2018年 01月 15日 ( 1 )

 

ACL損傷予防に関する最新NATA Position Statement。

ずっと待ってましたよー、一週間ほど前、1月9日にやっと出ましたね!NATA Position Statement on "Prevention of ACL Injury"1!! 一度著者グループの御一方から直接中間報告のような発表を聞かせてもらう機会があり、 正式発表は今か今かと待っていましたが、そこから3年くらい経ちましたね。それだけ専門家の英知が詰まってるってことだと思います。早速読んでみます!
b0112009_11171889.png
このPosition Statementの冒頭では、ACL断裂受傷率が年々増加傾向にあること、ACL断裂が医療費負担の大きな原因になっていること、そして殆どのACL断裂はnon-contactで起こることを指摘。特に、ACL再建手術を受けた選手の82%が競技復帰を果たしているが、うち以前と同じ競技レベルに復帰できるのはたった63%である、という統計はなかなか効果的に危機感を煽ります。予防介入アプローチの可能性と、それらは単独要素にのみ着眼したものよりも、複数の要素をかけ合わせたプログラム(multicomponent training programs)のほうがACL予防に有効かもしれないことなどを述べています。

推奨項目の中で大事だと私が個人的に思うものを列挙していきます。いつも通り、推奨度の強い順に、A (= what we must do)、B (what we should do)、C (what we can do)もつけてまとめておきます。

●予防プログラムとその効果
1. Noncontactとindirect-contact ACL injuryを減らすプログラムには、これさえすれば大丈夫という絶対的なデザインは存在しない。共通する項目をまとめてガイドラインを提唱するとしたなら、("Land softly"や"Keep your knees over your toes"などの)テクニックに関してのフィードバックとstrength, plyometrics, agility, balance, flexibilityのうち最低でも3要素に重きを置いたmulticomponent training programが推奨される(推奨度・B)。これらのプログラム実施による具体的なリスク減少は39-73%(半数近い研究は>50%のリスク減少を示している)と、非常にencouraging(希望を持たせてくれる)でpromising(確信的)と言える。特に女子の中高生アスリート(12-18歳; この年齢、性別のアスリートは最もACL損傷リスクが高いと言われている)にはこういったプログラムの実施を強く強く推奨する(推奨度・A)。これらのプログラムは、ACL損傷予防はもちろん、膝の他の怪我の予防(RRR = 54$)と下肢一般の障害予防(RRR = 39%)に対しても支持されており(推奨度・A)、下肢のバイオメカニックスと筋活性の向上、ストレングス、パワー、バランスの向上、そして着地時の衝撃減少にもつながる(推奨度・C)のでオイシイことばかりである。

2. 実施のタイミングはプレシーズンとシーズン中で、少なくとも一週間に2-3回の頻度で行う(推奨度・B)。長さは最低でも1セッション15分(15-20分が一般的)、具体的には各カテゴリーから1-3つのエクササイズを選ぶようなイメージ(↓下のテーブル3参照)だが、トレーニング量と強度を上げると予防効果も上がるよう(= inverse dose response)なので、可能であればduration、頻度や強度を上げ、より長期にわたってプログラムを実施したほうが良い。Compliance rateも重要な要素で、こういったプログラムをあまりきちんとやらない(compliance rate 33.3-66.6%)、もしくはほとんどやらない選手(<33.3%)はきちんとこなす(>66.6%)選手と比較してACL損傷の受傷リスクがそれぞれ3.1倍、4.9倍まで上がるという。そのため、選手やコーチ陣への事前教育は必要不可欠である(推奨度・C)。

3. この予防プログラムは毎年繰り返す必要があるが(一年やって終わり、では効果は継続されない)、全く同じことをやり続けるわけではなく、正しいテクニックが実行できるレベルで、徐々に難易度を挙げていくこと。前のダイナミック・ウォームアップとして、もしくはStrength & Conditioningのプログラムの一環として監督する指導者がいる環境で行うのが良い(推奨度・C)。個人的には該当指導者はATかSCになるのかな、と感じています。

4. 特にこういったプログラムに参加すべき対象として、1) ジャンプ、着地、方向の変化(cutting)などを必要とする競技をしている選手(i.e. アメフトやサッカー、バスケットボールなど); 2) 女性アスリート; 3) ACL損傷の既往歴がある選手が挙げられる(推奨度・A)。可能であれば若いうち(中学校や小学校)から始めたほうが理想的である。
b0112009_14195243.png
しょ、正直に言います。「知っとるわ!」という内容ばかり…。Lit reviewの部分は面白い内容は確かに沢山あるのですが、推奨事項は今までここでまとめたことがあるような項目がほとんどでしたね。とはいえ、いつもと同様読みやすさを重視してまとめられていて、推奨項目も18と少ないので、ATCの資格を有する方は一度目を通しておかれることをお勧めします。ご存知の通り、NATA Position StatementとJournal of Athletic Trainingに掲載されている論文は全て全文無料なのでsubscriptionは必要ありません。リンクを下に貼っておきますねー。

1. Darin AP, Lindsay JD, Timothy EH, et al. National athletic trainers' association position statement: prevention of anterior cruciate ligament injury.
J Athl Train. 2018;53(1):0-0. doi: 10.4085/1062-6050-99-16.

[PR]

  by supersy | 2018-01-15 23:55 | Athletic Training | Comments(0)

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE

AX