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Ingestible Thermometers。

Ingestible Thermometersについて、
どうせなら書いちゃえー、と衝動的に思い立ったので、さくっとまとめてみました。
何だかんだで20年以上の歴史があるのですが、私も比較的最近まで知らなかったので、
聞き慣れないわー、何かしらーそれ、と思っている方へのoverviewです。

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●CorTemp Ingestible Thermal Monitoring System
NASAとアメリカの大学が1908年代に共同開発をして作られた商品で、
現在では複数のNFLチームと大学のフットボールチームで導入されています。
Footballチーム以外での使用は、私がちゃちゃっと調べた範囲では確認できませんでしたが、
もしかしたらフットボール以外でやるメリットがデメリットをまだ上回らないのかな、
なんて思っています。

①選手がビタミン剤のようなカプセルを飲む。
  カプセルは3/4 inch(2cm弱程)の大きさで、シリコンでカバーされたセンサーが入っている。
  摂取は練習の数時間前が理想的。胃や腸では消化されずそのまま排出される。

②Data Recorderを選手の身体に近づけて、ピピッと体温を計測。
  錠剤が身体(主にGI)にある間(飲んでから1-2時間後~錠剤が排泄される18-30時間後)は
  計測可能。ひとつのData Recorderで99人分の体温を計測・記録できる。
  Real timeの計測が可能なほか、体温変化の推移もダウンロードして、のちに分析可能。
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Pros
- 体温の計測が数秒で済む。練習中でもピピッと手早く確認できる。
  推移も確認できることから、それに基づいて練習内容や時間の改善が(必要であれば)可能。
- Catheters, probes, wire connection等、
  体内に色々つっこまずとも計測が可能。身体への負担が軽い。
- Core Tempが一定以上に達したらアラームが鳴るように設定することも可能。
  その場合、該当選手に練習を中断させて深刻な事態になる前に予防ができる。

Cons
- CorTempのピルが体内にある状態で、MRI等の検査はできないので、
  練習中に深刻な怪我が起きた場合も、はいそれじゃあMRI撮りましょう、ということはできない。
- コストがバカ高い。Data Recorderが$2500で、
  Ingestible Sensor Pillがひとつあたり$40程。
  ということは、Footballチームに少なくとも80人の選手がいたとして、全員が毎練習で
  このCorTempを使ったとしたら、一ヶ月あたりで80人×(5日×4週)×$40=$64,000。
  もちろん、「2-a-daysの間だけ使う」とか「Linemen等の特別なポジションの選手にのみ使う」
  という限定的な使い方をすればコスト削減は可能でしょうが、それにしてもプロはともかく、
  一般大学レベル、ましてや高校レベルでは実現が不可能に近い。
  (現在導入しているチームの多くは研究目的で、多くのGrant(助成金)で賄っています)

文献も一応調べてみましたが、まだまだ数が少ないですねぇ…。
あまり時間かけずにささっとサーチした結果ですが、常用した場合の胃腸にかかる負担とか、
あとは飲んだ/食べたものの温度にどれだけ左右されるのか、とか、
気になるデータは良いものが手に入りませんでした。
もし良い文献を持ってらっしゃる方がいましたら教えてください。。。

某NFLチームで働いていた知り合いによれば、かなり使い勝手は良かったようで、
かなりなMarketabilityは含んでいるんじゃないかと思いますね。
コストの問題さえクリアできれば、相当実用性のあるツールではないでしょうか。
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  by supersy | 2011-07-25 22:23 | Athletic Training | Comments(6)

久々!りょうりにいやされーる。

ここ一年、料理なんてまともにしてませんでした。
学期中・シーズン中は忙しくて、作る時間も元気もないんですよね。
一人暮らししていると特に、「とりあえずお腹が膨れればいい」と思ってしまうし。

しかーし、それではいっかーん!ということで久しぶりに料理熱再燃!
元々料理もお菓子作りも好きなんですよ、時間さえあれば。
夏学期中の現在は、秋・春学期に比べればそこそこ時間はある!ということで、
週末くらいはちゃんと料理をしたいなと、一念発起致しました。

というわけで、まずは初挑戦・豆腐とズッキーニとツナのラザニア風(↓)。
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豆腐とズッキーニを塩コショウで炒めて、トマトと一緒にグラタン皿に並べ(↑写真左)、
ツナ&トマトソースをかけて、チーズをのっけてオーブンで焼くだけ(↑右)♪
行き当たりばったりで作った割には結構美味しい。

ちなみにラザニアは英語だとLasagnaと書きます。
発音はラザーニャ、という感じ。
パスタの代わりにお豆腐を使うと、結構ボリュームが出る割にヘルシーでよろし。

そして、エビチリ(↓)!
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夏バテには辛いものがいいと言うし、豆板醤を効かせてピリリと辛めに。
ネギは炒めた後に乗せたほうが見た目が綺麗だったんではないか…と今更後悔中。
しかしビールに合いますな。

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それから煮込みハンバーグ(↑)。
ハンバーグを両面しっかり焼き色をつけたら、もやしとインゲンを投入してぐつぐつ煮込む。
ラザニア用に買ったチーズが残ってしまっていたので、これもかけちゃう。
本当はしめじかエリンギを入れて、キノコ煮込みハンバーグにしたかったのだけれど、
残念ながら、こっちではキノコといえばマッシュルームくらいしか手に入りませぬ。

さて、これでこの一週間のお昼ご飯/夕ご飯に十分な量はできたかな?
こっちは連日100~90℉(38~32℃)という猛暑なので、
あんまり食欲が出ない日は果物でカバー!水分もちゃんと補給!そして運動!
…と、なるべく健康に良い生活を心がけております。
皆さんも夏バテになりませぬよう!暑中お見舞い申し上げます!
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  by supersy | 2011-07-24 20:30 | Cooking & Baking | Comments(0)

SWATA Annual Conference in Houston その6: Tensegrity!

SWATAのまとめも、今回で最後です!…キリがないので。

最終日である7月16日(土)に行った講義は、“Regenerative Injection Therapy”でした。
ProlothetapyとPRPについての基本概念と、ケーススタディーの紹介、という構成で。

この講義では、内容と直接全然関係がないところで大発見がありました!
それは、Tensegrityという言葉。お恥ずかしながら、初めて聞きました。
Tension + Structural Integrityという、造語なんですけどね。

この説明のために、講義の最中に、こんな写真(↓)を見せられました。
これ、Washington D.C.にある、Hirshhorn Museum外に展示されている、
Kenneth Snelson氏という芸術家のNeedle Towerという作品なんですけれども。
タワーと言ってもこの作品、アルミ製のチューブが細いステンレスのワイヤで繋がれているだけなのです。特に中心部にがっしりした柱になるような構造も無く、また、チューブ同士も接触していません。それらが浮き上がるように高さ60フィートまで高々と、けれどもしっかり積み上がって、タワーの形を成している。数々の嵐に揺らぐことなく耐えてきた、耐久性もあります。
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この作品は、“Tensegrity”の象徴である、と言われます。
つまり、Tension(ピンと張った緊張状態)とStructural Integrity(構造的総合体)の融合である、と。
Tensegrity describes a closed structural system composed of a set of three or more elongate compression struts within a network of tension tendons, the combined parts mutually supportive in such a way that the struts do not touch one another, but press outwardly against nodal points in the tension network to form a firm, triangulated, prestressed, tension and compression unit.

このTensegrityというコンセプトは、人体にも当てはまるのではないか、というのです。
この構造(↑)のアルミチューブを骨、ワイヤをSoft tissueと考えると合点が行く。
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私達の身体の構造は、単純明快なジェンガとは違います。
人体において、骨と骨が直接触れることは通常ありません。
よって、骨だけで人体というStructural Integrityを成立させることは不可能です。
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2つの骨が出会うところには「関節」が造られ(↑)、関節包、関節液、靭帯、腱、滑液包、筋膜…様々なものがそれぞれの役割を果たしています。それらの組織が身体の至る所にTensionを張り、緊張状態を作るからこそ、骨は骨の意味を持ち、私達の体を支えてくれるFramework(=文字通り、“骨組み”)として力を発揮できるのです。
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例えば、これ(↑)がTensegrityの構造を最も単純化したものなのですが、
それぞれのCompression member(灰色のロッド)の先端に対し、3本の糸(黒い線)が繋がる事で、
この構造の緊張状態を一定に保ち、バランスを攣り合わせる役割を果たしています。
もし、この3本の糸のうち、どれかが切れてしまったとしたらどうなるでしょう?
一本の糸が切れただけで、それに繋がるロッドがまずバランスを崩し、それに伴って周りの糸が緊張を失い、それらを介して繋がる他のロッドたちもcollapsしていきます。
ひとつのtensionの変化が、構造全体のバランス崩壊をもたらすのです。

これと同様、私達のカラダがひとつの構造としてバランスの取れたものであるには、
人体にかかるTensionが均一に保たれていなければならないわけです。
各部位はもちろん、人体全体としても、です。
なので、もし、例えばカラダの一部でFascia(筋膜)に小さなTear(損傷)が起きたときに、
(損傷そのものは痛みを起こすほど大きくなく、仮に本人が気がついていなかったとしても)
その部位の中でacute or subacute loss of tensionが起きてしまいます。
しかし、Tensionは保たれないと構造は崩壊してしまう。このままではまずい!
これを補おうとして、周りの構造である健康な筋肉たちは緊張を始め、構造としてのEquilibriumを保とうとします。筋肉に慢性的なSpasmやTensing upが起こる理由は、ここにあります。
結果、常にfireして緊張状態を保っていなければいけない筋肉には過度の負担がかかりますし、さらにはBiomechanicsも通常時とは異なるものになり、怪我にもproneな状態になってしまうわけです。つまり、こういったCompensateは最終的にどこかに“痛み”として症状が出てしまうんですね。

