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博士課程一年目修了!

うおー!!今日、今学期最後の課題を提出!
博士課程一年目が!!!無事に修了しました!!!!

…ってまぁ、たった一年といえば一年なんですけど…。

こっちには書いていませんでしたが、2月には2回目になる現地授業に参加すべく、ユタ州はProvoまで行ってきました。基本授業はオンラインなんですが、年に2-3回(一学期に一回あるかないか)、現地招集がかかるのです。
クラスメートにこうして実際会うのは今回が2回目だったんですけど、昨年6月に初めて顔を合わせて以来オンラインで「なにこの課題!どうやるの?」「えーちょっとこれ教授に確認した?」とワイワイ普段からコミュニケーションを取っていたので(もちろんたまには愚痴も)、もうすっかり長年来の友人!という感じです。皆年齢もバックグランドも全然違うけど(20代半ばのコもいればお子さんがかなり大きいおとーさんおかーさんも)、仕事しながらでも思いっ切り勉強したい!というモチベーションは同じなので気は合うし、目的意識は同じだし、とにかく一緒にいて刺激になります。
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この一年、アホみたいに勉強しました。
久しぶりに連日朝の2-3時まで起きて教科書読んだり文献読んだりプロジェクト作ったり論文書いたり。博士課程って、なんとなくふわふわしたものも世の中には意外と多いんですけど、私の所属する博士課程はものすごくしっかり順序立てられていて、それぞれのクラスが(授業によってかなり差はありますが)ボリュームがあり、きっちり学べるように作られています。お陰様で私が同じ文献を読んでも一年前と今とでは理解度が違うし、エビデンスをより深いところで解釈できるようになり、より重要な臨床的意味を見いだせるようになりました。

フルタイムの仕事との両立大変でしょ?と聞かれることもありますが、
実はそうでもないです。思ったよりはずっとラクでした。
正直過去四年間やっていたhalf-time AT/half-time Academicsのほうがよっぽどキツかった。
フルタイムの教職(→今の私)って質の高いものを学生に提供しなければいけないというところではシビアですが、時間的拘束はATのようにアホみたいに長くないし、趣味に家族に使える時間も多い。私はそれを普段勉強に回させてもらってる感じです。もし友人知人で博士号取得に興味があるけどどうなんだろう…と悩んでいる人がいたら相談に乗れることもあるかもしれません。連絡してね。

さて、これからの一年、また新たなことを勉強できるのが楽しみです。この歳になっても脳みそトロトロのお腹パンパンのおでこがテカテカになるまで学べるって幸せなことです。この5月からは後輩も出来るし、それも楽しみ!



おまけ。2月の現地授業の際には、仲の良いクラスメートと暇を見つけて勉強の息抜きに、Y Mountainという山まで登ってきましたー。BYUキャンパスの真東にある、でっかいYが刻まれた山です。大文字焼きのペイント版みたいな感じ(ちがうか)?これ、軽い気持ちで行ったんですが、登ってみたら結構険しくて坂も急で道も長くて、かなり息が上がりました(笑)!
(てっぺんで撮った写真、足元の白いペイントが"Y"の部分なんですよー)
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  by supersy | 2015-04-12 15:00 | School | Comments(0)

Knee Dislocation: ATは何を考えなければいけないか?

今回はちょっとインパクトのある写真を使っていますので苦手な方はご注意下さいね。

















医療従事者として、
一生に一度見るか見ないかみたいなド派手な怪我ってありますよね。
我々は基本交通事故患者ではなくスポーツによるOrtho injuryを見るのが仕事ですから、
(選手が交通事故に遭うようなことがあれば結局それも見ざるを得ないですが)
high impactの滅多に起きないような怪我…例えばそれこそ膝関節の脱臼とか、
そんな怪我には学生はもちろん我々Certified Athletic Trainerでもうっかりすると「授業で習っただけ」「教科書で読んだだけ」の知識しかなかったりするわけです。

