カテゴリ:Athletic Training( 412 )

 

ひとりじゃない。

一人で働いているのだけれど、一人じゃない、と思うことがよくある。
選手と話していて、“こういう説明のしかた、あの人がしてたよなぁ”とか、
“このテーピング、この人がしてたの見て盗んだんだっけ”とか、
“こういうアプローチの仕方はこの人が教えてくれたんだ”とか、
今までに関わってきたAT全ての人の痕跡を、自分の中に垣間見ることが本当に多いからだ。
全ての人の技術と知識と個性が自分の中にまだまだ鮮やかに息づいていて、
その人が横に立って見ててくれるような錯覚に陥ることもある。不思議なものだ。
全てを一人でやらなければいけない、という事実にどうしようもなく圧倒されるときもあるけれど、
私と言う一人のトレーナーが何人ものATに支えられて出来たものなのだと考えると、まるで自分の身体からむくむく何本もの手足が生えてくる気さえする。できちゃいそうな気がしてくるのだ。

この感覚は、きっとこれからも、大事だ。
取っておこう取っておこう。

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さて、今日は金曜日、つまり、今日を乗り越えれば週末オフ!
…だったのだけれど、大きな怪我が起きてしまった。
私のimpressionではそう大きくないのだけれど、でも大きい可能性も否定できない。
起きてしまったのが金曜日の夕方だったので、恐らく親御さんにERに連れて行ってもらうしかないだろう…。一応Shandsに電話して確認してみるも、やっぱり同じことを言われる。
親御さんに報告の手紙を書いて、選手にも帰宅後の処置を何度も確認する。
ひどいものでないことを願うけれど…。ここから先の判断は、お医者さんに任せるしかない。
初めてのこういう怪我は、ちょっとショックです。

私の仕事は皆をできるだけFieldに留めておくこと、でもそのためには、協力し合わないといけないんだよ。怪我がある人は、きちんと私に話しに来る、それがキミたちの仕事だよ。
…という話を昨日したら、今日のAT roomはてんやわんや。メモを取りながら次々とevaluation。ざっと10コ以上はしたでしょうか。SOAP noteに起こさなければっ。
怪我が大体把握できたら、身体の中で何が起こっているのかをしっかり説明すると彼らも非常に納得してくれます。絵を描いて見せたり、教科書を引っ張り出してきたり、机の上の膝の模型を使ったり。(恐らくこれが私のオフィスにあるものの中で一番高価じゃないかと思うんですが…)
だからこそ、Initial evaluationはとても大事、時間もたっぷり使いたいのですけれど…
なかなかそうもいかないですね。もっと上手くなりたいなぁ、色々。

体力的精神的に疲れる忙しい一日でしたけど、そんな中とっても嬉しいこともありました。
アメリカ人って、“家族を皆日本に残してアメリカに来た”という事実に皆結構びっくりするんですよね。私自身は夢を追った結果こうなった、って感じだし、周りにもそんな人ばかりなので、ある意味何てことないことなんですが。お昼休みももう終わりという頃にぱたぱたと、さっき診たばかりなのに、“もっかい診て”と遊びにやってきた2人の男の子。あれこれ雑談しているうちにその話になって、やっぱり“ええ、家族誰もこっちにいないの?”とびっくりされました。
そしたら彼らがとびきり真剣な顔で、“Sy、ここにいる間は僕らがSyの家族になってあげるからね!”と。私としては、選手やコーチとはやっぱり一線引いて付き合わないといけないわけですから、家族のような全てオープンな関係には到底なれないのですけれど、なるつもりもないのですけれど、でも、この気持ちが何だか暖かくて、素直に嬉しいと思ってしまいました。

スポーツチームの関係って特殊ですよね、沢山の時を共にして、ひとつの目標を共有して、涙も汗も勝利の喜びも全部分かち合う。皆のために自分が動く、自分のために皆が動いてくれる。絶対的な信頼感。それは、家族に匹敵するほどの固い絆で。

ねぇ、家族にはなれないかもしれないけど、そんな風になれたらとは、
48才のおねーさんも思っているのだよ、コドモたち。
僕らはやっぱり、ひとりじゃないのだねぇ。
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  by supersy | 2007-08-10 23:59 | Athletic Training | Comments(4)

ちょっと休憩。

今日も良い一日でした。でもさすがに疲れた。今日は更新お休みします。
明日からは仕事も増えるので、もっと早く出勤しないとならないのです。
だから、もうちょっとしたら寝ちゃいます(笑)。6:15には出たいから、5:15起き??
なるべく文句は言わないようにしたいけれど、やっぱり遠い職場は不便だなぁー。
Wranglersのときはもっともっと遠かったんですけどね。
でも疲れてるときの運転ってやっぱり嬉しいもんじゃないですよね。

しっかり寝て、明日も元気で頑張るぞう。
日本では、お盆の時期ですね。夏祭り、花火大会、色々ある頃なのかなぁ。
アメリカで日本の夏を恋しく思ってる皆様に、こんなサイトはどうでしょう。
花火(High)がオススメですよ、ちょっと重たいですけど。
NFLのインターンを頑張ってる皆さんにも、大学でFootballやVolleyballの2-a-days真っ只中の皆さんにも、毎日少しでも心休まる時間がありますように。
アメリカ中で頑張ってる仲間の姿を胸に、私ももっともっと頑張ります。
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  by supersy | 2007-08-09 20:30 | Athletic Training | Comments(3)

2-a-days。

さて、今日はFootball 2-a-days(二部練)初日でした!思えば、Texas StateのFootballに始まり、Volleyball、Austin Wranglersと、2-a-daysの経験ももう4シーズン目。体力配分はわきまえたもの…と言いたいところですが、40人ものアスリートをいっぺんに見るのは初めてなのでやっぱり疲れました。

