高校で働くということ。

学期が終わって仕事だけになれば少し楽になるかと思っていたら、
実はそうでもなくて結局ドタバタした毎日を送っています。
やっぱりFootballはどのスポーツよりdemanding。
練習中も走り回ってなければいけないので、一日が終わると体力的に疲れが来ます。
良い運動になるのでいーんですけどね。

一年間(正確に言うと10ヶ月弱)高校という自分にとって新しい場所で働いてきて思ったことが幾つかあるので、高校で働くことに興味がある!というヒトにも無いヒトにも、知っておくことは損にならないハズですのでちょっと書き残しておきたいと思います。

●モードの切り替えがとっても大事!
Footballのシーズン中は、起こる怪我の種類や求められる仕事のスピードがintenseなので、ギアを上げて常にスイッチをonにしておかなければいけません。状況を先読みし、全て先回りするくらいの気持ちで動かないといけないと思うんですよね。
でもBasketballやSoccer、Baseball、Softballのシーズン中は拘束時間が長いので、逆に上手くスイッチを切る能力が必要になってきます。TrackやWeightliftingのMeetも一日かかるので同じ。丸一日ずーっとスイッチ入れてたら気が滅入っちゃうんですよね。節約モードにしていい時はする!というのが仕事の質を保つコツみたいです。
そういう意味で、Undergrad時代に色んなスポーツで色んなリズムを経験できたのは本当に役立ちました。あるじゃないですか、それぞれのスポーツの“色”って。カメレオンのように臨機応変にその“色”を変化させるチカラはやっぱり大事ですね、ここで生きていく上で。

●時間を追いかける。
時間に追われるのは簡単ですが、時間を追いかけるようでないと複雑なスケジュールはこなせません。つまり、時間の逆算が狂い無くできないといけないんです。
例えば。一番キツかった日といえば、一日ホームゲームが5試合あった日がありました。
サッカー2試合、バスケットボール3試合。サッカーは高校から車で2分のFieldで、バスケットボールの試合は体育館でと、ちょっと離れた場所で行なわれ、それぞれの試合は5時開始。

どーせーっちゅーんじゃい!!

と地団駄を踏みたくなったんですけど、そこはぐっとこらえてとにかくこの一日を平和に乗り切らないといけません。試合のカバーもてんてこまいですが、Athletic Trainerが一番忙しいのは試合前。5チーム分の選手のテーピングやらストレッチやらをしなければいけないし、試合のセットアップも遅れることなく完璧にこなさなくてはなりません。時間軸の把握が非常に重要になってきます。
     Basketball                 Soccer
  5:00 JV Boys                  5:00 Girls
  6:30 Varsity Girls                7:00 Boys
  8:00 Varsity Boys
という流れだったんですけども、サッカーは試合開始1時間前には選手がFieldに集合してアップを始めます。バスケットは、40分前くらいとちょっと遅め。アップ開始前に選手達は私のところにtreatmentを受けに来るので、つまり、3:30くらいには私はAT roomにいてサッカーの選手を待ち構えてるくらいの状態でいないといけません。で。それまでに試合のset upは終えていないといけないから、つまり3時までには全てのcoolerとbottleをfill upし、サッカーフィールドと体育館にそれぞれdropしに行く必要が出てくるわけです。えぇもちろんサッカーフィールドまでは自分の車を出して持って行きます。

更に。試合に必要な5つのcoolerとice chest1個、24本のウォーターボトルを準備するのに、
約40分はかかります。つまり、2:20には動き出さなければいけません。
余裕を持って全て逆算しないとその後全てに影響出ちゃいますからね。

こうして綿密に計算をして動いても、予想外の仕事が飛びこんでくることも多々あります。
オフシーズンの選手がトリートメントにやってきたり、ADやコーチから“これを確認取って欲しいんだけど…”と頼まれたり。さらに、仕事を全てスムーズに運ぶためには引いておかなければいけない伏線も多く、例えば、サッカーの選手は“Syは試合の時にはフィールドにいる”のが普通だと思っているので、“今日はそっちには行けない”ということを前もって選手全員に伝えておかなければいけません。じゃないと、フィールドに着いた選手が体育館の私に電話してきて、“Sy、テープして欲しいんだけど今日はいつこっちに来るの?まだ?”なんてことになりかねません。“この日はテーピングやストレッチはAT Roomに来てね!”と口すっぱく一週間くらい前から言っておかないと(高校生は一回言ったくらいじゃすぐ忘れるので何度も言っておかないと)、致命的な時間的ロスを生みます。前準備はこの段階から始まっているわけです。

さて、準備も終わっていよいよ試合開始。とりあえずカラダはひとつしかないので、AD、それぞれのコーチと相談してこの日は観客の多いバスケットの試合のほうにいることにしていました。
サッカーのコーチには、試合で何かあったら電話で連絡ください、という感じで。

