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PRI Advanced Integration 4日目とそれに関連する文献色々。

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AIの一日目に、相棒のケニーと一緒にPRI Director's Dedication Awardsという非常に名誉ある賞を頂きました。これはPRIに大きな貢献をした人に与えられるもので、年に1-3人の受賞者が発表される(該当者がいない年もある)のですが、過去の受賞者を見てみると、Susan Henning, Joe Belding (2012); Kyndall Boyle, James Anderson, Michael Cantrell (2014); Jason Masek, Michal Niedzielski (2015); Jennifer Poulin, Lori Thomsen (2017)とまぁ、PRI Home of Fame(殿堂入り)といってもいいくらいの面子が並んでいて、恐縮しかありません。ありがたいことです。

仲間内で(賞を上げあって)何やってるんだ、と失笑されるかもしれませんが、私は未だにPRIを他人様のものだと強く思っていて、自分が内部の人間であるという認識は全くありません。PRI講習会に私自身が参加することは、Ronの頭の中を少し覗ける貴重な時間を分けてもらえることであり(そしてそれはあくまで私の知的探求心に基づく120%趣味の行為であり)、自分がPRI講師として活動させてもらう機会に恵まれているのもたまたまそういう話が出たときに私がいたからで(むしろ「これでがっつりPRIを勉強し続ける理由ができた!ラッキー!」と思い、利用させてもらうくらいの心づもりでいました)、別に私に代わる人材などこれからいくらでも出てくるでしょう。何ならPRIから「アンタはもういいから、これからは他の人にやってもらうわ」と言われるようなことがあれば「そうですか!今までありがとうございました」と講師の草鞋を脱いでイチ受講者に戻る準備はいつでもできています。

しかし、今回この賞を頂いて…それからこの日の夜にはRonがPRI講師を全員食事に招待し、感謝会を開いてくれたのですが、これもまた心温まる会合で、本当にもうすっかり名実ともに家族になったと言ってもいいのかなぁという気分になりました。PRI講習、日本で開催できたらきっと面白いだろうなぁ、と考え、その実現まで膨大な時間とエネルギーを費やしてきたのは、あくまで「私がそうしたかったから」なのですが、それをRonばかりか、PRIコミュニティーが認め、感謝をしてくれているという実感は素直に嬉しいものでした。「いつでもやめろと言われたらやめよう」ではなく、「いつまでも家族の一員として恥じない仕事をしよう、そしてそのプロセスを楽しもう」と考えを改めました。これからも一層帯を締めて頑張っていこうと思います。

しかし何より最も言及されるべきはケニーの存在、彼の努力と尽力っぷりです。私もPRIに対してそれなりの貢献はしてきたのかもしれませんが、彼のそれとは比べ物になりません。PRIに間違いなく最も精通している日本人、且つ、私の14年(+?)来の友人であり、共にATとして成長をしてきた仲間…。彼のことは兄弟というのも、親友というのもなんだかいまいちしっくりこないのです。親友と呼ぶにはあまりに私が彼に対して抱く尊敬の念が大きすぎるのかもしれません。渡米してから16年、これでも私は私なりに必死にここまで休むことなく勉強してきたつもりなのですが、彼は「さゆりさんたぶんこれ好きっすよ」「さゆりさんこの本おススメっすよ」といつでも私の2-3歩先を歩んでいて(そして彼がそういうものはたいがい私は大好きになり)、私にinspirationと道しるべを与え続けてくれた存在だからです。私にとってはまぁ、ちょっとした仏ですよ。神的存在。

だから、今回これだけの名誉な賞を、他でもないケニーと一緒に受け取れたということがもしかしたら私は一番光栄に感じているかもしれません。若いころ、気の合う仲間と「いつか何かでっかいことしようぜ!」と盛り上がることは誰にでもあることなのかもしれませんが、そういう仲間と実際に10年後くらいに「でっかいこと」ができる機会なんて、滅多にないでしょう?

相変わらずマイペースな私ですが、つながるご縁に感謝してこれからも頑張っていこうと思います。



さて。AIは終わって昨晩Corpusに帰ってきましたが、もうひとつだけそれに関係する内容で読む機会があった興味深い論文1 があるので、忘れないうちにまとめておきます。
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これは講習内で出た論文ってわけではないのですが、歩行と呼吸のphase-lockingについてケニーと盛り上がっていた時にケニーが見つけてきて「面白そうやん!」となったので(これがあるので気がある友人と一緒にいると勉強が終わらない止まらない)。

1) 歩行・走行時の矢状面での体幹屈曲によって起こる「ふいご(bellows)」効果
2) 慣性の法則によって生まれる「内臓ピストン(visceral piston)」効果
3) 多くの体軸筋(axial muscles)が呼吸とロコモーションの二役を担っていること(トカゲやトリ、イヌなどは、走っている最中はこれらの筋肉は呼吸筋としての活動を停止し、走行に貢献するんだそう。役割がスイッチで文字通り切り替わるんですね)
…などの要素から、呼吸とロコモーションは機械的、神経的相互作用してphase-lockし合い、Locomotor-respiratory coupling (LRC)を生み出す、そしてだからこそ四足歩行、ギャロップ歩行する哺乳類は1:1の割合でstride:breathを行うのだ…というのは、この前回の記事でも書きましたね。
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しかし人間は二足歩行なので、少しばかり力の作用の仕方が違ってきますよね。例えばfoot-strikeの際にズシンと地面からの力を受け、内臓の下降(downward displacement of the abdominal viscera)と胸郭の圧迫(compression of the thorax)、それから立脚初期から中期にかけてのアームスイングもそこに上から圧迫を足すんでしょうけども、全体的に四足歩行の動物と比べると、bellows効果やvisceral piston効果など、機械的・筋神経的相互作用は少ないような気がします。つまるところ、人間のロコモーション時にそれほどphase-lockingは見られないのでは?という説を唱えている人たちがいるのです。この説を「支持する」研究として、「トレッドミルで走行中、step-driven flow(歩行そのものによってもたらされる、体内の空気の流れ)はtidal volumeの1-2%程度にしかならない。これは、trivialと言えるくらいの量で、どうやらロコモーションは呼吸に影響をほとんど及ぼさないようである」というもの2 が紹介されていました。ふーむ。しかしこのclaimに対して今回の論文の著者らは「トレッドミルでジョギング中、腕を脇に休めるようにし、アームスイングをさせなかったことはこの結果に大いに影響を与えた可能性がある」と論じ、この「結論」に異議を唱えています。だから、今回の論文ではしっかり腕の振りも付けて走ってもらって、呼吸とロコモーションの関係性をもう一度見つめなおしてみよう!というわけです。

で。この研究では14人の被験者(平均36±2歳、男5人、女9人; うち、7人が一週間に最低20マイルは走るというレクリエーショナル・ランナー、7人は運動はしているがランニングはしていない人達)を対象に(人数は少なく、ランナーvs 非ランナーとグループ分けをされているわけでもないし、少し行き当たりばったりなsubject selectionという感じ。もう少し明確な比較目的などあればよかったかと思う)、「30分間走り続けられる各自お好みのペース」を選んでもらい、5分間のウォームアップののち、5分間ジョギング。その間の呼吸を計測。
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結果なんですが。被験者の全員に高い頻度(high frequency)で起こるstep-driven oscillations in flowがあることが判明。foot-strikeの直後に吸気衝動が、その直後の身体が最も加速する際に呼気衝動が起こるんだそうで、それぞれ動く空気量は-12.7±4.5%と10.7±3.2% (of total ventilation, = 2.5-3.0% tidal volume per step during 2:1 step her breath rhythm)と、前述の研究2 よりかなり高い結果になっています。例えば軽く息を吐いた時にズシン、とfoot-strikeが起こって吸気衝動が生まれれば、空気の流れが逆流し、吐いていた息が吸い込まれるくらい勢いがあって強いものなんだとか。

Stride:breathの比率は個人差が大きく、しかも走りながらペースを変化させる人も少なくなかったようですが、どんなロコモーション・呼吸パターンを見せた人たちでも、やはり「好きなタイミングで呼吸をさせた」場合のほうがstep-driven oscillation in flowに逆らわず、利用するように(=エネルギーの無駄を最小化して、最も効率良く)走行・呼吸をすることが多かったのだそうです。その際、LPCとしては2:1が最も多く、このテンポが一番効果的であるのではないか、というのが今回の研究の考察です。

被験者群にバラつきがあり、sample sizeも小さいので気を付けて解釈されるべき研究だとは思いますが、理想的なエネルギー消費、ついてはより長い距離を呼吸筋を披露させずに走る方法として、2:1の走行:呼吸のリズムが最適かもしれない、という結論は非常に興味が沸きますね。続報があったらまた読んでみたいです。面白かった!

