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疲れてませんか?―アスレティックトレーナーのストレス、燃え尽き症候群。

この間、TwitterでRTさせてもらったものに、
アスレティックトレーナー(以下AT)のメンタルヘルスについて触れたコラムがありました。
ATは(日本では違いますが、少なくともアメリカでは)医療従事者として
仕事に高い質が要求されるのはもちろん、何しろ拘束時間が長い。
誰より早く現場に入り、誰よりも後に帰る。電話があれば24時間体制で怪我や病気等に対応することを望まれる上、通常業務のスケジュールも自分では全くコントロールできず、直前になってコーチの一存、深刻な怪我の発生、天候等でコロコロ変わったりするのでプライベートの予定もロクに立てられない…など、とにかくストレスの原因になることが多いのかなと思います。真面目な人程生活と心のバランスを失いがちかも知れません。
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ぶっちゃけると私も学生の頃、
うつ病と診断され抗鬱薬の服用やカウンセリングを受けていたりしました。

以前にも若い人のAT離れが進んでいる、という記事を書きましたが、
歳を取ってそれなりに度胸がついてきたならともかく、やはり若くてキャリアもまだ浅く、ココロも不安定だと『Noとは言いづらい』とより自らにプレッシャーをかけてしまう傾向はあるのかも。こういった原因で心をやられて、離職をする若い人が増えているのだとしたらこれは本当に深刻な問題です。

実は、ATの仕事に関するストレス、特にBurnout (燃え尽き症候群)を対象にした研究は、
思っているよりも発表されていたりします。せっかくですから、それらを振り返りながら、
この問題の本質に少し迫ってみましょう。

●研究その1:Division Iの大学におけるATのWork-Family Conflict1-2
全米規模のアンケート調査の結果を分析した研究。
587人(うち、男性が324人、女性263人)のATCから回答あり。

予備知識として、アンケートに回答したAT達の背景に関する統計は:
 平均勤務年数 8年
 平均勤務時間(一週間当たり) 62±14時間
 シーズン中の遠征 一ヶ月あたり8±4日
 担当しているスポーツ数 3±3チーム

アンケートで浮き彫りになったことをまとめると…
『仕事が原因で、よく大事な家族のイベントに参加できないと感じている』のは68%、
『仕事と家庭での責任・献身が両立できていない』と答えたのは50%。
興味深かったのが、アンケートに答えたATCのうち、
24.0%(142人)が『子供がいる』と答えたのに対し、その内訳が女性が20人(14.1%)、男性が122人(85.9%)。つまり、子供が出来た女性ATCの多くは、少なくともDivision Iの現場には残らない、残れない…?

12人のATCにもう少しディープなインタビューをした結果、
仕事と私生活のバランスを取るのが難しい原因に挙げられたのが、
労働時間と遠征の多さ:『練習の無い日も治療(やリハビリ)があるから、一週間に7日勤務が普通』『シーズン中は遠征で週の半分は家を空けることが多い』『友人・知人の結婚式や葬式等に行けない』
給与と労働時間の不一致:『勤務時間が短くて給与が低いならわかる。勤務時間が長くて給与が多いのも。しかし、勤務時間が長くて給与が低いのが現実で、そういう立場の人が上手く仕事と私生活のバランスを取れるとは想像しにくい』
仕事のスケジュールの不定期さ:『クリスマスにも練習があれば行かなければいけないし』『最終的にスケジュールを決める権力があるのはヘッドコーチ。私たちの都合も配慮してくれると願うしかない』
スタッフ不足:多くの大学がフルタイムのスタッフが不十分で、スポーツの兼任をせざるを得ない、故にシーズンが重なったり練習時間が被ったり…問題も生まれやすい。
そして、驚くべきは12人中全員が以前に燃え尽き症候群になったことがあるか、これから(近い将来)なるだろうと提言したこと。そして若く才能のあるAT(特に女性)が「両立は無理」と判断して家庭を選びこの職業から離れていることも文中で嘆かれています。

この研究によれば、性別差、未婚・既婚、子供の有無は結果に影響せず。
理由にこそ多少違いはあれど(i.e. family obligation vs personal time, social life, hobbies)、
全員が平等に仕事と人生のバランスを取るのにstruggleしている、ということに。

●研究その2:NCAAの大学で働くATとBurnout (燃え尽き症候群)3
こちらは206人のNCAA管下(Division不問)で勤務するATを対象にしたアンケート調査。
男性が52%(n=108)、女性が48%(n=98)。

