<   2017年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧

 

PRIポスチュラル・レスピレーション東京・名古屋講習終了!と、Talking About Perception。

PRIポスチュラル・レスピレーション、東京(7月14~15日)講習、名古屋(7月16~17日)講習の怒涛の4日間が無事終わりました!!!!
b0112009_21310306.jpg
b0112009_21560385.jpg
東京講習(↑): 主催の帝京大学のスタッフさん一同はいつにも増してPRI愛に溢れており、感謝しかありません!参加者60名超の大所帯講習でした。

b0112009_21362409.jpg
b0112009_21392703.jpg
名古屋講習(↑): こちらも濃い面々ばかり。鋭い質問が飛び交う講習になりました。
近藤先生、鈴木さん、ありがとうございました!

今回も「どうしたらロンの言葉がもっと伝わるだろう?」とケニーと試行錯誤をしながらの濃厚な5日間(前日準備も入れて)でした。講習参加してくださった皆様には最後に衝撃ニュースもありましたが…こちらもPRIジャパンから近々正式告知があることでしょう。いやー、体力勝負の4日間でした。終わって今、がっつり風邪を引いています!やっぱりね!!引くとおもったもんね!!!!

それから、この怒涛の4日連続講習の直前の7月12日には、ひょんなご縁があり、順天堂大学(↓)で特別講演をさせていただく機会にも恵まれました。
b0112009_21435440.jpg
学部生、大学院生、教授陣にAT専門vs非AT専門が聴衆に入り乱れる中、全ての人に何かしらの学びを…!というこれまた難しい設定の講習会でしたが、「ナンジャコリャー」とゆるーく楽しんでいただければ幸いです。講演のあとには体操部の練習見学という貴重な体験まで…!新しくできたばかりという体操アリーナ、う、美しい…!鹿倉先生、窪田先生、中新田先生、本当にありがとうございました!

明日アメリカに戻ります。2か月のこの夏の日本滞在、お陰様で非常に濃密なものになりました。お会いしてくださった皆様、遊んでくれた友人、色々と将来に関してアドバイスを下さったAT先輩の方々、全てに感謝しています。それではまた、冬にー!



ここからはおまけというか本題なのですが(どっちだ)、最近頭の中でモヤモヤ妄想していたことをまとめておきます。

教育者という仕事をしている以上、「私が表現する」世界は世の中に起こる普遍的で再現性の高い事柄を、すべての(もしくはなるべく多くの)人に理解できる言語で表現するようでなければいけないと思いますが、それとは相反する位置に「私が感じる」世界というものがあります。こちらの世界は私個人しか知覚し得ないもので満たされており、その全ては個人的な経験であって、他の誰にも再現することができません。

表現する世界と感じる世界。与える世界と受け取る世界。アウトプットとインプット。どちらにも興味はあるのですが、最近は特に後者の知覚する・受け取る世界とインプットの神経経路内での咀嚼・解釈の方について考えることが多いです。
b0112009_20411214.jpg
貴方が自分を取り囲む環境をどう知覚しているか、私が永遠に理解できることがないように、貴方にも私が知覚している世界をそっくりそのまま体験していただくことは不可能でしょう。しかし、そんな多様性のある知覚でも、我々人間が頼りがちなポイントがいくつかあります。例えば、踵から入ってくる、今地面をどういう風に踏みしめているか、という情報は、今自分が地面に対してどのように身体を起こし(あるいは寝かせ)ているか、という判断に大いに役立ちますし、耳から入ってくる貴方の声が右耳より先に左耳が受け取れば、私は貴方に対して右側に立っている、と定義づけることが可能になります。視覚情報も同様です。

机にもたれかかるように突っ伏したり、壁に寄りかかっている時には「机」や「壁」という対象物を利用して自らの状態を定義することができます。こういった「寄りかかり」癖がある人は、寄りかかれるもにが何もない状況下では、どうにかして自我を認識しようと歯を強く噛み締めたりするやもしれません。噛み合わせが全身に影響を及ぼす大きな理由の一つであると私は捉えています。
b0112009_20480642.png
多様性の高い「知覚」ではありますが、こういったことを踏まえれば知覚を通じての介入はこれらの踵や聴覚、視覚、噛み合わせを通じて行うのが最も効率的とも言えます。知覚をいじる、ひいては患者の生きる環境そのものを「ズラす」目的での足底版、プリズム、ホワイトノイズを使った介入は私が今非常に興味を持ち、もっと勉強を深めていきたい分野でもあります。個人的には、匂いをかぐことで感情を揺さぶられることが多いので、嗅覚の勉強をもっと掘り下げてやってみたいものです。嗅覚と自我の確立…そんな切り口のおススメの文献や本、講習会などあったら教えてください!
b0112009_20595058.jpg
さて、「知覚」といえば、なんですが。
共感覚というものに興味があり、移動時間などを利用して上の本を読んでいました。共感覚とは、例えば特定の言葉に特定の色がついて見えたり、音に手触りを感じたり、時間に空間を感じたり、という、非常にユニークな知覚能力のことを指し、2000人に一人がこの能力を持って生まれてくると言われています。

