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膝の診断関係、総まとめ。

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世の中の膝好きのヒトのために。
…というか、私自身今までいつ、何について書いたか分からなくなったので、
自分の為に、書いたもの一覧表。ちなみに「最新」というのは「コレを書いていた時点では最新」という意味なので、これから少しずつ古くなっていくのはご了承下さい。

ACL Tear (前十字靭帯断裂)
 - 最新Systematic review/Meta-analysisまとめ(2014) (3/27/2015)
 - Benjaminse (2006)のMeta-analysisによる診断価値まとめとLeli's Test (2/2/2014)
 - 女性アスリートのACL断裂予防プログラムについての最新Meta-analysis(2014) (5/22/2014)
 - ACL再建手術に於けるPRPの使用と効果、最新Systematic Reviewまとめ

PCL Tear (後十字人体断裂)
 - 最新Systematic Review(2013)まとめ (2/28/2014)
 - PCLの単独損傷時にすべきことまとめ 12 (5/18・20/2012) 

MCL Sprain (内側側副靭帯損傷)
 - Valgus Stress Test、理想の角度まとめ (3/15/2013)

Meniscal Tear (半月板損傷)
 - Red-White Zoneの半月板縫合と切除手術結果まとめ (5/23/2015)
 - 最新Systematic review/Meta-analysisまとめ(2013,2015) (3/28/2015)
 - McMurray's Testの進化系と診断価値まとめ (4/23/2013)
 - Discoid Meniscus Tear(円盤状半月板損傷)診断まとめ (1/15/2012)
 - Discoid Meniscusとは、まとめ (2/9/2009)

おまけ的な
 - Knee Dislocation: ATは何を考えなければいけないか?最新Systematic Reviewまとめ
 - 膝に新靭帯発見?ALLについてClae (2013)記事のまとめ (12/23/2013)
 - Camelback SignとPatella alta (5/22/2012)
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  by supersy | 2015-03-29 09:00 | Athletic Training | Comments(0)

Evidenceに基づいた半月板損傷の診断 - Update

せっかく昨日はACL(前十字靭帯)の怪我の最新エビデンスまとめをしたので、
今日はMeniscal tears(半月板損傷)で同じことをしたいと思います。
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まずまとめたいのは、Snoeker et al (2013)1が発表した18歳以上の被験者を対象にした、半月板損傷の危険因子について行われたsystematic review/meta-analysis。本論文では過去にrisk factorについて検証した11件の研究を読み込んで分析しています。

危険因子を怪我別にまとめたものが以下の表です(論文中のTable 4を参考にしました)。
怪我は上から、Degenerative tears, Acute tears, Tears secondary to Laxity。
この表のORというのはOdds Ratioのことで、つまるところ、「このfactorがpresentだった場合、半月板損傷のリスクが○倍になる」という数値を示しています。この数字が1以下の場合は、その要素は半月板損傷のリスクを減らす要素である、ということが言えます(ひとつしかありませんが)。
例によって、私が重要だと思う項目には色がついています。
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Degenerative tearは私が診ているpatient populationでは年齢的にまず見ることはないんですけど(言い換えれば、危険因子のひとつである『60歳以上である』というのは私にはそれほど関係のあるfindingではありません)、『男性である』ということが一番の危険因子であるというのは意外でした。『日常的に膝をついたり、スクワットをするような体制になることが多い仕事をしている』となりやすいというのは納得ですし、数字も性別についで二番目に高くなっています。『階段を一日に30段以上登る』のもそこそこ。
この表には含まれていませんが、喫煙歴の有無(『今も吸っている』、『昔吸っていた』、と『吸ったことがない』被験者を比べた場合)は半月板のDegenerative損傷に全く因果関係が見られなかったそうな。アルコールも無関係。これはちょっと意外。…あ、でも血流は関係ない部位だからかな?

Acute tearは、スポーツの種目に関してしかコメントできないデータですが、サッカーとラグビーは半月板損傷の危険性が他に比べて高め、ということは言えそうです。やはり、半月板損傷には「load & twist」というMOIが一番多いからか、loadしないスポーツ(i.e. swimming)やtwistしないスポーツ(i.e. running)だと、その両方が在るスポーツに比べて危険性は落ちるようです。

結構面白いのが最後の「前十字靭帯を断裂した患者に起こる、instabilityからの二次的半月板損傷」というカテゴリー。ここでは、「前十字靭帯を断裂してから、その再建手術までの間が一年以上空いた場合medial meniscusが損傷する可能性は一年以内に手術する患者に比べて3.5(2.09-5.88)倍」という発見がありました。Lateral meniscusに関してはそれほど(OR = 1.49; 95%CI 0.94-2.38)でもないから不思議です。

