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Professional Development―スタッフ勉強会第一弾。

さて、今日はATスタッフの勉強会の日でした。
前に上司に頼まれた、「Evidence-Based Practiceを同僚その他に教えてやってくれ!」と頼まれたやつです。
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…結果からいうと、微妙でした。
結構自信があった内容でした。生徒に教えたときも楽しんでもらえたんで。
でも、今日は一番欲しかった相手からの手ごたえが無かった。
今までEvidence-Basedをかじってたくらいの若い子達(GA達)はやっぱり吸収が早かったし、
プログラムディレクターや、最年長のHead Athletic Trainerも、
なるほど!これは今日から使える知識だ!と喜んでくれたけど、
肝心の相手には、意味分からん、followできない、もういいから進んで、と言われてしまった。

なんだろう。ちょっと無力感。
悔しいのもそうだけど、次の手をどう打っていいやら、策が浮かばない。

上司のMaryはすごく良かった!勉強になった!とっても有意義だったよ!
変ることは難しいし、そういう人たちからあれくらいのresistanceがあるのは当たり前。
予想範囲内だ、これがきっかけになればいいんだから、と言って貰ったんだけど…。
いや、それも分かるんだけど…。

「私はそもそもこういうこと(EBP)をずっとやってきている。そういう言葉を使ってないだけで」
「難しい言葉(Sensitivity, specificity 等)は理解できないし、私はこれだけ忙しいのに
普段の仕事に加えてこういうことを勉強したり、最新の研究を読んだりする暇はとてもない」
「っていうかそもそもこういうことして何の意味あるの?」

なんか、つまり、学ぶ姿勢なしに来ちゃったんだろうなぁ。
それでも面白い!これなら分かる!と思ってもらえる内容を提供したつもりだったんだけど、
全然分かってもらえなかったみたい。もう途中からふてくされて聞く気を無くされてしまったので、
ちょっと心が折れそうになりました。生徒にもあんなにひどい態度取られたことない…。
この会はアナタのために設けたんだけどなぁ。


くわっ。諦めたいけど、ここで諦めたらいけない。
同僚なんだから、意地でも引っ張っていかなきゃならん。
このまま諦めたら、ATEPのためにならない。
でも今学期一杯努力してみて、それでダメならそういうことなのかも知れない。

昨年の今頃、NATAのEducator's Conferenceに出席して、
こんなことを私自身ブログに書いていました。
あとは、単純に“さばかなければいけない患者がいるのに、そんな時間があるかい!”ってこともありますね。でも、母体の組織が大きな変革の時を迎えているんです。私たちだって変わらなければいけない。“今で十分上手く行っているのに”とcomfortable zoneを出たがらないold-schoolの人は“そんなの無理”で片付けようとするかもしれませんが、時間が無いのは皆同じ。患者さんはさばくものではない、一人ひとり接するもの。“変わることを受け入れられない教育者やクリニシャンは、こちらから変えていくしかない。残念だけれど、そういう人たちには去ってもらって、思い切って新しい人材を入れる必要がある”という言葉を聞いて、ちょっとはっとしました。あまりにreluctant to changeな人の末路は…やっぱりそういうことになってしまいますよね。
とりあえず、私は私の時間を使ってこの人を引っ張り上げる努力をする。
でも、本人の意思無しに他人は結局変わらないし、それでダメならすぱっと諦めよう。
医学は、刻一刻と移り変わってゆくもの。変る勇気のない人がやるべき職業ではない。
自らに挑戦し続け、自分の未熟さを認められる者こそが上に行くんだろうな。
When you finished changing, you are finished.
自分にもこれから特に言い聞かせて頑張ろう。
私はまだ何も成してない。私はまだ何も分かっちゃいない。
さらなる高みへ。
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ちなみに私とMaryの強い希望で、この勉強会を定期的に続けていこう、という話にもなっています。まだ次回の内容は未定ですが、他の人が好きなトピックで自由に講義してくれれば、と。実技でもいいし、ケーススタディーでもいいし、研究の紹介でもいい。切磋琢磨する機会になればと思います。さて、自分からやりたい!と言い出す人材はいるかな?
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  by supersy | 2012-02-13 20:15 | Athletic Training | Comments(4)

In Huntsville, Texasと、Rebound Tendernessとか虫垂炎について考察してみる。

遠征でHuntsvilleに来ています。珍しく、明日は昼の時間帯に試合です。
ちょっと嬉しい。Corpus Chrisriには日付が変る前に帰れるかもっ。

さて、今回も宣伝です。
…といっても、友人の宣伝です。長い付き合いの石井健太郎こと、ケニー氏からの、
日本人限定サマーインターン募集のお知らせです。

『MLS Sporting Kansas City 日本人サマーインターンシッププログラム』

インターン先:Major League Soccer - Sporting Kansas City

概要:
このプログラムはアメリカの大学でAthletic Trainingを学ぶ日本人学生に対し、MLSの現場、及び関連医療施設を通して、アスレティックトレーニングの様々な形を経験してもらう事を目的とする。チーム活動の他に、ユースチームのサポート、手術見学、その他クリニック(PT/カイロプラクティック)でのローテーション等、多種多様な教育環境を学生に提供する。

