苦しい時には、手を膝につけ!

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よくキツいworkoutの最中に、コーチが選手に「膝に手を付けるな!手は頭の上!」「うなだれるな!前を向け!」と指導したりしますが、私は敢えて言いたいです。苦しい時には、うなだれやがれ!
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…ま、うなだれるという表現はちょっと大げさですが、胸・腰椎の屈曲、肋骨を内旋位に持っていって、Zone of Apposition (ZOA)をrestoreした状態でまずstate of exhalation (空気を吐き切った状態)を確立し、そこから空気を吸ったほうが効果的な空気の動きが実現するのではと思います。ちょっと絵も描いてみました(↑)。

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これはWestern Washington Universityの修士学生が2014年に発表した論文1なんですけれども、面白かったのでまとめておきます。この研究では『伝統的』なHands on head (HH)と『非伝統的』であるHands on knee (HK)のふたつのリカバリーポジションを比較しています。被験者になったのは女子サッカー選手20人(平均年齢20.3±1.1才)。Treadmillを使って4分間激しいランニング(90-95% HRmax)をさせ、その後3分間recovery positionで休憩、これを4回繰り返す。このとき、休息中に取るポーズはランダムでHHかHKと事前に決まっており、休息中はHRR (heart rate recovery)、VCO(carbon dioxide elimination)、VT(tidal volume)を計測、記録。一番最後の3分休息の後、Wingate Anaerobic Test (stationary bikeを30秒をできる限り早く漕ぐ)を使ってanaerobic powerも計測しました。
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…で、統計的に優位な違いが認められたのは一分当たりのHeart Rate Recovery (53±10.9 vs 31±11.3 bpm; p<0.001)とTidal Volume (1.4±0.2 vs 1.3±0.2 L/min; p<0.008)。つまるところ、休憩中の呼吸を吸う・吐く時の空気量が多く、air exchangeがより効率よく行われていること、そしてその結果、心拍数がより早く通常へ戻っていることが確認されたわけです。

もちろん被験者がたったの20人じゃん、とか、あくまで修士論文でジャーナルでは発表されてないじゃん、とか色々あるとは思うのですが、この2 positionsを比較した研究は他で見たことないので私は面白い情報源だと思って読ませていただきました。backgroundなどとてもよく書かれていますね。だからね、"Keep your head up! (頭を上げろ)"という言葉が見た目だけでなく精神的なメッセージも含まれているのは分からなくはありませんが、最も効率が良い回復の為には、上げる頭は心の中だけにして、実際の頭はうなだれているくらいで、膝は手についていたほうがいいぜよ!という結論を、なんとなくここにぽつりと置いておきます。コーチングスタッフの理解さえあれば、現場での応用の仕方は色々あると思いますですよ。過呼吸気味の子とか特に…。

1. Houplin JVM. The effects of two different recovery postures during high intensity interval training. [master's thesis]. WWU Masters Thesis Collect;2014:330.
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  by supersy | 2016-05-01 15:00 | PRI | Comments(0)

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