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12月に東京・大阪でEBPセミナーを開催します!

さて、私事ですが年末年始の帰国予定が正式に12月11日~1月12日に決まりました。日本についたらまず東京で12月12-13日にある某講習を受講させてもらって(時差ボケ大丈夫かな…)、それから自分の講習に取り掛かりたいと思います。PRI講習(東京・大阪)に関しては以前に告知させて頂いて、既に両会場とも満席になっていますが(大変にありがたいことです)、今回は私が個人でやる講習のお知らせをしたいと思います。

EBP講習
12月16日(水) 18:30-21:30pm Evidence-Based Practice 診断編 東京・立川
12月17日(木) 18:30-21:30pm Evidence-Based Practice 治療介入編 東京・立川

12月23日(水) 9:30am-12:30pm Evidence-Based Practice 診断編 大阪
        14:00-17:00pm Evidence-Based Practice 治療介入編 大阪
*お申し込みは上記のリンクから

どちらの講習も参加者はビギナーレベルを想定しています。Evidence-Based Practiceって耳にはするけどイマイチどういう物なのか分からない、ワケワカラなくて苦手感ばかり大きくなってる、何やら乗り遅れてしまったかも知れない…という方にピッタリの初級者向けです(逆に言うと既にエビデンスを使いこなせている方には物足りない内容かも知れません)。しかし!初級者向けとは言えせっかく3時間一緒に過ごすのですから、修了時には、『なるほど、診断・治療介入にどうエビデンスを応用すべきか分かった!明日から使う!』というレベルに持っていける構成を目指しています。つまり、修了する頃にはEBP中級者になっている!と(少なくとも診断・治療介入という分野においては)。

各講習の内容説明です。

●エビデンスに基づいたスポーツ傷害診断: 基本から応用まで
(これは今年6月に開催したものと同じ内容です)
最初の一時間半は診断エビデンスの基礎を学びます。具体的には、Sensitivity, Specificity, Positive/Negative Likelihood Ratioとは何なのか、世の中にある様々な研究の質をどう評価すべきか(i.e. QUADAS, QUADAS-2)、などなど、統計をいかに解釈して現場に反映すべきなのか。さらに、「スペシャルテストをひとつ使ってみた→その陽性・陰性が診断にどういう影響を及ぼすのか(pre- and post-test probabilityの変化)」等の話をします。
後半の一時間半は、実際に英文資料や論文を流し読みしながら応用の練習です。「この知識を実際の臨床に活かすには?」という内容をディスカッション形式で、お互いにわいわいとアイデアを出しあいながら、理解を深められればと思っています。例えば、前十字靭帯の診断に前方引き出しテストを使って陰性だった、さて、どう解釈すればいい?その根拠は?次に何をすれば?みたいな臨床ケースを掘り下げて話し合います。半月板損傷や、足首の捻挫、仙腸関節痛、肩のインピンジメント症候群など、皆さんが臨床でよく見るであろう怪我について色々検討し、皆さんなりのオトシドコロを見つけて帰って頂ければと思っています。

●エビデンスに基づいた治療介入: 基本から応用まで 内容説明
こちらは今回初めての新コースです!前回の診断編をお送りした時に、「次にやってほしい」との声が多かった治療介入(リハビリ、物理療法、徒手療法等を含む)とそのエビデンスの基礎コースです。
最初の一時間半は治療介入エビデンスの基本を学びます。ICFモデルを用いて患者さんの「怪我」のみでなく「人生」そのものを見つめる大切さ、それから患者さんの回復の度合いを測る、Clinician-based (i.e. ROM, edema, strength)とPatient-based outcome measures (i.e. DASH, VISA, GRC)の違いについて学んで基礎を固めた後、よく論文に出てくる「randomized」とか、「blinding」、「minimum detectable change (MDC)」 「minimally clinically important difference (MCID)」とはなんぞや?「統計学的に有意」と、「臨床的に有意」は何が違うのか?等についてお話します。
後半は、前半の内容を活かして、グループに分かれてそれぞれ異なる論文を読み解き、解釈をディスカッション形式で広げてもらいます。英語論文を読むのが苦手!という人も、どういう単語を探して読めば内容を抜き出しやすいか私も横からお手伝いしますので、とりあえず練習を積んでみましょう(*英和辞書等を持参したい方は是非どうぞ!でも最近は皆ケータイで事足りてしまいますかね)。読む論文の一例は、キネシオテープはシンスプリントに、フォームロールは筋肉痛に、靴底の使用は腰痛に、アキレス腱障害にヒールドロップエクササイズは効果があるの?など。それぞれ論文を読んでみて、どういう風に解釈して現場に活かせばいいのか、これもまた皆さんなりにオトシドコロをつけて帰って頂ければと思っております。
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講習内容に関して質問があればここでも各SNSでもお気軽にお願いします。
申し込み手順に関しての質問は、上記のリンクから詳細を確認していただくか、それでも不明な点がある場合は主催の高橋忠良(tdtakahashi@guardiansatt.com 090-6487-5970)までお願い致します。