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半月板損傷診断に関しては以前こんな緩めのまとめ(知ってるようで知らない、McMurray's Testのあれこれ)はしたことがありますが、今回はBenhamin et al (2015)2がまとめた最新のsystematic review/meta-analysisをご紹介します。16歳以上を被験者とした9つの研究(被験者総数1234)を再集計して分析した結果です。論文から、その9つの研究の質(QUADAS-2)とそれぞれのSpecial Testsの統計を引き抜いたものをひとつの表にまとめてみました。
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そこから更に、全ての結果をpoolしてmeta-analysisにしたものがこちらです。
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2x2 Tableがあったりなかったりでmeta-analysisに含まれたのはこの3つのテストのみですが、それなりに価値が見受けられるように思います。このmeta-analysisは手厳しく「heterogeneity高すぎ、オススメできるテストは現時点ではありません」と結論付けていますが、それでも現場のATは何らかのテストをしないわけにはいきませんから、私が思うところをまとめると…
1. Rule outに一番有効なのはJoint Line Tenderness?
2. Rule inに最も有効なのはThessaly 20°?
 しかし、McMurray's, JLT, Apley's, Thessaly 5°もそれなりの数値。よって、
 これら複数のテストを組み合わせ、複数個の陽性が出れば信憑性がより高まる、
 と考えてもいいのでは?

…なんて私は解釈しています。

そんなわけで、今回も前回に引き続き、私のroutineである、
JLT→McMurray's→Apley's→Thessalyを変えるものではありませんでしたが、
Absence of JLTでrule outの可能性が高まるというのは頭に留めておく価値があるかと。
しかし、この論文では論じられていませんでしたが、それぞれのテストに
 McMurray's - ほぼ最大屈曲を要する為、腫れや痛みで可動域の制限があると
       テストそのものが不可
 Apley's - 同様に、McMurray程ではないものの、90度の屈曲ができないと不可
 Thessaly - 片足でWBする能力が無ければ不可
というlimitationがあります(これらは、特にacute tearの診断の場合、致命的になる可能性があります)。そういう意味ではJLTは非常にお手軽、いつでも使える、且つ有効なテスト(…というか、S/Sのひとつですが)と言えますねぇ。

Meniscal tearこそ、そろそろClinical Prediction Ruleがどどーんと出てもよさそうな怪我ですよねぇ。JLTとかclickingとかTwisting MOIとかそういう条件も足して…。あと数年で出来そうなので指を加えて待っていることにしましょう。

1. Snoeker BA, Bakker EW, Kegel CA, Lucas C. Risk factors for meniscal tears: a systematic review including meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43(6):352-367. doi: 10.2519/jospt.2013.4295.
2. Smith BE, Thacker D, Crewesmith A, Hall M. Special tests for assessing meniscal tears within the knee: a systematic review and meta-analysis. Evid Based Med. 2015 ;pii: ebmed-2014-110160. doi: 10.1136/ebmed-2014-110160.

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  by supersy | 2015-03-28 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

Evidenceに基づいた前十字靭帯断裂の診断 - Update

私、前十字靭帯断裂の診断に関しての論文は、Benjaminse氏ら(2006)のmeta-analysisが今でも秀逸だと思っていますが(本当に美しくてうっとり…内容は以前にまとめたとおり)、この論文がそろそろ発表されてから10年になるのも事実。そんなわけで、ここ1年で発表されたACL tear診断に関するsystematic reviewをふたつ、良い機会なので読んでみました。自分勝手にまとめます。あくまで自分メモなので、個人的な解釈を足しております。ご了承下さい。

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Lange et al (2014)1のこのsystematic reviewは、ACL診断によく使われるスペシャルテストのreliabilityを調べた研究のみ、7つ集めてreview。意外にすくなっ。

●Intrarater Reliability
更に驚くことに、intrarater reliabilityが研究されてるのはLachman'sだけなんですね。
その結果をまとめてみると…(記事中のTable 3を参考に作りなおしました)
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Lange et alは「Lachmanのintrarater reliabilityはmoderateである」と結論付けています。

●Interrater Reliability
オリジナルのTable 4にはProportion of Positive Agreement(Ppos)というvalueが入っていたんですが(Peeler et al, 2010)、この数値の価値をイマイチ私自身理解できなかったので、勝手にこの表では外しています。これが知りたい方は元記事を読んで下さいませ。そんなわけで、下の表(↓)はKappaとICCに絞って見ています。
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Prone LachmanとAnterior Drawerは研究の絶対数が足りないですよねぇ…。QARELを見る限りではProne Lachmanのinterrater値は非常に優秀と言えそうだけど、これはsensitivity/specificity等のdiagnostic valuesがまだ伴わないから私にとってclinical relevanceに欠けるのです。普段使うテストじゃないんで…。
Lachmanの数値はかなりバラつきがあり、Lange et alはLachmanのinterrater reliabilityに関しては「現時点で結論を導き出すのは難しい」としています。

