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忙殺。

Shinsplintsの続きを書きたいのですが、いかんせん時間がありません。
ここまで忙しいと気持ちの余裕が無くなって、周りのヒトが全員敵に思えてくるのですが、
それでも仕事はきちんと笑顔でやり遂げたい。いや、笑顔でいれば素敵なことがこっちへやってきてくれると思いたい。ああ、ヒトは忙しいと心が殺されていくのか、だから忙殺なのか。

明日は恐怖の推定15時間労働です。
ご飯食べてるヒマもないというか、食べるご飯が家にないけど買いに行ってるヒマもないぞ。
明日までには覚悟を決めて、良い仕事ができるよう&倒れないよう精一杯頑張ります。
でも今夜はちょっと、やらなきゃいけないことを忘れてベッドに入ってぼーっとしたい。
怒らないで怒らないで。
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  by supersy | 2008-08-28 23:30 | Comments(0)

Tampa小旅行+土踏まずの重要性。

誕生日の今日、昨日の夜遅くまで飲んで話していたのでゆっくりめに行動開始。
久しぶりにI-HOPで朝ごはんを、文字通りお腹がはち切れそうになるまで食べてから、
カツさんとTampaのダウンタウンにあるThe Florida Aquariumへ行ってきました!
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もともと水族館は大好きで、Sea Worldに行ったときもイルカやシャチのショーを堪能しては
大いに盛り上がりましたが、カツさんの影響で自分でも水槽を立ち上げてからは毎週のように近所のペットショップを回っては魚をわいわい見て回ったりして、小さいお魚も楽しめるようになりました。b0112009_855329.jpg

この水族館はSea Worldのような巨大テーマパークではありませんが、その分入場料は安いし水槽の手入れがよく行き届いていて、普段見慣れている魚たちもすくすく育ちすぎてことごとく巨大化して元気一杯で、“ええっ、なにこのネオンテトラの大きさ!”とプロの仕事に感動しきりでした。ちなみに右の写真の黄色がかったコは巨大ウツボです。ぬぼー。

小さな水族館ならではの距離感も魅力で、“True or Tail”では蛇、アルマジロ、フクロウ、ヘビ、ワニたちを目の前に連れてきて生態を説明してくれたり、ペンギンをお客さんの前でよちよち歩かせて“触らないでほしいんですけど、でもペンギンが触ってきたら好きにさせてあげてくださいね”と放し飼い(?)にしたり。お客さんのデジカメのストラップをつついて遊んでました、ペンギンちゃん。
ちなみに今日のピカイチコンビ(↓)。“何よっ”って感じの出目金ちゃんと、お茶目なハリセンボン。
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夕方にはたかくんとしのちゃんとやよいさんも合流し、皆で韓国料理を食べに行って、
それから慶太郎氏の家でサプライズのケーキまで用意してもらって盛り上がり、
心優しい皆さんから恐らく今まで生きてきた中で一番量の多い誕生日プレゼントをもらいました(笑)。個数にして100をこえるプレゼントですからね。写真はほんの一部です(↓)。
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mixiやFacebookでメッセージをくれた人たち、メールや電話くれた方々、ありがとうございました!
25歳を素敵な友人に囲まれて楽しく迎えることができたので、また一年頑張っていけそうです。
…というか、ここ3~4年、仕事まみれでロクな誕生日を過ごせていなかったので、
近年稀に見る幸先の良いスタートになりました。本当にありがとうございます。

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さて、昨日までの更新分に少しだけ補足です。
Posterior tibの重要なfunctionはarch support(土踏まずの補強)と書きましたが、
そもそも何故土踏まずが重要なんだ?というハナシをしていなかったなぁと思って。
平べったいほうが表面積が広くなってチカラが拡散しそうな気がしません?
…と、少なくとも私はそう思ったことがあるんですけど。

この答えは、土踏まずの物理的な構造そのものにあります。
何回か書いているように、土踏まずのことを英語ではarch(アーチ)と言います。
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アーチ、ってそう、このアーチ(↑)です。世の中で、アーチ状・アーチ構造のものって
実は色々あるんですけど、思いつきますか?例えば、橋、屋根、ダム、ドーム、etc etc…。
どれもこれも大きな重さを支えなければいけないものばかり。
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↑上の図が、何故その大きな重さを支える上でアーチ構造が優れているかを良く表しています。元々は建設の解説の図だったので“石材”とか書いていますが、そこは忘れてちょっと良く見てみて下さい。アーチ上部からチカラが加わったとき、そのチカラ(G)は直接下にかかるのではなく、アーチを曲げる力(G2)と縮める力(G1)に変わるのです。ベクトルにして考えてみれば一目瞭然ですが、G1もG2も元々のチカラ、Gよりも必ず小さくなります。まずここで、“チカラを拡散させる”という目的が果たされていることが分かります。また、チカラの方向が散らばり、結果アーチ形状を曲げたり縮めたりすることによってバネのように作用し、衝撃を緩和させる役割もあります。
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ここでヒトの足を見てみましょう。まさに、見事なまでのアーチをしていますよね。
細かく言うと3つのアーチから成り立っていて少し複雑なのですが、コレを書いているとキリがなさそうなのでここでは省きます。このヒトの足にあるアーチというのは小さな骨とそれらを繋ぐ小さな関節が幾つも並んで形成されているため非常にelasticで、バネの役割をしっかり果たしています。人間が着地する際に足裏に受ける衝撃力は一般に歩行時で体重の1.2~1.5倍、ランニング時に体重の3倍、ジャンプ時に体重の5倍とされていますから、この構造でこれだけのチカラを吸収して支えてくれているわけです。

土踏まずを縁の下の力持ち、と言う理由はわかりましたか?
どうしてもこれだけは補足しておきたかったので残しておくことにします。

b0112009_1211796.jpg●過保護は良くない?
コレはおまけになりますが、最近“土踏まずをサポートする高い中敷入り”、とか、“卵を高いところから落としても割れないゲル(←)を靴の中に入れて衝撃吸収”とか色々凝った靴が増えていますよね。果たしてああいうのって良いんでしょうか?