対象:CAATE認定校Athletic Training Education Program在学中の日本人大学生3−4年生

期間:5月下旬から8月下旬を予定。開始・終了日は応相談。

定員:1名

場所:Kansas City, MO、Kansas City, KS

給与:無し

住居:個人負担、各自で手配。短期での紹介も可能。

衣服:仕事着支給

応募期間:3月31日まで

応募方法:
英文のCover Letter、Resume、Referenceを“(Candidate Name) Summer Internship 2012.doc”として1つのファイルにまとめ、kishii@sportingkc.comに送付。

質問があれば、上記のアドレスに直接ご確認ください。
ケニー氏は前述のように長い付き合いのある友人で、このプログラムも彼が頑張っている日本人学生のために何かできないかと考えて自分で提案&作り出したもの。そこから「せっかくだから手術見学とかもしてほしいっすよね」「クリニックにも話をしてみようと思ってるんです」と色々クリエイティブなアイデアを足してどんどん進化し、ここまで来ています。どうしたら楽しいだろう?とインターンの立場に立ってこれだけ練られたインターンプログラムも珍しいと思います(いや、インターンってのは下働きと考え、ひたすら肉体労働をやらせるところが多いですよ、他ではね)。楽しそうなので、私も応募しようと思っています…というのはウソですが、私もやってみたいなぁとうらやましく思うようなプログラムです。ちょっと厳しい選考になるかもしれませんが、条件に当てはまる方は是非ご応募してみてください!

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さて。話はガラっと変りまして。
Rebound Tendernessはindication of hollow organ ruptureだと、学生の頃習いました。
押したときには、Ruptured organから空気が押し出される。このプロセスは痛くない。
離したときにNegative pressureができて空気が戻ろうとする。そのときに痛みが出るのだと。
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しかし、今度腹部への怪我について講義するので色々調べていたんですが…
そんな記述がどこにも見つからないんですよね(汗)。あ、あれれ??

調べてみると、Rebound tendernessはPeritonitisと深い関係があるようで。
Appendicitis(盲腸)やUlcerative colitis(潰瘍性大腸炎)などが原因で
Peritonium(腹膜)のParietal layer(壁側腹膜)が炎症を起こしている状態だと。

ただ、このPeritonitis自体が「盲腸や腹部の損傷によるhollow organのruptureで起こることがある」という記述も見つけたため、Rebound TendernessとRuptured hollow organの関連性はゼロではないらしい。つまり、盲腸炎にせよ大腸炎にせよ、元々localizeされた炎症だったのが悪化して、腹膜まで炎症が広がっている状態ってことですよね?で、その過程として、内臓が破裂を起こしてバクテリアやfecal matterが拡散し、それによって腹膜が感染症を起こして炎症に至る可能性もあるっていうわけで…。うーむ。

でも、情報をよくよくまとめてみても、
Rebound Tenderness = Ruptured hollow organというわけではないみたい。
可能性としては大いにあるけれど、全くのイコールではない、と。
Negative pressureが云々というのはウソみたいですねー、どの文献にも載ってないし。
もうー、間違った情報教えないでよー。学生だから信じちゃったよー。
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RuptureしていなかったAppendicitisでもRebound Tendernessが見られた症例から考察するに、
Appendixなんかは特にぴよろと大腸から逸れるところにあるわけですから(↑写真参照)、
必ずしも穿孔していなくても突起した部位が腹膜に触れ、炎症が広がり、
Rebound tendernessが出る可能性はあると考えたほうが理に適っているのかな、と思います。
これは個人的な見解で裏づけはありませんが、つまるところ、虫垂でいうと、
ただのTenderness = 炎症は非常にLocalなもの。軽度&初期のAppendicitis。
Rebound Tenderness = 炎症が腹膜にまで広がっている。
              中度から重度のAppendicitis。Ruptureの可能性もアリ。
と言う風に考えてもいいのかな?と考えています。もし意見反論ありましたら教えてください…。

まぁ、見つけた文献(ちょっと古いものです、Liddington, MI & Thomson WHF, 1991 "Rebound Tenderness Test")によれば「Predictive valueは良くありません」という結論だそうなので、そもそもRebound Tenderness自体にどれほどの信頼性があるのかはナゾなんですけどね。この議論自体がそもそも的外れ、という可能性は大いに有り得る…。

ま、そこは結論を出すには十分な研究がなされていないので今回は敢えて考えないとして、
色々他にも記述を読んでみると、
 - ゆっくり優しく押して、素早く離す、というのがポイント。
 -Rebound tendernessがあった場合はテストをむやみに繰り返さないこと。
  一度押して痛ければ、もうやらない。やることで、悪化する可能性も大いにある。
  (炎症を広げることもあるし、破裂を起こす可能性も。
  既に破裂している場合、fecal matterを更に押し出してしまう可能性も…)
という項目があり、これらはちょっと勉強になりました。