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で、肝心のスペシャルテストの診断力なんですけど、
このSystematic review2は、1) QUADAS-2を使っている、2) SensitivityやSpecificityではなく、LRのみに重点を置いてまとめている、という点でなかなかユニークです。こういうreviewは初めて見ますが、もしやこういうのがこれからの診断のsystematic review/meta-analysisのnormになっていくのかしらん?それともこれは異端児?QUADAS-2はともかく、Sn/Spは無視してLRのみ、というのはなかなか冒険的だと思うのだけれど…。+/-predictive valuesは実用性が無さ過ぎると思うので私も無視しているけど(授業でも教えておりません)、Sn/Spってやっぱり大事じゃないかな?この論文でも、せっかく各研究から2x2 tableを抽出しているのだからSn/Spはついでに書いておいてくれればよかったのに…と私は思ってしまいます。

…おっと、話が反れました。
個人的な希望を述べても仕方ありませんよね。

で、このsystematic reviewがreviewした14の研究結果の詳細がこちら。
私が勝手にpoint valueと95%CIに基いて、positive but non-conclusiveは黄色に、positive and definitiveな結果は赤で色を付けてみました。
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どうでしょうかね、私は結局これを見てみても、Benjaminese et al (2006)の結果と変わらないかな、と思います。やはり順位をつけるならLachman。Ant DrawerとPivot Shiftは陽性が出ればrule inにはいいけれど、acuteならまぁ陽性が出る可能性そのものが低いと考えたほうが妥当。そもそもPivot Shiftをして患者の信頼を失うほうがよっぽど大打撃、私にとってはこれは非現実的なので論外。
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それから、将来的にClinical Prediction Ruleを作ろうという試みなのか、
Wagemakers et al (2010)の研究を引用して、何か効果的なコンビネーションはないか、という模索・議論もあったのですが、結果が「2 Positive History Findingsと(+) Anterior Drawerがrule inに有効なのではないか」というちょっと緩い感じのもので(ちなみにここのHistoryというのは、popping sensation, giving way, effusion, immediate pain at trauma and inability to continue activityの5つのうちどれかを指すもののことだそうです)、その根拠が+LR = 4.8 (2.3-10.2)という数字…。この試みとstatement、私は将来への可能性は感じますが、差し迫った現実性を伴う実用性は感じないのです。4.8って高い数字じゃないし、95%CIの幅も広い。だったら単独Special Testとそれほど変わらないんじゃないですかね…。現時点でClinical Prediction Ruleと呼ぶには程遠いかな。

そんなわけで、最新のsystematic reviewを読み込んでみましたが、
私の中でのACL Ruptureの診断アプローチをそれほど変えるものではありませんでした。
敢えて言うなら、一番有効性があるLachmanをする場合、
Interrater reliabilityにバラつきがあったのにIntrarater reliabilityは比較的一貫性があり高かった、ということは、やっぱりLachmanは練習して上手くなるより他ないってことじゃないですかね。練習して、経験を積めばより一貫性のある結果が出せるようになる。Lachmanに関してSwain et al (2014)でLR値の幅が出てしまっているのもこの要素が大きいかも知れない可能性は否めませぬ。

1. Lange T, Freiberg A, Dröge P, Lützner J, Schmitt J, Kopkow C. The reliability of physical examination tests for the diagnosis of anterior cruciate ligament rupture - A systematic review. Man Ther. 2014. pii: S1356-689X(14)00223-9. doi: 10.1016/j.math.2014.11.003
2. Swain MS, Henschke N, Kamper SJ, Downie AS, Koes BW, Maher CG. Accuracy of clinical tests in the diagnosis of anterior cruciate ligament injury: a systematic review. Chiropr Man Therap. 2014;22:25. doi: 10.1186/s12998-014-0025-8. eCollection 2014.

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  by supersy | 2015-03-27 23:59 | Athletic Training | Comments(3)

初Seattle。

えーと、イベントフルな週末です。
とりあえず今、予定ではCorpus Christiに帰れている予定だったのですが、
ダラスで足止めになっています。航空会社負担でホテル宿泊、という珍しいことに…。
シアトルからダラスの飛行機が機体トラブルで一時間半遅れ、乗り継ぎできなかったので
バタバタしております。明日の授業に間に合わなくなってしまったので、
急遽同僚に代打を頼んで一息。軽い実技のクラスでよかった。

さて、そうなんです。今週末はSeattleに来ていました。
正確にはシアトル郊外のKirklandというところ。空港から車で30分くらいでしょうか。
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久しぶりに素敵な(そして高級そうな)ホテルに滞在させて頂きました。
ワシントン湖から2ブロックくらいだったので、てくてく歩いて散歩もしてきました。
これはもしや…桜?だとしたら桜の花を見るのなんて、13年ぶりかも!
(そういえばワシントンには桜の木が多いって聞いたことあるような気がします!)
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噂通り毎日しっかり雨は降ったけど、緑も多いし素敵な喫茶店も数多くあるし(←ここコーヒー好きにはポイント高い!)、なかなか住みやすそうで素敵な町です。

