NATA Clinical Symposia in Baltimore その3。

NATA Symposium最終日です!ねむい!

#1: Interprofessional Education in Athletic Training
"Interprofessional Education (IPE)"は医療教育界の新たなトレンドですが(日本語でいうコメディカルという言葉に近いのかな?アメリカのそれはヒエラルキー型でなく、もうちょっと横並びなのですけど)、どこのcollege(学部)にプログラムが所属しているかでIPEがどれだけ実践しているかが決まるというのはちょっと耳に痛い情報でした。うちのプログラムはなぜか教育学部に属しているんですけど、「健康(Health)」という名前の付いた学部に所属しているほうがIPEが1.9倍起こりやすいそうで…。そりゃーだって、学部内コラボが簡単ですもんね。うちも早く健康科学学部に移りたいよー。
研究として、「PAとATの学生が合同でマラソンイベントの医療サポートを行ってIPEを実践しました」というケース報告もあり、そのときは各ステーションで「ATはMusculoskeletal Injuriesの担当、PAはnon-musculoskeletalを担当」とだけシンプルなルールを教授側が決めたらしいのですが、自然と「ねえ、さっきの怪我、どういう風に診断したの?」というPA⇔AT間の質問や情報のやり取りが自然に始まり(研究者もこれは予期していなかったそうな)、予想以上に上手くいった手ごたえがあったそう。学生は教師以上にIPEの準備ができているのかもしれない、という結論は実に面白いところです。

#2: Facilitating Effective Debriefing
こういう講習は教育者の人しか興味ないと思うんですけど、Preceptorの人たちにぜひ聞いてほしいなぁー。大きな学びがあったあとに、どう効果的に"Debriefing"をするか、という話でした。Debriefという単語は日本語だと(兵士などが任務を終えた後に上官に)報告する、という意味があるらしいのだけど、そういう訳だとちょっとこの文脈での意味とは違ってきちゃうかなと。Facilitated and planned conversation to analyze actions, thought process, emotions and reflect educational goals (終わったことに対して、振り返って自分がとった行動や思考プロセス、感情を分析し、目的に沿った行動がどれだけ取れたかを見つめなおすための促進的に計画されたやりとり)というのが私が感じ取ったこの単語の意味で、たとえるなら、学生が患者を評価し終えたときに、それを振り返り、「何がよくできたかな?」「何ができなかったかな?」「どうしたらもっと良くなるかな?」と反省して教授と話し合うことを指します。
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で、この話し合い中、教師はあくまでfacilitatorとして、会話を刺激するために質問を飛ばして論議を建設的に導く役目があるわけですが、面白いのが「特に教師は学生のパフォーマンスを向上させるためにいるわけではない」という前提。あくまで会話を進めるのは学生で、彼ら自身が自主的に何が良くて、悪くて、どう改善していけるかを導き出していかねばならないのです。そういう意味で、debriefingはfeedbackとは大きく異なります。feedbackは教師(もしくはPreceptorとか)が学生に「あれがよかった」「これはよくなかった」一方通行で送るもので、debriefingは教師が投げかけた質問に学生が答える、というtwo-way streetなのです。誰かと自分のパフォーマンスを比較したり、前回と比べて今回は…と考えるのではなく、今回のパフォーマンスに対して切実に向き合い、感じたことを吐き出す、というプロセスです。これは、「学び」が終わった24時間以内にやるのが理想だそうな。自分の当時の感情や思考プロセスを客観的に振り返ることで(イメージとしては幽体離脱でもしたときのように、状況を冷静に見下ろす第2の自分を作り出して、第1の自分を分析するような感じ)metacognitionの能力を高め、reflective practitionerを生むのが目的。これを学生が学生のうちに繰り返してクセにしておけば、プロになったあとも自然に「あれはああすればよかったかな?」「ここはうまくいったかな?」と自分で自分を導けるようになるわけです(これって、『できるヒト』は教わらなくてもできるんでしょうけれど、『できないヒト』はきちんと教わらないといけないことだと思うんです。一生の財産になります)。うーむ!これは次のPreceptor TrainingでぜひうちのPreceptorともシェアしてみよう。

