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超音波治療ジェルパッドってどうなの?

うおー。
怒涛の夏が終わり、怒涛の秋学期が始まった!…と思っていたら、
もうなんだかんだでmid-termですね。忙しい。めまぐるしい!
更新サボっていてすみません。一応元気でやっとります。

さて。
毎学期教育関連のインベントリー、つまり教材がいくつ現時点でどこに保管されていて、
今学期、今年度を乗り切るために新たに発注しなければいけないものがどれだけあるか…
こういうことをするのも私のClinical Education Coordinatorとしての地味な仕事です。
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教材と言っても教科書とか問題集じゃありません。
専門が専門ですからね、例えば学生が練習用で使うテーピングとか、
キャスティングの練習につかうmaterialとか、
私達が多く扱うのはそんなんです。

…で。

インベントリーしていると、「こういう教材があればこういうことも教えられるのにな」
と欲が出てくることもあるので、全てまとめて上司に報告するときには、
   1. 絶対に必要なもの
   2. あると良いもの
   3. お金に余裕があれば是非買って欲しいもの
くらいの3つのカテゴリーに分けています。
カテゴリー3には数千ドルする最新機器なんかも混ぜたりしてます。
もちろん、却下されるの前提で、ですけど(笑)。

前置きが長くなっちゃいましたね。
つまるところ、今年のカテゴリー3にいれていたモノの中で、「安かったからこれは買っておいたよ」と思いがけず念願叶って購入することになった教材がありました。それは何かというと、こちら!(↓)
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「習ったことはあるけど実物を見たことがない」という人が多い、
Ultrasound Gel Padsってやつです。
Parker Labs Incという会社が作っている、Aquaflex Ultrasound Gel Padsという商品名ですね。
お値段はひとつあたり$7程、一箱6個入で$42弱くらいです。

ご存知のように、超音波を治療で用いるときは、
そのエネルギーが効果的に患者さんの体内に入るよう、coupling mediumとなる媒介を使わねばいけません。これは、何でもいいわけではなくって、例えば、flexallとかbiofreezeには余計なものが入りすぎてしまっていて、媒介としては全く機能しない。超音波エネルギーが反射しまくっちゃって伝わらないんですよね。だから、現時点ではUltrasound専用ジェルがほぼ『gold standard』化して、一般的に広く使われています。
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しかし、手とかアキレス腱周りなど、ゴツゴツしていて身体の凹凸が激しい部位ではこういったdirect couplingは難しくなります。…というのも、超音波のsound headは『常にmediumと全面が接触していなければいけない』というのが大事なルール。接触していない時間が長いと行き場を失ったエネルギーが蓄積され、sound headに含まれるクリスタルが損傷を起こしてしまう可能性があるからです。

なので、ゴツゴツ部位に超音波治療を施す時には、
Water-immersion method(左↓)もしくはBladder method(右↓)を使うべきと授業で教わりました。
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でも、これらってイマイチ実用性に欠けるんですよねぇ。
例えば、この水。水道水ではなく、degassed water(脱気水)を用いるべきとはされているものの、実際に水を脱気するプロセスって、水を30-45分間沸騰させて、それから動かさずに最低4時間は寝かせて…と、5~24時間かかります。1 しかも、水の温度が治療にモロに影響するため、治療部位の温度もtherapeutic levelまで上がらないときたもんだ。2-4 いくらなんでも、これではねぇ。…となると、こういう部位には超音波を使うのは適当ではない、という結論を出すしか無いのか?
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ここで「待った!」とばかりに救世主的に登場をしたのがGel Pad!
前述したUltrasound Gelを直径9cm、厚さ2cmに圧縮したもので、
多少はくにょくにょと変形が可能なため、突起している部位にもフィットすることができる。そんでもって上部の面は平らだから、Sound head全面の接触を保ったまま治療が可能というわけ。

