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6/24~30、NATA in Las Vegas その4。

6/28
コンベンションの日程も全て終わった金曜日。ポロにカーキに赤いカバン
(コンベンション参加者に支給される)というATスタイルで歩く人もぐっと減りました。

この日は朝から運動をして(だいぶサボっていたので3マイル走ったら気分が悪くなった 笑)、
Pyramid CaféでThe Benedictを朝ごはんにもぐもぐ。
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それからコンベンションセンター方面に引き返し、Mandalay Bayホテル内にあるShark Reefという水族館へ。入館料は$18というお手頃な値段で私の大好きなライオンフィッシュから巨大タコ、ノコギリザメ、それに新参者らしいShark Rayまで、様々な魚たちが見られます。
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それから北に向かってホテルからホテルへと歩いて移動!
この辺りはとにかくホテル・カジノが隣接しているのですが、そのほとんどが隣り合う建物と繋がるwalkwayがあって、外に出ずともホテル間の移動が可能なんです。Mandalay Bay→Luxor→Excalibur→と歩いてきて、New York-New Yorkのカジノ内にあるNine Fine Irishmenというアイリッシュバー・レストランで小休憩。私はハープ、相方はギネス&ハープのmixで一杯!
落ち着いた、良い雰囲気のバーです。
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で、
New York-New Yorkに隣接するホテル・MGM Grandが今夜の目玉、
Cirque du Soleil “KA”の会場です。
Box Officeでチケットをpick upして(オンラインで予約している場合、
公演開始の4時間前~1時間前の間にチケットをpick upしなければなりません。
一時間前を過ぎるとチケットがキャンセルされてしまうそうなので皆さん気をつけてね)、
そのあとはホテルの周りのお店をぶらぶら。
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M&Mの4階建の大きなショップがあったので入ってみました。中に売ってるもの、文房具やクッションやマグカップやら、とにかく色鮮やかなM&Mのキャラクターでいっぱい!もちろん、M&Mチョコレートも販売していて、様々なカラーが(ええ、日本では想像できないくらいの本当に様々なカラーが)量り売りされています。10分ほどの無料3D映画もやっていました。

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その横にはコカ・コーラショップも。世界各国のコカ・コーラTシャツを集めたミニコーナーもあって、日本のもありましたよー。思わず写真撮ってしまった。アトランタのコカ・コーラミュージアムにも行ったことあるし、炭酸飲めないくせにどんだけコカ・コーラ好きなんだ、自分…(苦笑)。でもコカ・コーラ柄のキッチン用品とか、デザインも可愛くてついつい買いたくなってしまう。いかんいかん、旅行のテンション。

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お腹が減ったのでMGMのBuffetで遅めの昼食も。ここ数日、暴飲暴食とまでは言わないけど外食続きで胃がくたびれていたので、野菜やお魚をたっぷり頂いてヘルシーな昼食に。シャ、シャンパン2杯もらっちゃったけど…(夕方4時までは無料だって言うんだもん)。
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で!いよいよ”KA”です!これがもう、圧巻でした!
セリフらしいセリフは無いものの、見れば誰もが分かるストーリーの造りになっていて、主人公一弾がワルモノたちと戦ったりするシーンがなんかはもう、人間の想像力を超えた演出。
空間を目一杯に使ったダイナミックなステージで、床部分が客席に向かって大きく傾いたり、
すごい時は垂直に立ったりと、息をつく事無く見る者を魅了します。
公演終了後、20分くらいは「あれすごかったね!」「あそこんとこもすごかったね!」
「とにかくすごかったね!」と連呼していたように思います(苦笑)。
いやしかしすごかったー!(まだいうか)

*ちなみにKAの公演中にパフォーマーが事故死したのはこの翌日でした。
 素晴らしいショーだったけれど、命を脅かすものであってはなりません。
 パフォーマーさん全ての安全をもう一度確認し、また公演再開できる日を願っています。
 Sarah Guyard-Guillotさんのご冥福をお祈りします。



6/29
ラスベガス最終日!
この日は例によって朝から運動。
4マイルをさくっと走ってからPyramid Caféでピーチ・メルバ・フレンチトーストを朝ごはんに食べて、向かうはCaesars Palace。米ドラマ「Friends」でJoeyがこんな格好をするアルバイトをしていたホテルで、実際こんな姿(↓写真右)で歩いているホテルスタッフを見かけて、きゃっきゃとテンションが上がってみたり。
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Caesars Palace内にはローマ帝国をモチーフにした巨大ショッピングモールがあり(しかもプラダとかルイ・ヴィトンとか高級店ばかり)、そんな中を何を買うでもなくふらふらお散歩。
壮大な石像や噴水が至るところにあり、天井もまるで空のような造りなので、
室内なのに屋外にいる不思議な感覚に。
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そのあとは隣接するラスベガス最大級のホテル・カジノであるBellagioへ!
映画『オーシャンズ・イレブン』の舞台になったところで、
やっぱり数あるラスベガスのホテル・カジノの中でも雰囲気がちょっと違う。
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ベラッジオのホテル正面には大きな池があり、正午~夜7時の間は30分毎、
夜7時以降は15分毎(平日はまた少し違うスケジュール)に豪華な噴水が上がります。
夕方5:30と夜の9:30の2回見て来ましたが、水の勢い&上がる高さにびっくり。
スケールがとにかく大きい。何でも高さは最大140mになるんだとか…。
毎回かかるBGMが変わり、その曲に合った噴水のパフォーマンス(?)が見られるのも特徴です。夜9:30の回はマイケル・ジャクソンの『Billie Jean』で、角度や高さが自在に変わる噴水を見ていたらマイケル・ジャクソンのダンスを見ているような錯覚に陥りました。
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ベラッジオの一角にはBellagio Gallery of Fine Artsという美術館(↑写真左下)もあり、
入館は一人$16(学生・シニア・ローカル割引有り)。20分くらいで見終わってしまう
小規模な展示ではありますが、今の時期はAndy Warholの諸作品が並べられています。
せっかくなのでこれも堪能。

そのあと、Yellow Tailという日本食居酒屋さんで
枝豆と揚げ出し豆腐をつつきながらアサヒビールで一休憩。
この枝豆、「半分は普通(荒塩)でもう半分はチリソース」という変わり種だったのだけれど、チリソース枝豆が意外にとっても美味しくて、新たなスタンダードになってもいいと思ったくらい。
うまー。
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…で、ついに今夜の目玉です!Cirque du Soleilの”O”!!
これは前日の”KA”とはだいぶ雰囲気の異なり、
あちらが動ならばこちらは静の美を追求した、ダイナミックなアクロバティックショー(= “KA”)というよりは芸術性の高いアートパフォーマンスショー(=”O”)という感じ。
”O”は芸術と水との融合もまた見どころの一つですが、舞台が知らぬ間に上がり下がりしていて、足首の高さでぱしゃぱしゃやっていたかと思うとシンクロが始まり、かと思うと地上10mの高さからの飛び込みがあったり、ゆるやかな舞台転換も見事でした。
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そんなわけでベガス最終日も大満足の一日でした。
10日間のスタンフォード→NATA→ベガス観光旅行もこれでおしまい。
一日一日、思いっ切り学んだり懐かしい方に再会できたり新しい出会いがあったり芸術に触れたりで、とんでもない充実っぷり。久しぶりの西海岸を思いっ切り堪能させていただきました。
各地でお世話になった皆さんありがとうございます。
次の2年はNATA Annual Meetingには行かないと思いますが(NATA in IndianapolisもSt. Louisも過去に行ったので)、FacebookやTwitterやらで色々とお付き合い出来ればなと思います。
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  by supersy | 2013-06-28 23:59 | Fun | Comments(0)