この研究においてのBurnoutの定義は以下の通り。
"Burnout is a psychological syndrome of emtional exhausion, depersonalization, and reduced personal accomplishment. (p.58)"3 この三要素に注目して、以下の数値を診断基準として用いた場合…
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全体の32%のATにBurnoutが認められたとの事。
これは高い確率…と思いきや、これは、他の医療従事者に比べて低めの数字なんだそう(i.e. PT = 53%,6 OT = 40%7)。もしかしたら、本当に燃え尽きているATはアンケート調査なんかに答えている余裕が無いんじゃないか、という推測と、あと興味深かったのは『年齢・背景の様々な患者を扱う他の医療従事者に比べて、同じ選手を毎日診るATのほうが、信頼関係も築けるし、もしかしたらもっとも大きなこの職業の喜びである「怪我をした選手が競技に復帰」というやりがいを持てているから、そして何より現場のATの順応能力が非常に高いのでは?』という考察でした。

あと、一つ前の研究と同様に、この研究でも男女差は見られず。
基本的にBurnoutは女性に見られることが多いと言われていますが、大学勤務のATのみに限定すると男女差は確認できなかったというのが面白いですね。もしかしたら、ATは大学レベルではまだまだ男性社会(大きな大学になればなるほどWhite-Male Dominant)だから、そこで働く女性のメンタリティーも他とは違うんだろうか。他と比べて男っぽくて、さばさばしていたりさ。

この研究では、同時にBurnoutにつながりやすい要素として挙げられたのは、
1. ELM出身のATのほうがEmotional exhaustionになりやすい?(サンプル数は極端に少ないので解釈には注意が必要)
2. 趣味の時間が少ないほどPersonal accomplishmentに悪影響が。
3. コーチからの選手復帰に対するプレッシャーはBurnoutに直接影響がある。
4. 担当するスポーツ数が多いとDepersonalizationが加速。
5. 怪我のタイプもEmotional exhaustionに影響が―怪我が慢性的で改善が見られない場合に精神的に疲労をきたすことが多い。
6. 解釈に少し苦しむのは、担当する選手の数が多いとPersonal Accomplishmentが上がる、という点。ネガティブではなく、ポジティブに働くという結果に。古い(2003年)データ4-5 ではありますが、アスリート:ATの割合は平均で80:1。AT一人あたりに診るべき選手は80人…。これは同じ大学でも学生:教師やアスリート:コーチの比率と比べても極めて高い数字と言えます。選手が多い分、達成感も増えるということなんでしょうか?(例えば練習前に、5人の選手に足首のテープをするのと、50人分巻くのとでは、後者のほうが達成感がありそうですよね…?)

●研究その3:大学勤務にこだわらない場合のBurnout率は…?8
一方で、全米のATを性別・勤務セッティング関係なくランダムに選んでアンケートを行った場合(合計934人、男454人、女480人)、burnoutの傾向にはこんな発見がされています。
1. 全体の21.36%がBurnoutのModerate-Severe Burnout Phaseにいる。
2. 女性のほうがBurnouしやすい。
3. College/University settingのほうが高校やクリニック・インダストリアルで働くATよりもBurnoutになりやすい。
4. 面白いことに、積極的に働く人程burnoutになりにくい、という傾向も発見された。総じて、男性のほうが女性よりもより献身的に働くという統計も。

セッティングの制限を外すと、
男性のほうが一生懸命に働く、でも女性のほうがburnoutになりやすい、というのは、
なんだか女性のほうが働きたがらないわりにメンタル弱い、と言われているようで
個人的には納得がいきませんが…。ふぬ…。まぁ統計は統計だけども…。
大学に関しては、Athletic Departmentの典型的な造り、引いては(医療のバックグラウンドに欠ける)コーチや管理職の人間のほうがチカラを持っていたりする構図のせいでしょうか。

(全然関係ないけど、この研究で出ている、
全体の97.8%がノンスモーカーだ、とか、31.3%がお酒を飲まない、とか、
一週間に平均で2.5回はしっかり運動している、とか素晴らしい数字…。
私タバコは吸わないけどお酒ごっきゅごっきゅ飲むよ!)

