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胸骨圧迫 vs 人工呼吸?

ちょっと長くなりそうなので、Yoshiくんの質問にこっちで答えます。
私の限りある知識の中で、ですが。

“最近の日本のCPRは胸部圧迫のみで人工呼吸はいらない、っていう流れみたいなんですが、
 アメリカはどうなんでしょう??”


単刀直入に言うと、答えはNoです。
でももうちょっと説明させてください。

前提として、
アメリカには救急救命士の資格をオファーする大きな母体が2つあります。
ひとつはアメリカ赤十字(American Red Cross)、
そしてもうひとつはアメリカ心臓協会(American Heart Association)。

どちらの組織も様々なレベルの資格試験を提供していますが、
Certified Athletic Trainerは
- Advanced Cardiovascular Life Support by AHA
- Basic Life Support Healthcare Provider by AHA
- CPR/AED for the Professional Rescuer by America Red Cross
のいずれかを有していないといけません。もうちょっと細かく言えば他にもあるんですが、
面倒くさいので、ここでは割愛 (詳しいリストはこちら→BOC: Emergency Cardiac Care)。
このいずれのprotocolでも、意識が無く、脈も無い患者に対しては人工呼吸と胸骨圧迫のコンビネーションを使うという点は変わりません。

しかし、私が今回調べてみて気がついたこと:
①Hands-only CPR Class by American Red Cross
アメリカ赤十字がオファーする講習の中に、手のみを使ったCPRのクラスがあるようです。
この講習の売りは、30分という短さとお手軽さ (情報はこちら)。
非医療従事者の一般の方が対象で、
つまるところ、人工呼吸無しの胸骨圧迫に焦点を絞ったコースになっているよう。
一般の方はポケットマスクも常備していないでしょうし、
道端で倒れている見知らぬ人に、いきなりマウストゥーマウスをやれというのも抵抗がありますよね。それなら、せめて胸骨圧迫だけでもするように、というガイドラインのようです。
そのための基本的知識と実技練習をするコースです。

②アメリカ心臓協会は、ABCからCABへ
以前は、救命の処置にはABCという標語のような語呂合わせがあって、
Airway (気道確保)、Breathing (人工呼吸)、Compression (胸骨圧迫による、血液の循環)
という順序で救急処置を施すよう、ずっと教えてきたのですが、
アメリカ心臓協会が2010年10月に新たに改定したガイドラインでは、ABCの代わりにCABを、
つまり、Compressionを一番に、その後でAirwayをし、Breathingに移行する、という、順番入れ替えが発表されました。これは、軌道を確保したり、空気が肺に入るか確認することで、
胸骨圧迫が遅れることが致命的になりかねない、という認識に基づいた変化です。
アメリカ赤十字はまだ正式にはこれを取り入れていませんが、
恐らくこの傾向にシフトしつつあるといった感じだと思います。
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ちなみに正しいChest Compression (胸骨圧迫)の仕方はこう(↑)です。
肘を伸ばして、手をinterlock(指と指を組み合わせるように)して、
自分の手の真上に肩がくるようなイメージで、体全体を使って真っ直ぐ下に圧迫します。

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前述したChest CompressionのDepthが深くなったという点も加えて、
総じて、胸骨圧迫の重要性に対する認識が上がってきているという感はあります。

ニンゲンの脳と言うのは酸素需要が常に高い特殊な組織なのですが、
心拍停止などで酸素の供給が止まると、4-6分で脳細胞が死に始めると言われています。
従って目の前に無呼吸状態の患者が倒れている場合、それを防ぐ手立てとして、
体内の血液にまだ含まれている酸素に対して、胸部を圧迫することで循環を促し、
多少なりとも酸素を供給できる=延命措置にはなる、という結論に辿り着いたものと思われます。

しかし、アメリカ赤十字のホームページにもかかれているように、
Hands-only CPRはあくまで一般の方が行ない易いお手軽バージョンなのに対し、
Full CPR (胸骨圧迫+人工呼吸)が多くの緊急医療のケースにおいて、最も有効な手段であることは間違いありません。何もしない < 胸骨圧迫のみ < 胸骨圧迫+人工呼吸 という公式は変わりません。心肺蘇生が人工呼吸から遠ざかっているというよりは、救命をし慣れない一般の人にもやり易いよう、胸骨圧迫をピーアール中、と言ったほうが正しいのではないでしょうか。
Anti-人工呼吸なんじゃなくて、Pro-胸骨圧迫、と言えば分かり易いかな?
これを、そうか、胸骨圧迫だけすれば、人工呼吸はしなくってもいいのね!
と解釈してしまうのは間違いだと思います。
(日本の現状は詳しくないので分かりませんが、
 とりあえずアメリカではこれが今のunderstandingであるということは断言できます)

つまり、タイトルの胸骨圧迫 vs 人工呼吸というのはただのhead fake、
実際はどっちがいいの?って話ではないのです。敵同士ではなく、味方同士。
しっかりした胸骨圧迫はとってもとっても大事で、それを人工呼吸と併用することが一番大事。

じゃあ何故Hands-only CPR(圧迫のみ)よりもFull CPR(併用)が有効なのか?
それはもちろん、体内に残っている酸素のみを回すよりも、
新たな酸素も取り込んだほうが良いからです。
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普通の空気中に含まれている酸素量は約21%、
私達の吐く息に含まれる酸素は16%しかありませんから、普通に人工呼吸をしただけでは、
自呼吸するよりも取り入れられる酸素が少ないということになりますね。
能率としては最適ではないわけです。体ひとつあればできるというのが利点ではありますが。

