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In Austin, TX。

明日はかなり早い時間からUTと試合です。
テレビ放送がある関係で、11時試合開始。
大学バスケの試合で、平日なことを考えると、この時間は馬鹿早いです。
お陰で夕方には家に帰れそうだから、文句言わないけれど。
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それにしてもというか何と言うか、今回は変なホテルに泊まってます。その名もAloft Austin。
一歩入ってみてあまりに普通のホテルと違うのでびっくり。なんていうの?Dorm Roomを更にモダンでスタイリッシュにした感じ。ちょっとエキセントリックな雰囲気で、ざ・都会のホテル!

田舎暮らしもだいぶ長くなってしまったので、モールの中のこんなファンシーなホテルに泊まっていると舞い上がっちゃいますが、それとは別に今日ちょっとテンションが上がったことが…。

今回の試合の会場校であるUniversity of Texasに今夜練習に行ってきた時のことなんですが、
実はこのアリーナは私がAustin Wranglersでインターンしていた頃
ホームグラウンドでもあるんです。
あれから早6年。現在はチームは消滅し、もちろん今現在人工芝は引かれていないし、
普通のバスケットボールコートになっていて当時の面影はあんまりないけれど…。
でも、このトンネル(↓写真左)を通って毎週のように仕事に来ていたので、懐かしいな!思わず当時のメンバーに「覚えてる?」と写真を撮ってFacebookにアップしてしまいました。
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それからそれから。つい昨日の夜の試合の写真ですが、
珍しく自分が写っていて(…と言っても後ろ姿なんですけど)、しかも「これぞアスレチックトレーナー!」という一枚に仕上がっていたのでここに載せてみます。
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私は常日頃から、アスレチックトレーナーは登山チームのしんがりのような役目だと思っています。チームを先導してぐいぐい引っ張っていくわけではない。ましてやてっぺんに一番に到着して、スポットライトの元でcelebrateをするような、目立つ存在ではない。チームを一番後方から見渡し、全員が水分補給をしているか何気なく確認したり、ペースが遅れて置いていかれそうになる選手を「おい、頑張るぞっ」と突っつく、あくまでしんがりなんですよね。一人ひとりを励まし、発破をかけ、時にお尻を叩きながら、誰も置いて行くことなく無事に全員が登頂する、という目標を達成するために一歩下がって仕事をする。そういうもんだよなぁと。
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若い頃は「このチームが勝つために何が出来るのか」と真剣に考えるが故、ひとつの敗戦を重く受け取り、いちいちそれらに責任を感じていたこともありました。でもこの年になって、それはなんか違うよなぁ、と。しんがりが優れていても、チームを先導する係がテキトーだったりすると、どんどん変なところに迷い込んでしまい、チーム全員が遭難することだってある。チーム全員が歩を進める気持ちが無いと、いくらしんがりが頑張っていても限界なこともある。チームの敗戦全てが、アスレチックトレーナーの責任のわけがない。つまりなんというか、負けても「ま、しょうがないな!」と切り替えることができるようになったと思うのです。

でも、勝ちを真剣に考える気持ちはやっぱり変わっていなくて、「勝てるチームには絶対に優れたしんがりがいるのだ」とは真摯に信じています。アスレチックトレーナーがチームに齎せる怪我や治療の知識・技術はもちろん、しんがりとしての大きな精神的支えの役割もある。しんがりが影で細かい仕事をこなし、上手くチームをまとめるからこそ、チームにとって難しい仕事がちょっと楽になる。後ろにあのヒトが居てくれる、と選手が信じられるから思い切ったプレーができる。そういう貢献の仕方をしなければと思うのです。だからこそ、毎日最高の仕事をしなければ、と。

ちなみに、上の写真で私が何をしているかというと、タイムアウト中にとある選手のユニフォームに小さな血が付いているのを見つけたので(アメリカではユニフォームに血がついていたら試合続行を許されないという規定アリ)、それを学生に処理させた上で、他の選手のユニフォームは大丈夫か、そして選手の誰かが腕に擦り傷でも作っているんではないか、と目を光らせているところです(苦笑)。