でも!長いキャリアの中で一度見るか見ないかの大怪我だからこそ、
いざ起きた時にきちんと対応できるかどうかが大事なわけですよね!
私の現場でのモットーはやっぱり不測の事態をいかに予測するか、ですから。
こういう場面を目にして、どういう事が脳内を駆け巡らなければいけないか、
練習やシュミレーションすることは大事だと思うのです。
何事にもまず、準備しようと思ったら正しい知識を持つことが必要不可欠です。
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例えば、上のような膝関節の脱臼みたいな大怪我は英語でもblowout injury (しっちゃかめっちゃか)と表現される程。実際に起こった場合、まぁ最低でも靭帯が複数切れているだろうとか、半月板もいっちゃってるだろうな、とかそういう心配は二の次です。
我々が最も心配すべきはNeurovascular injuryなんですね。神経や血管に損傷が起こっていないか。特に血管に損傷が起こって、膝から下に血流が行かなくなってしまっている場合、発見や措置が遅れれば取り返しの付かない壊死が始まり、最悪の場合膝上のamputationということも有り得ます。膝だと、一番危ない動脈はpopliteal arteryですね。
神経だと構造上、一番怪我をしやすいのはCommon Peroneal Nerveなんだそう。
Fibular Neckを巻き込むように走っているから、伸ばされやすいんでしょうね。
この神経に損傷が起こると、総じてDflexを起こす筋肉が影響を受けるため、
所謂Drop Foot Gaitというpathological gaitの原因になります。
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そんなわけで、こんな論文1を読んでみました。2014年に発表された、過去の23の研究、合計907人の患者を対象にしたSystematic Reviewです。
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さて、こまごましたことはふっとばして、一気に結果・統計の紹介です。
私なりに重要だと思ったことは…
- Knee Dislocationとしては、方向はPosterior(38.04%)かAnterior(36.89%)が、
- 損傷としてはKDIV(28.35%: panligament rupture、4つのligament全て断裂)が、
それぞれ一番多い(上のチャートの赤い部分)。
    *Schenck System with Wascher Modificationを用いた分類
     KDI: ACL or PCL + MCL and/or LCL
     KDII: ACL and PCL only
     KDIII: ACL and PCL + MCL or LCL
     KDIIIMの場合はMCL限定、KDIIILの場合はLCL限定
     KDIV: ACL, PCL, MCL + LCL (全ての靭帯に損傷)
     KDV: 骨折を伴う脱臼    …ということだそうです。


その中でVascular injuryを起こしていたのは、
- 全ての研究を併せると、Knee Dislocation全体の19.84% (12.8-22.2%)
- ACL + PCL + LCLの損傷が起こっているとき(KDIIIL: 32.14%)
 それからPosterior Dislocationのとき(25%)、Vascular injuryが起こりやすい。
 (上のチャートの黄色部分)
- 損傷される血管は、Popliteal arteryのみの場合がほとんど(76%)だが、
 稀に他の血管の損傷を伴ったり、他の血管のみだったりすることもある。
 損傷が報告された血管は他にSuperficial femoral, Anterior tibial, Common femoral,
 Medial genticular, Posterior tibial artery。
- 血管損傷が見られた患者の殆ど(80%: 72.8-87.5%)は手術を必要とし、
 そのうちの12% (4.8-19.3%)は足の切断を余儀なくされた。
- 足の切断の直接の原因としては、感染症か血管修復の失敗によるischemia (73%)が最も多く、
 それ以外は神経血管系の完全断裂や、ischemiaが長きに渡りすぎたことなどが原因だった。

中でNerve injuryを起こしていたのは、
- 全ての研究を併せると、Knee Dislocation全体の27.57% (13.9-35.7%)
…それ以外の記述は神経系の怪我については無し。
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●現場のATが知っておきたいこと
まとめると、約20%のVascular complication rate, 約28%のNeurological complication rateはなかなか高いなぁという印象です。Vascular injuryが起こった症例のうち、80%が手術が必要で12%がamputationというのも怖い…。やはり、膝の脱臼はまずrefer!EAP!っていうことですね。
で!考察部分で驚いた記述がですね、
- 現場で通常のdistal pulseが確認されても、多量の出血が原因で血栓が形成され、
 結果、時間をかけながら徐々にvascular compromiseが起こる例もある
- Popliteal Arteryが断裂していても通常のdistal pulseが確認される例も多い
ということで、我々ATが行う通常のphysical examinationでは、決定的な血管損傷を正しく認識できないこともあるそうです。Pulseが確認できても楽観視しないほうがいいってことですね!
上の研究結果と併せると、特にPosterior Dislocationの場合は特に要注意。
あと、例えばこういう見た目(↑)だとKDIIILの可能性が高そうですから、
それもred flagとして認識したほうが良さそうですね。

もちろんキャリアのうち一度も見ないで済めばいい怪我ではあるんですが、
だからといって、毎日「今日は膝の脱臼がありませんように」と指をクロスして(=お祈りして)仕事に向かうのでは仕方ありません。最悪の事態を想定し、誰もがパニックになりそうな時にも冷静沈着に動けるようでありたいですね。

【追記】
すみません追記です。
このSystematic Reviewには、「Ischemia timeの長さがamputation率に直接影響がある」こと、それから、「immediate reduction」を推奨する旨が明記されています。「どう」reduceするのかというところには触れられていませんし、このジャーナルはそもそもClinical Orthopaedics and Related Researchという整形外科医・手術医を中心としたaudienceをターゲットにしたものなので、これをATが鵜呑みにするのは多少のリスクはありますけれど(各州の法律をまず参考にして下さい)、Soft tissueのcreepingという意味でも「現場にいる医療従事者がなるべく早くに脱臼を整復してくれ」と医師に言われたことは私自身あります。前にもどこかで書きましたよね。それで血流をrestoreできて足を切断しなくて済むなら確かに我々ATはそうすべきです。最低でも整復を「試み」て、例えば何かが引っかかるような感覚があり整復が不成功だった場合、それ以上は無理強いをしない、くらいの気持ちで、と私は思っています。