1. Daley MA, Bramble DM, Carrier DR. Impact loading and locomotor-respiratory coordination significantly influence breathing dynamics in running humans. PLoS One. 2013;8(8):e70752. doi: 10.1371/journal.pone.0070752.
2. Banzett RB, Mead J, Reid MB, Topulos GP. Locomotion in men has no appreciable mechanical effect on breathing. J Appl Physiol (1985). 1992;72(5):1922-1926.

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  by supersy | 2017-12-11 23:30 | PRI | Comments(0)

PRI Advanced Integration 1-3日目とそれに関連する文献色々。

年に一度のPRIの祭典!Advanced Integration(通称: AI)に出席するためにまたネブラスカに来ています。AIは四日間、8時から5時まで(+夜の5-6時半くらいのゲストレクチャー)というもはや変人レベルの勉強会なんですけど、誇張なく、世界各国から(大半はアメリカ人なのですが、英国、韓国、日本、イスラエル、アイルランド、シンガポールなど他の様々な国からも)97人の猛者が参加しております。たーのーしーいー。
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今回はAIで話題に上がった論文のレビューをまとめておきます。どれも面白かった。
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まずはこちらの論文1。2011年発表の日本人研究チームのもの。
Adolescent Idiopathic Scoliosis(思春期特発性側弯症)の原因とは何なのか?どうして思春期で発症するのか、そしてどうして左の脊柱側弯症よりも圧倒的に右が多いのか?まだまだ謎の多いこの疾患ですが、もう少し踏み込んで、「病理的変化のない『一般的』と言われる脊柱でも、『思春期特発性側弯症』を思わせるような特徴はどれだけ認められるのか?成長と共にそれらの『特徴』は変化していくのか?」…に焦点を当てたのがこの論文です。
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検証方法は至ってシンプル。被験者の立位脊柱レントゲンを撮り、Cobb angle(上図参照)を計算して検証する、というもので、加えてCobb angle計測のintra- & inter-rater reliabilityも3人の整形外科医の間で検証されました。対象となったのは大きく分けて2種類の被験者群。既に脊柱側弯症と診断されている患者(44名)と、「通常」な脊柱を持つ人たち(1200名)です。この研究の目的は大きく2つ。脊柱側弯症患者は、右と左「どちらの方向」に湾曲が起こっているのか?健康な被験者は、「どちらの方向」に、脊柱側弯症とは言わないにしても「どの程度」の湾曲が見られるものなのか(又は全く湾曲なくまっすぐなのか)?ということを紐解こうとしているわけです。ふむふーむ。もう少し詳しい各被験者群の描写は以下の通り。

脊柱側弯症患者
Cobb angleが15-75度(= scoliosis)の非先天的且つ症状がない脊柱側弯症患者44人(年齢幅5-19歳, 平均12.7歳、男2人、女42人)。 *個人的には性別の偏りが気になります


「正常」な脊柱
幼少期(4-9歳)と思春期・青年期(10-19歳)、成人期(20-29歳)の被験者をそれぞれ400人(男女比は完璧に50:50、合計1200人)。
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結果です。
Intra- & Inter-rater Reliabilityは、同じX-rayを見ていても思ったより高くないんだなというのが正直な印象です。< 0.40 Poor; 0.40-0.59 Fair; 0.60-0.74 Good; 0.75-1.00 Excellentという基準を考慮すると、それでもGoodからExcellentのrangeには入るんですけど (↑Table 1 & 2参照)。

脊柱側弯症患者のなんと全員(44/44, 100%)は右側にその側弯症が認められたそうな。
「正常」な被験者では右の脊柱側弯症を正の数字(> +1)として、左の脊柱側弯症を負の数字(< -1)で表した場合、

  幼少期 男 +0.6±3.7° 女 +0.1±3.9°左 125人、側弯症無し 125人、右 155人
  思春期 男 +1.8±2.2° 女 +1.5±3.3°左 70人、側弯症無し 114人、右 216人
  成人期 男 +2.3±3.2° 女 +2.3±3.1°左 46人、側弯症無し 102人、右 252人

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というわけで、幼少期と比較すると思春期と成人期の右脊柱側弯症への傾向は著しく高い(p < 0.01, p < 0.001)ことが見えてきました。思春期と成人期は統計的に有意な違いは見られなかったそうな。男女差も特になかったそう。

つまるところ、何らかの理由で成長過程で我々の脊柱は右に向かって曲がっていくという傾向が確かにあるわけです。これらの1200人の被験者は「脊柱側弯症」という診断を下されておらず、見た目にも明らかな胸椎、胸郭の変形がない、自覚症状もない(脊柱とは全く関係のない身体の問題で病院に来院した)人たちだったわけですから、もしかしたらこれは我々が生活の中で繰り返す動きの癖やパターンに大いに関りがあるのかも知れません(これは私個人とPRIの意見で、本文では触れられていません)。加えて、今回報告された「思春期以降は健康な被験者にも右の脊柱側弯が認められる」という事実がAISのdevelopmental patternと酷似していることを考えれば、右の脊柱側弯症はそれなりに「normal variant」とも言えるのではないか?(特に症状を伴わない場合)病気や疾患という扱いをしてしまっていいのか?疑問が沸いてきます。くどいですが、これも私個人とPRIの見解です。ここらへんについてもっと知りたい方は前回紹介したPRIコンセプトと脊柱側弯症についての教科書の一章2をぜひご自分でお読みになってください。


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この論文も面白いです。3
2015年発表のブラジル研究チームによるPatellofemoral Pain(PFP)患者に関する研究。PFPの危険因子には膝が内側に崩れるようなDylanic Valgusや、逆に片足立位時に股関節外転金の出力不足によって起こるVarusなど、いわゆる動的エラーと呼ばれる要素が上げられたりします。これらの要素をSingle-Leg Triple Hopというかなりインパクトの強い動作中に、PFPありの患者とない健康な被験者でどう動きに違いが出るか見てみましょうぜ、というのが検証内容。
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20人の女性PFP患者(平均23.1±3.3歳)と同じく20人のAge-matchedな健康な女性被験者(23.5±2.1歳)を対象(ちなみに90%のStatistical Powerを得るための「各グループ最低17人」の条件は十分に満たしています)に、10分間トレッドミルで歩いてウォームアップしてもらったのち、Single-Leg Triple Hop Testを実施。一度目のジャンプの着地から、2度目のジャンプの踏切りの間のTransitional PeriodのBiomechanical Analysisを行ったわけです(写真↑)。テストはPFP患者は痛みがある方の足で、被験者は利き足で行った…という表記がありますが、具体的に右が何人、左が何人という数字は記述がありませんでした。個人的にはそこが気になりますし、私は右足でこのテストを行った人数が圧倒的に多かったのではと予測します。数字がない以上、予測の域を出ることはできませんが。

結果です。
Peak Joint Angle Data (Table 2)より。
胴体: PFP患者はより胴を前方(p = 0.038)同側側(p = 001)に傾ける傾向があるが、同側回旋は非PFP患者に比べて起こらない(p = 0.003)。
骨盤: PFP患者は逆側のPelvic Drop(p = 0.001)が著しく大きく起こる一方で、同側回旋は起こりにくい(p = 0.001)。最大骨盤前傾度合いにグループ間の大きな差は見られない(p = 0.299)。
股関節: より大きな股関節内転(p = 0.02)と内旋(p = 0.002)が見られるが、屈曲は著しく少ない(p = 0.029)。
膝: 屈曲が少ない(p = 0.001)が、内転は大差なし(p = 0.614)。
足首: よりEversionが大きい(p = 0.019)が、Dorsiflexionは著しく少ない(p = 0.003)。
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ふーむ、矢状面での屈曲が少なく、水平面での内旋が早く過剰に起こってしまうことから、伸展・外旋による爆発力が生まれにくい。加えて全額面では支脚方向に身体が極端に寄ってしまう、ということなのか。Table3も4も含め、総合的に見るとPFP患者はこういう位置(↑)に自分の身体を置きやすいことが見えてきます(Aが健康な被験者、BがPFP患者)。立位側に胴体を傾け、逆側骨盤を落とし、立位側股関節は内転内旋…。写真で見比べてみても、PFP患者のほうがより身体を右半球に埋め込んでいる感じ、つまり、健康な被験者がやっていることをより大げさにしてしまっているのがPFP患者なんですね。これは研究筆者も同意見のようで、"While both groups that participated in this study exhibited a similar movement pattern, the pattern was more pronounced in those with PFP" (p.804)という表現が文中に確認できます。PFP患者と非PFP患者、同じ動的パターンを見せる傾向があっても、そのパターンをより色濃くしてしまうとpathologyに繋がるんだ、という発見が面白い研究でした。