でも、高校生諸君は可愛らしい!
ADのBJに少し脅されていて(あ、Athletic DirectorのBJという名前の人です)、
すれた子が多いんじゃないかと勝手に構えていたのですが、
朝の練習が始まる前にはあっという間に皆に囲まれて、“名前なんていうの?”と一斉に聞かれたし、私が何かを言えば“Yes, Ma'am”と礼儀正しい挨拶を返してくれる子もたくさんだし、
午後の練習の前には気がついたら大勢AT Roomに集まっていて、皆が騒いでいる始末。
見慣れぬ新参者の日本人に興味津々のようです。
本当は用がないなら追い出したほうがいいんでしょうが、まだ皆の名前も把握しきっていないこのタイミングだからコミュニケーションに丁度いいかな、と付き合っておしゃべりしてました。
“年いくつ?”と恒例の質問をされたので、48才、と答えてやったら皆びっくり仰天。
“うそだぁぁ、うそだぁぁぁあ!!!”と大騒ぎするので、“日本人は平均寿命が世界一なんだよ。だから48才でも若く見えるんだから”と有ること無いこと言うと、まだ疑いながらも軽く信じだす純粋な子供たち(笑)。それを楽しんでる私はもうすっかり黒ずんだ悪いオトナなのでしょうか。

馬鹿なことを言っていても、やることはやります。40人のFootball playersを相手にひとりで、12本しかないウォーターボトルで水を回すのは至難の技。しかーし。できないことではない。
練習中はフィールドをくるくる回りながらボトルを注ぎ足して注ぎ足して、ずっと歩き回っていました。フロリダはやっぱり気温と湿度が高いから、もう汗がぼたぼた垂れるくらいでしたが、選手の汗も尋常じゃなかったのでこれをサボるわけにもいきません。日陰なんかありませんしね。
あんまりこういう風に、小まめに水が行き渡るように動くATはここに今までいなかったようで、
“Well somebody cares!” “You making me happy!”とびっくりして選手も喜んでくれたようです。あとで目をまんまるくして、“水遣りの仕事してて楽しい?”と聞いてきたちっちゃい可愛らしい子がいたのですが、にっこりして“楽しいよ、これも大事な仕事だからね”と言ったらさらにびっくりして目をまんまるくしてました。いやいや、楽しいよ、皆が元気に練習をしているのを見るのは、トレーナーの大事な楽しみですよ。だから、なるべく怪我とかしないでよ、皆。

とりあえず仕事は要領が分かったし、上手く回せそうな気がしてきたので、
明日からはもっと突っ込んだ仕事をやっていきたいと思います。
コーチの中で沖縄→テキサス→フロリダ、という私と似たような場所を転々としてきた人もいるし、実はTxState時代の同じカンファレンスの宿敵・Nicholls StateのFootball出身のコーチもいたりで(しかも2005年、同校とウチが同率カンファレンスチャンプになった年、私が働いていた試合でどうやらプレーしていたみたい)、世間の狭さも実感中です。面白いもんですね。

初日にしてはいい土台ができました。
明日ももっともっと頑張ります!早く寝ないとキツイけど!おやすみなさい!
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  by supersy | 2007-08-08 22:15 | Athletic Training | Comments(2)

The Very First Meeting。

今日はUFで色々なerrandをやっつけたあと、高校に行ってきました。
練習が本格的に始まるのは水曜日からだからその日から来てくれれば、とフットボールのコーチに言われていたのですが、後日思い直して、その前に確認しておきたいことがいくつかあるので、と空いている時間を聞き出してMeetingを取り付けたのです。
練習を見るだけが私たちの仕事ではありません、その前にやっておかなければいけないことは、もう、無限のようにあるのです。例えば、サンダーストームが来たときの練習はどうするのか?脳震盪を起こした選手を試合に戻してもいいのか?水分補給はどういう風に行なっていくか?水休憩はどれくらいの頻度で取るのか?ATとコーチの間で意見の相違が生まれそうな場面はいくつもあります。ATは選手の健康を優先したいですが、コーチは中身のある有意義な練習をしたいでしょうし、試合ではこの選手を外すことはできない、というこだわりもあるでしょうしね。そういったトピックについて、今のうちにお互いが満足できるポイントを見つけておかなければ、いざというときにあたふたすることになります。
Concussion、Asthma、Heat illness、Fluid replacement、EAP…。
私の持てる知識の中で、簡潔かつ分かりやすくこれらをハンドアウトにまとめ、コーチたちに説明してきました。いわゆる、私たちATのPositional Statementsっていうやつです。

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その中で、職業として別に特別な規定はないけれど、
私としては明確にしておきたい事柄を、Personal Statementとして織り交ぜました。
例えば、ここでは服装について口うるさく言う上司はいないし、携帯の使用についても同じです。
でも、私はこういうことも、一人でもプロとしてしっかり模範になるような行動をしていたいし、
それをはっきり書類として文面に残して、コーチたちの前で宣言しておきたいと思ったのです。
自分への戒めにもなりますから。

服装について、”カーキにベルト、UFの青のシャツ、テニスシューズ、もしお気になさらないなら帽子被ることもあるかと思いますが…”と説明しているときに、思わずこんな言葉が口をついてでました。

“I want to project the positive image of this profession.”