人体の中のこのワイヤが、徐々に見え始めてきてはいるんですよねぇ。
このワイヤのここんとこがやられたら、それがこのロッドを影響して、
それがこのワイヤと、あのロッドと…とCascadeになっていく連鎖作用が、
もう一歩で8割方掴めそうなんですけども…(←まだまだ)。
そんなことを考えて毎日現場に向かっている私としては、この、Tensegrityという言葉が非常にしっくりきて、おお!と感動を覚えました。そうなのよ、Tensionなのよ。見えないからこれが厄介なのよ!これからこの言葉を意識してPracticeしてみよう!とちょっと新しい試みにうきうきしています。

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肝心のInjection Therapyに関して特に実は目新しい情報もなかったんですけどね…。
以前PRPについてはまとめたこともあるし。
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シンプルに上手にまとめてあるな、と思ったのは、PRPの簡単な理論について。
これ(↑)は皆さんご存知の通常のHealing Processをグラフにしたものですが、
PRPがやろうとしていることはつまりこういうこと(↓)。
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人工的にHealing Processの先陣であるPlateletをboostしてやることで、
残りのHealing Processも刺激されて振り幅を増すんではないか、という。
PlateletsはGrowth Factorを作り出しますから、それを集中的に治りが遅い部位にinjectすればその分治癒が促進される、という狙いなわけです。

この流れで、NSAIDの話にもなりました。プレゼンターのひとりであったDr. Matthew Hammitは、「炎症反応を抑えるということは、一時的には良いかも知れないが、長い目で見るとLess inflammation→less proliferation→less remodeling(↓)につながるんではないかと思う。」「だから私は患者にはIbuprofen(NSAIDの一種)ではなく、Tylenol(NSAIDではない)を処方するようにしている。」と論じられていました。プロチームにも炎症はさせるだけさせておけ、というコンセプトから氷を一切使わないところがあるくらいですから、こういう意見の方たちもいるんですよね。私もそのArgumentはよく分かります。
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NSAIDに関しては実は大賛成なのだけれど、以前にも書いたとおり、
個人的には他に考えるべきFactorが色々あるから、私はやっぱり氷を使う側に落ち着いてます。
まだ“そう教えられたから”とりあえずIce bag作って選手に渡してます、
みたいな学生さんにはぜひ一度掘り下げてみてほしいトピックではあります。

●Be Open-minded & Skeptical
要約すると、こういうことにもなるんですよね。これ、EBPの真髄なんじゃないかと思います。
この言葉(↑)を講師の一人が仰ったのです。物事に対して、オープン且つ懐疑的であれ、と。
彼はPRPやProlotherapyのような、新しい技術に対してこう言ったのですが、
私はこれを、新しい技術だけでなく、私達が既に当たり前と思って使っているコンセプトや技術にも持つべきかな、と思います。何でだろう?と疑問を抱いてみること。学生にもいつも言っているんですけどね。まだまだあの子たち、私が言ったこといつも鵜呑みにしている。もっと疑ってChallengeしてきてほしいな!この新たな一年でも、このコンセプトを強調していきたいな、と思っています。


さて、長くながーくなってしまいましたが、SWATAで学んだことのリポートはこれで終わり!
皆でまたわいわいと、4時間ほどの道のりを運転して、無事にCorpus Christiに帰ってきました。
SWATAのカンファレンスに参加したのは今回が初めてで、
内容としてはNATAのほうが刺激的かなと思うのですが、ローカルでお手軽な分、
大学(undergrad)時代の先生・先輩・同級生たちが多く参加していて、
Alumni Partyがとんでもなく楽しかった!というのが特に印象に残りました(笑)。
一緒にバカやってた仲間たちと、「お前今先生やってるの?ありえなーい」みたいな
話をお互いにしたりして(苦笑)。気心知れた仲間はいいですね。

そんなわけで、SWATA、思いっきり楽しませてもらいました!
来年もいくぞう。
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  by supersy | 2011-07-19 23:30 | Athletic Training | Comments(7)

SWATA Annual Conference in Houston その5。

Acute Careのまとめ分に3日も費やしたので、日付がずれてきています。
そんなわけで今日書くのは、私が7/15(金)に行った、
“Diabetes, Type 1 and Type 2”というものについてです。
Diabetes、つまり日本語でいうところの糖尿病。Type 1・2は1型2型と言うみたいですね。
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さて。例によってまず少しだけBackgroundを。
アメリカには、現在26 millionの糖尿病患者がいると言われています。
この数字は、平均するとアメリカ人口全体の8-9%が糖尿病に犯されているということになり、こと成人に絞って数値を見ると、11.3%…10人に一人以上は糖尿病患者なわけです。恐ろしい。加えて、7 millionは本人も自覚がないだろうとのこと。も、ものすごい数字ですね。
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糖尿病には以下の2つのタイプがあり、それぞれ違いがあります。

  Type 1: β cell destruction & Complete lack of Insulin
  - Big genetic component (先天的:遺伝的要素が強い)
  - 2 in 1000 (0.2%) prevalence
  - Rising incidence world-wide (原因不明??)

  Type 2: β cell dysfunction & Insulin resistance
   - More of a life-style-induced (後天的:生活習慣に起因する)
   - DIRECTLY related to excess weight
   - Used to be a disease of adults, but increasingly diagnosed in children
    in parallel to rising obesity rates

前述した26millionの糖尿病患者のうち、90%がこのType 2に分類されるそう。
さすが肥満大国・アメリカですね。

さて。それでは、この両タイプの描写に出てくる、Insulinとは何か?
インスリンとは脾臓の中のβ細胞によって分泌されるホルモンのことで、
血糖値を一定に保つ役割を果たします。
特に骨格筋とは密接な関係があり、人体における筋肉たちは収縮の度に常にエネルギー源である糖分を燃やしているわけですが、インスリンには血液中にある糖分たちを筋肉へと導く→筋肉がそれらを消費し、運動を生むという重要な仕事があります。
私がインスリンと聞いていつも頭に浮かべるのは、警察官の交通整理(↓)。道路を血管、車を血液中の糖分と考えたときに、警察官がピッピと車を裁いて、適切な方向に進ませてあげる(=糖分が行くべきところである筋肉へ辿り着け、消費される)からこそ、Trafficが円滑に流れるわけです。
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もしインスリンがいなくなったら、もしくはいるのに効き目を失ってしまったらどうなるか?
交通整理をしてくれる人がいなくなった道路はどこに行っていいか分からない車で溢れかえり、大渋滞を生むでしょう。道路に車がたくさんある=血糖値が異様に上がってしまった状態、ということになります。正常に機能するインスリン無しでは、血液中の糖分が筋肉へ辿りつけず、消費されずに飽和状態になってしまうのです。
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そんなわけで血糖値が上がってしまうと血液はドロドロになり、血圧は上がり、血栓ができ易くなったり動脈硬化を起こしたりします。結果、特に細く小さな血管での血流が滞り、足の指のようなDistalな部位で壊死を起こしたり、網膜症を併発し、失明につながったりします。最悪の場合、腎不全、手や足の切断、もしくは心筋梗塞や脳梗塞を起こして死亡、というケースもよく見られます。

さて。またしても前書きが長くなってしまいましたが、
この講義で面白いと思った点をいくつか。

●高血糖は数年かけてじわじわ人を殺すが、低血圧は一分で人を殺す。
"High blood sugar kills you over years, low blood sugar kills you in a minute”
なので、Unconscious diabetic athleteがいたら、Hypoglycemic(低血糖症)とみなして扱ったほうが良い、とのことでした。Glucagon Emergency Kit(↓)をすぐに取り出して、injectすべし。
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●New-Onset Type 1 Dianetes
私、今まで1型糖尿病の選手を持ったことがないので、まだまだ理解が浅いなぁと実感しました。
Type 1は先天的だ、と習ったから、生まれつきのもんだと思ってたんですよね。
シロかクロかで言ったら、生まれたときからクロ!だと。
でも、これって全然間違いでした!実は、生まれたときはシロで、徐々に灰色になっていて、
そのうち完全にクロになる、という感覚のほうが正しいのではないかと思います。
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上の表を見ていただければかなりイメージがつくと思うんですけども、
Type 1の遺伝子を持って生まれてきた子も、赤ちゃんのうちはβ細胞は正常に機能していて、
それどころか数は増えていき、健康な人と同じように100% massに達します(つまりシロ)。しかし、食事や生活環境がImmunologic triggerとなって、徐々にβ細胞が破壊されていき、それに伴ってインスリンの分泌能力も徐々に低下してきます(灰色)。ひとたびβ細胞が残り10%を切るかという辺りでClinical onsetを迎え(=自覚症状が出始める)、晴れて(?)糖尿病、という診断が下るわけです(つまりここでクロ)。ちなみに、この“β細胞の数が減ってきているけれども、まだ糖尿病とまではなっていない”灰色状態のことを、Pre-diabetic、糖尿病予備軍と呼ぶらしいです。
β細胞が減り始めるTrigger(きっかけ)がいつkick inするかはヒトによって異なるので、
何歳で10%を切るか、つまり「糖尿病」という診断が下るかはかなり個人差があるそうです。
講義によれば、第一次ピークは4-6歳。そして第二次ピークは10-14歳で、
20-25歳で発覚するヒトも意外に少なくないのだとか。
Type 1 Diabetes=Juvenile Diabetesという名前の刷り込み効果で、
私は大学レベルで働いているから、Type 1の選手で自覚がまだない子などいないだろう、
という思い込みを持つのは危険ですね。常に可能性として頭に入れておくべきかと思います。