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では、最後にこの論文です。4
この論文は美しい!詩のように流れるような文章で、それでいて充実した内容の情報が的確にまとめられていて。冒頭は特に芸術的です。"There is arguably no other muscle in the human body that is so central literally and figuratively to our physical, biochemical and emotional health as the diaphragm. From its most obvious role in respiration, to its less obvious roles in postural stability, spinal decompression, fluid dynamics, visceral health and emotional regulation, the diaphragm has a repertoire of function that is broad by any muscle's standards" (p.342). これは日本語に訳そうと思うことが失礼にあたるくらい完璧に書かれた文章です。アンダーライン引いて何度も読み返したい…。

「横隔膜の担う呼吸という役割は(特に休息時において)主要である一方で、この機能は実は発生学の観点からは「『二次的(exaptation, side-effect)』と言わざるを得ない」、詳しくは、我々がまだ海中生物だった頃に空気を吸い込んでしまうことを防ぐメカニズムとして(つまり今の「空気を吸う」のとは真逆の目的で)できた組織なのではないか、または他の生物と比べて異様に発達した脳を持つ胎児を産道から押し出すことだったのではないか…など、実にわくわくする説を展開しています。横隔膜は部位としてはTransverse Abdominis (TA)の肋間に触れる部分が剥がれてできたといっても過言ではないんだそうで。さらに、発生学的に考えると、TA, IO, EOなどの深層腹筋群とAnterior, Middle and Posterior Scaleneは同じ胚の部位からできているというstatementもめっちゃ面白かったです…。こうして考えるとScalenes(斜角筋)が呼吸に深い関りがあると言われるのも実に道理にかなっているのだと本文では説明されています。

横隔膜がphrenic nerve (C3-5)によって(動的・感覚的)神経支配されているのは周知の事実だと思うのですが、なんと下部の肋間神経(6-7)からも神経支配を受けているらしいです。だから、横隔膜に対する治療アプローチはがっつり肋骨の機能・形状に影響をもたらすのだ、と。それだけではありません。Phrenic nerveはAnterior Scaleneと「関りのある」fasica周りを通過することから、Whiplashなどによる損傷や慢性的過活動(i.e. FHP)など、Anterior Scaleneに変化が起こるとそれがPhrenic nerve機能不全を招いたりすることもあるんだそうな。だから、呼吸に問題のある患者に対して姿勢介入が有効だったりする、その理屈もここらへんから来ているのではないか、なんだと。他にも横隔膜は嚥下と消化にも深いつながりがあり(横隔膜下部はPhrenic nerveではなくてVagus nerveの神経支配を受けているので)、逆流性食道炎などの治療にも横隔膜が注目されていること(食べ物がスムーズに胃に辿りつくにはcruraの部分の横隔膜が適度にリラックスしている必要があり、且つその間も横隔膜は呼吸を止めるわけにはいかない、ということを考えれば、この「神経支配の住み分け」は至極当然なのかもしれません。これと同じことが嘔吐などの場合にも当てはまります)も言及されています。横隔膜の姿勢筋としての機能、IAP制御などについても表記がありますが(横隔膜はspindle cellの数が少ないのでtensionやプレッシャーのコントロールを一人ではとても仕切れない、abdominal wallやpelvic floorとの連携が必要不可欠である、など)、このへんの論文は自分でも読みつくしているし、真新しい情報はなかったので省略でいいかな。前にも書きましたしね。横隔膜の活動がgait(歩行)のフェーズや飲食のリズムと深い関係があることについても(なので歩行のフェーズに合わせた呼吸介入もそのリズムを取り戻すのに有効であるかもしれないことなど)少し記述がありましたし(ちなみに四足歩行の哺乳類の殆どは一歩歩くごとに一呼吸をするという1:1であるのに対して、ヒトは2:1~4:1程違いがあるそう。四足歩行の動物は移動の際に前後にvisceral piston、つまり内臓が前に押し出されることで横隔膜のドーム形状がリストアされ、次の呼吸がしやすくなるという独特のチカラの掛かり方が起こることを考えれば、1:1という割合は動物学的にもスジが通っています。四足歩行動物でもグレイハウンドのような長距離を走ることを得意とする動物は2:1の割合で呼吸をする種もいるんだそうで、それらの種はどうしてそんな進化を遂げるようになったのかも妄想をめぐらすと楽しいです。あ、話が逸れた。ヒトの呼吸は割合としては2:1が一番エネルギー消費の無駄が少ないのだとか)、感情のコントロールと横隔膜の機能の箇所では「例えば子供が痛みを感じるとハッと息を飲み込み(それらは横隔膜の収縮によってもらたされたものである)、その後に子供は大声で泣き始めるだろう(これは横隔膜のリラックスと、abdominal wallの収縮によって起こる現象だ)」と説明し、「ところが大人はどうだ、同じような痛みを感じて空気を飲み込むことはあっても、子供のように思いっきり泣いて吐き出すことは滅多にない。もしかしたらそういう出来事があるたびに横隔膜の緊張は高まっているのかもしれない」という推測も、ユニークで斬新でもうめちゃめちゃ面白いです…っていうか、この論文いちいちひと段落ひと段落が面白いです。横隔膜好きは一度読んだほうがいいです…。

それでは、キリがないし、明日も一日講義のでそろそろ休むことにします!AI後半の報告のため、また更新します。

1. Doi T, Harimaya K, Mitsuyasu H, Matsumoto Y, Masuda K, Kobayakawa K, Iwamoto Y. Right thoracic curvature in the normal spine. J Orthop Surg Res. 2011;6:4. doi: 10.1186/1749-799X-6-4.
2. Henning S, Mangino LC, Massé J. Postural restoration: a tri-planar asymmetrical framework for understanding, assessing, and treating scoliosis and other spinal dysfunctions. In: Bettany-Saltikov J, Schreiber S,eds. Innovations in Spinal Deformities and Postural Disorders. London, UK: InTech; 2017.
3. dos Reis AC, Correa JC, Bley AS, Rabelo ND, Fukuda TY, Lucareli PR. Kinematic and kinetic analysis of the single-leg triple hop test in women with and without patellofemoral pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2015;45(10):799-807. doi: 10.2519/jospt.2015.5011.
4. Wallden M. The diaphragm - More than an inspired design. J Bodyw Mov Ther. 2017;21(2):342-349. doi: 10.1016/j.jbmt.2017.03.013.

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  by supersy | 2017-12-09 23:30 | PRI | Comments(0)

PRIポスチュラル・レスピレーション東京・名古屋講習終了!と、Talking About Perception。

PRIポスチュラル・レスピレーション、東京(7月14~15日)講習、名古屋(7月16~17日)講習の怒涛の4日間が無事終わりました!!!!
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東京講習(↑): 主催の帝京大学のスタッフさん一同はいつにも増してPRI愛に溢れており、感謝しかありません!参加者60名超の大所帯講習でした。

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名古屋講習(↑): こちらも濃い面々ばかり。鋭い質問が飛び交う講習になりました。
近藤先生、鈴木さん、ありがとうございました!

今回も「どうしたらロンの言葉がもっと伝わるだろう?」とケニーと試行錯誤をしながらの濃厚な5日間(前日準備も入れて)でした。講習参加してくださった皆様には最後に衝撃ニュースもありましたが…こちらもPRIジャパンから近々正式告知があることでしょう。いやー、体力勝負の4日間でした。終わって今、がっつり風邪を引いています!やっぱりね!!引くとおもったもんね!!!!

それから、この怒涛の4日連続講習の直前の7月12日には、ひょんなご縁があり、順天堂大学(↓)で特別講演をさせていただく機会にも恵まれました。
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学部生、大学院生、教授陣にAT専門vs非AT専門が聴衆に入り乱れる中、全ての人に何かしらの学びを…!というこれまた難しい設定の講習会でしたが、「ナンジャコリャー」とゆるーく楽しんでいただければ幸いです。講演のあとには体操部の練習見学という貴重な体験まで…!新しくできたばかりという体操アリーナ、う、美しい…!鹿倉先生、窪田先生、中新田先生、本当にありがとうございました!

明日アメリカに戻ります。2か月のこの夏の日本滞在、お陰様で非常に濃密なものになりました。お会いしてくださった皆様、遊んでくれた友人、色々と将来に関してアドバイスを下さったAT先輩の方々、全てに感謝しています。それではまた、冬にー!



