from individual and team sports. Eur J Sport Sci. 2015;15(2):94-100. doi: 10.1080/17461391.2014.932016.
3. Hirshkowitz M, Whiton K, Albert SM, et al. National Sleep Foundation's updated sleep duration recommendations: final report. Sleep Health. 2015;1(4):233-243. doi: 10.1016/j.sleh.2015.10.004.
4. Van Ryswyk E, Weeks R, Bandick L, et al. A novel sleep optimisation programme to improve athletes' well-being and performance. Eur J Sport Sci. 2017;17(2):144-151. doi: 10.1080/17461391.2016.1221470.
5. Simpson NS, Gibbs EL, Matheson GO. Optimizing sleep to maximize performance: implications and recommendations for elite athletes. Scand J Med Sci Sports. 2017;27(3):266-274. doi: 10.1111/sms.12703.
6. Williamson AM, Feyer AM. Moderate sleep deprivation produces impairments in cognitive and motor performance equivalent to legally prescribed levels of alcohol intoxication. Occup Environ Med. 2000;57(10):649-655.
7. Milewski MD, Skaggs DL, Bishop GA, Pace JL, Ibrahim DA, Wren TA, Barzdukas A. Chronic lack of sleep is associated with increased sports injuries in adolescent athletes. J Pediatr Orthop. 2014;34(2):129-133. doi: 10.1097/BPO.0000000000000151.
8. Cohen S, Doyle WJ, Alper CM, Janicki-Deverts D, Turner RB. Sleep habits and susceptibility to the common cold. Arch Intern Med. 2009;169(1):62-67. doi: 10.1001/archinternmed.2008.505.
9. Prather AA, Janicki-Deverts D, Hall MH, Cohen S. Behaviorally assessed sleep and susceptibility to the common cold. Sleep. 2015;38(9):1353-1359. doi: 10.5665/sleep.4968.
10. Fowler PM, Knez W, Crowcroft S, et al. Greater effect of east versus west travel on jet lag, sleep, and team sport performance. Med Sci Sports Exerc. 2017;49(12):2548-2561. doi: 10.1249/MSS.0000000000001374.
11. Edwards BJ, Atkinson G, Waterhouse J, Reilly T, Godfrey R, Budgett R. Use of melatonin in recovery from jet-lag following an eastward flight across 10 time-zones.Ergonomics. 2000;43(10):1501-1513.
12. Reilly T, Atkinson G, Budgett R. Effect of low-dose temazepam on physiological variables and performance tests following a westerly flight across five time zones. Int J Sports Med. 2001;22(3):166-174.
13. Lemmer B, Kern RI, Nold G, Lohrer H. Jet lag in athletes after eastward and westward time-zone transition. Chronobiol Int. 2002;19(4):743-764.
14. Chapman DW1, Bullock N, Ross A, Rosemond D, Martin DT. Detrimental effects of west to east transmeridian flight on jump performance. Eur J Appl Physiol. 2012;112(5):1663-1669. doi: 10.1007/s00421-011-2134-6.

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  by supersy | 2018-01-13 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

寝る子は育つ?睡眠時間を延長すると、アスレティック・パフォーマンスは向上するか。その1。

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PRIマイオキネマティック・リストレーション in 横浜、ポスチュラル・レスピレーション in 東京の両講習が年末無事に終わりました!この冬でPRI日本講習の延べ受講者数が1000を超えたらしく(!)、なんと申しますか、感慨無量です。今までは年に夏と冬の二回、まとめて地道におこなっていたPRI日本講習ですが、2018年はもっと少人数での定期開催が可能になると思いますので、今まで時期が合わなかった、申し込みそびれていた方もこの機会に是非ご参加ください。

さて。私はこれらの講習が仕事納めで、年始は少しゆっくりしようと旦那と二人で台湾に旅行にも行ってきました。高雄に台北に夜市に九份に楽しかった!この冬も充実した日本滞在でしたー。5日前にテキサスの自宅に戻ってきたところです。お世話になった皆様ありがとうございます。
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さて、新年の抱負などここにぐだぐだ書いても仕方ないので、2018年もいつも通り読んだ論文のまとめから始めたいと思います。

