血管の神秘。

今日は、授業を初めて休みました。
と言っても、体調を壊したわけでも、もちろんサボったわけでもありません。
うちの高校Athleteが先週怪我をして、今日はfollow-upのためのDoctor's appointmentがあったので、彼女と、彼女の母親と一緒に行ってきたんです。
これも実はとある授業の一環なので、先生からは許可をもらってます。
できたら近いうちにコレについては詳しく書きたいんですけど…今日のお医者さん訪問で雲行きが怪しくなってきました(笑)。上手くいくといいんだけどなぁ。もう。
とにかく、協力してくれる彼女と彼女の両親には心から感謝です!

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さて。今学期取っているクラスのひとつ、そして今日まさに休んだクラスであるPathoですが、
現在Healing Processやら、Painのメカニズムやら、Undergradで習ったことをやってます
…が、さすがGrad Schoolだけあって、内容がマニアック。とにか~くマニアック。
これだけ知ってれば治療オタクもいいとこだろう、と言いたいくらいですが、
それでも先生は“まぁこれはほんの触りなんだけどね”と言うんだから恐ろしい。
どれだけ深いんだ、ニンゲンのカラダって。

さて、そのクラスでですね、先生が面白い話をしてくれました。
Healing Processに欠かせないのが、数々のChemicalによって起こされるVasodialationとVasoconstriction(血管膨張と血管収縮)。怪我の直後はHistamine、Bradykinin、Prostagladinによって血管が膨張し、怪我の箇所に必要な細胞たち(例えばplateletを出血箇所に集め、それぞれが癒着して血管の損傷を塞ぐ)を集め、そのあとは血液量を抑えるためにSerotoninとThromboxane A2によって血管が収縮する、というのはとりあえず止血のメカニズムのベーシックだと思うんですが、私が気になったのがそのときに先生が言った一言。
“まぁこの血管の膨張なり収縮なりっていうのは、
 Pre-capillary levelで起こるものなんだけど…どうしてかっていうのは後で説明するね”
む、Pre-capillary Level?そんなにspecificなの?どうしてかしら?と考え出してしまって、
それから先生が別の話をしている間ももんもんと気になっていたのですが、
授業が進むにつれてやっと先生が解説をしてくれました。

その説明をするためには、まずざっと血管の造りの解説をしたいと思います。
血管が全身に隈なく張り巡らされている、というのは皆さんご存知だと思いますが、
Blood vesselとヒトクチに言っても様々な種類があります。まず静脈か動脈かでは構造が全く違いますし、同じ動脈でも、カラダのどこを走っているのかによってその構成要素と太さは変わってくる。結構これだけでも奥が深いんですね。
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まずは、動脈と静脈の違いから。英語では、動脈がArtery、静脈がVeinと呼ばれています。
機能においての決定的な違いは、血流の向き。動脈は常に心臓から流れ、静脈は心臓に向かって流れています。よく、動脈はoxygenated blood(酸素を大量に含む血液)を運び静脈はdeoxygenated blood(酸素を含まない血液)を運ぶんだ、というoversimplifiedなstatementを言う人もいるんですが、厳密に言うとこう断定してしまうのは間違いです。血液は心臓→肺→心臓→全身と流れてまた心臓まで戻ってきますが、この血流のサイクルの中で、
・心臓…心筋が一定のリズムで収縮することによりポンプの役割を果たし、
     血流がこの勢いでカラダの中を進んでいく。いわば、血液を動かすエンジン部。
・肺……呼吸によって沢山の酸素を保っているため、ここに辿り着いた血液は酸素で満たされる。
     いわば、エネルギー貯蓄地。
・全身の細胞たち…細胞が活動するには栄養となる酸素が必要不可欠。
     というわけで、彼らは血液から酸素を取り出し、消耗する、いわばConsumer。
という、それぞれの役割があります。
で、それぞれをつなぐ道となっているのが、血管、ってのはいいですよね。
さて、ここからちょっと本題。例えば、心臓から全身をつなぐ血管たち。これらは心臓から流れているので分類的には動脈になります。この血液は酸素で満たされていて鮮やかな赤い色をしており、細胞たちをfeedしてくれます。まさに一般的にイメージされる典型的な動脈、ですね。逆に、全身から心臓に帰ってくる血管は、その流れの向きから静脈に分類されます。細胞によって酸素を使われてしまったので、これらが含む血液はどす黒い色をしています(便宜上、よく図などでは動脈は赤、静脈は青い色に表記されていることが多いですが、別に本当に青いわけじゃありません。黒っぽい赤、って感じの血液の色です)。
この心臓→全身→心臓、のサイクルはSystemic circuitという名前がついています。
それじゃー心臓→肺→心臓、のほう、Pulmonary circuitと呼ばれるこっちの循環はどうでしょう?心臓から肺に向かう血液は、既にSystemic circuitのほうで“使用済み”になった血液たちなので、酸素を含んでいません。でも、心臓から流れているのでやっぱり分類は動脈。この肺動脈だけは例外的に、動脈と言う名前が付きながらdeoxygenated bloodを含んでいるんですね。それでも何で“動脈”なのかって?それは、おさらいになりますが、大事なのは酸素を含むかどうかではなく、血流の向きだからです。これは肺静脈でも同じ。肺に辿り着いて酸素で満たされた血液たちは心臓に戻りますが、ここでの通り道は“肺静脈”。静脈でありながら、oxygenated bloodを含む、心臓に戻っていく血管です。
このふたつの血管だけは例外的に、動脈・静脈とそれぞれ名前が付きながらも含んでいる血液は本来とは逆のものになるんですね。くどいようですが、動脈と静脈の分類キーがcontentでなくdirectionであることからこんなことが起こります。