一番記憶に残ったのは、講師の“糖尿病ってひとりひとり進行度が違うんです。
だから、治療プランも対処の仕方もひとりひとり丁寧になされるべき”という言葉。
患者のβ cell massがどのくらい残っているのか、まだ残っているものがあるなら、
それをいかに永らえさせるか、というのも治療の大きなポイントになるんだそう。

●Acanthosis nigricans(黒色表皮腫)
では、どうやってUndiagnosed diabetesをrecognizeすればいいのか?
それには、やはり糖尿病の症状を把握することが第一歩ですね。

糖尿病の初期症状の代表的なものに、polyuria(頻尿)、polydipsia(口渇)、polyphagia(空腹感)があります。神経性の異常で、痺れや、筋肉が頻繁に攣ったりすることも。
あと、私が最近知ったものの中にAcanthosis uigricansというのがあります。
首の後ろや脇の下、肘や指の節々(body folds)といったところが黒ずんでいる状態(↓)のことです。
これは、決してお風呂でちゃんと体を洗っていないわけではなくって、insulinが肌のmelanocytesにもたらす影響で起きます。Type 2 Diabetes患者によく見られるそうです。
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こういう友人知人選手が知り合いにいるという方、やんわりと血液検査を勧めてみるのが良いかも知れません。糖尿病でなくても、他のEndocrinopathiesである可能性も…(Hypo/hyperthyroidism、Acromegaly、Polycystic ovary disease、Cushing's disease etc)。

ちなみに、糖尿病持ちの選手がいる場合のATCのMust-Haveアイテムは、
   - Glucagon Emergency Kit
   - Back-up Insulin
   - Ketone Test Strips
   - Rapid Acting CHO Choices (Sports drinks, glucose tabs/gel)
    蜂蜜も良いらしいです!ファーストフード店なんかでたまに置いてある、お持ち帰り用パックのやつとか。

該当する選手を担当するATCの皆さん!ちゃんと全部お持ちですか?
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  by supersy | 2011-07-18 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

SWATA Annual Conference in Houston その4。

さて、Acute Care Skillsの続きですっ!
●Supraglottic Airways
(↑)これは(使う技術はなくても)知っているだけで良い、
という条件付のCompetencyなのですが、
その説明に入る前にまず時代的背景を。
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以前、EMT界では、Endotracheal intubation(→)という挿管法を用いるのがGold standardだったのですが、これ、あってはならないくらいのComplicationを伴っていたのです。歯が折れる、喉に傷がつき出血する、といったminorなものから、嚥下肺炎を引き起こしかねない、最悪の場合、気管でなく食道に管が入った状態で空気を入れると、胃に空気が入る→吐く/肺に空気がいかない→死亡、というダブルの危険性まで。…というわけで、時代と共に廃れるべくして廃れていきました。しかも図(→)のように、頚椎をHyperextendさせないとだめ(=頚椎損傷時には使えない)、というDisadvantageもありましたしね。

一方、Supraglottic (Supra=above, glottis=声門) Airwayは、
そういった危険性が少なく、万が一の場合の対処法もあります。
頚椎をNeutralに保ったまま気道確保ができるのも魅力のひとつ。
器具には幾つか種類があるのですが、Combitube(↓)と呼ばれる下のようなチューブタイプのものがcommonです。この講義で実際に練習する機会があったのもこのCombitubeでした。
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この器具には2つのチューブと2つのカフ(↑)が
(空気を入れることによって膨らむ風船状になっている)あるのが特徴。
① カフの空気を抜いた状態で、するする、と器具を口の中に差し込む。
  このとき、99%の確率でこのTubeは気管ではなく食道に行く
② Proximal cuff(クリーム色)を膨らますことで、Tube周りのスペースを塞ぎ、
  Tube以外の部分から空気が漏れることを防ぐ。
③ 更に、食道内のCuff(透明)を膨らませることによって、食道への空気の進入を防ぐ。
④ これで、残っているルートはTubeの口⇔Trachea(気管)のみ。無事に空気の供給ができる。
  青いチューブ口にBag valve maskをつなぎ、酸素を送り込めばよし。

さっき99%と書きましたが、
それでは万が一、1%の確率で気管にチューブが入ってしまった場合はどうするのか?
空気を送った時点で胸が膨らまない(=空気が肺でなく胃に行ってしまっている)ことに気がついたら、その場合の対処も簡単で単純。バルブを青いチューブ口から白いチューブ口に付け替えて、酸素を送ればいいだけ!1%とはいえ、ちゃんと保険がかかっているところがいいですね。

●Supplemental O₂
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いわゆる医療用酸素ってやつですね!
緑のボトルに入っていて、様々な大きさのシリンダーに入っています。
一般的なのは、“C” “D” “E” cylinder。Cは小さくてポータブル、Eは大きいものになります。
購入には医者の書いた処方箋が必要で、値段は大きさにも寄りますが$120-250ほど。

患者に酸素を供給するときには非常に重宝するのですが、いくつか注意点もあります。
まずは、酸素はflammableだということ!火の元には注意です。
そして中の酸素には相当な圧が掛かっているので、立たせずに必ず寝かせて保管すること!
コドモがいじって倒れて、何かのきっかけでreleaseされてしまったら、
人が大怪我してもおかしくないくらいの勢いで酸素が噴射されます。

●Rectal Temperature
体温を測るには、日本では脇の下、アメリカでは口の中に体温計を入れるのが主流ですが、
実はどちらもかなり誤差があり、決して正確とは言えないのをご存知ですか?
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一番正確な測り方は、Rectal Temperature。つまり、直腸温なのです。
え、直腸の温度はどうやって測るのかって?つまりその、ええ、おしりにぷすっとやるんです。
そうなんです、それをこれからATCは使えるようにならなきゃいけないand私たちは学生に
新たに教えなきゃいけないんですよ…。

以前にも少し触れたことがありますが、Heal illnessの疑いがあり、Core Temperatureが異常に上昇している場合には、 私たちの最大の目標は「30分以内に体温を104℉以下に下げる」ということ。
病院へ搬送するよりなにより先に、まず55℉(約13℃)くらいのCold tubに患者の全身をimmerseすることになります。
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で、このときに問題になるのが、“いつ患者をtubから出せば良いのか”ということ。
当然、体温が104℉になったら患者を水から出して、いざ病院へ!とできるんですけど、
こういう冷たい水に全身浸かっている状態だと、脇の下や口の中、そして耳の中といったdistal body partの体温は、直腸温に比べてあっという間に下がるんです。

ということはどういうことか?

つまり、Cold immersionの結果として、体の表面の温度はすぐに落ちても、
体の深い深い内部分の温度(=Core Temp)はなかなか下がってこない、ということなんです。
だから、もし、例えば脇の下の体温だけ確認して、もう104℉切ったからいいやって患者を水から出してしまうと、Coreはまだ104℉よりも上な可能性があり、適切な判断ではないかも知れない。
より正確な、本当にCore tempに出来るだけ近い体温を測る必要があるのです。
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そんなわけで、のRectal tempなのです。
そんなわけで、私だって大いに、真面目に、練習させてもらったのです。ぬぬ。
もちろん、練習といってもお互いのお尻でぶっすーっとやるわけにもいきません。
当然、練習用の標本を使います。お尻だけの標本です。こんなやつ(↑)。$500くらい。
大人が真剣にテーブルに転がるお尻に向かい合って、ああでもないこうでもないと言っている図…。実技練習中、私が講師の方に“うつ伏せではなくて、横向きが良いのはどうしてですか?”と聞いたら、“そう、(肛門の)full viewが得られるからね”と返ってきたり(full viewて!ヽ( ・∀・)ノ)、“ここで片手をbutt cheekに置いて、お尻をむりっと広げる感じで…”(むりっとって!ヽ( ・∀・)ノ)とか、いやいや、本当に真剣にやってたんですけども…なんというか我ながら滑稽で。
そのときの写真を携帯で撮って(↓)後で上司に送ったら大笑いされました。
てーぶるに横たわるおしり、おしり、おしり…。
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ま、ちょっと真剣になって真面目な話をすると、
Rectal Thermometer(↓左)のユニットの値段が$340ほど、
Probeはsoft (flexible)とrigidの二種類(↓右)があり、softは$60、rigidが$180と、ちょっと開きが。
それに、Probe coverが一箱$10-15ほど、そしてLubricantが$5-15くらいになります。
体温を測るのは実に簡単で、Probeの先端部にcoverを被せ、lubricantをつけて、
rigidなら深さ1.5インチ、softなら2~2.5インチほど肛門に入れるだけ。Softのほうは、曲がる分融通が利くので挿入したまま患者を治療しやすい、という利点があります。冷たい水に入れたまま、体温の変化をkeep monitoringできるわけです。ちなみに、Lubricantは水溶性のものでさえあれば、比較的なんでも良いのだとか。