ここからはおまけというか本題なのですが(どっちだ)、最近頭の中でモヤモヤ妄想していたことをまとめておきます。

教育者という仕事をしている以上、「私が表現する」世界は世の中に起こる普遍的で再現性の高い事柄を、すべての(もしくはなるべく多くの)人に理解できる言語で表現するようでなければいけないと思いますが、それとは相反する位置に「私が感じる」世界というものがあります。こちらの世界は私個人しか知覚し得ないもので満たされており、その全ては個人的な経験であって、他の誰にも再現することができません。

表現する世界と感じる世界。与える世界と受け取る世界。アウトプットとインプット。どちらにも興味はあるのですが、最近は特に後者の知覚する・受け取る世界とインプットの神経経路内での咀嚼・解釈の方について考えることが多いです。
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貴方が自分を取り囲む環境をどう知覚しているか、私が永遠に理解できることがないように、貴方にも私が知覚している世界をそっくりそのまま体験していただくことは不可能でしょう。しかし、そんな多様性のある知覚でも、我々人間が頼りがちなポイントがいくつかあります。例えば、踵から入ってくる、今地面をどういう風に踏みしめているか、という情報は、今自分が地面に対してどのように身体を起こし(あるいは寝かせ)ているか、という判断に大いに役立ちますし、耳から入ってくる貴方の声が右耳より先に左耳が受け取れば、私は貴方に対して右側に立っている、と定義づけることが可能になります。視覚情報も同様です。

机にもたれかかるように突っ伏したり、壁に寄りかかっている時には「机」や「壁」という対象物を利用して自らの状態を定義することができます。こういった「寄りかかり」癖がある人は、寄りかかれるもにが何もない状況下では、どうにかして自我を認識しようと歯を強く噛み締めたりするやもしれません。噛み合わせが全身に影響を及ぼす大きな理由の一つであると私は捉えています。
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多様性の高い「知覚」ではありますが、こういったことを踏まえれば知覚を通じての介入はこれらの踵や聴覚、視覚、噛み合わせを通じて行うのが最も効率的とも言えます。知覚をいじる、ひいては患者の生きる環境そのものを「ズラす」目的での足底版、プリズム、ホワイトノイズを使った介入は私が今非常に興味を持ち、もっと勉強を深めていきたい分野でもあります。個人的には、匂いをかぐことで感情を揺さぶられることが多いので、嗅覚の勉強をもっと掘り下げてやってみたいものです。嗅覚と自我の確立…そんな切り口のおススメの文献や本、講習会などあったら教えてください!
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さて、「知覚」といえば、なんですが。
共感覚というものに興味があり、移動時間などを利用して上の本を読んでいました。共感覚とは、例えば特定の言葉に特定の色がついて見えたり、音に手触りを感じたり、時間に空間を感じたり、という、非常にユニークな知覚能力のことを指し、2000人に一人がこの能力を持って生まれてくると言われています。

この能力は「病理」なのか、「崇高」な「進化の形」なのか…様々な議論が行われているようですが、共感覚の持ち主がは総じてその能力が無くなるのを望まないことから、「病理」であると解釈するには無理があるのではと思います(そうでなければよっぽど稀有な病気です)。ですから、優劣で考えるのではなく、これも「知覚の多様性」と捕えてみるのはどうでしょうか。共感覚がある彼らは、それぞれの文字や音を、「一般人」よりひとつ多元的にとらえている…一方、我々「一般人」も、共感覚者には想像もつかない情報の符号化を行っている…(例えば私は、覚えたい数字は5桁くらいまでならば、ひとつひとつ並べ、はっきり頭に思い浮かべてシャッターを押すようにアタマに焼き付けると、そのまま画像として一定期間保存しておくことが可能です。読み込んだ教科書も、一ページ一ページめくってどのページにどんなグラフがあるか、用語の解説があるかも画像として覚えておくことができます。あれは何だっけ?と思ったら、頭の中でページをペラペラめくり、ああ、あったあった、と情報を「見る」ことができるのです…私もできる、と頷かれる方も多いのでは?)。どちらがいい悪いでなく、どんな情報をどういう風に感じ、脳に取っておくかは十人十色。個体差があって然るべき、ということなのです。

今日は備忘録というか、すっかり自分のためのメモになってしまってすみません。しかし一度でいいから共感覚の方のアタマの中に潜り込ませていただきたいものです。文字を読むたびに色が迫ってくるなんて、なんて素敵なんでしょう!

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  by supersy | 2017-07-20 21:30 | PRI | Comments(0)

PRIマイオキネマティック・リストレーション仙台講習終了!

さて、更新が遅くなってしまいましたが、先週末は仙台でPRIマイオキン講習を無事に終えてまいりました。実はPRI講習は今まで東京から北に行ったことがなく、今回が初めての東北開催だったんです。どう受け取っていただけるかなぁとドキドキしていましたが、いつにも増して学びに活発な皆様と和気あいあいと充実した2日間を過ごすことができました。レトロ・ウォークはもちろん、今回は階段もあったのでレトロ・ステアまでやって〆ることができました。
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特筆すべきはやはりぬっきーさんの講師デビューでしょうか。昨年講師トレーニングを開始していたぬっきーさんですが、仙台講習では約4時間分の講義を担当しました。次回、7月の東京でのマイオキン講習(ケニー担当)ではもっと長い活躍を見せてくれることでしょう、楽しみです!
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今回お邪魔したのは「東北保健医療専門学校」という会場だったのですが、主催の方の「仙台」こだわりがもうとんでもなく素晴らしくてですね…。PRI講習ではいつも主催者さんに軽食の用意をお願いするのですが、今回は仙台銘菓がズラリと並んでおり、私もついつい幾つか手に取って休憩時間にむしゃむしゃ食べてしまいました。萩の月に牛タンせんべい、ずんだ饅頭にささかまも!し、しあわせ…。
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ご当地名物と言えば、私が初日に「牛タンが大好きなんです!」と騒いだので、主催・門間さんが「ではお昼ご飯は牛タン食べ比べしますか!」と一日目も二日目も(異なる専門店の)牛タン弁当を用意してくださって。夜ごはんにも牛タンが出たり、帰る日の昼食にも牛タンを食べたりしたので、3泊4日の仙台滞在で合計牛タンを5回もいただきました。さすがにこれは門間さんにも笑われました…。し、しゃわせ…。
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参加してくださった46名の皆様(↑)、主催の門間さんと、運営協力をしてくださった方々(↓)、ありがとうございました!これでこの夏の私が個人でお送りするPRI講習は全て終了しましたので、7月半ばのケニーとのダブル講師開催となるポスチュラル講習に向けてこちらの調整も進めていきたいと思います。
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話は変わりますが、つい先日、6月27日に帝京大学八王子キャンパスで行われた「第一回スポーツ医科学カンファレンス」にイチ聴衆としてお邪魔してきました。もともと、一番最初に案内を見たときは「午後のみ、参加無料(太っ腹!)」のカンファレンスとのことだったのですが、申し込んだ後に「希望者のみ、午前からのトレーニング講義・体験(同じく無料) & 駅伝競走部員が実際に食べているお昼ご飯を食べながら栄養士による講義(こちらはもちろん有料)も開催しますが、希望しますか?」という案内をいただき、もちろんですもちろんです!ということで丸一日参加してきました。
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駅伝部員が食べているというお弁当がこちら!この色彩とボリュームでたった700円。白米が250gと食べごたえがあり、ご飯が進むように少し濃い目の味付けになっていました。帝京大学の一貫した姿勢として、「様々な職種が協力し合ってアスリートに多角面からの良質なサポートと教育を用意するが、受け取り手にはそれを強制はしない」というものがあり、このお弁当も「希望する部員が取りに来て食べる、というシステムで、他に好きなものを食べたいという部員には強制することはない」んだそう。アメリカで決して美味しいとは言えないカフェテリアで食事をしていた身としては、こんなバランスの取れたお弁当が低価格で食べられるなら、毎日でも通ってしまいますが…。今日は友達と食べたい、とか、時間がないので手近にあるもので、とか、色々ありますもんね。
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午後からの講義も、トレーニングチーム、メディカルチーム、研究チームに栄養チームと、異なる専門から、どういったシステムを構築して、どう現場に貢献しようとしているかという実用的な話題が続きました。特に栄養士さんらの食育の取り組みと、整形外科の先生たちの早期エコー診断の導入の話は興味深く聞かせていただきました。ひとつの団体において、こういった独自の工夫や取り組みはついつい隠したくなってしまうものではないかな、と思うのですがそれをオープンにこうして(無料で!)不特定多数のヒトと共有し、地域を、社会を、国を良くしていくために我々が知っていることをシェアしたい、協力できることがあれば教えてください、そしてみんなで向上していきましょう、と言えるその寛大さが何より素晴らしいと感じました。

できたばかりという大講堂もキレイでした…施設も人材もそろっていますね。日本スポーツ界を牽引していく大学とは、こういうところを指すのかもしれません。

そんなわけでインプットもアウトプットも今回の滞在はかなりバランスが取れていて楽しいです。少し仕事は詰めすぎな感はありますが、体調を崩さず最後まで頑張りきっていきたいと思います。今週末は千葉へお邪魔しまーす。

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  by supersy | 2017-06-30 15:00 | PRI | Comments(0)

PRIマイオキネマティック・リストレーション広島講習終了!