ちなみに今回のSeattle遠征(?)の目的は、Spring Breakの休暇旅行ではなく、
お仕事です。PRIのFaculty Training!
今まではイチ参加者として呑気にPRIの講習を受けてきたわけですが、
やっぱり教えるとなるとマニュアルを読み込んで色々構想を練ってみても、
「参加者の人が一番ひっかかりやすい内容はどこで、どういうヒントがその時手助けになりやすいんだろう?」「何を、どの順番で、どのように?」
などと、疑問は尽きません。受け手のリアクションまではイマイチ想像できないのです。自分で内容を選ぶ講習ではなく、オリジナルのPRIの言葉をいかに変形させずに伝えるかが重要だと思うので、せっかく足を運んでくださる日本の皆様に一番受け取りやすい方法でお届けしたいのです。
とはいえ、悩んでいても仕方ない。蛇の道は蛇!ということで、今回は、
PRI創設者のRon氏に次いで長い14年というPRI講師歴を持つJames Anderson氏が教えるMyokinのコースを彼の『教え方』に注目して参加させてもらい、沢山のヒントや教訓を授かってきました。James氏は本当に魅せ方が上手…。そして何より、「Sy、もっとお話しよう!まだまだ教えたいことあるよー!」と暇さえあれば朝ごはんや昼ごはんに連れ出して下さっては、今までの講師歴での失敗談、成功秘話や秘訣などを惜しみなく伝授してくださるので、本当にもう感謝でいっぱいです。師匠…(涙)!
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そんなわけで、2日間James氏の下についてたっぷり学ばせて頂きました!
とっても贅沢で濃厚な一時でした。はー楽しかったー!

とりあえず明日の朝イチの振り替え飛行機でCorpusに帰れる予定です。
空港から直接職場に行かねばなぁ。ぬー。
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  by supersy | 2015-03-22 23:59 | PRI | Comments(0)

この夏、日本にてPRI講習やります!

公式PRIがこの夏、日本で全編日本語で講習会をすることになりました!
そんでもってぶっ飛ぶことに、私と、私の古い友人である石井健太郎が講師を務めます。
日程は下記の通りです。
 7月19-20日 履正社医療スポーツ専門学校(淀川区、大阪)さんにて
 7月25-26日 スポーツプログラムス(品川区、東京)さんにて

両日朝8時から夕方5時まで、丸二日かけた講習です。
詳細やお申し込みは公式ページ(こちら)からどうそ。ご質問や不明な点等ありましたら、
日本語対応しておりますのでお気軽にご連絡下さい。
ちなみに私、このウェブサイトで日本語ブログ担当もしております。

【追記】公式サイトの方で、お申込手続きをしないと受講料が分からないというご指摘を受けました!申し訳ありません。PRI側には情報を更新してもらえるようさっきお願いしましたが、反映まで少し時間がかかるかもしれません。お値段は、講習日4週間以上の事前申し込みの場合は$445、4週間未満の場合は$475という、アメリカでのお値段と全く同じ設定になっています。クレジットカードにて申込時に支払いをお願いする形になっておりますのでお手元に準備の上お申し込み下さい。

私にとってこのブログ(Innervate the World!)はあくまで自分用の勉強メモであり、
あまり私的な宣伝や広告はここではしないよーにと思っていましたが、
今回は本当にかなりの時間をかけたビッグプロジェクトなのでここでも書かせていただきます。
お目汚し失礼致しまする。
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私がPostural Restoration Institute (PRI)の下でここ数年勉強していることは
過去にも幾度かブログに書いたかなと思いますが、2014年一月にPRIの資格である
PRT (Postural Restoration Trained)を取得した際(↑上写真)に、PRIの教育・資格課ディレクターのJennifer Platt氏(写真前列右から二番目)から「日本からのHome Studyの申し込み、めちゃめちゃ多いわ…一ヶ月に数件は日本に発送してるもの。やり方詳しくなったわ!(キリッ)」と聞かされたのと、PRI創立者のRon Hruska氏(写真前列最右)から「日本人って勤勉で素晴らしいね…興味を持ってくれている人が多いなら是非日本でもface-to-faceの講習をやりたいね!」と言われたことから、日本で講習を実際にするならどういう形態が一番喜んでもらえるか、効果的に学んでもらえるかを一年以上かけて話し合ってきました。

結果、
 1. マニュアル本を完全翻訳し、日本語版・英語版の両方を提供する。
 2. DVDに日本語字幕を付けたり日本語版で撮り直すよりは、まず日本人講師による
  完全日本語という形で現地で講習をホストしてみる。
…という形が一番いいのでは、という結論に落ち着きました。
Ron氏やJames Anderson氏を日本に招いて彼らに(英語で)講習をしてもらう…
という可能性も考えたのですが、元々PRIがかなり独特の英語を使うのと、
通訳を介しての翻訳を挟むとどうしてもチョチョ切れ感が気になるのとで、
色々悩んだ上に、私自身と私の古い友人である石井健太郎が講師としてのトレーニングを積み、全編日本語で提供するのが一番質の高いものを提供できるのでは、ということに。