今まで、“男を狩りに来てるの?”と言いたくなるホットパンツのような短いパンツを履いている子とか、長いピアスをじゃらじゃら付けてる子とか、マニキュアを塗ってる子とか、長い髪をばさばさしながら仕事をしている子とか、思わず目を覆いたくなるような色んなATを見てきました。
男性トレーナーについても同じです。Tシャツをだらっと出している人、穴の開いているぶかぶかのカーキを履いている人、髪の毛がぼさぼさだったり、派手に染めていたり。

私がこれから仕事をするのは高校生のアスリート。
彼らにはまだまだアスリートとして先があり、こういう人たちをATだと思ってこれから過ごしてほしくありません。そのためにも、服装と身だしなみはとっても大事だと思うんです。
アクセサリーは最低限に、できればバスパンのような短パンも避ける、髪は縛って上げておく。
それでいてかちかちしすぎず動きやすく、小奇麗に、さっぱり、清潔感のある身だしなみで。
細かいことだと言われそうですけど、職業に対するイメージって結構こういう細かいことで決まる気がするんですよね。私が以前塾講師のバイトをしていたときに、先輩の先生からこんなことを言われた覚えがあります。“ボス猿はボス猿らしく見えなきゃいけないんだ”、つまり、教室においては“先生”がボス猿。生徒を率いるものとして、ボスらしくしっかりとした服装をしているべきだ、と。事実、その先生は、どんなに時間ぎりぎりに塾に入っても授業前には必ずかちっとスーツに着替えていました。なるほどなぁーと思ったのを今でも覚えています。
それと同じで、これから彼らが“Athletic Trainer”という言葉を耳にしたときに、思い浮かべるのは私の姿かもしれない。そのときに、それがpositiveなものになるかnegativeなものになるかはこれからの私が、私自身をどうrepresentしていくかにかかっていると思うんです。
それが、先の言葉につながるわけです。
私は一人のATCとして、この仕事を愛するものとして、positiveなイメージを発信していきます。
アメリカは基本的にeasy goingな国ですが、それに流されてはいけないときもありますからね。
まぁ、A型の私らしいこだわりだと思ってください(笑)。

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ともかく、今日のコーチたちとの話は非常に有意義なものでした。
専門的な話も多々あったので、つまらない顔をされるかと心配していたのですが、なるほどそうだよね、とか、それは知らなかった、勉強になる、とか、皆真剣に聞いてくれて、メモを取りながら熱心に聞いてくれた方もいました。やった甲斐もあるというものです。こういう場合は脳震盪の患者をフィールドに戻せないというのが私のbottom lineです、とか、雷がこの距離にあるときは練習を中止して建物の中に入らないといけません、とかいう、かなりズバっとした話をしても、もっと反論されるかと思ったのですが、質問こそあったものの皆さん納得していただけたようで、“そこはキミのほうが専門だから、その判断に任せるよ”と言ってもらえました。
練習や試合になったらコーチの人格が変わる可能性はありますが(笑)、
滑り出しは順調と言えそうです。
あー、頑張ってよかった!
睡眠時間削って準備してよかった!
疲れましたが、心地よい疲労感です。


明日からはいよいよ練習!
人生4度目の2-a-days!!!
朝早いですが、頑張ってきます。
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  by supersy | 2007-08-07 21:30 | Athletic Training | Comments(3)

Document, Document, Document EVERYTHING!!

本格的な2-a-daysが始まるのは水曜日ですが、明日の火曜日にはコーチやADとのMeetingをセットアップしました。練習が始まる前に、同じ目線で同じ角度からモノを見てるかどうか確認しておかないと!それに向けて山のような書類を作成中です。パソコンの見すぎと脳みその使いすぎで頭が痛くなってきましたが、これもやらなければいけない大事な仕事なのです。

只今製作中の書類:Position statement(Concussion, Asthma, Heat illness & Fluid replacement, Lightning, EAP etc)をコーチたちスタッフ陣にも分かりやすくまとめたプリント、親御さんへの手紙、選手の保険の情報、保護者の私に対する医療行為許可書、それから私自身のLiability insuranceや大学関係の書類…。。。

明日のMeetingではAEDの場所を確認しておかないといけないし、スタッフの中でどれほどCPRの訓練をつんだ人がいるのか調べなきゃいけないし、選手全員のMedical Recordをチェックして、アレルギーとか過去の怪我とか把握しておかないと。School nurseとも会っておかないといけないけど…明日はいないかなぁ。練習スケジュールを手に入れてそれをDr. Doverに報告しないと彼もこっちを訪問できないし、ああそれからMeetingの最後には、内容を理解しましたっていう書類も出してサインしてもらわなきゃ。とにかく目に見える証拠を残しておくのが私にとってこれから一番のProtectionです。DOCUMENT EVERYTHING!!

目が回る思いです。

しかしやるっきゃない。

ほぼ書類製作は終わりました。
さて、しっかり寝て、朝ちゃんと起きて、Meetingでしゃべることをまとめておこう。
オヤスミナサイ。。。
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  by supersy | 2007-08-06 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

Orientation 2日目。

さて、今日はオリエンテーション2日目。
昨日とほとんど同じようなスケジュールで、色々大事なお話を聞きました。
これからお世話になるであろう沢山の方のお話はありがたい。
でも一気に情報が入って来すぎでちょっと脳みそがoverloadされてます。
むーん、本当の要領はいっぺんthoughtlyに自分で実際やってみないとわからないですよね、
とりあえずしっかり教わったことは頭に入れて、焦らずそれから自分で覚えていこう。

そうそう、今日もCPR講習の後半があったんですが、
今回の講師を務めてくださっているBob氏は病院のERで30年も働いていたような、すごく現場のことを知ってる人。CPR、rescue breathing、care for obstructed airwayを何度もその目で見てきてその手で処置してきた、私にはないレベルの経験がある方なんです。
その方が言ってました。“CPR中とか後とか違いことあれど、吐かない患者なんていないよ。”
えええっ、まじすか。いや、実際ね、吐く危険性があるのは知っていますし、”吐いたときは横に向けて嘔吐物を出さないと、それが気道を塞いでしまう”とかそういうのは教わりますけど、
そんなに100%に近い確率で吐くものだとは知りませんでした。

そもそも私は以前に、人工呼吸時に勢い良く大量の空気を吹き込んでしまうと、胃の中に空気が入ってしまい、それが原因になって患者をthrow upさせる、って習ったんですね。
これはもちろん事実。患者は意識を失った状態では全ての筋肉がrelaxしてますから、
この状態でtoo quicklyにtoo much airを吹き入れると胃の中にもその空気が送り込まれてしまって、反動で嘔吐してしまうんです。本来はゆっくりと胸の上下が肉眼で確認できる程度に空気を吹き込むものですが、人工呼吸の最中にヒューヒューというhissing soundsが聞こえてきたらやりすぎ、胃の中に空気が入ってしまった証拠!