熊本・福岡に引き続き、先週末は広島に講習へ行ってまいりました!
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PRI講習参加は初めて、という方がほとんどでしたが、その一方で日本の講習でもリピーターの方がじわじわと増えてきてうれしい限りです。PRI講習において、複数回同じ講習を履修することは全く恥ずかしいことではありません、ごくごく「当たり前」です。私もマイオキンだけでも5-6回は受講していますし、アメリカでも2-3回受講してる人は珍しくないんです、みんなやっているんですよー。今回「マイオキン講習参加は2回目」という方は4名ほどいらっしゃいました。「参加するたびにマイオキンの新しい面が見えてくる」と仰っていただけましたが、それは私も参加者として体感しつづけていますので頷けます。同じ講習でも、Ronが教えるもの、Jamesが教えるもの、Mikeが教えるもの、Jenが、Loriが…という風に、講師が違えば説明の工夫のされ方や切り口が異なりますので、なんでしょうこう、同じニンジンでも、こんな顔や面があるのねー、という…。あーニンジンって生でも美味しいと思ってたけどソテーもいけるのね、って発見がなかなか面白いんです。ここがPRI講習の醍醐味ともいえます。
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そんな風に日本でも私の教え方、ケニー(石井)の教え方が違うところが面白いんじゃないかと思いますし、ぬっきー(大貫)さんもいよいよ講師トレーニング中盤を過ぎて、部分的講習担当も始まります。PRIをじっくり腰を据えて勉強してみてもいいかな、と感じた方は、こんな風に3人の講師がそれぞれ持つ調理法も楽しんでいただけたらと願っています。もちろん根っこの部分、Ronの考えるPRI理念を形を変えずにそのまま伝えたい!という意思は講師3人変わりません。次回のPRIマイオキン講習は再来週・仙台にてですが、こちらもロンワールド全開で行きたいと思います。
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ご参加いただいた43名の皆様、主催のホグレルフィットネスの皆様、会場を提供してくださった朝日医療専門学校広島校の皆様、ありがとうございました!



広島には実は姉が住んでおりまして。講習後、滞在を一泊伸ばして観光したり姉と遊んでもらってきました。広島観光は以前にもしたことがあるので、今回はちょっと違うところに行きたい…ということで、姉に勧められて今話題の「呉」へ足を延ばしてきましたよ。
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大和ミュージアムに海軍自衛隊呉史料館、中央桟橋ターミナルやれんが通りなどあれこれ歩いて参りました。呉冷麺にフライケーキ美味しかった…グルメの町、呉!「海軍珈琲」など、喫茶店も充実しているようです。今度は食べ歩きできたーい!

さぁ、東京に帰ってきて、今は講習に参加する側にもなってみたり、ATCの先輩にお会いしたり、論文読んだり、これからある個人講習の準備をしたりなどしています。今週末は東京は立川でのEBP講習ですね!参加者リストを見せてもらったのですが、東京から来られる方は全体の3割ほど。北は青森、南は宮崎から、全国各地津々浦々の皆様にお会いできるようでこちらも大興奮です。楽しい土日にしたいと思います。会場が90人収容可能と広いのでまだ席は余っておりますから、今からでも申し込みしたいかたは是非こちらでー。

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  by supersy | 2017-06-16 10:00 | PRI | Comments(0)

PRI Vision in St Paul, MN。

PRI理念に対して「人間をパターンに当てはめること、人間にラベルを張る行為は人を無力化する行為である」という批判を目にしたことがあります。Labelingは人の弱みを可視化、不必要に強大化するという論理は心理学をかじったものとしてよくわかりますが、患者が何者なのかをidentifyせずに治療を開始することはできませんし(そんな闇鍋を差し出すような医療はプロとして提供すべきではありません)、症状に名前を付ける=診断という行為そのものにLabelingという要素が入ることはどうしても避けられません。加えて、(PRIを代表してこの文章を書くつもりはないのであくまで私の個人的な考えとさせていただくとして)私が信じていることに「我々の動的、感覚的input/outputは神経シグナルの伝達によってcarry outされており、これらの神経系の発火はパターン化されていればいるほど効率が良くなる」というものがあります。
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皆さん「けものみち」という言葉を聞いたことがありますよね?元々は道もない、鬱蒼と茂った森が、獣が一度、二度と通るにつれて徐々に道になっていく。そのうち植物がなぎ倒され、地面が踏み固められ、見通しもよくなって、獣はその道しか通らなくなることでしょう。人間の神経回路にも同じことが言えます。例えば、椅子から立ち上がる、シャツを着る、靴を履く、歯を磨く、車に乗り込みエンジンをかける…こういった日常的に繰り返される行為は自分の身体の中に深く習慣として徐々に根付き、いちいち毎回個々の関節を何度内旋、外転、屈曲して…おっといきすぎた…などと細かくfeedbackメカニズムを使って慎重に実行しなくても、feedforwardメカニズムを介してほぼ自動的に勝手に身体のほうが動いてくれるようになります。神経回路の発火がプログラミング化される、同じ発火を繰り返すうちに神経のけものみちが作られる…これがPRIのいう「パターン化」された状態だと私は理解しています。
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物理学で皆さんが習ったように、世の中のものは最も抵抗が少なく、最小の労力と最短の時間で進める道を自動的に選択する常があります。電気や光がいい例で、人間の神経回路も例外ではありません。そういう意味では、パターン化そのもの(=最小に見える労力で目的を達成するための好みの神経発火回路が存在するということ、つまり「習慣」「癖」があるということ)自体は全く問題ではありませんよね。問題なのは、一本しかないけものみちが深く深く掘り下げられてしまい、そこからハマって出られなくなってしまった状態、そして他のものを選ぶ選択肢が全く閉ざされてしまった状態です。これは、以前にAvailabilityとVariabilityについて書いた記事 でも言及しましたが、状況に合わせて複数の選択肢の中から(=availabilityがある)適切なけものみちを選び、好きに行き来できるような状態を作る(=variability)のが(別にPRIに限ったわけではなく、どんなdisciplineでも)治療の最終目標であるべきだと私は考えています。

患者さんと相対し、この人は一体いくつのどんなけものみちを持っているのか?その中からどれを選びがちという好み・癖があるのか?それらの選択肢は健康的か?そうでない場合、異なるcontextで必要に迫られれば他のけものみちを選ぶ能力はあるのか?そんなことを診断していくのがPRIの診断アルゴリズムです。患者を無力化しようとしているわけではなく、どのけものみちをいったん通行止めにして、新しいこっちのけものみちにも導いてみようかしら?と色々プランニングするための欠かせぬ一歩だと私は理解していますし、それを患者に分かる言葉で説明する義務も私にあるとも感じています。もしそういったステップを全て無視して「L AIC, R BCパターンですね」とだけ言って患者を脅かし、混乱させ、どや顔をしているようなセラピストがいるとしたら、そんなクリニシャンはPRIの基礎理念どころか医療というものを全く理解していないことになると思います。医療は相手をいたぶるドッヂボールではない、キャッチボールのはずですから。我々と共にPRI講習を受講してくださった勤勉な方々がそういう勘違いをしているとは思えませんけれども。



