911。

今私の携帯電話の最新発信履歴に残っている番号です。
アメリカで911という電話番号は、日本で言う110と119が合わさったような番号で、
いわゆるEmergency Number。警察、救急車、どちらを呼ぶときにも使われます。
それが私の携帯に残っているということは…
そうです、そんな場面に出くわしてしまったわけです。

今日は木曜日ですが、HomecomingのFootballの試合がありました。
Buchholz、East Side、Gainesville High Schoolと言ったGville内の大きな高校は、
全てのVarsity Footballのホームゲームを、それぞれの高校ではなくCitizen's Fieldという、
まぁ要は市民球場のFootball版みたいな、大きな会場で行うのです。
で、例えばBuchholzとEast Sideが同じ週にホームゲームがあったりしたら、金曜日に同じ会場で2試合やることは時間的に不可能なので、木曜日に一試合、金曜日に一試合、と散らして行う都合がありまして、必然的に私たちも木曜日によく試合をするんです。

ここで試合をするのはまだシーズン2回目。慣れてもいないし、“ホーム”って感じは全くしないのですが、今日は名義上はホームゲーム、今日は一応ホストしている側ってわけです。
ホームチームのATCとしてやらなければいけないことの中に、相手チームのATCに試合前自己紹介をして、“何か必要でしたらいつでも仰ってください”と挨拶をしておくことがあります。
アップ中に相手チームのとこにてけてけ向かってみたのですが…うーむ、どこだ、トレーナー?
相手コーチに“トレーナーさんはどちらでしょう”と聞いてみると、“今日は木曜日の試合だから、
うちのトレーナーは来られなかったんだ。だから何かあったら頼むよ”と言われました。
自チームのサイドラインでもてんてこ舞いになるのに今日は仕事が2倍?むむ…嫌な予感。

大きな怪我もなく試合は進み、この予感が間違いだったかなと思い始めたころ。
ハーフタイムの途中に、ロッカールームでのバタバタが一息ついて外に出て、
Fieldに戻って後半の準備をしておこうかなと思って歩き出すと、うちのコーチが駆けてきて、
“相手チームのコで息が苦しくなってるコがいるから見てあげてくれ”と言われました。
なんだろうと走っていってみると、相手選手がひとり地面に倒れこんでいて、
そのコの親御さん、コーチ、それからうちのチームドクターが彼を囲んでいました。
胸の痛み、息苦しさ…。考えられる最悪の事態は、未診断の心臓疾患。
息をするので精一杯といった状態で、症状は見る間に悪化していき、質問に首を振る程度には答えられていた彼の意識レベルはぐんぐん下がって、そのうちSternal rubにしか反応を示さなくなりました。Historyをアタマに入れながら、もしかしたらこれは大したことなく終わるんじゃないかと思っていた私はこれを見て一気に血の気が引いて、命の灯が目の前ですぅっと消えてしまうような感覚に“あ、このコ死んでしまう”と本気で思いました。

Team Doctorと顔を合わせて、“Paramedicsを呼ぼう”ということになり、
EAPを無視して私が911に電話。事情を説明して救急車を送ってもらうことになったのです。
幸い彼の症状は救急車を待っているうちに良くなり、意識もしっかりして話せるようになり、
最終的には立ち上がって(ふらふらとではありましたが)歩けるようにまで回復しました。
よくよくコーチたちからもハナシを聞いてみると、過去練習中にHyperventilation(過呼吸)になったこともあるようなので、どうやらそれではないかという結論に。救急隊員の人たちは念のため病院に行って検査をするよう進めましたが、彼が断固としてそれを断り続けたため、
親御さんともお話して、"それじゃあ明日にでも病院に行くように”ということで落ち着きました。

とりあえずこの状況がなんとか治まりそうだったので、私は続行中の試合に戻ることに。
こっちも放っておいたらもっとひどい怪我なんかが起こるかも知れませんしね。
後で戻ってきたTeam Doctorに“Hyperventilationでchest painが起こることってよくあるんでしょうか?"と聞いてみると、“カラダ全体が酸欠状態になるからね。心臓にも酸素が足りなくなって、痛みが出ることは十分に考えられるわね”と言われて、なるほどー、と納得。
“最初は大袈裟に騒いでるだけかと思ったけど、本当にVerbally unresponsibleになってちょっと焦ったわ”とうちのドクターまでも言うので、“Sternal rubしてやっと起きましたもんねぇ、私も大丈夫かなと思い始めた矢先だったので、ちょっと怖かったです”と素直に感想を応えました。

その後も相手チームのコでちょっと大き目の怪我が起きたりして…。
やっぱり、VarsityのFootballの試合には、各チームに最低でも一人ATCがいないとキツいなー。
うちのコドモタチに大きな怪我が無かったのは本当に良かったけれど。
何とか試合を終えたあと、相手チームのコーチに非常に感謝されて、それからうちのコーチにも“お疲れ様、よくやってくれたなー”と声をかけてもらって、ほっとしたらどっと疲れがやってきて頭痛と眩暈、心臓痛に教われました(笑)。
試合を気持ちよく勝ってくれてよかった!これで負けてたら疲労倍増だぜっ!

まぁでもしかし、思い返しても彼が、ふっ、と意識を失いかけた瞬間は怖かったです。
ヒトの命がものすごく儚いもののように見えた、あの一瞬。
CPR(心肺蘇生)始める覚悟、しましたもん。
それと同時に、ヒトの体に宿る生きようとする力、みたいなものも見せられたような気がします。
あっぱれ生命力。よくぞ這い上がってきてくれた。
病院での検査も、異常が無いことを祈ります。

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おまけ。
チームはいつもスクールバス2台(オフェンス1台、ディフェンス1台)で試合会場に向かいます。
帰りはディフェンスのバスの乗り込んで帰ってきたのですが、学校に戻ってくると、オフェンスバスの選手がひとりが“あのねー、僕らね、Coach Higgins置いてきちゃったの”というのでびっくり。
へ?どういうこと?と聞いてみると、バスが出発してちょっとしてから、置いていかれたと気づいたとあるコーチが、首から提げていたホイッスルをピピピーと鳴らして走って追いかけたのだとか。
それに気が付いて急いでバスを止め、事なきを得たそうですが、
ホイッスルを鳴らしながらバスを追いかけるコーチの図…。ちょっと、いや、かなり、笑えます。

…。
ぷぷっ。
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  by supersy | 2008-09-25 23:59 | Athletic Training | Comments(4)

Commented by カツ at 2008-09-26 22:04 x
お疲れ~。大変だったねぇ。
こういうのの方が原因が判り難くて怪我より恐そうと素人の僕は思うんだけど。
何はともあれ、無事に治ってよかったね。

笛吹きながら走るコーチ、見てみたかった・・・(笑)
Commented by さゆり at 2008-09-28 22:44 x
そうですね、よく分からない怪我より、よく分からない病的症状のほうが怖いです。怪我はだいたいLocalizeされてますけど、病気はSystemicになりえますからね。
Commented by かや at 2008-09-30 11:06 x
お疲れ様〜。
目の前で徐々に意識喪失・・・ ホントに怖いよね。
内科系の異常って,外からは判別が付けにくいから大変だよね。
結構いろんな反応したりするし・・。

でも,彼も大事に至らなくて本当によかった。
Commented by さゆり at 2008-10-26 14:14 x
様々な怪我を目の前で見てきましたが、命に関わったり障害が残ったりするようなケースが起こっていないのは幸運だと思います。ただ、いつ何時でも心の準備ができていないとダメですね。心身ともにぐったり疲れるんですけど、そういう怪我を扱ったあとって(苦笑)。

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