●研究その4:職場と性別の影響9
また別の研究でも、男女の違い、そして働くセッティングの違いが浮き彫りになっています。
この研究では、1962人(男954人、女816人、また、そのうち半数、898人は子供がいる)が以下の質問に回答。結果を分析。
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その結果、
1. 女性のほうが二者択一の状況で(家庭より仕事を選ぶことと、仕事より家庭を選ぶ場合の両方)より大きな罪悪感を覚える。
2. 男女共に「労働環境が親としての責任を果たさせてくれない」と答えたが、驚くことに男性のほうがよりそう感じている。しかし、男女共に「子供がいるから仕事に悪影響が出ている」とは感じていない。
3. 男性のほうが「仕事と家庭のバランスを取るのが難しい」と感じている一方、女性のほうが「仕事と家庭の両立にストレスを感じている」、「burnoutしている」、「全てのニーズを満たすのに十分なエネルギーが無い」という答え。
4. 女性のほうが、子供が出来る前と後での雇用形態(セッティングや時間など)を男性に比べてあまり変えなくて済んでいる、という面白い結果も。
5. セッティング別に見ると、college/universityと高校で働くATの両方が『もっと多くの時間と家族と過ごしたい』と願っており、大学のATのほうが『遅れを取らないために』家に仕事を持ち帰るケースが多い、そしてより強く『仕事のせいで家庭が省みられていない』と感じていることが明らかに。

●研究その5:男女差にもっと焦点を合わせてみる10
ちなみにこの研究は私の友人の発表したもの。
390人(男232人、女158人)のATを対象にしたアンケート。ここでも、
1. 男女共に平均してBurnoutの傾向は見られるが、女性平均がModerate-High Levelなのに比べて男性はModerate。総じて女性のほうが私生活・仕事・顧客の3つの異なる観点からのBurnout度はより高い。
2. 女性のほうが、男性よりも運動をしている。
3. 男性のほうが、女性よりも勤務時間は長い。ただ、研究に参加した男性ATのキャリアは総じて長く、「勤務時間が長いのにBurnoutが少ない」という今回の統計は、「長年この仕事をやってきて、順応できているから」という理由も考えられる。
…という面白い結果に。個人的には、最後の項目、もしかしたらお給料もそれなりに上がっていて、見合う報酬を受け取っているからburnoutを感じにくいという可能性もあるんじゃないかな、と思う。この研究ではお給料は調べなかったようだけど。
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ふーむ。全研究をまとめてみるとこんな感じでしょうか。

燃え尽き症候群は、総じて女性のほうが深刻になりやすい傾向と、
大学で働くほうが高校やクリニック、病院勤務よりも起こしやすい傾向が。
しかし、大学に限って言えば男女差はほとんど無く(等しく高いとも言える?)、女性が結婚・出産に伴い雇用形態を変えていく中で、男性は長くキャリアを続け、それなりに順応して「何とか上手くやっていく」道を見つけるのが上手い。しかし、やはり仕事と人生の両立は難しく、男女を問わず多くのATが「もっと家族との時間・趣味の時間を増やしたい」と願っている反面、どちらかを選ぶことを「犠牲」ととらえ、罪悪感を感じている。


…少し偏見もあるかもしれませんが、こういう風にまとめられませんか?

様々な文献、アンケート結果を読みながらちょっと気づいてしまったのですが、
多くのATが自分の仕事、特に多くのアスリートを上手く回しながら彼らとPersonableな関係を築き、怪我したときもすぐ傍で支え、競技復帰まで責任を持って面倒を見る…こういう仕事の内容にやりがいを感じ、そしてやり続けたいと願っていると思うんです。でも周りからの理解が正しくなかったり、コーチからの不条理なプレッシャー、余りに長い労働時間、急に変更になる練習時間、気が休まる時がない…身体的精神的に疲労が徐々に溜まり、悩みに悩んだ結果辞めてしまったり、Burnoutしてしまうんだろうなって。だって、やりがいがあったって、身体と心を壊してまで続けること無いもの。

統計としては、ATにおける臨床現場のクリニシャンって、
27歳から40歳までの間に激減するそうです。11 つまり、現場で長くやる人がいない。
教育にシフトしたり、一般企業に転職して、ATを完全に辞めてしまったりね。
でもこういうことしていると、若い、プロになったばかりのATを支えたり教育したりできるような、お手本となれる年上のMentorがいないということになってしまう。若い世代も、この職業自体も伸びていかない負のスパイラルに。本当の意味でのwork-life balance統計を調査しようと思ったら、この『バランスが取れずに諦めてしまった』populationのホンネを入れずに語ることは不可能ですよね。理論上、includeするのは難しいですけども。