そして議題は、このスキルをどう教えるか?ということに。
第一ステップは、私たちが今日やったように、モデル(標本)を用いて練習すること。
そして、それに慣れてきたら次のステップはSelf-insertionなんだそうで。
それからStandardized patient→Athletic eventとprogressしていくのはどうだろうか、と講師の方は提案してくれました。彼は何度も、“大袈裟な反応をしているのは私たちだけ。他のHealth Professionの人たちもやっていることだし、生徒も意外と理解を示して真面目にやってくれるものだ。抵抗を一番感じているのは私たち自身”、と繰り返し言われてましたが…。果たして“特にコドモ”な私たちの生徒はどういった反応をするのか楽しみですし、上司も何と言うか。
これから色々と考えることがありそうです。なかなかのchallengeですな。

そんなわけで、こんなことをみっちり2時間浸かって勉強させていただきました!
いやー、濃かった。そしていっぱい書いてしまった(汗)。
まだまだ勉強不足だし、教えるには不安も多いので、私ももっともっとこういったことについて勉強していきたいと思います。でも、“なんでこんなことやらなきゃいけないの?面倒くさい!バカバカしい!”と切り捨てるのは簡単ですが、CAATEが、引いてはNATAが加えていることにはちゃんとRationaleがあるのです。きちんとその理由も見つめ、appreciateできる教育者・クリニシャンでありたいと思います!
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  by supersy | 2011-07-17 06:01 | Athletic Training | Comments(11)

SWATA Annual Conference in Houston その3。

Conferenceの話の続きというか、昨日の追記です。
また色々と違うArticleを読んでいたら幾つかの面白いFactsが見つかったので!
●Oxygen Saturation
Pulse Oximetryを使う場合、マニキュアには注意!
濃い色のマニキュアをしていると、光の吸収にかなりの影響が出てしまうため、計測には向かないんだそう。その場合は、マニキュア・ペディキュアをしていない指を探すか、耳たぶを使うか、等の選択肢があるようです。ふむ。

●OPA
この講義では、OPAを取り外すときには、逆方向にくるりとまた180°回転させて取り外す、と習ったのですが、外の文献では"口のカーブに合わせてスライドさせるように引き抜けばいい。回転させる必要はない。逆に、喉を傷つけてしまう可能性も”という記述を発見しました。んー?これはもうちょっと調べないとだわ…。

●NPA
NPAに関したLiterature Reviewを発見しました。これは素晴らしいものなので、Share。
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(↑)これ、非常によくまとめられています。
2ページほどと短いので、現場にいるATCにも学生さんにも是非読んで欲しい!

私が興味深いと思ったのは、
NPAはEpiglottisの10mm上まで入っている状態が理想的(それ以上入るとGag reflexがkick inしたり、喉を損傷する危険性が増す)、という前提のもとで、患者の身長とN-E(NaresからEpiglottisまでの距離)は比例する、という研究が紹介されていたところ。つまり、患者の身長から、正しいサイズのNPAを選べるはず、ということなのです。
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著者が紹介していたStoneham(1993)の研究によれば、
  - 平均的身長の女性(163cm, 5'4")ならばサイズ6
  - 平均的身長の男性(178cm, 5'10")ならばサイズ7
で、身長の高い低いでひとつ上下にずらせばいい、ということみたいです。
先日紹介した、鼻から耳たぶまでを測って入れる、というんじゃだめなのかな?こっち(身長)に頼ったほうが良いんだろうか?自分のAthleteから身長分かってるからいいけれど、そうでないとしたら、完全に知らない人が倒れていた(←立っているならともかく)として、その身長を推測するのはちょっと難しいことないんだろうか?とちょっと私は思いましたが…。でも、情報としてこれ(↑)はかなりValuableですね!

あと、Fascial/Basal skull fractureはContraindicationだと昨日の記事には書いたのですが、
このLiterature review曰く、“Basal skull fractureがcontraindicationだというのは、たった二つのCase Reportのみに基づくものだ"、更に“Basal skull fractureがsuspectされていたとしても、airwayをestablishするのが先なはず。” “(Basal Skull Fractureのcommon S&Sである)Battle signやRacoon eyeがあるかどうかでNPAの使用・不使用を決めるのは無理がある。なぜなら、仮に骨折があったとしてもこれらは肉眼で確認できるようになるまでにかなり時間がかかるため、Acure careの段階でpresentであるとは考えにくい。ましてやCSFのLeakは、病院とは違い、現場では照明が不十分だったり湿気があるところでは、確認がより難しい。”とargueしています。
なるほど…、一理ありますね。
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個人的な結論としては、よっほど如実にSkull fxだったら避けるべきかと思いますが、
そうでなければトライしてみてもいいのでは?それで、入れていく際に抵抗があれば、もう片方の鼻で試してみて、それでもだめなら、すぱっと諦めて、次の選択肢を選ぶ。ささっと両鼻を試してみるのに、30秒もかからないと思うんですよね。
でもこのArticleでも繰り返し強調されていたように、全体的にNPAはOPAよりも安全性は高いのではないかと思いますね。実際、マネキン相手ではあったけど器具を使ってみた感想としても、NPAのほうが速くてスムーズだった。もし読んでいる方の中に実際使われた経験のある方がいらしたら、是非感想等教えていただければ嬉しいです!職場でも新しく来るGAの子達に聞いてみようかと思います!
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  by supersy | 2011-07-16 23:30 | Athletic Training | Comments(2)

SWATA Annual Conference in Houston その2。

さて。前回の続き、初日の話になりますが、次に向かった講義は、
“Education Update: Teaching the New Acute Care Skills”というもの。
タイトルだけだと現場で働く人には退屈に聞こえるかもしれませんが、教育界の人間にとっては非常に大事なもので、スケジュールの都合上今回のカンファレンスに参加できなかった上司(Program Director)からも、この講義だけは必ず行ってくれ!そして内容を報告するように!と言われていました。講義だけでなく、実際に自らの手を使って練習したり指導を受けたり、という有難い機会もありました!

ちょっとだけBackgroundを説明させてもらうと、以前にも少し触れましたが、
CAATEが5th Edition of the NATA Athletic Training Education Competencies(PDF)を発表したのが今年2月。この新しいEditionは今までのCompetenciesとは全く異なるもので、新しい知識や技術がふんだんに盛り込まれており(そしてもちろん、削除された内容も多々あり)、根底を覆す、と言っても過言ではないようなAT教育界に激震をもたらす変化でした。
そんな大袈裟な!と思うかも知れませんが、このCAATEの提示するCompetenciesというのは、つまるところCAATEに認められたATEPのカリキュラム内で絶対にカバーされなければいけない内容たちなのです。Competencies=学生があなたのプログラムを卒業するとき、学生はこれだけのことを知っている/技術を持っているものとして考えますよ、ということなのです。Competenciesが変われば、我々はシラバスから授業内容から教材まで、全てを変えなくてはならない。かなりなオオゴトなのです。もし変えなかったらどうなるのかって?CAATE Accreditedの看板を外されてしまい、実質そのATEPは生き残れない、ということになりますね。

もうちょっと具体的な話をすると、5th Editionに含まれている中で、Acute Careのカテゴリー内では多くの追加項目がありました。CAATEより抜粋すると:
The Acute Care (AC) content area has been substantially revised to reflect contemporary practice.
— The addition of skill in assessing rectal temperature, oxygen saturation, blood glucose levels, and use of a nebulizer and oropharyngeal and nasopharyngeal airways reflects recommendations of NATA position statements that are published or in development.
つまり、
- Rectal temperature (直腸温)
- Oxygen saturation (酸素飽和度)
- Blood glucose(血糖値)の測定ができること、そして

- Nebulizer (噴霧器)
- Oropharyngeal (口咽頭) and Nasopharyngeal airways (鼻咽頭気道確保)
を正しく使える/行えるようになることが、これからのATCに求められる大前提であるゆえ、
学生も当然学ぶべき→カリキュラムにも入れましょう、ということなのです。

これらの知識や技術は、私が学生の頃にはカリキュラムに含まれていなかったため、はっきり言って私も全く知りませんし出来ません。でも、これを急に教える立場になってしまうというわけ。
ありゃ大変! ε≡ヽ( ・∀・)ノ

----------------------------------
そんなわけで能書きはいいとして、これらのAcute Care Skill達を学んで、
教えられるように必要な教材等を買い、来るべき学期に備えなければ!
という必要性があったというわけ。今回のこれは、私と上司にとってMust-Goな講義でした。

●Oxygen saturation
Vital signと言えば体温・脈拍数・血圧・呼吸数の4つですが、
これからこのOxygen Saturationが第五のVital signに加わるかも、という傾向にあります。
つまるところ、Oxygen Saturationとは血液中に含まれる酸素の濃度なのですが、血液中のヘモグロビンの何パーセントが酸素と結びついているか、という数字で計測されます。
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Oxygen Saturationは、体のどこの血管(動脈vs静脈)で計測するかによって数値は変わるのですが(↑)、私達が普段計測に使う動脈においては、健康な成人の場合、通常値は95-100%。この値が85-90%になるとRespiration failureを起こしているとみなされます。90%でも、短時間であっという間に生死に関わる状態になるので、marginが非常に狭いということを心に刻んでおく必要があります。
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これを測定するにはPulse Oximetryという器具(↑)を使用します。やり方は簡単。指先にパチッと挟むだけ。むにゅ、と圧迫感がするだけで、痛くもありません。すると、機械が5秒ほどで自動的にOxygen Saturationを測定してくれます。挟まれている先端からInfrared lightが出ているのですが、酸素と結びついているヘモグロビンと、結びついていないものとでは、Infrared lightの吸収率が異なるので、結果的にoxy/deoxyhemoglobin ratioが出せるというわけ。で、それに基づいてOxygen Saturation Levelが出る、と。色んなメーカーからこの類の製品は出ていますが、$55~$300と、比較的値段はお安い感じです。注意すべきは、±2%の誤差があること。92%の数値が出たら90%とみなして、危ないと思ったほうが良いでしょう。