もし患者のOxygen Saturationが94%以下だった場合、
もしくは、患者の自呼吸率が:
  - 成人: 12回/分 未満 もしくは20回/分 より上
  - 子供: 15回/分 未満 もしくは30回/分 より上
  - 幼児: 25回/分 未満 もしくは50回/分 より上   だった場合、
患者の体内の酸素量が著しく低下している/する恐れがあります。
故に、人工呼吸のみや自呼吸のみでは補いきれない可能性も。
その場合、酸素の供給をより効率的に行なうため、
Emergency Oxygen(非常用酸素)の使用がrecommendされています。
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Emergency Oxygenにも色々なもの(↑)がありますし、
患者の状態によって最も適切なものを選ぶべきですが、
うちの大学のEmergency KitにはNon-rebeather maskとO2 cylinderが常備されています。
日本語では高圧酸素というみたいです。ひっくりかえすと大変なことになるやつ。
これについても、Athletic Training Staff一同で、今回念入りに復習をしましたよ。

ここで注意がひとつ!
CPRをしながらこういった形で酸素を与えるのは非常に良い方法だと思うんだけど、
この間にAEDが到着して、使用準備をしましょう、てなことになったら実はちょっと面倒なのです。
酸素は、皆さんも知ってのとおり、可燃性の非常に高いガスです。
AEDを使って激しい電流が流れると、引火する恐れもあります。
なので、AEDが現場に到着して使用できる状態になったら、
使っていたEmergency Oxygenはただちに現場から離してくださいね。

さて。色々調べて見つけたのはこれくらいです。
うちの同僚曰く、“ころころ順番やら数値やらが変わって、暗記しても意味が無いから、いざというときは気合でやるわ!”とのことでしたが、命に関わる現場で働く者としては、患者さんの生存率を可能な限り高めるために、今のうちに念入りにreviewして準備しておきたいなぁと個人的には思います。
しかし、Hands-onlyの講習の30分というお手軽さを発見したのは収穫でした。
こういうのはきっと日本でもやっているのではないでしょうか?色んな人に受けてもらいたいなぁ。
これなら職場単位での開催なんかも可能だろうし、可能性が広がりそうですね。
CPRの経験があまり無い方でも、誰かがAED取りに走っている間、
万が一アタマが真っ白になってしまっても、胸骨圧迫だけでもなんとか続けましょう!
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  by supersy | 2011-08-09 21:00 | Athletic Training | Comments(2)

LaserTouchOneと、CPR/AED資格更新!

新たに、しゅうさん、大輔くん、あゆみちゃん、もっちゃん、まっきー、百川、yoshiくん、カツさん、
またしても各方面で宣伝してくれてありがとうございます。
あの有名スポーツライター・宮地陽子さんまでTwitterでこのブログを紹介して下さり、
更にはそのTweetを井上雄彦さんがRTして下さり…
光栄すぎてひっくり返りそうになってしまいました。
いや、ひっくり返りはしなかったのですが、嬉しくて涙がちょちょ切れそうになりました。

皆さん、本当にありがとうございます。
自分がしたのは小さなことですが、皆さんのお陰で大きな波に、うねりになりました。
お陰様でカウンターが見たこと無い数字を示しています。
この場を借りて、謹んでお礼申し上げます。
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とりあえず、AEDの記事目当てに来てくださった方のためのリンク、こちらです。
 →2011年8日4日付けエントリー: AEDって知っていますか。


というわけで(どういうわけで?)、
今回私のブログ記事を紹介してくれたブログを紹介、というわけわからないことをしてみます。
新たにリンクに加えさせていただきました、NYのNiagara Universityでアシスタントアスレティックトレーナーとして働く、あゆみちゃんのブログ、What's Going On?です。
ほのぼのテイストの文体が個人的に好きです。皆様良ければどうぞ足を運んでみて下さいませ。

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で。ちょうどタイムリーな話題なのですが、
今日はCPR/AEDの資格更新がありました。さくっと滞り無く終わってよかった。
最後に更新したのが2年前なので、小さな変化がいくつかありました。お、と思ったのは:
1. Chest Compressionのdepthが深くなった。
   →以前は大人が1.5~2インチ、子供が1~1.5インチ、幼児が0.5~1インチという幅が
    ありましたが、現在は大人&子供が2インチ、幼児が1.5インチと、全体的に深くなり、
    幅ではなくピンポイント、という指導になっているみたいです。
2. それに伴ってか、子供にChest Compressionするとき
 今までは片手でも良かったのが「絶対に両手!」になった。これはもう駄目です(↓)。
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というところでしょうか…。
アメリカ赤十字のCPRの規定もよく変わるので、アタマの中で数字がごっちゃごちゃになって、
“そんなにコロコロ変えないでくれっ!”という気分になることもありますが、
しかしそれも研究や実践に基づいた、一番生存率を高められる方法なのでしょう。
EBPっていうのはEver-changingってことだ。ちゃんと知識の上書き保存をしないとね。

あ。ちなみに。胸骨圧迫ですが、
これだけ(2インチ=約5cm)圧迫するのですから、肋骨がぼきっといく可能性が十分にあります。
というか、正しくやると結構な確率で折れてしまうそうです。
だから、折ってしまうんじゃないかって怖がって恐る恐るやって効果が無いよりも、
折れることはよくあること、という潔さで実践したほうが良いのです。
死んでしまったら骨折の痛みすら感じられないのですから。
骨折は6週間もあれば治る。小さなことです。


もうひとつ。
7月半ばにSWATAのカンファレンスに行ったときに、
色々なSports Medicine関連の商品を扱う感謝が自社の製品を宣伝に集う、
Exhibit hallが設営されていました。
私は講義に忙しく、ほとんどそこで時間を過ごせなかったのですが、
私の上司と同僚が面白いものを見つけてきました。その名も、LaserTouchOne (LTO)。
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私はこの会社の差し金でもなんでもないので、別に宣伝しているつもりはありませんが、
上司も同僚も、“試してみたけど効果があった” “サイズも価格も手頃だし、実用性があるかも”と、盛り上がっていて、ちょっと面白そうなので色々調べてみました。