無事に試合が始まっても、のんびり観戦していられるわけじゃありません。
バスケットの試合だけでも3試合あるわけですから、バスケットの第1試合・JV Boysの第1Qが終わる頃には第2試合・Varsity Girlsのコたちを捕まえて、“そろそろテーピング&ストレッチするぞっ”とAT Roomに引っ張っていかないといけません。コドモたちは試合をぽけっと見ていたりして時間を気にしていない場合が多く、ギリギリにならないと現れなかったりするので、テーピングなりストレッチなりが必要なコはこっちが把握して声をかけないと私が後手後手になって後で慌てることになります。何事も先読み先読みです。

で。そんな中、バスケットの試合中に鳴り響く私の携帯。サッカーの試合で怪我発生。
ちょっと行ってきます、とサッカーフィールドまで運転していって、あれこれと選手の世話。
結構大変な怪我だったので、選手の親御さんともお話しして、それでもやっと何とか一息、
というところでバスケットのコーチから電話。バスケットの試合で怪我発生です。
体育館まで急いで運転して戻って、また怪我の評価。アイスバッグを作って、今度こそ一息…
と思ったら、その頃にはVarsity Boysの選手が“Syー、テープして!” “ストレッチして!”とわいわい来るわけです。Varsity Boysが一番手が掛かるので、念入りに皆面倒を見てあげないといけません。それだけではありません、相手チームの面倒だって見ないといけないのです。相手コーチには試合前に“初めまして、HawthorneのAthletic TrainerのSyと申します、何か必要だったらいつでも声をかけてください”と挨拶しないといけないし、相手チームの選手が怪我をしたらそれも処置しなければいけません。まー、まさにスプラッタ事件のときがそうでしたが。

もう、正直半泣きでした。この日は(笑)。
10時近くに全ての試合が終了したときは、さすがにお疲れ、自分、と思いました。

●1にコミュニケーション、2にコミュニケーション。
自分の練ったスケジュールを正確にこなすためにも、コミュニケーションが大事になってきます。
例えば、選手に前もって“この日はフィールドに行けないからトリートメントはAT Roomに来て”と伝えること。コーチに前もって“この日は体育館にいますから何かあったらすぐに電話を下さい”と伝えること。一回言ったからいいや、と思わないで何回も伝えること。コミュニケーションはキーです。サボろうと思えば簡単にサボれてしまうだけに、面倒くさくてもしっかりやっておくと、今ちょっとの時間を費やすだけで後に山のような時間をsaveできるようになります。

コーチや選手だけじゃありません。高校のトレーナーは沢山の人々の間に立っています。
高校での私の上司となるのはAD。月曜日には彼のオフィスに行って一週間のスケジュールを確認するのが私のルーティーンになってました。それから、高校の理事長、フロントオフィスの事務の人や清掃のおじさんおばさんとも仲良くなっておくと細かいところで救われます。

そして。中でも一番大事なのは親御さん!高校生は皆未成年ですから、大きな怪我をした選手には必ず親御さんと連絡を取るようにして、どういう症状がこれから起こりうるか、家でどんな処置をすべきなのかということを直接伝えないといけません。こういうときに選手を信用して“両親に伝えて”と言うのは不十分だというのは早くに学びました。“今夜腫れるかも知れませんが、なるべく最小限に抑えましょう。compression wrapをアイス時とシャワー時以外は常につけていてください。アイシングは今夜少なくともあと2回はするように、それぞれ20分ずつ。それと寝るとき、ソファに座っているときなんかは心臓より足を高く上げるようにしてくださいね。”…という私たちにATとってはもう“当たり前”になってしまっていることも、いちいち言葉にしてきちんと説明する必要があります。ボクらの常識が世界の常識じゃないですからね。知識の共有も私たちの大事な仕事です。こういうことは起こるかも知れないですけどびっくりしないでくださいね、でもこういう症状が見られたり、異常に悪化したりすることがあれば夜中でもいーんでいつでも電話くださいね、と言うとfreak outしてるおとーさんおかーさんもほっとするみたいです。