この能力は「病理」なのか、「崇高」な「進化の形」なのか…様々な議論が行われているようですが、共感覚の持ち主がは総じてその能力が無くなるのを望まないことから、「病理」であると解釈するには無理があるのではと思います(そうでなければよっぽど稀有な病気です)。ですから、優劣で考えるのではなく、これも「知覚の多様性」と捕えてみるのはどうでしょうか。共感覚がある彼らは、それぞれの文字や音を、「一般人」よりひとつ多元的にとらえている…一方、我々「一般人」も、共感覚者には想像もつかない情報の符号化を行っている…(例えば私は、覚えたい数字は5桁くらいまでならば、ひとつひとつ並べ、はっきり頭に思い浮かべてシャッターを押すようにアタマに焼き付けると、そのまま画像として一定期間保存しておくことが可能です。読み込んだ教科書も、一ページ一ページめくってどのページにどんなグラフがあるか、用語の解説があるかも画像として覚えておくことができます。あれは何だっけ?と思ったら、頭の中でページをペラペラめくり、ああ、あったあった、と情報を「見る」ことができるのです…私もできる、と頷かれる方も多いのでは?)。どちらがいい悪いでなく、どんな情報をどういう風に感じ、脳に取っておくかは十人十色。個体差があって然るべき、ということなのです。

今日は備忘録というか、すっかり自分のためのメモになってしまってすみません。しかし一度でいいから共感覚の方のアタマの中に潜り込ませていただきたいものです。文字を読むたびに色が迫ってくるなんて、なんて素敵なんでしょう!

[PR]

  by supersy | 2017-07-20 21:30 | PRI | Comments(0)

船橋EBP講習を終えて、と、「PRICE」から「POLICE」に見る急性障害マネジメント理念の変化。

先週末はおおすか整形・船橋整形さんの合同開催によるクローズドのEBP講習を一日おこなって参りました。

EBPの基礎の話と絡め、今回はAMIや腱障害へのリハビリアプローチなどを「EBP治療介入・臨床応用編」として掘り下げてきました。この内容は、今回いただいたフィードバックを元に改良して、近日中に公式EBP講習の一環として申請しBOC認定を取る予定です。臨床で活躍する皆さんにぜひ役立てていただきたい内容ですので、受講ご希望の方は都内で開催する際にぜひ!
b0112009_00053535.jpg
せっかくリハビリの話もするなら、実践あるのみ!…ということで、(↑)皆でドロップスクワットも!じゅっかいさんせっとぉぉぉ!日曜日に皆で汗じっとりかきました。

多くの皆様、ご参加ありがとうございました。また来年も、きっとお世話になります!
b0112009_00060675.jpg
今回は初めてのコンシンカイもカイサイしました!アメリカの講習会では講師と参加者が飲んでコミュニケーション、という文化はないのでいわば「懇親会デビュー」でした。主催・運営してくださった主要スタッフ(↑)の多くが同年代だったので色々な「同年代話」で盛り上がりました。主にスラムダンクと幽遊白書…。



ついでにというかなんというか。Back to the basic...ということで、今回は怪我の対応の基礎のお話も少しだけ。

「足首の捻挫に、アメリカではギプスをしないんですか?」と聞かれたことがありました。

私はびっくりして「日本ではするんですか?」と逆に聞き返してしまいましたが、そうお尋ねしてくれた方曰く「よくする」んだそうで。骨折はともかく、アメリカで足首の捻挫対応にギプス固定はしたことも見たこともありません。私個人が選ぶアプローチとしては、荷重ができれば松葉杖やウォーキングブーツを併用しながらストレスを調節して歩かせるのが基本。痛みで荷重が一切できなければ、U字コンプレッション・パッドとバンテージで圧迫して(↓)松葉杖2本で非荷重状態を作ります…が、動かせるならクライオ・キネティックスなど早期に導入してなるべく動かせます。
b0112009_10500528.png
b0112009_11011890.png
アメリカでは1970年代後半から2000年初頭にかけてRICE、またはその進化形のPRICEと言われるケガの救急処置のモデルがポピュラーになりましたが、2012年に発表されたこの論文1(↑ ちなみにこの論文は全文無料です)でBleakley氏らは「このモデルはエビデンスを伴わない」「より良いものにアップデートされるべき」と主張。この論文発表から5年たった2017年現在、PRICEまたはRICE「しか知らない」もしくは「に頼りきり」のマトモなクリニシャンはアメリカにはもういないのではないかと思います(状況によってPRICEやRICEのチカラを借りるのが適切なケースももちろんあります。取捨選択をしたうえでのこういった治療を否定するつもりは全くありません、念の為。実際、Grade IIIの足関節の捻挫においては、最長10日の膝下のキャストは有効であるとするシステマティック・レビューもあります2)。

さて、それではどんなモデルが現在より好ましいとされているのか?