これね、色々文献見てみても、
「効果的なindirect coupling methodである」というのがコンセンサスみたい。4-6
凹凸のある部位でも温度をしっかり上げる。患者さんに違和感や痛みを与えにくい。
セラピストの負担も低いと三拍子揃っています。
ただ、効果を最大限に引き出すためにこのGel Padがどう使われるべきなのか、
という細かい点を掘り下げていくとまだまだ曖昧なところは多いみたい。
例えば…

1. Reusable?
 製造会社はこのGel padをreusable(複数回使用可)ともdisposable(使い捨て)とも言っています。
 では、何回使って廃棄するのが適切なのか?同じ患者のみに使用すべきなのか、
 複数の患者に使っても良いのか?このへんはもう少し製造元側が具体的に指標を示すべき
 かな、と思います。1説によれば5回までは問題なく使える7とも言われていますが、
 $7のGel Padが5回の使用で廃棄というのはコストパフォーマンス的にもどうなのか、
 考える余地がありそうですね。

2. With or Without Gel?
 製造元は「本製品はジェル無しでもこのまま使えます」と言っており、
 prolonged use以外でのジェル使用は必要無い、ジェルを使うことでpadの寿命は多少伸びる
 かもしれないけど、と言及するに留まっています。…が、研究結果を見てみると、
 どうもジェルも併用したほうが温度の上昇がスムーズなんですよねぇ。
 どうやらpad上部にのみジェルを使用した場合よりもpadの上部下部両面にジェルを使用した
 場合のほうが温度上昇の効率が良く、しかも患者が感じる違和感を
 最小限に防ぐことが出来るみたい。5
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3. Optimal Thickness?
 現在製造されているGel padは厚みが2cmですが、本当にそれが理想的なのか?
 という疑問もあります。かの有名なDraper氏が行った実験では、Parker labsに特別に
 厚さ1cmのpadも作ってもらって、温度上昇を比べる、という面白いもの6がありましたが、
 その研究によれば1cmのほうが2cmの厚みよりも効果的だった、という結果が出ています。
 ここらへんも、製造元さんはこれから改善が必要なところかもしれません。
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そんなわけで、もう少し細かいところを改善しようはあるのかな、という印象ですが、他に実用性且つ効果を兼ね備えたindirect coupling methodsが他に今の所存在しないのも事実。
少し改良さえ重ねればかなりclinically usefulなアイテムになるのではないでしょうか。
是非他にも異なった切り口の研究をご存知の方、使ってみたことがあったけど良かった悪かったなど、感想がある方は是非シェアして下さい!私もいよいよ封を切って使ってみようかと思うのですが、授業で話すことになるのはもう少し先なので(あと2週間くらい?)、$7を無駄にしないためにももう少し待つべきか、とそわそわしております。

1. Starkey C. Therapeutic modalities, 4th ed. Philadelphia: F.A. Davis Company; 2013.
2. Forrest G, Rosen K. Ultrasound: effectiveness of treatments given under water. Arch Phys Med Rehabil. 1989;70:28-29.
3. Forrest G, Rosen K. Ultrasound treatments in degassed water. J sports Rehabil. 1992;1:284-289.
4. Klucinec S, Scheilder M, Denegar C, et al. Transmissivity of coupling agents used to deliver ultrasound through indirect methods. J Orthop Sports Phys Ther. 2000;30:263-269.
5. Bishop S, Draper DO, Knight KL, et al. Human tissue-temperature rise during ultrasound treatments with the aquaflex gel pad. J Athl Train. 2004;39(2):126-131.
6. Draper DO, Edvaison CG, Knight KL, et al. Temperature increase in the human achilles rendon during ultrasound treatments with commercial ultrasound gel pad and full-thickness and half-thickness gel pads. J Athl Train. 2010;45(3):333-337.
7. Nault P. Applying ultrasound to irregular surfaces. PT magazine. 1993;1:94.

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  by supersy | 2013-10-13 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

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