6/24~30、NATA in Las Vegas その3。

6/27
この日はここまでほとんど回れていなかったExhibitを朝からふらふら。
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PRIのブースにお邪魔していっつも私たちの事務処理をしてくれている方と初めて顔を合わせてご挨拶できたり(ちなみに「一週間に一回は日本にHome Studyを郵送しているわ」とその方が言うくらい、日本人ATCの顧客は多いそうです。「日本への郵送ならもうバッチリよ!」だそうです 笑)、Austin Wranglersで一緒にインターンしていた友人(最後に会ったのは6年前!)にばったり出会えたり。
彼はコンベンション参加者ではなく、知り合いの会社がブースを出していたのを
手伝いに来た、というこれまた奇遇なことになっておりました。

製品はひとつひとつじっくり見ることはできませんでしたが、
唯一目を引かれたのがCatalystというProduct。つい数日前にlaunchしたというのだから驚き。
この製品はCryo-helmetというもので、コンセプトはシンプル―Ice Your Head!!
You ice every other part of your body after an injury. Why not your head?
というわけで、脳震盪後、もしくは単純に練習後の頭部の冷却を推進しています。
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「脳・脊髄重度損傷時に低温IV等をして患者の体温を下げたり(Therapeutic Hypothermia)、特殊な冷却機を頭部に当て、Selective Brain Coolingを行ったりして生命維持/被害拡大を防いだ症例は今までに存在する」→「これを応用し、脳に軽度の受傷をした時にも(i.e. Concussion)頭部を冷やすことで効果的な治療が行えるのではないか。いや、small hitでも蓄積すればCTE等起こりうる。予防の意味でも練習後等に頭部を冷やすべき」というコンセプトに基づいた医療器具で、冷凍庫で冷やしておいた同製品を頭部にかぶり、首部にストラップを巻きつけることで脳の温度を下げ(= via the arteries than through the skull)、Cryotherapyの効果を得る(= 抗炎症作用よりもdecreased metabolism)、というコンセプトのようです。
この製品のwebsiteはこちら。リンク先のビデオは一度見ておいて損はないかも知れません。
見た目の間抜けさは否めませんが(笑)、理屈は通っていると思います。脳震盪の治療(=待つ以外に出来ること)は以前サプリメントの記事で触れたように以前から興味のあるトピックでしたので担当の方と少しお話をさせてもらい、Articleを幾つか紹介していただいたので後で読んでみようっと。

さて、Exhibitを歩いた後は、
ここにも時々コメントくれる、長年の友人であるJidenのポスター発表を見に行ってきました。
彼は毎年こうしてNATAでも発表しており、博士課程も非常に順調で残す所後一年だそう。
Jidenに初めて会ったのはもう9年くらい前かなぁ。
まだ駆け出しですらなかった自分たちがこうして長くアメリカにいるのも不思議だし、
こうして仲間が逞しくそれぞれの分野で輝いているのを見ると嬉しくなります。
がんばれようー。偉くなったら雇ってくれようー。
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その後行った複数の講義を簡単にまとめると…
Breathing’s Influence on Upper Quarter Dysfunction
by Jason Masek PT, ATC, CSCS
  内容は今までのPRIコースのさらっとした復習で(議論を呼びそうな内容は敢えて外して
  いる印象でしたが)良い復習になったのですが、私と相方が思わず笑ってしまったのが、
  今回のプレゼンターのJason氏のことを、以前Michael Cantrell氏(同じくPRI所属の講師)が
  「アイツめっちゃ面白いヤツなのに人前に出るとダメなんだよ…。プレゼンとか棒読みで
  もにょもにょもにょってしゃべるだけ。面白くないことこの上無い」と仰ってたんですよね。
  で、実際の彼のパワーポイントはというと白黒でほぼ文字のみ、聴衆とのやりとりはなく
  本当に棒読み調で淡々と進めていくので、あまりにMichael氏の描写がどんぴしゃで
  可笑しくなってしまい…本当は面白い方なんだろうなと想像しながら聞いていました(笑)。

Emerging Technologies in Athletic Training
  8人の異なるプレゼンターがiPhoneのappを使ったGoniometry、脳震盪患者の
  日常生活やActivity LevelをトラックするGPSの研究など、斬新な切り口の発表を
  次々と。脳震盪患者だけでなく、アルツハイマーのような(整形怪我患者だけでない)
  一般患者にも応用が聞くかも…という考察もあったりで、とても面白かったです。
  それにしても皆、賢そうな顔しとるのう。しっかり喋るのう。おばちゃんは関心じゃよ。

Implementing the NATA Position Statement on the Management of Lateral Ankle Sprains
by Thomas Kaminski, PhD, ATC, FNATA
  ついに新しいPosition Statementが出ました!
  当日の午前中にプレスリリースがあったという、本当にタイムリーな話題。
  これについては長くなるので後で!がっつりまとめます。

さて、そんなわけでNATAも全ての日程が終了(明日もコースがほんの少しだけありますが私は対象外なので)!かなりの数の講義にも行けたし、勉強になりました。「NATAのコンベンションはレベルが低いから行かない」と言うATCを過去に多く見て来ましたが、ここ数年のコンベンションのレベルの上がり具合には目を見張るものがあります。もしもまだ「レベル低い」と考えておられるのならちょっと考えなおしたほうがいいですよ、と私は声を大にして言いたい!研究も教育も、それから一部クリニシャンによる実習のレベルも、目覚ましく成長しています。Keep upしているつもりの私でさえ、ちょっと油断したら置いて行かれるという危機感が常にあります。そういうプロフェッションに身を置けていること、幸せに感じるなぁ。

…で。
勉強疲れしたので(苦笑)、そのあとはホテルのプールでのんびり。
Half-yardのWolfberry Mojito飲んだ―!美味しかったー!
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あっ、ちなみに書いていませんでしたが、
私の泊まっていた場所はLuxor Hotel、通称ザ・ピラミッド。
その名の通り、外観がどどんとピラミッド型をしているホテル(↓)で、
至るところにピラミッドをあしらった装飾や石像が沢山あります。
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その流れか(?)ホテル内にはThe Bodies(人体の不思議展)が常時展示されており、
(ミイラみたいなことかなーと思って…ちがう?)
東京、Houstonでそれぞれ一回ずつ行ったことあるけど、ついまた足を運んでしまいました。
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*館内は写真撮影禁止なので、写真は拾い物です、念の為。

何度行ったことがあっても、その時々でハマっている筋肉が違ったりするので、
今回はIC Adductorを必死で探してみたり、Obturator Internusを見つけてみたり、
色々自分らなりに遊んでいました(笑)。途中で喫煙者と非喫煙者の肺を比べるsectionもあり、
そのすぐ脇には『タバコいつやめるの?今でしょ!』とばかりに
「アナタの持っているタバコを捨てるコーナー」が設けられていました。うまいですね。
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*写真はイメージです。

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  by supersy | 2013-06-27 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

6/24~30、NATA in Las Vegas その2。

6/26
この日は早起きして7:30amの講義から出席!