なぜこんなことを今更書いているかというと、今週末はミネソタはSt Paulに来ており、Postural-Vision Integrationの講習に参加しているからです。この講習では、いかに視覚が全ての感覚の中で支配的なものであるか(脳が処理する感覚情報の70%は視覚というのだから驚き!)、歩行の一つひとつのphaseに、どう視覚情報が関わってくるか、視覚が他のシステムを上書きして感覚全般をdominateしてしまっている患者にどういった介入ができるのか…ということを学びます。つまり、一定の視覚情報に頼り、それによって作られたけものみちしか通らない人への治療法ってことですねー。
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PRI創立者のRonと眼科医のHeidiのダブル講師というとても豪華な講師陣で、受講者にはPRIのベテランも他の眼科医やVestibular Therapistも入り乱れてわいわいやりながら、ものすごーく有意義な時間が過ごせました。ひゃー、めちゃめちゃ楽しかった。私は眼科専門ではないので、眼に特化したこの講習は知識的に準備不足な気がする、まだ時期尚早なのでは…という不安感と、スケジュール的になかなか取れない(年に4回くらいしか開催されない)のとでもうここずっと3年くらい受講実現に踏み切れずにいたのです。いやー、でも待った甲斐はあったかも。私自身のPRI基盤がしっかりしたお陰で今回の内容を取りこぼしせず全て吸収できた気がするし、Visionの講習そのものも洗練されてきてここは教える、ここは教えないというバランスが丁度よかった。
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Focal vision(中心視野)ではなくperipheral vision (周辺視野)に注目し、右と左、どっちの周辺視野をどう広げるかというディスカッション、そしてそれをgaitに絡めて解いていくプロセスは非常に面白かったです。歩きながら、周辺視野を使ってobjectを(視覚的に)掴んでぐっと一歩一歩前に進んでいく(peripheral contactからのperipheral optic flow)という感覚は説明されてみてなるほど!と膝を打ってしまいました。歩行に伴い周辺視界が前から後ろへ、右から左へ、左から右へ流れること…現代ではそんな当たり前のことがトレッドミルやスマートフォンなどの普及でどんどん減ってきているのかな。Sitting is smoking, という記事を昔どこかで目にしたけど、Gazing (at iPhone, tablet) is smoking、ということも言えるかもしれませんね。
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「眼球運動は頭部と頸部の運動とは独立して起こるべきものである」「Extraocular muscles(EOM↑)はその小さく柔らかい眼球を動かすのに必要な300倍の力を有している。つまり、EOMはCraniumに対して眼球を動かす(globe on orbit, GO)だけではなく、眼球に対してCraniumも動かす(orbit on globe, OG)ものであると考えるほうが理にかなっている」ってとこがめちゃめちゃ面白かったです。Visionをクリアにシャープにしていこう、というのが眼科医の一般的なアプローチだと思うんですけど、患者に慣れ親しんだけものみちを「深く掘り下げすぎない」「いったん忘れてもらう」ために、visual disturbance(視覚的障害)を作り出して通いなれた道を少しの間封鎖し、その間に新しいけものみちを見つけ、探検・散策してもらう、というアプローチは実にPRI的眼科医、つまりHeidiっぽいかと思います(笑)。RonにHeidi、楽しい講義をありがとー!
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ちなみに少し観光をする時間もあったので、ホテル近くのComo Park Zoo & Conservatoryに足を運んできました。
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足元に雪も残っていて、湖も凍っていてそりゃー寒かったけど、少し日常を忘れてゆっくりできてよかった。さて、これからテキサスへ帰ります。学期後半がはじまるー。

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  by supersy | 2017-03-19 17:45 | PRI | Comments(0)

「Availability」を作り、「Variability」を確立する―PRIの神髄のおはなし。

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さぁ、あなたはビュッフェ形式のレストランへやってきました。和食から中華、イタリアン、フレンチ…世界各国の料理が並んでいます。野菜もお肉も魚も、ケーキもアイスクリームも、あなたが望めばなんでも手に入ります。なにを取りますか?

選択肢が十分にある、というのは素晴らしいことです。その日の体調や気分、状況や環境によって、自分に最も適した料理を自分で選ぶことができるからです。今日はがっつりお肉が食べたいな、とか、今日はちょっと胃腸が弱ってるから、お粥がいいな、とか。同時に、何かを選ぶということはほかのものを選ばなかった、ということでもあります。Available(手に入る)なものを敢えて選ばない(= 「今日はこれは食べなくてもいいや」)、という選択は高等であり、非常に贅沢なことです。この贅沢は、全員が欲しがっているものでもあり、しかし残念ながら決して多くの人が手にしているものでもない、という事実をまず我々は噛みしめなければなりません。

限られた選択肢の中のみで生きていかなければいけないのは非常に窮屈であるし、その窮屈さはどこかに局所的負荷を作るものであると私は思います。例えば、私は前述のビュッフェレストランにカップラーメンがひとつ並んでいても全く良いと思いますし、もしかしたら私自身時折、数ヶ月に一度ほど、無性に食べたくなってそれを選ぶこともあるかもしれません(カップヌードル・シーフード味ならその可能性はさらに高まります)。これは、「数ある選択肢の中からカップラーメンが最善だと思い、自主的に選んだ」環境であり、低い頻度なら健康に悪影響を及ぼすこともないでしょう。しかし、カップラーメン「しか」選択肢が無いとしたらどうなるでしょう?カップラーメンが最善であるないに関わらず、「それ以外を選ぶ」という選択肢がそもそも存在しなくなるわけです。そういった極端な「選択」という名の「強制」を毎日続けざるを得なくなった結果、「偏った栄養」という局所的負荷が身体にかかることになり、これが長期に渡って繰り返された場合、疾患や機能不全のような目に見える形になって現れる可能性は十分にあるでしょう。これはカップラーメンが悪いわけではない、問題は「限られた選択肢=Limited Availability」である、と私は考えます。
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これは食事だけでなく、人生のあらゆる場面で当てはまります。
転職したいと考えた35歳の青年に、「今の会社に残る」「A社に行く」「B社に行く」「独立する」etc…どれだけの選択肢があるか。ゴール前、パスを受け取ったサッカー選手に、「右にパスをする」「左にパスをする」「ドリブルで右から相手を抜く」「左から相手を抜く」「右に行くと見せかけたフェイクを入れ、左から抜く」「いきなりシュートを打つ」etc…どれだけの選択肢があるか。我々は人生のあらゆる場面で無意識に、手持ちのカードを睨みながら「最善」と思えるものを選択し、生きているのです。そして「最善の一手」を選ぶなら、手持ちのカード…選択肢は、多ければ多いほど良い、Availabilityは高ければ高いほど良いのです。



さぁ、話を本題に戻します。今週末は、ダラス方面へ出張し、Impingement and Instability、通称I&IというPRIのアドバンスト・コースに参加してきました。今回の講師は大先輩のJames Anderson。I&Iを取るのは二度目なのですが、前回履修した時は同じく大先輩のMike Cantrellが講師で、彼が同時ハマっていたCranio/Dental色が強い話が多かったので、今回は正統派I&Iの話が聞けるかも!とうきうきでした。

"We love instability because instability gives us variability. We want those motions to be available. We just hate that you can’t control it." - James Anderson

この講習冒頭に発したJamesの言葉が先の「選択肢」というコンセプトを見事に物語っていると思うんですよね。Instability(不安定症)がある、ということは悪いことに見られがちですが、不安定である、ということは、その関節に「動くという選択肢が様々にある」という意味では必ずしも悪くない状態です(もちろん、厳密にいえば選択肢が「多すぎる」ということもあり得ないことはないと思います。「無くてもいい選択肢まで並んでる」とか。しかしこの文脈でJamesはinstabilityをそういう意味で使っていないので、ここでは少し割愛させてもらいます)。だからこそ、PRIはinstability(=ここへもあそこへも動ける)とかimpingement(=ここでもあそこでも挟んだりつまんだり捻ったり乗っかったりできる)というコンセプトを2日もかけて掘り下げる価値があると思っているわけです。

この「選択肢(Availability)が豊富にあり、好きなものを選べる状態」を我々はよく「Variabilityがある」という風に表現します(念のため断っておくと、この表現は別にPRIが発明したものでも、PRIの世界に限ったものでもありません。様々なdisciplineで使われる言葉です)。右に動きたいときに右に行ける。左に行きたければ左にも行ける。前にも、後ろにも、上にも、下にも行ける。動きたいときに動きたいところへ動ける能力はMovement Variabilityと呼ばれます(ここで、PRIではlegallyに行けるのかillegalなのか、そんな話も入ってはくるのですが、ここはPRI講習でもっと深くお話しするためにとっておきます)。自分の身の回りの世界に対し、右も左も、前も後ろも上も下も望む方向に意識を広げ、感知・認識できる能力はPerception Variability…世の中には様々な種類のvariabilityが存在します。

PRIの治療介入の究極目標は、これらの様々な事象に対して、患者さんのvariabilityをrestore(取り戻す)ことです。PRIは患者さんに対して「貴方のやっていることのこれが間違っている、このままだとこうなります」と脅して選択肢を取り上げたり、「貴方はこれを選ばなければいけない」と特定の選択を強要するようなことはしません。その代わり、患者さんに「貴方はどうやら『この場面ではこれ!』という特定のものを選ぶ『好み』や『癖』が強いようですけど、他にも選択肢はあるのをご存知でしたか?」と本来あるべき全ての選択肢を共に見つけ、並べて、その中から患者さん自身が「(その状況に合った)最善の一手」を選べるようにする手助けすることを目標としているわけです。