私は、年をある程度取ってきたらいいかも、と思うんですが、あまり小さいうちから履くのはかえって良くないんじゃないかと思っています。
というのも、土踏まずというのは直立二足歩行を行うことで次第に形成されるため、生まれたばかりの赤ん坊にはほとんど存在しないんです。で、歩くようになってから段々できてくる、と。
ただ、成長の過程で足に合わない靴を履いたり、足の使われ方によっては、土踏まずが正常に形成されないことがあります。これが結果偏平足を生んでしまうわけですが…。しかし、逆に、今日のハイテクな足を完全にサポートしてくれるような構造の高機能シューズを小さい頃からずっと履いていたらどうなんでしょう?靴が衝撃を最小限に抑えてくれる故にカラダが全くadjustする必要がなくなり、土踏まず作らなくてもいいや、ってなっちゃうと思いません?やっぱり細かい筋肉たちを鍛えるためにも、昔から日本に良く見られる草履や下駄、それから裸足で歩くのだって必要だと思うんですよね。若いうちはちゃんと鍛えて土踏まずを作り、オトナになってからはこれを維持すること。足に関してはこう考えてアプローチしていったほうがいいんじゃないかな、と個人的には思っています。

b0112009_1281733.jpgちなみに女性の皆さんには申し訳ありませんが、ハイヒールは足に悪い以外の何物でもないです。見て下さい、このレントゲン。人類が進化の過程で時間をかけて築き上げた“二本の足で歩く”というBiomechanicsをめちゃめちゃにしていて、足の悲鳴が今にも聞こえてきそうです…。
うぎゃぁぁぁ。
元々ハイヒールは拘束具だったと聞いたことがあるのですが、こういうのを履いて走れる女性ってそれを超えた進化をしてしまったってことなんでしょうか。すごいけど…恐ろしくもあります。
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  by supersy | 2008-08-23 23:59 | Athletic Training | Comments(3)

Shinsplints 2。

●Periostitis (骨膜炎)
これが実はshinsplintsの一番のcommon causeではないかと言われています。
“-itis”という接尾語は、日本語でいう“-炎”にあたり、Periostiumというのは、骨の周りに薄く張っている膜(↓)のこと。なので、periostium(骨膜)+itis(炎症)=periostitis(骨膜炎)というわけです。
(もっと言うと、peri=膜 osteal=骨 と言う風にもbreak downできます)b0112009_552139.jpg
沢山の筋肉がTibiaにくっついているわけですが、走ったり跳んだりを多くして筋肉を酷使すると、その筋肉たちが起始・停止している部位の骨膜もまた、同様にストレスを受けることになります。
筋肉が収縮するたびにかなりのチカラで引っ張られるわけですから、相当なものです。で、結果炎症を起こしてしまう、と。
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さて、ここで注目して欲しいのがこのふたつの筋肉(→)。
さっき、“沢山の筋肉がTibiaにくっついている”と書きましたが、そしてそれは事実ですが、Shinsplintsに関わっている筋肉は実は2つに絞られます。
Anterior Tibialis(前脛骨筋)
Posterior Tibialis(後脛骨筋)
です。このふたつは走る・跳ぶの動作で非常に重要となる筋肉たちで、
Periostitisが起こる部位はこのふたつの筋肉の起始位置であることが殆どと言われています。

●Muscle Inflammation (筋肉の炎症)
このふたつの筋肉たちが痛みの直接の原因にもなることもあります。
筋肉自体が炎症を起こしてしまった場合です。
今回様々な文献を調べていたら、Anterior Tibialisの炎症をAnterior Shinsplints
Posterior TibialisをPosterior Shinsplintsという名前別けをすることが多いみたいなので、
ちょっとそれになぞってやってみたいと思います。
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・Anterior Shinsplints
 特に足がpronated(偏平足)なヒトにおいて、足首を曲げたり伸ばしたり(DF/PF)すると、
 Tibialis Anteriorがそのmuscle sheathの中で捻られてしまうという現象が起きます。
 Twisting forceが発生してしまうのです。
 捻られた筋肉たちはmicrotearを起こしてしまうか、そうでなくてもabnormal forceが
 かかることになりsheathに擦られる形になって、炎症や痛みの原因になるのだそうです。
 また、GastrocやSoleusというふくらはぎの強靭な筋肉たちに比べて
 Ant. Tibや弱いといったmuscle imbalancesや、toe running(爪先走り)も、
 Ant. Tibにabnormal stressを加える要因になります。

・Posterior Shinsplints
 これも基本的にAnterior Shinsplintsと同様です。
 Foot pronation→twisting force→microtear or abnormal stressという流れ。
 幾つかの文献には“less common”という書き方をされていましたが、
 個人的にはPosteriorのほうがAnteriorよりも圧倒的に多いように思います。
 TibiaのMedial edgeを探して、そこからぐぐっと裏側に指を入れる感じでpalpateし、
 “うわー、そこそこ”とAthletesが顔をしかめたとしたらビンゴです。

はて。それでは何故このふたつの筋肉たちばかりにそう余計な負荷がかかってしまうのか?
答えは、それぞれの筋肉のfunctionにあります。
  Anterior Tibialis…Dorsiflexion(背屈)とInversion(内反)
  Posterior Tibialis…Plantar flex(底屈)とInversion(内反)、
              更にMedial longitudional arch support(所謂“土踏まず”を支える)。
というそれぞれの役割に注目しつつ、ヒトが歩くときのBiomechanicsを簡単に見てみましょう。
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上の図は、Gait cycle(歩くサイクル)のStance phaseだけを抜き取ったものですが、
踵が地面に着く時(Heel strike)、Anterior tibialisには足を減速させるため
過大な負荷がかかります。Footの動きとしては本来の役割とは間逆のPlantar flexionですが、
eccentric loadがずずーんとかかっているのです。そして皆さんもご存知のように、concentricよりもeccentricのほうが負荷って大きいんですよね。
だって、contractしながらそのチカラを支えきれずelongateしているわけですから。
そう、つまりAnterior tibialisは踵が地面に着地する度に、多大な労力を持って
足を地面に固定させる重要な役割を果たしている
のです。
これが、歩くではなく走るとなると、その負荷は何倍にも増えてきます。
この筋肉が実は歩く・走る上でKeyとなっていること、分かりますか?

一方で、Posterior Tibialisの最も重要な役目はArch support
Stance phase全体を通して、土踏まずを支え足を安定させるということに全力を注いでいます。
簡単そうに聞こえるかもしれませんが、これって実は重労働なのです。
歩く、走るといった動作を想像するとき、ヒトは足を振り上げて前に進むところだけをイメージするかもしれませんが、それを可能にしているのは地面に着いているほうの足がしっかりを地面を捉え、支えてくれているから。軸となる足がしっかりしていなければ次の一歩を強く踏み出すことはできません。まさに、Posterior tibialisは縁の下の力持ち的存在なのです。
前述したように、偏平足の足はそれだけで不安定(hypermobile)だというだけでなく、
Posterior tibialisに異常な負荷をかけます。いくら縁の下の力持ちだからといって、
一歩一歩支える度に過度の負荷をかけられたのでは、悲鳴をあげてしまうというわけです。
これが歩くだけでなく走り出したらまたその何倍もの負荷が…というのはもうお分かりですよね?