#3: Moving Beyond the Checkboxes - Utilizing Functional PPEs
Pre-Participation Exam (PPE)にどういう病歴がある・ないのチェックリストのみでなく、もっと患者を動かすmovement screen的要素を取り入れるべきではないかという講義でした。このscreenを使って何かを診断するわけではなくとも、high risk individualを的確に見つけ、赤旗を立て、次のレベルの評価対象に含められればいいではないか、というdata-drivenな内容で。プレゼンターは実際WB Dorsiflexion; SL Anterior Reach; SL Hop for Distance; Impression Landing Error Scoring System (点数をつけるチェックタイプのものではなく、「良い」か「悪い」かのシンプルな二択)という4つのDynamic Functional TaskをPPEに取り入れてみたらしいのですが、高校生アスリート3000人超を対象に実験して分かったのはSL Hop for Distanceに関してのみ左右差が20%以上あった場合下肢のmusculoskeletal injuryのリスクが2.65倍(1.54-4.57)まで上がるということ。
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つまりこの要素が怪我のリスク要因として認められたので、これからのPPEに使ってみる価値があるのでは、ということですね。いわゆるSL Hop Testの全てのテストをやらなくてもいいので(i.e. for distance, for time, zig-zag)、お医者さんのオフィス等でも手軽にできる、というのが利点のようです。ふーん。
この講義で数回強調されていて興味深かったのが、「左右差は決して悪いものではない、スポーツをしていればどうしても生まれてくるものだから、そうやっきにならなくても」「今回の診断基準になった左右差は20%をボーダーにしており、かなり大きい。逆に言うと、これを10%や15%にしてしまうとかなりの被験者が当てはまってしまったので高い設定になっています」というとこですかね。

#4: Assessing Student Learning
Standardized Patient(SP)に関しては以前にまとめたからいいとして、この講義で得た新しい情報は「今でも医療教育のメインはsimulationとmock scenario。もっとreal-time patient interactionとSPを増やす必要がある」という課題と「学生の学びは何時間実習の場所にいたかではなく、何人の患者と触れ合う機会があったかというPatient frequency/load、そして何回そのスキルを実践する機会があったかに比例する」というところ(だからこそ認定プログラムは学生が何時間実習を積んだかではなく、何人の患者とinteractしたか、何回技術を実践できたかをtrackすべきなのでは、という提案もありました。それはちょっと極端な気もしますが、時間だけ稼いでいればいいというものではないというところは大いに賛成です)。SPの話では、教授がSPを医療教育の場で実践するにあたってそれをどう感じており、どういう障壁があるか、という話にもなりました。もちろん利益も大きいのですが、SPの知識不足やFacultyにかかる労力・時間的負担がかなり大きい、という問題もさることながら、現実的にやはり金銭的な問題も大きいよね、というのがさしあたって一番の障壁ですかね。シナリオ別にSP役の方の報酬を調節しているところもあるらしいですが(invasiveなもののほうがお値段もup、みたいにしているらしい)、うちの大学で今それを捻出しようとしてもやはり無理なので…。予算がなぁ。

そんなわけで、最終日もみっちり学んで楽しかった!そのあとはLittle Italyへ出かけて、友人らと極上のイタリアンをいただいてきました。友人のひとりは前日にこのレストラン(↓)に来たらしいのですが、「美味しいのでもう一回行きたい」と二日連続になるにも関わらず私たちを連れてきてくれて。「なぜ二日連続?」と疑問に思ったけど、料理を食べて納得。こんなに美味しいBrussell Sprouts初めて食べた…。
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そんなわけで明日日本に帰ります!会ってお喋りして情報交換してinspireしてくれた皆さん、ありがとうございます。やっぱりNATAは刺激的…寝不足だけど元気が出ました。できれば毎年来続けたいなぁ。
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  by supersy | 2016-06-25 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

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