「小さい血や切り傷を私達が見逃して、万が一審判が指摘するようなことがあれば、その選手は交代してベンチに戻ってきて処理しなきゃいけない。それだけでもGame Clockで数分損するよね」

「その数分が試合の勝敗を左右することだってあるわけよ。だからこそ、私達がそういった小さなことを気がつく最初の人物でなければいけない。試合中は、もちろん水やタオルも迅速にこなしつつ、そういう細かい気配りを忘れちゃだめよ」

「逆に言うとさ、そういう細かい仕事を全て完璧にこなして、選手全員が最高の力を発揮して、最高のminutesをplayすることができたとして、チームが勝ったとしても、誰もアスレチックトレーナーを褒め称えたりはしないよ?でもさ、自分たちは分かっているわけ。うーん、俺いい仕事したぜ!俺がいなきゃこの歯車は今日は回らなかったぜ!って。そういう『良い仕事』はちゃんと自分でrecognizeして、自分をきっちり褒められるようじゃなきゃダメよ」

「例えばさ、いつも私達、練習中もタオル片手に走り回って、選手が床に転げるたびに汗溜まりを拭いて、ってやってるけど、ヒトフキするたびに『俺、脳震盪ひとつ予防したった!(床の水たまりを選手が踏んで転ぶようなことがあれば、アタマを打って脳震盪を起こすかも知れない)』くらい思わなきゃダメよ。You have to keep your own score!! それで一日の終りに、今日は怪我を20個予防してやったぜ!って胸を張りなさい。そういう仕事なのよ、アスレチックトレーナーって」

こんなことを学生に毎日言っているんだけど、私の真意、通じているかなぁ。しんがりって、楽しいばかりじゃないから、こうやって楽しみを見つけないとダメよ、と分かって欲しくて(苦笑)。
最近うちのSeniorの学生の成長が目覚しい。大人の、プロへの階段を登っていく彼らの背中を見ていると、これもこれでとても嬉しいんだなぁ。さて、いよいよ学期末だけど、教育も臨床も頑張っていこう。
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  by supersy | 2012-11-29 22:30 | Athletic Training | Comments(2)

In Boulder, Colorado。

コロラドで行われているOmni Hotels Classicというトーナメントに来ています。
主催校はUniversity of Colorado、参加校はうちの他にAuburn, San Diego、カンファレンスにして、Pac 12, SEC, WACという激戦トーナメントになっております。すごい面子だ。
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Omni Hotels Classicというだけあって、用意されているのはボルダーの山の麓にあるリゾートホテル。外にプールがあって、スパやホットジャクジーもある!水着を持って来ればよかった、とスタッフ揃って嘆いておりました。
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ボルダーというとエネルギーが溢れ出ている地、という勝手に神秘的でスピリチュアルなイメージを持っていたのだけれど、実際に来てみてそのイメージも間違っていなかったな、と。
ずずずん、と連なる山々に囲まれていて、本当に大地のエネルギーをびしびし感じました。
空き時間に仲良しスタッフ4人(メディア、アスレチックトレーナー、マネージャーとGAコーチ)で
散歩にも行ったのだけど、良い空気を堪能してきました。癒される…!
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しかしこのボルダー、標高が1655mというだけあって、
昨日の朝Fitness Centerで運動をしていたら、苦しいのなんのって。
2マイルも走ったらもう完全に息が上がってしまい、心拍数が170とか180とかまで跳ね上がり。歩きを入れつつなんとか5マイル完走。し、死ぬかと思った…!
今朝も早起きして再挑戦。昨日よりは走れたけど、ペースを落とさないといつものようには走れなかったなぁー。でも前回の宣言通り、頑張ってますよっ。運動続けるのだ。

さて、トーナメントは無事に終わったので、明日の朝の便でCorpus Christiに戻ります。
帰ればまた新しい一週間の始まり。学期末のカキイレドキなので、教師としての仕事も溜まってる!一日一日しっかり片付けて、気持よく今学期を終えられますように。
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  by supersy | 2012-11-24 21:30 | Athletic Training | Comments(0)