さて、これから、じゃあその問題をどのように改善させればいいのか、
という点について書きたいのですが、今日はもう時間がないのでこのへんで。続きはまた。
これからちょっとTampaに出かけてきます。週末はずっとそっちにいるかと。
土曜日が誕生日なので、Fayの暴風域をちょいと抜けて、ぱーっと楽しんでこようと思います!

ちなみに、明日で25歳になっちゃいます。
25歳ですよ25歳。四半世紀。うおっ、ちょっと重い響き。もうそんな自分が年になるのかぁ。
びっくりだなぁ、25歳ってもうちょっとオトナだと思ってたけど全然コドモじゃん。
光陰矢のごとし、ですね、まさしく。
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  by supersy | 2008-08-22 18:00 | Athletic Training | Comments(4)

Shinsplints。

本日2度目の更新です。さて、今日の話題にも少し出てきたShinsplints。
自分の中でタイムリーな話題でもあったので、これについて少し書いてみようと思います。
日本語でも同様にシンスプリントと呼ばれるこの怪我。実はShinsplintsというのは非常に曖昧な、言ってみれば素人用語であります。一応Medial Tibial Stress Syndromeという正式な医学用語もあるのですが、これも知っているとちょっと格好良いというだけで、要は、shinに起こる痛み、というほどの定義しかありません。
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さて、英語でいう“shin”とは何なのか?
というと、日本語では脛(スネ)という言葉が一番近いように思います。
膝から足首までの間、前脛に起こる痛み。
なので、疲労骨折、筋肉の炎症・肉離れ、それからAnterior Compartment Syndtome等、
色々なものが痛みの原因として考えられてしまいます。
つまり、医者にシンスプリントですね、と言われたところでそれは診断でも何でもない、
ただ脛が痛いんですね、と言われているようなもの。単なるa description of symptomsなのであって、本当の原因を探らなければ意味がないことになります。Shinsplints、使い勝手が良いようで、結構厄介なtermなのです。

ではせっかくですから、原因となるものを全て挙げてみてしまいましょう。

Stress Fracture(疲労骨折)
 これはある意味clean cutですが、疲労骨折の診断はなかなかそれでやりにくい。
 というのも、疲労骨折はX-ray(レントゲン)で出ないケースが多いからです。
 いや、正確に言うと、“すぐには”出ないんです。
 ボキっと思い切り折ったような骨折ならもちろんX-rayで一発で分かりますが、
 実は皆さんが思ってるよりX-rayってこう、何ていうか、sensitiveなんですよ。
 例えば手首や指のhair line fracture、みたいにminorな骨折だと、
 部位の腫れがひどかったら上手く出ないこともある。疲労骨折だと更に厄介で、
 痛みが出てすぐには出ず、数週間して撮ってやっと出る、ってことがあるんですね。b0112009_14372247.jpg
←これは一応、X-rayで確認できたケースの
 疲労骨折なんですけども…。
 白い矢印のところ。分かりますか?
 分からないですよね(笑)。
 こういう風に折れてないですもんね(↓)。
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疲労骨折って、X-rayで出たとしてもこんな感じなんです。そう、まずほとんど、露骨に折れてないんです。ボキっとした骨折ではなく、過度なストレスによる骨のdegeneration、と言ったほうが近いのでしょうか。Stress Reaction(疲労性骨障害)と別けて用語を使う人もいますが、私はこれも立派なStress Fractureの一種だと思っています。
ちなみに私コレやったこともあります。痛いです。
こういう骨折の場合で判断の基準になるのは、bone formationの有無。
つまり、新しい骨が形成されていると、その部分がちょっと厚くなって見えるから、
その濃さで判断することになるんです。でも、だからこそ、出るまでに数週間かかる。
ストレスをかけすぎて骨が薄くなる→骨が再形成される、
というプロセスの中の、ここを捕らえないと出ない(↑)。治り始めてからじゃないと出ない。
だから、数週間という時間がかかってしまう。X-rayは診断の基準にはしにくいわけです。
Bone scanのほうが、代謝が激しくなっている部位、所謂“hot spot”を捕らえられるので、
そういう意味では疲労骨折の診断に向いていると言えますが、これもperiostitis(骨膜炎)との区別が難しく、決定打にはなりません。periostitisについては、また後ほど。
b0112009_1501963.jpgLower legの骨はTibia(脛骨)とFibula(腓骨)の2本がありますが、疲労骨折を起こすのはダントツでTibiaのほうが多いです。TibiaはFibulaに比べてがっつり太く、体重の殆どを支えています。だからその分走る・跳ぶ度にストレスが加わるのです。一方Fibulaはnon-weight bearing boneと言われ、体重を支える役目は殆ど果たしていません。言ってしまうと、折っても歩くことができます。“バスケの試合の最中にfibulaを折ったけど、そのまま最後までプレーした”と言って来たコドモがBuchholzにいたのはびっくりしましたけど…。ATCとしてそんなことを許したら訴えられても文句は言えないと思いますが、でもまぁ、理屈ではそんなことも可能です。
ただ、傾向として、
 Flat Foot(偏平足)の人→fibulaに負担がかかりやすい
 High Arch(凹足??)な人→tibiaに負担がかかりやすい
というように、“余計に”ストレスをかけやすくなるパターンは実は足の形から予測できます。
Undergradでこれをならったときは、“なんで?逆じゃなくて?”と思ったのですが、
CKCで考えれば一発ですね。あのときはそこまで想像力がなかった。
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TibiaとFibulaをそれぞれ三等分して考えたとき(↑)に、Arnheimには、Stress Fractureは
“Runnerには下1/3で起こりやすい、バレエダンサーには真ん中1/3で起こりやすい”
と書いてあるのを昔丸暗記しましたが、今思うと何でなんだろう?
Runnerだとimpactがほぼ骨に対して平行に掛かり、単純に構造的に一番薄くなっている下部がやられる、バレエダンサーはtwistが入るから、雑巾を絞る要領と同じで、捻れて負荷がかかるのは真ん中。---というのが私のguessですが、皆さんどう思いますか?
 