見た目は電動歯ブラシというか、ぶっとい体温計みたいな感じなんですが、
その先端からLow Level Laserと、Microcurrentが同時に出るのが特徴です。
ペンを持つように本体を握り、患部に伝導性を出すためにジェルを塗り、
主電源をオンにすればレーザーが先端から出ます。
そして、側面あるくるくる動かせるウィールを、親指で前後させることによって、
Microcurrentの強さが調整できるようになっているそうです。
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治療は一回、2分(もちろん、途中で電源を切ったら止まりますが、基本はpre-setされたタイムが2分間)。その間、皮膚をなぞるようにストロークしたり、はたまたUSを使うときのように円を描くように動かせばいいのだとか。

ひとつ気になるのが、マニュアル(PDF)によれば、
Microcurrentのレベルは患者が“slight tingleを感じるまでボリュームを上げる”と書いてあるのですが、本来Microcurrentはsub-sensoryで使うものなのでは?Sensory levelだと狙いが変わってくるのでは?と個人的には思うのですが…。そこらへんのclarificationはもう少し欲しいところ。

効果がある(と会社が謳っている)コンディションは:
- Back Pain
- Stiff Neck or Shoulder
- Hip, Knee, or Foot Pain
- Carpal Tunnel
- Fibromyalgia
- Arthritis
- Elbow Tendinopathy

これを使うことによって得られる(と会社が謳っている)効果は:
- Improves ROM and circulation by normalizing cell function
- Controls edema and inflammation, producing no thermal effects
- Significantly improves scar tissue inhibition
- Accelerates recovery time and repair of post-taumatic and post-surgical conditions of musculoskeletal origin, including micro-tears from performance training.

●FDA-cleared, Non-invasive, Quick-acting Pain Relief
…ということなので、SWATAが終わった後日、会社に問い合わせて色々資料を送っていただきました。読んでみたい方はリンク先のArticleを読んでもらうといいかと思いますが、頂いた資料のうちにあった、会社が行なったというClinical Trialをざっと解説すると、
E-stim & LLLTがLaserTouchOne(LTO)なら、LTO vs E-stimのみ vs LLLTのみ、の3者で、
治療結果を比べてみよう!という研究内容です。

で。96人の慢性的に肩・首に痛みがある患者さんを集めて研究を行なった結果、
痛みに大きな改善が見られた患者のパーセンテージは:
  LTO      93.1%
  E-stimのみ  83.3%
  LLLTのみ   62.5%        …ということなんだそうな。ふーむ。

まぁ研究の組み立てにはかなり甘い部分がありますし、突っ込みどころも多いのですが、
ちょっと面白そうだな、とは思ったわけです。LLLTとMicrocurrentのコンボとはね。
何より、上司が言っていたように手軽さがいいし、コストも一つ約$400とリーズナブル。
持ち運びもチャージも簡単だから、遠征にも持っていける。

そんなわけで、勢いで購入してしまいそうな上司を、同僚とまぁまぁと落ち着かせ(苦笑)、
とりあえずレンタルから始めてみることにしました。
明日から2週間、“お試し期間”として新品を使ってみることになります。
Be open-minded & skeptical!(物事に対してオープンであれ、でもそう簡単には信用するな)
というのがクリニシャンとしてのモットーなので、とりあえず使ってみてからこのModalityに対しての自分の意見を固めたいと思います!もし既にこのdeviceの経験がある方がいらっしゃいましたら、是非shareしてくださいませ!
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  by supersy | 2011-08-08 21:30 | Athletic Training | Comments(2)

他人を巻き込め!

まず最初に。
前回のエントリーに関して、Twitter上でRTしてくださった方々、
それから各方面で宣伝をしてくださった、同業者の小平さん、ヤスさん、ゆっけさん、Yamiちゃん、ジデン、しんご(確認した分でこれだけですが、漏れている方がいたら申し訳ありません)、
本当にありがとうございます!皆さんのご好意、しびれます!

今やAEDの普及があちこちで叫ばれていて、それはもちろんとっても重要なんですけれど、
日本にたまにしか帰らない私からしてみたら、ここ5年ほどで日本はAEDの普及は飛躍的に進んだと感じています。久しぶりに帰ってみたら、AEDという言葉が普通に使われるようになっていて、駅や空港でも見かけるようになっていて。おお!なんだ、アメリカっぽくなってるじゃん!ってかなり驚きましたもん。
だから、普及もそうですが、AEDそのものの数を増やすよりも、
AEDを効果的に使える人の数を増やす意味って相当あるんじゃないかなって思うわけです。
それで、AEDを使える人っていうのは、つまるところ(潜在的には)全員、なわけだから、
一般の人が使うことに対して抵抗がなくなればいいなって。そういう想いをこめて書きました。
それで救われる命はたくさんあるんじゃないかなって。

ちなみに今回私がこういう行動に至ったのは、こういう研究(↓)を目にする機会があったから、
というのもあります。今回の事件が悔しくて悔しくて、データベースひっくり返す勢いで
がむしゃらにAEDについての文献を色々読んでいた最中に見つけたものです。
Attitude toward Automated External Defibrillator in Japan by T Taniguchi (Abstract)”
この研究は、“非医療従事者はAEDの使い方やAEDがそもそもどんなものかを理解していないため、使用するのに非常に抵抗を感じるようだ。もっと知識と意識の底上げが必要だ”
という文章で締められています。意訳ですが。

ATの皆さん、医療従事者の皆さん、
私たちの全員が全員、とんでもなく大きいことなんてしなくてもいいんです。
小さなこと、できることから変えていきませんか。
命の消える瞬間のあの怖さを知っている私たちだから、
できることがあるはずです。