ただ、私が今回初めて知ったのは、嘔吐の原因はこれだけではないということ。
呼吸が停止し、体内の酸素が減ると同時にelectrolytesも身体から出てしまい、体内pHが下がる(=酸性状態になる)という現象が起きます。これによって胃がirritatedされacid reflexを起こし、vomitするという仕組みのようです。gaggling(喉の奥からのゴロゴロするような音)が聞こえてきたら嘔吐が近いので、患者を横に向けて出させて上げましょう。
すごいなー、こういうのはやっぱりやってきてる人じゃないと分からないですよね。

あとですね、AHAのガイドラインが近年で大きく変わったのはATの方ならご存知だと思うんですけれど、新しいやり方ではAEDとCPRの連携が非常にemphasizedされてますよね。
今までだったら、心停止した患者に一刻も早くAEDを持ってきて、とにかく電気ショック電気ショック、心拍が確認されるまでビリビリ繰り返す、という感じでした。
これが、現在では、
  ●倒れた現場を見ている人がいる場合、AEDが到着次第即座に使用を開始するが、
   もし倒れた状態で発見された(=いつから倒れているか不明な)場合、仮にAEDが現場に
   届いても、2分間 or 5 cycles of CPRを行なうまでAEDの電源を入れるのを待つ。
  ●AEDを使って電気ショックを与えたあと、問答無用で即座に2分間 or 5 cyclesの
   CPRを行なう。心拍・脈の確認や、2度目のショック(必要であれば)は、その後。
という風に変更されています。つまり、状況によってはAEDによる電気ショックの前に、CPRを挟んだほうがいいという考えが見て取れますよね。これは、心臓に充分な酸素がない状態では電気ショックを与えても蘇生する確率は低いことからだそうです。
AEDの正式名称は、Automated External Defibrillator。日本語で、自動体外式除細動器。
心臓が血液をpumpするいわば重要なエンジン部であり、
その収縮によって血液が動かされ、全身を循環するというのは皆さんご存知ですよね。
しかーし、心臓の収縮って実は結構複雑なメカニズムでできているんです。効果的な収縮のためには、心臓の中でも特別な部分が特別の順番で収縮していかないとダメなんです。Aが収縮し、次にBが収縮し、そしてC部分が収縮する、という順番が完成することによって、初めて一つの“心拍”がcompleteする。スポーツやコンサートで観客が作るwaveと似てます、あれは、人が順番に立っていくからキレイに波ができるんであって、全員が好き勝手に立ったり座ったりしていたらはちゃめちゃですよね。心臓においては、この“はちゃめちゃ状態”が心室細動と呼ばれる状態なのです、順番を無視してあちこちが同時にfireしてしまって、ちゃんとした心拍を作れず、心臓が痙攣を起こしたようになってしまいます。
この細動を除去するのが除細動器の役目。正にその名の通り。
バン!と電気ショックを与え、はちゃめちゃなelectrical activityを全てシャットダウン・リセットすることによって、心臓各所がまた正しい順番で動き出してくれることが狙いです。
ただ、リセットすることはできても、また正しい心拍が復活してくれるかどうかは心臓のコンディションにかかってます。このとき心筋に酸素を充分含む血液が行き渡っていればいるほど、正しく動き出す確率が上がるようです。だから、ショックを与える前にCPRをしたほうが良いってことになったんでしょうね。これもちゃんと説明してもらったのは初めてだったので、やっと納得ができました。

人の顔と名前を覚えるのが苦手な私はまだまだ上級生と同級生を全員認識できてませんが、
まぁまだまだ時間はあるのでぼちぼち行きましょう。動け、動け、強くあれ、自分。
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  by supersy | 2007-08-03 23:59 | Athletic Training | Comments(3)

GA Orientation一日目。

今日はGAたちのOrientationがありました!
授業登録のことからACIとしてのイロハ、HIPAA等の法律関係の問題など散々叩き込まれて、
更にはテーピング等のAthletic Training用品の会社からお偉いさんが来て下さって
新製品の解説までしてくれました。そう、これからは予算のやりくりから商品の注文まで
私たちがやらないといけないから、GAはある意味格好の販売ターゲットなんですよね(笑)。
でもすっごくひょうきんなおじさまで、面白い商品を沢山紹介してくれました。
その後は全員でProfessional CPRの講習。
CPRの資格は一年で切れるのでその都度更新しなきゃいけません。
2月に受講した私はまだあと半年有効…なんですが、皆で一緒に受けておけば、皆同じ時期に
切れるから、大学側がまたまとめて皆で受けさせることが出来る、という理由で全員強制受講。
お金払わなくてもいいから嬉しいけど、時間がみっちりかかるんですよね、コレ…。
スタンダードな心肺蘇生や人工呼吸から、食べ物等で喉が詰まった場合の対処法、
2人でやるCPR、パンプを用いてやる人工呼吸、AEDの使い方、等をおさらいしていきます。
今日は2時間講習して、明日また2時間やって終わりです。ふーー。

8-1:30までぶっ通しのオリエンテーションが終わった後は、各自のsiteに行ってきましょう、
ということで、私はUFから車で30分近く離れた隣町の高校まで行ってきました。
私がこれから一年働く高校。初めて行く高校。どきどきわくわくしながら向かったのですが、
道中お店も何にもないあまりの田舎な風景に、“これはもしや僻地に飛ばされたと思ったけど
まさにその通りだわ…”と言葉を失いながら運転していました(笑)。
なんかすごいところに行っちゃいそうな予感。
高校に着いて、とりあえずAthletic Directorに会わねばと、道行く人に尋ねてみると、
“あー彼は今Football Stadiumのほうにいるよ”とのこと。
道を教えてもらって、また車を少し走らせて、やっと辿り着くことができました。