Compartment Syndrome
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↑Lower LegのCross sectionの図(右)をよく見て欲しいのですが、筋肉、血管、神経を束ねるように幾つかのfascial sheath(図の黒い点線)があり、Compartmentと呼ばれるグループを作っています。
Anterior…Tibialis anterior, Extensor hallucis longus, Extensor digitorum longus,
    (Peroneus tertius), Deep peroneal nerve, Anterior tibial artery & vein
Lateral…Peroneus longus & brevis, Superficial peroneal nerve
Superficial Posterior…Gastrocnemius, Soleus, (Plantaris), Median cutaneous nerve
Deep Posterior…Popliteus, Flexor hallucis longus, Flexor digitorum longus, Tibialis posterior,
    Tibial nerve, Posterior tibial artery & vein, Peroneal artery & vein
筋肉と神経と血管が乱雑しているように見えるかもしれませんが、機能が近いモノたちが
それぞれ袋のようなもので包まれて、こういう4つの束(↑)になってそれぞれすっぽりヒトの足に埋まっているのです。
Anterior compartmentはDorsiflexors(背屈:爪先を持ち上げる運動)。
LateralはEvertors(外反:小指側を上げ足の裏を外に向ける運動)。
Deep & Superficial PosteriorはPlantor flexors(底屈:爪先を下げる運動)。
…と言う風に大別できます。
さて、これらを包んで区別している“袋のようなもの”が、先ほども書いたFascial sheath。
つまりは薄い薄い膜なのですが、それでも丈夫にできていて、水を通さない造りになっています。
例えばここで、この袋に、徐々に水を入れていったとするとどうなるでしょう。
袋はパンパンになり、compartment内の筋肉・神経・血管を圧迫し始めます。
神経が圧迫されれば、長いこと正座して足が痺れたときのように、
感覚がない・うまく足が動かせないなどといった感覚・運動障害が出てきます。
血管を圧迫してしまえばそこから下には血液の供給は行き渡りませんし、
それを頼りにしていた細胞たちは酸素不足になって、最終的には死んでしまいます。
これがまさに、Compartment Syndromeなのです。
袋内に異常に水分が溜まり、tissueを次々を壊死させてしまう非常に危ない症状です。
Life-threateningではありませんが、十分limb-threateningになることはあり得ます。
b0112009_1773777.jpgそういったPermanent disabilityを防ぐためにも、acute(急性)で起きた場合などは特に、immediate medical attentionを必要とし、病院に担ぎ込んで、もう文字通り袋をばさっと切って=Fascial sheathをreleaseして(左図←Fasciotomy surgery)溜まった液体を無理矢理出さなければいけない、ということもあります。実際以前、脛に大きな傷跡がある選手に、これどうしたの、と聞いてみたらAcute Anterior Compartment Syndromeでこの手術をしたときの跡だとのことでした。彼は脛を蹴られたときの内出血でそうなってしまったそう。ぬおお恐ろしい。

一方で長距離ランナーのような、コンスタントに足に負荷のかかるスポーツをしている人は、
以下のような(↓)コースを辿ってacuteではなくchronic(慢性的)に
この症状をdevelopしやすいです。

  ・運動による過度なストレス
     ↓
  ・筋肉たちが炎症を起こしその水分が溜まる
     ↓
  ・更にリンパも詰まって老廃物が滞る
     ↓
  ・徐々にcompartment内のinternal pressureが少しずつ上がってしまう
     ↓
  ・Compartment Syndrome

Chronicに関してはもう、なるべく早い段階で気が付いて治療するのがキー!
この負のchainを断ち切るのです。
Compartment Syndromeで最も起こりやすいのがAnterior、次にDeep posterior
しかしこのAnterior compartment syndromeのincidenceはダントツで、
更にchronicの場合はneurological symptoms(Anteriorの場合だと例えば
drop footや足の甲のnumbness)が出にくいこともあり、部位・症状から言っても
他のshinsplints(特にStress fracture)等と混同されることが多いそうです。
こうなったらshiny skinとか、そういった情報に頼るしかないんだろうか…。
(足がパンパンに腫れ上がると、皮膚が引っ張られてテカテカに光って見えるのです。
 写真を載せようかとも思いましたが、あまりに怖いので、気になる人は
 “Compartment syndrome”でイメージ検索してみて下さい)
internal pressureを数値で測れるnon-invasiveの機械とか発明されないかなぁ。

ふがふが。ここまで一生懸命書いていたら夜中(朝?)になってしまいました。
仕事がないと思うと好きに時間が使えていいのですが、ちゃんと寝る時間には寝ないと…。
続きはまた明日upします!
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  by supersy | 2008-08-21 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

たまには参ることもあります。

Fayが大暴れしてます。
…とは言っても、身の危険を感じるほどではないのですが。
現在Gvilleから東のDaytona Beachのあたりにいて、こっちにも思いっきりその雲がかかっているため、外は土砂降りな雨です。真っ暗な雲がすごい速さで空を流れていってます。時々風がごごごぉっと音をさせながら駆け抜けていき、木々がドキドキわざわざ揺れています。こういう天気は室内にいる分には好きなので私も一緒にドキドキしているのですが、洗濯をしたいけどランドリーまで歩いていっただけでもびしょ濡れになるだろうし、そもそも洗濯物も濡れてしまうし、家から動くに動けない。とりあえずゴミは昨日出しておいて良かったけど(発言が所帯じみてるなぁ…)。
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Fayくんは妙な進み方をしているのです。北上してそのままGville直撃、と言われていたのに、
すすすっと東に進み、大西洋に出たあたりでまたくるっと進路を変え、今は西に進んでいます。
そんなわけで、今日と明日はAlachua County全体のPublic High Schoolがclosed。
UFのほうも明日は全部閉まってしまうそうです。明日のほうが近くまで来るので。

…ということはどういうことかと言うと、そう、今日明日と仕事がないんです!
喜んじゃいけませんが、月曜の夜に体調を崩してしまってから完全回復していなかったので、
この突然の休みはちょっと嬉しい。木・金・土・日と4連休になりました。

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肉体的にもですが、精神的にも必要な休みでした。
通信簿にはいつも“真面目”と書かれていたような性格の私は、
恐らく“バカ”をつけて良いほど悪い意味で真面目で自らにプレッシャーをかけるのが大得意。
仕事に関しては限りなく完璧に近くありたいと常に思っていますし、
ミスで人に迷惑をかけるだけならまだしも(いやそれでも自分を許せなさそうですが)、人の人生や命に関わってしまうこともあるので、仕事のときはスイッチをonにし、常に何かを考えています。

そんな私にとって、“状況を全て把握しきれていない”という状態はかなりのフラストレーション。
ここのところ練習中に怪我人が増えていて、それぞれをkeep trackするのが大変だったのです。
例えば、一日の練習に臨むにあたり、
  ●怪我をしているけど練習には恐らく全く支障はない選手
  ●怪我はしているけど様子を見つつ練習する選手
  ●怪我をしていて練習はできず、リハビリをする選手
  ●体調を崩していて、練習はするものの要注意な選手
というように、それぞれの項目に3人ずつくらい当てはまるコたちがいるわけです。
彼らは、練習前に会って“その日の状態”というものを把握しておきたい。
無理かもと思っていたコが予想以上に回復していて練習復帰できたり、逆に痛みがひどくなっていて休ませたほうが良かったり、それによってプラン変更する必要も出てくるわけですから。
全員に練習前にATRに来なさい、と言っておいても、授業が終わってから練習が始まるまでは
たった15分。着替えてfieldに行くので精一杯なコも多く、確認が取りきれないんです。
更に、あれ、今日はあのコが見当たらないけど…と思うと、気がついたらVarsityからJVに移されていたり、こう、何ていうか、まさにカオス!混沌です混沌。まだ名前を覚えるのに必死なときに入れ替わられるとちょっと気づくまで時間がかかっちゃうんですって!

