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タトゥーはアスリートにとって悪影響か?を科学的に読み解く。

色々ありましたが生きております。事情をご存知の皆様、大変ご心配をおかけしました。街にはまだまだ生々しい傷跡が数々残っていますが、徐々に平穏な日常生活が戻ってきつつあります。明後日には一週間遅れて無事に大学のほうも秋学期が開始する予定です。なんとかここまで漕ぎつけました…が、当然というかなんというか、非常にバタバタしています。今学期はもう、根性で乗り切るしかありません。気合いだー。




タトゥーはサッカー選手に悪影響? パフォーマンスの低下招く可能性

さて、こんな記事を先日見かけました。内容を読んでええー!と思い、元ネタになっているという研究をそれはそれは躍起になって探してみたのですが、どうにもこうにも見つかりません。なんてタイトルなんだろう?Dr. Ingo Froböse氏発表でしょう?どこにあるんだー?ご存知の方がいたらぜひ教えてくださいー。
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で。代わりと言ってはなんなんですが、こんな論文を発見しました(↑)。1 今年7月発表の論文だそうなので、こちらもそこそこ最新と言えると思います。こちらを読んでまとめておきます。

タトゥーの文化は古代からあったそうですが、近代になってそれはますますエスカレートする傾向にあり、現在は4500万人ものアメリカ人が少なくともひとつのタトゥーを有しているのだとか。日本ではまだまだ「ヤクザ」のイメージも強く、欧米のそれほどポピュラーではない印象ですが、それでも増えていますよねー。
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タトゥーは一般的に細い複数の針で肌を突き破り、体内にインクを入れる、という手法を取っています。指された針の数だけpuncture woundができ、真皮層(dermis)は損傷され、炎症反応が起こります。この真皮層には汗腺(sweat glands)も含まれているため、「タトゥーを彫ることによって汗腺の損傷が起こるのでは?」「そしてそれは汗腺の持つ『汗をかく』という機能、そして『押し出された汗から塩化ナトリウムを再吸収して、発汗による塩分のロスを最小限に防ぐ』機能に悪影響を及ぼすのでは?」という疑問を著者らが持つのも当然のことかもしれません。
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で、この研究では身体の片側にタトゥーがある健康な男性被験者を10名(平均21.2±1.0歳)用意し、タトゥーがある側の身体を「実験群」、ない側の身体を「コントロール群」としてそれぞれのsweat rate(発汗率)とそのNa+ concentration(塩化ナトリウム濃度)を計測したそうな。正確には、タトゥーがある側の身体のインク濃度が最も高い部分を「実験群」とし、逆側の全く同じ部位を「コントロール群」としたらしいのですが、この「インク濃度が最も高い部分」 というのはどういう計測によって決められるのでしょう?特殊な機器を使っての測定?それとも目分量?ここの記述は抜けていますね。

私が気になるのはstudy designなんですよ。まず被験者の数は明確に少ないですよね。Statistical powerによれば被験者の数は3-16人必要だった、とのことですから、贅沢を言えばその上限値を越えた20人は用意していればよかったのでは、と思います。それから、どうせだったらこういうグループ分けが見たかった。片側ではなく、ヒトを単体として見た場合の発汗量を、1) タトゥー無しの人; 2) タトゥー軽めの人(定義はよくわからないけど、例えば肌露出の〇〇%未満とか); 3) タトゥーをかなりヘビーに入れてる人…別に計測する、とか。同じ人間の半分を実験組、もう半分をコントロール、という実験は個人的にあまり好きではないのですよ。だって人体の機能って適応できるようにできているから、例えば写真のように左半身がタトゥーでカバーされて発汗作用が下がると、右半身の汗腺が逆に発達して発汗能力が上がり、トータルの発汗量のつじつまを合わせようとする、って可能性があるんじゃないかと思うんですよね。そうなると、左右差がより大きくなる、つまり「コントロール」として使っているはずの側が本来のコントロール以上の能力を持っている可能性もあるんじゃないかなぁと感じたりするんですけどね、どうなんでしょうね。

加えて、発汗率の測定は、19-21℃、湿度50-60%の室内で20分間座った状態でおこなったそうですが、ここも1) なぜ室温、湿度に幅があったのか?(19°で湿度50%の部屋と、21°で湿度60%の部屋とでは体感も変わってくるのでは?); 2) 計測前に運動禁止とか、サウナ禁止とか、cold whirlpoolやアイシングは禁止などの指定を設けなかったのはなぜか?; 3) もっというと被験者のexclusion criteriaに発汗に影響しそうな要素…例えば火傷とかmetabolic disordersなどを一切言及しなかったのかなぜか?という疑問も残ります。加えて、座ったままの発汗量は、スポーツ中の体温が上がった状態での発汗量とはまた違うものかも知れません。なので、この研究の結果がそのまま「屋外で運動中のスポーツ選手」にも当てはまるかは甚だ疑問が残ります。

あとは発汗能力はHeat Acclimatization (熱順化)の程度によっても大きく変化するはずですよね。2,3 つまり、10人の被験者の基礎発汗能力には個人差がそもそもある可能性が高いわけです。そうなればそのままのraw dataを平均化することにそもそも無理があるのでは…何らかの形で数値をnormalizeしなければならなかったのでは?と私は思ってしまうのですが…。どちらにしてもsample biasはかなり強そうです。
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され、それでは結果です。実験群とコントロール群との比較では、タトゥーがあった側の発汗量(↑左)は、無い場合と比べて格段に低かった(0.18±0.15 vs 0.35±0.25mg/cm/min, p = 0.001)、とのことで、その平均の差は-0.17±0.11mg/cm/min (Cohen's d = -0.79)だそうで。おお。随分ありますね。これを発汗率に直すと、「タトゥーがある側の身体はない側と比較して、発汗率がおよそ53±12%、つまり泊半分にまで低下していた」ということが言えるようです。うおおおお半分!

塩化ナトリウム濃度もタトゥーありとなしではある方が著しく高く(69.1±28.9 vs 42.6±15.2 mmol/L, p = 0.02)、その平均の差は26.5±29.7 mmol/L (Cohen's d = 1.01)だそう。これもかなり大きな差。比に直すと「タトゥーがある側の身体はない側と比較して、塩化ナトリウム濃度がおよそ1.73±0.83倍高い」ということが言えます。おおおおお。

まとめると、タトゥーをするとその個所の発汗性及び塩化ナトリウムの再吸収の能力は著しく低下する、ということですね。汗をかかないわりに、塩化ナトリウムを失う量は激しい、という効率の悪い発汗が起きる、と言い換えてもよいのでしょうか。タトゥーを入れてからの期間と、これらの能力低下に関連性は見られなかったことから、結論ではこれは(タトゥー施術による)汗腺の(一時的ではなく)恒久的変性そのものの結果である可能性が高い、と書かれています。

デザインの穴は致命的と言えるほど大きいかとも思う反面、結果はかーなーりー面白いです。発汗率が半分はアツいです。因果関係を証明できるような研究デザインではないので、この実験からはこれが実際にパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか、トレーニングでそれなりに克服可能なのか、そしてHeat illnessなどのスポーツ障害の危険性を上げることもあるのか…こういったことは全く分かりません。新たに出てくる疑問も非常に多いです…が、しかしそれは色々と想像力を掻き立てられるような興味深い研究だってことでもあるんですよね。いやー、後続の研究に期待です!

1. Luetkemeier MJ, Hanisko JM, Aho KM. Skin tattoos alter sweat rate and na+ concentration. Med Sci Sports Exerc. 2017;49(7):1432-1436. doi: 10.1249/MSS.0000000000001244.
2. Lorenzo S, Halliwill JR, Sawka MN, Minson CT. Heat acclimation improves exercise performance. J Appl Physiol. 2010;109(4):1140–1147.
3. Sawka MN, Leon LR, Montain SJ, Sonna LA. Integrated physiological mechanisms of exercise performance, adaptation, and maladaptation to heat stress. Compr Physiol. 2011;1(4):1883–1928.

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  by supersy | 2017-09-03 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

脳震盪関係おもしろ論文レビュー。*個人の感想です

個人の感想と言えばなんでも罷り通ると聞いて。

諸事情あって脳震盪関連の論文をまた洗っています。この分野はどんすか新しい論文が出るっすよね…わりに似たような内容も多く、「そんなに一生懸命最新の論文を読んでなくてもそこまで取り残されない」という妙な油断が生まれやすいので、そんな甘い気持ちじゃいかんぜよとちょっと自分で自分を戒めながらここ一週間ほど山のような文献と睨みっこしておりました。
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中でも面白いなと思った論文について、新旧問わず少しだけ書き残しておきます。
一つ目はこちら(↑)。1