ちなみに、Appendicitisは悪化して破裂した場合、
Fecal matter(うんちょ的なもの、という医学用語)が拡散してそこらじゅうに感染症を起こすので、生死に関わる事態になります。右腹部に鋭い痛みを感じたら、そしてそれに加えて熱まで出てきて吐き気がしたら、手遅れになる前に病院に直行するのが懸命です。ちなみにうちの周りには、「そんな風になって緊急手術をしたら、手術中に破裂した。もうちょっと遅かったら生きて無かったかもと言われた」なんて人間が結構いますよー。

ちなみにちなみに。
過去に選手でこの部位に痛みを訴え、検査の結果虫垂炎ではなくて卵巣嚢腫だった、というケースも何回かありました。ここは医者でも判別が難しいらしく、「McBurney'sに痛みが出たからって虫垂炎ってわけでもないのよね、このへんには色々な組織があるから…」と仰ってました。結局Imaging撮らないと分からない、ということが多いみたい。でももちろん、私たちは職業柄、常に最悪の自体を想定していないといけませんので、やっぱり医者に素早くreferするのが一番ですね。
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  by supersy | 2012-02-10 21:30 | Athletic Training | Comments(0)

Split Positionのホンネ。

ちょっと宣伝になりますが、
月刊トレーニングジャーナル、という雑誌の編集者さんからご連絡頂き、
先日まとめた、Ottawa Ankle Rulesの記事について書いてくれとご依頼を受けまして、
生意気にも3ページ半に渡って記事にさせていただきました。きょ、恐縮です!
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日本時間の明日、2月10日に発売の、
Book House HD社発行、月刊トレーニングジャーナル3月号に載っています。
『捻挫のあと、どうするか』という特集の一番最初が私の記事です。
一般書店では扱っていないらしいのですが、全国で取り扱いのある書店の一覧はこちら、もしくはオンラインでこちらから購入可能です。
興味のある方は是非!

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今回は私の仕事についてちょっと書こうと思います。
あと数ヶ月で徐々に就職活動の季節にもなりますし、私のようなSplit positionでの就職を希望・可能性を考えている人にそのpros & consを知っておいていただけたら、と思うので。
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私の現在の職場でのポジションはSplit positionと言いまして、
split = 分割する、という意味どおり、仕事の50%はアカデミック、もう50%はアスレチック、
という、二つの全く異なる職種を兼ねています。

アカデミックの仕事としては:
- アスレチックトレーニング・スポーツ医学の授業を一学期辺り6単位分受け持つ。
- クリニカルコーディネーターとしてATEPを総轄する。
  学生とACI/CIの間に立ち、コミュニケーションが円滑に行われるように常に微調整。
  問題が起こればお掃除に参ります。ちなみに毎月のニュースレターもここから派生。

アスレチックの仕事としては:
- 女子バスケットボールと女子ゴルフのチームの担当アスレチックトレーナーとして働く。
- 選手の怪我の診断、治療、リハビリ、予防を行う。

更に、Additional workとして:
- Approved Clinical Instructor(ACI)として、日々アスレチックトレーニング専攻の学生と
  実技能力チェックを重ね、彼らのProficiencyをチェックする。例えば学生が足首テーピングの
  技術を披露して、ACIが「よし、合格!」と言って書類にサインして初めて、
  彼らは選手に足首のテーピングを巻けるようになる。

基本的に、毎日の仕事はこの3種類が混ざりに混ざっている感じです。
例えば、私の基本的な一日の流れ。たとえば、火曜日。
- 朝7時過ぎに出勤。静かな時間を利用して、アカデミックの仕事を片付ける。
 授業で使うパワーポイントを作ったり、小テストを作ったり、宿題を採点したり。
- 朝8時半頃に、膝の具合がよろしくないアスリートとの治療のアポ。マニュアルでがしがし。
- 朝9時半になって、一つ目の授業の時間。下肢の怪我の評価についてAT2年生を教える。
- 1時間15分の授業を終え、15分休憩の後、二つ目の授業へ。
 今度はAT1年生に「スポーツ外傷の予防とケア」という授業を教える。
 この授業はAT専攻でない他の学生も多く履修している総勢40+人のマンモスクラス。
- 授業が終わって昼の12時半。お昼ごはんをかっこむ。
- 昼の1時、練習1時間前。オフィスから別の建物に歩いて移動し、練習の準備&治療開始。
- 午後の2時、アスリートをAthletic Training Roomから全て送りだし、練習へ。
 練習中にも怪我をチェックしたり、水分補給手伝ったり、喘息持ちの子を確認したり、
 もしくはアスレチックトレーニング専攻の学生に色々クイズを出してぷち講義をしたり、色々。
- 午後4時、練習を終えてまた治療開始。リハビリもいくつか。
- 全て終わって午後の5時過ぎ。選手を見送り、アスレチックトレーニング専攻の学生も
 本日の現場実習を終えて送り帰す。やっとまたひとりの時間。
- おおっと、今日はチームドクターが学内での検診をやってくれる日だった!
 診察に来る予定の選手のメディカルレコードを並べ、準備準備。
- 夕方6時、ドクターが到着。選手を一人ひとり診るのに同行し、必要があれば処方箋の処理や、
 支払いの手続き(奨学金つきのアスリートの支払いは大学持ちなので)をしたりする。
- 夕方7時過ぎ、全ての選手の診察が終了。ドクターにお礼を言って見送る。
- 溜まっていたアカデミックの仕事やeメールを処置。
- 夜8時、帰宅。
- 夕食を食べつつパワーポイントの準備。全然はかどらん。
- お風呂に入って就寝。