つまり何が言いたいか?
辞める人たちだって、泣く泣く辞めていくんじゃないかなって。
もうこんなのうんざりじゃー、こりごりじゃー!じゃなくて、
素敵な仕事だし、やりがいもある。でもあまりに…って離れていくんだろうなって、思うのです。
だって、上記のデータ見ていてもそうでしょ?皆楽しんでいるところは楽しんでる。
好きでやっている、という自負は皆にある。こういう職業も珍しいんじゃないかと思うんですよね。

個人的には、大学のセッティングに関して言えば(他のセッティングは語れるほど私自身が経験していないので)人員不足が諸悪の根源だと思うのです。例えば、具体的に言うと、うちの大学は小さいながらもDivision Iの大学。…なのに、フルタイムのATはたった一人だけ。あとは、ハーフタイムが(私を含めて)2人、そしてGAが5人。それだけです。Division Iでフルタイムが一人しかいないっていうのも珍しいと思います。必然的に全員が兼任せざるを得ないし、当然休みがないどころか自分の責任を果たすだけでも走り回ってバタバタ。せめて、もう少し人数がいればお互いをカバーし合って必要な時には休めたりできるでしょ。

上司がどれだけ積極的に判断し、助けてくれるか、というのもあると思う。例えば、以前の職場では、私の担当だったバレーボールの試合(アウェイ)と水泳の大会(ホーム)が重なったりした場合は上司が他の同僚に「お前が水泳をカバーして、Syはバレーボールに行きなさい」と彼自身の方針に基づき指示を出してくれた。今の職場では、例えば「教員として絶対参加のミーティングとバスケットボールの練習時間が被ってしまった」という状況があった場合、私が自分でどちらに参加すべきか判断し、そして参加できないほうへの対応を考えなければならない。ミーティングに「すいません行けません」と頭を下げるのも、練習を「申し訳ないけど誰かカバーできる人いる…?」と同僚に頼むのも、全て自分の責任なのでどちらにしても後味が悪かったり、罪悪感が残ったりする。これ、実は今の職場で地味にストレスではあります。何が「申し訳ない」んだろう、と自分でも思う。別にサボってるわけじゃないのに…!

休日の治療なんかもそうです。
私の上司は子供もいるので「土日は練習が無いならば私は来ない。治療はしない」という方針を貫いていますが、私は、コーチが「怪我がある選手は休日こそ治療!一日に2回でも3回でも治療すべき!」というちょっと極端なところがあるので、毎週末を返上してシーズン中は治療を行っていました。いやもちろん、深刻な怪我があれば喜んで治療しますが、wears & tearsから来るsorenessくらいだったら、ぶっちゃけおうちでゆっくり休息取ってもらえれば十分…ってこと多いじゃないですか。でもコーチが「休日はSyんとこへ!治療して翌日の練習に100%で臨める様に!」というと、やはりNoとは言えない。そう言われると、確かに出来ることはありますからね。単に、私にとって休日返上するほどのことじゃないってだけで(苦笑)。
結果、10月の第二週から今日まで、もらえた休日はたったの5日でした。
私が特別なんじゃない。多くのATってシーズン中はこんなもんです。基本的に休みはありません。
これはこれでともかく、例えばこの分をしっかり大学側がCompensationしてくれて、
オフシーズンや夏の間にMandatoryでCompensated Vacationを取らせるとか、
そういう、釣り合いの取れるような待遇をしてくれるなら、
私達のこの仕事に対する印象もだいぶ変わるんじゃないかなって思うのです。

今の仕事にやりがいはありますかと聞かれたら「はい、とっても」と即答できますが、
今の労働環境に満足していますかと聞かれたら「いいえ、全く」と答えざるを得ない。
恐らく、こういうATさん多いんじゃないですかね。