Maybe It's Time to Eliminate Dual Appointments in Athletic Training Education?
by Ryan Wilkinson, EdD, ATC, CSCS
  これだけはどうしても出ておきたかった。組織の上の人間を動かすためには、
  私自身がもっと多面的情報を持っている必要があったからです。
  まずこの講義でのポイントだったのは、最後に「?」が付いていること。
  Dual Appointmentには、全く要らないものではない。良い所も悪い所もある、
  というのは、3年間こういう仕事をしてきた私自身感じているところでもあります。
  この講義で指摘された良いところは、Credibility
  やっぱりATに関して教えてもらうなら、今でもpracticeしている人からがいいでしょ?
  もう5年も前に現場からは引退しました、という人だと、本当に情報に実用性があるのか、
  transferableなのか、古い知識ではないのか…ちょっと不安になりますもんね。

  しかし、Wilkinson氏自身の研究で明らかになってきたデメリットも多くあります。
  全米レベルのアンケートで浮かび上がってきたのは、
  ●Time-related issues
   例えば理論上50%/50%になっているべきだけど、実際は80%/65%で合計が100%を
   軽く超えてる…なんてsplit界ではよくある話です。課せられている仕事が多いのだから、
   勤務時間は必然的に長くなる→家に持ち帰る仕事量も増えます。
   教える授業があるのに遠征が…、なんてdirect time conflictも毎学期だし。
   Conflictがあれば必然的に他のスタッフに「お願い」しなければいけないことも
   増えてくる。理解があって快くやってくれる同僚・部下ばかりならいいけれど…。
  ●Role relationships
   Athletics always get "more" than their share of the splt、
   という話題も出ました。そうなんですよねぇ、なんだかんだAthleticsの要求のほうが
   unreasonableだし、どう考えても量的に多い。
  ●Support & appreciation from administration & peers
   これだけ時間に制限のあるsplitが成功するには、周りの協力が必要不可欠。
   でもコーチたちは練習時間をギリギリになって変えたりするし、
   しかもそれをこっちに全く連絡してこなかったりする。身に覚え、皆さんもあるでしょ?
   その時間は授業があって行けないんです…というと、えっ、とすっとんきょうな顔を
   されたり、あーじゃあ学生送ってくれればいいよ、と言われたり。
   学生は私の監督の下でないとだめなんです。あうう、理解して下さい。
  ●Role clarification, negotiation, role accommodation
   AthleticsとAcademics同士のコミュニケーションがもっとあって、
   彼ら同士で直接「この時間はSyはこっちね」とagreementを結んでくれれば
   どんなにラクか。お互い譲り合うmindsetがないまま、どちらがどれだけ(私から)奪うか
   だけを考えていればひどいことになるのは目に見えています。
   やはり同様に感じている人は多いらしく、役割や線引きをもっとはっきりして欲しい、
   という強い意見がありました。

  中でも一番興味深かったのは、
  The more % of athletic appointment a person has, the more his/her teaching tends to
  become teacher-focused and thus negatively impacted

  と言う研究内容。(メモしそびれてcitationが見つけられない…)
  つまり、Athletics/Academicsの比重が25%/75%の人に比べて、
  75%/25%の人のほうがTeachingがおざなりになり、「学生が内容をちゃんと受け止め
  られているか(=student-focused)」よりも「教えなきゃいけない内容はカバーできているか
  (=teacher-focused)」みたいなほうに気がいってしまう。結果、学生の満足度は
  下がる傾向にある…ということなんだそう。
  絶対に教育の手は抜かない!と誓ってここまでやってきた自分だけど、
  やっぱり知らぬうちに質も悪いものを提供しちゃってるんだろうか。ちょっとショック。

  毎年少しずつ、両サイドから頼まれることも増えている、という話も出ました。
  (やっぱりどこも一緒なのね 涙) さすがに、増やされ続けたらどこかで無理ですって
  言わないといけないよなぁ。

  この講義では、「絶対に無くすべき」という結論付けをしたわけではなくて、
  あくまで「無くすべき?」という疑問調だったのだけれど、
  Dual Appointmentが多くの人のストレスになっていることは確か。
  どちらの仕事も最高の質を持ってしているとはとても言えない現状のようです。
  解決の仕方は色々あるだろうと思うけれど、Academics/Athleticsのadminの理解・協力
  無しにはDual Appointmentの未来は無いと個人的には思います。
  お金がない、便利だし、dualにしちゃえー。という選択肢は安易だけれど、
  それなりの制限も付きまとう、ということを上の立場の人にも知ってもらいたい。
  そうでなければ、Dualで働いている人が利用されて利用されて、
  心身がボロボロになる頃にやめて、また次の人が入って…の繰り返し。
  私がここを離れる前に、しっかりとしたreportを上の人に提出できるようにしたい。
  そのためにもこの分野はこつこつと勉強を続けていきたいと思います。

What Cryotherapy Cannot Do
  4グループの発表があったのですが、ここで一番面白かったのは、
  「IceもE-stimもそれぞれ患者の痛みを軽減するのに有効だということは証明済み」
  「では、IceとE-stimを同時に使えば、痛みの現象はより大きなものになるのか?」
  という実験の発表でした。 え、これのどこが面白いのかって?
  だってよく考えると、患部を冷やして痛みを軽減するメカニズムって、
  Decreased Nerve Conduction Velocity, Increased Threshold…つまり、
  神経の伝達機能を冷やして鈍く遅くすることで「痛い」という情報が次から次へと
  送られてしまうのを防ぐ、ってことですよね。
  逆に、E-stimは皮膚を通じて電気で感覚受容体を刺激し、ノイズを混ぜることで
  痛みのシグナルの伝達を邪魔する、シンプルに言うところのGate control theory
  (activation of A-delta/C fiber)を使ったpain reductionをする、というのが狙い。

  つまり、Iceは伝達そのものをゆっくりゆっくりゆ~~~くり出来る限り遅くする、
  E-stimは別のシグナルをどんどか送りつけ、神経系をoverwhelmすることで痛みの伝達を
  ブロックする…。間逆といってもいいほどのメカニズムなのに、お気づきでしたか?
  これを同時にやってしまっていいんでしょうか?

  で、実験です。被験者に対して1) Ice only, 2) E-stim only, 3) Ice + E-stimの3種の治療を
  実践。結果、痛みの減り具合は「どのグループも等しく効果的」と出るに留まりました。
  このグループの結論は、「IceとE-stimを合わせたからと行って相乗効果は期待できない」
  「故に、We do NOT recommend the use of Ice & E-stim」だそうです。
  へぇーへぇー。

Cryotherapy for the 21st Century: Updated Recommendations, Techniques, and Outcomes
by Kimberly Rupp MEd, ATC & Noelle Selkow PhD, ATC
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  この講義は
  "The effectiveness of cryotherapy for pain and inflammation is well-documented"
  から始まり、「じゃあ他の3つはどうだろうか?」という切り口で進んでいきました。

  Edema: IceのみではEdema reductionは期待できない、あくまでElevationと
  Compressionが効くのであるとは随分はっきり言われていましたし、これは私も納得です。
  Edemaが出来た後にIceをしても、Edemaがより固まって動かなくなるだけで、
  Iceのみだと効果は期待できないと思います。
  *ただ、私はEdema preventionには効果があると思うんだなぁ。
  受傷後2-4時間以内にiceを使えば、↓metabolismで↓edema formationじゃないか、
  という研究者は少なくありませんし、evidenceも多少あります。これは講義でも
  短く触れられましたが、「研究のデザインが難しい」ということで、
  fully provenされるには時間がかかりそうです。

  Blood Flow: これは意外にも、「Subcutaneous blood flowはCryotherapyによって
  slow downすることが確認されているが、intramuscularの効果は確認されていない」
  のだそう。

  よって、結論:↓Blood flow & Edema have not been well proven at this point

  それから、面白かったのが、「Iceが本当に効果的なtemp decrease(-7~8℃)を
  もたらすまでにどのくらいの時間がかかるのか?」というものでした。
  このトピックは私が物理療法の授業を教えるときにも学生に何度も強調するので、
  是非皆さんにも知ってもらいたい内容です。ちょっと私自身の意見も交えてまとめます。