ちなみに受講料は診断編が8000円、治療介入が9000円です。どちらの講習もBOC EBPカテゴリーで各3.0 CEUs認定されています。ふたつ併せて6.0 EBP CEUs。両方も、どちらかだけでも、お時間と好みに合うよう受講可能です。対象は前回は制限を儲けましたが、今回はそれをとっぱらって、どなたでも、どんな資格保有者でも、学生さんも大歓迎しております(むしろ学生さんにこそ沢山来てほしいなぁ)!学割がなくてごめんなさい。年末、皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
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  by supersy | 2015-10-25 22:00 | Athletic Training | Comments(4)

New NATA Position Statement: 熱中症についての最新改定版を考察する。

どーも。Utahから帰ってきて、3日ほどCorpusで過ごしてから今度は学会でFloridaはタンパに行っていたりして、かなり仕事が遅れ気味…。ばたばたしています。とりあえず、学業のほうは今日ようやく先取り完了できました。なので、ここしばらく書きたいと思っていた内容をちょこっと。

さて、つい先月、NATAより熱中症対策のPosition Statementの最新改訂版が発表されました。ATCの皆さんはもう読みましたか?
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えっ?そんなの出たの?という方、是非こちらから確認してみてください。Exertional Heat Illnessesは一番上に掲載されているやつです(時系列順なので)。ちなみにNATA Position Statementsは5年ほど掛けて全米屈指の専門家たちが話し合って書く、最新最高の我々ATCのClinical Practiceのガイドラインであると同時に、誰でも読めるよう一般に公開になっている、素晴らしい情報源です。是非現場でもりもりやっている皆様にこそ熟読して現場に活用して欲しいです。

…で。
今回はせっかくなので、私が読んで「おお?」とちょっと驚いた・学んだ点を中心に書き残しておきたいと思います。今年5月に私が『スポーツ中の熱中症対策、できてますか?Exertional Heat Strokeについて考える』という記事を書いた時にかなり詳細に1) 何故診断に直腸温が無くてはならないのか、2) 何故治療には冷水に全身を浸すことが必須なのか、についてまとめており、今回発表されたNATAのPosition Statement改訂版のメイン内容にも同様の文献が引用され、同じ理論で同じ結論が導かれています。つまり、

- 現時点で我々は労作性熱中症(Exertional Heat Stroke, 以下EHS)患者の生存を
 ほぼ確実に確保する知識を持っていると言って良い

- 患者をEHSと診断するのにゴールドスタンダートと言える深部体温測定法は
 直腸温のみ。EHSかHeat Exhaustionか判断しかねる場合は(個人的にはEHSか
 Exercise-associated hyponatremiaか区別できない場合も)直腸温をすぐに
 測るしかない。他の体温計速報は信頼性も妥当性も欠如しており、
 患者の健康を危険にさらす恐れがある。
 推奨度・A

- 計測した体温が40.5℃(105°F)より高く、EHSという診断が確定した場合には
 すぐに全身を冷水・氷水に浸してaggressive coolingを開始。どんなに長くても
 患者が倒れてから30分位内に体温を38.9℃(102°F)まで下げることを目標とする。
 推奨度・B

- この際、選手が(shoulder padや幾層ものユニフォームなど)過度な服を来ていた場合、
 もちろん脱がせたほうがcoolingの効果は上がるのだが、それに時間が取られた故に
 coolingが遅れるほうが致命的なので、これは冷水の中でやること。
 5-10分毎に患者のバイタルを確認することも忘れずに。
 推奨度・B

- 冷水・氷水の温度は1.7~15℃(35-59°F)の間で、最速で体温を低下させるため、
 患者を首までつからせ、cooling中は水を常にかき混ぜておくこと。患者の
 体温が38.9℃(102°F)に達した時点で体温の超低下を避けるために水槽から出す。
 推奨度・A