日本人はそもそも自分を追い込みやすいタイプなので、
(60% burnout reported in a study by Golembiewski et al)12
これらの研究結果はもしかしたら全く当てはまらないかも知れません。
でも、少なくとも私は色々と文献を読んでみて、この問題は解決可能であること、
そして多くのことは私達自身云々というよりは、雇用形態と私達の上司に当たる人間達に
ATとは何なのか、私達は何をしていて、どういう存在なのか、それをもっと理解してもらうことが大きな一歩に繋がるのではないか、と考えました。そういう意味では、ボストン大学のような、ATがAthletic departmentではなく、大学の医療部門のひとつとしてUniversity Health Centerの一員になり、事業を展開していく、というモデルがもっとこれから増えていくのかも知れません。そうすれば、妙なPoliticsに巻き込まれることもないですし、コーチからのプレッシャーも減るのかも…。いやもちろん、コーチと敵対するのでは無く、理解し合って一緒にチームとして前に進んでいくのが理想的ですけどね。

いやしかし、長くなってしまいました。
ATとして働いていらっしゃる皆様の感想、思い、是非聞いてみたいです!

1. Mazerolle SM, Bruening JE, & Casa DJ. Work-family conflict, Part I: Antecedents of work-family conflict in national collegiate athletic association division I-A certified athletic trainers. J Athl Train. 2008;43(5):505-512.
2. Mazerolle SM, et al. Work-family conflict, Part II: Job and life satisfaction in national collegiate athletic association division I-A certified athletic trainers. J Athl Train. 2008;43(5):513-522.
3. Kania ML, Meyer BB, Ebersole KT. Personal and environmental characteristics predicting burnout among certified athletic trainers at national collegiate athletic association institutions. J Athl Train. 2009;44(1):58-66.
4. National Athletic Trainers' Association. 2003 year end membership statistics. National Athletic trainer's Asosciation. http://members.nata.org/members1/documents/membstats/2003eoy.htm. Accessed March 21, 2014.
5. National Collegiate Athletic Association (NCAA). 1982-2003 Sport Sponsorship and Parcitipation Report. Indianapolis, IN: NCAA Research; 2004.
6. Schuster N, Nelson D, Quisling C. Burnout among physical therapists. [serial online]. 1984;Available from: SPORTDiscus with Full Text, Ipswich, MA. Accessed March 21, 2014.
7. Painter J, et al. Burnout among occupational therapists. Occup Ther. 2003:17(1);63-78.
8. Giacobbi PR. Low burnout and high engagement levels in athletic trainers: results of a nationwide random sample. J Athl Train. 2009;44(4):370-377.
9. Eberman LE, Kahanov L. Athletic trainer perceptions of life-work balance and parenting concerns. J Athl Train. 2013;48(3):4116-423.
10. Naugle KE, et al. Perceptions of wellness and burnout among certified athletic trainers; sex differences. J Athl Train. 2013;48(3):424-430.
11. Kahanov L, Eberman LE. Age, sex, and setting factors and labor force in athletic training. J Athl Train. 2011;46(4):424-430.
12. Golembiewski RT, et al. Transnational perspectives on job burnout: replication of phase model among Japanese respondents. Int J Organ Analysis. 1993;1(1):7-27.

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  by supersy | 2014-03-21 19:00 | Athletic Training | Comments(0)

New NATA Position Statement: 脳震盪―この10年で私たちが学んだこと。

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さて、少し間が空いてしまいました。
まずは、ご報告です。
担当していた大学女子バスケットボールのシーズンが正式に終了しました!
昨年はシーズン通じてたった4勝という苦しいものでしたが、
今年は18勝と、昨年と比べて+14という、『全米で最も急成長しているバスケットボールチーム』になり、うちのヘッドコーチもCoach of the Yearを獲得するなど、実り多き一年でありました。
しかし、その反面ずっとバスケットボールで忙しく、
読みたい文献が次々に出るのになかなかまとめている時間がありませんでした。
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そんなわけで、今回は中でも私が一番大事だと思うもの、NATAがつい最近発表した最新のConcussion ManagementのPosition Statement(現在はオンラインでのみavailable、次号のJATに掲載予定)についてお話したいと思います。前回の発表が2004年でしたから、ここ10年で何が変わったのかを振り返るいい機会にもなるかなと。

ちなみに脳震盪関係で比較的最近まとめた他のエントリーはこちら。
 SCAT3を考察する。
 AANの最新Concussion Evidence-Based Guidelineを考察する。
 Consensus Statement on Concussion "the Zurich Paper"を考察する。



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以前足首の捻挫に関するPosition Statementでもそうだったように、
今回もEvidenceのStatement全体を通じてレベル別に内容がカテゴリー分けされており、
   Evidence A: Based on consistent, good quality patient-oriented evidence
      = What we MUST do
   Evidence B: Based on inconsistent or limited-quality patient-oriented evidence
      = What we SHOULD do
   Evidence C: Based on consensuss, usual practice, opinion, disease-oriented evidence,
      case series for studies of diagnosis, treatment, prevention, or screening
      = What we CAN do
私も今回のブログでこれらを引用しながら私が超個人的に大切、心に刻んでおこう、
というものを全13項目に分けて挙げてみたいと思います。
独断と偏見を含みますので、プロやAT学生の皆さんは、ちゃんと全文を読んでくださいね!