…。

とはいえ。
ここ、Football Stadiumっていうか全然“Stadium”じゃないですね。
均等でないボコボコ芝が広がってる脇に、観客席が並んでる、って感じ。
やっぱりもしかして、すごいとこに来ちゃいました?
しかも大勢ですごいフィールドを工事してる。生え放題伸び放題の雑草やツタや低い木をバシバシ落として、ミニブルドーザーとかでそれをごごごーって運んで捨ててるんですよ。これから始まるFootballシーズンに向けて準備してるみたいです。雨の中、大変ですねぇ。

…。

はて。
ADさんはどこなんでしょう?ちょっと歩いてみてもそれらしい部屋も見つかりません。
とことこ工事中のおじさんがたまたまこっちへやってきたので、
S: Athletic DirectorのBJさんって人知ってます?ここにいるって聞いたんですけど…
?: あー、それは俺だよ、キミは?
S: University of FloridaのSyです、
  これから一年Athletic Trainerとしてお世話になるので挨拶に来ました。
?: わー、遠いところから来たね。ははー、ごめん、さっきのはうそ。
  俺は今日ここで働いてるだけなんだ。スピード違反でチケット切られすぎてね、
  Community Serviceで働きに来てるんだよ。
  ADは知らないけど、スタッフの人があっちにいるから聞いてみよう。

…。
Community Serviceしてるってことは、裁判で有罪になったってことで…。
あそこらへん皆そう?も、もしかしてすごいとこに来ちゃいました?

その人にとりあえず着いていってみると、おーい、コーチ!と彼が声をかけたのは、
ミニブルドーザーを運転してるガタイのいいおじさん。何と彼がHead Coachだったんです。
へ、ヘッドコーチが自らブルドーザー運転してフィールドの整備!
もも、もしかしてすごいとこに来ちゃいました?

でもコーチはすごく良い人で、自己紹介をしたあとにホンモノのADのところまで案内してくれました。Athletic Directorって私は勝手に年齢のいった方を想像してましたが、実際は非常に若い好青年、って感じの人でした。しっかしやっぱり例によって、彼も作業していたので汗まみれで泥だらけ。“握手はしないほうがいいね、ごめんねドロドロで”って笑ってました。

それから彼に高校を案内してもらって、オフィスとかAT roomとか練習場とか、
これから仕事をすることになる上で知っておくべき場所を色々見せてもらいました。
最後に行ったGymであれこれ話し込んでいたら、すぐ脇でぱちゃ、という音が。
B: 今の聞いた?
S: 聞きました、っていうか見ました。ここ、天井雨漏れしてますね。
B: …。
S&B: ま、おいおい何とかしていきましょう。
もしかして、もしかしなくても、すごいとこに来ちゃいました、ね。

そんなわけでインパクトあること極まりない高校初日でしたが、
いい人たちばかりだし、ああいう環境でチカラをどう発揮するかが腕の見せ所。
ここで何が出来るか、これが全てなのだ、と自分に言い聞かせて帰ってきました。
とにかくThink positive, Stay positive!!!!!!!!
不安のほうが今は大きいですが、それでも前任がいたわけですし私も私らしくやるしかありませんね!とりあえず明日もオリエンテーションは続きますし、早速クイズもあって勉強しなきゃいけないので、今日はこのへんで。オヤスミナサイ!
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  by supersy | 2007-08-02 23:59 | Athletic Training | Comments(0)

水分補給/脱水指針101。

b0112009_041381.jpg
暑いですねぇ。夏ですねぇ。これからもっと暑くなっちゃうんでしょうねぇ。
テキサスからフロリダという、南部→南部の移動をした私。
5年以上もの南部生活で暑さには大部慣れてきたとはいえ、やっぱり暑いとは感じます。
でもやっぱりテキサスの暑さとフロリダの暑さは違いますね!
テキサスは日差しの強さがもうやばい。炎天下の中立っていると、肌が焦げて死んでいく
感じがするんです。あー、細胞が今またひとつその命を失っていく…っていうのが分かる(笑)。
一方フロリダは、日差しはテキサスに比べてmildなんですが、やっぱり湿気がありますね。
汗をかいてもじとっと肌の上に留まるので、べとべとします。

さて、この間テニスをしているとき、友人に、
“そういえばスポーツをしているときにはどういう飲み物を飲むのがいいの?” と質問されて、

 ・炭酸とカフェインは避ける
 ・小一時間くらいわいわいレクリエーション目的でスポーツする程度だったら水で充分
 ・でも2時間3時間も例えば炎天下でintenseな運動をするときには発汗によって失われる
  electrolytes(電解質)を補給するためにスポーツドリンクを飲むと良い

なんて話をしてました。

●カフェインはダメ
意外に知らない方が多いんですが、カフェインには利尿作用があるので、
これをスポーツ中に飲んでいると、給水しながら脱水してることになります。
何て言うんでしょう、水分がカラダに吸収されずに、そのまま流れていっちゃう、って感じ。
これじゃー意味ありませんし、運動中トイレに何度も行きたくもないでしょう?
お茶類にはカフェインが入ってます。高校の部活に久しぶりに顔を出したら、選手がパックで緑茶や玄米茶を飲んでいてびっくりしたことがありました。麦茶はカフェインレス、ほうじ茶もかなりカフェイン少なめですので、お茶を飲むのが好きな人はそっちにしましょう。
コーラやDr. Pepperなどの炭酸類にも大量にカフェインが含まれています。
pump upしたいからとenergy drink飲む人もいるかも知れませんが、
これもカフェインが大量に入っているのでもってのほか!Red Bullのカフェイン量とかやばいですよ、今度ラベル見てみてください。試合前に飲んでるathletes見たことありますけどね。

