NATA Clinical Symposia in Baltimore その1。

久しぶり(3年ぶり?)にNATA Clinical Symposia & AT Expoに来ています!Maryland州に来るのは初めてです。昨日は友人らとInner Harborのあたりを散歩してきました!きれーい。
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さて、今日は学会1日目でした。学んだ内容を覚書しておきます。

#1: Developing Emotional Intelligence
Emotional Intelligence (EI or EQ)とはIntelligence (IQ)とは異なる、1)どれだけ自分や他人の感情を正確に見極め、表現できるか、そして、2) 自分や他人の感情をいかに効果的に制御できるか、という能力を指すらしいのですが、生まれ持つIQと違ってEQは誰でも獲得できる技術、なんだそうな。実は仕事での成果の58%はIQでなくEQに起因し、EQと所得額は直接相関があるんだそうですよ。感情的知能指数があれば、お金もより稼げる(ような仕事につける)ってわけです。習得はself awareness→self management→social awareness→relationship managementの4つのステップに要約されるそう。中でも面白かったのが、「自分がイラッとさせられやすい"Hot Button"が誰か、何か、見極めろ!」というコメントでした。そしてその上で、ネガティブな感情を見せない訓練をしろと。「『あんたは悪くない!』と言ってくれる友人は大事。でもそれと同じくらい、『それはあんたが悪いわよ、直しなさいよ』と正直に言ってくれる友人も大事にしなさい」とか、「私は妹と毎日愚痴を言い合ってたけど、一日一分ずつっていうルールを決めてたの。愚痴を思いっきり言っていいのはきっちり一分だけ。一分を超えてしまったら、次の日は愚痴を言うのは禁止、っていうルールよ。これはとても生産的で良かったわ!」とスピーカーさんも話してました。へー。

#2: Understanding Skeletal Muscle Regeneration - Implications for Management of Muscle Injuries
筋肉の怪我にも色々な種類がある。それらはcontinuumで現すことができて、DOMSから金銭位の完全断裂まで様々。DOMSは筋繊維の再生(regeneration)で完全に回復が可能だけど、断裂はそうはいかない。はて、どうすれば再生を促せるか…という面白そうなプレゼン内容だったんですけど、NF-kBプロテインがどーのとかいう話になってきて、生理学が苦手な私にはこう、イマイチ現場で使えるところまでの光が見えてきづらい話でした…。知識不足でごめんなせえ。ところで、このプレゼンでStrainという言葉が使われていたんですけど、これは例の新・筋障害の名称が定着しなかった、ってことでいいんすかね?