あと、この論文にはこの膝関節の脱臼自体「many dislocations spontaneously reduce before presentation」という記述もあります。これはちょっと意外でした…写真のように足がぐにゃりと曲がったままのケースのほうが少ないんでしょうか?でも膝の構造から考えたらナルホドなのかな?肩や股関節だとまぁ自然に戻るということは難しそうだけど、膝は丸っこいし基本flatだし…。

1. Medina O, Arom GA, Yeranosian MG, Petrigliano FA, McAllister DR. Vascular and nerve injury after knee dislocation: a systematic review. Clin Orthop Relat Res. 2014;472(9):2621-2619. doi: 10.1007/s11999-014-3511-3.
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  by supersy | 2015-04-03 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

ACL再建手術に於けるPlatelet-Rich Plasmaの使用とその効果、まとめ。

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ものっすごい昔、丁度5年くらい前にPlatelet-Rich Plasma(PRP)について少しだけ書いた事があります。そういえばあれ以来PRPに関する論文をまともに読んだことがなかったです。今日たまたまこのSystematic Reviewを見つけたので読んでみました。ふむー。
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これ、Figueroa氏らによってメチャメチャ最近publishされた論文1で、PRPをACL再建手術に用いた場合のPatient Outcomeについて2005-2013年に発表された研究11件をreview・まとめたものです。この11の研究を併せると、ACL reconstruction with PRPした患者が266人、ACL reconstruction without PRP(=Control Group)した患者の総数が250人、計516人の患者を対象にしているSystematic Reviewということになります。それぞれの研究の概要は以下の通り。結構RCTもされてるんですね…こういう内容で、すごい。
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私、PRPのparameterに関しては詳しくないので、
このSystematic Reviewに含まれていたそこらへんの詳細についてはコメントしづらいのですが、
PRP濃度はこれくらい、とか、注入箇所はここ、とか、患者からの採血量これくらい、とか、やはり研究によってかなり違うようで、そこらへんも影響が無いってことはないんでしょうね…。でもそこまでは分析できないやー。

さて、大雑把な結果ですが、結論別に研究を並べてみたいと思います。

No Statistical Difference: 全くグループ差無し
- Silva et al
- Vadala et al

Trend, but No Statistical Difference: PRPの方が優秀な結果が出たが、統計的に重要でない
- Figueroa et al & Nin et al PRPグループの方がmaturationが早い傾向にあった
  (P>0.05)、Tunnel healingも僅かにPRPグループが良かったが、P<0.001
- Mirzatolooei et al 骨に開けた穴の治癒がPRPグループの方が早い傾向があったが、
  femoral opening, mid-tunnel, tibial opening, mid-tunnelでそれぞれ
  P=0.37, P=0.363, P=0.333, P=0.177

Statistical Difference: PRPの方が結果が良く、統計的にも重要であった
【Graft Maturation】
- Ventura et al PRPグループのACL graftがよりACL本来の組織に近い(P<0.01)
- Orrego et al PRPグループの100%がGraft maturationした段階で
  Controlは78%のみ(P<0.036)
- Sanchez et al PRPグループのGraft maturationの方が早い(P=0.024)
- Radice et al Graft maturationまでに掛かった時間が、Controlの平均369日に比べて
  PRPグループは177日と、約48%に短縮された(P<0.001)
【Tunnel Healing】
- Vogrin et al PRPグループの方が、骨と靭帯の境界面の
  vascularization度が高い(P<0.001)
【Clinical Evaluation】
- Vogrin et al AP knee stabilityがPRPグループの方が優れている(P=0.011)

この結果を見ると、Tunnel healing/Clinical evalに関してはまだ結論を出しづらいものの、Graft maturationを早める効果がある、というのはそこそこpromisingと言ってもいいかと。どうせ手術するならPRPの手間がものすごくかかるわけでもないし(費用は…多少上乗せされちゃうのかな?この辺は実は詳しくないです。アメリカだと手術の最後に抜いておいた血液をドバドバ、と患部にかけるだけという印象なので)、どの研究でもPRPが悪影響を及ぼした、という結果はひとつも確認されなかったわけだし、やることによるデメリットは患者にも施術者にもない。やるに越したことはない、というprocedureではあるのかなと思います。これからもう少ししたら、Parameterに関してもより細かい指定や基準が生まれてくるのかも知れませんね。

個人的にはPRPを使ったgraftと使わなかったもののfailure rateなんか見てみたいなー。

1. Figueroa D, Figueroa F, Calvo R, Vaisman A, Ahumada X, Arellano S. Platelet-rich plasma use in anterior cruciate ligament surgery: systematic review of the literature. Arthroscopy. 2015:S0749-8063(14)00940-2. doi: 10.1016/j.arthro.2014.11.022.
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  by supersy | 2015-04-01 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

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