●PRI講習の種類
 - Primary Courses(基礎コース)
   Myokinematic Restoration, Postural Respiration, Pelvis Restoration
 - Secondary Courses(アドバンスコース *履修には特定基礎コースの修了が必須になります)
   Cervical Revolution, Impingement & Instability, Advanced Integration

PRIの講習には基礎コース(Primary Courses)とアドバンスコース(Secondary Courses)とがそれぞれ3つずつありますが、今回日本での講習が実現するのはPRIの基礎コースのひとつ、Myokinematic Restorationです。日本語ではそのままマイオキネマティック・リストレーションと呼ぶことにしました。長くて呼びにくいよー、という方は、愛称のMyokin(マイオキン)で、是非。
この講習で焦点となるのは、横隔膜が骨盤・下肢に及ぼす影響と、それらの作用で我々が生活習慣から陥りやすいパターン(L AIC)について。講義と手技の実践とを交互に繰り返す形で丸二日かけてこのPRIの核と言っても良いコンセプトをじっくり学びます。
*まだ計画段階ですが、将来的にここから他の基礎コースであるPostural Respiration(横隔膜と胸郭、R BC)と、Pelvis Restoration (骨盤のインレット・アウトレット、PEC)へと講習を広げていけたらと思ってます。

●なぜPRIなのか
医療の世界に足を踏み込んだからには、一生勉強し続けるのが我々の使命。しかし、プロとして働く皆さんは、その時間を割く/お金を費やすからには「価値が十二分にあった」と心から思えるものに出会いたいと思っていることと思います。もちろん私も例外ではありません。私はとりあえず何でも学んでみようと思うタイプなので、今までも様々な講習会に参加してきましたが、ふーん、こんな感じか、と納得すれば単発参加で終わることもありますし、なんじゃこれ、面白い!もっと掘り下げてみたい!と思えば続けて幾つもの講習に参加することもあります。

中でも私がPRIと関係を長く続けるようになったのには幾つか理由があります。
1. 内容ががっつり私好み
 私は大学院で勉強していたあたりから(このへんとかこのへん…)、
 『呼吸、肋骨の動き、横隔膜の機能が人体に齎す機能は多大なんではないか?』
 『つーかそもそも、人体って左右非対称じゃないか?そうだとしたら、
 我々は左右対称を理想として掲げることは正しいのか?』と疑問を持ち始め、
 その頃に石井健太郎氏に「さゆりさんきっと好きですよこういうの」とPRIを紹介
 されたのが一番初めのPRIとの出会いです。彼らが提唱していた
 『人体は左右非対称である。その非対称さをembraceしよう』という
 コンセプトがガツっと下っ腹に響いたので、PRIとのお付き合いはそれ以来になります。
 
2. 講師が変人
 私は自分でも十分マニアックな方かと思っていましたが、
 PRIの講師の方々、創設者のRon氏を始めとした全ての方が変人の域に達しています。
 *ワルグチではありません。私なりの究極の褒め言葉です。
 中でもRon氏は、本当に脳みそをぱっかり開けて見せてほしいくらい…。
 彼は、歯科学校を中退して理学療法学校に入りなおしたという面白い経歴の持ち主で、
 それ故か、歯や顎がもたらす身体への影響とか、そんなことを学生時代から考えていた
 そう。皆さん飾らず庶民的で親しみやすい方ばかりですが、一たび人体について
 口を開くと、魔界と言うか冥界と言うか、別世界に連れて行かれます。
 天才です。圧倒的知識と技術です。「こんな人たちのように
 人体を見ることができたら…!」と憧れ、尊敬の念を抱いております。

3. 様々なdisciplineと交流・発展し続けている
 私の個人的基本理念に、「患者は触らずに済むならそれが一番良い」と
 「万能の治療法など無し。引き出しの数は多い方が良い」というものがあります。

 前者は、患者がセラピストに寄りかかりきりではダメだと思うこと…特に、
 ATという仕事をしている以上、選手は数年単位で流動的に入れ替わっていくものだし、
 「貴方がいないとプレーできない」という選手を育ててはダメだと思っていること
 があります。選手自身が自分の身体と対話する能力を培って、
 自分でメンテナンスすることができるようになれば、
 その選手はどこに行っても通用する。引退しても自分の身体を健康に保てる。
 ATは良い意味で要らない存在になる。腕を組んでニコニコ皆を眺めていればいい
 という、そういう状況こそ一流のATが創るべきものだと思っています。
 PRIもPatient Educationに重きを置いており、non-manual techniqueと呼ばれる
 患者がactiveに行うエクササイズでのアプローチをまず一番に試し、
 それらが思うような効果を生まない場合に最後の手段として
 セラピストが自らの手を使って(= manual technique)患者の身体を導く、
 という順番には大いに共感できました。
 治療プランも患者・保険会社からお金を搾り取るようなビジネス主体のものではなく
 (悲しいかなアメリカだとこういうの多いんですよね)、徐々に患者を自立させ、
 最終的には自らの身体を自分でモニター・修正できるようになるような流れは
 私の目指すところでもあります。