個人的な話ですが、こうして日本とアメリカを定期的に渡り合ったり、それから元々肝っ玉の大きいほうではないので一日や二日の大掛かりな講習をしたりすると緊張して充分な睡眠が取れなくなることは多いです。若いころはそれでも元気にやれていたけど、年齢を重ねるとなかなか一晩の睡眠不足から回復するにも時間がかかるなぁと実感している最中です。今回は睡眠とヒトとしての機能の繋がり、特にアスリートのパフォーマンスに関する論文を少しまとめて読んでみました。いやー、この分野は興味深い研究が多いですね!全部はとても読めないや。
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まずは有名な「スタンフォード大男子バスケットボールチームの研究」1 から(↑)。研究が開始されたのが1-3月にまたがってある冬学期中だったため、その時期にシーズンを迎えるスポーツ選手をメインに被験者にリクルートしたそうな。チームあたり5人以上の選手から回答があり、現在睡眠障害がなく、健康状態が良好で、現在試合や練習に参加していることを条件に絞り込んだ結果、男子バスケットボールチームに白羽の矢が立ったのだと。被験者は11人(平均19.4±1.4歳)とかなり少なめ

2-4週間に渡る「Baseline Period」では、それぞれの選手が一日当たり6-9時間の睡眠をとっていることを確認したのち、5-7週間を「実験期間(Sleep Extension Period)」とし、普段よりも長い睡眠時間(最低でも10時間)取るように指導したとのこと。もちろん期末試験と重なったり、遠征と重なったりすることもあるので、どうしても不規則になるときはあったようなんですが、その場合は昼寝を推奨という形で補ったそう。

IV: 被験者はDaily Sleep Log/Journalを付け、いつ寝たかを各自記録したのに加え、手首に装着するタイプのアクティビティー・モニター(Actigraphy)も用い、これらのデータをマッチさせながら睡眠・行動時間を計測(データ同士に矛盾があった場合はどうしたのかな?)。これらのActigraphyは「Accepted Methodである」「Validatedされている」という記述はあるものの、そのStatementをサポートする論文として具体的に引用されているのが2003年発表のReview Articleひとつのみ2 なので、論理として確立されているかというと少し薄みを感じます。こういったデバイスが年々性能を上げているのは明らかなのでしょうけれど、この実験が行われた段階(2005-2008年)で使われたそれがどれほどの誤差を含んだものだったのか、個人的には考慮しないわけにはいかないのではと思います。しかし、被験者の主観的なSelf-Reportと、客観的データを提供するActigraphyを併用したのは評価されるべきではないでしょうか
DV: 計測されたOutcomeは大別して5種類。
●Epworth Sleepiness Scale (ESS): 0-24の得点形式で、昼間の眠気の高さを図る。得点が高ければ高いほど眠気も高いと判定される。Baseline時とSleep extension終了時の2回計測。
●Profile of Mood States (POMS): 感情・ムードの変異を推し量る。毎週実施。これらのスケールを選んだ理由は明記されていませんが、個人的には両方とも一般的によく使われる、Well-establishedなツールであると記憶しています
282フィート走のタイム; 10本のフリースローの成功数; 15本のスリーポイント・シュートの成功数: 毎練習後に計測。タイムはストップウォッチで測ったのかな?「同一人物が計測した」という記述はあるけど、blindingがあったとは書いてないし、誤差やバイアスの可能性は否定できない
●毎試合・練習後に、試合・練習中のMental & Physical Well-beingを10段階評価で自己評価したもの: シンプルであるとは思うけど、これがValidated Methodであるという根拠は
●午前中と午後にそれぞれ一回ずつ、一日二回、決まった時間に計測されるPsychomotor Vigilance Task (PVT): 視覚的刺激が現れたらできる限り速くボタンを押し、その反応時間を推し量るもの(動画参照)。こちらもValidationに関する記述なし。私は初耳のテストです。