脳震盪患者の大部分が7-10日以内に自然と回復する一方で、2 10-15%の脳震盪患者がPostconcussion Syndrome (PCS, 脳振盪後症候群)と呼ばれる、頭痛や睡眠、記憶障害などの一ヶ月以上続く長期的な後遺症を発症してしまうのはよく知られた事実です。3-5 しかしPCSの定義って未だに曖昧なんですねー。冒頭ではICD-10のPCSの定義とDSM-IVのそれがいかに異なるか、という議論も展開されており、この論文では「3つ以上の症状が最低でも脳震盪受傷後一ヶ月続いている且つMRI/CTなどの画像診断で異常が見られない場合をPCSと呼ぶ」(↓テーブル)という、まぁ確かにリーズナブルそうでしかし根拠の欠ける新たな定義を採用しています(個人的にはこの定義は非常に理に適っていると感じる一方で、こうして各論文で各自が正しいと思う独自の定義を採用し続けたら全く持って世間が役立てにくい・一般化しにくい情報になってしまうなぁ、と少し残念にも感じます)。
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この論文1では1997年から2013年にかけてカナダのとあるneurosurgeonの勤務する医院に来院した284人の脳振盪患者を上の定義を使って振るいにかけ、合計221人の「PCS」基準を満たした患者のプロファイルをretrospectivelyにレビューしました(= retrospectively cohort study)。PCS患者221人のうち、男性127人(57.5%) vs 女性94人(42.4%); 患者の年齢層は10-74歳と実に幅広く、latestの脳震盪受傷時平均年齢は27.0歳; 今までの総脳震盪受傷回数は平均して3.3回(↓左グラフ); 今までに複数回脳震盪を受傷した患者は221人中170人(76.9%); PCSの有病期間は平均が14.7ヶ月、中央値が7ヶ月で、幅はなんと1ヶ月からなんと最長で26年まで(↓右グラフ)。26年間も頭痛が続くなんて、アタマおかしくなりそう…。
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PCS患者が訴える症状のトップ15を記事から抜粋して下にまとめてみました。トップ5は特に過半数(=50%以上の患者が訴える)を超えていますね。頭痛に記憶障害、集中も出来ないとなったら勉学は大変そうです。
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この研究は、どういった要素がPCSになる・ならないを左右するか、ではなく、どういった要素がPCS患者の経験する症状数・有病期間に関係しているかを調査したもので、結論を言うと1) (この怪我が原因となった出来事で)訴訟沙汰に巻き込まれている; 2) extracranial injuriesがある; 3) 記憶障害 and/or LOCが脳震盪受傷時に見られた; 4) 女性である…という要素があると症状数が増える・PCSが長く続きやすいという関連性が発見されたようです。一方で、過去の文献によってPCSのpredictorと発見されている1) 精神疾患 and/or 偏頭痛の既往歴; 2) 受傷の原因 (スポーツか、交通事故か、等); 3) 過去の脳震盪受傷数; 4) 年齢は、PCSの有無そのものはともかく、PCSの症状数・有病期間には関連性は見られなかったそうな。

あと面白かったのは「PCS患者が経験している症状数はPCS有病期間を予測する単体の要素として最もチカラがある」ということですかね。つまり、例えば頭痛・吐き気・いらいら・視覚障害・疲労感という5つの症状を訴える患者は、頭痛・眩暈・記憶障害という3つの症状があるPCS患者よりもより長くPCSの症状が続きやすいというわけ。ひとつ要素が増えるごとに回復する可能性が25%下がるという数字も面白かった…大きな影響力がありそうですね。

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この論文6も面白いです。ざっくり解説すると、「脳震盪患者は頭痛や記憶違い、睡眠障害などの症状が一般的だけれど、これらの症状は脳震盪をしていない、『健康』と言われる一般の人にも決して珍しくないものである」という観点から、「非脳震盪患者の大学生アスリートにどれくらい『concussion-like symptoms』があるか調査をしたら、一体どれくらいの選手が『脳震盪』の診断基準を満たす症状を報告するだろうか?」を調査したものです。そんでたぶんコレ、伏せられていますけど、うちの母校でやった研究っすね。何で隠すんでしょ?

調査された現役大学アスリート738人(男452人、女286人)のうち、前述のICD-10の「脳震盪」の診断基準を満たす症状を報告したのは120人(16.3%)で、中でも女性(21.7%)は男性(12.85%)に比べて1.7倍(OR = 1.67, p = 0.002)その基準を満たしやすいとのこと。それから、Fatigue/Drowsiness (疲労・倦怠感)が中でも一番多い症状で、頭痛も少なくなかったそうです。うーん、無作為に脳震盪をしていない大学生アスリートを捕まえて調査すると、その人が16%の確率で『脳震盪』になってしまうって、やはり診断としてはnot specific enough(特異性に欠ける)ってことですよね。

類似した研究と比較すると…メイン州在住の31,958人の中・高生を対象にした研究7では女子は28.0%と男子は19.3%が、フロリダ州在住の349人の中・高生を対象にした調査8では女子は20.2%と男子は20.4%がICD-10の脳震盪診断基準を満たす症状を報告しています。16-20%超のアスリートは中高大学を問わずにconcussion-like symptomがある、というのは一貫した発見のようですね。中高生のほうが大学生より割合が高いというのは少しびっくりだけど。男女差がある(女性の方が症状を報告することが多い)というのは今のところAsken et al6とIverson et al7に共通する結果というところでしょうか。このふたつの研究の被験者の数(738人+31,958人)からも、かなり確定していそうではないかというのが私の個人的な印象です。

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最後の論文です。9 これは発表したときかなり騒がれたのでご存知の人も多いかも。
Chronic Traumatic Encephalopathy(CTE)はまだまだ症例報告にのみ基づいており、clinical presentationが多様性がありすぎるが故に、確立された疾患として認められるには時期尚早だという厳しい声も専門家から上がっていましたが、10,11 2016年に国立神経疾患・脳卒中研究所(National Institute of Neurological Disorders and Stroke, "NINDS")と国立生物医学画像・生物工学研究所(National Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering, "NIBIB")が発表した共同声明では"an accumulation of abnormal hyperphosphorylated tau (p-tau) in neurons and astroglia distributed around small blood vessels at the depths of cortical sulci and in an irregular pattern"と正式にCTEの定義づけがなされ、診断基準も明確に定められるようになりました。12 少しずつではありますが、枠作りは着実に進んでいる印象です。

さて、話が逸れましたが、本論文では死亡後にBrain Bankに脳を提供した202人の脳(死亡年齢47-76歳、中央値66歳)を検証した結果、177人(87.6%)にCTEが認められたと報告されています。9 やはりというかなんというか、非常に高い数字です。最終フットボール歴がpre-schoolだった(= それ以降はフットボールをプレーしていない)人の脳は2人中0人がCTE(= 0%)だったのに比較して、最終フットボール歴が高校、大学、NFLと上がるにつれて14人中3人(21.4%)、48人中53人(90.6%)、111人中110人(99.1%)とCTE率も爆発的に上がっています。

CTEと自殺の関連性も少し興味があって調べていたところだったので書いておくと、mild CTE(Stage I-II)と診断された44人中最も多かった死亡原因は自殺(n = 12, 27.3%)で、severe CTE患者のそれはneurodegerative (133人中61人、46.6%)だったそうな。

最後にひとつだけ書いておくと、このBrain Bank関係の研究の全てにsample biasが含まれる可能性は否定できません。「既に亡くなって」いて「脳を提供する」だけの理由がある人しか研究対象にならないのですから。なので、この研究を読んで「現役NFL選手の99%もこれからCTEを発症するというわけだろう」と結論づけてしまうのは話が飛躍しすぎです。解釈にご注意を。

現在の技術では「検死解剖」が唯一の確実な診断方法ですが、他の画像手段などを用いてタウたんぱく質を可視化する方法や、その他のバイオマーカーの存在の有無など、様々な研究が進んでいます。13 そう遠くない将来、生きたままでも診断する方法が見つかるのではと思っていますが…。


1. Tator CH, Davis HS, Dufort PA, Tartaglia MC, Davis KD, Ebraheem A, Hiploylee C. Postconcussion syndrome: demographics and predictors in 221 patients. J Neurosurg. 2016;125(5):1206-1216.
2. McCrory P, Meeuwisse WH, Aubry M, et al. Consensus statement on concussion in sport-the 4th international conference on concussion in sport held in Zurich, November 2012. Clin J Sport Med. 2013;23(2):89-117. doi: 10.1097/JSM.0b013e31828b67cf.
3. Jotwani V, Harmon KG. Postconcussion syndrome in athletes. Curr Sports Med Rep. 2010;9:21–26.
4. Prigatano GP, Gale SD. The current status of postconcussion syndrome. Curr Opin Psychiatry. 2011;24:243–250.
5. Shenton ME, Hamoda HM, Schneiderman JS,et al. A review of magnetic resonance imaging and diffusion tensor imaging findings in mild traumatic brain injury. Brain Imaging Behav. 2012;6:137–192.
6. Asken BM, Snyder AR, Clugston JR, Gaynor LS, Sullan MJ, Bauer RM. Concussion-like symptom reporting in non-concussed collegiate athletes. Arch Clin Neuropsychol. 2017:1-9. doi: 10.1093/arclin/acx018.
7. Iverson GL, Silverberg ND, Mannix R, Maxwell BA, Atkins JE, Zafonte R, Berkner PD. Factors associated with concussion-like symptom reporting in high school athletes. JAMA Pediatr. 2015;169(12):1132-1140. doi: 10.1001/jamapediatrics.2015.2374.
8. Asken BM, Snyder AR, Smith MS, Zaremski JL, Bauer RM. Concussion-like symptom reporting in non-concussed adolescent athletes. Clin Neuropsychol. 2017;31(1):138-153. doi: 10.1080/13854046.2016.1246672.
9. Mez J, Daneshvar DH, Kiernan PT, et al. Clinicopathological evaluation of chronic traumatic encephalopathy in players of american football. JAMA. 2017;318(4):360-370. doi: 10.1001/jama.2017.8334.
10. Randolph C. Is chronic traumatic encephalopathy a real disease? Curr Sports Med Rep. 2014;13(1):33-37. doi: 10.1097/OPX.0000000000000170.
11. Bailes JE, Turner RC, Lucke-Wold BP, Patel V, Lee JM. Chronic traumatic encephalopathy: is it real? The relationship between neurotrauma and neurodegeneration. Neurosurgery. 2015;62 Suppl 1:15-24. doi: 10.1227/NEU.0000000000000811.
12. McKee AC, Cairns NJ, Dickson DW, et al. The first NINDS/NIBIB consensus meeting to define neuropathological criteria for the diagnosis of chronic traumatic encephalopathy. Acta Neuropathol. 2016;131(1):75-86. doi: 10.1007/s00401-015-1515-z.
13. Montenigro PH, Corp DT, Stein TD, Cantu RC, Stern RA. Chronic traumatic encephalopathy: historical origins and current perspective. Annu Rev Clin Psychol. 2015;11:309-330. doi: 10.1146/annurev-clinpsy-032814-112814.

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  by supersy | 2017-08-21 18:00 | Athletic Training | Comments(0)

Vanishing Twin - あなたにもいたかもしれない、双子の片割れ?