 それから、「この治療法を使えば誰でもどんな怪我でもばっちり!」という謳い文句の
 講習やセミナーは私には胡散臭く思えます。現場で経験を積んだ人間なら、患者が
 どの治療にどう反応するかは大きく個人差がある、ということを知らないはずが
 ないからです。幅広い疾患や怪我を扱うATならば、それらの予測不可能な
 『個人差』を補うには、引き出しの数を増やすしかないのです。
 まずこれを試してみて、ダメならこれ、それもダメならこちら…と、
 とにかくtrial & errorで攻めるしかないのです。
 PRIは「私たちの知識は絶対だ!PRIさえあれば!」という言い方は絶対にしません。
 創設者のRon氏も、他の講師陣も、「こういう場合はちゃんとMyofascialなアプローチ
 しないとダメだよね」とか「こういうケースは専門歯科医に委託して…」などと
 他の治療アプローチや他分野の医療従事者と協力することでより治療を高みに
 持っていけると信じています。全員が「there's a time and place for everything
 (時と場合さえ適切ならどんな治療も効果的に成りうる)」という
 広い視野を持っており、PRI自身も他の文化から学び、発展していこうという
 非常にポジティブで暖かい雰囲気のある団体です。その結果、
 PRIxヨガのコラボレーション、PRIx眼科医のコラボレーション、
 野球に特化したPRIの独特の応用法など、お互いをいかに活かしながら磨き合えるか、
 日々試行錯誤しています。こういうところも好感が持てた理由のひとつです。
 今回の日本展開も、「日本の施術者さん達はまた人体に対して独自の見解を持っている
 んだろうね、色々学びたいなぁー」とRon氏なら言うと思います(Ron氏は、
 ほのぼのしたとっても親しみやすいおじさまです。
 皆様にも是非会っていただきたいです)。

●万人向けではないかも知れません
ここまで書いておいてなんですが、PRIは好き嫌いが分かれるかも、とも思います。
こんな正直に書いていいかな…、これは公式ブログじゃないし本心だからいいですよね。
まずは、PRIの基礎である、(ほぼ)全ての人間はL AICパターンに当てはまる、というStatementをどうしても飲み込めない人はそれ以上前に進めないと思うんですよね。いや、これは私自身も最初ちょっと苦労したので良く分かります。「一般的ニンゲンは全てひとつのパターンに当てはまる?なんじゃそら?」と抵抗を覚えた時に、それを「なんかよくわからんけどとりあえず最後まで聞いてみよう」と思える人はPRIを楽しめるだろうし(徐々にL AICから発展した様々な変化形があることを学び、最終的には納得できるかと思います)、「そんなのは絶対に認めない」と思ってしまったらその人はPRI向きではない、ということなのかもと思います。入り口がちょっと引っかかりやすいんです…。

あとは、内容がとにかく濃いところ。私は以前から解剖学が大好きで、それなりに知識があるつもりでしたが、PRIの一番最初の授業を取って(Myokinでした)その自信は見事に打ち砕かれました。PRIの講習ではObturatorとかL Pterygoidとか、今までほとんど習ったことの無いような筋肉にめっちゃ焦点が当てられる。生半可な解剖学の知識では脳みそパンクしそうになります(私、Myokinの講習の最初の30分は文字通りアタマからぷすぷす煙が出ていました)。もちろん講師として教える際に受講者さんたちの脳みそパンクさせないよう私も工夫・注意せねば!ということでもありますが、そんな解剖学のどーこーはいいから明日からすぐに使える技術だけ教えてくれないかな、というquick fixを求めている方には向かないかも知れません。施術者側が頭を使って考え、患者の身体を紐解いていく…という内容になっておりますので。

さて、長くなりましたが、要約すると公式ウェブサイトが開設しました!
興味のある方は是非この夏、講習会でお会いしましょう!…ということでした(笑)。
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  by supersy | 2015-03-17 17:00 | Athletic Training | Comments(5)

高校生は何故脳震盪の症状を隠すのか?

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ものすごく個人的な話になりますが、今学期は両極に在る授業をふたつ取っています。
ひとつはBiostatistics。統計学を掘り下げ、様々なデータをどう分析するか、
分析の際にどういうことを考慮に入れて結論を出すべきか、みたいな内容です。
もうひとつはQualitative Researchの授業。
前者が理系ならこちらは文系の授業といった感じ。Quantitativeな研究だけでなく、
これからQualitativeな研究が恐らく文献に増えていく中、
それらの研究をどう効果的に実施・分析・解釈するか、という、
被験者との文章や会話のやりとりに意味を見出していく授業です。

どちらが自分に向いているかは勉強すればするほど顕著になってきて面白いですが、
(そしてそれがどっちかは内緒…)
文献の消費者としてはどちらのデータも上手く噛み砕けるようでなくてはならないと思うので
一生懸命勉強しております。どちらもなかなか面白いです、今学期の授業。