In San Antonio, TX。

シーズン開始して2週間ほどですが、既に体力的にきついです。
…いや、今週のスケジュールがきつすぎるんだよな。
またまた遠征で、今回はSan Antonioに来ています。

今シーズンの個人的挑戦は、いかに遠征先でも効率の良い時間の過ごし方をするか。
遠征一回につき一度の運動を心がけており、今日も朝早く起きて5マイル走って来ました。
学業との両立もさせなければいけません。授業の準備のためのarticleを移動中に読んだり、
パワーポイントを作ったり、論文を採点したり、自分のスケジュールをなるべくコントロールして
Productiveになるようにしてます。

これは実は私なりの今年の課題。
ここ2年半、splitとして色々やってきてるけれど、本当にバランスを取るのが難しく、シーズン中は自分自身の健康や、授業の質をどうしても犠牲にしてしまっているような気がするんです。
こんな働き方をしていても長く続かない。もうちょっと上手いことできないもんか、ってことで、
今年はちょっとmind setを変え、もっとactiveにaggressiveに、かつcomfortableに
日々過ごせるようにとこまごまと調整中です。
もしこれがシーズンを通じて実現できたら、もっともっとこの仕事を続けられるかも知れない。
でも犠牲にするものが多すぎるならば、ちょっと自分のキャリアを見なおさないといけませんよね。

来年はいよいよ三十路。色々考える時期です。
とりあえず、自分に課したこの挑戦、シーズン通して貫いてみますよ!ふぬっ。
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  by supersy | 2012-11-16 16:30 | Athletic Training | Comments(0)

In Edinburg, TX…と、CAATE Re-accreditation site visit。

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今シーズン初の遠征でEdinburgに来ています。
テキサスも最南端、石を投げたらメキシコに届くんじゃないかっていうような場所です。
当然(?)、というか何というか、治安はとても悪いので、「次の遠征はUTPAだ」というと学生たちに「Sy…気をつけるんだよっ!」と毎回心配されています。「アジア人なんかSyしかいないんだからねっ!」と。このへんの看板はスペイン語ばかりで、笑えません。

さて、ここには全く書いていませんでしたが、実は11月4日~7日の4日間、
CAATEのNational Re-accreditationのためのSite Visitorさんたちが視察に来ていました。
学生の頃これを経験したって方も多いんじゃないかな…。私は、私が大学で4年生の頃に、
「来年がいよいよRe-accreditation!!!」と教師陣が異様にそわそわしていたのを覚えていて、
そんなにオオゴトなのか、と学生ながら驚いて、一緒になってドキドキしたのを覚えています。
Dr. Ransoneがnervousな顔をしているのを見たのは後にも先にもあれきりだったように思う。
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そんなオオゴトを、ATEP Clinical Education Coordinator (CEC)としてこなさなきゃいけなくなったわけです。要領も分かりません、何から手をつけていいか分からない。そんなところから始まりました。Program DirectorのMaryと一緒にCommitteeを立ち上げ、学部長や他の教師陣も一緒になって、イチから書類を全て作り上げ、まるで本のような厚みになったSelf-Studyを提出したのが昨学期の3月アタマ。

…で、この11月がいよいよCAATE Site Visitorによる視察日だったわけです。
「No conflict of interest」なランダムな視察員2人がうちの大学に来て、
うちのプログラムを隅から隅まで調べていきます。

本当に学生は「いつも」superviseされているのか?
全てのCompetenciesは授業できちんとカバーされているのか?
全ての物理療法の機械等は、ちゃんと毎年点検されているのか?
チェック項目は尽きません。

うちの大学だけではありません。うちの大学と提携を結んでくれている、
「Affiliated sites」の数々も、調査対象になります。
高校3つ、整形外科の病院ひとつに、GenMedの病院ひとつ、そしてPTのクリニックがひとつ。ひとつひとつの場所にも視察員が赴き、ことごとく全てをチェックします。
学生、現場のスタッフ、教師陣、学部長からDean of the college,
そしてProvostまで全員と面接もあります。私も、CECとして1対2の個人面接がありました。