こんにちはー。今週末はとある講習会に参加しにポートランドはオレゴンに来ています。講習の合間を縫って、新しくできた友人らと色々街を回ったりもしていました。楽しかったー!
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今回の講習は過去の出来事によって凝り固まってしまった感情をどう解き放つかという、言葉にすればするほど怪しい内容なんですが(苦笑)、ココロに巻き起こる感情は化学物質となって脳内を駆け巡る、というコンセプトは決して信じがたいものではないし、自分でも気づかないうちに特定の出来事が「しこり」のようにぎゅぎゅっと固まって、そこから雪玉のようにどんどんカサを増していくことってあるでしょう?何層にも重なって溶けにくくなってしまった雪玉をひとつひとつその層を剥がしていって、「核」となった小さな小さな雪の塊を解かす作業って、バカにできないと思うんですよ。

まーセミナーの内容やその背景にあるエビデンスはいつか気が向いたら書くとして、今回はこの講習の中で出てきたと「Vanishing Twin (消えてゆく双子の片割れ)」というコンセプトについて書きたいと思います。


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出産において、双子が生まれる確率は3.2%と報告されています…1が、実際に双子が命として宿る可能性はそれよりももっと高いのではとも言われているんです。2 どれくらい高いのかって?新旧様々な論文を見てみると、本当は双胎妊娠そのものはその約1.25~1.67倍頻繁に起こるのではないか(つまり3.2%ではなく、約4~5.4%まで確率が上がる)という指摘があります。3 言い換えると、双胎妊娠が起きても、約20~40%ほどの確率でその片割れが成長せず何らかの理由で自然死してしまう、"Vanishing Twin"という現象が起こるんだそうです。2,3
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Vanishing Twinが起こる理由は明らかになってはいませんが、単胎妊娠でも自然流産が起こる可能性は確率は15%程と言われていますから、「2名のうちどちらかが死亡する確率」と考えると、Vanishing Twinの約20~40%という数字もそこからそう遠くもないのかもしれません。狭い子宮の中で命の競争が行われ、強いほうが生き残るという自然な流れもきっとあるのでしょう。4 動物界では、「全員は生き残らない」前提で、多く子供を産んでおくことは当たり前でもありますしね。
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Vanishing Twinsの真のPrevalenceはわかっていません。2,3 過去に研究によって報告された数字は先に述べた通りですが、いやきっともっと高い、60-70%程の確率で起こるのでは、と主張する人たちもいるようです。2 なぜならば、胎児の死亡が起こりやすいのは、心拍がはっきりと確認できるようになる以前の1~8週目。もしこの期間の間に双胎一児死亡が起これば、そもそも双胎妊娠であったことが医師や母親にも認識されない、つまり、母親も生まれてくる子も「妊娠時には双子だった」と知らない、ということになるのでは?というわけ。最近は超音波の画像診断の技術も上がり、より初期妊娠診断ができるようになって、Vanishing Twinの実情もよりはっきりと見えてき始めてきているのだとか。ふーーーむ。



なぜこんな話になったかというと、今回の講習で「ひとりぼっちは寂しい」という深層心理がある人1名、「生きることに罪悪感を感じる」と言う別の人1名に、それぞれ「貴方にはVanishing Twinがいた」という診断結果が出たんですよ…。本人にその記憶がなくても、生理学的な反応でそれが見えてきたりするんです…。言われた本人らは、その瞬間に堰を切ったように泣きだしたりするんだからもう鳥肌ものです…。ひー。

ちなみに、悲しい話ではありますが、妊娠初期に死亡したVanishing Twinはそのまま子宮に吸収されて消えていなくなる場合がほとんど。その場合後遺症など無く、生き残った胎児の成長は「正常」に進むケースが多いそうですが、妊娠中期や後期に死亡が起こると生き残った赤ちゃんや母体に影響・障害がでることもあるのだとか。そして、稀に双子の片割れが、もう一人の胎児の身体を飲み込むようにして成長する"Fetus-in-Fetu (封入奇形胎児)"という症例もあるようです。4 香港で生まれた赤ちゃんの身体の中(肝臓と腎臓の間)からもう一人の大事が出てきた症例や、「普通に」生まれ育った36歳のインド人男性の身体の中で、もうひとりの胎児がそれに寄生するように成長を続けていた(生まれてこの方、妙なお腹のでっぱりがあったそうですが、36歳になって息苦しいなどの症状が出始め、病院へ。医者は最初は大きな腫瘍かと思ったそうな…)症例などが今までにニュースになっていたりします。画像検索をすることは…あまりオススメしません。

別に怖い話をするつもりはなかったのですが、改めて人体って不思議に満ち満ちているなぁ…と思ったのと、もしかしたら私にも双子がいたりして?と妄想を膨らませてみたりしたので、ここに書き記しておきます。あっ、明日朝早い飛行機に乗るんだった、そろそろ寝なくてはです!

1. Chauhan SP, Scardo JA, Hayes E, Abuhamad AZ, Berghella V. Twins: prevalence, problems, and preterm births. Am J Obstet Gynecol. 2010;203(4):305-315. doi:10.1016/j.ajog.2010.04.031.
2. Landy HJ1, Keith LG. The vanishing twin: a review. Hum Reprod Update. 1998;4(2):177-183.
3. Márton V, Zádori J, Kozinszky Z, Keresztúri A. Prevalences and pregnancy outcome of vanishing twin pregnancies achieved by in vitro fertilization versus natural conception. Fertil Steril. 2016;106(6):1399-1406. doi:10.1016/j.fertnstert.2016.07.1098.
4. Mawhiney RB. Fetal absorption: no effect without a cause - case study. Am Chiroprac. 1993.

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  by supersy | 2017-08-12 23:30 | Athletic Training | Comments(1)

「椎間板ヘルニアには腰椎伸展位が良い」を問い直す。

良い姿勢、ってなんでしょうね?

姿勢は動的に評価してこそ意味があるのではないか、という議論はひとまず置いておいて、今日は静的な面に限った姿勢の話を少ししたいと思います。さて、良い姿勢ってどんなものだろう?と、「Good Posture (良い姿勢)」という言葉で画像検索すると、実に様々な写真が引っ掛かります。
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例えば、とあるウェブサイトで「良い姿勢」の見本としてこんな写真(↑)が使われています。これは私個人に限った経験かもしれませんが、「姿勢が悪いよ、背筋伸ばしなっ」と注意されてこんな風に背筋を「反らす」ヒトって少なくないんじゃないか(↓、こちらも「良い姿勢」で検索)と思うのです。しかし、
私はこれらの姿勢を「良い」とは全く思えないのです。
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腰椎の形状、アラインメントやそのカーブが腰痛や機能不全に与える影響1-5は大きく、中でも椎間板は(様々な定説こそあれ)腰痛の原因となっている可能性は根強く残っています。6 そしてその椎間板にかかる負荷やストレスは、無理矢理外部からの力によって腰椎をへし曲げられているんでもない限りは、他でもない胴回りの筋活動に大きく左右されているのです。7
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ではどういった筋活動、どういった姿勢が椎間板にかかるストレスを増やす・減らすのか?…ということを検証した論文7をひとつ読んだ(↓)のでまとめておきます。
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この論文では腰痛の既往歴の無い18人の健康な被験者(男13人、女5人、平均28.0±6.94歳)を対象に、2種類の姿勢を取らせてそれぞれの脊柱をレントゲン写真に撮り、パソコンに取り込んで特殊なソフトウェアを使って椎間板にかかる力を生体力学的に分析をしています(なるほど、椎間板にかかるストレスってどう可視化、モデル化してるんだろうと思ったらこういうのが一般的なんですね8-10)。

検証対象となる姿勢というのはA: 骨盤を動かさず、しかし胸を前に突き出す姿勢 (Anterior translation of thorax、T1がT12の真上に来るイメージ↓写真A)と、 B: 力を抜いて自然に立ってもらう(↓写真B)の2種類で、実際の脊柱のカーブはこれによってこういう風に変化したそうです(↓写真右)。当たり前ですが、Anterior Postureのほうが脊柱・身体そのものが前方にシフトしており、Center of Mass(COM)もつま先へ前方移動していることは容易に想像できますね。7 前方に移動した体重を何とか後方に引き返そうと脊柱起立筋群が過活動を起こし、腰椎の一部(特にL4-5)を、腰を反るように極端に伸展させているのも見て取れます。さらに特筆すべきは、胸椎もそれに付随するように伸展し、それによって胸椎の前弯が失われて、いわゆる「フラットバック」という状態が生まれていることです(写真右: T4-L3までがほとんど平らです)。その一方で自然に立ってもらったほうの姿勢Bは腰椎は本来のLordotic(前弯)カーブがL1からL5にかけて満遍なく保たれながらも局所的で過度な進展は見られず、胸椎(T1-12)はこれまた全体的にゆるやかに屈曲、つまりKyohotic(後弯)カーブを描いています。加えて、姿勢Bでは脊柱全体が姿勢Aに比べて後方に位置しているため、COMはつま先から踵へ後方移動を起こしていることもわかります。7
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要約すると、Aの姿勢は「腰椎の一部と胸椎全体で過度に伸展/フラットバック」、「つま先体重」と結び付けられる一方で、Bはむしろ「腰椎の全体の滑らかな伸展と胸椎全体のこれまた滑らかな屈曲」、「かかと体重」と深い関係にあることがわかるわけです。これらのVisual findingsは、実験内の統計によっても裏付けられており、1) T1-12の胸椎のポジションは姿勢AとBでは統計学的に有意な差が見られ(p = 0.007); 具体的には、姿勢Aを取ることで、Bと比較して: 2) 胸椎(T1-12)の角度が平均13.1±10.3度失われ(= 胸椎伸展)、3) 腰椎(T12-S1)の角度が平均1.7±12.9度増え(= 腰椎伸展);Ferguson Angle (腰仙角度)は平均9.5±6.7度増えた(= 骨盤前傾)と論文内で報告されています。お、おもしれぇぇぇぇ…!