●Education & Prevention
まずは、一般の方に対する教育を、というところから始まるのは素晴らしい!
1. 脳震盪に対する正しい理解を深めるためにもATが率先して正しい用語を用いるべし。
 (Evidence B)
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英語だとdingやbell ringerなんて古い表現がありますが、
(アニメのように、頭がごい~んと鳴るイメージ) プロの医療従事者がそういったコトバを使うのは言語道断。脳震盪への軽視を高めてしまう恐れがあります。
正しい知識は、正しい言葉で広げよう、ということです。


2. 競技参加者、(未成年の場合は)保護者、そして現場の指導者に1) ヘルメットなどの防具は完璧ではなく、完全な予防は出来ないこと (Evidence C)、2) 脳震盪の予防・メカニズム・どう認識し、患者をreferするか、3) 脳震盪を受傷した場合の競技復帰の大まかなプロセスと日常生活にかかる制限、そして4) 不適切な対応をしてしまった場合の患者へのリスクについて、しっかり教育する場を設ける。(Evidence B)
脳震盪に関する様々な法律が、数々の州で争うように発表されているアメリカ。
脳震盪の正しいケアは教育に始まり、教育に終わると言っても過言ではありません。
教育も含めて我々の医療従事者の義務であり、それがNATAのPosition Statementで言及されていることは大きな一歩です。


●Documentation
法律上、これら全てのことを『書類にして残しておく』ことは必要不可欠。
3. ATは、勤務する母体組織の脳震盪に関するPolicies & Proceduresを把握しておくこと。また、選手(や保護者)が以下のことを理解した、ということを書類に収めておく。
 1) 脳震盪の症状
 2) 脳震盪を受傷した場合の、ATへの報告義務 (Evidence C)
報告義務に関しての記述が増えたのも嬉しいことです。
恐ろしいことに、過去の研究では高校生アスリートの50%以上、1 大学アスリートに至っては約80%2が脳震盪を受傷しても適切な医療従事者に「報告しなかった」と答えており、その一番の理由が「それほど深刻だと思わなかったから」「脳震盪とbellringers/dingersは違うものだと思っていた」「意識を失わなければ、脳震盪ではないと思った」という、知識の欠如が露呈しています。
患者、保護者、コーチらに適切な教育を提供し、脳震盪を理解してもらう。
その上で「なるほど分かりました」「受傷して報告しなかった場合の責任は自分にある」と署名してもらうことで選手(や保護者)の意識も高まりますし、書類に残しておくことで、万が一の場合のATの(訴訟の場等での)プロテクションにもなります。
我々は、我々自身の身だって守らねばいけません。
実はこのセクション、このPosition Statementで最も長く、実際の訴訟例も挙げながら解説されています。Documentationは決して我々ATの得意とする分野ではありません。正直に言って、看護師や理学療法士、医者等の他の医療従事者からかなり後れを取っていると思います。細かいところもしっかりやろうぜ自分のケツは自分で拭こうぜ!ここんとこ、意識して変えていこうぜ!という、NATAからの明確なメッセージだなという印象です。


●Evaluation & Return-To-Play (RTP)
4.脳震盪受傷率の高いコンタクトスポーツに参加する全選手は、シーズン開始前にBaseline Examを受けるべきである。また、脳震盪受傷歴のある中高生も、同様に毎年Baseline Examを受けるべきである。(Evidence B)
脳に関しては若い方が回復が遅い、ということは以前にも書きましたよね。
Adolescent athletesに関して特筆されていることはポイントです。
*ここで言うBaseline Examとは、"a clinical history (including any symptoms), physical & neurological evaluations, measures of motor control (eg, balance) , and neurocognitive function (原文ママ)"を総じて評価するテストのことを言います。
脳震盪の症状は非常は多面的で、個人差もあるため、何かその患者の『普通』なのかを健康な状態でassessしておく必要があります。もちろん、全アスリートに出来たら理想的ですが、『最低でも』リスクの高い、コンタクトスポーツ選手は必ず、ということのようです。Baseline Testがなければ、Post-injury Testも意味を成しません。これらは、脳震盪の診断そのものというよりは、RTPの指針のひとつとして用いる方が理に適っていると言えるでしょう。