●Airway (気道確保)
気道確保には、新たにOropharyngeal(口咽頭)とNasopharyngeal(鼻咽頭)が追加されました。
まずは、さらっと気道確保について復習をすると…
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<Head-tilt/Chin-lift>
- 手早く簡単、確実
- しかし、頚椎損傷の疑いがある場合は使えない



<Jaw Thrust>
- ちょっと練習が必要
- 頚椎・脊髄損傷の場合に適切


<Bag Valve Mask>
- 上記いずれかのテクニックで気道確保した後の酸素供給法
- Supplemental O₂も使える、非常に優れもの
- しかし、underrated且つundermastered skill、意外に難しい
- これでCPRしようと思ったら3人必要になってしまうというdisadvantageも
  (Airway確保に一人、バルブに一人、そしてCPRに一人)

そんなわけで、これらの他にもこれから加わっていくのが、

<Oropharyngeal Airway (OPA)>
患者が意識を失った状態で倒れていると、舌が下に引きずり込まれて、それが気道を塞いでしまうケースがよく見られます。そういった場合に、このプラスチック製のゆるやかなカーブを描いた、Guedel modelsというチューブ状の器具(↓)を使って(J-tubeと呼ばれることもあるそうです)、舌をclearし、気道を確保することができるのです。
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まず重要なのは、正しいサイズを選ぶこと!
Guedel modelは様々な色・サイズをセットで販売しているケースが多く、ワンセット$7-20とこれまたかなりお求め安くなっています。幼児用から大人用まで色々な大きさがあるのですが、どうやって正しいものを選んだら良いのかというと、患者の顔の横にOPAを持ってきて、唇の中心部から顎のラインまでの長さにぴったりなものを選ぶのが良いそうです(↑右)。

正しいサイズを選んだ後は、左図(↓)の向きに患者の口にOPAを入れていきます。
(OPAの向きに注目して下さい: Jの字のカーブが患者の頭側を向いている状態で)
根元まで全て入ったら、180°くるりと回転させて(右回りでも左回りでも構いません)、お終い!
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私もマネキン相手に練習してみたのですが、意外と簡単でした。
サイズさえちゃんとしたものを選べれば、根元まで入ったときに、喉の奥にOPAがぶつかる感覚があるはず。そしたらくりっと回転させればいいだけなのです。
注意点は、くどいですが正しいサイズを選ぶこと。サイズが合わないものを選んでしまった場合、喉を怪我させて出血してしまう恐れもあります。最悪な場合、OPAそのものが気道を塞いでしまう危険性も。それから、Contraindicationとして上げられるのがGag reflex(喉の奥まで異物が入り、おえっとなってしまうこと)!もちろんこのOPAを使うのは意識のない患者に対してのみですが、それでも患者が意識を取り戻したりして、急にGag reflexがkick inしてしまうこともあります。その場合は、OPAが喉を傷つけかねないので、すぐに取り外し、患者が吐いても良いように横向きにしましょう。

<Nasopharyngeal Airway (NPA)>
Naso=鼻という言葉通り、OPAと形状の似たチューブを口からではなく、鼻から通します。
大きく異なるのは、こちらはプラスチックではなく、柔らかいラテックス(↓)で出来ている点。
Lubricantをつけて鼻から喉元までふにふに、と入れていきます。お値段は$20-25ほど。
場合によってはLubricantにAnesthetic gelを使うのも良いんだとか。
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やってみた感想としては、意外にこれがつるつるっとは入っていかないんですよ。く、とつっかえてしまうので、無理にぐいぐい入れようとしないで、くるくる回しながら、時には戻しながらやると比較的スムーズに入るかと思います。長さは、鼻先から耳たぶくらいまでのものを選びましょう。
面白いのが、様々な研究・本によれば、ヒトって、右の鼻の穴のほうが大きいんだそうなんです。えぇぇ、初めて聞いたけどそうなのかしら?なので、NPAを用いる場合、使うのは右の鼻の穴のほうが良いんですって!これにはびっくりしました。

Contraindiactionとしては、OPAほどではないけれどGag reflexの可能性があるのと、
顔や頭蓋骨を派手に骨折している場合は避けるように、とのことでした。なるほどね。

そんなわけで、OPAもしくはNPAを用いて気道を確保した上で、
(availableであれば)Bag Valve Maskを使って酸素をdeliverする、というのが
これからAcute Care時の選択肢に十分入ってくるのではないかと思います。
学生はもちろんですが、私達ATCも十分に練習を積まなければいけませんね!
それぞれの器具のコストはそれほどではないんですけれど、
Airway Management Trainerのマネキン(↓)が、良いお値段するのよな…。
ピンキリですが、$695-1895くらい。ううむ、これはうちの予算で買えるのだろうか。
き、教育ってお金がかかるぜ…。
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そんなわけで、この講義ではまだまだ他にも学んだことがあるのですが、
長くなってしまったので、続きは明日!
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  by supersy | 2011-07-15 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

SWATA Annual Conference in Houston その1。

さて。前述の通り、SWATA (Southwest Athletic Trainers' Association)の学会で、
Houstonに来ています。ホテルがGalleriaという高級モールの中にあるので、ホテルから一歩でると大勢の人が行き来するモールのど真ん中!という、随分面白い状況になっています。
でも、同僚と“買い物しようね!”と言っていたのに(Corpusにこんな立派なモールはない)、
こんなに近いのに、全然歩いて回る時間が無いよー!わー。
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モールの中にはアイススケートリンク(↑)もあって、皆すいすい滑っております。楽しそう!

さて。今日が実質Annual Meeting一日目。
私が朝イチで最初に向かったのは、“The Business of Athletic Training”という講義。
ビジネスなんて言葉を聞いただけで拒否反応、という、典型的なhands-on, clinicalで現場で動いていたいタイプの私ですから、正直言ってこの講義には“他の講義には興味が全く無かったので仕方なく来た”という感じでした(同じ時間にあったもうひとつの講義はSecondary School Employmentについてだったし…)。
しかしこれが目からウロコ!とってもinspiringで、思いっきり楽しませていただきました。

トータル3時間半のこの講義は、5人のスピーカーが入れ替わり立ち代わり、アクティビティーも混ぜたりしながら聴衆も取り込んで様々なトピックについて話すのですが、このレクチャー中に何度も、異なるスピーカーが投げかけてきた質問は、“Are you in business?”でした。
最初に聞かれたときは、観衆全体の反応は“No”だったのですが、“選手を診たり、リハビリしたり、書類を書いたり、…それって、ビジネスに入るでしょう?”とは、第一スピーカーのKathy氏の弁。“私たちがしていることは皆ビジネスなのよ!だから、私たちはビジネスをしているの!”と説明して、まずはビジネスなんて関係無い、という固定観念を“自分が日常的にやっている/関わっている身近なこと”として再認識するところから始まりました。講義の最後に“Are you in business?”と改めて聞かれたときには、全員が“Yes”と答えられるようになっていました。

- Marketing you as a product(自分をどう売り込むか)
- Documentationの大切さ
- 新しくビジネスを立ち上げる、ということ
- 組織をどうmanageし、leadしていくか
- Business opportunityをどう見出し、活かしていくか

等のトピックがdiscussされたのですが、、
Athletic Trainingの日本での在り方、そのために自分がこれからどういう役割を担っていくべきか、ということについて最近よく考えるようになったので、興味深い内容ばかりでした。
中でも、心に残ったことを幾つか。
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●Think outside of the boxというけれど
この言葉が自分の中でブームだった時期があって、それが徐々に違和感に変わり、boxから出ること=良いことなのかな?なんて思い始めて、現在に至っていたのですが、その謎が今日解けました。In order to think outside of the box, you have to know what’s INSIDE of the box、だとわかったのです!己の殻を破るには、まず己を知れ、とでも言うのかな。Don’t box yourself in!というのは重要なstatementかと思いますが、今はThink outside of the box、よりも、ここまでやってきた自分に対しては、これからいかにboxを正しく認識し、boxそのものを大きく出来るか、というところに重きを置いてみたいな、と個人的には思います。
Boxをappreciateできないと、飛び出し甲斐もないでしょ!…って、思うんですよね。
ユニークでありたい、他人から突き抜けた違う存在になりたい!と思うのは良いけれど、
誰でもできることをいかに完璧にやるか、ということも私は同じくらいかそれ以上に重要だと思うし、土台がしっかりしてなきゃ、奇抜なことをやってみても(そして例えそれが正しく素晴らしいことだったとしても)誰もついてきてくれないと思うから。
箱の中だって悪くないんだニャー。
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●Recognizing opportunities and taking a risk
Risk takerであれ、と何度も講義の最中に言われたのだけれど、これは心からは賛成できなかったなぁ。Riskにも色んな種類があると思うんですよね。自分の目の前に在るのはどんなRiskか、成功した場合の利益、失敗した場合の損失はどれくらいになるのか、を十分に考え、見極めた上でそのRiskを取るか取らないかを決めるのが大事だと思う。Risk取る=すごい!ではないよね。
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でも、同じくこの講義の中で繰り返し言われたBe comfortable with being uncomfortableというのは至極賛成。そしてそういう意味のぞくぞくっとするリスクなら、いくらでも取りたいなと思う。これは、何か新しいことを始めたり、自分を一回り二回り成長させるためには、Comfortable zone, comfortable peopleを敢えて離れる必要があるし、自らをちょっと苦しい状況に置いたり、責任やプレッシャーを自らかけてみたりする必要があると思うから。
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Wolff's Lawと同じ。骨は、課せられたストレスに適応して変化する。使わなければ、脆くなる。
つまり、適切なストレスをかけなければ、強い骨は形成されない。
私の哲学のようなものですが、逆境に面したときは、“これを乗り越えられたら一回り成長できるぞ!”と自分に言い聞かせるようにしてます。そしてそういうリスクなら喜んで飛び込む。この仕事を取った時だって、日本人の私がアメリカ人の生徒たちにATを教えるなんてぶっ飛んでるなぁ、できるだろうか、と正直uncomfortableに思ったけれど、やってみたら以外に何とかなるんじゃないか、何より、この仕事を終えてここを離れる時の私は確実にワンランクアップできているはず!と信じられたから飛び込んでみたわけで。実際、この一年間その分とんでもなく成長できたと思う。これが「ぞくぞくっとする」、取る価値があると私が考えるリスクです。
でもそれが例えば、“バンジージャンプしませんか?”だったら、間違いなくその選択肢は選んでいないわけです。高所恐怖症の私にとってそれは、苦痛でしかないし、喜びも見返りも成長もないから(苦笑)。lose-lose situationでしかないPure riskは取りません。