さて、それではこの姿勢の違いがどんな椎間板へのストレスの差を呼んだかというと、わかりやすいグラフはこちら(↓)。一つ目のグラフがCompressive Stress(圧縮応力)、二つ目がShear Stress(剪断応力)を示しています。
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一目瞭然、という感じではありますが、グラフが示すように、姿勢Aは姿勢Bに比べて、T9-10からL5-S1の椎間板にかけて(Compressive Stress)、そして、ST6-7からL5-S1の椎間板にかけて(Shear Stress)、ハッキリと高い負荷がかかっていることが分かったのです。これらの差は統計的に有意(p < 0.05)で、中でも最大の負荷上昇率が見られたのはCompressiveでL5-S1椎間板の92.2%、Shearに至ってはL3-4椎間板で609%、つまり約6倍ものストレスが確認されました。L5-S1椎間板にかかる負担は、数字にすると400N(= 40弱kg重分の重さ)にもなるのでは、と著者らは予測しています。加えて、それに伴うように脊柱起立筋群の負荷もT7以下では942%も高まっており、「姿勢Aは筋肉がより頑張らなきゃいけない上に、椎間板にかかるストレスも格段に増える、非常に生きていく上で効率の悪い姿勢」ということがわかります。

この論文7は「矢状面での姿勢・脊柱アラインメント異常(Anterior Trunk Translationとそれに伴う胸椎伸展、腰椎伸展、骨盤の前傾)は脊柱起立筋群の過活動を促し、下位胸椎及び腰椎の椎間板にかかるストレスを増やす」という結論を述べていますが、これは従来の「椎間板ヘルニアに屈曲は悪い、伸展してNucleus pulposus(髄核)を押し返せ!」という『伸展推奨』理論の真逆を言っています。見る人が見たら非常に衝撃的な結論かも知れません。ええー!?と気になる方は、ご自分でこの研究の全文を読むことをお勧めします。面白いのでオススメです。
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「椎間板ヘルニアに伸展位はむしろ悪い。屈曲位のほうが良いのでは」という『屈曲推奨』説をサポートする論文はもうひとつあります。こちらの論文(↑)11は最新型のフルオープンMRIを用いれば患者のポジションを様々に変えながらでも画像を撮ることが可能になったので、「同じ患者でも、患部をよりはっきりと写すにはどういったポジションで画像を撮るのが理想的か?」という観点から、色々試し撮りをおこない、その報告をまとめているわけです。こんな論文滅多に出会えないですね、これも面白い…。
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中でも見ていただきたいのが上の比較画像です。これは、実は全く同じ「椎間板ヘルニア」持ちの患者の腰を撮ったもので、左は立位・伸展位(↓左)で、右は立位・屈曲位(↓右)で撮影がおこなわれました。右の画像(↑)はL4-5とL5-S1椎間板にヘルニアがはっきりと見て取れますが、左の画像(↑)を見て「ヘルニアが認められる」と判断する医師や画像技師はいないのではないでしょうか。
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著者らはこの研究で最も意味のある発見のひとつとして「立・伸展位のMRIは、ヘルニアが悪化しより狭窄が顕著に出る一方で、立・屈曲位のMRIではその度合いが小さくなるか、場合によっては完全に狭窄が消失することがある("complete resolution of the same central canal and neural foramen narrowing")」と記しています。



そんなわけで、椎間板ヘルニアの患者を治療するにあたって、カギはいかに「骨盤前傾、胸椎伸展、腰椎伸展のポジションに陥らない」かじゃないかと思うんですよね。先日、ちょうどまさに腰椎間板ヘルニアの選手のコンサルティングをする機会があったのですが、座位でも立位でも伸展しっぱなしのこの選手を伸展位から脱させることに重きを置き、一時間半ほどセッションをしました。癖ですぐに背を反らせてしまうので、いかに屈曲が素晴らしいポジションなのかを分かりやすい言葉で話し、「ここ(伸展位)から出てもいいんだよー」「ここ(屈曲位)にいってもいいんだよー」と、それをまず理解・実感してもらうことにたっぷり時間を費やしました。
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こういうことを書くと、「屈曲って、こういう姿勢がいいって言ってるの?(↑写真左)」と怪訝に思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。左の写真の女のヒト、一見すると「屈曲位」にいるように見えるかもしれませんが、実は彼女がしているのは「伸展位からの屈曲(しているように見せかけているだけ」で、真の屈曲ではないのです。この人は一度も伸展位を出ていないんですよ…線を付けるとよりわかりやすいでしょうか(↓)。
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こんな風に「猫背」に見える人が屈曲の達人かというとそうではなくて、実は進化しただけの伸展の達人ということはよくあります。見た目の脊柱のカーブに捕らわれず、安易に屈曲を悪者にせず、 患者にとっての理想的な姿勢を作り上げていくことって、大事じゃないかなぁと思っていたりします。

1. Colloca CJ, Keller TS, Peterson TK, Seltzer DE. Comparison of dynamic posteroanterior spinal stiffness to plain film radiographic images of
lumbar disk height. J Manipulative Physiol Ther. 2003;26:233–241.
2. Harrison DD, Cailliet R, Janik TJ, Troyanovich SJ, Harrison DE, Holland B. Elliptical modeling of the sagittal lumbar lordosis and segmental rotation angles as a method to discriminate between normal and low back pain subjects. J Spinal Disord. 1998;11:430–439.
3. Jackson RP, McManus AC. Radiographic analysis of sagittal plane alignment and balance in standing volunteers and patients with low back pain matched for age, sex, and size. A prospective controlled clinical study. Spine. 1994;19:1611–1618.
4. Janik TJ, Harrison DD, Cailliet R, Troyanovich SJ, Harrison DE. Can the sagittal lumbar curvature be closely approximated by an ellipse? J Orthop Res. 1998;16:766–770.
5. Troyanovich SJ, Cailliet R, Janik TJ, Harrison DD, Harrison DE. Radiographic mensuration characteristics of the sagittal lumbar spine from a normal population with a method to synthesize prior studies of lordosis. J Spinal Disord. 1997;10:380–386.
6. Harrington JF, Messier AA, Bereiter D, Barnes B, Epstein MH. Herniated lumbar disc material as a source of free glutamate available to affect pain signals through the dorsal root ganglion. Spine. 2000;25(8):929-936.
7. Harrison DE, Colloca CJ, Harrison DD, Janik TJ, Haas JW, Keller TS. Anterior thoracic posture increases thoracolumbar disc loading. Eur Spine J. 2005;14(3):234-242.
8. Keller TS, Nathan M. Height change caused by creep in intervertebral discs: a sagittal plane model. J Spine Discord. 1999;12:313-324.
9. Keller TS, Harrison DE, Colloca CJ, Harrison DD, Janik TJ. Prediction of osteoporotic spinal deformity. Spine. 2003;28:455-462.
10. Nagurka ML, Hayes WC. An interactive graphics package for complex shapes. J Biomech. 1980;13:59-64.
11. Jinkins, JR, Dworkin, JS, Green, CA, et al. Upright, Weight-Bearing, Dynamic-Kinetic MRI of the Spine: pMRI/kMRI. Rivista di Neuroradiologia. 2002;15:333-357.


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  by supersy | 2017-08-09 22:00 | Athletic Training | Comments(0)

Breathing and Chronic Neck Pain: 慢性頸椎痛と呼吸の関係。

慢性的に首が痛い、というのも決して珍しい主訴ではないと思うんですが、頸部の痛みも呼吸と呼吸障害への密接な関係があります…という論文ふたつ、さくっとレビューです。
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首の痛みが呼吸障害を生むのでは?という論文1は見たことがあったんですけど、これは常々chicken or eggなんじゃないのかなと思っておりました。私個人の意見としては、どちらかというとdriving forceは呼吸なんじゃないかと。それで痛みによって不安に駆られ交感神経優位になり、ますます呼吸が悪化するんじゃないのかな、とか。まー恐らく正解はこの中間の「どちらもchickenでどちらもegg」なんでしょうけれども。

さて。この論文2では45人の慢性頸椎痛患者(男13人、女32人、平均年齢35.9±14.5歳)と同じく45人のmatched-control(男13人、女32人、平均年齢35.4±14.0歳)を対象に、1) 息を吸う・吐く強さ (ICC=0.81~0.83); 2) 首の屈曲筋・伸展筋の強さ (Isometric Strength、ICC=0.90~0.96); 3) Craniocervical Flexion Test (*首の深層屈曲筋群の持久力を見るテスト、ICC=0.91); 4) 頸椎可動域; 5) Forward Head Postureの度合い(craniovertebral angle: C7から耳までの角度を計算、ICC=0.88, 下図参照); 6) VAS; 7) 全5つのPatient-Based Outcome Measures - Neck Disability Index (=痛みによるdisabilityがどれほどあるか), the Baecke Questionnaire of Habitual Physical Activity (普段どれだけ運動をしているか), Hospital Anxiety and Depression Scale, Tampa Scale for Kinesiophobia, Pain Catastrophizing Scale…を計測、記録したそうな。うわー膨大なデータ。これらのOutcome Measureの測定の順番はランダムだったそうで、バイアスやorder effectsがないようにしましたよー、という記述アリです。それぞれの測定法とrationaleをしっかり説明しているところも好感が持てます。
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*知らなかったので調べてみました。テーブルに寝た状態で、バイオフィードバック圧力計を首の下に入れて20 mmHgになるまで膨らませてから(↓写真左、中央)、Chin tuckをして圧を22 mmHg; 24 mmHg; 26 mmHg; 28 mmHg; 30 mmHgまで上げ(↓写真右)それを10秒キープする…というのをそれぞれの圧で3回繰り返すんだそうな。
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で、結果はというと、慢性頸椎痛のある患者は健康なコントロールに比べて…
1. Forward Head Postureと鬱・不安症の症状に関しては大差なし
2. 頸椎伸展筋が著しく弱く(p<005)、屈曲筋群も弱い傾向にある(p-value not reported)。深層屈曲筋群の持久力は著しく低く (p<0.05)、頸椎の可動域も全ての面において制限が大きい(p<0.05)。
3. 吸気/呼気の割合こそ大差が見られなかったものの(p>0.05)、最大吸気圧(13.8%)、最大呼気圧(15.4%)はそれぞれ共に、健康な被験者のそれに比べて著しく低かった(p<0.05、Table 1参照)。
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…で、最大吸気圧と相関性が見られたのは、頸椎屈曲筋(r=0.70, p<0.001)と伸展筋(r=0.62, p<0.001)の強さ、Kinesiophobia(r=-0.43, p<0.01)、とCatastrophizing(r=-0.3, p< 0.05)。最大吸気圧との相関性が認められたのは頸椎屈曲筋(r=0.69, p<0.001)と伸展筋(r=0.66, p<0.001)の強さ、頸椎の痛み (r=0.33, p<0.05)、Neck Disability Index(r=-0.35, p<0.05), Kinesiophobia (r=-0.40, p<0.05)とCatastrophizing (r=-0.36, p<0.05)だったそうで。
つまるところ、ものすごくざっくり言って、首の屈曲・伸展筋群が弱い、首が痛い、機能制限がある、首を動かすことに恐怖心がある…こういった度合が高ければ高いほど呼吸力が下がっている傾向にあるというわけですね。
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この論文は、慢性頸椎痛の患者のアセスメント・リハビリは呼吸の要素を含むべきである、という風に〆られていますが、もっと言うと、呼吸介入を早めにすれば頸椎慢性痛そのものの予防にもつながるかもしれませんね。もちろん、相関関係≒因果関係なので、これは他の研究を持って証明する必要がありますけど。