改めて、昨日のエントリー: AEDって知っていますか

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ちなみに誤解が無いよう、一応書いておきますが、
AEDはスポーツ界で働くATの「ひのきのぼう」的な初期装備であって欲しいと思っていますし、
どんなレベルのスポーツの試合でも(ex. プロ、アマ、大学、高校、中学、etc)
万が一のために現場に置いておくべきものだと思っています。
(選手層の年齢が低い場合、Heart attackの危険性はそんなに高くないし、必要になることはないんじゃないか=社会人レベルになるまでいらないんじゃないか、という議論もたまに聞きますが、選手のためはもちろん、チーム関係者や観客として見に来ていた人への使用例も時折耳にしますし、心臓震盪の危険性は十分考えられると思います)
もちろん、日本の現状はそれとは程遠いものですから、
改善はされて然るべきだと思っています。

それから、コメント欄にも少し書きましたが、
CPRの進化系がAEDなのではありませんし、AEDさえ使えばCPRは全く必要無い、
なんていう間違ったことを言うつもりもありません。
CPR(心肺蘇生)ができる人も、もっともっと増えたらいいなぁと思います。

今回のブログが皆さんの「第一歩」になって、
興味を持たれた方がそこから二歩三歩と踏み出せるようになっていけばいいなぁと
こっそり思っている次第です。
こういうのは、自発的でないと意味がありません。

ですので、ちゃんと読んでくれた方は分かってくださると思うのですが、
AEDは神!と言っているわけでも、CPRなんでどうでもいい!と言っているつもりもありません。
AEDはこういうものですよって伝えたかっただけです。念の為。

ちなみに私は、最初の町で敵をいっぱい倒してお金を稼いで、
「どうのつるぎ」を買うタイプの人間です。むふふ。
270Gくらいするんだよね。序盤には高価な買い物。

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なんか今回の件でもしかしたら分かってしまったかも知れませんが、
私が今年一年自分に課している標語は、他人を巻き込め!ってことです。
そんでね、いくつか種を蒔いているんですよ。
これが、とっても楽しいのです。

教師として学生に教えているとき、
ただ単純に黙々と事実や暗記項目を列挙するのではなく、
生徒の知的好奇心をくすぐるような授業をするのが理想なのです。
答えを全部教えてしまってはつまらない。
A=Bで、B=Cなんだけど、果たしてA=Cって言えるのかな?Why or Why not?
学生のうちは間違ったって良い。むしろ、学生にはいっつも、
「今のうちにいっぱい間違えておきなさい。間違った分だけ伸びるんだから」と言ってます。
一番大事なのは、How to defend the decisions、つまり、結論に対していかに正当化できるだけの根拠を持てているか、ということ。これができた生徒は、皆の前で思いっきり褒めてやります。
そうすると、うれしそうな顔をするんですよ、学生たちってば。
私が間違いに対して怒らないので、生徒たちは授業中にもわいわいよく喋るようになりました。時々うるさすぎるけど(苦笑)。答え探しが上手くならないと、良いATにはなれない。怪我の評価なんて意味が繋がらない発見の連続で、その中でも答えを導き出さなければならないのだから。これも練習です。
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あれ、話がそれちゃったかな。
つまるところ、学生を巻き込んで、お勉強大会をしているような気分です。
私だってまだまだ知らないことがいっぱい。いばれたもんじゃありません。
学生も私も一緒になって、学ぶのって楽しいねぇ!!とわいわいやっているわけです。
学生だと甘く見ていたら、時たまとても鋭いことを言ってきたりする子もいるので、
びっくり&うれしい気分になることも多くあります。

それから、この波に今年はATEPの重要な構成員であるACI/CIも引き込んでやろうと思ってます。
そのための、前々回のニュースレターなのです。
ニュースレター刊行なんて追加業務、言ってしまえば私にとってはマイナス要素でしかない…そもそも3人分の仕事が課されている現状では、睡眠時間を削るもの以外の何者でもないのですが、せっかく書かなきゃいけないなら、楽しいものにしよう!とまず思いました。やっつけ仕事じゃなくて、クオリティーの高いものを作ろう!せっかくだからニュースレターという媒介を使って、何か面白いことをしてやろうじゃないか!と。
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ACI/CI(特に、高校で働いているATたち)は時間的、Recourse的制限で、
EBPを実践していくにはなかなか難しい環境であることは事実。
Old schoolで、今までやってきたことで十分通用するんだから新しいものに興味は無い!とか、
結構とんでもない人もいたりしますしね。
私、こういう拒絶反応示している人の、氷を割っていくのが好きなんです。
こんな面白そうな最新技術が出てきてますよー、とか、今までの根本をひっくり返しかねないぶっとんだ理論が出てきましたよー、とか目ぼしいものをこちらが選んで提供してあげて、彼らにとっつき易い言葉で紹介してあげる。こんなアーティクルも見つけましたよー、とくっつけたり、動画へリンク張ったりすると、意外に食いついてくるわけです。
だって結局は私達を取り巻く身近な話題なんですからね。
つっついて氷にヒビさえいれてあげれば、あとはその人自身が一気に氷を割って出てくるケースも少なくないような気がします。要は情報の提供の仕方、見せ方の問題なのです。

で。ようやく本題ですが、
今日はCIEとして初のACI Trainingがありました。
CIE(Clinical Instructor Educator)として、というのはつまり、ACI Trainingに今まではただ単純に参加するだけの立場だったのが、今年から主催する側に回った、ということ。
で、私が準備の段階で最初に思ったのは、「今まで参加してきたACI Trainingを楽しい!って思ったことないなぁ」ということでした。うむ、それじゃあせっかくだから、楽しいものにしてみよう!と。