…とまぁ、こんな感じです。
座ってぽけっとしている時間もなく、慌しく仕事をしていたら一日が終わる、という感じです。
これに加えて、例えば大きめな怪我が起こったら医者に連絡を取ってアポを作ったり(必要があれば選手を病院に連れて行くことも)、テストが近くなればテスト問題を作らなきゃー、とか、ニュースレターをそろそろ出さなきゃー!とか、おおっと、この学生とcheck-offやらなきゃ!とか、クリニカルコーディネーターとして、うちと提携してくれている高校や理学療法のクリニック等にsite visit(訪問して、ちゃんと規定に沿った活動をしているかチェックする)したりと、色々とランダムに仕事が増えたりします。

まぁぶっちゃけ、今の私は“Overload”という状態で、数字に直すと、
「授業を2単位分過剰に教えているくらいのoverworkっぷり」ということになっています。
(それに関しては一応金銭的にはcompensateしてもらえています)
私以外のスタッフも、ほとんどが1単位分のoverloadしています。

Split positionをやっていてこれはいかんと思うこと、
まずひとつは、とにかく休みがないということです。
アスレチックの仕事に朝も夜もありませんし、週末働くこともシーズン中なら当たり前です。
空いた時間を使って授業の準備をしたり、採点をしたり、生徒からのクレーム処置したり。
それだけでは当然足りないので、家に帰ってからも仕事を続け、睡眠時間を削ることも。
学期末の採点が架橋を迎える頃や、遠征続きで連日飛び回っている時期は
(朝の5時に遠征から帰ってきて、仕事場で2時間仮眠を取り、むっくり起きて授業の準備をし
そのままクラスを教えに行ったりとか…)
意識が朦朧とすることも多く、本当に修羅場といった感じです。

もうひとつは、アカデミック⇔アスレチック間のコミュニケーションが少なく、
どちらからも「向こうに時間を割きすぎではないか、もっとこっちの仕事をすべきだ」
という要求ばかり喰うことです。アカデミック側からは、「どうせ遠征続きで授業休講にしまくっているんだろう(←全くの言いがかり)、これくらい当然の義務だ、やれやー」と一般学生30人分のアドバイジングを今学期から担当するように言われましたし(これ本当に無理だと思う。不安…)、アスレチック側からも「今週末テニスのトーナメント人手が無くてカバーできないんだよね。女バスの練習無いなら一日手伝いに来てくれる?」と、担当外のスポーツでもよくお声がかかります。
ATスタッフの人数が少ないので困ったときの助け合いは当然ですが、
せっかく授業の準備に使おうと思っていた日曜日が潰れるのは痛い。

それでも働いて働いて解決できればまだいいのですが、完全にふたつの予定がカブり、どちらかを断らないといけない状況も出てきます。そんなとき、「ふたつの場所に同時にいることはできません。今回はこっちをやらなければならないので、こっちは行けません」と頭を下げてもその理論が分かってもらえないことが多く、何だか結構悪者扱いされている気がします。
いや、サボってるわけじゃないのよー。
こういうときはちょっと悲しい。ちょっとだけね。


でも、良いこともあるんです。
実はかなりあるんです。

まずは、教えるということは単純に楽しい!
苦手な内容も教えることでしっかり私自身の頭に入るし、そこからクリニシャンとして成長させてもらったりしています。例えば、Therapeutic Modalities(物理療法)の授業を教えていく中でHigh-voltやJoint Mobilization、Muscle Energy等、不慣れだった療法にもより詳しくなって、実際の治療にそういったテクニックを実践してみたり。そして、効果があったり、ね。
クリニシャン一筋でやっていると、ついつい勉強をさぼってしまってold schoolになりがち、ってこともあるかと思うのですが、教師として文献もあれこれ読むので、AT界のトレンドや動向にも詳しくなりましたし、新しい研究や発表にも比較的敏感でいられています。