…で、結果です。
睡眠時間はSleep Journalが470.0±65.9分(約7.8時間)から624.2±68.4分(約10.4時間)、Actigraphyでは400.7±61.8分(約6.7時間)から507.6±78.6分(約8.5時間)へと、どちらも著しく上昇(p < 0.001)。日中の眠気と(9.64±3.8 vs 3.36±1.7, p < 0.001)、疲労や鬱、怒りといったネガティブな感情も著しく減少(13.76±17.17 vs -10.36±9.62, p < 0.001)。PVTによる反応時間も、例えば午前中の平均反応時間が329.64±45.44秒から285.86±34.26秒(p < 0.001)と著しく改善し、282フィート走は16.2±0.61秒から15.5±0.54秒へ(p < 0.001)、フリースロー成功数は10本中7.9±0.99本から8.8±0.97本へ(↑9.0%、p < 0.001)、スリーポイント・シュートは15本中10.2±2.14本から11.6±1.50本へ(↑9.2%、p < 0.001)、そして練習中のWell-beingと試合のそれも6.9±1.41から8.8±1.06へ(p < 0.001)、7.8±1.07から8.8±1.19へ(p < 0.001)、それぞれ著しく上昇しました。

結論としては睡眠時間を習慣となっている長さから2.5時間ほど増やすと、日中の眠気が吹き飛び、気分が高揚し、走るのも速くなり、シュート成功率も上がり、反応も良くなって、より充実した試合や練習時間を過ごせる、というところでしょうか。まぁこれはところどころOver-generalizationかなぁとも思いますけど、結果だけ見るとすごいですね、一石七鳥くらいですね。

今回計測した、282フィート走る、や、フリースローを決める、というのはあくまでControlled Environmentで行われたものなので、これらのパフォーマンス向上が実際の試合での得点や勝利に結びつくかまでは分かっていないということは言及されなければいけませんね。比較対象として、コントロール群も設けられていなかったのも痛かった。たまたまイケイケノリノリのシーズンで、シーズンが進むにつれチーム全体が活気に溢れ、(睡眠時間が原因でなく)パフォーマンスが向上したり、気分が高まったりしたという可能性も否めません。コントロール群を使わないなら、A-B-A-Bデザインを用いても良かったのでは?

しかし私はこの研究が、「シーズン中」に行われたこと、そして与えられた指示が「いつもよりなるべく長めに、最低でも10時間くらい寝るように心がけて」という緩いものであったことにこそ意味があるとも思うんです。選手を特定の時間になったら無理矢理寝室に引っ張ったとか、そういう介入ではなく、「なるべく早く就寝して、10時間の睡眠を確保する」「寝足りなければ昼寝をする」という、誰にでもできる「心がけ」程度の介入だったことに実用性があるなと思ったんですよね。完全に被験者の睡眠をコントロールしなかった、そこに我々が実践できる現実味があると言っていいんじゃないかなと。ふーむ、面白い。

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さて、それでは他のスポーツではどうなのかも気になりますよね。こちらの論文3ではテニス選手を対象にした検証を行っています。テニスのサーブは脳の殆どの箇所を活性させなければいけないほど複雑なタスクであるから、睡眠の影響が何らかの形で出るとしたらサーブが影響されないわけはない!という少し強引で、でも斬新で面白い観点から、12人のNCAA D-IIIテニス選手(うち、男5人、女7人、平均年齢20.2歳)を被験者に採用しています。この被験者のn数はやっぱり少ないと思うし、何より被験者のDemographic Dataが全く提供されていないのが個人的に気になるなぁ

