大腿に新しい筋肉が見つかった?Tensor of Vastus Intermedialis。

膝に新しい靭帯が発見された!なんてここで書いたのはもう2年半くらい前ですね。
今度はどうやら、大腿に新しい筋肉が発見された1っていうんですよ。そんなことってあります?
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振り返るまでもないかも知れませんが、元々大腿前面は大腿四頭筋というその名の通り、4つの筋肉によって構成されていると教えられてきました。Rectus Femoris (RF: 大腿直筋), Vastus Medialis (VM: 内側広筋), Vastus Lateralis (VL: 外側広筋)にVastus Intermedialis (VI: 中間広筋)…。しかしなんと今回、外側広筋と中間広筋の間に新しいthe Tensor of the Vastus Intermedialis (Tensor VI: 中間広張筋?)という名前の筋肉が発見されたというのです。場所で言うと、下の青い円のあたりなんだそうな(↓)。
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歴史を辿ってみると、1986年2 と1990年3 にそれぞれ一度同じ研究グループから、「なんだか3割位のヒトに、VLとVIの間に小さな筋繊維と薄い板状の腱みたいなものがあるっすよ?」と報告がされていたのですが、「こういう変わった大腿直筋・外側広筋のヒトもいるのかな?」程度の認識で埋もれてしまった様子。あまり手術で開ける部位でもないので、医師らがここをまじまじと観察する機会も決して多くなかったのでしょうね。今回の論文では、1 新しく見つかったこのTensor VIという筋肉は、「遠位の腱膜が酷似していることから、外側広筋ではなく中間広筋から派生したものと考える」ということになっています。

この論文自体は「解剖報告論文」みたいなことになっています(そんなカテゴリーあるのか)。著者らは16(男性9体、女性7体、下肢計26本)の献体を解剖し、その全て(100%)にTensor VIが見つかったと報告しています。この筋肉には他の大腿四頭筋とは区別される独立した神経支配(femoral nerve)が確認されたとのこと。26本の下肢のうち22本(約85%)でTensor VIの近位筋繊維部分が他の筋肉とハッキリ区別できる状態で、残り4本では完全には引き剥がせない状態で発見されたように、多少のvariationはあるみたい。遠位も、Tensor VIとVIの腱膜(aponeurosis)が混ざって走っている場合と(VI-type 23%)、VLと混ざる場合と(VL-type 19%)、完全に独立している場合と(Independent type 42%)とか、色々あるようで…。個人差はもちろん、一人のヒトでも右と左で違う場合もあるようです。層構造の観点からすると、順番はどうやらいつもVL, Tensor VI, VI(表面⇔深部)という並びのようなんですけどもね。論文には様々な写真が掲載されていますが、一番全体像が見やすいのはこれ(↓)ですかね。写真右から1→2→3と追っていくとTensor VIの全貌が見えてきます。ふむー。
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機能としては、かなり外側から膝蓋骨に切り込んでくる感じになるので、1) VMに対抗する、非常に重要なpatellar motion controlの役割が多いではないのか、ということと、2) この筋肉の緊張がVIの腱膜の緊張に直結していることから、VIの収縮を助ける役割があるのでは、と考察しています。ちょっと本文の、"medialize the action of VI (p.262)"という表現は私の中でしっくりこないのだけど…どういうことだろ?lateralizeじゃなくて?

まとめると、
Prox Insertion: Greater trochanter, gluteus minimus, lateral lip of linea aspera
Distal Insertion: Medial aspect of base of patella
Innervation: Femoral n.
Vascular Supply: Lateral Circumflex Femoral a.
Action: Knee extension (tibial external rotation in OKC/femoral internal rotation in CKC)
…ということになるのではないかと、ちょっと個人的な推測も含めて思います。改めて、「この筋肉は大腿四頭筋群の仲間でありながら、他の筋肉とは区別されるべき、独立した筋肉である」というのがこの論文の大きな結論です。…というか、これを認めるならもはや「大腿四頭筋」という名前すら正しくなくなるので、なんだろ、Quinqueceps (大腿五頭筋)?とか呼ばなきゃいけなくなっちゃう?
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自分でイメージしてみたくてこんな絵を描いてみたんですが、正確かどうか責任は取れません。参考程度に見てください。小殿筋とつながってる…というのだから、こんな感じかなーと。なんだか、アレですね、小さいbellyに長い腱膜…Plantarisに似てる?これからこの筋肉のMMTがあるとしたらどんなかしら、とか、この筋肉の過活動や抑制が人体にどう影響を与えるのか、とか、色々考えてみたいと思います!解剖って、まだまだワカラナイことばっかりですね。人体って不思議…。

1. Grob K, Ackland T, Kuster MS, Manestar M, Filgueira L. A newly discovered muscle: The tensor of the vastus intermedius. Clin Anat. 2016;29(2):256-263. doi: 10.1002/ca.22680.
2. Golland JA, Mahon M, Willan PL. Anatomical variations in human quadriceps femoris muscles. J Anat. 1986:263-264.
3. Willan PL, Mahon M, Golland JA. Morphological variations of the human vastus lateralis muscle. J Anat. 1990;168:235-239.

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  by supersy | 2016-03-06 22:00 | Athletic Training | Comments(0)

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