…というのが一番のtake home messageですかね。
まぁここまで特に驚くこともないとして、今回新たに学んだのが、

- 今まで私達がHeat Crampと呼んでいたものが、Exercise-Associated Muscle Cramps
 という名称に。これは、俗称・Heat crampは体温の上昇を伴わない、ただ暑い中じっと
 座っていただけでは起きない(=熱が原因とは言えない)、暑くなくとも、温かい・
 もしくは涼しい環境下でも起こりうる、ということから、『Heat Crampは
 正しい名称ではない』という流れになっているみたい。なるほど。

- 推奨度Cと強くないけど、「熱の効果は蓄積する」という表記、そして、
 「選手は最低でも涼しい所で7時間の睡眠を・バランスの取れた食事と、
 水分を一日通じてしっかり補給すること」が含まれるように。
 そうそう、睡眠不足とEHSの関係に関する論文、どっかで読んだなー!

- EHSの症状で学生時分には『hot and dry skin(皮膚は熱く、乾いている)』と
 習ったものですが、今回の表記では『hot and wet (sweaty)』に変更されています。
 曰く、『非労作性ならば乾いているが、労作性だと汗ばんでいることが殆ど』だそう。
 よく考えたら、そりゃそうか!
 推奨度・B

- Heat Exhaustionの場合は、whole body coolingの必要は無いが、
 涼しい場所に患者を移動させたり、扇風機・アイスタオルを使用して体温を
 下げること、というマイルドな表記に留まりました。
 こういう、『EHSの場合は使ってもほぼ無効』なものでも、
 Heat Exhausionの時に役に立ったりするから、一応用意しておいた
 ほうがいいってことね。なるほどなるほど。
 推奨度・C

あとは、競技復帰に関して、

- Heat Exhaustionの場合は、当日復帰はお勧めできないしするべきではない、
 というかなり端的な表記のみ…。次の日ならいいのかな?
 推奨度・C

- EHSの場合は、競技復帰はかなり複雑。
 もしすぐに体温の低下が迅速且つ効果的に行われた場合は、
 その日に(病院でなく)家に帰らせても良い。7~21日しっかり自宅休養を取らせ、
 患者の症状(倦怠感等)が完全に無くなり、医者が血液検査の結果が通常だと
 確認した上で、恐らく1ヶ月以内に軽い運動を開始することができるだろう。
 そこからAT、もしくはEHSの知識のある医療従事者の指導のもと、
 徐々に運動量を増やしていき、完全競技復帰を目指す。
 ただ、治療が遅れて後遺症が残った場合、運動を再開するのに数ヶ月、数年かかる
 場合もある。競技復帰が不可能なケースも、ゼロではない。
 推奨度・C

うーむ、競技復帰のプロトコルというのはまだまだこれからの分野なのですね。
Heat illnessって一度なると、再発するリスクが高いですから…。難しいところです。

そんなわけで!今回の一番のサプライズは、
Exercise-associated muscle crampという新名称と、
EHS時の肌は湿ってるもんだ、ということでした!いやー、ホント、自分が学生の頃習った知識のどれがいつひっくり返されるか、わからないもんですねー。これだから医療界は怖い。でも楽しい!

ちなみに、今回も私の解釈としては、
推奨度A = what we MUST do 我々がやらなければいけないこと
推奨度B = what we SHOULD do 我々がやるべきこと
推奨度C = what we think we should do 我々がやったほうが良いであろうもの
という感じです。
推奨度Aはよぼどの理由がなければPosition Statementにそうそう出てくるものではないので(ほとんどが推奨度BかCですよね、やっぱりね)、是非その背景を理解して、全てのATがこの知識を現場に活かしてくれるよう、祈っています。
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  by supersy | 2015-10-20 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