  どのくらいのDurationが適切なのか?答えは、「modeによる」です。
  例えば、Cold immersionやIce massageは、ただIce bagをぽんと患部におくより
  格段に冷却効果が早く、その分治療時間も短くすみます。
  え、Ice bagを最も頻繁に使うからそれについてもっと知りたいって?ではこちらのStudyを。
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  これは私も授業で毎年使わせてもらってる研究で、今回の講義でもやはり
  引用されていました。Iceの効果が身体に浸透するのに、一番の敵は脂肪!
  そんなわけで、異なる脂肪の厚みを持つ(0-10mm, 11-20mm, 21-30mm, 31-40mmの
  4グループ)被験者に対し、1cm subadipose IM tempが7℃減少するのにどれ程の時間が
  かかったか、チャートにしてまとめたものです(↑)。1 これを見ると、
  脂肪の厚みが31-40mmある被験者の場合、適切な冷却効果が得られるまで60分かかる、
  ということが言えます。
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  もうひとつ別のStudyも講義では紹介されていました(↑)。
  このArticle、探したんだけど見つからないよー。タイトル知っている人がいたら是非教えて
  下さい。こちらはActivity levelや性別差、部位別にrecommendationをまとめたもので、
  Recreational femaleにおいてはThigh/Deltoid/MCLは気持ち長め(~40min)にIceを
  したほうが良いことが分かります。

  つまり、Ice bagのDurationは「患者によって、患部によって、Target Tissueによって
  微調整することが大事!!!
」なんです。私たちが何も考えずに使ってしまっている
  20-min standardには何の根拠もありません。きちんと目的に合ったDurationを選び、
  適切にapplyすることが大切です。 (ちなみに、以前にもIce Bag Application
  についてはまとめたことがあるので、興味のある方はこちら)

J&J Feature Presentation: Sudden Cardiac Arrest: Are We Overlooking Something?
by Mark Link, MD, Ron Courson ATC, PT, NREMT, Jonathan Drezner MD
  一人目のLink氏はCommotio Cordisのスペシャリスト。
  Articleもいくつか読ませてもらっています。
  Commotio Cordisそのものについては以前もまとめたことがある(こちら)ので
  あれですが、彼が予防法としてsuggestしたことの中で面白かったことをいくつか。
  1. Better Chest Wall Protectors - 今のところ、ホッケー、ラクロス、野球(キャッチャー)
  が着ける胸部のプロテクターは、Commotio Cordis予防に効果が無いことが分かっています。
  Must be more robust and cover the chest during ALL MOVEMENTS
  ということで、まだまだ改良が必要なようです。

  2. Age-Appropriate Safety Ball should be used - Commotio Cordis患者の
  多くはリトルリーグの野球少年たち(96% male, 80% <18 y/o)。
  ここらへんの年齢に限って、もっと柔らかい素材で出来た野球ボールを使うべきなのでは、
  という提案です。ささっと検索したらこんな記事もでてきました。
  Spongyな感触で、あまりに普通の野球ボールとは異なるので反対派も多いようですが、
  Commotio Cordisしかり、その他の脳・頭部の怪我予防にもかなりの効果を発揮しそう
  です。
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  Courson氏の発表は5年前に聞いた内容とほぼ一緒でした…が、
  SCA時にSeizure-like activityの他に、いびきのようなAgonal respirationが聞こえるケースも
  多い(30-40% of SCA patietns)、ということが加えられており、これは初めて耳にしました。
  痙攣して動いているから、息をしているからと行ってSCAをrule outしないことですね。

  最後のDrezner氏の発表は、「これらを予防するためにECG screeningをしよう」という、
  まさについこないだまとめたような内容でした。わーお。
  コスト、High false positive rateなど、今まで障害となっていたものが取り除かれつつある。
  だからこそ、もっとアスリートを対象としたCardiac Screeningが積極的に行われるべきだ、
  という内容で、CardeaScreenの名前も一瞬ですが出ていました。

NATA General Session and Annual Member's Meeting & Keynote Presentation
  ここでNATA Presidentからのサプライズ発表!
  「全米規模の調査の結果、私たちのProfessionの名前はAthletic Trainerのまま、
  変えずに行くことが決定しました。それを受けてNATAでは『私たちはAthletic Trainerだ』
  というidentityを今までに増して確立していくために、新たなロゴを採用することにしました」
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  「今までのロゴは、人が走っているようなイメージで、我々がHealthcare Professional
  であるということを適切にpromoteするものではなかった」
  「ATという文字を真ん中で際立たせることにより、ATというacronymがより浸透するように」
  等、色々と狙いがあるよう。本当によく練られたデザインだし、何より意図が私が好きです。
  NATAオフィシャルの詳しい説明を読みたい方はこちら

  「ロゴを発表したところで…」
  「この新たなロゴが印刷されたTシャツを、この講義が終わり次第配布開始します。」
  ああ!いっつもRegistrationの時にもらえるはずだったTシャツが「水曜日に配布しますんで」
  となっていたのはこういうわけだったのか!講義を終えコンベンションセンターに出てみると、
  ありとあらゆるところにあった旧ロゴが新ロゴに入れ替えられてる!
  NATA websiteの絵まで変わってる!NATAのTwitterアカウントまで!
  なんて大掛かりな演出。いいねいいね。

  そんなわけで、賛否両論あるようですが、
  私はこのNATAの力強い改革を嬉しく思いますし、明確な意思表示は頼もしいです。
  これからもATでいく、と決まったのだから、決まったからにはそれを全力でpromoteしていく
  しかありません。私も微力ながら、地道な活動を続けていければと思います。

Promoting Athletic Training Overseas
by Mark Gibson, MS, ATC, PT
  この日出た最後の講義…なんだけど、思っていた内容とは少し違いました。
  ドイツやスペイン等とAT交換留学をこういう風に始めましたー、という話と、
  アメリカのATのこういうところが売りだよー、という話で、
  うーん、なんか…。ヨーロッパ・オセアニア中心だったということもあるけど、
  これはちょっとあまり日本でATを革新させていく参考にはならなかったかな。残念!
  でもやっぱり、日本でATが発展していくにはアメリカのATCと同等の国家医療資格
  ができないと無理だということは痛感しました。うぅむ。長い道のりだ。

そんなわけでこの日は合計で12人ものスピーカーの話を聞くことができました。
7:30amから5:45pmまで、がっつり学んだー!実り多き一日。
そのあとは、JATOのMeetingにお邪魔して今年も色々な方々とお話することができたし。

あ、そういえば。
JATOで友人たちと話していて「さゆりこれからどうするの?」と多くの方に聞かれたのですが、
それがよくわかんないんだよねぇ(只今迷走中)…色々あるよねぇ…と答えていると、
「さゆりはこういうことをするべきだよ!」と勢い勇んで熱心に語ってくれる友人が多々おり、
なんだかびっくりしました。自分のことのようにあれこれ考えてくれてもらって嬉しい。
「へぇぇそういうことが合っているとか、出来そうだと思ってもらえてるんだ」と、
新しい気づきがあってとても新鮮でした。
一人でもんもんとしていると、本当に自分に何が向いているのか、引いては何をしたいのか分からなくなってドツボにはまるんだけど、客観的な主観的な視点から「さゆりにはこういうことをして欲しい!」と、本当に勝手な意見でも妄想でもなんでも言ってもらえると、ちょっとeye-openingなのです。皆さんの意見しっかり受け取りました。友人っていいね。ありがとう!