5. Any athlete suspected of sustaining a concussion should be immediately removed participation and evaluated by a physician or designate (eg, AT). (Evidence C)
脳震盪の疑いのある選手は、直ちに競技参加を停止、プロによる評価を受けるべきである。
少しでも『疑いのある』場合はまず評価。競技継続は危険です。
ただ、正直"スポーツによっては怪我の評価・手当てに時間制限があるものもあるが、ATやメディカルスタッフは脳震盪の診断をする際にプレッシャーを感じるべきではない”という表記には疑問。私らだって人間ですから、時間制限があるのとないのとでは物事へのアプローチの仕方を変えるのは当然です。…かといって、選手が頭を打つ度に試合を止めてじっくりゆっくり評価、というわけにもいかない。ここらへんは、NATAとして『脳震盪特別ルール』等を特定のスポーツで設けようという動きに繋がるのか、なんなのか…気になるところです。


そして、もちろん脳震盪の評価は多角的なものでなくてはなりませんが、
6. もし、練習中・試合中に手早く評価をする必要がある場合は、SAC等の短めの脳震盪評価ツールとmotor-control evaluation/symptom assessmentを併用した評価をするべき。(Evidence B) 当日の競技復帰は不可。(Evidence C) 完全な競技復帰は、脳震盪の診断に関する特別なトレーニングを積んだ医療従事者による判断に基づいて行われなければならない。(Evidence C)
うーん、SCAT3の中からpick & choose、という認識でいいのでしょうか。
(SCAT3は素晴らしいけどsideline examとしてはやはり長すぎると私は思っています) 明記されているのは、『大丈夫?』や『行けそう?』はAssessmentとして十分ではない、ということ。
Comprehensiveなneurologic evaluationを、consistent fashionで、ということです。


7. 脳震盪との診断が正式に下されたら、患者の日々の回復を見守るのも重要な仕事のひとつ。しかしその際、毎日Neurocognitiveやmotor-controlのテストを患者に繰り返す必要はない。まずは患者が日常生活をする上で症状が完全に無くなってからでよい。 (Evidence C)
これが明記されているのも重要ですよね。脳震盪の回復にはやはりinitial restが欠かせません。無理に頭痛のある患者を引っ張ってきて毎日cognitive examなんかしていたら回復を遅らせてしまうこともあるでしょう。まずは、休息。
日常生活における症状が完全に無くなった時点で、患者のcognitive levelも通常まで回復しているケースがほとんどですが、統計的に40%の患者がまだcognitive skillがBaselineレベルまで回復していないことも。こういう患者はまだ脳の機能が完全に回復しているとは言えません。もう少し待たなければ、ですね。


8. 脳震盪患者がまだ若年で脳震盪受傷歴が複数回あったり、発育疾患、精神疾患が認められたりする場合は神経心理学者(neuropsychologist)の受診が妥当な場合も。(Evidence C)

9. 患者が完全に回復した後に医療記録目的でグレード (Grade 1-3, or mild/moderate/severe etc)を付けることはアリ (Evidence C) だが、それ以前の脳震盪のグレード化はもはや用いられるべきではなく、一人ひとりの患者をしっかりと評価・対応することが求められる。(Evidence B)
以前は症状が15分以内に無くなったらグレードXX、とか、グレードXXなら回復までこのくらい、とか、様々なGrading Scaleとのその使い方がありましたが、現在でははっきりとグレーディングはせず、患者一人ひとりと向き合い最善の選択をすることが勧められています。

●その他
<Equipment>
10. ヘルメットは死亡事故(頭蓋骨骨折など)の予防には有効だが、脳震盪の危険性を著しく下げる("do not significantly reduce")ものではない。(Evidence B) マウスガードも同様、カスタムマウスガードの場合は歯科損傷の予防効果は大いにあっても脳震盪への効果はまだ不明。(Evidence B) サッカーのヘッドギアの脳震盪への影響は今あるエビデンスでは断定しかねる、よって、現時点でヘッドギアの着用はencourageもdiscourageもしない。(Evidence C)
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<Pediatric Concussion>
11. Children and adolescents takes longer to recover from a concussion. (Evidence B)
何度も言われてきていることですが、コドモのほうがまだ脳も発達中なので
脳震盪の際の回復には時間がかかる。より保守的になったほうが良いでしょう。

