The Ottawa Ankle Rules最新Systematic Reviewを読み解く。

さて、以前「1テーマ10文献のレビューを続けます」と書いたんですが、あまりに「読まされる」文献ばかりだとストレスがたまるので、今回はちょこっとだけ、本当に手短に自分が「読みたい」文献についてまとめておきたいと思います。以前に二回(2012年1月13日2016年1月25日)記事を書いたことのあるThe Ottawa Ankle Rule(ORA)ですが、昨年11月(正式誌面発表は来月)に最新のMeta-analysisが発表になっていたようです。どんなこと書いてあるんでしょう?
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この論文のイントロに書いてあることで、大きく頷けたのが「今までに発表されたSystematic Reviewでは、ERに勤務する医師がOARを使った場合、どれだけ正確にレントゲンの必要性を見極められるか…というところに焦点が当てられていたが、近年医療の形態は大きく変わりつつあり、今では整形外科の怪我の診断は医師(= secondary care provider)ではないprimary care providerの医療従事者(文献ではオーストラリアで書かれたものなので『NurseやPhysiotherapists』と書かれていますが、アメリカではもちろんこの筆頭がATかと)が担うことが一般的になってきている」というところ。なので、今回のSystematic Review & Meta-analysisでは「誰が評価をしたのか」にも区別しながら分析をおこなっています、なんだそうだ。ふむふむ。確かに私もそこに興味があるので(i.e. 医師がERで使った場合とATがスポーツの現場で使った場合で違いは出るのか?)、今回は特にここの結果に注目しながらまとめたいと思います。

Systematic Reviewにincludeされたのが68論文に含まれていた66の研究(何故論文数>研究数?この数の差についてはきちんと説明されていないのですが…しかもうち60がfull textで8がabstractってどういうこと?Full text手に入れなよ!ちなみに総患者数は22,273人とこれは文句のないサイズ、平均28.3±10.4歳)。Meta-analysisからは「骨折が一件も含まれていなかったひとつの研究は除外した(n = 65が含まれた)」そうなんですが、それでも2x2テーブルがあればMeta-analysis組に入れても良かったのでは?それは除外するのに足りる理由なのか、個人的には疑問が残るところです。
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さて、一気に結果に飛びます!医師 vs その他のPrimacy care providerの比較ができたのはOAR 足首編(写真一番上の赤い四角)とOAR 足首・中足編(写真一番下の赤い四角)。その他のPrimary care providerを「その他」という表記にして数字を抜き出したのが下の表です。
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研究の絶対数が少ないので「その他」の95%CI幅が場合によっては少し広いのはまだまだ仕方ないと考慮するとして。総じて「その他のPrimary care provider」のほうがほんの少し低い数字になってはいますが、95%CI幅を見るとお互いの数字を含んでいますし、総合的には「OARは医師がおこなっても、その他のPrimary care providerがおこなっても効果は同じ」と現段階では断言して良いと思います。もっとちゃんと言うと、「医師とその他の医療従事者のどちらがおこなっても、OARはレントゲンの必要性を除外する力は強く(陰性だった場合、骨折がある可能性は0.2-2.3%にまで激減する)、確定する力は少ない(OARが陽性でも、骨折がある可能性はせいぜい20.4-22.1%程度にしか上昇しない)」ということです。

Prevalenceから考えて、Post-test probabilityを陽性、陰性の場合でそれぞれ計算してくれてあるのはイメージがしやすくていいですね。骨折そのもののPrevalenceが2万以上の患者数を併せて全体の16.3±6.6%だった、というのも結構貴重な数字かな。覚えておこう。陽性でもせいぜい20%止まりっつーのは、あれだな、OAR陽性ちょっと意識的に「軽視」したほうがいいってことなのかもな(臨床現場では、「オタワ陽性患者」には前回紹介したTuning Fork Testを追加でおこなってそれで最終判断を下すっつーのがやっぱり一番現実的かなー)。

正直言ってTable 1の表はMeta-analysis論文としてはかなり雑な印象なんですけど(カテゴリー別の総患者数も入れておいてくれよ、とか、比較するならp値も入れてよ、とか色々注文をつけたくなってしまう)、雑なだけについつい見ながら「ここに注目すればこういうことも言えるのかな…」「こういう見方をすればああいう風にも解釈できるのかしらん…」とあれこれ考えさせられてしまう、妙な中毒性のあるデータ群です(苦笑)。統計好きな人は、ぜひ実物を見てみることをおススメします!

1. Beckenkamp PR, Lin CC, Macaskill P, Michaleff ZA, Maher CG, Moseley AM. Diagnostic accuracy of the ottawa ankle and midfoot rules: a systematic review with meta-analysis. Br J Sports Med. 2017;51(6):504-510. doi: 10.1136/bjsports-2016-096858.

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  by supersy | 2017-02-27 22:00 | Athletic Training | Comments(0)

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