そんなわけで、普通のACI Trainingの内容に加えて、
EBPとは、という短い講義や、
これから実技や実習にも深く関わってくる5th Editionの話題を織り交ぜて、
いかにこれらが私達のプロフェッションを高めるものになるのか、という話をしました。
遠い世界で起きている話じゃない、私たちはこれらを使って、私たちの存在意義そのものを高めていけるんですよ、っていう話し方をしたのです。

そしたら皆楽しんでくれたようで、
面白い情報が満載だった!と笑顔で会を終了することができました。
EBPにもう長いこと渋い顔をしていたうちのHead ATも、会が終わった後、
「今日は勉強になったよ。ニュースレターも、こういうことしてくれると本当に助かる。自分でリサーチ読んで勉強して…なんて、本当に時間がなくてできないと思ってたから。Syも時間かかるだろうに、ありがとう」と、そして更には「今日の講義のファイルを送ってもらえる?もうちょっと読んでみたい」と、言ってくれました。
やったー、私が面白いと思ったことを、面白いと思ってもらえた!
プレゼンとしては、これは大成功です。
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そんなわけで、今年はACI/CIと一緒になって、
このお勉強会の波を広げ、もっともっと多くの人を巻き込んでいけたら、と思っています。
誰もが持っている知的好奇心を、くすぐってくすぐってくすぐりまくってやりますよ。
そしてその波はどんどん自発さを増し、最後には大きなうねりになる…はず!

他にも2-3個、面白くなりそうな種を蒔いているのですが、
こちらももうちょっと具体的に形になりそうになったらまた報告します。
芽が出るように、毎日水を撒いておこうっと。
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  by supersy | 2011-08-06 23:30 | Athletic Training | Comments(2)

AEDって知っていますか。

大きく報道されているのでご存知の方がほとんどかと思いますが、
元日本代表の松本山雅FC所属、松田直樹選手が練習中に倒れ、
意識が戻らないまま帰らぬ人となりました。

Health Care Professionalとして思うことが無いわけではありません。
でも、ここで私が何を正しいと思うかなんて議論はしないでおこうと思います。
現場では最善の選択が最速で成された事を信じて、
私はこの件に対して、建設的な意味で何かReactするべきだと感じました。
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で。今回書きたいのはAEDって知っていますか?ということ。
今回の報道でも幾度と無くこの名前が挙がったことですし、「何となくこういう形状(↑)のもので、
心臓に電気を流すんでしょ」くらいはもはや一般常識かも知れません。

でも、AEDが本当に何をするかご存知ですか?

AEDに何ができて、何ができないかご存知ですか?

電流が逆に危険という可能性は?

どんな場所でも状況でも使えるのですか?

子供にも?妊婦さんは?ペースメーカーをつけている人は?

資格等はあるのでしょうか?資格や知識の無い人は使ってはいけないのでしょうか?

掘り下げていくと、あれれ…ちょっと自信がなくなってきませんか。
改めて尋ねます、あなたはAEDって何か知っていますか?
答えがNoだったって、良いんです。
知らなかったらこれを機会に知ればいいんです。そうでしょう?
「AEDが無かったから…」「AEDがあったとしたって…」なんてあれこれやいやい言う前に、
AEDについて正しい理解を持ちましょう!
まずはそこからです。

私なりに、上の質問に全て答えてみたいと思います。
ちょっと長くなりますが、興味のある方、お付き合い下さい。
(あ、今回はATの専門の人でなく、一般の方向けに書いておりますので、
 プロの皆さんは知っていることばかりです、念の為。)
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●AEDとは?
まず、心臓が筋肉で出来ている、という事実は良いですよね(→)。
だいたいしとうきーん、とか、じょうわんにとうきーん、とかとは少し違う、
特殊な種類の筋肉なのですが
(特別タフな筋肉です、心筋が疲れちゃったら困るでしょ)、
それでも、電気の流れによって筋収縮が起こる、という、
基本的なメカニズムは一緒です。

さて、それではAEDとは何か?
まず、簡単なところから。名称とその意味から考えてみましょう。
AEDは日本語では自動体外式除細動器(じどうたいがいしきじょさいどうき)、という、
どう慎重に言ったところでも舌を噛みそうな正式名称があります。
英語では、Automated External Defibrillator、略してAED。

b0112009_1043651.jpgAutomated、というのは、自動化された、という意味。
この機械の優れているところは、自動的に患者の状態を分析してくれるところにあります。とっても賢いヤツなのです!

医学用語でExternal/Internalというと、体外/体内という意味合いが強くなります。例えば、骨折をしたときに、体内にボルトやプレートを埋め込んで外からは見えない状態になっているものをInternal fixation(内固定)、対して体の外にそれらの金属が剥き出しになっている状態(←)のことをExternal fixation(外固定)と言ったりするように。つまり、この機械にExternalという単語が使われているということは、体内に何かを差し込んだり埋め込んだりしなくていいですよ、ってことです。体の表面にぺたっと張るだけで良い。

Defibrillatorというのは、2つに分けて、de=取り除く、という接頭語と、fibrillation=細動という意味になります。除去はともかく、細動って何?と思いますよね。細動とは、文字通り心臓が細かくプルプルと動いている状態のこと。ドク、ドク、という大きくダイナミックな動きではなく、イヌが水をプルプルっと飛ばすときのような細かい振動をイメージしていただければいいかと思います(←)。