この機能の違いは、構造にも影響してきます。
どうして動脈・静脈を分類する上で、酸素を含むかどうかではなく、血流の方向のほうが重要視されるのか?私は初めて習ったときにこれが疑問でならなかったのですが、これは構造を見れば一目瞭然なんです。
b0112009_23145519.jpg
そこで必要になってくるのが上の図。左が動脈、右が静脈を簡略化したものです。
一番の違いは、Veinには、Arteryには無いvalve(弁)があること。
動脈は心臓から程近いところにあるため、心臓の力強いパンプで血液が押し出され、スムーズに血液が進んでいくことが出来ます。しかーし、静脈はそうはいかない。全身や肺から心臓に戻ってくる静脈においては、心収縮によってどかどか同じように進むには、心臓から離れてすぎてしまっているんですね。パンプの力が充分じゃない。それに加えて、重力だなんだと、血流に逆らう邪魔者な要素も多く出てくる。このままでは静脈の流れは滞り、循環を妨げることになっちゃいます。ピンチですピンチ。
でも、アナタの身体では血液は問題なく循環できてます。それは、どうしてか?
これには、ちょっとした発想の転換が必要なのです。静脈に置いては、血液は押されて進むものではなく、引っ張り上げられて進むものだ、という風に考えてみてください。
例えば心臓が一回収縮することによって、5mlの血液を心臓から押し出したとしましょう。
心筋が収縮を終えてリラックスしたときには、心臓の中にぽっかりとこの5ml分の空洞が出来ます。この真空スペースに、後ろから続いた血液たちが飛び込んでくる。つまり、negative pressureが生まれるんです。Arteryは心臓のpumpによるpushで進む、でもVeinの原動力は心臓のパンプによるpushで生まれるNegative pressureによるpullなんですね。長いけど、分かります?
もっと分かりやすくいうならば、例えばジュースをストローで飲んでいるとき、ちょっと息を止めてみてください。アナタが息を止めたままならば、ジュースはストローの中で動くことなく止まりますよね。
このジュースを血液、アナタを心臓だと考えてみましょう。
アナタが息を吐けば、ジュースは下に押し出される。これが動脈の原理。
アナタが息を吸えば、ジュースは上に上がってくる。これが静脈の原理です。
ここでアナタがコンスタントに息を吸い続けられれば、静脈でも血液はスムーズに流れ続けるのでしょうけれど、アナタだって呼吸をしなければなりませんよね。吸った後は吐かなきゃいけませんよね。そう、丁度、心臓だって収縮し続けているわけにはいかない、収縮とリラックスを繰り返さなければいけないように。
アナタがストローから口を離して息を吐こうとすれば、たちまちジュースは重力で下に落ちてしまう。Negative pressureを失った静脈は逆流を始めてしまうんです。コレでは困ります。

そこで活躍するのがこのvalveなんです。心臓がリラックスする時間、ほんの短い間ではありますが、veinの中のnegative pressureが消える瞬間に、静脈内の血液は重力によって逆流をしようとします。valveたちの役目は、まさにこの逆流を防ぐこと。血液が逆流を始めたとたんに弁が閉まり、ブロックする仕組みになっています。こうして弁が逆流を防いでくれるなら、アナタも安心してゆっくりと息を吐いて、それからまたストローに口をつけて吸うことができますよね。ジュースも落ちることなく、上方に一方通行に進み続けられるわけです。


あー、これでようやく本題に入れるところなんですが、っていうかここまでの内容は全然書きたいと思っていた内容と違うんですが、長くなりすぎてしまったので今日はここまで!続きは明日upします。またまたこんなんでごめんなさい(笑)。でも、この話は初めて知ったときに面白くって感動しました。ヒトの身体って、本当に上手くできていますよね!
逆に言うと、動脈を切ってしまうと血液が勢い良く飛び出すのはこの力強い心臓のパンプのせい。静脈を切ってもそんな風にはなりません。negative pressureって、心臓の直接のチカラに比べたらやっぱり弱いですからね。解剖学の知識があれば様々なことの説明がつく。

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今日ふらふらとオフィス(Gymの中にあるので高校の本館からは離れています)から出て、
Main Buildingに歩いていたら、どこから察知するのか子供たちがわっと集まってきて
我先にとドアを開けてくれました。か、可愛いすぎる。。。
そんなにドア開けてくれてもさ、ひとつしか通れないのだよコドモタチ。
ここんとこ、知らない子からもHey trainerとか、Hi Sy!とか声をかけられるようになりました。見知らぬ少年にEverybody says you are a good trainer!と言ってもらえた時は嬉しかったな。
肉体的精神的にキツい時期に、ネガティブなものに目を向けるのは簡単。
こういうときだからこそ自分の手でぐりっと頭を回して、無理矢理にでも良いモノたちに目を向けられるようでありたいなぁと思う次第です。自分がいる環境は、やっぱり素晴らしいと思う。

周りへの感謝のキモチと自分の中の情熱を忘れずに。
明日も頑張ります。皆で頑張りましょ。
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  by supersy | 2007-09-18 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by ヨシ at 2007-09-20 12:16 x
お疲れ様です!
高校は大学内よりしんどいけどいい経験ができるって先輩が言ってました♪まだ実習が始まったばかりで、高校には配属されていないんですが、なかなか楽しみです!
それにしてもさゆり先輩のブログは勉強になります。というかわかんないことだらけですw
Commented by ゆたか at 2007-09-21 00:15 x
いろんなものを吸収してください。
で、教科書でもつくってみたらw

で、いつか身に着けたものを実践に変えていきましょう。

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