いくら自分たちのプログラムに自信があって、違反が無いと胸を張って言えても、
これは本当に胃に悪い、と思うようなプレッシャーの日々でした。
しかも、書類の不備がここに来てボロボロ出てきて…私の担当でなかった書類ばかり…。
もう皆ちゃんとまともにやってようー、と泣きそうになりながら走り回って、書類確保。
「全てがうまくいけば10年分のaccreditationがもらえる!」というのが当初の私たちの目標でしたが(0年=違反項目あり、プログラム終了、5年=違反項目無し、まぁまぁ、10年=完璧!というイメージをしていただければと)、一時はダメかと思いました。

そして最終日、視察団からの「Exit report」(質疑応答なしの、一方的なとてもフォーマルな最終リポート)。大きく1. Strength 2. Non-Compliance 3. Recommendationという流れで報告を受けます。そりゃーもうドキドキしながら馬鹿みたいに早く部屋に入り、視察員さんたちを待ち構えてましたよ。

結論を言うと、大きなNon-comlianceは無く、すぐに修正可能なものばかり指摘され、
私たちはほっと一息。一時はどうなるかと思っただけに、ちょっと拍子抜けでした。
いや、嬉しいんですけどね。
(ちなみに他のReview teamが更にここから彼らのレポートを読み、評価し、
最終的な決断を聞くにはまだもうちょっと時間かかります。今回は、触りというか、印象だけ)

それでも特に嬉しかったのが、「Strength」の項目。
一番に挙げられたのは、「Facultyですね。Program DirectorもClinical Coordinatorも学生からの信頼も厚く、素晴らしい教育を提供している。特に、全てのPreceptor(現場のスタッフ)から、毎月発行されているらしいニュースレターの賞賛を多く聞きました。」という点。
思い返せば、ニュースレターを始めたのは一年ちょっと前。Program Directorの頼みもあり仕方なく始めたニュースレター。せっかく提供するのだから良い内容のものを、と、このブログに載せているようなマニアックな内容から、「今の学生はアタリマエに習っているけれど私達は習わなかったこと」をシェアする内容まで、毎月ものすごい時間をかけて充実した内容にしてきた自信はありました。なんか、これがプログラムの強みと言われると…報われる…!

つい最近、学生からの「僕らもそれを毎月読んでみたい」というリクエストがあったので、
送信対象をPreceptor全員から学生も含めるATEP丸々に拡大したところです。
誰かの知的好奇心を刺激できていれば私の目標は大いに達成されていることになります。
このブログもそうだけど…。読んでいるヒトのClinical Practiceの少しでも助けになればいいし、
ここはどうなんだろう、もっと自分でもオレも私も調べてみよう!というきっかけになれば
もう言うことありません。そんなわけで、CAATEからもハナマルをもらったこのニュースレター、
これからもより優れた内容にしていかなければいけませんね!頑張ります。
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  by supersy | 2012-11-13 15:00 | Athletic Training | Comments(0)

Scapular Wingingのイロイロ。綱引きの勝ち負け。

Scapular Dyskinesisについて学生を対象にしたin-serviceをしようと思い、
色々調べていたら、Scapular Wingingについてのこんな記事(↓)を見つけました。
こんなこと言うのもなんですが…scapulaについては大学院時代のボス(UFのDr. TrippはScapular Dyskinesisの専門家です)に叩き込まれたのでそれなりに自信があったんですが、色々知らないことが書かれていてびっくり&面白くて。いやー、まだまだ勉強不足っすね!
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まず、Scapular Wingingとは何か?という基本的なところから。
Medial border of the ScapulaがThoracic wallから起き上がるように顔を出し、異常に突起した状態のことを指します。まるで翼が出てきそうに持ち上がることからWingingと呼ばれるようです。
説明するよりも見たほうが早いと思うんで、以下ビデオです。