ここでひとつ。
ぷるぷる痙攣してるってことは心臓が動いているんじゃないかって?
ええ、そうなんです。止まってはいません、動いています。
でも、問題は動きが不完全である、ということ。心拍の形を成していないんです。
b0112009_10234387.jpg
さて、ここでスポーツの試合やコンサート等でよく見かける、
多くの観客が一緒になって起こす「ウェーブ」を想像してみて下さい(↑)。
心臓が、ドクッと正常に脈打って、血液をその力で押し出すためには、
このウェーブのように、組織的な運動が必要になります。つまり、ただの単発な筋収縮ではなく、
あちこちの筋肉が順番に、計算されたタイミングで収縮する必要があるのです。
  あなたの右隣の人が立つ。
  あなたが立つ。
  あなたの左隣の人が立つ。
正しい順序で正しい部位が収縮を起こすからこそ、結果、血液はどど、と押し出される形になるわけです。これが、客席の人たちが好きに座ったり立ったり、バラバラに動いていたらどうなりますか?ウェーブは起きません。つまり、血液はもにょもにょ揉まれるような状態になるものの、その力がバラバラにかかるので、押し出されて動く、には至らなくなるのです。血流を生まない、心臓が細かく振動している状態。これが、心臓の細動です。

つまりまとめると、
体外に取りつけたパッドを通じて、
自動的に患者の状態を分析し、必要であると判断した場合、
心臓に電気を流すことで細動を取り除き、正常な心拍を回復させるための機械、
ということになります。ね、意外に簡単でしょ。

●AEDは、何をするの?
さて、それじゃあ具体的には何をするんでしょう?
私はですね、こう(↓)考えたら分かりやすいと思うんです…。
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スーパーファミコンです。
え?ふざけているのかって?いやいや、大真面目ですとも。
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皆さん、楽しくマリオをしていて、突然こんな画面(↑)になっちゃったらどうします?
あららら、うっかりカセットに触ってしまったんでしょうか、
はたまた、近くを走り回っていた弟がぴょん!と派手にジャンプしてくれちゃったからでしょうか、
いわゆる、バグった!ってやつですね。
せっかく進めたけど、仕方ありませんね。こうするしかありませんよね。
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リセットボタンをぽちりと押せば、あら不思議。
スーパーファミコンはまた、何事もなかったかのように正常に立ち上がります。

すごく簡単に言うと、これが、まさにAEDの機能なんです。

心臓の中でしっちゃかめっちゃかになってしまっている電流を、
バン!と強い電流をかけることで皆をびっくりさせてリセットし、
また正常な心拍の再開を促す。それだけといえばそれだけのことなのです。
AED=リセットボタン、と思っちゃって、良いんじゃないでしょうか。

●AEDにできること、できないこと。
ここで忘れないでほしいのが、AEDは除細動器であるということ。
細動を取り除く(=リセットする)ことはできますが、
何の動きもない心臓に対しては、何もできません。
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先ほどのスーパーファミコンの例で言うと、
AEDはバグったソフトをリセットして正常に戻す能力はあるものの、
そもそも電源の入っていないスーパーファミコンのリセットボタンを
いくらかちゃかちゃ押したところで、画面は真っ暗のまま。何の変化もないでしょう。

つまり、AEDの効果は限定的である、というのは間違いのない事実です。
細動がある場合にのみしか、効果を発揮しない。できない。
細動も、ものすごく微弱だったり、もともと心臓に持病があったりする場合は、
AEDを素早く使用できたとしても、心拍を回復できない可能性もあります。
魔法の機械じゃないのです。無いものを生み出すことはできない。
あくまで、リセットボタンなのです。

●電流とか流して、危険ではないのだろうか?
過去にAEDについてまとめた記事でも触れたことがあるのですが、
(旧Blog: AED Training Session(2005年9月12日)CPR/AED資格更新(2006年9月6日))
心臓の電気活動を一気にリセットしちゃうような電流です。
かなりの強さです。負担です。正直言って、心筋にも多少は損傷が起こるレベルです。
でも、多少の損傷<一人の命ですよね。有無は言っていられません。
使わないデメリットのほうが大きすぎる。
それに、AEDもここ10年ほどでどんどん進化していて、
いかに一発の電流を効果的に使うか、ということが考えられています。
(例:昔のAEDは一発電気ショックを与えて駄目だったら、2発、3発…と間髪入れずにやっていたが、今は、間にCPRを挟んで体内の酸素量を高めた上で2発目に移る、という手順になっている。
そのほうが回復率が高いことが研究によって確認されたため)

でもじゃあ、もし、うっかり間違えてAEDが必要のない人に、
例えば、心臓が正常に動いている患者さんに電流を流してしまったら逆にショックで死んじゃったり、怪我しちゃったりするようなことは?と考える心配性な方もいるかも知れません。
それは大丈夫です!
AEDのAはAutomated、つまり、この機械には自動で分析を行い、“電気ショックが必要でない場合は必要でないと判断し、「今はショックは必要ない、CPRを続けなさい」と音声で指示を出す”能力があるのです。言ったでしょう、賢いんですよ、この子本当に!
“うっかり間違えて”必要の無い電気ショックを送ってしまう危険性そのものがありません。

●どんな場所でも状況でも使えるのか?b0112009_11371619.jpg
しかし、安全性は高いとは言え、強い電流が流れるんです。
当然、注意点はあります。

一番の強敵は水。
水は電気が流れやすいため、
患部が激しく濡れていると電気が皮膚の表面だけを駆け抜けてしまい、心臓部に刺激が達さない、という問題が起こりえます。
そのため、患者が水中にいた場合、もちろん地上に引き上げてからのAED使用になるわけですが、この場合、患者の体(特に電極パッドを装着することになる胸周り)をタオル等で拭いてから使用すること。その際、患者やAEDの周りに水溜りなど無いよう注意する必要があります。天候が雨や雪の場合も少し厄介ですが、なるべく屋根のある場所に移動し、水分を拭き取った上で使用するのが理想的です。

そして、金属。
これまた理想的には、金属の類が患者の胸周りに全く無いほうが良いのですが、アメリカ赤十字は、「患者が金属製のアクセサリーやボディーピアスをしていた場合、電極パッドをその直接上に装着するんでなければ外さなくて良い」と明言しています。これらを取り外そうとしたがゆえにAEDの使用が遅れるほうが有害である、と。