そして、教師の観点からは、教室で教えているだけじゃなく、
ちゃんと現場で動いている自分も学生に見てもらえる、という利点もあります。
前にも書きましたが、ただのセンセーから授業で教わるより、現場で実際に目で見て教わるほうが、学生にとっては強烈に印象に残るんです。学生は、クリニシャンの背中を見て育ちます。
私がただ授業で、「EBPをやるんじゃー」「Patient-centeredのケアを実践するんじゃー」とぎゃーぎゃー言ったって、私が現場を離れて久しければ、ただの教師の戯言と取られても仕方ありません。でも、実際に私がそれらを選手相手に実践しているのを横で日々見ていることで、なるほど!こうやってやるのか!こういう利益があるのか!と感じてもらえれば、私が教室で発する言葉にもかなり重みがでてきます。机上の空論にならない。現場の視点を保ちつつ、この職業の将来を理想に近づけていく。そういった意味では、自分はなかなか理想的ポジションにいるなぁと思います。

あとは、過去の経験から申しまして、現場一筋だと、AT学生の扱いもぞんざいになりがちで「お荷物」として見てしまうことがある、特にCheck-offなんて面倒くさいこと極まりない!適当にやっちゃえ!なんてことがあるのも珍しくないのですが、教師を兼ねているお陰で、彼らを育てるために現場でどんなことをしたらいいのだろう、と考える癖がつきました。
昔は、学生がトロトロやっているのがまどろっこしくて、自分でがーー、とやったりしてたんですけどね。現場での効率を優先せず、あえて自分で全てをやらずに根気強く学生にチャレンジさせ、ほうほうなかなかいいじゃないか!とか、ここはね、こういうこともできるよ!と指導のきっかけとして使う。そうすることで選手もAT学生の成長をrecognizeして、そこに信頼関係が生まれる。信頼されれば学生ももっと頑張る。もっと伸びる。もっと信頼する。AT学生がどんどん積極的になっていく。それに使うはずだった時間は、私は他の選手を診たり治療したりすることに使えるので、結果、能率が上がる。こんな風に、win-win situationを生み出せることが発覚!
今では、現場ではだいぶ楽させてもらってます。学生たちが優秀なんでね!

まーなんでしょうね。
教師だけ、クリニシャンだけしかやってないと、結局mindsetがものすごく偏ってしまうのが、
両方やっているからバランスが取れて、それがとても上手い方向に向いてる、
と実感しています。まさに中庸の徳?

就職活動をする・しようとしている人に、Split positionはお勧めしますか?と聞かれたら、
私は「もんのすごく体力的・精神的にはきついですが、
とても楽しんでいますし、大いに成長させてもらっています」と答えます。
これが正直なホンネです。誰にでも勧められる仕事ではありませんが、私は好きです。
この時期に出会うべくして出会った仕事だったんだろうな、と思います。
もうちょっと年齢取っちゃったら、続けるのはきついかもだけど(笑)。

もし、日本人だから英語で授業するのはちょっと不安…という人がいれば、
そんなことは全然心配しなくていいよ!と言いたいです。頑張れば、何とでもなります(断言)。
最終的には、言葉の壁がどうこうではなくて、アナタが学生時代にどんな授業が楽しかったか考え、それを実践するセンスがあるか、ってとこなんじゃないでしょうか。
日本語で授業するも、英語で授業するも、私の中ではそんなに変りません。

クリニカルコーディネーターというポジションについてはこれから大きく変革があると思います。今のCAATEの流れから言うと、そういう名前のポジション自体が近々存在しなくなるかも知れません。でもクリニカルコーディネーターって仕事をやってみてどうですか?と聞かれると、様々なモノゴトの調整と、全生徒&全CI/ACIとのコミュニケーションを回せる能力に長けているヒト、あとはトラブルが生まれたときのお掃除係…ってことなんではないかな、という印象です。細かくて地味な仕事です。学生がACIと上手くいかず、泣きながらもしくは怒り狂いながら私のオフィスに来ることは、そう珍しいことではありません。そういうときは、学生とスタッフの間に立ち、何が問題なのか、どう解決すべきかを導く指導者的役目がかなり大きいかと思います。クリニカルコーディネーターなんて言うと偉そうに聞こえるかも知れませんが、結構「何でも屋さん」「トラブル解決屋さん」という感じですかね(笑)。

これが誰かの手助けになるのかは分かりませんが、
あまり日本人で教育界に顔を突っ込んでるATも少ないかなと思ったので、
一応自分の仕事内容等を記録させていただきました。
何か質問等あれば、個人的にでもブログにコメントででも頂ければお答えします!
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  by supersy | 2012-02-08 22:30 | Athletic Training | Comments(2)