<Home Care>
12. 全脳震盪患者に使う、Home-instruction FormをATと医者が協力して作っておき、
受傷があった場合には口頭と書面の両方で患者本人と保護者・ルームメイトに
すべきこと、してはいけないことをしっかり説明する。 (Evidence C) 例えば…
 - 頭痛にはAcetaminophen以外飲まない(抗炎症剤はダメ!)。
 - アルコール、ドラッグやその他のsubstancesは摂取しない。
 - 肉体的、精神的疲労を避け、受傷後はしっかり休息を。
  故に、夜に無理に患者を起こす必要はない。*症状が重く、脳内出血が疑われたりする場合は別。
 - 水分補給をしっかりとし、バランスの良い食事を取る。
これらの各項目もEvidence C

<Multiple Concussions>
13. 脳震盪の受傷歴が複数回ある患者はより保守的にRTPさせること。(Evidence B)
より僅かな力でも脳震盪が起きるようになってきたり、回を追うごとに症状が重くなっていたり、Baselineがどんどん下がってきていたりする場合は脳神経の専門家に委託すること。(Evidence C)
Second Impact SyndromeやChronic Traumatic Encephalopathyについては
それらの存在をcontroversialとしながらも、『こういうことも稀にある』『こういうことを言う学者もいる』…という、一応知っておいて、気をつけて、程度の記述に留まりました。


●Position Statement、読んでますか?
こうして振り返ってみると、Evidence Aがひとつもないのにびっくりしますね。
やはり脳震盪は、randomized controlled studyとかし難い分野だもんなぁ…。
あと、恐らく皆さんならもう知っている内容なので割愛してますが、
他にももちろん今まで散々言われてきたこと、例えば、RTPはGradualであるべきだ、とか、
そういうこともこのPosition Statementには含まれています。

2004年のものと読み比べてみると、『ちょっと書き足しました』というレベルを遥かに超えた、
まるごと書き直した、という表現が正しいほどの論文です。
AAN、Zurichとはほぼ矛盾も無く、一貫性があるものと言ってもいいでしょう。

Position Statement = Where We Stand as Professionals、(プロとして、私たちはこの事項に対してこういう風に立場を取ります、という重みのある宣言)なんですが、
皆さん知っていますか?NATAがこうしてPosition Statementを発表するまでに、
長いものだと約10年の時間をかけていたりするんですよ。
全米でもその分野のトップの、権威と呼ばれる人たちが委員を設立し、一堂に会して、それはもう長いこと話し合うのです。何百、何千と言う研究や発表を振り返りながらね。今回のPosition Statementには約200もの文献が引用されていますが、これを書き進める段階で読まれた文献はこの数倍になるでしょう。

何が言いたいかと言うと、『こんな素晴らしい完成品を、全ての人にオープンにシェアしてくれるなんて本当に素晴らしいこと!』ってことなんです!これがNATAのPosition Statementとして発表された今、現ATCは全員(そしてこれからプロになるATS達も)脳震盪に関してはこれらをスタンダードンの知識として持っていなければいけない。これに背いたことをして訴訟沙汰にでもなれば、貴方の医療ライセンスは剥奪されるでしょう。いやでも、訴訟云々じゃなくてもこんなに素晴らしい最新の情報を、知らないなんてもったいないとしか言えません!皆さん、時間をかけてもいい、是非一度でいいので全文をしっかり読んで下さい。10年の専門家の努力の結晶を我々がさらさら読めてしまうなんて、どんなに恵まれているか。「長い」「めんどくさい」なんて思わないで、分かりやすくまとめてもらって有り難いなぁと感謝の気持ちを込めてひとつひとつ大切に読んでもらえばと思っています。

1. McCrea M, et al. Unreported concussion in high school football players: implications for prevention. Clin J Sports Med. 2004;14(1):13-17.
2. Sefton JM, et al. An examination of factors that influence knowledge and reporting of mild brain injuries in collegiate football. J Athl Train. 2004;39(suppl):S52-S53.

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  by supersy | 2014-03-18 19:00 | Athletic Training | Comments(0)

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