それから例えばですけど、金曜日の夜のFootballの試合でちょっと大きめな怪我をした選手がいたとします。ERに行くほどではないけれど、週明けを待って病院に行く必要があるかな…と思う場合は、その日のうちに選手本人と親御さんにその旨を伝えなければいけません。週末に家に電話を入れて“調子どう?”と確認したりして、その経過によっては親御さんと話して“じゃあ月曜の朝イチに病院に電話を入れてアポを取りますね。いつだったら彼を連れて行ってあげられますか?”と話を進めなければいけません。
だって、病院のアポを取るのは私なのです!これが意外に面倒くさいんです!
月曜の朝8時には病院に電話し、“こういう症状の選手がいて、こういう疑いがあるのでMRIが必要かと思うんです。診察お願いします。親御さんはこの時間だったら行けると言ってるんですが…”と説明。病院も予約枠にそんなに余裕がないので、こっちの希望する時間に毎回合うわけでもありません。“一番早くて、この日のこの時間しか空いてないんだけど…”と言われた日には、“すいません、じゃあちょっと聞いてみます”と保留してもらって、“これでも大丈夫ですか?”と親御さんに確認を取らないといけません。“分かった、じゃあその日は仕事を午前中休むわ!”と言ってもらえれば私はあと一回病院に電話を入れて“OK出ましたー、アポその時間でお願いします”と言うだけでいいのですが、“その日はどうしても行けない”と親御さんに言われた日はまた病院と親御さんの間で電話を行ったり来たりさせないといけません。
アポをひとつ取るのに数時間かかるのもザラではありません。
私が高校の仕事を“エグい”と表現する理由のひとつがこういうところにあります(泣)。
(※アメリカでは、未成年が病院で診察を受けるには、Legal guardian(法律上正当な保護者)が同伴していなければいけません。成人したおにーさんに連れて行ってもらう、じゃダメなんです、legalでなければいけないので。これが毎回両親であれば話はシンプルですが、離婚に伴いおばあちゃんがlegal guardianになっているコもいれば、両親が離婚しておばあちゃんと住んでいるけどlegal guardianは両親なので、離れたところに住んでいる両親を捕まえて診察に行かないといけない、なんていう複雑なケースも…)

まだまだ高校で学んだことや重要だと思うことは多いのですが、
すっかり長くなってしまったので今日はこのへんでやめておきます。
でも、はっきり言えることは高校の現実は複雑極まりなく、とにかく臨機応変に且つ迅速に対応できるチカラが求められるということです。これだけ言うと、どんだけひん曲がってんだ、と皆さん思うかも知れませんが、普段のコミュニケーションさえしっかりしていればいざという時の負担はたいぶ楽になります。選手の中でも、このコなら信用して物事を伝えられる、と思えるコも今は沢山いますし、親御さんの中でも私の対応に“うちのコの面倒を見てくれてありがとう!”と感謝の言葉をわざわざ伝えに来てくれて、以来すっかり信頼を寄せてくれている方々も沢山います。普段のWork Ethic、見てくれている人はちゃーんと見てくれてるんです。

でも、正直この高校での最初の一年間、簡単なものではありませんでした。
初めてひとりで全ての責任を背負って働く、というだけでも充分な恐怖だったのに、その緊張感の中でのこういったcomplicationとの戦いというか何と言うか…。予想もしなかったことが次々に起こりましたし、要領を掴むまでは本当に厳しかったです。唯一のトレーナーだからこそ現場で愚痴を分かち合える人間はいないし、家に帰って泣いたことも一度や二度ではありません。Blogだけ読んでいたら順風満帆だと思われていたかもしれませんが、本当は文字通り歯を食い縛って毎日生活していました。
だからこそ、2年目に自分が何が出来るのか、というのは自分にとっても楽しみなところであります。個人的な見解ですが、高校のAthletic Trainerというのは大学やプロに比べて最も一番キツい仕事だと思います。だからこそ、GAとしてやるには最適な場所だと思う。高校のGAを馬鹿にしているというか、下に見ているというか、そういう人は多いけれど、私はここでの一年一年は非常に深いものであり、学んでいることも他の比ではないと思うんです。私がこの一年で学んだことは私のこれからのAthletic Trainerとしての土台になり、基盤になり、いざというときの底力になってくれるはずです。この一年間で私は比べ物にならないくらい成長した。それはもう胸を張って言えます。2年目の自分にはどういった新しいことができるのか、それを自分の目で見ていくためにも、ここで学んだことは自分の血と肉に変えていかなければいけないし、また、あと2週間半をしっかり締めくくらなければいけませんね。

なりたいAthletic Trainerに、ちょっとずつでも、近づけているかなぁ。
頼むよぉ、自分。もうちょっとだから、自分に嘘つかないで頑張ってこうぜ。
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  by supersy | 2008-05-10 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by 慶太郎 at 2008-05-12 10:35 x
こりゃ勉強になるわー。
踏んできた場数ちがうな。今度また詳しく話し聞かせてね。
Commented by さゆり at 2008-05-14 10:34 x
いやー私も大学出たばかりの頃はこんな現実知らなかったよ(笑)。
なんかでも、温室出られてよかったって今は思う。
もうすぐFL入りだね!楽しみにしてます。

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