腕を上げようとすると、肩甲骨が飛び出て、
動きを制限しているのが良く分かります。右肩ですね。


この冒頭のデモもすごいです。ほんとに翼出てきそう。


日本語では翼状肩甲と言うらしいこの症状、prevalenceは比較的稀で、
種類は大まかに2つ、原因は大まかに3つに分類されます。

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1. Medial Winging
caused by Serratus Anterior Palsy due to an injury to the Long Thoracic Nerve
Accentuated by: Flexing the arm, or performing wall push-ups
Medial and inferior borderが脊椎に引っ張られるように寄っており、肩甲骨全体が上方に上がっているのが特徴です(↑)。burning painをcomplainするのも『strong diagnostic clue』と考えている著者もおり、Historyを取る際の質問に加えてみる価値はあるかも。

この症状はSerratus Anterior (SA) Muscleが通常通り機能しなくなっていることから起こります。
Serratus Anteriorという筋肉の一番の機能は、英語で言うと「to anchor the scapula against the rib cage」、日本語で言うと「碇のように肩甲骨を肋骨に向かって沈め、固定する役割」があるという点です。碇が碇として機能しなければ船は浮き上がってしまい、ふわふわと波に流され、勝手に移動を始めてしまうことでしょう。これがまさにSA PalsyによるScapular Wingingなのです。
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ではそもそも何でSAが機能しなくなってしまうのか?その答えは神経にあります。
SAはLong Thoracic Nerveという神経に支配されており、この神経はC5-6からひょっこり顔を出した後、肋骨に沿うように下へ下へとクネクネ伸びていきます。この神経の全長は平均で約24cmと非常に長く、文字通りLong (長い) Thoracic (胸部の)神経なのです。この神経の通る道筋、そしてその長さからmechanical injuryが起こりやすい、と考えられるのが一般的です。
私が知らなかった&面白いと思ったのは、「Long Thoracic Nerve損傷後、Scapular Wingingが顕著に確認できるようになるまで数週間かかる。Trapezius (僧帽筋)が時間をかけて伸びて徐々に緩くなるからである」というところ。怪我をしたから、突如始まるというものでもないんですね。

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2. Lateral Winging
caused by Trapezius Palsy due to an injury to the Spinal Accessory Nerve (CN XI)
Accentuated by: Abduction of the arm
もしくは
caused by Rhomboid Palsy due to an injury to the Dorsal Scapular Nerve
Accentuated by: Extending the arm from the fully flexed position
同様に、CN IXの神経損傷→Trapeziusの麻痺、Dorsal scapular nerveの損傷→Rhomboidの麻痺、ということも考えられます。この場合、ScapulaをAbduct (protract)する力のほうがAdduct (retract)する力よりも強くなるため、肩甲骨全体は外側に引っ張られ、Trapeziusの場合にはDownward rotationを、Rhomboidの場合にはUpward rotationを伴います。Rotary compnentが入るので、Rotary Wingingと呼ばれることも稀ながらあるそう(Maggieにはそんな記述がありました)。
Lateral WingingはMedial Wingingに比べて比較的Subtleで、気がつきにくいというのが現状のようです。Diagnosisもなかなか大変そう、誤診も多いんだそうな。

…というわけで、まとめです(↓)。
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Medial Winging → Serratus Anterior (Long Thoracic N.) Paralysis
Lateral Winging → Trapezius (Spinal Accessory N.) or Rhomboid (Dorsal Scapular N.) Paralysis

ちなみにScapular Wingingは授業で教えてビデオを見せると、うぎゃーと生徒は毎回大騒ぎ。
インパクトに残るみたいで今でもたまに話題に上る、彼らのお気に入りトピックのひとつです。
私はどうせ翼が生えるなら飛べる翼がいいなー、なんて思うけれど、それはそれで寝るときにゴツゴツしそうだし、服も新たに買えそろえなきゃいけないしだしやっぱり今のままでいいや。
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今回つくづく思ったのは、肩甲骨のイメージって、綱引きの真ん中のコブ、なんですよね。
肩甲骨周りの筋肉が一人一からでバランスを取り合い、程よい緊張を生み、引っ張り合っているから、安定力のあるベースとしての力を発揮するのであって、筋肉のうちひとつが群を抜いて弱かったり強かったりすると均衡が崩れ、勝ち負けが決まってしまう。
もちろんそれが本当の綱引きだったら勝負がついたって良いのだけれど、
人体となると、どれかの筋肉が「負けた」状態になるのは好ましくない。
筋肉のバランスは崩れ、障害が生まれてしまう。
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うーむ。なんかそういうコンセプトも含めて、学生に上手く伝えられたらなと思ってます。
In-service、来学期になりそうだけど。
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  by supersy | 2012-11-09 09:39 | Athletic Training | Comments(2)