…さて、前置きが長くなりましたが、Qualの方の授業でこんな論文を読み解く機会がありました。
内容がちょっと興味深かったので、簡単に紹介しようかと思います。
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この研究は、
1. 高校生のような若い世代の脳震盪には我々は特に敏感でならねばならない、
2. しかし、ATが脳震盪を的確に察知し診断するには、やはり選手自身の協力が必要不可欠。
3. 一方で、脳震盪の症状を経験している高校生の2割から6割は誰にもそれを報告せず、
 隠してしまう傾向にある。
4. これらをよく「教育が不十分な為」と言う専門家がいるが、本当にそうなのだろうか?
 もっと他に影響を及ぼす要素はないのだろうか?
という観点から、実際にVarsityレベルでフットボール、サッカーのいずれかのスポーツをプレーしている高校生アスリートを50人対象に、所属チーム別にグループインタビューを行った結果をまとめたものです。

*ちなみに時代的な背景を説明しておくと、このインタビューが行われたのは2011年から2012年にかけてのワシントン州にて。ワシントン州は脳震盪に関する法律が制定されたアメリカで一番の州で、2009年に、1) 選手が脳震盪を受傷した恐れがある場合、直ちに競技から外され、2) 医療資格のあるクリニシャンが認めるまで競技復帰できない、と義務付けられました。その法律が制定されて少なくとも一年経っていることから、それらの法律がどう選手の教育や認識に影響を及ぼしているか調べたかったというのもあるようです。

この研究の構造の問題点とかそういうのは授業じゃないので飛ばすとして…
結果がなかなか面白かったのですよ。
大まかにまとめて、結果は7つのテーマに別けられました。

1. 選手は、脳震盪の諸症状を正しく認識できている。
 頭痛、目眩、吐き気、(多くはないにしても)意識消失や記憶障害、
 それから学業に影響が出たりすることや、人生を左右することになる、
 命を失う可能性もあるということ、コドモたちは意外と正しく認識できていました。
 これは、「教育が不十分だからだろう」という従来の見方を覆すものであります。

2. でも、プレーを続けてしまう。
 しかし、面白いことに、「プレーしていて、他プレイヤーと接触・衝突しました。
 頭痛や吐き気がします。プレー続行する?どうする?」と聞かれると、
 多くのコドモが「そのままプレーする」と答えるのです。
 少数が、「ちょっと休んで様子を…」と答えたりもしましたが、
 「プレーを中止する」と答えたコドモは皆無。

3. だって、プレーしたいんだもん!
 「だって夏中練習して…試合は一シーズン12から13くらい。一回につき40分だよ。
  こんなに練習して試合でプレーできないなんてやだよ!」
 …うむ、好きなスポーツだものね。プレーしたい!というのはごもっとも。

4. 脳震盪かどうか分からないもの…。
 脳震盪の諸症状は脱水や偏頭痛、風邪のそれと似ていないこともありません。
 脳震盪だと判断するに決め手が欠けている以上、それを理由にプレーを中止しよう、
 とは思えないようです。

5. 怪我してもプレーするのは当たり前でしょ?
 「赤ちゃんみたいにギャーギャー言ってると思われたくないし」
 「恥ずかしい」「弱虫じゃない、これくらい」
 仮に脳震盪だという確信があったとしても、他の怪我と同じように「乗り越えるべき障壁」と
 捉えてしまう選手も多いようです。例えば足首の捻挫は、走れないほどひどければ諦める、
 と非常に分かりやすい。でも脳震盪の症状は、プレーできないってほどじゃない。
 我慢すれば、できないことはない。だから大丈夫、と思ってしまうんですね。
 興味深いことに、これは性別やスポーツに関係なく満遍無く聞かれた意見でした。

6. チームの皆を見捨てるわけにはいかない
 中でも多かったのが、「チームの為に頑張らねば。自分の都合を優先してはいられない」
 というもの。「もしここで私が抜けてチームが負けてしまったら…」というのは選手にとって
 最悪のシナリオであるようです。

7. 最大の要因:コーチ。
 これが、今回のキモかと。複数のチーム(i.e. 高校とクラブチーム、とか)に所属する
 選手らに「この場合どうする?」とインタビューで聞いた場合、彼らはまず真っ先に、
 「待って、どっちのチームの話?どのコーチ?」と聞き返したそうです。
 それは、コーチの人柄や価値観に、選手は従わなければいけないという主従関係があるから。
 「怪我したら言うんだ、とかコーチは言うけど、本心じゃないんだよ。
  実際(怪我しましたと)言ったら、大袈裟だとか、弱虫だとか言われるもの」
 「プレッシャーは感じます。だって、怪我をすると、『本当にもう無理(Do you have to sit out)?
  なんとか押してプレーできない?』と聞かれるもん…」
 「コーチに言われたことある。もうプレーできないっていうんなら、
  骨が剥き出しにでもなってないと承知しないぞって」 ひぇぇぇぇ