リハビリするコたちにはしっかりとしたものをやらせたくて、メニューを考えてあれこれやらせているのですが、それでも練習中に怪我人が出てしまうと、その手を休めてそっちをevalしなければいけない。ATSたちもRehabの知識がまだそれほどなく、選手とひっくるめて一緒に教えている段階なので、私がその場を離れなければいけなくなるとRehabも思うように進まない。
evalもevalで、怪我をしてしまった選手にはどういう怪我なのかを説明する時間は惜しみたくない。自分の体に何が起こっているのかとか、必要があれば絵も描いて基本的なAnatomyから説明し、その上で治療のプランを立てていく。頭の中で私と選手が同じものを描けるくらい、つまりはon the same pageであればあるほどこの先が楽になるから、この時間を削るわけにはいかない。深刻な怪我をして医者に見てもらわなければ、となると、Shandsの人と連絡を取りアポの用意を進め、親御さんに連絡を取り、同じ説明をまたしっかりして、“お子様の担当になるDr. Moserは素晴らしいお医者さんですから…”とか“質問等ありましたらいつでもお電話下さって構いませんので…”とできる限り安心させ、、、、まだまだここでは新米ATCの私は、こういったプロセスを手抜きしてしまっては信頼は得られない。特に意識しているところです。

同時にコーチには毎日Injury Reportを書き、リハビリや水をあげるタイミングなど、
とにかく私の仕事の仕方で気になるところがないか、意見はないか聞いたり、
時間があればコミュニケーションを取るようにしています。
さらにさらに、二人のATS。彼らにも毎日何か学んで帰って欲しい。
リハビリをしながら、“何で腰が痛いと腹筋を鍛えなきゃいけないんだと思う?”
Shinsplintsのコの治療をしながら、“ところでShinsplintsって何?説明してみて”とか、
“今私がマッサージしてるここの筋肉、何?”とか、質問をふっかけたり実技を見せたりして、
彼らの実習も充実したものになるよう気を配らなければいけない。
1年後2年後には、彼らもプロとしてスタートを切るのだから。

ええ、ええ、欲張りな私は、こういうことを全部完璧にできたらなーと思うわけです。
そして、当然、
うがーーー!!!
となるわけです。

更に悪いことに、あまりそう見えないと言われますが私は人見知りで緊張しまくるタイプです。
ATRでシャイでいたところで良い事なんかひとつもない、とは重々承知しているので、
人見知りのひの字も知らないようなサバサバ元気なトレーナーっぽいことしてますが、
慣れない学校で一週間半の仕事をこなすという、一日一日の精神疲労はなかなかのもの。

実はここ毎朝、仕事に行かなくては…と考えては頭が重くなり、やらなければいけないことを考え圧倒され、逃げ出したいような気持ちになっていました。それでも仕事に行けば、いつもの顔で動いているんですけど、何ていうんでしょう、仕事が怖くて吐き気さえ覚えるのです。
ううむ、心なしか最近心臓もご機嫌斜めなような…。

はて、Athletic Trainerは私の夢であり情熱であるハズだが。
まさか仕事がキライになったわけではあるまいな。
単に慣れてないだけだよな、そうだと言ってくれたまえ。
…と悶々とした日々を過ごしていました。内緒ですが。ええ、内緒ですよ。

少しずつ物事がorganizedされ始め、ルーティーンができてきた昨日・一昨日で、
やっとこのモヤモヤが取れてきて、うん、やっぱりこの仕事は楽しい!と思えるようになって、
自分でも心からほっとしました。

好きじゃないとできないこの仕事。
情熱を失うということは終わりを意味する…と個人的に思います。
だから、端から見てたら馬鹿みたいな葛藤かもしれませんが、私には大問題だったのです。
まだまだ改善していかなければいけない点、模索中のこと、いっぱいありますが、
いっぺんに全部はできないし、今は辛抱強くあるべき時なんですよね。
情熱があると確認さえできれば私は大丈夫!ここからは一歩一歩着実に進んでいこう。

楽しいなぁと思える理由のひとつに、コドモタチがここにきて勢いを増してなついてきてくれていることもあります。去年までここでHead ATCを務めていた、ひとつ先輩にあたるTheresaはここで2年間しっかり仕事をして、子供たちの信頼も厚かったようです。私が異動してきてから、コドモたちはよくTheresaはすごく良いトレーナーだったんだよー、いなくなって寂しいなー、と漏らしていました。
彼女は本当に良い人ですし、私もそれを聞いてむきーとなるようなガキんちょじゃありません。
私は自分とTheresaを比べられませんし(だって一緒に仕事したことないし)、
人間としてもトレーナーとしても一人ひとり違いますから、比べてどっちが上とか下とかはないと思っています。そもそも比べたところで、私は自分ができる最高の仕事をしたと思えなければ結局のところ満足はできないし。だから、単純に“あーそうか、やっぱり彼女はきちんと仕事をする人なんだなー。すごいよなー、でっかい学校を2年間取り仕切ってしっかり信頼されて”と実感し、尊敬を深めたくらいです。この賛辞は彼女の2年間の努力の賜物でしょう。

だから比べてどうこう、ということではないのですが、
つい先日、自称“ATRの常連”だというコドモのひとりが、
“SyはTheresaよりcoolだ、でもね、Theresaも相当coolだったから、ってことは、
 Syはsuper coolなんだよね!!” なんて言うもんだから相当嬉しくて。
おおやっと気づいたかね、とか言いながら、認めてもらえるって幸せなことだと
むーんと噛み締めました。逆にSy嫌い!とか言われたら立ち直れてないかも(苦笑)。
“Sy、なんだかSyとはすんごく仲良くなれそうな気がするよ”と笑顔で言うコドモたち。
リハビリ張り切って次はこれー、とか言ってると“えぇそれきついよー”と悪態をつくコドモたち。
練習後、ATRの前を通りながら、“Sy、また明日ねー!!”と声をかけてくれるコドモたち。
すでにキミたちは私のエネルギーだし、キミたちのためにこれからも頑張りますよ。
一緒に、素晴らしいシーズンを過ごしましょ。