●糖分摂りすぎに注意
Gatorageはスポーツドリンクとしては一般的に良いと言われています。
別にUFびいきしてるんじゃなくて、CMで言われてるみたいに最も研究されているスポーツドリンクですからね。Research-based、Research-approvedという信頼性はこの世界では強い盾です。一方でPowerageは研究が圧倒的に少ないほか、糖分が多すぎると言われていて、水で2倍くらいに薄めて飲むと丁度良いくらいです。
あんまり糖分の高いものを飲んでしまうと一気に血糖値が上がり(hyperglycemia)、
その後一気に血糖値が下がる(hypoglycemia)ので良くないです、気分が悪くなっちゃったりします。アメリカでも最近ほんのり味のドリンク増えてきてますから、糖分は控えめのものを選びましょう。

●飲み物の温度
冷たすぎるものを飲むとカラダがびっくりしちゃいますけど、適度に冷たいことも体温調節には重要。40~50°F(4.5~10℃)くらいが良いと言われています。冷蔵庫くらいの温度ですね。

●喉渇いてないから…
と運動中でもあまり水分を取らない人がいますが、喉が渇いたら飲む、では遅いんです!
この世界では“Thirst is NOT an indication of when to drink”と煩く言われますが、
これは、人は喉が渇いたと感じる時点で既に軽い脱水状態にあるからです。
喉の渇きを感じる→体重の1-2%に相当する水分が失われている、ってことなんですね。
1-2%なんて大したことなく聞こえるかもしれませんが、3%でcaution、
5%で命に関わりうるserious dehydrationと言われるくらいですから結構な数字です。
75kgの成人と考えたら1-2%って0.75~1.5Lもありますしね。
喉が渇く前に未然に水分補給するのが一番、それでも万が一喉の渇きを感じたら、
カラダが出してるサインに素早く対応して、速やかに水分を取るようにしてください。
水分を取りすぎることを心配する人も多いですが、あんまりそれって起こらないんじゃないかと思います。苦しくなるまで自主的に水飲む人って…私は少なくとも見たことありませんし。
汗で出た分と全く同じだけの水分を飲むことが理想なんですが、
それって実は、自分が“このくらいでいいかな”と思う量よりちょっと多いくらいなんです。
つまり何が言いたいかというと、水分補給に対して臆病にならないでくださいね、ってことです。

●Before, during, after...and proper rehydration
運動前、最中、そして終わった後にも、コンスタントに水分を取るようにしましょう。
運動前と運動後で体重を比べてみて、それが同じになるように水分補給できれば理想的です。
ダイエットしてる人って、運動前と後で体重測ったりして“やせてるー”って喜んでたりするでしょ。運動直後の体重の降下なんてアレは全部水分だから、減ってたらむしろダメなんですよ。ちゃんとrecoverしないと。カラダに余計な負担をかけないためにも、水分取って取り戻してください。心配しなくても、きちんと運動し続けていればちゃんと脂肪が燃えて徐々に体重が落ちてきます。

●Don't be old-school
私の昔の監督で、“私が選手だった頃は練習中水なんか飲ませてもらえなかったんだから!”
と私たち選手にまで水休憩をほとんど取ってくれなかった人がいましたが…
“我慢=美徳”なんて、21世紀にこんなold-schoolスタイルを引っ張るのはもうやめましょう。
ちゃんと水分取らなきゃ疲労たまるし、チカラは入らないし、performanceも落ちます。
それ以上に、選手の健康に関わることであり、命を失う危険性だって伴うわけです。
選手を危険にさらしてまで古いカタギを通すのはただの自己満足。
水休憩なしのぶっ続けの練習は今日の研究で悪いとハッキリ証明されていますからね。
水分補給の理想的な形は、選手がいつでも手を伸ばせるところに水がある、という環境。
ただ、そういうのを嫌うコーチさんもアメリカですら結構いますから、そこらへんはATとしてはコーチと上手くコミュニケーションを取って、一定の頻度で水休憩を取ってもらうようnegotiateしないといけません。こういうのも大事なATの仕事。Risk management能力です。

●Hydrateする習慣をつける
練習前、試合前に焦ってがぶがぶ水を飲んでみたって、
普段きちんと水分を取るクセがついていなければnon-effective。
カラダが水分をretainしておく習慣がないんですからそのままpeed outされて終わりです。
Athletic performanceと同じで、直前にああやろうこうやろうと工夫してみても練習してなきゃ本番でもできない。身体にhydrationする習慣を叩き込まなきゃダメなんです。
誰かさんみたいに、“あ、今日コーヒーしか飲んでない”なんて生活はとんでもない。
普段の生活から水分をきっちり取って、うるおわせてあげましょう。

●日常生活で、脱水かどうかを見極めるb0112009_1442315.gifには、幾つかの方法があります。
簡単なのは、自分の尿の色をチェックすること。左(←)が尿のカラーチャートですが、これは下に行くほど脱水していて、上に行くほど良いんです。つまり、明るい薄い色であればあるほど良くて、濃くて暗い色であるほど悪い、ってことです。1-3くらいまでならwell-hydratedですが、4あたりから怪しくなってきますね。
これは単純に尿の濃度に関係しています。脱水した状態だとカラダが少しでも多くの水分を身体の中に留めておこうとするので、尿として排出される水分が減らされ、老廃物はそのまま残りますから、尿の濃度が結果として上がるんです。だから濃い色=脱水、なんですね。
それから、水分を取ってからトイレに行きたくなるまでの時間、というのももうひとつの目安です。
(…トイレの話ばっかりでごめんなさい、でもとっても大事なんですコレ)
自分がトイレに行くときに、最後に水分を取ったのはいつだったかな?と自分に聞く癖をつけてみてください。これは非常に大事な質問なんです。これが“2時間以内”だったら合格です!
カラダが健康で適度に水分が体内にある状態で水分を取ると、当然余分になった水分は出さなきゃいけませんよね。約2時間でこのexcess waterはmetabolizedされ、尿として排出されます。
この“2時間”が自然な代謝のリズムによる数字なんです。
逆にこれが2時間たっても出てこないとなると、カラダがその水分を欲していたから排出せずに吸収した、ってことになります。つまり、カラダは脱水していた、ってことです。
もちろん2時間10分だったから不合格、とかそんなのではないんですけど、目安にね。でも、6時間も7時間もトイレに行かなくてもいい、っていうのは水分のリズムとしてはマズイんです。
こんな風に普段から自分が脱水しているのかどうか、見極める術は幾つかありますから、
皆さん普段からちょっと意識してみてくださいね。これから暑くなりますから、特に!