 逆に、コーチが脳震盪に理解がある場合、
 「丸一日脳震盪の勉強に費やした時があってね、どうタックルするのが正しいかとかも勉強した。
  こういう症状があるときはコーチに言わなきゃいけないって教えられたよ」
 「私前に脳震盪して長いことプレーできなかったから…。(もし怪我したら)
  真っ先にコーチに言います。だってそうして欲しいって思ってるの知ってるから」

…ということで、結論としては、
高校生の多くは正しい知識を持っている。しかし、それが正しい行動に繋がっていない。
コーチの存在は、脳震盪の自主的な報告を妨げもするし、促進することもできる

コーチが本当に脳震盪を脅威と感じ、選手に真摯に「ちゃんと報告して」と伝えれば、多くの選手はそれに応えられるし、コーチがうわべだけで「報告しろよ(…でも試合は抜けてくれるなよ)」と言っていれば、その含意も高校生はしっかりと受け取ってしまう。

…という結論になっています。これから、気合を入れて教育すべきはコーチなのかも、
と思わせる面白い論文でした。

スポーツチームにおいて、コーチとATが怪我の対応を巡って対立関係になってしまう、
というのは珍しい話ではありません。これは、コーチの立場からしてみると「ATはいらんことですぐ選手を練習や試合から遠ざけやがる」「大したことないだろ、なんとかしろや」という印象を多く受けていることから来ているのかもしれません。特に勝敗で仕事の進退が決まる大学やプロレベルではキープレイヤーのplaying statusはコーチの死活問題にもなるでしょう。
しかし、多くのATだってチームの勝利を大切に大切に考えて仕事をしています。ただ、もしかしたらコーチと食い違うことがあるかも知れないのは、選手が怪我をしたとき、目先の1-2試合を誤魔化しながらプレーして悪化のリスクを負うよりは、今後長く全力プレーできるよう今は休ませ、完治させる…というリスクマネジメントを考慮に入れた勝利計算をしなければいけないことでしょうか。怪我の本質、治癒のプロセスに精通している分、コーチと少し違った公式を使って計算している。求めているものは同じ、「チームの成功」であっても、公式が違えば最終的に出てくる結果にも微妙にズレが生じる場合もあるのです。
それに選手の人生の質を左右するような要素(それこそ、脳震盪とか)が入ってくれば、「チームの勝利」のみが優先事項ではなくなります。スポーツから引退したとき、それでも選手には全うで健康な人生を歩めるようであってほしい。我々は選手の命を、残りの人生を守る義務もあるのです。

しかし、ATの立場に戻ってもう一度考えてみると、
我々ATがこういったことを考慮に入れながら、その場、その患者、そのチームに対しての「最善の選択」をしようとしていること、それはしっかりと我々の口でコーチにちゃんと伝えなければいけません。我々が伝える努力を怠って、その結果コーチとの間に溝ができてしまったとしたら、それは全部コーチの責任とは言えない。きちんとコミュニケーションができなかった、我々にも大いに責任はあるのです。

ATはpush(もっとやれる!頑張れ!と背中を押す)とpull(ちょっと待て、やりすぎんな、と肩を引っ張る)のバランスが取れてこそ一流だと私は考えています。そして、貴方がそういうATであるということをコーチが本当に理解してくれたら、お互いの仕事を尊敬し合え、高め合える素晴らしい関係が築けるのではと思っとります。そういうコーチと2年間だけ仕事させていただいたことがありますけど、本当に夢のようでした。
そういう建設的な空気は選手にも伝染しますしね。

最後に一つだけ付け加えると、この時(この二年間↑)自分に課していた習慣は、
「選手が練習・試合に出られないようなことがある場合、その決定の責任は全て自分にあり、
自分からコーチに報告に行く」というもの。食中毒でゲーゲー吐いてる選手が「練習とてもできないけど、コーチに休むって言ったら怒られるから」と涙目で言ってくるようなことがあっても、「あのね、医療のプロの私がダメだって言ってるの。アンタが弱音を吐いてるだけなら私がそう指摘するから安心しなさい。今回はね、全てを総合して私が私の判断で休めって言ってるんだから、正々堂々休むの。コーチにも、アンタが(自己判断で勝手に)無理って言ってるんじゃない、私の判断だって強調するわ。私から報告するから、アンタは気にしない。休む!元気になる!皆ハッピー!いいね!」と、「チームやコーチをがっかりさせたくない」という選手の気持ちをこちらが吹っ飛ばすようにきちんと仕掛けることです。真面目な選手ほど、この義務感というか、正義感というか、そういうものを背負いすぎていて、休むべき時にきちんと休めなかったりするのです。こういう場合は休む事こそ正解だよ。そして、コーチがそれに対してネガティブな感情を抱かないよう、私が責任とって話をつけるから、とそこまでの気配りが出来てこそ、ヒトとヒトの間に立つ仕事のプロだと思うのです。
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  by supersy | 2015-03-02 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

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