1. Otte JW, et al. Subcutaneous adipose tissue thickness alters cooling time during cryotherapy. Arch Phys Med Rehabil. 2002 Nov;83(11):1501-5.
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  by supersy | 2013-06-26 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

6/24~30、NATA in Las Vegas その1。

カリフォルニアでの講習を無事に終えて、
6/24にSan Jose国際空港からMcCarran国際空港へ。
到着してみて、Las Vegasって本当に砂漠の中に人工的に造られた街なんだなぁと改めてびっくり!赤茶けた山々の一角にホテルやカジノが立ち並んでいるんだもの。ものすごい違和感。

到着してホテルにチェックイン、コンベンションセンターまで歩いてレジスターをすませ、
今日はlow keyでいこうかー、とホテルのプールでのんびりしたり、
夕御飯にお寿司を食べたり。

翌日、6/25に本格的に行動開始!
よーし勉強するぞーーと気合を入れて朝ごはんを食べにいく途中で、
NYの大学でATとして働くあゆみちゃんにばったり遭遇。あゆみちゃんは飛行機が遅れに遅れて、なんとラスベガス到着は朝の2時だったそう。徹夜明けですぅ、と元気そうだったけれど(笑)、他の人もばたばた飛行機に遅れが出ていたみたいだし、大変ね…。

…で。
この日出た講義をものすごく手短にまとめてみると:

Stumped: Differential Diagnosis in Athletic Training
これは想像以上に面白かった!複雑で珍しい症例を集めたケーススタディーでした。
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1. Morel-Lavallée Lesion of the Knee
  A rare condition that was first described by the French physician Maurice Morel-Lavallée
  in 1853: Defined as a closed degloving injury associated with trauma
  つまるところInitial Injuryが起こって、その衝撃でSkin & subcuteneous tissueが
  その下にあるFasciaやMusculoskeletal tissueから分離してしまい、
  できた隙間にmembraneができてしまって、pseudocystを作る…という現象だそうです。
  これは初めて聞いた!
  ちょっとした腫れかなー?くらいに思って、何度RICEやaspirationを試みても
  行ったり来たりのrecurrent swellingが起こってしまうのが特徴だそう。
  (↑)写真のようにGreater TrochanterやPelvis、Lower Backに起こることは稀にあっても
  Kneeで起こったケースは極々稀なんだそう。ほえー。
  この症例では結局手術をしてこの出来てしまったmembraneを除去。

2. Benign Paroxysmal Positional Vertigo
  BPPVについては以前にまとめたことがあるので詳しいことはそちらを。
  Epley's maneuverのほかに、Semont maneuver(↓)という治療法を聞けたのが
  収穫でした。時間はかかるしforceful、ちょっと荒っぽいのであくまでEpley'sが
  効かなければこちらを、ということみたいですが、この名前は初耳。
  下の動画では患者がactiveにやっているようですが、実際の患者は
  こんなに一人では動けないこともあり、セラピストがassistするのが普通だそう。
  Speed is the key!ということで、実際は"throwing the patient across the table"
  と描写されるほど、患者を激しく素早く動かすテクニックのようですので、
  実践の際にはきちんと訓練を積みましょう。念の為。


3. Stage II→IIIA Kienböck's Disease
  これは比較的有名ですから、授業で習ったという方も多いでしょうね。
  つまるところrepetitive wrist flexion/extensionによってLunateの血流が遮られ、
  徐々にosteomalaciaが起こってしまう、という。つまるところavascular necrosisですね。
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  このケースはソフトボールのピッチャーが手首の痛みを数年抱えていた、というところから
  始まり、そのピッチャーが糖尿病も持っていたため、Kienböck's Diseaseと
  判明してからも血糖値のコントロールに間取ってしまい、手術を結局数ヶ月も遅らせる
  ハメになってしまった→その間も症状が進み、State IIからIIIAに進行してしまい、
  手術のprocedureをよりconservativeに変えざるを得なかった、という複雑な流れ
  でした。そうなんだよね、絵に描いたように上手くは、なかなかいかないのよね。

4. Paget–Schroetter Syndrome
  A type of TOS & a form of DVT Upper Extremities
  この患者の場合はSubclavian veinが血栓によって詰まってしまい、
  Conservative treatmentではrecurrenceを抑えられなかったため、
  最終的に1st rib, Anterior & Middle Scaleneをresectしたという壮絶なケースでした。
  手術の際に、この患者のScaleneが通常の2-3倍の大きさだった=異常に発達した筋肉が
  occlusionの直接の原因だったのではないか、ということでしたが…。
  PRIテクニックなんか試したらどうなっていたのかな、と一人考えてしまいました。
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5. Klippel–Feil Deformity
  The congenital fusion of any 2 of the 7 cervical vertebrae
  ひどいケースは首が短く見え、動きもかなり制限されるようですが(↓)
  この患者は将来有望な高校のフットボール選手で、手足の痺れが治まらず
  X-rayを撮って判明したそう。C-6-7がpartially fusedしてたそうな。
  しかし、こういう場合はSpinal cord damage/C-spine nerve damageが怖いので、
  医者からは「No collision sports」と勧められ、セカンド・オピニオン、
  サード・オピニオンを聞くも同じ結果。結局フットボールをやめて野球一本に絞り、
  ジェットコースターやスキーも一生禁止なんだそうです。ほえーほえー。
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Recent Research on Low-Frequency & Portable Ultrasound
by David Draper, EdD, ATC, FNATA
  Draperさんの教科書持ってる―!こういうのちょっとテンション上がります。
  彼がまずはっきりと言ったのは、「US treatment is most effective when provided more
  than 2000 joules」という事実で、「US治療は効果がない、という研究のほとんどが正しい
  parameterを使っていない、特にdosageが明らかに足りていない」ということでした。
  で、ここで彼がintroduceしたのがLDLI US (Long Duration Low Intensity Ultrasound)。
  Parameter: 0.132W/cm²で100%、約4時間の治療で18720 joulesがdeliverできるそうな。
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  Preliminaryな研究結果もシェアして頂きましたが、Pain, Spasm, Increase circulationには
  今の所いいみたいですよ。Knee OAやTendinitis等に、単発のセッションで
  効果が見られるとか。面白いことに、こんな微弱と言えるintensityでも
  tissue tempは上がるみたいで、30分くらいかけてじっくり温度が上昇→で、プラトー化
  するので、長くapplicationをしていても、火傷するようなことにはならないそうです。
  マシーンもひとつ$400ということなので、悪くない値段ですね。
  ふーむ。こういう新しい物理療法機器もちゃんと授業で触れていかないとなー。
  
The ABC's of Agility Training
by Jay Dawes, CSCS*D, NSCA-CPT
  これは…聴講しに行ったのではなく、
  うちの同僚のプレゼンだったので私はラボ・アシスタントとしてお手伝い。
  一ヶ月以上前から「NATAの打ち合わせをしておこうよ」とJayに打診していたのに、
  「あー、ちょっと待って、今週末にパワーポイント作るからその後で」と
  どんどん先延ばしにされ(←フォローをすると、彼はいつも本当にものすごく忙しい)、
  結局ロクな話し合いも持たれないままの本番。私、こういう大舞台に準備不足で
  臨むのが大嫌い!なので、一人ハラハラどきどき。もぉぉどーすんのさぁぁ。

  流れとしては20分ほど講義→ラダーを使ったトレーニングの実践だったのですが、
  案の定、「トレーニング実演は(ここでは狭いので)講義後、部屋を移動して、聴衆を
  2つのグループに分け、それぞれ別の部屋に入れましょう」と開始30分前に聞かされて、
  え…それって私が別部屋丸々担当すんじゃないの…と血の気が引く思いに。