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同じ研究チームの論文で、こちら3も。
こちらの論文で着目しているのはthe actual gas exchange。冒頭で腰椎などの痛みを抱える患者はHypocapnia(血液中の二酸化炭素が下がり、pHがアルカリ性に傾く現象)に陥りやすいという理論を紹介(これは知らなかった)しており、4,5 この現象が慢性頸椎痛の患者にも認められるかどうか、先の研究と全く同じ被験者(慢性頸椎痛患者45人、Matched Control 45人)を使って検証しています(…というか、上野研究と同時進行で行われていますね、明らかに)。80% Statistical Powerを得るために必要な被験者数は各グループ26人だそうなので、45人はそれを優に超えている、という表記もいいですね。
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手っ取り速く、結果です。動脈内の二酸化炭素は慢性頸椎痛患者のほうが著しく低下しており(34.9±2.9 mmHg vs 37.3±3.5 mmHg、↑上表参照)、35 mmHg未満が一般的に"hypocapnia”と診断のつくカットオフになることを考えれば、平均的な慢性頸椎痛の持ち主はhypocapniaと名前がついて然るべきということが分かりますね。血中二酸化炭素との相関性が見られたのは頸椎屈曲筋(r=0.34)と伸展筋(r=0.35)の強さ、深層屈曲筋群の持久力(r=0.31)、痛みの強さ(r=0.34)、Kinesiophobia(r=0.35)とCatastrophizing(r=0.30; p<0.05)だったそうな。

Substance Pがhyperventilationを生むのか、痛みがあることによって患者の呼吸が浅くなり、self-induced hyperventilationが起こるのか…(過呼吸時は、ちょいとした興奮状態なので、痛みの感覚が鈍るんですよね。6 そのanalgesic effects/鎮痛効果を身体が自然に求めて、浅い呼吸をprogrammingしてしまうのか)。それとも、そもそも呼吸がこの痛みの原因のひとつなのか…。色々と妄想は尽きませんが、「首がずっと痛いんです」と訴えてくる患者の体の中でこれだけ複雑なことが起こっているとしたら、「よし、じゃあ鎮痛剤出しましょう」「ストレッチしましょう」「ホットパック当てましょう」のような対処療法では問題の本質に対して対応しきれないことは明らかですね。患者の主訴に対して原因を見極め、holistic approachを!とはアメリカでもよく謳われますが、最近の様々な研究結果を見ていると、呼吸に介入せずにholisticなアプローチをしているとはもはや言えないだけの科学的なエビデンスは十分にあるように思います。…まぁ、もちろんそう考える私の頭の中は私らしいバイアスでいっぱいなわけですけども。

1. Kapreli E, Vourazanis E, Strimpakos N. Neck pain causes respiratory dysfunction. Medical Hypotheses. 2008;70(5):1009-1013.
2. Dimitriadis Z, Kapreli E, Strimpakos N, Oldham J. Respiratory weakness in patients with chronic neck pain. Man Ther. 2013;18(3):248-253. doi: 10.1016/j.math.2012.10.014.
3. Dimitriadis Z, Kapreli E, Strimpakos N, Oldham J. Hypocapnia in patients with chronic neck pain: association with pain, muscle function, and psychologic states. Am J Phys Med Rehabil. 2013;92(9):746-754. doi: 10.1097/PHM.0b013e31829e74f7.
4. Glynn CJ, Lloyd JW, Folkhard S. Ventilatory response to intractable pain. Pain. 1981;11:201-211.
5. McLaughlin L, Goldsmith CH, Coleman K. Breathing evaluation and retraining as an adjunct to manual therapy. Man Ther. 2011;16:51-52.
6. Chalaye P, Goffaux P, Lafrenaye S, et al. Respiratoryeffects on experimental heat pain and cardiac activity. Pain Med. 2009;10:1334-1340

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  by supersy | 2017-08-06 22:30 | Athletic Training | Comments(0)

横隔膜呼吸エクササイズでバランス能力が向上する?研究レビュー。

「知識アップデート期」と称して『トピックをひとつ決め、半日~一日かけてデータベース使って関連論文の検索・読み込みに費やす』みたいなことを定期的にするんですが、今日は呼吸関連の論文で最新のもの、読み飛ばしているのがないかどうかと色々と読み漁っていました。面白いものを見つけたのでまとめておきます。

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一番の収穫はこの論文ですかね。今年3月発表の比較的新しいPreliminary clinical trial。1

バランスを取る能力に欠けていると怪我をしやすくなる、2,3 だからバランス能力って大事ですよね、という観点から、コアを鍛えるとバランス能力が上がる4-8→ではコアの要とよく称される横隔膜を鍛えることでバランス能力は上がるのか?という新たな説を検証しています。呼吸エクササイズをやることでバランス能力が向上するか?っていう、その切り口が面白いっすね。

この研究はあくまで「この新説は検証する価値があるのか」を見極めるためのPreliminary clinical trialなんで規模は小さいし、control組もないんですけど、とりあえず詳細を見てみましょう。21歳以上の健康な被験者を募り、inclusion/exclusion criteriaには脳震盪・下肢のケガ・耳の病気など、バランス能力に直接影響が出そうな要素も含まれていて、こういった既往歴のある被験者は丁寧に除外してあります。研究に実際に参加した被験者の数は13人(男7人、女6人、平均年齢33歳)。80%のStatistical powerでlarge effectをdetectできるように統計を設定(=前例が無いので、この研究を通して適切な被験者数を決めようとしている)してますね。規模が小さい以外はここまでは妥当なデザインでしょうか。いーですね

被験者にassignされた呼吸エクササイズは各週2種類。ひとつのエクササイズにつき5分、一日2回ずつ毎日合計20分行ってもらい、それを一週間に少なくとも5日間、計8週間継続してもらったとのこと。呼吸エクササイズは全部で難易度別に5種類あり(↓)、全被験者は最も簡単なもの(難易度☆☆☆☆★)から始め、ぞれぞれの週の終わりの顔合わせ(face-to-face)のセッションでそれを完璧にやりこなせるようになっていれば、翌週からはひとつ難易度の高いエクササイズにレベルアップする…というシステム(完璧にできなければ、同じ難易度をもう一週繰り返す)。各エクササイズの指導動画のリンク(YouTube)が毎週被験者に送られ、必要があれば被験者が何度でも正しいエクササイズを確認できるような環境を整えていたのは評価されるべきですね。
 難易度☆☆☆☆★(1): supine breathing & crocodile breathing
 難易度☆☆☆★★(2): supine breathing w/ Theraband & crocodile breathing w/ Theraband
 難易度☆☆★★★(3): supine breathing w/ belt & crocodile breathing
 難易度☆★★★★(4): seated breathing & 90/90/90 breathing
 難易度★★★★★(5): seated breathing w/ Theraband & 90/90/90 breathing w/ belt
何故これらのエクササイズなのか(過去にどんな研究で使われたものなのか)?どうしてこれらのprogressionが正しいと言えるのか?説明が一切無いのが気になります(個人的にcrocodile breathingの利点はさほど感じません)。あと、face-to-faceセッションは週に一回で、残りの週6日はエクササイズを家で各自やってもらうシステムも、コントロールしていない要素を増やす原因になります。監視していない分、被験者が実際指示通りにエクササイズをやってくれていたかどうかの信憑性は低くなるわけです。研究の最後(8週目の終わり)に被験者は各自8週間分のエクササイズログを提出した、との記述は一応ありますが、そんなのはいくらでも偽造捏造できますからね。実際の被験者のcompliance rateも別にこの研究では報告されていませんし。あと、「少なくとも」5日間の「少なくとも」が個人的に気になってしまいます…。どうして「5日間」と決めず、幅を設けたのでしょう?週5日間やった人と、7日間やった人とでは効果の現れ方が違う可能性も否定できません。一週あたりたった2日間の違いでも、8週積み重ねれば16日分になりますしね。

