ACLについて考察してみる。

ATの方ならきっとACLについては嫌ってほどレクチャーされてきてるだろうと思いますし、
実際に怪我の現場に居合わせたり手術を見学に行ったりリハビリをしてきたりしている中で
学ぶことも多いですよね。私もACLの手術だけでも多分3つくらい見たことがありますが、
最初に見たときはなかなか衝撃だったなぁ。手術ってか工作みたいだなぁ、と思って。
そんなわけでありきたりなトピックではありますが、ちょっと違う切り口の講義を
とある先生がしてくださったので、それをベースにちょっとまとめてみたいと思います。
b0112009_11173214.jpg
ACL、正式名称はAnterior Cruciate Ligament、日本語では前十字靭帯。
これは膝の靭帯の中でももっとも怪我のincidentが多い靭帯です。

皆さん今座ってますか?もし90°に膝を曲げて椅子に座っている状態なのであれば、
両手で、それぞれ右と左の膝っ小僧をぐわしっ、と思い切り掴んで見てください。
大まかに、アナタの親指があるのがMCL(内側側副靭帯)、小指がLCL(外側側副靭帯)がある位置になります。真ん中、中指がpatellar tendon、人差し指が大体Pes Anserineあたり、そして薬指がなんとGerdy's tubercleになっちゃうんです。ねっ。便利でしょ。
しかーし。これでびっくりしないでください。
それでは人差し指と中指をえんがちょするみたいにクロスさせてみましょう。
(普通ヒトは中指を上に組みますよね?人差し指が上なんてあまのじゃくさんはいませんよね?)
LateralからMedialに向いている中指が前十字、逆向きの人差し指が後十字になります。
前十字と後十字がどの向きでどうクロスしているのかを忘れたらこれが一番です。

これ、Undergrad時代に習って便利だなぁと関心して、
ATSなら全員知ってるもんだと思ったら意外に知らない方も多かったので書いてみました。
ちょっと目からウロコ落ちません?

さて、そのACLですが、ちょっとマニアックに掘り下げていくと、
長さが35mm、太さが10~11mmと数字にしてみると案外小さいんですね。
ただ、これだけの小さなstructureで、1725~2500Nもの負荷を支えられるというのだからすごい。これ、重量ポンドに直すと約398~562lbsの重さに、えーと、私の計算が間違っていなければなると思います。
ACLは微妙に捩じれながらinsertしており、full extensionではposterolateral partが、flexionではanteromedialがそれぞれtautになって、その中間のintermediateは基本的にthrough out ROMでtightといういわゆるguiding bandの役割を果たしています。
●Primary Restraint...Anterior translation of the tibia
●Major Secondary Restraint...Internal tibial rotation
●Minor Secondary Restraint...Varus-Valgus (in full extension only)
                  External rotation (greater at full ext)
VarusとValgusのstabilityはfull extensionでしか出ないとこの先生には教わりました。
MOIにはInternal tibial rotationとvalgusのコンビネーションもあると習ったことがあるのですけど、まぁでもチカラの組み合わせを考え出すとキリがないのかなぁ。ねじれてるし。

このあとはACLの手術のあれこれの話をしていたのですが、内視鏡の映像もたいぶ訳が分かるようになってきたなぁと実感しました。最初に見たときはどれがどれだか、というか、どこに何があるかも分かってなかったので、“これがTorn ACLの内視鏡の映像で…”って無くなっているモノを説明されても全然有り難味が分からなかったんですよね(笑)。
b0112009_2229325.jpg
例えばコレ、左がTorn ACLで右がReconstructedの映像なんですけども、
今だから“あーこれはFemoral notchだな、あるはずのACLが無くなっていてscar tissueがいっぱいだ”って読めますけど、最初はこうして比較でもしないとね、わっかんないですよね。
一生懸命読もうとしていたら映像が上下ひっくり返ってたりすることもありますし。

Meniscal Tear(半月版損傷)の手術のハナシにもなったのですが、これも少しだけ。
Meniscal surgeryには基本的に2種類あります。
RepairとMenisectomy。切れたところを縫合してくっつけるか、その欠片を取ってしまうか。
ご存知の通りMeniscusの外側は厚みがあり、vascularになっていますが、内側になればなるほど薄くなり、avascularになります。血液の循環があれば損傷を起こしていても栄養が行き渡るので自然治癒が可能ですが、内側の血管が無い部分はそれが不可能になります。つまり、治癒が起こらないわけです。だから、Meniscal tearの患者に手術をするときには、損傷の箇所が内側であればもうその欠片を取って、関節がロックしないようにするしかない(=つまりMenisectomyをするしかない)、というわけなんですが…。
だからね、外側だったらじゃあほぼrepairが可能なのかなと思ってたんですよ。
でも、先生曰く、非常に特殊な条件が揃ったときにしかRepairはしないのだそう。
それは、Vertical tear in the thickest portionのみなんだそうです。
つまり例えoutermostなところに損傷が起こっていたとしても、そのキズの向きがobliqueだったりhorizontalだったりしたら、それは縫い合わせても自然治癒できないということです。
キズの向きも重要な決め手になってくるのか!とびっくりしました。
先生によれば、これは全体の半月版手術の5%くらいでしかないそうで、
repairって意外にできないもんなんですね。知りませんでした。

講義の終わりに、コドモ相手だったらACLの手術するんですか?という質問も出ました。
コドモだとまだgrowth plateがあるので、つまり成長の最中でまだまだ骨が伸びているので、
手術をしてしまうとこのgrowth plateが閉じてしまい、骨の成長が止まってしまう危険性があります。ACLのreconstructionはMeniscucの手術と違って大掛かりで、骨にドリルで穴を開けますからね。閉じてしまっては一大事。片足だけ早く閉じてしまったりすると左右の足の長さがガタガタになり、後々体中に多大な影響を与えてしまいます。なので、若い選手を扱うときはまずX-rayを取ってGrowth plateのopen具合を調べるのだそう。すっごくopenだったら、例えばMeniscal surgeryとかgrowth plateに影響の無い程度の手術に留めておく。時期を待ってまたX-rayを取り、ほどよく閉じてきた頃にACL手術をするのだそうです。
意外に、気に留めておかなければいけないことって多いですね!

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面白いと思ったことだけを書き並べたので読みにくくなってしまってすいません。
さて、急ですが、明日から数日間ちょっとOrlandoに出かけてきます。
帰ってくるのは日曜日かな?
一応パソコンも持って行きますが、更新ができるかはちょっと分かりません。
まぁどっちにしても、書き溜めておくので後で一気に更新します。
それではちょっと早いですが皆さん良い週末を!
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  by supersy | 2008-04-23 23:59 | Athletic Training | Comments(1)

Commented by from-columbus at 2008-04-28 15:48
”さゆりさんのブログ”色全開ですね!膝を手で掴んだ時に位置関係知りませんでした。4年生になって、下の子に教える時に使わせてもらいますね。今とってるリハビリのクラスでは、meniscal repair = (-)high fail rate (-)rehab duration ぐらいでサラーって流す感じだったんで、なる!ポイント多かったっす。

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