地味な「レベル上げ」をする楽しみ。

2014年5月に博士課程を始めてから、4学期目であったSummer 2015が無事に終了。
卒業まであと2年あるのですが、最後の一年は博士論文に費やすことになっているので、
こうしてがっつり授業を取って学ぶのはあと4学期を残すのみ。
そう考えると、博士課程の『授業』は半分が終わったことになります。

いやー、この夏学期は
AT 640 Connective Tissue and Injury Repair: An Evidence-based Approach
HS 732 Biostatistics 2
HS 760 Technology and Informatics
…という濃ゆい9単位の授業達と戯れていました。

●エビデンスに基づいた結合組織と治癒
今回ブログで軟骨の話とか、半月板切除vs修復とか、膝蓋腱傷害のリハビリとかACL修復手術がどうとか喫煙と治癒がどうとか、治りが悪い骨折がどうのとか…
ああいうのはこの授業の課題の一部として取り扱ったテーマだったりします。
とにかく何百という文献を読んで読んで読みまくりました!50くらいの文献をCATしました!自分では決して見つけない、見つけても読まないかもしれないような題材のものを読まされるのは有難いです。見聞が広がります。

●テクノロジーと情報科学
この授業は最後にやった最終課題が楽しかったなぁー。
いくつかのオプションの中から、私は「自分の興味のあるトピックを選び、ブログもしくはウェブサイトをひとつ立ち上げる」というものを選択して、『指導者、選手、保護者向けの脳震盪の情報ウェブサイト』というのを造ることにしました(ブログはもう10年やってるしね…)。

"What You Need to Know about Concussion"
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指定された、最低でも…
 - 有益なメインコンテンツ最大文字数300字
 - 1つのオリジナル動画(4分ほどの短いもの)
 - 1つの適切に引用された画像
 - 2つの外部リンク
…を含む、などの条件を満たすように、
それでも一般の人に読みやすいように考えながらさっぱり目にまとめてみました。
意外と、こういうフリーのウェブサイトって専門知識がなくても簡単に作れるものなんだなぁ、とびっくりしたのと、あと、こういうの日本語で作っても需要はありそうだよなー、と思ったりもしました。脳震盪とか熱中症とか、ちゃんとプロが見ても納得できるように文献引用もしつつ、最新の正しい情報を、予備知識が無い人にも分かりやすく。是非是非誰が作ってみてください(まるなげ)。

●生物統計学、という学問
先学期Biostatistics I(生物統計学 I)が必修だったのですが、今学期は選択で生物統計学 IIを取ることにしてました。元々そんなに理系頭脳でもない私は(どちらかというと文系なんじゃないかなぁ、私)、この生物統計学の授業はすごく恐ろしいものでしたが、今回一番有益なクラスだったと感じました。私が博士課程にどうしても行きたかったのは、自分で文献を読むだけではなく、フォーマルな授業という形でアメリカでも超一流の先生から学びたかったこと、そして、その中身はまさにこういうような、自分では勉強し得ない、でも、これから自分が文献を読み、エビデンスを理解していく中で絶対に知っておかなければならない基礎知識の土台を広げることでした。
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生物統計学って何やるの?と思う方も多いかも知れませんが、例えば、『被験者を3つのグループに分け、傷の回復程度を1) 傷口の大きさ、2) 痛みの程度、3) 機能の3つの観点からどの治療法が最も良かったか、統計学的且つ臨床学的に分析して結論を出せ。その際、被験者の年齢をアウトカムに影響を与えうる要素として考慮すること』みたいな、医学と統計学を混ぜあわせ、適切な統計学的分析を用いて数字を解析、臨床学的意味を見出す方法を学び、実践する、というような内容です。

難しいですが、これを私が理解しないことには、エビデンスの消費者としてこういう文献を読む立場に立った時に「何故この研究でindependent t-testではなくMann-Whitney U testが使われたのか」「p valueが0.051だがPartial Eta2が0.82でObserved Powerが1.000だった場合、統計学的、そして臨床学的にどう解釈すべきなのか」というひとつ深い目で見た『結果・結論の掘り下げ』ができないのです。逆にこれらが分かれば、文献の著者が敢えて書かなかったような統計の穴も見破れる。それ(統計学的な穴)を理解した上で出す結論と、著者の結論をそのまま鵜呑みにするのとでは、大違いかなぁと思いますし。
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やはりというか、当然というか、ものすごく噛みごたえのある授業でしたが、思いっ切り学ぶことが出来ました。同じ文献を読んでも違うところに目が行くようになって楽しいです。まさにこれを学びに来た!という授業に出会えてシアワセ…。色々勉強しながら、気持ちとしてはPRGの「レベル上げ」をしている気分。根気強く、気を長く。土台を広げて、根っこを広げて。はぐれたメタルさんを探しては、毒針でちまちま倒してたあの日の自分とそう変わらないですね。アメリカで仕事をしながらの博士課程に興味のある方、もし貴方もこういうものを求めているのなら、うちのプログラムは本気でオススメです。修士の時より、遥かに楽しみながら学べている私です。

さてー、すぐに始まる秋学期に向けて、学生としても教師としても準備し始めますかね。
教師としては、未知の授業をひとつ担当することになっているし、
学生としては、ひとつの授業に教科書が4冊(!)という恐ろしいものがあるようなので、読めるものは今のうちに読んでおきます。また忙しくなるぞー。体力つけてガンバロウ。

あっそういえば、今年NATAの奨学金を頂けることになったのですが、
名前がNATAニュースに載ってたよー、と友人に教えられました。
さて、私はどこでしょう?あ、いた!
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この奨学金、学部生時代にも頂いたものなので9年ぶりですね。
一度貰えるだけでも名誉なことなのに、2回も!
有りがたく授業料の支払いに充てさせて頂きますー。ははー。ぺこり。
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  by supersy | 2015-08-13 19:30 | Athletic Training | Comments(0)

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