抽象的でどういう意味かよく分からない、という方のために、新たな例を交えて説明します。例えば、呼吸にもvariabilityがあります―Respiratory Variabilityです。横隔膜を使った呼吸(腹式呼吸というと語弊があるかもしれませんが、ここでは敢えて深く言及しないでおきます)、呼吸補助筋であるSCMや斜角筋を使った首呼吸、ヨガなどで使われるお腹を深くへこませるホローイングやドローイング、腰椎・胸椎の伸展を伴う胸式呼吸…。PRIは特定の呼吸法に対して「これが正しい呼吸である」「これが間違った呼吸である」という表現の仕方をしたことがありません。何故なら、どれが正解かは「状況による」からです。しかし、「呼吸の選択肢が限られていて、特定の呼吸に頼り切りにならなければいけなくなっている」状態が理想的ではないのは明らかです。
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バタフライ専門の水泳選手が競技中、一息吸いに水面から顔を出した際、胸椎と腰椎が伸展したそのポジションから肺になんとか空気を引き込もうと思ったら、SCM/斜角筋を活性化し、第一・二肋骨を引き上げるような呼吸「しかできない」のは当たり前です(そんな選手に対して「首呼吸はだめだ」という施術者は選手のニーズを全く理解していないことになります)。

しかし、この選手が練習を終え、プールを出てシャワーを浴び、着替えたりしている休息時には、横隔膜をしっかり上下し、肋骨の内外旋を伴う、深く静かに空気を動かす呼吸をするのが最も理に適っているはずです。この呼吸が選択肢に存在すらしないとしたら、大きな『問題』になり得ます。そんなわけで、我々の目標のひとつは前述したRespiratory Variabilityを確立することです。呼吸のバリエーションを増やし、それぞれの状況に適切な呼吸法を患者が選べるようにすることを、今までもこれからも、PRIはずっと説いています。PRIは一度も「弱い横隔膜はいかん」「横隔膜を強くしなければ」みたいな表現は使ったことはありません。だってそもそも横隔膜の強さって、かなりinvasive(侵襲的)なEMGでも打たないと計れないんじゃないですかね?そんなirrelevantなoutcome計ってどーするんですか?

横隔膜でも胸椎・腰椎でも首でも呼吸が行える(Respiration Variability)、好きな方向を見て(Vision Variability)、好きな方向の音を聞いて(Auditory Variability)、好きな方向の空間を感じ(Perception Variability)、好きな歯で物を噛み(Occlusional Variability)、好きに歩き(Gait Variability)、好きな方向へ飛んだり跳ねたり捻ったり止まったり加速したりできる(Movement Variability)…右へ左へ行ったり来たりのその揺らぎを楽しめるようになれば「variabilityがある」ということになります。交感神経・副交感神経の振れ幅も例外ではありません。状況によって最大限にギラギラと興奮することも、最大限にゆらゆらとリラックスすることも、両方できてこそ人は人としての機能を最大限に発揮できます。横隔膜呼吸は我々が不得意な副交感神経優位性を作るのにも有効である…PRI講習講習に参加してくださった方ならここらへんはしっかり理解してくださってるはずだと思います。Training Variabilityという言葉もありますね。PRIでやるエクササイズは寝転がってやるものばかり、ウェイト(レジスタンス)トレーニングにはアンチなんでしょ、や、屈曲一辺倒主義で伸展は一切ダメなんでしょ、…と勘違いされることがたまにありますが、1) PRIのエクササイズなんて患者を立たせてなんぼですし(重力に逆らって立つことには見た目以上の意味と価値があるからです)、2) 負荷の高いトレーニングを否定したこともありません。荷重する準備ができている身体なら荷重して何にも悪いことはないじゃありませんか、それに、3) 伸展を鍛えなければ強く動き速く走り高く跳べるアスリートなど、待っていても生まれませんよね。PRIほど伸展をappreciateしている団体はいないと思いますよ、ただ、効果的で爆発的な伸展をするためにはその逆への触れ幅である「屈曲」ができないといけないんじゃないの、と説いているだけで。

結局大事なのは触れ幅の確保と揺らぎ(perturbation)なんだよなー…、ああ、「世界は揺らぎでてきている」という宇宙粒子学の本を最近読んだなー…、人体と宇宙はつながっているなー…、生きているということは揺らぐということなんだなー…、とかなりおかしな思考になったところで今回の講習が終わりました(笑)。今回のI&IはGaitやPeroneus+Glu Med、Subscapの話など、かなり掘り下げて討論できてすごく有意義でした。グループ写真を撮るときに、「James! I am in my left hemisphere right now」「Yeah…illegally!」というnerd jokeも飛び出して、皆で大笑い。アドバンストならではの濃い2日間を過ごすことができました。アドバンスト講習に参加する人たちはさすがに顔見知りが増えてきて、同じ言葉で同じ思考を共有できるのがとても心地よいです。日本でもこれができるようになったら楽しいだろうなーと思います。おっと、そんなに夢をはせる前に、まずは最後のプライマリー講習であるPelvis Restoration開催が先なんですけど。

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  by supersy | 2017-01-30 18:30 | PRI | Comments(0)

PRIポスチュラル・レスピレーション大阪講習終了!

一週間ほど前にさかのぼってのブログ投稿ですが、12月28・29日に大阪は履正社医療スポーツ専門学校さんでPRIポスチュラル・レスピレーション講習を終了してまいりました!12月22・23日の東京講習に続き、参加者53名+ラボアシスタント2名+講師2名の大所帯で楽しい年末の2日間を過ごすことができました。エネルギッシュな参加者さんたちでなんだかこう、こんな表現があるのかはわかりませんが、頭脳の遊園地でみんなでわいわい遊んだような気分。ジェットコースターあり、お化け屋敷あり、観覧車ありのあっという間の2日間でした、充実したー!
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日本で講師活動を初めて一年半。少しずつ知り合いができて、「はじめまして」の代わりに「お久しぶりです」を言うことも増え、そんな出会いやご縁もまた楽しいですね。昔お世話になった先輩や長年の友人らともこういう機会に会えて(いやー、ほんとうにこういう人たちに講習会に来てもらえるのは特別にうれしい…)、夜食事に行って腹を割った話をしたり、人生のアドバイスをいただいたり…、そんなのも今の生きるエネルギーになっています。大阪でお世話になったヒロさん、ヒデキさん、ノブさんにジデン、りょうこさん、ありがとうございました。

講習会に参加してくださった皆さんには最後にお伝えしましたが、これからPRIジャパンではポスチュラル・レスピレーションに磨きをかけながら、マイオキネマティック・リストレーションも引き続き提供しながら、そしてまた一年半かけて新たな講習であるぺルビス・リストレーション開催の準備を進めていきたいと思っています。確約はできませんが、ぺルビス講習の第一回開催目標は2018年夏ですね。本業を疎かにするわけにはいきませんし、家族との時間も大事にしたいのですが、PRIを学び続けたいと思う人たちが日本にいる限り、我々もできるだけの努力を重ね、精進し続けるのが使命と思っています。頑張りますので、皆様も長くお付き合い続けていただければ幸いです。

さぁ、それでは日本滞在のもう少しの時間、家族や友人と過ごすことにします。あそぶぞぉ、おいしいものたべるぞぉ。

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  by supersy | 2016-12-30 23:00 | PRI | Comments(0)

PRIポスチュラル・レスピレーション東京講習終了!

ついについにこの日が!12月22・23日にPRIポスチュラル・レスピレーション講習を日本で初めてお送りすることができました、50名の参加者さん+2名のラボアシスタント+2名のPRI講師で文字通り熱気むんむんあふれる2日間でした。参加してくださった皆様、そして主催していただいたスポーツプログラムスのスタッフの皆様、本当にありがとうございました!
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PRIは生きた講習なので、少しずつ教える内容は変化しています。PRI講師間でも「ここを強調して教えよう」「ここはこういう誤解は招かないようにしよう」と肩を叩き合い、確認し合って足並みを揃えたりもしますし、講習中使うテキスト(教科書)もここはもっと説明しなきゃいけないんじゃないか、ここはいらないんじゃないか、このページをこっちへ持ってきた方がいいんじゃないか、などと常に話し合い、改訂を行うことで、よりよいメッセージのdisseminationを目指しています。そういう意味では、ポスチュラル・レスピレーションという講習そのものがまだまだ育ち盛りのコースだなと思うんです(これは、ポスチュラル・レスピレーションが以前は唯一のPRI講習であり、3日間を使って頭からつま先まで教えるような内容だった…という歴史的な背景を理由に含みます)。まだまだいじる余地と楽しさがあります。もっともっとシャープで面白いものになり続けると思います。