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#3: Pioneering Concussion Research
15分間のプレゼンx5の楽しいセッションでした!最初は『The Ability of an Aftermarket Helmet Add-on Device to Attenuate Impacts During Drop Tests』というやつで、つまるところ、Guardian Capと呼ばれているアメフトのヘルメットに装着できる外付けのクッション(↑)を使うことで実際に頭部にかかるインパクトが減るのかどうか、という研究結果の報告でした。研究にはDrop Testと言われる実験方法(↓)を用い、様々な向きからヘルメットをどかんと落として硬い物体とぶつけ、その衝撃をGSIで測る、というものです。メーカーは「33%も衝撃を減少!」と謳っているそうですが、実際はGuardian Cap無しと比較して統計的に有意な差は見られなかった、つまり、頭部にかかるインパクトには特に意味なし、という結果だったそうで。「ちなみにNOCSAE認定のヘルメットにこういったAftermarket add-on deviceの取り付けをしてしまうとNOCSAE認定そのものも無効になってしまう、ということも是非ご考慮ください」だそうです。
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『Power 5 Conference Concussion Management Plans Adherence to NCAA Guidelines』というプレゼンは、ものすごく簡潔にまとめると、米国大学のATはそのほぼ全てが(94.3%)かなりきちんと脳震盪に関するポリシーを作っているけれど、RTL (Return to Learn…学校復帰)に関しては不慣れで、まだ作り切れていない印象。現場のATはもっとそこらへんの提携、教育をしっかりする必要があるし、教育者の皆さんは若い子らにこのへんの教育を是非力を入れる必要ありです、という内容でした。
『Adolescents with Convergence Insufficiency Demonstrate Dual-Task Gait Stability Deficits Following Concussion』では、普通に歩かせては特に異常が見られない脳震盪患者でも、引き算をさせながら歩かせると(Dual-task gait)途端に足が左右に振れ始め、Gaitが乱れるという報告は面白かったですね。あとは、やっぱり視覚に影響が出る患者も30-65%程いるので、どれほど近い物体にも焦点を合わせられるか、という「より目テスト」Convergence Testをして、鼻先からの距離が5cmの物体を見られるかどうか確かめるようなoculomotor assessmentもいいのでは、という提案も面白かった。convergence deficitの視覚障害がある脳震盪患者は、altered gaitも一緒に持ってることが多いそうですよ。
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『A Helmetless Tackling Training (HuTT) Intervention to Decrease Head Impacts in American Football』はなかなか良かったなぁ!ヘルメットがあるからこそヘルメットを「使」って攻撃しようという意図が生まれてしまう…これは1950-60年代にヘルメットを作る技術が上がり、硬い素材の丈夫なものが出てきた影響で逆にヘルメットを使ってぶつかっていくspearingというタックルが生まれてしまい、死亡事故が急増したことにも裏付けられています。皮肉なもんですよね。だったら、練習にヘルメット無しのタックル練習を取り入れれば、タックルに頭部を使うという意識が薄れ、同じ量の練習・試合をこなしても結果的に頭部にかかるインパクトが減ったりするのでは?というRCTの紹介でした。50人のNCAA D-1アメフト選手をランダムにHuTTグループとコントロールに分け、HuTT組は通常の練習に加え、ヘルメット無しのタックル練習をシーズン前、中に実践(コントロールはその間、ヘルメットをかぶってポジション別の通常練習)。結果、タックルのやり方に違いが出たのか、HuTT組のほうがシーズンを通してのHead Impactがはっきりと少なかったようですよ。「ヘルメットを敢えて使わない時間を作る」ことで、タックルに対する意識を変える。脳震盪を減らしていく上で、これからのinterventionのカギにもなりそうですね。
最後は『Factors Associated with Symptom Resolution Following Concussion in Cadets at the United States Military Academy』。これは、脳震盪を受傷した患者がどれくらいで回復(=fully asymptomatic)するかの日数を予測できる要素はないか?という研究で、結果がなかなか面白かった。意外にも、一番予測に使えるのは「受傷後24時間以内に調べたSCAT3 Symptom Checklist(↓)の結果」なんだそうです。Symptom Scaleが2点上がる毎に、完全回復まで1日伸びる、そして、Symptom Severity Scoreは5点毎に1日余計に伸びる…という分析結果が出たそうな。これがね、面白いことに、受傷から比較的すぐ(24時間以内)のchecklist結果であることが大事なんですって。数日経っちゃうと予測効果ないみたいですよ。へーへー。

#4: Malignant Hyperthermia in Physically Active Populations
これが今日一番の収穫だったかも!もうちょっと勉強して、後で別途にまとめます。

#5: Lead Them to Water but Don't Force them to Drink! Recommendations to Prevent Hyponatremia
これは正直ちょっと混乱したというか…。言いたいことはわかるけどその表現でいいのか、とおもうことはちらほら。要約すると、水分補給と熱中症のリスク、そして筋痙攣(cramp)のリスクは関連性が見られないから、それらの予防のために「水を飲め!」と騒ぎ立てるのは間違い。「のどが渇いていたら既に体重の2-3%の水分を失っている。そしてそれはパフォーマンスに悪影響を与える」というstatementもエビデンスを掘り返してみると統計的有意さはあっても臨床的有意さは無い、と(そこのエビデンスの紹介はなかったけど)。そういったイメージが人々の頭に残りすぎて水分を過剰摂取することで逆にHyponatremiaの状態を作ってしまう。水分補給は、のどが乾いたら飲む、乾いていなかったら飲まないで十分、というものでした。Hyponatremiaについては以前もまとめましたね。
「drink to thirst」「clean urine is not normal」「athlete should lose weight during exercise」など、確かになるほど、と思える文章もあり、水は神様!みたいになりがちな我々の思考を改めさせてくれるものとしては大いに価値があったけれど、「今は筋痙攣の原因は脱水である、という説の代わりにAltered Neuromuscular Control Theoryができつつある。でもまだ未完成で、現時点では穴も多い」らしく、しっかりと代わりとなるセオリーがせめて完成してくれないと私の中で完全に情報の書き換えはまだ行えないなーという印象。全然文脈には関係ないですが、同じsodium量を含む液体なら、口から飲むよりもIVで体内に入れたほうが身体に留めて(retain)おきやすいんだそうです。飲んじゃうとすぐ排出されちゃうんだって。へー。

そんなわけで学びの多い一日でした!明日も楽しんできまーす。
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  by supersy | 2016-06-23 20:00 | Athletic Training | Comments(0)

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