しかしそもそもの原因でもある“怪我人の多さ”がここ数日気になっていて、
なんでこんなに怪我人が多いんだろう、マズイ要素でもあるのかな…と真剣に悩んでいたのですが、よく考えたらHawthorneのチームより3-4倍大きいんだから、怪我人も割合から言って数が増えるのは当然なんですよね。そんな単純なことに気がつくまで数日かかってしまいました。
肝心なところが抜けてる自分、あっぱれ。
しかしでっかい高校は、やっぱ大変だなー。
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  by supersy | 2008-08-21 19:00 | Athletic Training | Comments(3)

Orbital Floor Fracture。

ぶはは。もう笑いたくなっちゃいます。
今日も指のDislocationがひとり出ました。慣れたもんで、もう一発で入れられました。
練習が終わってからHead coachに“今日も指が出たんだって?”と聞かれたので、
“はい、お陰さまでもうすっかりプロです”と答えたらコーチも笑ってました。
いやいや、こんな脱臼の叩き売りセールされても嬉しかありません。願わくばこれが最後でありますように。しかしHawthorneでは1回もなかったのに、Buchholzに来て一週間くらいで3回なんて。何ていうか、怪我って起きるときは同じもんがどどっと起きたりするから怖いですね!

さて。今日はOrbital Floor Fractureについて書きたいと思います。
日本に帰って高校の友人と会っていたときに、彼がつい最近この怪我をして入院・手術していた
と言うのでびっくりしました。そういえばこの怪我についてあんまり知らないかも…と思ったので
これを機会にまとめておきます。(ちなみにその友人は後遺症もなくもうすっかり元気です)
Orbital=眼の、Floor=床、Fracture=骨折というその意味の通り眼の周辺に起こる骨折。
日本語では眼底骨折と言う人が多いですが、正しくは眼窩底(がんかてい)骨折だそうです。
Blowout Fracture(日本語では同様に“吹き抜け骨折”)という別名もありますが、
これはこの怪我のMOIに起因します。
b0112009_23385770.jpg
怪我の説明に入る前に、まずは簡単なEye Anatomyから。
頭蓋骨(↑)を想像してもらえば分かるのですが、眼球の周辺というのはぽっかりと空洞になっています。その中に眼球があり、目を動かす筋肉たちがそれを包み、さらにその後方から神経が出ているという、トンネルの中を走るような構造になっています。

この時、眼球に対して直接前方からボールがぶつかる、ヒトの拳がぶつかる等して衝撃が加わったとしたらどうなるでしょう。Compression forceを受けた眼球は後方に押され、眼球後方の圧力(intraorbital pressure)が急激に上昇し、その衝撃はトンネルの壁--つまりはwalls of the orbitへtransmitされることになります。頭蓋骨というと強固なイメージがあるかも知れませんが---そしてそれは大部分事実なのですが---眼球を包むトンネルのうち、上と外側の壁はしっかりしているものの、内側と下の壁は紙のように薄い骨でできています。指で摘んで少しチカラをかければ壊れてしまうような脆さです。なので、逃げ場を失ったその衝撃は必然的に一番脆い骨を突き破ってしまうことになります。
b0112009_235634100.gif
ボールがぶつかって、眼球が押されて、圧力が上がって、骨がぱりゃっと折れる。
チカラが眼の周辺の構造を吹き抜けていく感じ。だから、Blowout。この一連のイメージ沸きます?

理論的には、medial wall骨折のほうがfloor骨折よりも頻度が多くあるべきだそうなんです。
と言うのも、medial wallは0.25mm、floorは0.50mmと、ごく僅かながら薄さに違いがあるからです。
でも、実際に一番多いのはFloor fracture
これは恐らくethmoid sinusesにある無数の蜂の巣状になったseptumがextra supportとしてmedial wallを支える役割を果たしている分、結果としてfloorより急激な圧力の変化に耐えられるのではと言われています。そんなわけで、Isolated floor fracture、もしくはfloorとmedial wallの両方のfractureは良く起こりますが、Isolated medial wall fracutreは非常に稀だそうです。

症状としては目がかすんだり物が二重に見えたりなどといった視覚異常が出たり、Floor内部を通るsensory nerveに損傷が起きてしまうと目のすぐ下の頬の部分や、上の歯茎がnumbになったりすることも。こういうときに鼻をかむなどして余計に目の周辺に圧力をかけてしまうと毛細血管を損傷してしまう原因となり、目から出血したり、瞼に腫れが出たりします。
b0112009_939766.jpg
それだけではありません。実はもっと厄介なのは骨折によるmuscleのentrapment。上の写真はBlowout Fractureのレントゲン写真ですが、黒い矢印が骨折を起こしたOrbital Floor、そして白い矢印が指しているInferior rectus muscleが骨折によってmaxillary sinusに落ちてしまった形になり、挟まって動けなくなっている様子が映し出されています。こういう風に眼の筋肉がentrapされてしまうと、当然その分眼球の動きが制限されてしまい、例えばこのケースなら“Restriction in upward and downward gaze & diplopia when trying to look in these directions”が起こり得るというわけです。

こういう骨折をしてしまった場合、手術をして治すしか方法はありません。
でも、手術をいつするか、というのは医者によっても色々意見の分かれるところのようです。
特に整形外科の手術に多いですけど、敢えて少し待って、腫れが引いてからのほうが後の経過が順調になる、ってケースも実はよくあるんですよね。fibrosisやcontractureを防ぐためには2週間以内には絶対、というwindowがあるみたいですが、あとは骨折の程度、筋肉の挟まれ具合などから考えてスケジュールを決めていくようです。私としては、モノがマトモに見られないと気持ち悪いんで、感覚器が関わる手術はなるべく早くやったほうがいいんじゃ、なんて思っちゃうんですけどね(患者が小さなコドモの場合、視覚異常の影響で吐き気を訴えるケースもよくあるそうで、その場合はなるべく早くに手術をするみたいです)。

もっとしっかり壁の骨を厚くしておけばいいのに、と思うヒトもいるかもしれませんが、
いやいやいや、これが、こういうところこそが人体の神秘だと思うのです。
だって、こういった衝撃が眼にかかったときに、液圧という媒介を通してチカラを他に流し、
眼球そのものにダメージを受けないようにしている。もしがっつり硬いトンネルで囲まれていたら、モロに眼球が潰れてしまうことになるでしょう。敢えて脆い骨を作り、いざというときにはそこからチカラが逃げられるように計算されている…と考えると、ううむ、実に人体とは不思議に満ちていると思うのです。

