アメリカの根強い銃社会。

全然医療と関係ない話ですが、個人的に思ったことを少し。
テキサス州では新たな法律が制定され、8月から大学内でConcealed Carryが合法的に許されるようになりました。つまり、今まではキャンパス内では原則銃の持込は禁止だったのが、「Concealed = 隠している状態ならば持込ok」になったのです。そもそも、Concealed CarryとOpen Carryの定義すら普通の日本人は知りませんよね?Concealed Carryは「本人以外誰も武器を持っていることが分かりえない状況」を指し、逆に銃を堂々と他人に見えるように持ち歩くことをOpen Carryと言います(↓)。
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もうちょっと詳しく言うと、銃の一部が少しでも見えていたり、見えていなくても形から「銃である」ことが推測が可能だったり(↓)、言葉で「実は銃を持っている」と明かしたりそれに近いことをほのめかしたりすることはConcealed Carryという法を犯した行為になります。大学内ポリスからは、こういう行為が見られた場合、「法律違反」なのですぐに警察に連絡するようにと言われています。私もつい最近までこういったことは全く知らなかったのですが、大学内の教授対象の銃に関する勉強会やトレーニングに出させてもらって必死に勉強中です。
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Concealed Carryは教授陣にとってはなかなか恐ろしい法律です。我々の立場が人の恨みを買いやすいものだからです。例えば私なんかは、授業に来ない、クイズもテストも受けない/勉強してこない学生が数字的データに従って"F(不可)"をもらうのは当然のことだと思うのですが、そういう学生こそ「風邪引いていたんです」と情報を後出ししてきたり、「奨学金もらってるアスリートなのでこの成績だとプレーできないんです。特別課題などして点数を稼ぐことは可能ですか」などとごねてくるものです。「事後報告の場合は医師からの書類がないとその訴えが妥当かこちらも判断しかねる。提出してもらえますか」「アスリートだからと優遇しては、他の学生に公平にならないので貴方だけに特別課題は出せません。授業内の課題で必要点を取る必要があります」とこちらも一貫性ある対応を心がけてはいますが、彼らは「公平さ」では納得しないことが多く、腹を立てた学生が声を荒げたり脅迫してくるなど、そのやりとりでこちらが危機感を感じたことは今までにも数回あります。もしたまたまその時に彼らが銃を持っていたとしたら…?と考えるとゾッとします。

何故こんなことを書いているかというと、今日は大学警察がホストするActive Shooting Training(キャンパス内に銃を発射している人間がいる場合の対処法トレーニング)に出席してきたからなんですけど…。内容がふわふわしていて余計に不安になりました。

勉強になったのは犯人がバリケードを蹴破って教室に入ってきた時の対処法(モノを投げながら一気に近づいて羽交い絞めかノドを攻撃)とか、警察が突入してきたときの対応の仕方とかなんですけど(警察に向かって走っていってはいけない。指を指そうとしたり、携帯を持っていると銃らしく見えて発砲されることがあるので、動かず、両手を挙げて手のひらを見せるetc)、我々の多くが抱える問題が「教えてる教室の多くが中からの施錠ができない」「ドアが廊下に向けて広がるタイプなので、内側からバリケードが作れない」ということなんですよね(↓この写真のバリケードも、教室内に向かってドアが開くタイプだから有効なのでしょう?うちの建物のは全部逆なのです)。
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これについてポリスは「各教授が自分の使う教室のドアの数、位置、タイプを確認して、施錠できないタイプの場合は各自道具を購入して開けられない状態を作れるようにしてくれ」というゆるーいアドバイスしかくれなくて。え?それって我々個人の責任なの?施錠できないドアがどうしたらsecureできるかなんて、私の専門外じゃないし全然わからないんだけど…とますます混乱中です。せめて大学側が積極的にcollegeやdepartmentレベルで「この建物でshootingがあった場合、避難所はここ、ドアの対応はこう…」という場所別の緊急用プランを作り、我々にトレーニングを積む機会を設けるべきだと思うのですが…。「とりあえず銃が入ってくるから。あとはよろしく」では、生粋の日本人の私は特に対処に困ります。やはり銃社会、怖いです…。

そんなら教授陣も銃を持ち込めば、と思う方もいるかもしれませんが、大学の建物の中でも一部は「Concealed Carryも禁止区域」に指定されており、うちの大学ではNCAAの規則に則って、アスレティックスのイベントで使う可能性のある施設は全て「特別禁止区域」という規制が課されています(スポーツイベント事は人々が感情的になりやすいからという理由だそうです)。選手の治療施設であるAthletic Training Centerもその対象のひとつで、この施設内にオフィスがある私は銃を持ち込むことはできません(↓下の写真はうちのAT Centerの目の前のここから先は銃持込禁止サイン)。まあ許可されていても私は銃を持ち込もうとは思わないんですけど。
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これだけのゴタゴタというか…不利益がありながらも銃の存在がありきということこそがアメリカの根強い銃社会の実態なんだよなぁと実感しています。特にテキサスは皆銃が大好きなので、「銃そのものの所持を全面違法にしちゃえばいいのに」なんて私がぼそっとでも言おうものなら袋叩きにあうことでしょう。日本人の私にはなかなか理解しがたい現状です。まあ私が理解するにせよ、しないにせよ時は流れていくので、不思議だなぁと思うながらも地味にもうちょっと勉強続けてみたいと思います。本音は、そんな暇あるなら論文のひとつでも読んでいたいんですけどね。。。

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  by supersy | 2016-09-23 17:00 | Just Thoughts | Comments(0)

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