足首を捻ったら、治療すべきは本当に靱帯?―Distal Tibfib Joint Mobilizationsについて考える。

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足首の捻挫って、痛いですよね。
私も両足首数回捻挫したことがあり(5-6回ではすまないだろうなぁ)、
以前私の足首でAnterior drawerをして遊んだいた友人ケニーいわく、
「さゆりさん、こっちの靭帯完全に切れてますよ」な状態だとか。まいっちまいますね。

…で、足首の捻挫といえば、Fallet氏1の統計によれば、
最も損傷を起こしやすいのがATF ligament(前距腓靭帯) (83%)、続いてCF ligament (踵腓靭帯)
(67%)、そして最後にPTF ligament (後距腓靭帯) (34%)という順なんだそう。
私自身も、足首の捻挫を評価しているときは(骨折をrule outした後で)
真っ先にSinus tarsiを触診して圧痛があるか見ますからね。
Inversion Ankle Sprain = ATF損傷、というのはこの世界の常識中の常識です。

…しかしこの常識、本当の本当に真実なのでしょうか?

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b0112009_8561936.jpg有名な書『Manual Therapy(←)』を書いたBrian Mulligan氏2は「我々が思っているほど、forceful inversionによるligamentous damageは少ないのではないか」と述べています。彼の説によれば「異常なinversionの力が足首にかかった場合、distal fibulaが前方に強く押し出される格好になり、Positional Faultが起こる。ATFLそのものは損傷せずに残るが、前方に動いてしまったdistal fibulaはそのまま亜脱臼した状態で留まってしまい、痛みや可動域の制限を生む」のだそう。
下の写真(↓)は足首のレントゲンで、このMulligan氏の言うところのAnterior Positional Fault of the Distal Fibulaを目に見えるようdemonstrateしたもの。Distal fibulaがTibiaに比べてかなり前方(写真左)に配置されているのがはっきりと分かります。
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諸悪の根源は靱帯の損傷ではなく骨のdisplacement? にわかには信じがたい話ですし、今まで見てきた統計はどうなっちゃうんだ、って話ですが、もっとよく知ってみる価値はあります。もしかしたら、今までの所謂「伝統的な足首捻挫の治療」があまり大きな成功を収められていないのも(だって、足首の捻挫って一度治ってもクセになって何度も起こりやすいし、Chronic Ankle Instabilityになっちゃって慢性的痛みやfunctional limitationに繋がり易い。決してそれは治療が成功した例とは言えませんよね)、もしかしたら私たちが焦点の当てどころを間違っていたからかも知れません。本当に注目すべきは、Distal tibfib jointだったのか?

様々な研究を見てみると、「捻挫後の足首には確かにAnterior Positional Faultが存在した」と確認されているケースが少なからずあります。3-5 Fibulaが変な格好のまま戻れなくなってしまっていることにより、1) Altered joint arthrokinematics, 2) Chronic pain, 3) "Giving-way" episodes, 4) Limited dorsiflexion, 5) Overall decreased functions等が起こり得るわけです。
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(4)について、こんな初歩的なことは説明しなくてもいいのかなと思うのですが、Distal (or Inferior) Tibiofibular Jointはガチガチの繊維に囲まれたSyndesmosic jointではありますが、全く動かないわけではありません。Dorsiflex中にfibulaとtibiaが離れるように「spreading motion」と呼ばれるAccesory movementをするのが特徴であり、これが起こらなければMax. Dorsiflexionを達成できません。つまり、Distal fibulaが前方に押し出されstuckしてしまっている場合、この微々たる「spreading motion」が起こらないため、Dorsiflexを制限する原因と成り得る、というわけ。