b0112009_15522684.png介入は至ってシンプルで、「最初の一週間は普通に過ごし、二週間目は一日あたり9時間睡眠をとるように」という指示を与えたのみ。被験者は毎日自分の睡眠パターン、昼寝を含む睡眠時間を日記に記録して、これを実験期間中の合計14日間続けたそうです。先の研究を違ってActigraphyは使わなかったようなので、睡眠時間のデータは完全に被験者のself-report頼りですね。昼間の眠気を推し量るESSは研究開始時、一週目終了時と二週目終了時に計3回実施、疲労度を測るStanford Sleepiness Scaleは実験期間中毎日実施したそうな。それから、テニスのサーブ計測は実験開始7日目(介入なし)と14日目(睡眠延長時)の2回行われました。5分のウォームアップを各自行ったのち(これはスタンダード化されたわけではなさそう)、50球のサーブを図の★の位置(↑)から打たせ、相手側コートの逆側サービスボックスの外側・深いところ(画像の赤丸)に入ったものを「成功」とし、数を数えたとのこと(Aで25球、Bで25球、合計50球)。天気や風の影響を受けぬよう、室内の施設で計測を行ったところは評価できます。ちなみに、サーブ計測前48時間はカフェインとアルコール摂取は禁止(しかし、指示のみで確認はせず)されていた…というころは、カフェインもしくはアルコールを摂取したら今回の結果は再現できない可能性ありということにもなりますね。

…で。結果です。
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もー一番わかりやすいかなと思って表にまとめてみました。まとめると、睡眠時間は著しく上昇、眠気と疲労が著しく減少し、サーブ成功数も著しく上昇した、と。結果としては、睡眠時間を2時間くらい増やすとテニスのサーブの正確性上がるね、ってことなんですけど、これは単にLearning Effectsってことも考えられるので、やっぱりControl群を採用するか、もしくはA-B-A-Bデザインしてほしかったです(くどい)。あとは、個人のパフォーマンス見てると、ひとりめっちゃ正確性が下がった人もいますね(32%悪化! ↓)。サーブは水物、と言ってしまえばそれまでだけど、そうなると他の選手のパフォーマンス向上もミズモノ、つまりたまたま偶然向上しただけってことになってしまいます。どちらにしても、興味深い結果ではありますが、やはりサンプル数が不十分に思えますし、実際の試合でのパフォーマンス向上に直接的なつながりがあるかは断定できません。
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では、長くなるのでもうひとつだけ。少しマイナーですが、ボート競技ではどうなのか?4
高い強度のトレーニングは睡眠に悪影響を与えるとする過去の研究5-7を紹介し、早朝から高い強度のトレーニングをこなす、55人のジュニアのドイツ代表ボート選手(男30人、女25人、平均年齢17.7±0.6歳)の睡眠について検証してみましたぜ!というのがこの論文。被験者の数が多いけどこりゃ、年齢層が若いなー!個人的には若いころは寝なくても平気で、年齢を重ねるにつれてどんどん「寝ないとダメ」になってきたんだけど、このくらいはどうなんだろう?他の年齢層、成人層にデータを十分にtransferできるのかな

オリンピックのための強化合宿4週間(正確には26日間)を使ったこの検証。選手は基本、21:30には自室に戻り、寝ることこそ強制されないものの、22:00には「静かに」しなければいけない、練習は翌朝6:30に開始…というスケジュールだったそうです。朝の練習(6:30-8:30am)はボートの上で、そこから一時間から一時間半のウェイトトレーニングを挟んで、午後からまたボートの上で練習、場合によってはその後、夜間にさらにウェイトをこなすこともあったのだとか(4部練!)。合宿の前半(Week 1~2)は練習の強度が特に高めで、後半(Week 3~4)は練習が少なめの日が多かったそう。55人は毎朝睡眠記録を付けており、うち、18人(男13人、女5人)はアームバンドタイプのActigraphも装着。Short Recovery and Stress Scaleも毎日計測していたんだそうな。

で、結果なんですけど、特に何も介入していなかったわけなんですが、比較してみるとWeek 1と2の睡眠量は(self-report睡眠記録でそれぞれ408.9±18.5分、419.1±15.5分、Actigraphyで342.9±30.3分、340.4±32.0分)、Week 3と4のそれに比べて(self-report睡眠記録で422.9±17.3分、481.3±18.4分、Actigraphyで357.0±24.6分、368.7±44.8分著しく低かったんですって。これは練習の強度が関係しているのか、それとも「合宿」という新しい環境に身を置いたからかな。その両方かな?