The QUADAS toolとその使い方。

上司に無茶な要求をされるようになって最近ちょっと困っています。

CEU Workshopを私の名義でホストしろ、とか、夏に高校生対象のATキャンプを開催しよう、フライヤー書いて構成作って、とか、さゆりが授業で学生にガンガン教えてるEBP、スタッフが実はちゃんと理解できてないから、スタッフ相手に講習会をやってくれ、とか。いや、いいんですよ、いいんですけどね、全部ATEPのためにも宣伝にもなるんですけどね、でも別にこのうちのどれやっても私にお金は全く入ってこないし、通常業務プラスアルファなので睡眠時間を削って働くことになるわけです。シーズン中にやられると本当に倒れそうになります。

大きな仕事や大きな授業、大きな責任をどんどん任されるようになるのは素直に嬉しく感じます。
学生だけでなく、ATEPの構成員(Graduate Assistant、同僚から上司まで)も
引っ張っていかなきゃいけないんだな、というのは良い緊張感ですし。
ただ、自分の仕事のクオリティーは落としたくないから、時間的調節はある程度はさせてほしいし、
ATEPのスタッフがひとりひとり、この組織に何かContributeできるものはあると思う。
切磋琢磨できる関係が理想です…が、この一年半、正直あまり周りから学べていない。
月に一回くらい、スタッフ間で、一人ひとりが交互に何かを発表していくような勉強会ができればいいのに。ケーススタディーの紹介でも、実技でも、なんでもいいからさ。

実際、皆忙しすぎて全員が揃える時間なんてなかなかないんだけれど。

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さて、なんだか愚痴っぽくなってしまって申し訳ありません。
今日は前述したThe QUADAS toolについて少しまとめたいと思います。
これ、今学期から私が新たに授業に取り入れた内容で、
下肢の評価のクラスでとても役立っているtoolです。
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Evidence-Based Practiceを実践するということは、
日々様々な文献と向き合う、ということでもあります。
私も授業を教えている以上、知識でカネを稼いでいるわけです。常に最新の情報を頭にいれておかなければなりません。なので、例に漏れず机の上には常に出版された研究の山があります。

色々なArticleを読んでいくうちに、「あれ?この内容はさっきの文献の内容とまるで逆じゃないか。矛盾している?」 「それでは、どちらを信じればいいのだろう?」となることも少なくありません。
同じ題材について幾つもの文献があり、その内容が食い違っている場合、一体何をもって「よし、こっちの研究のほうが信頼するに足る!」と言えばいいのか?
それをシステム化したのがthe QUADAS toolです。

The Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studies (QUADAS) tool
読んで字のごとく、診断に関する研究の質を計るための道具です。
これは、14つの質問から成っており、それぞれの質問に対して“Yes”か“No”、もしくは“Unclear(不明瞭)”かで回答をしていきます。そして、その後にYesの数を数える、という単純なScoring systemです。14つの項目というのは下記の通り。(クリックで拡大)
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これらの項目に“No”または“Unclear(不明瞭)”と答えざるを得ないとなると、研究にバイアスがあったり、公平性に欠けていた、ということになります。当然満点は14項目すべて“Yes”の14点満点なのですが、基本的には10点以上あればその研究は高いクオリティーだった、と結論づけられることに、反対に10点未満だと、ちょっとその研究は構造・デザインに不備が多いかも…ということになります。

さて、それでは実践編です。
例えば、O'Brien's Testという肩のスペシャルテストがあります(↓)。
Labral tearの判別によく用いられ、非常に歴史もあり有名なテストです。
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このスペシャルテストの正確さに関しては様々な研究が重ねられており、
その統計の一部はと言うと、こんな感じ(↓)。
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SensitivityやSpecificityを見ていくと、数値は実にバラバラ。「良い」とみなされる数値を超えているものもあれば、11や13と、程遠いものもある。さて、それでは一体どれを信じるべきなのか?

ここでまず注目してほしいのが、一番上にある研究結果(↓赤で印がついたもの)。
これによれば、Sensitivityは100、Specificityは97-99と、驚異的とも言える数値が出ています。この研究が正しければ、O'Brien's Testはほぼ完璧にLabral tearを判別できるぜ!ということになります…が、他の研究に比べて、飛びぬけて数値が高いのが気になりますよね。
どういうことなんでしょう…?
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それでは、QUADAS scoreのほうも見てみましょう。14点満点中、たったの3点。
10点未満のものは低クオリティーの研究とみなされることを考えれば、これは非常に低い数値。
つまり、この研究にはバイアスや不明瞭な点が多々あり、信憑性にかけるものだった、
という結論付けができます。ん?なんでだろうって?研究者の名前を見てください、「O'Brien」。
このテストを作ったご本人じゃーありませんか。自分が作ったテストなら、素晴らしいテストであって欲しいと思うのは当然。色々バイアスがあったとしても、驚くようなことではありません。

それでは、QUADAS scoreが10点以上の、質の良い研究に限って数値を見てみましょう(↓)。
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これらを見る限りでは…どの数値も「良い診断基準になる」と考えられる値を満たしていません。
SensitivityやSpecificityも40-50あたりにぐっと落ち込んでいます。
つまり、この有名なO'Brien's Testが「Clinically usefulである」と断言しているのはO'Brien本人の研究のみ。その他の質の高い研究の全てが「使用価値は極めて低い」と評価しているということになります。
ねっ、QUADAS toolの存在を知っているかいないかで、結論が全く変ってくるでしょう!