さて、本当にこれらの問題がAnterior Positional Fault of the Distal Fibulaのせいで起こっているのだとしたら、これを手っ取り早く治療してしまうに越したことはありません。しかし、どうやって?骨が前方にズレているというのなら、シンプルに押し戻してみる、というのも一手です。手を使ってね。
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このコンセプトが、所謂Mulligan氏のMWM (Mobilizations with Movement) technique。簡単に言うと、Distal fibulaを後方へ押し戻し、Fibulaを正しいポジションに固定した状態で足首をpassiveにplantarflexion + inversionに10-30回ほど動かす(↑写真左)、というもの。さらに、この正しい状態をキープするために、治療後にはテーピング(↑写真右)を施します。私が読んだarticleの中には「このテープがfibulaを固定するほどの強い力があるとは思えないので、あくまでproprioceptive facilitationが目的であると思うのだが」という記述を見かけましたが、本当のところは不明…。残念ながら、このテクニックに関するstrong evidenceは見つけられなかったのですが、あなたのいつもの「捻挫後の(典型的な)治療法」に手軽に加えられる、手っ取り早い技術であることに間違いはありません。YouTubeでもなかなか実用性のあるビデオをいくつか見つけたのでここでシェアさせてもらいます。


“Mulligan Lateral Malleolus Posterior Glide for Ankle Sprains” (3.5 min)


“How to Get an Ankle Sprain Better Quickly” (3.5 min)


“Mulligan Taping Techniques: Inversion Ankle Sprain” (<2 min)


私も最近、3件ほど足首の捻挫の患者を診たのでこのテクニックを試してみたのですが、Fibulaを後方に押し戻してやるだけで面白いくらいに痛みなく足首を自由に動かせるようになるケースの多いこと!圧痛さえひどくなければ、acute, subacute, chronicのどのphaseにも使えるという実に便利なテクニックです。テーピングも、正直こんなのが効くのかなと半信半疑で試してみたのですが、「歩くのさえも痛い」と言っていた患者が、治療・テーピング後にはpain-freeで歩けるようになったのだからあっぱれ。テープの切れっ端をつけて一日歩くのイヤじゃない?と聞いてみたら(そういうお年頃の患者さんなので)、痛みがないんだから全然良い!んだそう。想像以上に効き目があるのでこっちがびっくりしています。

もちろんTalusのJoint Mobilizationが有効な場合も多いと思うし、Conservativeなiceにelevation、GameReadyなんかも症状に応じて併用されるべきだと思います。Evidenceのレベルも決して高くないし、このテクニックだけを推奨しようとしているわけではありません…が、あなたのTherapistとしての引き出しのひとつに入れておいても良いのでは?骨そのものalignmentを直し、通常のarthrokinematicをrestoreすることも非常に大事だし、Distal tibfibのJoint MobilizationsでSoleusのmotoneuron pool excitabilityが上がるという非常に面白い研究6もあったりします。意外と「骨を接ぐ」ことの相乗効果も多いのかも?次回足首の捻挫の患者が着たら、是非試してみて下さい。


1. Fallet L, et al. Sprained ankle syndrome: prevalence and analysis of 639 acute injuries. J Foot Ankle Surg 1998;37(4),280-5.
2. Mulligan BR. Manual therapy “NAGS”, “SNAGS”, “MWM’S” etc, 4th ed. Wellington: Plane View Services Ltd; 1999.
3. Hetherington B. Lateral ligament strains of the ankle, do they exist? Man Ther 1996;1(5):274-5.
4. Kavanagh J. Is there a positional fault at the inferior tibiofibular joint in patients with acute or chronic ankle sprains compared to normals? Man Ther 1999;4(1):19-24.
5. Hubbard TJ, Hertel J. Anterior positional fault of the fibula after sub-acute lateral ankle sprains. Man Ther 2008;13:63-7.
6. Grindstaff TL et al. Immediate effects of a tibiofibular joint manipulation on lower extremity H-reflex measurements in individuals with chronic ankle instability. J Electromyogr Kinesiol 2011;21:652-8.

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  by supersy | 2012-11-06 19:00 | Athletic Training | Comments(7)

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