色んな状況にOpportunityを見出すのは、訓練で培うことの出来る能力かな、とも思います。
そして、そういう能力が高い人はどんなピンチにもチャンスを見出せるようになると思う。
つまり、その人の前だと、リスクがチャンスに変わるんだよね。
そういう人は、数ある機会を逃さずむしゃむしゃ食べて、むくむく成長していく。
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例えば、講義の最中でサッカースタジアムを見せられて、“はて、ここにどんなBusiness opportunityがあるでしょうか”というディスカッションになりました。サッカーの試合場なので、当然Athletesに対してmedical coverageを提供できる、イベントスタッフや、観客用にもFirst aid stationをセットアップしたりできるかも。Medical Counselingのテーブルを設けて、簡単な問診をして健康に関するアドバイスをして、続きはクリニックで、という商売の仕方もあるだろう。試合をする上でEAPやEvacuation planningなど必要になってくるものも多いし、スポンサーやOut-reach元のクリニックの宣伝もできる。ブースを設けて、試合観戦に来る人に対して「Athletic Trainerとは」というjob promotionもできるかも知れないし、Injury Preventionのキャンプやイベントなどの宣伝もできるかも?…なんて私も色々考えました。

Opportunityは、意識していない人には見えないだけで、本当はそこらじゅうに転がっているのです。これは才能でもなんでもなく、mind-setの違い。意識次第でなんとでもなります。
私も社会でそれなりに揉まれてきて、こういう能力の重要性が分かってきました。
まだまだ、もっと磨かなければ!
そしてフットワーク軽く、Athletic Trainerの可能性を広げられるようになりたい!

●全てをコントロールはできない
自らもクリニックを経営する5人目のスピーカーのLisa氏は、リーダーシップとマネジメントについて話してくれたのですが、You have to give up some controlという彼女の言葉に非常に共感を覚えました。他人をmicromanage(細かいところまであれこれと口出しする)するのではなく、信頼を置いて任せてみる、ということ。やり方はひとつじゃない、と認めること。そして、臨機応変であること。
「Good leaders focus on each person’s strength and manage around their weakness」
と言った後、Lisa氏が“弱点を直すんじゃないの、補い合うように混ぜるのよ”と言っていたのも印象的でした。やっぱり(くどいようだけどマイブームの)“Don't force it”ってことなんだよなぁ、と妙に納得してしまったのでした。How to let things go、を知っているというか。日本語で上手く言えないけど。
リーダーというのは、肩書きで決まるものではありません。影響力のある人、ということであるとも思うし、影響されるかされないかっていうのは、本人でなく、受け手が決めること。
真のリーダーは、皆が口と声を揃えて、あの人だよ、と指差せる人なんだろうなぁと思う。

●Value Yourself!
ボス猿は、誰もが一目見て「あいつがボスだ」と分かるからこそ意味があるんだ、
と昔言われて、衝撃を受けた覚えがあります。人間にも同じことが言えるんじゃないかな。
リーダーは、内部の人間が「あの人がリーダー」と揃って認識しているのはもちろん、外部の人間が見ても、「あの人でしょ」と分かるような立ち振る舞いをしているべきだと思うんですよね。

そんなことを考えていて、ふと周りを見渡して気がつきました。
SWATAはテキサスとアーカンソーというRegionalな集まりなので、全米規模のNATAに比べてConferenceの参加者は少ないし、low-key(大人しめ)な雰囲気ではあるのですが、
それにしても身なりのルーズが人が多いこと。
具体的に言うと、基本的に学会という場所ではBusiness-casual attireが常識。
スーツ+ネクタイまでとは言わなくても、スラックスにYシャツくらいは着ていたほうがいいかな、という感じ。それに加えて、SWATAレベルだったらもうちょっと緩くても(カーキの長ズボンにポロシャツとかでも)許されるかな、という感じだと思うんです。
しかし、初日から気になっていたのですが、カーキの短パン、Tシャツにジーンズ、ビーチサンダル、さらにはこれからworkoutにでも行きそうなAthletic shortsの人や、終いにはB'zの稲葉さんばりのホットパンツを履いた女性までいて、さすがにこれにはひっくり返りそうになりました。

なんか…緩い人が多いね?と思わず同僚に漏らすと、
"They are from the middle of nowhere, they don't value themselves."と返ってきました。
あまり軽率な発言はしたくありませんが、見てみると、ルーズな服装をしている人は高校や小さな大学のATが多い。名前の通った大学や、Hall of Fame、Executive membersになるようなお偉いさんたちは、かちりとした格好をして、しゃきしゃき姿勢よく歩いています。見ていても気持ちが良い。仕事もできそうだなって、一目見て思うし!

安っぽい格好をしていたら、“自分はこの程度の価値なんです”と背負って歩いているようなもの。
You want to be over-dressed than under-dressed、と言われたことがありますが、
どういう状況でも、自分が自分自身、所属している大学、そしてこのProfessionそのものをrepresentしているのだという自覚を忘れずに、それを反映させた身なりをしていることって、とっても大事なことなんじゃないかな思います。服装だけでなく、歩き方や姿勢、話し方や笑い方も。真のリーダーは、言葉のひとつひとつに重みがあるし、仕草ひとつ取っても違うもんね!

そんなことで、人の振り見て我が振り直せ、とは昔の人はよく言ったもんだ!
と、つくづく思ったのでした。
そんなわけで、自分を売りたい方々、売れない評価されないと文句を言う前に、
自分の正しい売り方をしているか、立ち止まって考えてみてはいかがでしょう?
Do you value yourself? Are you showing that in the right way?
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  by supersy | 2011-07-14 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

CTEについて追記。と色々。

すいません、前回のリンク更新時に、消す気がないものまで削除していました。
…というか、正確に言うと、リンクしていたトップページが無くなっていたのでホームページを辞めたのだと思ったのですが、ブログだけに絞って続けてらしたようなので、そちらに新たにリンク貼りました。いやはや、早とちり申し訳ありません。

そして、今回また新たにリンクを追加させていただきました。
この道の大先輩であるM氏こと藤橋正幸氏のブログ、cross-overです。
このブログではまささん、として度々登場していただいていたりします。
The University of Illinois at ChicagoでAssistant Athletic Trainerとして勤務し、
DN (Doctor of Naprapathy)というアメリカでも非常に珍しい学位を取得されています。
その知識の広さ、深さもさることながら、何より人としてとっても魅力のある方です。
是非一度足を運んでみてください!

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さて。
夏の間は一応パートタイムという扱いで、一日に4時間の労働さえしていればいいはずなのですが、なんだかんだ8am-6pmで働いていて、結局労働時間は10時間超、というのが現状です。
能率よく仕事をしなければと思うんですが、細かいことで色々やることが多いんですよねぇ。女子バスケの新しい選手もsummer schoolからこちらに来ていたりするから、Physicalもあるし、リハビリにもちょこちょこ来るし。でも、職場にいることが別に気にならない、というのが一番の問題かな。いや、良いことでもあるんだけど。。。

そしてこの時期には非常にMeetingが多いです。
昨日はふたつ。今日もふたつ。AcademicsとAthletics両方で。
どこも予算が思うように下りずにカツカツなので、正直言って聞きたくない話を聞かされることが多いですが、それに上司や同僚がむきー!となっているのを横目に、無いもんは無いんだからまーしょうがないじゃないスか、となだめ役になるのがここ一週間の通例になってきています(苦笑)。ぶーぶー言ってるだけの不毛な会議はキライ!せっかくやるなら建設的なものがいい。皆が工夫してそれでもなんとかやっていかなきゃいけないんだからさ。しかし改めて思いますが、AthleticsってものすごいPoliticsが面倒。私は良くも悪くもそこらへんは無頓着なところもあるので、とりあえず思いっきり自分のできる最高の仕事をしよう!と思っています。
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Danおじちゃんが旅行中なので、彼のネコと植物の面倒もここんとこ毎日見ています。
Louie(♂)とSammie(♀)の兄妹ネコですが、Louieは甘えん坊、Sammieは人見知り。
兄妹なのにサイズは全く違う。カラダが二周りくらい大きいLouieはよく膝の上にやってきて(↑左)のびてます。警戒心が強く、「シラナイヒト…あなたは誰?」となかなか近づいてきてくれなかったSammie(↑右)もついになついて、ころころニャーニャー甘えてくれるようになりました。
むむっ、ツンデレっ。

ちなみに今日からヒューストン入りです。水曜~土曜までの滞在になります。
SWATA (Southwest Athletic Trainer's Association)のConferenceで。
お昼過ぎに出発→車で5時間移動なので、女子サッカーの試合が見られないよー。わーん。
ここ5ヶ月くらいでカンファレンス3つって、何だかAcademiaっぽい(←自己満足)!(*´∀`*)
面白いことを学んだらまた更新していきます!