こんなことを、生徒を交えてわいわいやっているわけです。
このテストは良いテスト、こっちはそうでもない。わいわい。わいわい。
でも、EBPをやっていく上で、「最終決断はクリニシャン自身が下すもの」というところにも、常に重きを置くようにしています。例えば、こういう授業をやったあとで、「そいじゃあ、O'Brien'e Testはやらないほうが良いテストってことなのかね?」と生徒に聞くと「やらないほうがいいー!!!」と彼らは声を揃えて言うのですが、「本当にそうかい?統計的に価値がある=素晴らしいテスト、それだけやる!統計的価値がないテスト=ゴミ、ってわけじゃないんだよ。救急時でもないんだったら、30秒かけてO'Brien'sをささっとやったって、別に害になるわけではないよね?」と問題提起します。

「例えばスペシャルテストAとBとがあったとする。
統計的にはAは完璧とも言えるすんばらしーテスト、Bはまぁまぁそこそこのテストだとしよう。」

「でも、スペシャルテストAは実際performするのがとっても難しい。患者の足をこう持って、こうしながらこうまわして…なれない人がやってもなかなかできないテストだとする」

「実際あなたが患者を前に、どちらのテストをやろうか、迷ったとする。スペシャルテストAが素晴らしいのはあなたも重々承知している。でも、テストを上手くできる自信がない。」

「そんな場合だったら、スペシャルテストBのほうをやったって、何にも問題ないじゃない?むしろそれが、その場合のBest clinical decisionと言えるでしょ。EBPは三本柱でできてるんだったでしょ、Evidenceだけが全てじゃない。自分自身と、患者さんの意見も大事にしなきゃ。」

「もちろん、スペシャルテストAをちゃんと練習して、できるようにするのも大事だけれどさ。」

「統計だけにとらわれてもだめだよ、それが全てじゃない。状況に合わせた一番の決断を、いかに素早くするかってことなんだよ。Evidenceと、自分自身と、患者さんのバランスがきちっと取れたところを見つけるんだ。それがEvidence-Based Practiceだよ。」

この回のレクチャーは、学生たちも目を真ん丸くしてよく聞いていたなぁ。
…さて。問題はうちの学生たちはいまやこれを理解してどんどん実践しつつあるのですが、
スタッフである同僚や部下、ひいては上司までもがこのレベルに達せていないというところです。
EBPに関しては、ホント皆、初心者中の初心者です。

そんなわけで、前述の通り、来週辺りスタッフ対象にこういう講義をやってきます。
そのために前代未聞の一時間Athletic Training Room完全Closedですよ。
スタッフ一丸となって、レベルを上げていかなきゃいかんね。
Clinical Coordinatorとして一肌脱ぎますよ。よぉしっ。
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  by supersy | 2012-02-06 21:00 | Athletic Training | Comments(6)

のどにおこるけが。

2月になりましたね!…というわけで、2月分のニュースレターを刊行しました。
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今回は、Minor leg injury後におけるDVTの危険性と、
Discoid Meniscusをどう診断するか、という記事を書いてみました。
以前このブログでもまとめたことのあるようなテーマですが、
改めてEvidenceを探してみると結構知らなかったことも発見できて、面白いもんです。

次回のニュースレターは…まだ実際には手をつけてはいませんが、
実はもうテーマは決まっています。上司から統計学についてまとめてくれという要求がありまして。
Sensitivity, Specificity, Positive Likelihood Ratio, Negative Likelihood Ratio、
それからQUADUS scoreについて書いてくれないかと頼まれたのです。

…というのも、私自身が教師としてうちのUndergrad ATEPの学生に対してこれら(↑)の用語の解説・どう実際に使うのか等を授業で教えているのですが、ACI/CIである現役ATたちがそれをギリギリ習ってない世代だったりするんですよね。なので、学生たちは知っているけど、上司であるはずの彼らが知らない、という妙な構図になってしまうわけで(ぶっちゃけ、前述の上司も知らない)。
個人的には、これらの用語や定義も知らないでEBPの実践は無理なので、
これくらい教科書むさぼって自力で学んでくれよという気がしないでもないのですが、
上司も含め、知っているSyが皆に教えてくれたら便利、と思われているよう。

でもね、ちょっと悩んで、上司にははっきり言いました。
「それは教科書で丸々1章使うような膨大な内容です。これだけのスペースに分かり易くまとめるのはほぼ不可能ですし、さらにそれを面白く書き上げる自信が正直言ってありません。
そもそもそういう内容をこのニュースレターの読者は求めていないと思うのです」