…ともあれ。

各週に一度face-to-faceセッションがあったわけですが、このセッションでは横隔膜呼吸のエクササイズをする前に毎回以下のテストをおこなったそうです。ちなみにデータを取る側の研究スタッフは一貫性があるように毎回同じscriptを読み上げ、指示に違いが無いように配慮したそうな。
静的テスト: Modified BESS test (SCATに載ってるやつ)…なぜ正規のBESS Testでなく、Modified? Rationale?正規のもののほうが研究されているのは間違いないと思うが?
動的テスト: 目を開けて、そして閉じて、それぞれ40秒間その場で更新してもらい、パワープレートを使ってバランスを計測。右足で荷重していた時間と左足で荷重していた時間の差が少なければ動的バランスが取れているという指針になるらしい。OptoGait protocolsと呼ばれるプロトコルらしいんですが、私はこれを今までに見たことがありません。Reliability, validityの表記無し?
呼吸テスト: 試験者が被験者の脚を90/90/90 positionで支え(↓写真のように股関節、膝、足首を90°に屈曲)、肋骨を内旋位に持っていく。この状態で、試験者は下肢の支えを外し、被験者は自力でこのポジションを保ったまま「下腹部と胸部後方に空気を入れるようなイメージ」で呼吸。被験者が開始ポジション(90/90/90且つ肋骨内旋位)を保ったまま呼吸ができれば最高点の3点、代償が見られれば2点、フォームが崩れれば1点、痛みがあれば0点をつける。これもとある一冊のリハビリの教科書から抜粋されたもののようだけど、rationaleやvalidityは?「ポジションが保たれた」「代償がある」というのは判断する人によっても変わるのでは?どれほどのトレーニングを受けた試験者なら適切な判断ができるのか?
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手っ取り早く結論を言ってしまうと、呼吸テストの点数(p=0.001), Modified BESSの片足スタンス(p =0.001)とタンデム・スタンス(p=0.039)は時間軸を追うごとに著しく改善(Table 2, Figure 1, Figure 2参照)。特に片足バランスのスコアの改善は呼吸テストのスコアの改善と大いに関係あり(Figure 1参照)、と出たそうな。

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個人的には「取ったデータは全部見せやがれ」と思うタイプの私。incompleteなデータが何より嫌いなので、両足バランス時のBESSスコアと動的テストの結果が「Result」セクションで一切触れられていないのが納得いきません。書かれていないということは相関関係も改善もなかったと考えるのが全うだろうけど、もしかしたら悪化が認められたのかも、などとしたくもない詮索をしてしまうではありませんか。後述(「Discussion」セクション)で、両足スタンスはどの計測ポイントで誰もエラーを起こさなかったこと(=スコアは常に最高で、変化は全く見られなかった)、そして動的バランスに関しては計測器具の不備があったかもしれないことや、このOptoGaitプロトコルがやはりどれだけ確立されたものかのエビデンスが欠如していることが改めて挙げられています。…じゃあなんでこれ選んだの?時間の無駄では?Y-Balanceとかもっとシンプルでもっと研究が進んでいる動的バランステストじゃダメだったの?

あとですね、個人的には静的バランス能力に変化が出たのは面白いなぁと思う一方で、動的バランスに変化が(少なくともこの研究では)認められなかったとしたら、それはいったいどれほどのclinical relevanceがあるのかというイジワルな問いを著者らに投げかけたくはなりますね。

考察には、横隔膜呼吸を通して深層腹筋群の活性化が促されたのではとの見解が示されており、私もそれは妥当な推測ではないかと思います。もちろん、単純に8回テストを行ったから、learning effectsによって改善が見られたという可能性も否定できません。これは、次の研究でcontrol組と比較をおこなえば明らかになることでしょう。

考察に書いてあったことで、特筆されるべきと思ったこともメモしておきます。8週間のエクササイズを終えた13人の被験者に、研究の最後に口頭で感想インタビューを行ったらしいのですが(特に聞いた質問の一覧表などはなかったので、informalなものだったんだろうと推測します)、その際の感想として1) 被験者が呼吸エクササイズを総じて楽しんでおこなえたこと、2) 日常の様々な活動でその効果を感じられたこと(例: 趣味のロッククライミングの際により体のバランスが取れていると感じた、ロードバイクに乗っているときに腰痛が起きなかった、オリンピックリフティングをする際により力が入るようになったなど)が出てきたんだそうです。バランス向上のみならず多角的な改善が見られたのは興味深いです、本格的な研究をする際には、こういった声がもっと聞けるようにMixed-studyにしてQualitative analysisも入れてほしいですね!

さて、粗削りではありますし穴も多いですが、楽しく読めた論文でした。近々出るであろう本編の研究も楽しみにしたいと思います!

あ、おまけですがこんな論文9も読みました。こちらは一年ほど前に発表されたもの。
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この論文にはAbdominal hollowingやabdominal bracing maneuversはpelvic floor(骨盤底筋群)の不活性を促す、という内容の結論が書かれており、理想的な横隔膜の活動には協調性のある骨盤底筋活動が欠かせないという他の研究結果10,11と合わせて解釈すれば、abdominal hollowingやabdominal bracing maneuversをおこなっている際、横隔膜を最大限に使った呼吸は実践できていないということになります。abdominal hollowingやbracingそのものができる能力があること、そしてそれを状況に応じて時に選択・実行することには何も問題はないと思うのですが(以前書きましたね、availabilityやvariabilityの話に繋がります)、こういった呼吸がhabitualになったり、こういった呼吸法のみしか選択肢がなくなってしまったら、身体の様々なdysfunctionに繋がるのではないかと危惧させられるような結果です。

1. Stephens RJ, Haas M, Moore WL, Emmil JR, Sipress JA, Williams A. Effects of diaphragmatic breathing patterns on balance: a preliminary clinical trial. J Manipulative Physiol Ther. 2017;40(3):169-175. doi: 10.1016/j.jmpt.2017.01.005.
2. Hrysomallis C, McLaughlin P, Goodman C. Balance and injury in elite Australian footballers. Int J Sports Med. 2007;28(10):
844-847.
3. McGuine TA, Greene JJ, Best T, Leverson G. Balance as a predictor of ankle injuries in high school basketball players. Clin J Sport Med. 2000;10(4):239-244.
4. Sato K, Mokha M. Does core strength training influence running kinetics, lower-extremity stability, and 5000M performance
in runners? J Strength Cond Res. 2009;23(1):133-140.
5. Sekendiz B, Cug M, Korkusuz F. Effects of Swiss-ball core strength training on strength, endurance, flexibility and balance in
sedentary women. J Strength Cond Res. 2010;24(11):3032-3040.
6. Filipa A, Byrnes R, Paterno MV, Myer GD, Hewett TE. Neuromuscular training improves performance on the star
excursion balance test in young female athletes. J Orthop Sports Phys Ther. 2010;40(9):551-558.
7. Zazulak BT, Hewett TE, Reeves NP, Goldberg B, Cholewicki J. Deficits in neuromuscular control of the trunk predict knee
injury risk: A prospective biomechanical-epidemiology study. Am J Sports Med. 2007;35(7):1123-1130.
8. Sandrey MA, Mitzel JG. Improvement in dynamic balance and core endurance after a 6-week core-stability-training program in high school track and field athletes. J Sport Rehabil. 2013;22(4):264-271.
9. Ehsani F, Arab AM, Assadi H, Karimi N, Shanbehzadeh S. Evaluation of pelvic floor muscles activity with and without abdominal maneuvers in subjects with and without low back pain. J Back Musculoskelet Rehabil. 2016;29(2):241-247.
10. Park H, Han D. The effect of the correlation between the contraction of the pelvic floor muscles and diaphragmatic motion during breathing. J Phys Ther Sci. 2015;27(7):2113-2115. doi: 10.1589/jpts.27.2113.
11. Park H, Hwang B, Kim Y. The impact of the pelvic floor muscles on dynamic ventilation maneuvers. J Phys Ther Sci. 2015;27(10):3155-3157. doi: 10.1589/jpts.27.3155.

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  by supersy | 2017-08-06 02:00 | Athletic Training | Comments(0)

船橋EBP講習を終えて、と、「PRICE」から「POLICE」に見る急性障害マネジメント理念の変化。

先週末はおおすか整形・船橋整形さんの合同開催によるクローズドのEBP講習を一日おこなって参りました。

EBPの基礎の話と絡め、今回はAMIや腱障害へのリハビリアプローチなどを「EBP治療介入・臨床応用編」として掘り下げてきました。この内容は、今回いただいたフィードバックを元に改良して、近日中に公式EBP講習の一環として申請しBOC認定を取る予定です。臨床で活躍する皆さんにぜひ役立てていただきたい内容ですので、受講ご希望の方は都内で開催する際にぜひ!
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せっかくリハビリの話もするなら、実践あるのみ!…ということで、(↑)皆でドロップスクワットも!じゅっかいさんせっとぉぉぉ!日曜日に皆で汗じっとりかきました。

多くの皆様、ご参加ありがとうございました。また来年も、きっとお世話になります!
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今回は初めてのコンシンカイもカイサイしました!アメリカの講習会では講師と参加者が飲んでコミュニケーション、という文化はないのでいわば「懇親会デビュー」でした。主催・運営してくださった主要スタッフ(↑)の多くが同年代だったので色々な「同年代話」で盛り上がりました。主にスラムダンクと幽遊白書…。



ついでにというかなんというか。Back to the basic...ということで、今回は怪我の対応の基礎のお話も少しだけ。

「足首の捻挫に、アメリカではギプスをしないんですか?」と聞かれたことがありました。

私はびっくりして「日本ではするんですか?」と逆に聞き返してしまいましたが、そうお尋ねしてくれた方曰く「よくする」んだそうで。骨折はともかく、アメリカで足首の捻挫対応にギプス固定はしたことも見たこともありません。私個人が選ぶアプローチとしては、荷重ができれば松葉杖やウォーキングブーツを併用しながらストレスを調節して歩かせるのが基本。痛みで荷重が一切できなければ、U字コンプレッション・パッドとバンテージで圧迫して(↓)松葉杖2本で非荷重状態を作ります…が、(荷重はまだ不可でもとりあえず)動かせるならクライオ・キネティックスなど早期に導入してなるべく動かせます。
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アメリカでは1970年代後半から2000年初頭にかけてRICE、またはその進化形のPRICEと言われるケガの救急処置のモデルがポピュラーになりましたが、2012年に発表されたこの論文1(↑ ちなみにこの論文は全文無料です)でBleakley氏らは「このモデルはエビデンスを伴わない」「より良いものにアップデートされるべき」と主張。この論文発表から5年たった2017年現在、PRICEまたはRICE「しか知らない」もしくは「に頼りきり」のマトモなクリニシャンはアメリカにはもういないのではないかと思います(状況によってPRICEやRICEのチカラを借りるのが適切なケースももちろんあります。取捨選択をしたうえでのこういった治療を否定するつもりは全くありません、念の為。実際、Grade IIIの足関節の捻挫においては、最長10日の膝下のキャストは有効であるとするシステマティック・レビューもあります2)。

さて、それではどんなモデルが現在より好ましいとされているのか?