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そんなこんなで、バタバタしている日常に平行して、
やれるだけの勉強を夏のうちにしておきたいので、暇があればArticle等を読むようにしています。
このあいだトピックに挙げたChronic Traumatic EncephalopathyについてのArticleも4つほど読んだのですが、まだまだデータが少ないですね!NATAのFeatured Presentationで聞いた以上の最新の/細かい情報というのはこれといって見つけられませんでした。でも過去のCase ReportやCase Seriesをじっくり読んだり、Gross/Microscopic Pathological Changesについて理解を深めたりすることができました。…といっても、あーんまりプロテインがどうこうとかGenetypeがふんたらとか書かれてもわかんないんですけど(←目に見えないサイズの小さいものの話になると途端についていけなくなる私)。

●名前の変化の流れ
CTEという名前は比較的新しく、
古く(1920年代あたり)はボクシング界を中心にPunch Drunkerと称され、
“The tendency for experienced boxers to become unsteady on their feet and to move and think more slowly"をdescribeする言葉として使われていました。
つまるところ、ベテランボクサーのお酒に酔ったような、ふらふらふわふわとバランスと思考能力が低下している状態のことを指します。Punch Drunk Syndromeという呼び名もあったそうな。

パンチドランカーというのは医学的な名称というよりはむしろ一般的な通り名だったわけですが、
その後、1940年頃になって、引退したボクサー達の間で、アルツハイマー病に近いProgressive Neurodegenerationが確認され始めたことから、正式な医学用語としてDementia Pugilistica(ボクサー痴呆)という名前が徐々に使われるようになりました。あれれ、思ったより深刻ですよ、ちゃんと名前をつけましょ、というトレンドだったわけです。

その後、更に研究が進み、1970年代までにはこのConditionがどういったものなのか、という理解が深まったことから、①このボクサーにだけ起こるものではない(=アメフト、サッカー、プロレスでも確認され始めた)というuniversalityを考慮して、且つ②アルツハイマーやその他の脳障害とは似て非なるもの(=脳に対する直接的&物理的衝撃が原因で起こる、というユニークさと、実際に脳内で起こっている変化の違い)である、という認識から、現在はChronic Traumatic Encephalopathy (CTE)という名前に落ち着いたそう。昔の文献を読んでいてPunch DrunkやDementia Pugilisticaという名前を目にすることがあったら、ああ、昔の名前だな、つまるところCTEのことなんだな、と思っていただければいいと思います。


●Prevalence UNKNOWN
研究が進んでいるとはいえ、まだまだこのCTEに関しては私たちの知らないことばかり。
現時点でCTEのRandomized Neuropathologic Studyの報告数はゼロ。診断には、死後に脳を取り出してスライスして、薬品で染めてTau-Proteinを確認して…というプロセスが必要ですから、将来的にも相当難しいでしょうね。そんなわけで、具体的な患者数の数もよく分かっていないというのが現状です。

かなり限定的ではありますが、私たちが現時点で把握している限界は、
- 2008年2月~2010年10月までに死亡した現・元NFL選手の数は321
- そのうち、12人の脳がBrain Bankで検査され、そのうち全てがCTEであると確認された。
- つまり、どんなに少なくても321人中12人=3.7%のNFL選手がCTEを患っていた、
  ということが言える。
3.7%という数字は全くたいした数字ではありませんが、検視された12人中全員がCTEだった、という事実は怖い。恐らくこれは、氷山の一角なのではないでしょうか。実際のprevalenceは間違いなく研究が進めば跳ね上がるでしょうね。

●Cannot get it mixed with midlife crisis
英語にはmidlife crisisという単語があります。
(midlife=人生の半ば、crisis=危機。中年の危機?と訳したら良いのかな?)
30代後半から40代に入ってくると、人は仕事では中間管理職を任されて/窓際族に追いやられて/リストラに遭って不安定、私生活でも子供の将来の心配や、両親の介護、はたまた夫婦間の不仲・離婚など、新たなストレス要因が増えてくるオトシゴロになるのです。
このくらいの年齢に差し掛かって、人生の階段を一気に転げ落ち、うつ病を患ったり自殺する事例も少なくありません。日本でも確か自殺者って中年が一番多かったですよね?このような現象は万国共通らしく、英語ではmidlife crisisと呼ばれています。

さて。思い出して欲しいのが、CTEは進行が非常に遅いのが特徴で、人格の変化やうつ病的症状等の初期症状が出始めるのは引退してから平均して8-13年後、ということ。
例えば具体的に22歳から30歳くらいまでNFLで8年間現役の後、引退したとして、
それから8-13年後というと、38-43歳くらいで障害が出てくるわけです。
つまるところ、症状と年齢の観点から言ってmidlife crisisと混同されることが非常に多く、
周囲はもちろん、本人もまさかNFL現役時代の後遺症とは思わずに、
医者に相談しにいこうとは思いつかなかったりするのが現状、ということです。

そんなわけで、周りも本人も「どうせmidlife crisisでしょ」とか「華のあるキャリアから“普通の人生”への順応が出来てないんだ」と言ったり思ったりせずに、Medical Problemと認識して、適切なプロの助けを求めることが重要です。逆に、これからそういった患者が(Sport-relatedと思わずにmidlife crisisの被害者として)、一般精神科医にかかったりすることもあるだろうから、そういった分野の専門家がCTEの事例・可能性を十分に把握しておくことも適切な診断につながるかと思います。

結局のところ、
CTEというものがあるよ、ということを少しでも多くの人に知ってもらうこと。
そして、CTEへの理解をさらに深めるために、研究の手を止めないこと。
という2点に今は尽きるのでしょうか。

加えて、そういう危険性を理解した上でプロとしてプレーしたいのかどうか、
というところも選手がこれから考えていかなければいけない要素になると思います。
現役NFL選手はもちろん、プロを目指す大学や高校の選手たちにも。
だって一般市民はプロスポーツを単なる「ビールの最高のつまみになるエンターテイメント」ぐらいにしか思っていないかも知れないし、経営側にしてみれば選手はMoney Making Toolかも知れない。選手が怪我等で現役を続けられなくなったら代わりはいくらでもいるし、ましてや引退後の彼らの人生など興味はあまり無いでしょう。しかし、選手にとっては、他でもない彼ら自身の人生。引退してからも、まだまだ人生半ば。それから20年30年40年と生きていこうと思ったら、ちゃんと前もってこういう危険性があるということを“知る権利”はあるし、私たちSports Medicine Staffには“知らせる義務”があるんじゃないかと思いますね。




結局、今回色々と読んだ文献の中で、CTEに関して一番重要だと思った一文はこれかな。
Take Home Message、ということで。
“An increasing realization is that brain injury is not only an all-or-nothing phenomenon (eg, concussion) but may also result from accumulated subconcussive impacts”

つまり、一発がーんと頭に衝撃がかかって、それが白か黒か、ではなくて、ちょっとの灰色が少しずつ少しずつ混ざっていって、最終的に黒になることもある、みたいなイメージ…と言ったら良いのでしょうか。

おまけになりますが。
以前にも書いたように、脳震盪は頭を打つこと(hitting the head)によって起こるのではありません。脳が突発的に動いて(sudden movement of the brain)起こるのです。分かりやすい例はロックンロール等でよく見られる、Head Banging。これは頭をガンガン打っているわけじゃありませんが、脳はぐるんぐるん揺れています。これでも十分脳に負担になりかねない、ということなのでご注意!あっ、歌舞伎のぐるぐるも良くないのかな?
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  by supersy | 2011-07-13 20:30 | Athletic Training | Comments(0)

Sickle Cell Trait (鎌状赤血球形質)について学ぼう。

皆さん、Sickle Cell Trait(鎌状赤血球形質)という言葉をご存知でしょうか?
この言葉、アメリカの大学スポーツ界ではここ数年討論の中心になっています。
Sickle Cell Traitを持つアスリートがコンディショニング中に死亡するケースがあったことから、それに対応する規制を作るべきかどうかetcで数年にわたって話し合いが繰り広げられているのです。その結果として、今2011年7月現在、決定していることは以下のようになっています。

去年(2010-2011)のシーズンから、NCAAは新たに、
 “大学スポーツに参加するStudent-athleteは、事前に
  ① 過去に受けたSickle Cell Traitテストの結果を提出する
  ② 今Sickle Cell Traitのテストを受け、その結果を提出する
  ③ Sickle Cell Traitのテストを受けることを辞退し、waiver(権利放棄書)にサインする
 のいずれかのことをしなければならない” ということを義務付けるようになりました。
しかし、これはDivision Iのみの話で、Division IIとIIIにおいてはまだ“recommend(勧める)”という表現をするのみに留まっているようです。もちろんこちらもNCAAはmandate(義務付ける)しようとしている最中で、もうあと一歩というところまで来ているみたいだけど、Official Statementとしては出ていない…というのが現状かな?