  逃げ出したい気持ちを堪えて10分ほどJayからささっと指導を受け、
  結局そのまま本番を迎えました。聴衆は部屋満タンの約160人。
  そのうち80人は不幸なことに私が指導するほうの部屋にstuckしたわけですが…
  この準備不足っぷりがバレてなかったら…いいな…。
  終わったときは感無量でした。もー、心臓に悪い…。勘弁して。。。

Implementing an Evidence-Based Preceptor Evaluation Questionnaire
  これは講義ではなく、Peer-to-Peer Discussion。つまり、2人の司会者・Facilitatorを
  中心に、参加者全員がそれぞれ発言、意見交換し、議論を重ねていこうという
  参加型のコースです。
  「あなたのAT ProgramではPreceptorをどのようにEvaluateしている?」という質問から、
  それぞれのプログラムが抱える問題点、うまくいっているところ、Preceptor評価を通じて
  いかに学生から本音を引き出しそのfeedbackをPreceptorに反映させることができるのか、
  …等、かなり熱い議論が繰り広げられました。
  学生が上司を評価する、という難しい構図だから、学生を守る意味でも無記名にすべき、
  という意見もあったし、いやいや、社会勉強を積ませる意味でも、学生が面と向かって
  Preceptorに「私はあなたにこういう評価をした」という話し合いの場を持たせるべきだ、
  という人たちもいたりして。ふーむふむ。
  色々なプログラムが実践している例が聞けて、勉強になった!
  今度Program DirectorのMaryとも話し合ってみよう。
  構造もそれぞれの質問内容も、もっと良いものがうちでも作れるはず。

そんなわけで、初日から目一杯学んできましたよ。
この後私はTAMUCCのAlumni Party、それからUFのAlumni Partyをはしごして、
色々懐かしい元上司・同僚・同級生たちに会って来ましたとさ。
写真はこの夜歩きながら撮ったラスベガスの夜景。綺麗だのう。
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  by supersy | 2013-06-25 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

6/20~24―Stanford, CA。

さて、実際の時間はもう6/30の夜で、Corpus Christiに帰ってきているのですが、
実は6/20から家を空けていました。10日間のカリフォルニア→ネバダ旅行をしていたのです。
旅行といっても観光や休暇は最後の2日間だけ。あとは勉強ですよう。

そんなわけで、時間軸を追ってまずは6/20~24を振り返ってみたいと思います。
まずは6/20。カリフォルニアはSan Jose空港を目指して早朝にコーパスを出発。
そこからバスを乗り継いで向かうはスタンフォード大学近くのThe Zen Hotel。
写真、見難いと思うけれどベッドにキャンディーが置いてあるの。
こじんまりとした、でも可愛らしいホテルでした。
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で、チェックインも早々に今度はスタンフォード大学目指して出発!
さすがカリフォルニア、公共の交通機関が発達しており、
バスに揺られて10分ほどでキャンパスへ。便利よのう。旅行客には嬉しいわ。

本当は今日キャンパスに行く必要はなかったのだけれど、
明日からの講習会場を確認しておきたかったし、何しろ一度ゆっくり歩いてみたくて、
観光も兼ねてキャンパスを散歩。緑が綺麗だし、日差しも柔らかいし、
気候も過ごしやすいしで歩いているだけでも気持ち良い。
うーん、この澄んだ空気を吸っているだけで頭が良くなったような気がするなぁ。

しかし、見るところは多いと聞いていたけど本当です!
中でもCantor Arts Centerという大学内にある美術館は素晴らしかった!
入館料はなんと無料で、様々な国のアートが展示されています。
東南アジアのセクションもあれば、中国・日本、アフリカ、カナダ、ヨーロッパ、現代アート…
部屋ひとつ入れば色彩も雰囲気もイメージもがらりと変わる。
本当に無料でいいの?と思うくらいのパワー溢れる素晴らしい展示達でした。
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思ったより美術館を堪能してしまい、時間が無くなったので今度はAthleticsの建物へ。
ここに現在たまたまインターンに来ているという日本人ATさん・香織ちゃんと待ち合わせ、
キャンパスツアーをして頂いてしまいました。
AT Facilityはもちろん、スタンフォード大学の代表的モニュメントHoover Towerや
Memorial Church、アメフトのスタジアムも見ることができたよー。キャンパス、美しいよー。
香織ちゃん、キャンプで忙しい中、貴重な時間を割いて頂いてありがとう。。。
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その後、ここのスタッフの山田さんとも落ち合って、4人で食事へ。
何やら西海岸では最近ラーメンが大流行らしく、日本人経営のラーメン屋さんに連れて行って頂いてしまいました。あさりラーメン食べてみたー。美味しかった―!
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ところでね、やっぱりカリフォルニアの食事は美味しいですね!
キャンパスツアーをしてもらっている最中にばったり知り合いに遭遇という、
これまたかなり奇跡的なことが起こって、その知り合い・Fumie&Ken夫妻とも後日ご飯に行ったりしたのだけれど、どこに入ってもレストランのレベルが高い高い…。ホテル近くのFuku Sushiという日本食屋さんや、韓国料理屋さん、そしてクレープ屋さんまで…(ちなみに写真二枚目右上はシャブウェイというしゃぶしゃぶ屋さん。入ってないけど面白かったので)。一日みっちり勉強して、美味しいごはんを食べられるというのは幸せだなぁ。
いいなぁ、西海岸。住みたいなぁ…。
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お金を払って受ける講習の内容をここで書いてもしょうがないのでアレですが、
三日間(6/21~23)の講習の最後に集合写真を撮ったので、そしてそれはFacebookに一般向けにもう既にずずーんとシェアされているので、こちらでも載せちゃいます。
ホストしてくださった山田さん、Scott、Eitan、その他Stanfordのスタッフさん、素晴らしい学びの機会を有難うございます!講師のDr. Frank、それからオーストラリア人のInger、チェコ人のLucieも。本当に国際色豊かで(色んな訛りの英語が飛び交ってた 笑)、濃厚な3日間でした!
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  by supersy | 2013-06-20 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

つながる。

さて。
Summer IIが始まるまでの間は比較的仕事も緩やか。
私の担当する女子バスケの練習が突然昨日から始まったこと以外は、
(しかも私は知らされず…選手も金曜日にいきなり連絡がきて月曜日に練習したという)
基本的に毎日AT Centerを8am-5pmまで開けておけばいいだけ、という…。
(ほとんど人がこないのだし、9割の選手がそもそも実家に帰っていていないのだから、
アポ制にすればいいのにと毎年思うけど…上からの命令なので)

なので、オフィスにいる時間を使ってAT ProgramやAthleticsの雑務をこなしつつ、
思いっきり自分の勉強もするようにしています。
まとまった勉強ができるのは一年でこの時期だけですからね!
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この間ミネアポリスにPRI講習会で行ったことは少しだけ書きましたが、
それからまた別のPRIのHome Studyコースを履修(約13時間分のDVD講義を自宅で見る、というやつです。自宅でプロの授業を受けられるなんて便利な世の中になったもんです)。で、今週の木曜からはカリフォルニア→ネバダに飛んで、また別の講習会に出席+NATA Annual Meetingに参加しちゃう予定です。朝から晩までがっつり学んできます!美味しいご飯も食べられたら最高!