「貴方の常識」は「患者の常識」?意思疎通の大切さ。

**そんなにひどくはないかと思うのですが、
今回はちょっと手術の写真など出てくるので苦手な方は注意してくださいね**

さて!昨日の深夜にユタから帰ってきました。3回めの博士課程オンサイトです。
今回は3日半でプレゼン3つ、試験がひとつとなかなかキツかった…。
無事に終わってほっとしています。今回もたんまり学んできました。
プレゼンの最優秀賞も頂けて、ちょっと自信がつきました。
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滞在最後の夜、何故かBYUのホームカミングゲームに招待されてお邪魔することに。大学のフットボールの試合って久しぶりー!やっぱり雰囲気がいいですね。山が背景に見えるフットボールスタジアムの立地も素晴らし―。いつもの仲良しメンバー(-1人)で試合をバックに写真をぱちり。「明日のプレゼンの準備が終わってない!」と、課題を優先して参加できなかったクリスが写ってないのが残念。
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さて!本題です。衝撃的なケーススタディーを目にしたので記録に残しておきます。
いやー、これが2014年に発表されてるっつーのがねー、こわいっすねー。
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このケーススタディーでは、練習中に手を地面について右人差し指を怪我(undiagnosed)した17歳の高校生アメフト選手に焦点が充てられています。現場にATがいたという表現はどこにもないので恐らくいなかったのだろうと憶測せざるを得ないのですが、この選手は受傷後コーチに「これで冷やせ」と冷凍庫で凍らせるジェルタイプのcold pack(↓)を直接肌に充てがわれ、elastic wrapでぐるぐる巻かれたそうな。
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特にいつ外せという指示もなかったため、選手は長ければ長い程良いのだろうと推測。約2時間程そのままにしておいたそう。外すときに、(怪我をした)人差し指と(怪我をしていない)中指が赤く腫れていたことが確認されており、痛みは全く無かったとのこと。

その後、この選手は一応骨折をr/oするために病院に行ったのですが、レントゲンでは骨に異常なし、「軽い突き指でしょう」との診断を受けます。親御さんの話でも、この時、肌に異常は見られなかったそうです。
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翌日になって、選手は人差し指と中指が水ぶくれ状に腫れあがっている(↑)ことに気が付き、整形外科医院に駆け込みます。この時、患部に痛みはなく、指の感覚は完全に無くなっている状態。水ぶくれが血管を圧迫する程膨れ上がっていた("creating a tourniquet-like constriction that cut off circulation to the distal portions of the finger")結果、指先のcapillary refillは確認できず。II度~III度の深刻な凍傷と診断され、遮られていた血流を回復させるため、緊急のdecompressionの手術を受けます。水ぶくれを開いて水分を出し(写真A・B)、圧迫を解いたわけです。超音波で少量の血流の回復が確認された上で、縫合。
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(写真Cは術後2週間、Dは特注のトラクション・スプリント)
術後28日で肌が再生、32日で可動域が戻り、走っても指の痛みが出ないまでに回復し、46日でまだ感覚異常はあったものの、機能回復が充分だったためdischarge。術後70日で「スポーツと日常生活をする上で必要な感覚は戻った」と選手が自己評価した上でフットボールへの完全競技復帰を果たしたそうな。グローブの下にゲルをパット代わりに入れる以外は制限も無かったそう。いやしかし、コーチのついうっかりで10週間は長いですよね…。

このケーススタディーから学べるところはいくつかあって、まずは現場にATがいないと、その場にいる人が間違った知識でとんでもないことをしてしまうことがある、ということ。ジェルタイプのcold packは通常の氷を使ったアイスパックに比べて長時間低温を保ててしまうので、指のようなdistal body partに使うときは特に注意が必要です。肌に直接充ててしまうのも、elastic wrapでぐるぐる巻いてしまうのも、我々は絶対にしない行為です。やるなら、ice slushと言われる『氷水をカップ状の容器に入れ患部を氷水にひたす』という方法でしょうけれど、それにしても指先は特に冷やすぎないよう配慮すべき部位です。

あとは、痛いほど冷やしてはいけない、2時間もそのまま置いておいてはダメ、という共通意識が選手に無かったことも一因です。もちろんこれは選手のせいではなくて、こんなに若い選手を相手にしている場合、「○分したら外すんだよ」と大人が指導すること(そうです、この怪我はたったこの一言で防げたかもしれないのですから…)。そして、指導しっぱなしでなく、きちんと時間がたったら戻ってきて外していることを確認することまで責任を持って行わなければいけません。こんなこと我々ATからしたら『常識』でしょうし、「フツーわからない?」と言いたくなってしまうかもしれませんが、そうです、普通は分かりそうな当たり前のことをいちいち繰り返して伝え、根気よく確認してこそプロだと私は思っています。以前のヘルスリテラシーの記事でも書きましたが、我々は、我々の考える『常識』レベルの医療の知識を一般の人に強要してはいけません。我々の知識レベルは「専門」の域に達していて、そしてもちろんそれはそうでなくてはいけないものなのですから。曖昧な言葉の使用は避け、患者さんに分かりやすい言葉で説明すること。「こういう感覚はこの治療・modalityでは普通なんだけど、こういう感覚は普通じゃないから、こうなり始めたら教えてね」、と、その治療の「normal」「abnormal」をきちんと定義すること、そして、「始める前に何か質問はある?」と、患者さんにも話すチャンスを与えること…物理療法の授業を教えていた頃は学生にいっつもこんこんと教えておりました。願わくば、うちの学生が世に出て、こんなケースを作り出してしまわないように…明日もまたたんまり教えてきますわー。
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  by supersy | 2015-10-12 21:30 | Athletic Training | Comments(0)

性別を越えて?