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さて。現在フロリダ南部に大きなTropical Stormが近づいてきています。
その名はTropical Storm Fay。ハイチやドミニカ共和国で既に5人の死者を出している大型熱帯低気圧です。ハイチで起こったバス事故が一部の報道通りこのFayを原因とするものならば、その被害者は30人を超えることになります。あと数日でGville付近を直撃するとかしないとか、ちょっとした騒ぎになっていますが、個人的にはここに来る頃には大部弱まっているんじゃないのとか、楽観視してますけど…どうなんでしょう。今日は自動車保険の会社からもalertのメールが来ました。Buchholzは普通にそのまま今のところ授業もあるみたいですが、Countyによっては休校になったところも。まぁ、こればっかりは天に祈っておくことにします。
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  by supersy | 2008-08-18 21:00 | Athletic Training | Comments(3)

いつでもここに、キミのために。

ちょっと前の話になりますが、オリエンテーションの1日目、8/7にHawthorneに行ってきました。
Hawthorneの新しいAthletic Trainerとなる、GA新入生のSaraを案内しに
一緒に行ってきたんです。道中、ここを曲がるんだよー、とか道案内しながら、
懐かしい風景に包まれて“ああ、またこうして帰ってくることがあるとは”と何だか感動。
10ヶ月通いつめた45分間の道のりはしっかりカラダに刻まれていたみたいです。
Front Officeの人たちの前に久しぶりに顔を出して、こんにちわー、お久しぶりです、
トモダチ連れてきましたよ、新しいトレーナーさんです、と紹介して回りました。
ここが野球場でね、などとりあえず知っておくべき場所も色々案内して、
まだ緊張が抜けきらない彼女の顔を見ながら、去年の自分を思い出して重ねてみたり。

やっぱり、古巣のHawthorneはちょっと特別。
だって、これから先長いAthletic Trainer人生で、一番最初にプロとして働いた場所だもの。
そんなこともあって、Buchholzで働き始めてからも、時々Hawthorneのコーチや選手を
思い浮かべては、皆元気でやってるかなぁ、と考えたりしていました。

そんな時には向こうもこっちのことを考えていてくれたりするようです。
ここ何日かHawthorneの人から電話が入ったりメールが来たり、“元気か?新しい学校は
どうだ?たまには連絡してこい!”と声をかけてもらえることが続きました。ありがたいことです。

さて。今日ケータイにメールを送ってきたのは、Hawthorneでも一番良く面倒をみたかも知れないとあるコドモ。Football、Basketball、Track & Fieldと一年中スポーツをしていた彼は、怪我は幾つか抱えていましたが、人懐っこく、私に良くなついてくれた可愛らしいコでした。彼ももうSeniorになって、Footballのチームリーダーとして今年は特別なシーズンを送ることになるでしょう。
新しい学校での調子はどうー?と聞かれたので、
選手の数も多いしだいぶ勝手は違うけど、楽しんでるよ!新しいトレーナーはどう、ちゃんと良い子にしてる?と返すと、まだ慣れてはいないけどとりあえず順調だよー、とのこと。
“That's good, tell everybody I said hi, I really miss y'all!”
 (それは良かった。皆に宜しく言っておいてね、会えなくて寂しいよ!) と返すと、こんな返事が。

“We miss you, too. We all were talking about the good times we had with you
and we hope you have fun over there. Hawthorne is always gonna be here for you.”
 (僕らも寂しいよ。Syと一緒の楽しかった思い出なんかを色々皆で話したりしてたんだよ。
 向こうでも楽しんでよね。Hawthorneはいつでもここに、Syのためにあるからさ。)


私が、ここでやったことは間違っていなかった、苦労が全て報われた、と心から思えたのは私がHawthorneを去る日のコドモたちの顔を見たとき。そして、今日このメールを目にしたとき。
私はあそこで、誰かの人生を、少しでも良い方向に変えてあげられたでしょうか。
そうであって欲しいと願ってます。彼らの真っ直ぐな気持ちに応えられる仕事ができたと信じたい。
そして選手とAthletic Trainerというビジネスの線を踏み越えた先の、究極にある崇高なまでの信頼関係。絆。もしそういうものにプロ一年目で辿り着けていたとしたら、私はきっととてつもなく幸運なのかも知れません。こういうこと彼らに言うと怒るけれど、あの頃も、今でも、本当に一人ひとりを我が子のように感じています。私はキミたちに惚れ込んでましたよ。メロメロでしたよ。知らなかったでしょ。知らなくていいんだよ。ただすくすくと伸びていってくれれば、それでいいんだよ。
b0112009_142633.jpg
いつでもここに、キミのために。そう言ってもらえるのは嬉しいなぁ。
そういう場所があるのは、大きな心の支えになります。
さぁ、Buchholzでも今までにも増して頑張らないとね。
コドモたちだけじゃない。私だってまだ、きっとすくすく伸びるんだから。
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  by supersy | 2008-08-16 23:59 | Athletic Training | Comments(3)

Everyday is a Test.

お久しぶりです。
アメリカに戻ってきてはや20日。
最初の一週間は疲労と時差ぼけでぐったりしていましたが、それから何とか回復し、
8/7と8にGAのオリエンテーションをこなして、その週明け、8/11からいよいよ新たな高校での仕事が始まりました。Pre-season Football。Arenaも含めればこれでFootballの2-a-days(2部練)も通算4年目になります。また暑い夏がやってきたぞ、という感じです。

私が新しく働いている高校はBuchholz (びゅーほーるず) High School。
去年働いたHawthorneは小さな田舎の高校、という感じでしたが、BuchholzはCountyで一番大きな高校で、まるで別世界。Footballとヒトクチに言っても、Varsity、Junior Varsity、Freshmanの3チームが存在します。加えて、今度のAthletic Training Roomはもう以前のようなStorage Roomじゃありません。立派な部屋です。細長いので使い勝手は決して良くないのですが、それでも文句は言いません、前よかずっといいです。私の下には現在Athletic Training Studentが2人就いて働いています。Seniorの女の子が一人と、プログラムに入ったばかりのJuniorの男の子が一人(UFはAT Programが2年間なのです)。今までの仕事に加えて、彼らを教育し沢山経験させ、良いATに育てる、ということもACIとして大事な役割になってきます。
つまり、a whole different world、a whole different deal、なのです。
始まって数日。まだまだ能率の良い仕事というのを模索中です。

さて、前置きが長くなりましたが、何とか月・火・水・木と乗り切って、今日は金曜日。
今日が終われば週末。やっと一息つけるようになります。ここはしっかり頑張っておきたい。
今までは文字通り丸一日働いていましたが、今日はJV&FもVも午前中いっぱいの練習のみ。
1時半くらいには帰れるじゃん!とAT Staff全員密かに喜んでいたのですが、それでも今日からFull Gearでガチガチ当たり始めるので、まぁどんな怪我が飛び出るやら、と少し不安でもありました。

b0112009_3423434.jpgその不安は見事的中。
練習も中盤に差し掛かるころ、コーチが“Trainer!!!!”と叫ぶので
何事かと思ったら、一人の選手の小指が有らぬ方向を向いています。
ぬおおっ、Finger Dislocation(脱臼)。
(←写真はイメージ)