そういう講習を教えるのですから、勝手に内容を変えることなくオリジナルを保ったままで、どう情報を整理しようか、様々なバックグランドから来られる参加者さんに平等に均等に理解してもらうにはどういう日本語を使えばいいか…この試行錯誤の作業は楽しくもあり、時に苦しくもありました。「すごくいいものができそう!」「いや、全然できない気がする」という気持ちのアップダウンの繰り返しの一年半でした。講習開始直前には色々な気持ちが絡み合って講師二人とも妙なテンションになり、「ロンさんが!!!大丈夫、できるよって!!!言ってくれてる声が聞こえる!!!」と励まし合いながら臨みました(笑)。

そんな講習だったので、終了後に参加者の皆さんのナマの感想や建設的な意見・提案を聞けてとてもありがたかったです。受け取り手があっての講習会ですので、参加者さんの学びに最も適切な形態をとれるよう、頂いた意見を元により良いポスチュラル・レスピレーションの形作りに取り組んでいきたいと思います。実際、この一年間で日本で教えられるマイオキネマティック・リストレーションも進化してきましたし、これからポスチュラル・レスピレーションも進化し続けていく予定です。現時点でのベストの講習だった、という終わっての達成感はありますが、これからもより濃い講習を目指して頑張っていこうと思います。あと4日で大阪でのポスチュラル講習がありますが、そちらもがんばるぞう。
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空気の流れ(エアフロー)が見えますか?という切り口からの、刺激だらけの講習会でした。熱意ある参加者さんに助けられ導かれ、あっという間の2日間、楽しかったです。ありがとうございました!

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  by supersy | 2016-12-24 10:00 | PRI | Comments(0)

月刊トレーニングジャーナル9月号発売 & New York出張!

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月刊トレーニング・ジャーナル9月号が発売になっています!
連載4回目の今回は「まさかに備える」という特集のテーマにも沿って、アスレティックトレーナーのお家芸(?)でもある、救急対応のあれこれについて書いています。糖尿病、喘息、呼吸停止時の気道確保、熱中症などについて、アメリカではどう判断しどう処置を施すのが「現在のATのスタンダード」なのかが焦点です。興味のある方はこちらからどうぞ。一部書店で販売していますがオンラインでも購入可能で、送料は無料だそうです。



もうちょっと濃い内容のブログを書きたいとも思うのですが(最近読んでる論文のまとめとか…)、なかなかどうして集中してパソコンの前に座る時間が取れず、バタバタしてしまっています。せっかくなので今回は、先週末行ってきたNew Yorkのお話を少し書きたいと思います。

先週末はNew Yorkはマンハッタンで、PRI創始者のRon Hruska氏によるPostural Respiration講習会があり、最後のFaculty Trainingにと私もお邪魔させてもらっていました。だって、Ronが基礎コースであるPosturalを教えるのって、めったにないことで。Ron自身も、「最後に教えたのはいつだったかな…思い出せないや」というくらいですから。マンハッタンにあるThe Maritime Hotelという海をイメージしたホテル(↓)に泊まりましたが、かわいらしくて快適なホテルでした!夜中も外のクラクション音がパーパーうるさかったのを除けば(これはもう立地的に仕方ない…NYの皆さん、運転荒すぎ、気が短すぎ)、もう完璧に最高でしたよ。また来たい…。
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土曜日の朝8時から講習開始だったので、朝5時過ぎに起床してセントラルパークに散歩に行ってきました!朝から自転車レースやっていてにぎやか。ランニングしてる人もいっぱい。朝日を浴びながら小一時間散歩して、すっきり。この「ビルに囲まれた深い自然」感、浜離宮恩賜庭園を思い出します。
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肝心の講習はというと、最近のPRI講習にはめずらしく6-7割が初受講者という顔ぶれ。Ronが「さゆりたちが日本の講習でかなり実技の時間を増やしてて、それが好評だっていうから…」と言ってくれて(逆輸入?光栄です)、Posturalにしてはかなり確かに実技が長めな構成でした。それでも合計一時間くらいかと思うけど…。日本の講習では実技3-4時間くらい設けたりしてますからね。私個人的な感想としては「このタイミングでRonから改めて学べて良かった!」Ronの発言でときどき宇宙に飛ばされるのは相変わらずですが、この講習に関しては自分の理解も深まっているので特に混乱することもなく、本当に「掘り下げる」ことに自分でも時間を有効に使えたなぁと思っています。いい意味で他の講師が教えているPosturalをぶち壊すような構成で、「そうか、これもアリなのか」と目から鱗でした。でも、「Ronがいずれ日本に来てくれたら、この言葉を日本語に訳さなきゃいけない」となんとなく考えながら講義を聞いていたので、3つに1文くらいに翻訳不可能な言葉が飛んでくるたびに苦笑してしまいました。"Triceps is resonance, triceps is frequencies!"とか、どう訳せばいいの(苦笑)?
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今回、学びの収穫として私が一番改めて聞けてよかった、と感じたのはこういうこと。
1) PRIには数少ないマニュアル(徒手)テクニックがあるが、それでも何かをひっぱったり伸ばしたりしているわけではない。あくまで施術者の手を神経的デバイスとして、患者に必要なNeurological cueを入れるために使うのであって、患者を治療するのはマニュアルだろうとノンマニュアルだろうとあくまで患者自身。
2) 身体をうまく正しく使おう使おう、もっとくれもっとくれ、と要求を重ねると手に入るものは少なくなる。理想的な身体の反応を引きおこすには患者の精神状態も重要な要素。これが如実に出たのがRonがとある参加者を使ってデモを行ったとき。Ron曰く、『気が張っててやったるでぇー!と意気込みすぎていた』参加者さんの顔を見て、「このままエクササイズをさせてもこの人はRepositionできないだろうな」と判断した彼は、あえてこの参加者さんを実験台に選び、優しい口調でゆっくりと、丁寧に運動指導をしました。たちまちRepositionが完了する参加者さん。おおさすが、ぱちぱちぱち。このあとRonはくるりと受講者に向きなおり、「今から全く同じことをもう一回やるから見ていてね」と、この参加者さんに全く同じ指導を『命令口調で』繰り返したのです。言っている内容は同じなのに、「次はこれをしろ!」「これは絶対しちゃだめだ!」と威圧的なトーンで言われることで、参加者さんの筋緊張は目に見えて変わり、同じ運動をしたにも関わらず、エクササイズ後にはPositionが完全に崩れた状態に。明らかに交感神経優位です。このデモを終えて、Ronはにっこり「PRI理論なんて別に重要でもなんでもないんだよ、キミが穏やかなトーンで患者に声をかけさえすれば、それだって時に患者をRepositionさせるのに十分なんだ」と。う、うす…!患者の精神状態の話を講習に取り込む講師はぽつぽついますが、「我々の患者に対する態度も大きな差を生む要因になる」とハッキリ強調してくれたのはRonが初めてだったので、これは次回の講習でも参加者さんにシェアしたいと思います。
3) 「この講習の目的が『強くなること』だと思っている人がいたらそれは大きな間違いです」と、Ron。「この講習は『弱くなるため』のものです」と。これもRonらしい言い回しですが、つまり彼が言わんとしていることは「既に存在するパターンの色を濃くして濃くして、レイヤーを重ねて重ねて『強く』することはPRIの目的の真逆」、そして、「パターンの『色』を『弱く』して、PRIの言うNeutralityを確立する講習である(=そうしないとそもそも鍛えられないよ、強くなれないよ)」ということなんですね。だからもちろん正しくやれば最終的には『強く』なるんですけど、そのためには一度現在のパターンから出ることを覚えなきゃいけないよ、と。ここらへんはMyokinを取ってくださった方はご理解いただけると思うのですが。強くなるのではなく、弱くなるための講習…これに興味がある方は、ぜひまた冬のPRI講習にも遊びに来てください。
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…で。土曜の講習が終わってから、タイムズスクエアに繰り出してきました(↑)!これはタイムズスクエアの全く同じ場所の、夕方 vs 夜中。騒がしくて新宿のようで、私はこういう場所が好きです。ついでに、やっぱりブロードウェイも見なきゃでしょ、ということでリバイブされたばかりのCATSも見てきました(↓)。素晴らしかった…!Orchestraのめちゃめちゃいい席で、舞台から3列目という距離でパワフルな歌とダンス楽しんできました。芸術って素晴らしい、心が洗われるぅ。
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10年ぶりのNew York楽しかったな。いっぱい学んで芸術に触れて、知的に満たされた。博物館や美術館ももっとどっぷり行ってみたいので、次回NYCに来るときはがっつり観光で、5日は使う計算で来ようと思います(笑)。

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  by supersy | 2016-08-16 22:30 | PRI | Comments(0)

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