この論文のタイトルには「Should we call the POLICE?」つまり、「『警察』を呼びましょうか?」なんて書かれていますが、実はこれ、「(新しいモデルを)『警察』と呼ぶのなんてどうでしょうか?」ともかけられていて、新たなモデルである『POLICE (= 警察)』という新たな略語を推奨したものでもあります。

PRICEは「Protection, Rest, Ice, Compression, Elevation」の略(RICEはそこからProtectionを抜いたもの)ですが、POLICEは「Protection, Optimal Loading, Ice, Compression, Elevation」の略です。大きく変わったのはR = Rest (休息)からOL = Optimal Loading (適切な負荷をかける)という点で、この変更は「受傷直後に少し非荷重・無負荷の時期を短期間設けるのはともかく、不必要に長期のimmobilization/unloadingは有害(harmful)であり、組織の形状や機能に悪影響を及ぼす」ことから、「早期mobilizationとloadingが回復のカギである(↓)」という理念に基づいています。1-3
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患部を甘やかしすぎることなく、早いうちから体重をかけて歩く。早いうちから動かす ― もちろん、これは負荷を早く多くかければかけるほど良いという単純なものではありません。キーワードはExcessive Loading (過度な負荷をかける)ではなく、Optimal Loading (適切な負荷をかける)なのですから、やりすぎず、しかしやらなすぎない、という境界線を見定めなければなりません。回復期にある組織に負荷をかけすぎるようなことがあってはせっかく形成されてきたcollagen cross-linkが破壊され、患部が再出血・腫脹の再発など、ケガそのものが悪化したりすることもあるでしょう。大切なのは患者ではなくプロである医療従事者が「今はここまでの負荷なら適切」と見極め、モニターして継続した回復を促すということなのです。

「休みっぱなし」でなく「動く」、「動いてよい」ということに楽しみを見出すのは患者だけでなく医療従事者もそうなのではと私は思うんですよね。従来の「Rest」に比べて、新たに加わった「Optimal Loading」という言葉は工夫の余地が大いにあって、ちょいとウキウキしませんか?どれくらいが適量かな?どういったloadingを提供しようかな?と考える、新たな知的好奇心の扉が開くというか。
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そういう意味では、近年アメリカで流行っているスクーターや膝に装着するタイプのハンズフリー・クラッチ(↑)は少し疑問なんですよねぇ…。よりselectiveな荷重が可能で確かに移動は楽そうだし、短期的に患者のHRQOLは向上するケースはあるのでしょうけど、アメリカにありがちな「便利さ・手軽さ」のみを追求していて、長い目で見ると身体には悪影響になっていることもあるような…。

(しかしアメリカは肥満人口が多すぎて、松葉杖すら使えない患者が多くいる(= 腕で自重をそもそも支えられない)のも事実ですが。この国の健康問題の根は、また別のところにあるのかも知れませんね…)

ちなみに今回、I = Iceの話は掘り下げませんでしたが、ケガの急性期でのアイシングに関しては私は必ずしも否定派ではありません。以前ブログでも書きましたが、世の中のどんな療法も使いどころさえ間違わなければ体に良い効果をもたらす可能性は十分に含んでいると考えています。アイシングは悪魔でもなければ神でもありません。問題は、ほとんどの場合は使う側の人間にあるんですよね。

1. Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med. 2012;46(4):220-221. doi: 10.1136/bjsports-2011-090297.
2. Petersen W, Rembitzki IV, Koppenburg AG, et al. Treatment of acute ankle ligament injuries: a systematic review. Arch Orthop Trauma Surg. 2013;133(8):1129-1141. doi:10.1007/s00402-013-1742-5.
3. Jones MH, Amendola AS. Acute treatment of inversion ankle sprains: immobilization versus functional treatment. Clin Orthop Relat Res. 2007;455:169-172.

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  by supersy | 2017-07-05 23:45 | Athletic Training | Comments(4)

東京EBP講習を終えて、と、帝京平成大学訪問。

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先週末は、東京は立川でEBP講習を行ってきました!土曜日の夕方に予防医学編、日曜日の朝に評価編、午後に治療介入編と3つ続けておこない、取りたいものに自由に参加してもらうというシステムにしましたが、蓋を開けてみれば参加者の7割は東京外、南は福岡や宮崎から、北は青森からと本当に日本全国津々浦々、たくさんの方々にご参加いただきました。お付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました!

さて、情報過多のこの時代、これからのスポーツの現場、そして医療界は、良質で最新の情報を自分で見つけ、選び、咀嚼し消化し、アウトプットしていく、という今までにないサバイバル能力が問われる社会になっていくのではと思います。もちろん、資本がある方はテーブルに座って「ごはんまだー?」とフォークとスプーンをちゃんかちゃんかと鳴らしていれば美味しい料理がテーブルに運ばれてくる…なんて生活の楽しみ方もあるんでしょうけれど、我々のほとんどは自ら狩りに出て、栄養を多く含む獲物を捕って煮たり焼いたりしてむしゃむしゃ食べ、自らの血や肉へ変えていけるようにならなきゃいけなくなるんじゃないか、と思うのです。
「エビデンス迷子」にならぬよう、「こんな魚の釣り方は誰にでもできてお手軽じゃないかと思いますけど、どうでしょう?」というノウハウをご提案させていだたいているのがこのEBP講習です。釣りって大変だと思ってたけど楽しいなぁ、意外と自分でもおっきい魚釣れるじゃん!と実感して帰っていただけていれば、そしておうちに帰っても釣りの実践を続けられる方が一人でも多くいらっしゃっていれば幸いです。

この夏のEBP基礎3講習はこれで終了しましたけども、冬には新作のEBP臨床・実践編を評価や治療介入の領域でいくつかご提供できればと思っていたりもします。EBPアドバンスト講習も提供するのはひとつの夢なんですが…うーん、あまり同時に複数のプロジェクトに手を出すのは好きではないので、これに着手するにはあと数年かかるかな。しかもアドバンストって名前つけてしまったら、あんまり人が来ないんじゃないかなって気もしてまして…うーむ。ご要望などがありましたらお聞かせください。



さて、話は変わりますが、今日は実家から歩いて20分ほどの中野駅にある大学、帝京平成大学へお邪魔してきました!
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中野北口すぐの「セントラルパーク」を抜けるとそこには大学が集まる敷地があるのですが、その一角が帝京平成大学です。ここらへんは4-5年前にできたばかりで、私自身も地元(?)でありながら、ゆっくり歩いたのは今回が初めてです。パークでは水遊びをする子供たちが駆け回り、その横にはおしゃれなレストランやバー、屋台(?)なども立ち並んでいて学生にもオフィス・ワーカーさんらにも使いやすい場所になっていました。いやー、中野もずいぶん拓けましたねー…。

今回の帰国、「今までお名前は聞いた・オンラインでやりとりをさせていただいたことはあったけどお会いする機会に恵まれなかった」方や「10+年ぶりにお会いする」方などにご挨拶できる機会が続き、いやー、ご縁というのはありがたいものだなと実感しています。業界の先輩方の哲学や職業観、将来に対する予想や展望などのお話を聞くだけでも勉強になりますし、「お前はこういう道を行くといいのではないか」という良い意味で主観たっぷりのアドバイスを頂くのも心から楽しませていただいています。茶化しているわけではなくて、自分では考えもつかなかったような視点を共有していただけるので、こういうのは非常に刺激的で貴重な時間なのです。世界が広がるとはまさにこういうことです。同時に、面白いと思うものや大事だと思っていること、「芯」が似ている先輩に出会うと非常に心強くも感じます。先輩方がつけてくださった道筋をさらにもっと太く、後ろに続く人たちに歩きやすい道にできるように、私もできることがあればいいんですけれども…。

さて、明日からは仕事で仙台に行ってまいります!荷造りを終えたら寝なくては。牛タンたーべーるー。

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  by supersy | 2017-06-22 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

書籍発売 & 熊本・福岡講習を終えて。

突然ですが、書籍が販売になりました!
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本といっても新たに書き下ろしたのではなく、2016年6月から2017年5月までの一年間「月刊トレーニングジャーナル」に掲載した連載記事がまとめて書籍化されたものです。Amazonでも販売していますが、品薄だったり在庫切れになったりしてますので、その場合は出版社であるブックハウスHDさんのウェブサイトから直接注文いただくと良いようです。もしこの夏私の講習会に来てくださる予定のある方は、各講習に数部(多くはないですが)持っていくようにしますので、直接私からご購入していただくことも可能です。事前に連絡いただければ、「予約分」としてお取り置きしておきますので、お気軽にご連絡くださいー。



さて、私事ですが、5月半ばに帰国して、今は日本で仕事をしたり論文を読んだり友人と会ったり家族と時間を過ごしたり少し芸術に触れる機会を設けたりしています。東京は博物館美術館水族館などいっぱいで本当に、英気が養えます…。幸せ…。日本にいる間、専門に関することを教えるほうも勿論なんですが、もっともっと学ぶ側にもなってみたいんですよね。滞在中、講習会や学会などにも参加してみたいなぁと色々調べてみているところです。
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さて、仕事と言えば先週末は、6月3日の土曜日は熊本の九州看護福祉大学(↑写真)にて、4日の日曜日は福岡のゴルフ&トレーニング施設、torqueさん(↓写真)を会場に個人講習を行ってきました。どちらもEvidence-Based Practice = つまり、エビデンスを生かしながら実践するとはどういうことか?という切り口で、しかしひとつは「ACL断裂評価」と「脳震盪」の最新エビデンスについて討論してみたり、もうひとつは「評価全般」と「治療介入全般」という観点から英語論文を読み込み、エビデンスを使う練習をしてみたりと、少し異なった捻りを加えた2講習となりました。
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現役の学生さんから、臨床でバリバリ活躍されている皆様に囲まれて、どちらの講習も和やかに進行しつつも、ずばずばとたくさんの刺激をいただくことができました。特に熊本は今回初めてだったのですが、一日早く前乗りしたのでゆっくり観光をする時間もあり、先輩ATC・井出先生に水前寺公園、阿蘇神社、阿蘇山に連れて行っていただいたり(火山からもくもく煙が出ていました!)、熊本城や熊本県立美術館にふらりと立ち寄ったりと、なんだかもう、仕事しに来たんだかなんだかってくらい羽を伸ばしてしまいました。各地でお世話になった皆様、ありがとうございました!
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熊本城は思った以上に城壁が崩れていました。災害の力の強さを改めて感じます。私は目立ったボランティアなど、立派なことは何もしていませんが、また改めて家族を連れてここへ旅行に来て、温泉を楽しんだり美味しいものを食べたり…そんな形で「復興」へ貢献したいと思います。熊本、とても良いところでしたよ!皆さんもぜひ!
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さて、明日はPRI・マイオキン講習のために広島へ出発!梅雨入りしたばかりの西日本ですが、天気もまぁまぁ良さそうでよかった。こちらもわいわい楽しんで、ロン・ワールド全開で行きたいと思います。