…で、カリフォルニアの講習会での予習をしてて気が付いたんですけど。
最近、色々な分野の勉強をゆっくり同時進行しているのですが、
(i.e. カリフォルニアの講習とミネアポリスの講習は全く違うもの)
Related booksやarticlesを読んでいても、これら全てのセオリーの「根底は同じようなことなのだなぁ」と感じます。「あっ、これ、あっちでも言ってたことだ」「ここはあっちのああいう理論に則っても説明がつくな」と気づくことが多く、点がつながって線になった感覚が最近すごく楽しめています。こういう、ぶつ切りで学んだモノゴトたちが「つながり」始める感覚って面白い!線になってうねりになって、気が付くと立体になっている。で、そのうち意思をもって動き出す。見えなかったものが見えてくる。これが楽しくて勉強がやめられないと言っても過言ではありません。
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*ちなみにこの素敵な写真、イメージにぴったりだったので使わせていただきましたが、
のぐちようこさんという玩具デザイナーさんが作られた「つながるわっか・まる」という商品だそう。
詳しいことはこちらまで。柔らかな色が素敵ですね!


そんなわけで、昨日からまたうちの子たち(女バス選手)を診始めましたが、
勉強の成果か、だいぶ彼女らを見る目も変わってきたなぁと実感しています。
今年は、自分のクリニシャンの今までの集大成として、ちょっと切り口の違うものを提供していきたいなぁなんて思っています。人のカラダってものが、ようやくちょっと分かってきたところなのよ。
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  by supersy | 2013-06-18 14:30 | Athletic Training | Comments(0)

アスリートの心電図―Understanding the Normal Variants

今年からうちのTeam Physicianとして、新しいお医者さんが加わってくれることになりました。
このドクター、めちゃめちゃ面白い!専門はFamily Practitionerで『幅広い』practiceをしてますが、どうやら興味はアスリートのCardiac Screening、ひいてはHCM患者の発見に尽力すること、のようなんです。とてもエネルギー溢れるドクターで、私たちも巻き込んで、新たなプロジェクトを始動中です!
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彼がまず私たちに紹介してくれたのがCardeaScreen(↑)という心電図を撮るポータブルマシーン。
これは、従来のカートに乗せて運ばなければいけないECGマシーンとは異なり、
その特徴をいくつか並べると…
 - Approved by FDA
 - 14歳以上のYoung Athleteに最適。
 - 持ち運び可能。AT Centerでもすぐに出来ちゃう。
 - 専用のソフトウェアをインストールしてあるノートパソコンと
  CardeaScreen本体をワイヤレスでBluetoothでつなげるだけでECGが撮れる。
  そして、フツーのプリンターで即時プリントアウト可能。
 - お値段が安い!従来のECGは$3,000-10,000くらいするものの、CardeaScreenは$1,495。
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    (↑写真は従来のECGマシーン)

そして、CardeaScreen一番の売りは、
 - 従来のECGだと、アスリート特有の心臓に起こる変化も『異常』と診断されてしまい、
  そこからエコーだMRIだと不必要な精密検査をすることになり、医療費の無駄が大きい。
  CardeaScreenは「アスリートの心臓にはこういう変化が見られても普通=異常なし」
  というパターンがプログラムに組み込まれている
ので、対アスリートに関して
  False positiveが劇的に少ない。従来のECG = 13-15% false positiveなのに対して、
  CardeaScreenは2-3%なんだそうだ。

そんなわけで、この夏から、希望するアスリート対象にECG画像診断を組み込むことにして、
私たちも実際に患者相手に色々とやっているのであります。
…そう。Cardiologyの知識が大して無い私たちも、ドクターによる20分足らずのレクチャーを受け、「さ、それじゃあ患者さんにもやってみてね(ニコニコ)」と言われ、
目を白黒させながら必死で自習して、つい昨日の本番を迎えたわけです。
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さて。まず知らなければいけないのは、
胸に6つ、手足に4つつけなければいけないLeads(電極)の装着位置。
胸に装着するChest LeadsはV1-V6まで番号がついていて、特にV1, V2, V4の位置が非常に大事!これらが狂うと全て狂ってしまいます。
   V1 - 4th intercostal space, just to the right of the sternum
   V2 - 4th intercostal space, just to the left to the sternum
   V4 - Mid-clavicular lineと5th intercostal spaceが交わるところ
ん、これらをどう正しく装着するのかって?触診しながら数えるしかありません。
鎖骨のすぐ下が1st rib、その下の窪みが1st intercostal space...とひとつずつ数えていって、4thをlocate。アルコールパッドで患部を拭き取り、電極を装着。V4も同様に。
(患者の胸部に体毛が多い場合は、解析に影響が出るので剃ることもあります)
正しく装着できれば、V1 & V2はNipple lineより上、V4はNipple lineより下に来るはずです。
   V3 - V2とV4のちょうど中心
   V5 - Anterior Axillary Line, V4と同じHorizontal level
   V6 - Mid-axillary line, V4 & V5と同じHorizontal level
V3-V6はV1-2, V4の位置から相対的に決めるので、そこさえしっかりしていれば大丈夫。

手足は簡単!
腕は肘から手首の間のinner aspect、どこでもいいので体毛が出来る限り少ない部位を選び、
同じ高さになるように左右で電極を取り付けます。
足も同様に、膝から足首ならどこでも。inner calfのあたりで体毛の少ないところを。
(詳しい場所を動画で確認したい方はこちら)

これで準備は完了!パソコンでソフトウェアを立ち上げ、
Bluetoothのコネクションが確立されていることを確認して、解析を開始します。
*この時、解析を始める前に携帯電話等の電子機器がCardeaScreen、パソコンの近くにないことを確認しましょう。
 Bluetoothで飛ばすため、干渉して微妙なブレが生まれてしまう場合があります。
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ちなみにこれ(↑)は昨日の解析風景。
どきどき、ちゃんとLeads正しい位置に置けたかしら…デター!ちゃんと読めてる!よかったよかった。同僚と、「すごい…私たちECG撮ってる!めっちゃ賢くなった気分!」ときゃっきゃしつつ、徐々に慣れてきてさくさくと患者さんをさばいていくことができました。しかし女性患者はむつかしい。胸がやっぱり邪魔なのよね、触診しにくいし、凹凸があるもんだから電極もつけにくい。これはもうちょっと練習がいるなー。
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さて、心電図が取れたらいよいよそれをしっかり「読んで」、解釈しなければいけません。
もちろん、我々ATはそういう専門職ではないし、ここはドクターの力を借りるわけですが、
私と同僚もドクターから教わって勉強している真っ最中です。これがなかなかムズカシイヨー。
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何が一番ややこしいって、まずは最もスタンダードな心電図と、その波形のそれぞれの名前(↑図左)を知ること。その上で、「アスリートなら起こっていてもおかしくない、normal variantと考えられるべき変化形パターン(↑図右)」を把握すること。
典型的なのがEarly Repolarisation。QRS派のあとに波がゼロに戻らず、elevatedしている状態からT波が始まる状態のこと。ST Elevationが顕著で、J波という波が生まれることもある。
Sinus Bradycardia (心拍数が一分間に30-60)もwell-trained athletesなら珍しいことではないし、もっと面白いのが呼吸を吸う・吐くことによって心拍のタイミングが微妙に速くなったり遅くなったりすることもあるという。この現象はSinus Arrhythmia(↓)と呼ばれ、心電図の波の間隔が一定でなく、長くなったり短くなったりを繰り返すのが特徴的です。アスリートは、呼吸を吸うときに間隔が短くなり、吐くときに長くなるのだそう。「運動時は一定間隔になるんだけどね。休憩時だけね」とは、ドクターの弁。
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もっとすごいのが、心拍をスキップしちゃうこともあるんですって。
これは、Wenckebach Phenomenon(↓)と呼ばれ、PR intervalがじわじわと長くなり、pulseひとつぶんskipするのが特徴的。正式名称はMobiz type I 2nd degree AV block。これも休憩時特有の現象。しかし、ビート飛ばしてもこれが普通だっていうんだから、アスリートの心臓ってよっぽど特殊なのね、やっぱり。
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この他にも"Normal variants in athletes"のリストはまだまだ続きます。
いやー、本当にこれはむつかしい…。撮れてもまだまだ読めないや。
ドクターに根気強く教えてもらいつつ、自分でも細々と勉強中。
そんなわけで、今はCardeaScreenのサイトに「資料」として載っている、
「Abnormal ECG」の保管庫から色々と見て研究しています。
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  by supersy | 2013-06-04 14:30 | Athletic Training | Comments(0)