それもそうか、と納得してもらい、じゃあ、QUADUSだけでもいいよ、と言われたので、
今回のテーマはQUADUS scoreに絞って書くことにしました。
これに関しては、また今度まとめたいと思います。
面白く簡潔に、できるかなぁ(好きな事書きたいよ…ちょっと不本意。ぶちぶち)。

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さて、さらっとひとつだけ、最近学んだことをまとめたいと思います。
今学期から教えることになった新しい授業に、Prevention & Careという授業があります。
受講者も40人ほどと非常に多く、基礎的なクラスで、文字通り頭のてっぺんからつま先までの解剖学、怪我のメカニズム(例えばそれこそ脳震盪から脾臓肥大から性病から外反母趾まで)、治療法、予防法をざっくりとカバーする、という内容です。広く浅く、という感じです。

こういうのが、実は一番教えるのが難しい…!
このブログを読んでくださる皆さんはもうご存知でしょうが、私は深く掘り下げてマニアックなことを学んだりシェアしたりするのが好きなタイプなので、全てをざっくり、というのはちょっと苦手だったりするのです。先日も、半泣きになりながら、あまり馴染みのない喉に起こる怪我について色々と調べてみました。

喉の怪我なんて、そうそう起きませんよね。
私自身も、例えばバスケットボールをやっていた頃に、誰かの肘があたってげほげほ、
としたくらいはありますが、怪我らしい怪我は経験したことがありませんし、
Athletic Trainerとしてもそういった怪我には遭遇した経験がありません。
案の定、教科書でもほんの半ページくらい使って、
Contusion(打撲)とFracture(骨折)について実にさらりと解説がしてあるだけで、
あんまり授業で特に言及することもないのかなー、と思っていました。
そこでふと思い出したんですよね。
そういえば、数年前に、喉に大怪我したフットボール選手っていなかったっけ?と。
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調べてみたら、いたいた、出てきました。
2009年にUSCのRunning Backとして活躍していた、Stafon Johnson選手。
いつものように275ポンド(約125kg)のウェイトをベンチプレスしていたある日のこと。
普段なら余裕で上げられるはずの重さでした。スポッターもいました。
しかし、何がどうしてか(彼自身もここはよく覚えていないそうですが)、手が滑り、
一瞬にして125kgの重さが喉に真っ直ぐに落下してしまったのです。
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(*写真はイメージです)

結果、彼の喉はぐちゃぐちゃに潰れ、そのまま病院にかつぎこまれることになります。
状態は専門医が診ても「前例がない」というほど手術が困難な複雑さで、
Larynx(喉頭)の軟骨部はふたつに割れ、周りの筋肉は断裂を起こしていて、文字通りしっちゃかめっちゃかになった欠片をひとつずつ集め、パズルのように当てはめる作業をしたのだそう。
違うピースをはめてしまえばそれまで。しかし、時間を掛けすぎて手遅れになると、
様々な破片が飲み込まれ、更なる合併症を引き起こす可能性も。
7時間もの手術を終えた後、医者すらもこれから彼がまた物を食べたり、
言葉を喋れたりできるようになるのか、そのprognosisが読めなかったほどだそう。
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彼が麻酔から目覚めたとき、医者は彼に、
「動いてはいけない。飲み込んでもいけない。咳をしてもいけない。喋ろうなんて言語道断。
もしこれらを守れなければ、今喉に入っているチューブは二度と取れないと思ってくれ」
と非常に厳しい言いつけをしたそう。

自分の負った怪我がどれほど深刻なのかを知らされたStafonは精神的に打ちのめされますが、それでも医者の言いつけを守り、少しずつ少しずつ回復していったそう。チューブのサイズも徐々に小さなものになり、自発呼吸ができるようになるまで回復した後は、飲み込むことも喋ることも、比較的スムーズに出来るようになっていったそうです。彼が手術後初めて医者に「"Hello"と言ってごらん?」と言われて、“Hello”と囁くような声で返したときは、お医者さんたちもぴょんぴょこ跳ねて喜んだそうな。

かくして、一時は命さえも危ぶまれたStafonはまたフットボールをプレーするために、
そこから更に3度の手術を乗り越えて、見事復帰。
現在はWashington Redskinsの一員としてNFLに所属しています。
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(写真は、手術から回復後、母親と記者会見するStafon)

前例がないほどの喉の怪我、そしてそこからの驚異的なまでの回復。
周りに何と言われても絶対に復帰すると揺るがなかった彼の決心。
いやー、ふと思い出して調べてよかった。これは絶対に授業に盛り込もうと思います。

しかしさぁ、前例がないから、って、あきらめちゃいけないんだよね。
今まで教科書や文献で見たこともない症例なんて、実は結構起きるもので。
そういうときに、本当のクリニシャンとしての本能が試されるよね。第6感も7感も全部総動員で、正しいことを見極めてやるしかない。今回のこのケースは、選手本人もそうだけど、お医者さんたちもすごい仕事をしたなぁと思います。見習わないとね!
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  by supersy | 2012-02-02 22:00 | Athletic Training | Comments(0)

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