移動中の乗り物の中ではAEDの使用はお勧めできません。
乗り物の振動が正確な分析の妨げになってしまう可能性があるからです。
分析は、平らで安全な場所で行う必要があります。
すぐ病院に搬送したくなる気持ちもわかりますが、これは二の次、が正解。
まずは患者の状態をAEDによって正確に分析してもらいましょう。
約2m以内での携帯電話やラジオの使用も避けましょう。同様の理由です。

●子供にも?妊婦さんは?ペースメーカーをつけている人は?
答えを先に言ってしまうと、全て使えます。
ペースメーカーをしている方に関しては、電極パッドをペースメーカーの真上に装着するのは避けましょう。分からない場合には、通常の場所に取り付けるよりほかありません。

子供にはちょっと注意点があります。
1歳以上8歳未満の子供には、小児用電極パッドを用いることが望ましいです。
このパッドはサイズが小さめで、流れる電流も成人用よりも少なくできています。
通常のAEDには成人用と小児用の2セットのパッドが入っていますが、
もし小児用がなければ成人用のセットを使用してください。何もしないよりは格段に良いはずです。
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基本的なパッドの装着位置は上の図の通り(↑)です。片方を右胸に、もう片方を左の脇腹あたりに装着するイメージです。患者が子供で、パッドが身体に対して大きく、触れ合ってしまう場合には、片方を前胸、もうひとつを背中に張りましょう。そんな部位を正確に覚えてられないって?混乱しそうになっても大丈夫!バッドそのものに図が書いてあります。落ち着いてよく見て確認しましょう。

●資格等はあるのでしょうか?資格や知識の無い人は使ってはいけないのでしょうか?
日本では比較的最近まで、医師による使用しか認められていなかったと聞いてびっくり。
しかし2003年になってようやく救急救命士に使用が認められ、
2004年7月からは一般市民も使えるようになりました。
つまり、2011年現在ではAEDを使うトレーニングを積む、という意味では資格は存在しますが、それが無くてもAEDを使用することは可能ですし、使用したから罪に問われるようなこともありません。
AED最大の美点は、ズブの素人が使っても大丈夫なように出来ている、ということなんです!
だから、自信がないから使わない、使えない、と思うのは大間違い。
とっても簡単なんですよ。
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・フタを開け、スイッチを入れる。
音声ガイド:胸を裸にして、AEDの蓋から四角い袋を取り出してください。

音声ガイド:袋を破いてパッドを取り出し、
 シートからはがして図のように右胸と左胸に張ってください。

 患者の胸の部分の服を取り除き、パッドを貼り付ける。
 (必ず図解がAEDもしくはパッドに記載されているはずです)

音声ガイド:体にさわらないでください。心電図を調べています。
 分析中です。このときに患者に触れると正しい分析ができませんので、
 誰も触っていないことを確認してください。

音声ガイド:電気ショックが必要です。充電しています。
(充電完了) 体から離れてください。点滅ボタンをしっかりと押してください。

 患者に誰も触れていないことを確認して、点滅しているショックの
 イッチを押します。このアナウンスが流れない限り、ショックの
 スイッチをうっかり押しても電気ショックが流れる心配はありません。


分かっていただけるかと思いますが、本当にシンプルなのです。
 1. 蓋を開け、電源スイッチを入れる。
 2. パッドを張る。
 3. (必要であれば)電気ショックのボタンを押す。
ね、出来ない人なんでいないでしょ?しかも、全て音声ガイドがするべきことを指示してくれます。
 - 直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を始めてください。
 - 心電図が変化したので、電気ショックを中止します。
 - 心電図を調べることができません。体にさわったり、動かしたりしないでください。
 - パッドの状態や接続を確認してください。

等、途中で何か不具合があればちゃんと教えてくれますしね。
(私は正直英語のものしか扱ったことが無く、これらは調べたもので実体験を伴わないのですが、
日本の音声ガイドはこれかこれとほぼ同じ指示だと思われます。)
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●一刻も早く
ヒトクチにAEDと言っても、様々な種類があります。
上の写真(↑)はアメリカ国内のAEDたちですが、見た目も色も本当に色々。でも、使い方は全て同じです。電源を入れるボタンも、ショックを送るボタンもわかりやすくできています。

くどいですがもう一度言います。AED最大の美点は、誰にでも使えるということなのです。
医療従事者だけのものではありません。
誰にでも簡単に使えるように造られた物なのです。
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私達が、アメリカ・日本赤十字が、とにかく一刻も早くAEDを患者の元へ!
一分一秒を争う!と繰り返し言うのには理由があります。
それは、AEDの使用が一分遅れると、患者の生存確率は10%減るという統計。
日本で、救急車が現場に到着する平均の時間は6-7分。
それも十分早く思えますが、到着を待っていては
生存率は既に30-40%に減少していることになります。
現場にいる人間が、一刻も早くAEDを使用することが、生存へのカギになるのです。

“CPR keeps lives、AED saves lives.”
 (心肺蘇生は延命を、AEDは救命をするものである)
以前先生に何度も言われました。

前述したように、AEDは魔法の機械ではありません。
万能ではないし、全ての患者の命を助けられるわけではない。
でも、プラスになることはあってもマイナスにはならないのも事実。
人間が肉眼で確認できない細動の有無を感知できるのだから、
とりあえず意識が無い患者には使ってみる、という発想で私は十分だと思います。




今回のこの長い記事を読んで、一人でもAEDを身近に感じてくれたり、
興味を持ってもらえたりしたならば幸いです。
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ここまで読んでくださった皆さんに、最後に、私から小さなお願いがあります。
次に職場に行かれるとき、学校に登校したとき、
AEDはどこにあるのかな?と探してみて欲しいのです。
目印は、こういうマーク(↑)。分かりやすく目の付くように取り付けられているはずです。
見つからなければ、先生や事務の方に聞いてみましょう。
そして、心の片隅に留めておいてください。