それから興味深いのことに、研究開始6日目にサッカーワールドカップの決勝が夜遅い時間にTV放送されていた関係で(ドイツが決勝に残っていたと予想されます…)、この夜は選手の睡眠時間が平均して1.5時間減(self-reportで347.6±38.4分、p<0.001)。逆に22日目はトレーニングのないオフ日だったので、睡眠時間が2時間弱増加(533.5±38.6分、p<0.001)したそうなんです。睡眠が短かった晩(6日目)の翌朝には多くの選手がその眠りを「less restful (3.1 ± 0.9」と評価、足りない眠りを平均52.8 ± 31.6分の昼寝で補おうとしたのに対して、十分に睡眠の取れた22日目の翌朝は選手が「more restful (1.9 ± 0.7」と感じ、肉体的・精神的な充実感と感情のバランスが十分に取れており、研究期間中最も「回復した」状態にあったそうです。

いやー、Activeな介入があったわけでもないのに関わらず自然とA-B-A-B的なデザインが出来上がっていて興味深いですね!同じ合宿生活を送っていただけに、かなりの要素(i.e. 食事、トレーニング時間・内容)がコントロールできているのもいい。直接的なパフォーマンスの計測がなかったのが残念ですが(合宿中だしコントロール群もないしで、このデザインでは難しいですよね。フツーに考えれば合宿中で技術や体力がアップするのが目的なんだろうし、パフォーマンスが後半にかけて向上していても、それは恐らく睡眠よりもトレーニングそのものの影響である可能性が高い…)、それでもなかなか妄想しがいのある論文でした。

あと数個、睡眠とアスレティック・パフォーマンスに関する論文を見つけたので、これは次回にまとめます!いかんいかん、時差ボケも真っ只中だし、このままでは私の睡眠時間が削られてします。ぐっすり寝ようー。


1. Mah CD, Mah KE, Kezirian EJ, Dement WC. The effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players. Sleep. 2011;34(7):943-950. doi: 10.5665/SLEEP.1132.
2. Littner M, Kushida CA, Anderson WM, et al. Practice parameters for the role of actigraphy in the study of sleep and circadian rhythms: an update for 2002. Sleep. 2003;26(3):337-341.
3. Schwartz J, Simon RD Jr. Sleep extension improves serving accuracy: A study with college varsity tennis players. Physiol Behav. 2015;151:541-544. doi: 10.1016/j.physbeh.2015.08.035.
4. Kölling S, Steinacker JM, Endler S, Ferrauti A, Meyer T, Kellmann M. The longer the better: Sleep-wake patterns during preparation of the World Rowing Junior Championships. Chronobiol Int. 2016;33(1):73-84. doi: 10.3109/07420528.2015.1118384.
5. Taylor SR, Rogers GG, Driver HS. Effects of training volume on sleep, psychological, and selected physiological profiles of elite female swimmers. Med Sci Sports Exerc. 1997;29(5):688-693.
6. Fietze I, Strauch J, Holzhausen M, Glos M, Theobald C, Lehnkering H, Penzel T. Sleep quality in professional ballet dancers. Chronobiol Int. 2009;26(6):1249-1262. doi: 10.3109/07420520903221319.
7. Hausswirth C, Louis J, Aubry A, Bonnet G, Duffield R, LE Meur Y. Evidence of disturbed sleep and increased illness in overreached endurance athletes. Med Sci Sports Exerc. 2014;46(5):1036-1045. doi: 10.1249/MSS.0000000000000177.

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  by supersy | 2018-01-12 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

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