この論文のタイトルには「Should we call the POLICE?」つまり、「『警察』を呼びましょうか?」なんて書かれていますが、実はこれ、「(新しいモデルを)『警察』と呼ぶのなんてどうでしょうか?」ともかけられていて、新たなモデルである『POLICE (= 警察)』という新たな略語を推奨したものでもあります。

PRICEは「Protection, Rest, Ice, Compression, Elevation」の略(RICEはそこからProtectionを抜いたもの)ですが、POLICEは「Protection, Optimal Loading, Ice, Compression, Elevation」の略です。大きく変わったのはR = Rest (休息)からOL = Optimal Loading (適切な負荷をかける)という点で、この変更は「受傷直後に少し非荷重・無負荷の時期を短期間設けるのはともかく、不必要に長期のimmobilization/unloadingは有害(harmful)であり、組織の形状や機能に悪影響を及ぼす」ことから、「早期mobilizationとloadingが回復のカギである(↓)」という理念に基づいています。1-3
b0112009_16053969.png
患部を甘やかしすぎることなく、早いうちから体重をかけて歩く。早いうちから動かす ― もちろん、これは負荷を早く多くかければかけるほど良いという単純なものではありません。キーワードはExcessive Loading (過度な負荷をかける)ではなく、Optimal Loading (適切な負荷をかける)なのですから、やりすぎず、しかしやらなすぎない、という境界線を見定めなければなりません。回復期にある組織に負荷をかけすぎるようなことがあってはせっかく形成されてきたcollagen cross-linkが破壊され、患部が再出血・腫脹の再発など、ケガそのものが悪化したりすることもあるでしょう。大切なのは患者ではなくプロである医療従事者が「今はここまでの負荷なら適切」と見極め、モニターして継続した回復を促すということなのです。

「休みっぱなし」でなく「動く」、「動いてよい」ということに楽しみを見出すのは患者だけでなく医療従事者もそうなのではと私は思うんですよね。従来の「Rest」に比べて、新たに加わった「Optimal Loading」という言葉は工夫の余地が大いにあって、ちょいとウキウキしませんか?どれくらいが適量かな?どういったloadingを提供しようかな?と考える、新たな知的好奇心の扉が開くというか。
b0112009_16060959.png
そういう意味では、近年アメリカで流行っているスクーターや膝に装着するタイプのハンズフリー・クラッチ(↑)は少し疑問なんですよねぇ…。よりselectiveな荷重が可能で確かに移動は楽そうだし、短期的に患者のHRQOLは向上するケースはあるのでしょうけど、アメリカにありがちな「便利さ・手軽さ」のみを追求していて、長い目で見ると身体には悪影響になっていることもあるような…。

(しかしアメリカは肥満人口が多すぎて、松葉杖すら使えない患者が多くいる(= 腕で自重をそもそも支えられない)のも事実ですが。この国の健康問題の根は、また別のところにあるのかも知れませんね…)

ちなみに今回、I = Iceの話は掘り下げませんでしたが、ケガの急性期でのアイシングに関しては私は必ずしも否定派ではありません。以前ブログでも書きましたが、世の中のどんな療法も使いどころさえ間違わなければ体に良い効果をもたらす可能性は十分に含んでいると考えています。アイシングは悪魔でもなければ神でもありません。問題は、ほとんどの場合は使う側の人間にあるんですよね。

1. Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med. 2012;46(4):220-221. doi: 10.1136/bjsports-2011-090297.
2. Petersen W, Rembitzki IV, Koppenburg AG, et al. Treatment of acute ankle ligament injuries: a systematic review. Arch Orthop Trauma Surg. 2013;133(8):1129-1141. doi:10.1007/s00402-013-1742-5.
3. Jones MH, Amendola AS. Acute treatment of inversion ankle sprains: immobilization versus functional treatment. Clin Orthop Relat Res. 2007;455:169-172.

[PR]

  by supersy | 2017-07-05 23:45 | Athletic Training | Comments(4)

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE

AX