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  by supersy | 2017-06-08 20:00 | Athletic Training | Comments(0)

SCAT5と最新脳震盪コンセンサス・ステイトメント: その2。

前回に引き続きですが、6月4日に福岡で行う講習のご案内もさせていただきます。
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画像はクリックで拡大します。こちらは東京の講習と内容はほとんど一緒なんですが、主催してくださってる団体が違うので、いくつか昨日紹介した講習と異なる点数があります。1) 同じ内容をもう少し時間をかけてゆっくりと、そしてその分多くの文献をレビューします(特に治療編)。2) 主催団体が異なるため、BOC認定CEUはつきません。3) そのぶん、お値段が少し抑えめになっています。

福岡での個人講習は初めてなので、多くの方にお会いできるのを楽しみにしています!エビデンスにもうちょっと強くなりたい、英語文献の苦手意識を減らしたい、という方はぜひー。



さて、昨日の続きです。

7. Refer
成人なら10-14日以上、子供なら4週間以上症状が続く場合を"persistent symptoms"と呼ぶ、と。ひとつ前のリハビリのセクションで話された通り、symptom-limited aerobic exerciseとc-spine, vestibular rehabの使用を推奨する内容になっています。「今のところ、pharmacotherapyに関しては限られたエビデンスしかないが、これらを使用する場合、RTPの際の『無症状』状態は薬を飲んでいない状態での『無症状』であるよう確認すること」とありますが、これはごもっともですね(Amantadineとかのことを言っているのかなー)。

8. Recovery
より回復に長い時間がかかるpredictorとして、意識消失や健忘症など様々な要素が研究されてきていますが、今のところ一番はっきりと分かっているのが、「脳震盪を受傷した一日目の症状が深刻であればあるほど、回復には長い時間を要することが予測できる」ということなんだそう。逆に言うと、「初日の症状が軽ければ軽いほど、その先の見通しも明るい」ということにも。偏頭痛や精神疾患の既往歴がある患者は症状が一ヶ月以上続くリスクが高い一方、ADDやADHDなどの学習障害は脳震盪からの回復には影響が無いようだ、ということも報告されています。

9. Return to Sport
これは百聞は一見に如かず、ということで、第4回と第5回国際スポーツ脳震盪会談のRTPモデルを直接比べてみちゃいましょう!上が第4回から抜粋したもの、1 下が今回のコンセンサス・ステイトメントから抜粋したもの2 です。
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もうステージ1が明確に違いますね。闇雲にただ患者を休ませるのではなく、症状に導かれて(symptom-guided)活動をすることの重要性が改めて強調されています。ここらへんは、整形のケガと同じですよね。昔は足首の捻挫なんかもPRICE (protection, REST, ice, compression, elevation)しろと言われてきたのが、近年はPOLICE (protection, OPTIMAL LOADING, ice, compression, elevation)こそがカギである、3 と言われているのと同様に、脳震盪患者も1-2日しっかり休んで、3日目からは症状が悪化しない範囲で適度な活動をすることが大事、という風に専門家間の価値観が変わってきているのがわかります。

10. Reconsider
「エリート選手であろうがそうでなかろうが、同じマネジメント方法を変えることがあってはならない」というのは納得です。プロスポーツのプレイオフやオリンピックなんかで、あり得ないくらい速い脳震盪からの競技復帰を目にしたことは一度や二度ではありませんから…。

Child (5-12歳)やAdolescent (13-18歳)が脳震盪からの回復により長い時間がかかる(i.e. Childrenの場合は4週間)というのは今更言及するまでもないとは思うのですが、「彼らにまず優先されるべきは完全学業復帰で、その後で競技復帰がなされるべきである」「学校単位でスムーズな学業復帰の指針となるacademic accommodationを設け、サポート体制を整えておくべきである」と書かれているのはいいですね。これはスポーツ医療とは分けて、もう完全に学校側の責任にしてしまってもいいと思うのですが…。もちろん、スポーツと学校側のコミュニケーションと意思疎通は大事だと思うのですが、責任は振り分けたほうがいいとも思うのです…。私だけかな…。

11. Residual Effects and Sequelae (後遺症)
ここではほんの少しだけCTEについて記述されていますが、「繰り返されるhead traumaでCTEが起こる可能性がある」「…が、因果関係はまだ確立されておらず、これからの研究を待つ」という、強い肯定も否定も含まない文章になっています。True prevalenceがまだわからないのですから、この慎重な表現は当然ですよね。私も続報を待っています。

12. Risk Reduction
ヘルメットやマウスガードのエビデンスは限られており、どちらかというと「使用しても脳震盪予防には効果が無い」可能性のほうが高そう。最も確実に脳震盪予防に効果があったのは1) ユースホッケーでのバディーチェッキング禁止ルールの採用; いくばくかのエビデンスがあるのは2) ユースアメフトのコンタクト制限は頭部へのコンタクトを減らす(が、それが脳震盪を減らすかは不明); 3) 大学アメフト選手のビジョン・トレーニングは脳震盪を予防するかもしれない(これについては初めて聞きました…参考文献を読んでみたいけど引用がされていないので知っている方教えてください)だそうで。逆に「予防には無効」だと分かっているのは4) ユースホッケーの「フェアルール」採用; 5) ヘルメット・パッド無しのアメフトのタックル練習 (えー!これ期待していたのになぁ、ダメだったんだ)なんだそうです。ふむふむ。

さぁ、コンセンサス・ステイトメントはここまでなのですが、SCAT54についても手短にまとめておきたいと思います。
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冒頭(p.2前半)に分かりやすく"STEP 1: RED FLAGS"の記述があるのは非常に好感が持てます。なるほど、p.2が"Immediate or On-field Assessment"で、p.3-5が"Office or Off-field Assessment"になってるんですね、患者をいつ動かしていいのか明確で良いと思います。前回SACの後にあったNeck Examinationが今回はCervical Spine Assessmentとしてかなり早い段階で出てくる(p.2の最後)ところも、頸椎損傷をまず除外しようという目的なんでしょうね。しかし、Step 3 Maddocks ScoreとStep 4: Glasgow Coma Scaleは順番が逆なのでは?とどうしても思ってしまうのですが…。うーん、ここだけは少し腑に落ちないなぁ。
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p.4はまるまるSAC…数字も覚える単語もかなりバリエーションが増えていますね。で、p.5でNeurological Screenというのが初登場です。ここにFinger-to-Nose TestにTandem Gaitと、一見消えた風に見せかけられたアイテムたちが隠れています。で、次はそのままmBESS Testで、最後にSACのDelayed Recallやって終わり、と。

つまるところ内容はSCAT3とほぼ一緒。少し順番の入れ替えがあったのと、いつ患者を動かすかのタイミングを明確に表記したところが今回のSCAT5のユニークさでしょうか。"The SCAT5 cannot be performed correctly in less than 10 minutes"と冒頭に明記されていますが、SCAT5そのものは、やはり全てちゃんとやろうと思うと10分以上はどうしてもかかるものです。完全なるサイドラインテストではありません。そういう意味では、「ここまではon-field」「ここらはoff-field」という区別がされることでかなりユーザーフレンドリーにはなったのではと思いますね。個人的に、疑問がないところがないわけではないですが…。

K-D Testみたいな要素も入るのかなと思っていましたが、そういうのはないんですね。やっぱりportability(持ち運びの容易さ)も大事なんだろうし、これだけの小さなスペースに収めるのに無理があるということなんでしょうか。お手軽さ、スピーディーさでいったら大したもんだと思うんだけどなー。

今回のアップデート、Dr. Leddy氏らの研究内容が組み込まれたのはどきどきワクワクで、ある意味パラダイムシフトの始まりと言えそうですが (これを受けてNATA Position Statementも緊急でミニアップデートとかしないのかなー)、それ以外にこれといって目からウロコが落ちるようなびっくりする内容はなかったですね。将来、2020年に発表されるという第6回のコンセンサス・ステイトメントを楽しみに待つことにします。次回はウロコぼろぼろ落としたいです!

1. McCrory P, Meeuwisse WH, Aubry M, et al. Consensus statement on concussion in sport: the 4th International Conference on Concussion in Sport held in Zurich, November 2012. Br J Sports Med. 2013;47(5):250-258. doi: 10.1136/bjsports-2013-092313.
2. McCrory P, Meeuwisse W, Dvorak J, et al. Consensus statement on concussion in sport-the 5th international conference on concussion in sport held in Berlin, October 2016. Br J Sports Med. 2017;pii:bjsports-2017-097699. doi: 10.1136/bjsports-2017-097699.
3. Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med. 2012;46(4):220-221. doi: 10.1136/bjsports-2011-090297.
4. Echemendia RJ, Meeuwisse W, McCrory P, et al. The sport concussion assessment tool 5th edition (SCAT5). Br J Sports Med. 2017;pii:bjsports-2017-097506. doi: 10.1136/bjsports-2017-097506.

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  by supersy | 2017-05-12 23:00 | Athletic Training | Comments(0)

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