あ。話は戻るんですけど。
さっき長時間の激しい運動にはスポーツドリンクがただの水より効果的、と書きましたが、
スポーツドリンクの利点は他にもあります。それは、水だったら大して飲みたがらない選手もスポーツドリンクだったら飲む確率が上がる、ということ。これってつまり単に好き嫌いなわけですが、ATにとっては頭に入れておいて損はない重要なポイントです。アスリートが飲みたがってくれるならもうけもの、このチャンスを利用しない手はないじゃーありませんか。
働く施設のsupplyとbudgetと相談して、練習にスポーツドリンクを出す、
2倍に薄めて出す、試合の日限定で出すとか、工夫する余地は充分にあります。
その反動で水を更に飲まなくなるんじゃないかという指摘はご遠慮ください。
そこはcommunication&educateで何とかしましょう。

ああー、もうちょっと電解質の話をしたかったのですが、
例によって今日も長くなってしまったので、また今度へ続きます。
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  by supersy | 2007-07-31 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

心臓震盪と心挫傷。

母からのメールをきっかけに何となくネットで調べ物をしていたら、
ちょっと面白いことを見つけてしまいました。ので、今日はその話でも。

脳震盪(のうしんとう)って、皆さんにとってたまに耳にする、
わりかしfamiliarなコトバだと思うんですけど、心臓震盪という言葉は聞いたことありますか?

b0112009_11383776.jpg英語ではCommotio Cordisと呼ばれるこの症状、Athletic Trainerである私はもちろん授業で習ったことがあるのですが、実は私、Myocardial Contusion (Heart Contusion)の症状の現れ方のひとつだと思っていました。要は、心臓のContusionをしたときに震盪を起こして心停止する可能性がある、という風に理解していたんです。
実際のメカニズムはほとんどこれで合っているんですが、実は上の文章の書き方では間違いなんですね。と言うのも、調べてみたらどうやらCommotio CordisとMyocardial Contusionでは明確な違いがあるそう。うーむ新発見!

まず、冒頭の“心臓震盪”の説明からいきましょう。
英語名のCommotio Cordisは元はラテン語で、
“commotion of the heart(心臓の動揺・騒擾)という意味。文字通り、
心臓の鼓動に突然の乱れが起こり、死に至ることもある非常に稀ながらも危険な怪我です。
原因となるのは”a blunt, non-penetrating impact to the precordial region”
――つまり、鈍い(突き刺さったり中をえぐるようなタイプのForceではなく、どすっという鈍い感じ)、前胸部表面への衝撃。野球のボールやホッケーのパックが胸を直撃したり、ベンチプレス中にバーを自分の胸の上に落としてしまったりなどした時に、前胸部に受けた強い衝撃が心筋に伝道することによって起こります。当然このMOIから言えば、殴られるor交通事故に遭うor高いところから落ちる等でも起こりうるわけですが、統計的にはやはりスポーツ中、特に若い人の間に起こりやすいと言われています。
この衝撃が運悪くある特定のタイミングで心筋に到達すると、心臓のelectrical activityが乱れを起こし、arrhythmia(不整脈)、ventricular tachycardia(心室頻拍=>100 beats per minの異常に速い脈)、ventricular fibrillation(心室細動=心室の細かい不規則な震え)等を引き起こして心機能が停止し、結果Heart beatが止まり、CPR/AED等の適切な措置無しではまず患者は死亡してしまうことになります。いや、AED使ったって蘇生はそんなに簡単なことじゃないんですが。

…なんて書くとすごい怖いですよね。頼むよ心臓っ!って思いません?
もちろん上記のことは事実なんですけれど、それでも忘れてはいけないのが、
先に言ったようにこれが非常に稀なconditionである、ということ。心臓は強靭な組織ですし、周囲の骨や筋肉に守られていますからそうそうcollapseすることはありません。
私だって幸いなことに今のところコレを生で見たことはありませんしね。

そう、つまーり。逆に言うと。
特定の条件たちがぴったり揃ってしまったときに、心臓震盪が発生する可能性が跳ね上がる
ことになります。この発生率は、実は以下の要素たちに大きく左右されます。

 ・衝撃のかかる場所、角度
   もちろん心臓から少し離れたところに衝撃を喰らうより、
   じかに当たったほうが危険性が高い。角度も同じくです。
 ・Total applied energy
   物体とカラダが衝突したときに、接触面に対してどれだけのエネルギーで
   ぶつかってきたのか。当然、接触面が大きければ力は分散しやすいですし、
   小さければその接触面にかかるエネルギーは強大なものになります。
   成人に置いて心停止を引き起こすには、最低50ジュールのエネルギーが必要。
   ホッケーのパックやラクロスのボールで130ジュール、
   空手等のパンチで450ジュール、それからここまで行くと完全に蛇足ですが、
   かの有名なボクサー・Rocky Marcianoのパンチは1028ジュールもあるそう。
 ・タイミング
   心臓はどくどくbeatを刻んでいく中で、収縮してリラックスして、というサイクルを
   繰り返していますが、このCardiac cycleの中で実はほんのわずかな短い時間だけ、
   心臓が衝撃に対して非常にvulnerableになるんです。タイミング悪く丁度そのときに
   ぼこっと何かを喰らってしまうと、心臓のelectrical activityに大いに乱れが出る
   ことになります。