医療とは全く関係ない内容ですけども…。

言葉って時代とともに変わっていくものですよね。
日本でも例えば昔は男性は漢字、女性は平仮名を使うものとされていたのが今では性別関係なく混ぜて使われるのがアタリマエですし。時代と移り変わる文化と一緒に、言葉も徐々に音を変え、形を変えていくのは実に自然だと思います。綺麗な文章、気の利いた美しい文章ってのはその時代時代で全く違うんでしょうね。
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さて、アメリカではGender neutral、女性でも男性でもない『中性』的表現が推奨されるようになってきています。例えば昔は「スポーツマン(男)シップ」と呼ばれていたのが「スポーツパーソン(人)シップ」という表現が一般に使われるようになってきていますし、「スチュワーデス」もすっかり「フライト・アテンダント」で定着しましたよね。欧米では男性でも女性でもないTransgenderへの理解が恐らく日本に比べて数歩進んでいるので、こういう風にどんどん新しい言葉ができているんです(そもそも日本語でtransgenderって性同一性障害という『傷害』扱いですけど、こっちではアイデンティティーのひとつとして認められている印象)。
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それでね。

例えばMr. に比べて、どうして女性は結婚している・していないでMrs.とMiss.と区別するのか、それは差別ではないか、ということで「Ms. という表現が好ましい」ということで一段落している、というのは皆さんも知っていると思うんですよね。しかし!最近ではその一歩先を行く、「そもそも男女で区別しなくていいじゃないか、男女共通の『様』にあたる表現を」ということで、最近ではMx. (ミクス、と読みます)という表現が新たに提言されているのです。Mr. Tanaka、Ms. Yamadaと言っていたところを、Mx. Tanaka、Mx. Yamadaというようになるわけです。

このMx. という表現は2013年あたりからイギリスで公用書類にも用いられることが許可され、今年にはオックスフォード英語辞典にも採択されるなど、かなりイギリスで一般的に使われるようになっており、それにアメリカも乗っかって、「これ使おうかな」と最近動き始めています。

それでねそれでね。

この動きが最近は主格、目的格、所有格にも広まっているんですよ。例えば、「彼が…」「彼女の…」という表現も同様に「あの人が」「あの人の」というように、性別を取り除いた表現をしてはどうか、というわけ。これが今アメリカの大学界で何故か一気に広まっていて、うちの大学でも「こういう言葉の使用を推奨します」(あくまで推奨であって、強制ではないようだけど)とつい先日全教授陣に通達が来ました。ほえー、なにこれ?
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上の表は皆さん中学校で習った基本英語ですよね。中でもthey them their theirsは英語ではgender-neutral(男女ともに使える)な表現に当たるのでこのまま使い続けて何ら問題はないのですけれど、「もう使うのはなるべく避けましょう」と言われてるのはモロに性別が出るhe/she, him/her, his/her, his/hersのほうなんですよね。これを、下の表に言葉に使い変えませんか、と。

な、なんか…どうせならひとつのパターンに決めてくれれば良かったのに、どうして3パターンも用意するのでしょう?分かりにくくないですか?ただでさえ、新しい言葉を使いはじめるっていろんな人にとってぎこちないことなのに、統一しないなんて…と私は少し不安に思うけれど、これって、定着するんでしょうか。私はdiversity/inclusivenessには大賛成派ですけれど、こういったものの導入にはマーケティングがものすごくカギだと思うんですよね。見せ方と売り方。それを3種類用意しちゃうってのは、より一層一般の人からしたらとっつきにくいのでは…と思うけど、私も様子見ながら少しずつ使ってみようかしらん。でも、大学界はともかく、スポーツ界はまだまだ男女差別がアメリカでもアタリマエですからね。浸透するには時間がかかりそう…。
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  by supersy | 2015-10-02 23:00 | Way of Thinking | Comments(0)

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