Finger DislocationはUndergrad時代に見たことがありました。
Seniorのある日、自分の担当ではなかったバスケットボールの試合を観戦に行ったとき、
アスリートではない大学の一般学生が私のところに来てこう聞いたことがありました。
“Are you a trainer?”
なので、あ、はい、今は非番ですけど学生トレーナーですよ、どうしました、と聞くと、
“実は今、外で友達とfootballをして遊んでいたんだけど…これ直せる?”と、連れてきた
友人の背中を押して前に出しました。見ると、うおぁっ、見事なまでのFinger Dislocation。
彼らはどうしていいかわからず、トレーナーがいるかもと思ってここまで来たらしいのです。
そして恐らくどこかで私の顔を見たことがあったのでしょう、声をかけてきたというわけです。
当時まだ私はcertifiedでもなかったのですぐにStaff ATCを呼んで、彼女が彼の指をひょいっと直すのを興味津々で見ていました。指の脱臼はまだ脱臼の中じゃカワイイもんですが、初めて目の前で見て、そのエグさに“結構度肝を抜かれるもんだわ”と妙に関心したのを覚えています。

そうなんです、その状況がまさに今目の前に。
そして私は今や学生トレーナーではなくACIの立場。私が直さなくてはいけません。
b0112009_374963.jpg
脱臼は“間接が外れたまま動かなくなってしまった”状態のこと。どの関節にも起こりえます。
(ちなみに亜脱臼は“一回外れたけどすぐ戻った”状態のこと。英語ではSudluxation)
肩、膝、指、顎、肘、股関節…。でもどこに起ころうとも、脱臼を治す方法は基本的に一緒です。
Proximal Jointを固定しDistal Jointを引っ張ってTraction Force(牽引力)をかけてやり、
Joint Spaceを広げてやった上でぱこりと戻すのです。
そうです、理屈は分かっています。
イメージも頭の中にあります。
ただ、実際やったことが一回もないんです!

冷や汗が出そうになったけれど、混乱している時間もありませんしそういう立場でもありません。
どんなことにだって“初めて”はある。これはもうやるしかない。
こんなのは見慣れた風景、といった表情を装って、
よしよし、大丈夫にしてやるからこっちおいで、と顔面蒼白気味な選手を引っ張ってきて、
彼の正面に自分が背を向けて立つようにして視界を遮り
(見えていると選手がパニックになる可能性があります、
誰だって自分の指が明後日の方向を向いているのを見たら気持ちが悪くなるでしょう)、
指を引っ張る。ぐ、全然動かない。もっともっと引っ張る。ぬぬぅ、まだ戻らない。
彼の手も汗をかいていて滑るので、Tシャツでさっと拭き、もう一回。
3度目にぐぐぐっと引っ張ったときに、ぱこり、指が戻りました。

その瞬間選手の顔にぱっと血の気が戻り、“うわっ、すごい、全然痛くない!"と笑顔。
“うひゃーうわーすげー!”とアドレナリン効果もあってかめちゃめちゃハイ(笑)。
周りに居合わせた選手たちも拍手喝采で大喜び。何人かからはハイタッチを求められました(笑)。
はいはいちょっと見せてね、と選手を落ち着かせて、ROMと痛みをチェック。
No pain, Perfect ROM, Brisk capillary refill, No neurological damage, Negative Tap Test。
うむ、完璧!
よし、戻っていいけど、練習終わったら絶対ATRに来なさいよ!と何回か念を押して、
選手はぴゅーーっと練習に戻っていきました。
と、共にぐったりしたのはこっちです。よ、良かった、上手くできた…。
とりあえず一安心です。初めてにしては我ながら大成功。しかし、自分の指の関節を引っ張ったら簡単にspaceが空くのに、脱臼を直すとなると半端じゃない強い力で引っ張らないとだめなんだなぁ…というのがやってみた感想。

まぁともあれ彼は平気だし、良かった良かった。
と、安心してまた仕事を続けていたその15分後。
一人の選手が手を押さえて私のところへ走ってくるので、
“どうしたー?怪我ー?”と聞くと、“指、お、折れてると思う…”という彼。
見ると、うわっ、折れてないけど、折れてないけどさ、明後日の方向、また脱臼ですよ!
“骨折じゃなくて脱臼だね、Alright I got you buddy, don't worry!”と笑顔で言いながら、
本当は少しばかり泣きたくなったのですが、それでもやるべきことをやるのが先!
さっきの反省を踏まえて、しっかり握って引っ張ってみる。むむ、足りないか。
頼むぞ、動いてくれ、これでどうだ、と2度目にもうちょっと強く引くと、ぱこり、おおっ、戻ったー。
“うわっ、すげー。折れてなかったんだね!元通りだー!”と、
共通しているのは戻した後選手がハイになること(笑)。分かったからちょっと落ち着きなさいっ。
また全部確認してみるも、全く問題無し。練習後に私のところに来るようにと同じ指示を出し、
練習に駆け戻っていく彼の姿を見ながらまた大きなため息。ふあー、よかったー。

横で見ていたATSに、“実はさっきのが初めてで、これが2回目なんだよね、やるの”と、
にっこり白状すると“でも完璧だった、すごい!”と目を真ん丸くして返してくれました。
今回本当に大事だと思ったのは、イメージをしっかり自分の中に持つこと。
SpineboardやCPR、こういった脱臼のReduction等、“練習をしたり教わったりは数多くするけれど、実際にやれるチャンスはなかなか無い”というものって、特にこの職業においては多くあると思います。そういったことでも、自分が実際そういう状況に置かれたらどう動くのか?をイメージとして頭の中に常に持っておき、常にあらゆる可能性を考えてそれらに対してreadyでいることってめちゃめちゃ大事です。
Undergrad時代にJasonが “You study for today or study for tomorrow? Everyday is a test.”と言っていた意味が今なら本当によく分かります。
いつ“テスト”されるか分からない、いや、毎日の仕事がまさにテストそのもの。
それが“現場で働く”ということなのです。

いやはや、今日は本当に貴重な体験をしました。
ちなみに練習の後コドモたちをそれぞれもう一回チェックしましたが、
若干の腫れがあるものの痛みは皆無で、状態は良好です。コーチにも仕事ぶりが素晴らしいと褒めてもらって、とりあえず最初の一週間は全力で頑張ったぞ!と言い切れます。
さて、週末も少しやることやって、しっかり休んで来週に備えますか。
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  by supersy | 2008-08-15 02:30 | Athletic Training | Comments(3)

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