最初の二つは物理学的に考えれば問題なく分かると思うのですが、
みっつめのタイミングに関してもうちょっと踏み込んで説明していきましょう。
b0112009_22495589.jpg

上の図は、心臓の断面図と心臓の通常のelectrical activity、つまり心電図を示したものです。線の上がり下がりは“wave”と呼ばれ、最初の部分・P-waveはatria(心房)の活動を、
Q, R, & S-waves(まとめてQRS-complexと呼ばれます)はventricles(心室)の収縮を、
T-waveはrepolarizationと呼ばれる心室のelectrical recoveryをそれぞれ表しています。
b0112009_2331813.jpg
この特別なvulnerable windowは図(←)の青い部分、T-waveの上昇部分に存在します。丁度systole(心室収縮期)からdiastole(心室拡張期)の移行が行なわれている、時間にして10-30 millisecond(0.01~0.03秒)というほんのわずかなperiodです。
これだけwindowが狭い、というのが発生率の低さの理由となる大きな要素になっています。cardiac cycleまるごと一回分(心房収縮→心室収縮→リカバリー)は約1秒に相当しますが、心臓震盪が起きるためにmechanical traumaがwindow内に起こる可能性は単純計算で0.01~0.03 sec/1 sec、つまり確率で言ったら1~3%ほどにしかなりません。
人生で何回、人は前胸部に強い衝撃を受けるでしょうか?
特定の場所に、特定の角度で、特定のエネルギーを持った物体がどんぴしゃで飛んできて、
しかも身体をひねって避ける暇もない、なんてことがですよ、一体何回起きるでしょう?
単純に考えてそういう衝撃を100回受けたとして初めて、1~3回の危険性が出てくる、そういうもんなんです。私だってほら、人生ここまで結構activeに生きてきましたけど、そんなこと1・2回あったかなかったか。この計算だと100回目の打撃を喰らう頃には、1200才くらいになってるかな?
非常に稀、と色んな文献で繰り返されるのも納得ですよね。

同時に、先にスポーツ中に多いと強調した理由もここで見えてくるハズです。
ボールなんかが飛び交う環境にいれば、単純に衝撃を喰らう可能性が上がるというのも
もちろんそうなんですが、それ以上に、運動中って心拍数が上がりますよね。
例えば120 beats per minuteまで上がったとしましょう。そうするとwindowのサイズはほとんど変わらないのに比べ、cardiac cycle自体は一回が0.5秒に縮まるわけですから、0.01~0.03sec /0.5secで、この場合、発生率は2倍に跳ね上がります。
それだって、稀なことには変わりないんですけど、ね。

さてさて、では心臓震盪はこのくらいにして、次はMyocardial contusionについて。
Commotio Cordisに対応して、Contusio Cordisという名前もあるようですが
(ラテン語でcontusion of the heartの意味、つまり心臓の打撲です)、
これですね、心臓震盪との違いをスパっと説明してしまうには、日本語で説明すると分かりやすいんです。Myocardial contusionの日本語名は、心挫傷(しんざしょう)。
心臓震盪が、心臓そのものの構造には全く外傷が無く、直接electrical activityに影響が出るのに比べて、心挫傷では心臓が実際にbruise(挫傷)を起こし、tissue damageが起きている、というのが最大の違いです。
心電が狂ってぶるぶるしてしまうのが心臓震盪、心筋が挫傷を起こすのが心挫傷。
そう、こんな風に日本語にしてみるとアタリマエで一目瞭然なんですけど、
今まで恥ずかしながら知りませんでした。
b0112009_0545561.jpg←図は健康な心臓(左)と、Bruiseした心臓(右)。このtissue damageは、胸部に強い衝撃が加わった場合に、胸骨と胸椎に心臓が挟まれ、圧迫されることによって起こります。構造上、最も怪我をしやすいのは右心室だそう。丁度挟まれてますもんね。
それでも損傷がひどすぎなければ心臓が通常の機能を保てることもあるのですが、チカラがあまりに強いとaorta(大動脈)が破裂してしまうこともあり、こうなると一気に命に関わる状況になってきます。当然心臓震盪のときに話題にしたelectrical upsetも起こりえますし、それ意外にも心筋の一部が死亡してしまうと、その後一生、心臓の収縮力が低下した状態になってしまうことも。

そんなわけで今日も長々と書いてしまったんですけど、
個人的にはvulnerable windowなるものが存在するっていうのが非常に興味深かったです。本当は何故そのときに弱くなるのかを突っ込んで調べてみたい気もしますが、
そうするとかなりまた時間がかかってしまいそうなので、とりあえず今回はやめておきます。
repolizeしようとしてた電気が衝撃でどっかに逃げちゃったりするのかなー。

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My Study RoomAnatomy Picturesを追加しました。
一般の方の好みには全く合わないと思いますが、人体大好きなAT関係の方はどうぞ!
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  by supersy | 2007-07-29 23:59 | Athletic Training | Comments(7)

Anatomy Pictures。

リクエストが多かったので仕事で描いた例の絵たちをUpしてみました。
個人的に勉強目的で使って頂くのは全く持って構いませんが、
トイレ等に貼って友人に白い目で見られても責任は負いかねます(笑)。
ただ、絵は単なる趣味で素人仕事とは言え、全て描くのにかなりの時間とエネルギーを捧げ、
愛情をたっぷり込めましたので無断転載、再配信等は固くお断りします。
それでも、もしこれらの絵に関して使用希望や要望等あれば直接連絡を下さい。

それぞれの絵をクリックすると拡大表示されます。
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実は公開を躊躇うくらい気に入らない絵もあるんですが勢いで全部載っけてしまいました。
ちなみに一番苦労した&満足しているのはSpineです。このね、微妙なカーブがもう憎たらしいの。
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  by supersy | 2007-07-05 00:00 | Athletic Training | Comments(0)

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