ひらめきと直感の違い。「Because I feel so」

私が結構長いこと脳の可塑性(Neuroplasticity)にハマっていて、
あれこれ調べたり本を読んだりしているということはご存知の方はご存知だと思うのですが。
以前だとThe Brain That Changes Itselfという本を紹介したりしましたね。

さて、結構前の話になってしまうのですが、5月頭に日本に帰国した際に、
AT仲間であるもっちゃんから「こういうのさゆりさん好きかなと思って」と、
これまた脳の本をプレゼントしていただいたのでした。
それが、単純な脳、複雑な「私」という、池谷祐二氏著の脳科学本です。
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まずこれを読んで気が付いたのは…私、日本語の本を読むのは、想像以上に早いんだな、ということ(笑)。いただいてから5日足らずで、ほぼ電車での移動時間のみを使って一気に読み切ってしまいました。英語の文章を読むペース、我ながら上がったなー、なんて思っていたけれど、やっぱり母国語とはまだ比べ物にならないみたい。日本語の本を読んだのは久しぶりだったので、これは新たな発見でした。

で、他にはですね。
知っていることもありましたが、新たな発見も多かったので、
最も心に残った文章とnotionを簡単にまとめたいと思います。
考えながら書いているので、語尾がここからいきなり変わります。
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●直感とひらめきは異なる。
脳科学的には、このふたつは全く違う脳内メカニズムによって起こるんだそうだ。
「ひらめき」というのは「たぶんこうだから…」という理由が説明できる、つまりあくまで理屈や論理に基づく判断なのであって、恐らく大脳皮質(cerebral cortex)によって作られている。
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例えば、上の問題は「ひらめき」によって解けるはずだ。
□に入る数字はなにか?恐らくものの数秒で答えが「ひらめ」くだろう。
ひらめいたあとに「どうして?」と尋ねられれば、「数字がどんどん2倍になっていく、という関係式のようだから…」と、しっかりと論理的に説明も可能なはず。これが、代表的な「ひらめき」。

一方、「直感」は「ただなんとなくこう思うんだけど…」という程度のもので、漠然とした感覚にすぎない。しかし、曖昧なのに結構正しい、という面白い側面もある。
これを証明するのに、面白い実験が本で紹介されていた。ブーバ・キキ効果というものだ。
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上の画像を見せて、「このどちらがブーバ、どちらがキキだと思う?」という唐突な質問をする。
最初は戸惑うかもしれないが、「こっちがブーバかな…」と『なんとなく』分かるはずだ。
世界共通でほとんどの人が同じ答えを選ぶと言う。それはあくまで『なんとなく』感じるのであり、理屈はない。「キキは尖った感じの音で、ブーバはまるっこいから…」なんて理由付けをしようとする人もいるかもしれないが、それは全然理論にもなっていない。やっぱりあくまで『直感』なんだよね。
こういった直感は大脳基底核(basal ganglia)内の淡蒼球(globus pallidus↓)で生まれるらしく、
ここは数少ない大人になっても成長する脳部位のひとつだそう。
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●直観は、学習によって形成される。
大人になっても成長する脳部位が直観を生む。これはつまり、直観は私たちの日々の学びからきているのだという証明にもなる(=そうでなければそこまでplasticに作っておく必要が無い)。
「経験に裏付けられていない感は直感ではない」という一文は特に響いた。
著者は「直感=学習」だと言い切る。
つまり、直感は努力の賜物、あくまで訓練によってのみ身につくものだという。
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例えば、将棋。
私自身ほとんど将棋の知識が無いのでテキトウなことは言いたくないのだけれど、
将棋と言うのは終盤は手に限りがありお互い「読み合って」進めていくものの、
中盤は可能な手が在り過ぎてプロでも読みきることは不可能なんだという。
でも、時に中盤で「ここに指せば勝てる」という直感が降りてくることがあるという。
どうしてかは絶対の確信は無い。でも、きっとここだ!と直感が訴える。
私たちから素人からすれば、「だからあなたは天才なのだ」と言いたくなるところだけど、これは天賦の才ではない。あくまでもプロとしての弛まぬ努力、そして長年の経験から生まれた直感力だ。これは、プロの棋士として何千局、何万局と指した経験が、無意識に働き訴えてくるのであろう。
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これ、面白いのが、私も仕事をしていて「勘」で判断をすることが自分でも多いな、という自覚があったから。
例えば選手が練習中・試合中に怪我をして(場合によっては学生に評価をさせることもあるけれど、まぁこの場合、例えば)、私が全て評価をしたとする。学生は周りで見ている。…で、一通り評価と処置が終わってから、私が何をどんな手順でした?どうして?それが本当にベストだった?どういう判断をした?自分だったらどうする?等、終わってから学生とdiscussするわけだけど、上手く説明できない時が自分でもたまにあって。「前回似たような足首の捻挫のときはレントゲンにreferしたけど、どうして今回はしないの?」と聞かれ、「うーん、今回は99%必要無いと思ったんだよね。もちろん、経過によってはするけれど、今のところは大丈夫そうかなと…」「今回の患者のほうが痛みがあるのに?」「腫れは確かに早いけど…痛みの質が違うんだよね、そんなに嫌な感じがしないのよ」などと、恐らくすべきでないふわふわした説明をしたりする。もちろん、選手の症状・性格・タイミング等を全体的に考慮して診断を下しているわけだけど、最終判断を自分に問うて、「嫌な感じがするかしないか」で物事を決めることがある。心や脳と言うより、「肌」が教えてくれる感覚。

●プロの勘には意味がある。
教師として、授業の内容なら理屈立てて教えられるんだけど、
現場だと、「これは直観に基づいてこうしました」としか表現できないときがある。

これ、ずっと悪いことなのかなと思っていた。
「どうして?」と学生に聞かれ、「Because I feel so(そう感じるから)」と応えるなんて、
Evidence-Basedが叫ばれているコンニチのAT界で、時代遅れもいいとこでしょ?
科学的根拠が欠けていれば、それは私個人のバイアス以外の何者でもない!
なんて言う人もいるかも知れませんね(私は必ずしもEBP = Evidenceとは考えていないけれど)。
でも、ここ数年の私のクセなんだけれど、状況を一通り把握した上で、一度しっかり自分の肌に『聞いてみる』。どうする?踏み込む?必要無い?―そうすると、何となく肌が「こっちじゃないの」と『教えてくれる』。そうして下した判断が、間違っていたことは今までに不思議とないんですよね。
プロの勘は、無意識すぎて自分自身でも説明できない、でもしっかり経験と学びによって形成された脳からのメッセージ、と言っても過言ではないのかも知れませんね。
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…そんなわけで、今まで自分が勝負どころで使っていた「直観」が脳科学的に証明されたのは少し嬉しい驚きでした(苦笑)。この本から学んだことは他にもあって、色々と書きたかったのだけれど、これだけで十分長くなってしまったのでもうおしまい!
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  by supersy | 2013-06-03 13:30 | Athletic Training | Comments(2)

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE

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