●Sickle Cell Trait (SCT)の基本的なメカニズム
ざっくり言うと、血液中のヘモグロビンが遺伝子的突然変異を起こすことが原因です。
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ちなみにヘモグロビンというのは、赤血球の中にある、鉄分を含む、酸素を運ぶ媒体の役割を果たすこういう物質(↑)ですな。4つの鎖が絡まりあったような見た目をしています。
ちなみにこれが酸素と結びつくと、色が暗赤色から鮮赤色へと色を変えるのです。
だから動脈(酸素を多く含む)の血液は鮮やかな赤で、静脈(含まない)は黒っぽい赤なんですな。

あ、話が逸れた。

で、Red Blood Cell (RBC=赤血球)というのは、焼く前のハンバーグみたいな、
真ん中が少しへっこんだ、綺麗な丸い形をしているのですが、
ヘモグロビンに異常があると、鎌状という名前の通り、鎌のような形に変形してしまいます。
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このとき、形が変形するだけで、別に酸素を運ぶという元々の機能が(多少低下するにしても)失われるというわけではありません。あれ、じゃあ、別に不具合はないんじゃないの?それでも十分機能できるんじゃないの?と思われる方もいるかも知れません。はい、実はそうです。そのとおり。

では何が問題なのか?それは、この鎌状になった赤血球が体中を循環するときに起こります。
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通常の丸い赤血球はスムーズに血管内を流れて行きますが、鎌状の赤血球は、血管の分かれ道や細い血管などでひっかかり、粘着性も通常より高いことからお互いにくっついてBlood clot(血栓)を作ります(ちなみに以前血栓についてまとめた記事はこちら)。この血栓により、血流が一部ブロックされて流れが遅くなる、もしくは完全にブロックされて流れが滞る、というのが結果的に問題になってくるわけです。

●Background/Prevalence
Sickle Cell Trait (SCT)とSickle Cell Anemiaは、関係はありますが異なるものです。
日本語では前者が鎌状赤血球形質、後者は鎌状赤血球貧血、と訳されます。
また、Sickle Cell Anemia (SCA)はSickle Cell Disease (SCD)と呼ばれることもあります。
どちらもGenetic(遺伝的) conditionに分類され、マラリアが流行った地域(アフリカを中心に、地中海周辺やサウジアラビア、インド等)に特によく見られることで知られています。Sickling of RBCというのが、マラリアの発症を抑えるために人体が選んだ進化形であるからです。Sickled RBCはNormal RBCよりも寿命が短く、短期間で溶血するため、マラリア原虫が増殖を抑えられる、という利点があるんだそうな。
問題は、マラリア感染の危険性がほとんど無くなった現在でもこのSCT、SCAが残ってしまっていること。Advantageが消えて、disadvantageのみが残ってしまった形になったわけです。
SCAのprevalenceは約5000人にひとりと非常に稀ですが、SCTのほうはそれよりも症例数が格段に多くなります。遺伝子的要素が大きいため、ひとつのアメリカという国の中でも人種間での格差があり、例えばCaucasian内では“rare”であるが、African-American Populationではその8-10%がSCT positiveである、という統計が出ています。つまり、African-americanの選手がチームに10人いれば、統計的に言ってそのうちの一人はSCTでもおかしくない、ということです。意外に身近な話題なのです。

●Sickle Cell TraitとSickle Cell Anemiaの違い
<原因の違い>
SCTとSCAの一番の違いはヘモグロビンβの遺伝子の対になっている遺伝子のひとつだけが突然変異を起こしているか、それとも両方か、ということのようです。
ひとつだけの場合(heterozygous=ヘテロ接合型)がSCTになり、
両方affectedされている場合(homozygous=ホモ接合型)はSCA、ということになります。

<生理学的違い>
それでは、一体症状にはどのような違いが出るのか?
通常、ヒトは正常な形のRBC(くどいですがハンバーグみたいなやつ)を持っていて、
これらを構成する正常なヘモグロビンには専門用語でヘモグロビンAAと名前がついています。

SCAの患者が持っているヘモグロビンは、これと異なり、ヘモグロビンSSと呼ばれています。
ヘモグロビンSSを含むRBCは、前述の通り鎌状に形を変えるわけです。

それではSCTの患者は?というと、彼らのヘモグロビンはこれらの中間で、Gene typeはヘモグロビンAS。特徴としては、普段は正常なRBCの形をしているが、high-stress/low-oxygenの状況下ではそれが鎌状に変化する、という、限定的なPhysiological changesを引き起こすのです。

<症状の違い>
SCAのそれは非常に深刻です。常時発症しているため、幼少の頃に症状が確認され、SCAと診断されるケースがほとんど。発作を予防するための様々な薬による治療や、Bone marrow transplantや遺伝子治療も行うケースがあるようですが、患者の多くは成人前に亡くなることが多いんだそう。

一方で、SCTはhigh-stress/low-oxygenの環境にさえいなければ症状は何も出ませんし、本人もcarrierであるという自覚がないことが多くあります。TraitがAnemiaに進行することはなく、普通に生活している分には全く問題無し。それ故、今まで、SCTは“generally benign(ほぼ無害である)”と考えられてきましたが、実は言うほど“benign”ではないのではないか、特にアスリートにおいては、適切な予防策無しでは最悪の状況 (=sudden death)が起こりうるのではないか、という考えが近年広まりつつあります。

●Complications with SCT in athletes
アメリカ大学スポーツ界において、ここ数十年で、15件のSCT-related sudden deathが確認されています。その多くがFootball選手ですが、陸上選手やバスケットボール選手も含まれています。Footballの黒人選手だけ気をつけていればいいんでしょ、という理解だと最悪の事態を招くことになる、ということを踏まえた上で…

SCTの症状は極限のhigh-stress, low-oxygenという状況下で出やすいというのは前述の通りですが、初期症状はこんなものがあります:

  - Fever
  - Fatigue, dizziness, nausea
  - Chest pain, abdominal pain 
  - Excessive thirst, frequent urination
  - Rapid heart beat, difficulty breathing
  - Soft, flaccid muscle tone
  - Leg or low back pain, weakness, or muscle cramping
  - Collapse early in practice (serious attackは通常練習の始めのほうで)

これらの初期症状を無視して運動し続けると、3つのMajor Complicationが起こりえます。NCAAが明記している危険性はこちら:
- Gross hematuria…肉眼で確認できるほどの血が入った血尿。
    ほとんどの場合、Left Kidney(左腎臓)の腎不全による無痛性の血尿が多いのだとか。
- Splenic infarction(脾臓梗塞)…5000ft以上の高い標高にいるときに起こりやすい。
    鎌状赤血球のclottingにより、脾臓への血流が断たれることから脾臓が虚血性壊死する。
- Exertional rhabdomyolysis…これが最も深刻。
    血流が制限され、十分な酸素供給を受けられなくなった筋肉たちはrhabdomyolysis
    (=横紋筋変性、つまるところMuscle breakdown)を起こします。
    簡単に説明すると、筋繊維たちが次々に破壊され、そのmuscle fiberたちまでもが
    血流に流れ込む、という現象のことです。筋肉に含まれる成分が外の臓器に
    有害なこともあり(ex. Myoglobinが肝臓を損傷させ、急性腎不全を起こすetc)、
    迅速に対応をとらないと命に関わることになります。

あと、これはNCAAは触れていないのですが、SCT complicationとしてのLower leg compartment syndromeの確認例もあるんだそう。Metabolic wasteが増えるんだし、venous/lymphatic returnがcompromiseされるんだから、make senseといえばmake senseですね。

●予防が大事
そんなわけで、早期発見・早期予防が本当にcriticalなのです。
だからこそ、この度NCAAがSCT Screeningをmandateした、というわけ。
誰がSCT carrierなのか分かっていなければ、予防のしようがありませんからね。

予防法にも色々あるんですが、書いていてもキリがないので、
短くまとめると、Acclimatizeと水分補給をしっかりすること、
ドリルやrepsの間に休憩をしっかりと入れること、
そして症状が出始めたらすぐにATCやコーチに知らせること、ってとこでしょうか。
私は一番大事なのは、本人とATCはもちろん、CoachとS&C CoachがSCTに対して正しい理解を持ち、SCT positiveの選手をrecognizeすることだと思います。今までの死亡例は、まずそもそも選手自身も周りのコーチもSCT carrierであると知らなかった。そして、気分が悪くなったり発作が出始めても、ただの“being soft/sissy”と判断され、workoutを続けざるを得なかった、というケースがほとんどなので。

アメリカの大学に関わるATCの皆さん、選手に適切な指導ができるように、
この機会にSCTについてじっくり学んでみてはいかがでしょう?
NCAAが提供しているEducational Materials/Resourcesはこちら
中でも、一番上にあるビデオはSCT positiveの選手に見せるのにとても良いものと思います。
10分くらいのごく短いものですので。
あと、NCAA Sports Medicine Handbookは、ATCならば一度は読んでおくべき、と思います。
2011-2012版はまだ出ていないので、現時点での最新版はこちら
無料でダウンロードできます。SCTについては、ページ86から記載されています。

そんなつもりはなかったのに、すっかり長くなってしまいました。
SCTについて、Twitter上でATCの方達とちょっと話し合う機会もあり、また、資料提供をしていただいたりもして、関わって下さった方々に非常に感謝しております。
うちの大学も、SCTについての正しいポリシーを取り入れようと、連日Sports Medicineスタッフでの話し合いが続いております。色々と難しいけど、良いものができるといいな。ふぬ。
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  by supersy | 2011-07-03 20:30 | Athletic Training | Comments(2)

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