学校や職場でのAEDの位置を把握したら、
今度は最寄でよく使う駅ではどこかな?とか、
宿泊先のホテルではここにあるんだ、とか、
ふとした場所でも気にしてみてください。
友人や同僚と、AEDについての知識をシェアしてみるのも良いでしょう。

物事は、あなたが最も予期していないときに起こるもの。
それならば、予期しておけばいいだけのこと。
別に世の中の人全員に心肺蘇生の講習を受けろと言っているわけじゃない。
まずは「ちょっと意識してみる」ことから始めましょう。
あなたが、あなたの大切な人の命を守れるように。
大切な人があなたの命を守れるように。
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松田選手のご冥福をお祈り致します。
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  by supersy | 2011-08-04 22:30 | Athletic Training | Comments(9)

にゅうすれたーはじめました。

…というか、始めます。

今年は私と上司が気合入ってます。
何故かと言うと、CAATEのRe-accreditationの審査が再来年に迫っているから。
まだまだじゃないかって?再来年つったってすぐ過ぎちゃうんですよう。
Re-accreditationはステップが何段階もあり、文字通り何年もかかる。
なので、昨学期の終わりぐらいからCommitteeを発足して少しずつ活動を始めています。
経験したことある方はお分かりかと思いますが、地道なプロセスなのです。
うちの大学の名誉を賭けても、絶対に失敗できない!
…というプレッシャーもあるので、気合が入ります。

で。一ヶ月ほど前、Committee Meetingの場を設けて、
CAATEのスタンダードを一項目ずつ丁寧に読み返して、私達の実践の仕方に甘い部分がないか確認していたときのこと。「ACI/CIとATEPの間のコミュニケーションが定期的に行われていること」という項目に「うーん、これはどうだろうか…」と議論が集まりました。
大学内のACI/CIとコミュニケーションが取れている自信はあったのですが、
(大きい大学ではないので、小まめに話しかけるようにしていればいいし)
Off-Campusとなると難しい。私自身もClinical Coordinatorの仕事ばかりに専念できるわけじゃないし、そうそう会いにも行けない。一年やってみて、やっと皆の人柄が分かってきた、というところ。

もうちょっとOff-CampusのACI/CIと円滑に密にコミュニケーションを取るにはどうすればいいか?
高校に関しては一学期に一回はSite Visitには行っているけれど、一般医療や整形外科、理学療法の派遣先の人たちも含めて、一年に一回くらいでも、皆でランチにいけたらいいんだけどねぇ、とか、定期的に、とはどのくらいの頻度なんだろう、とか、色々話し合った結果、
とりあえず、流行の“オンライン”から始めましょう!ということに。
近年は何でも“オンライン”ですよねっ!

で、何をするかと言うと、私が月イチでニュースレターを刊行することになりました。
それで、ATEPの全ACI・CIにEメールで一括送信をするという。
まぁ、Blogでやっているような内容をまとめればいいんでしょ、と思ったけど、
これがやってみたらなかなか大変…。うー。英語で手短に分かりやすくテンポ良く面白く、なんて、文章書くの苦手だっ!こんなの日本人にやらせていいのかっ!と唸りつつ頭を掻きつつ、とりあえず叩き台でできたのがコレ。何だかんだで2日くらいかけてしまいました。

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今月はこの日にこんなイベントがありますよ、という簡単な予定表に始まり、
この季節だから知っておくべきこと、とか、時事的なものもまとめて(夏真っ盛りの今回はRehydrationとSweat Rateについて)、さらに、今月は授業でこんなことをカバーします、こんな内容も教えてますー、みたいな紹介(学期の頭はConcussionについて教えるので、ついでにCTEの紹介もするつもり。なので、ACI/CIにも知ってもらおうかと)も。
これに加えて、興味があるヒト向けに、Supplementary infoになるような、
例えばESPNのオンラインニュースとか、動画へのリンク、
それから参考文献も添付して送信…みたいな感じにしようかと。

…ってこれ、Blog以上にとんでもない時間がかかるんですけどっ!
元が凝り性だし、せっかくやるなら面白いものにしたいなとか、ATEPを身近に感じてほしいなとか、色々欲が出てしまう。しかしこれを毎月やるとなると、本当に自分への負担が半端じゃなくなる…ということで、夏のうちに、少なくとも12月号までは何とかまとめてしまおうと思っています…いや、バスケのシーズンが一区切り付く、3月号くらいまではまとめておいたほうがいいか…。うーむ。
とりあえずベースになるレイアウトはもうイメージができたし、
どんどん作り進めていこうと思います!
上司にも色々意見聞こうっと。皆さんも何か意見・提案あったら教えて下さい!

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さて。今日はぞわわ、っとする出来事がありました。
友人の働く、あるマイナーリーグの野球チームが、遠征中にバスで事故に遭ったそう。
幸い、3人が病院に運ばれたけれども軽症で、大きな怪我等はなかったそうなのですが、
衝突の衝撃でバスは橋のガードレールを突き破って、もうちょっとで高架下の高速道路のど真ん中へ落ちるところだったんだとか。ニュースの写真を見て血の気が引きました。

    ニュース記事へのリンク:Crosscutters Team Bus Involved in Accident

この職業は遠征が多い分、長距離や深夜の移動もしょっちゅうだし、
学校やチームによってはATCがヴァンの運転を任されたりすることもあるはず。
もし皆さんが運転手になる場合はお気をつけくださいね!

ああ、それにしても、無事でいてくれてよかった。
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  by supersy | 2011-08-03 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

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