ACL再建手術に於けるPlatelet-Rich Plasmaの使用とその効果、まとめ。

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ものっすごい昔、丁度5年くらい前にPlatelet-Rich Plasma(PRP)について少しだけ書いた事があります。そういえばあれ以来PRPに関する論文をまともに読んだことがなかったです。今日たまたまこのSystematic Reviewを見つけたので読んでみました。ふむー。
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これ、Figueroa氏らによってメチャメチャ最近publishされた論文1で、PRPをACL再建手術に用いた場合のPatient Outcomeについて2005-2013年に発表された研究11件をreview・まとめたものです。この11の研究を併せると、ACL reconstruction with PRPした患者が266人、ACL reconstruction without PRP(=Control Group)した患者の総数が250人、計516人の患者を対象にしているSystematic Reviewということになります。それぞれの研究の概要は以下の通り。結構RCTもされてるんですね…こういう内容で、すごい。
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私、PRPのparameterに関しては詳しくないので、
このSystematic Reviewに含まれていたそこらへんの詳細についてはコメントしづらいのですが、
PRP濃度はこれくらい、とか、注入箇所はここ、とか、患者からの採血量これくらい、とか、やはり研究によってかなり違うようで、そこらへんも影響が無いってことはないんでしょうね…。でもそこまでは分析できないやー。

さて、大雑把な結果ですが、結論別に研究を並べてみたいと思います。

No Statistical Difference: 全くグループ差無し
- Silva et al
- Vadala et al

Trend, but No Statistical Difference: PRPの方が優秀な結果が出たが、統計的に重要でない
- Figueroa et al & Nin et al PRPグループの方がmaturationが早い傾向にあった
  (P>0.05)、Tunnel healingも僅かにPRPグループが良かったが、P<0.001
- Mirzatolooei et al 骨に開けた穴の治癒がPRPグループの方が早い傾向があったが、
  femoral opening, mid-tunnel, tibial opening, mid-tunnelでそれぞれ
  P=0.37, P=0.363, P=0.333, P=0.177

Statistical Difference: PRPの方が結果が良く、統計的にも重要であった
【Graft Maturation】
- Ventura et al PRPグループのACL graftがよりACL本来の組織に近い(P<0.01)
- Orrego et al PRPグループの100%がGraft maturationした段階で
  Controlは78%のみ(P<0.036)
- Sanchez et al PRPグループのGraft maturationの方が早い(P=0.024)
- Radice et al Graft maturationまでに掛かった時間が、Controlの平均369日に比べて
  PRPグループは177日と、約48%に短縮された(P<0.001)
【Tunnel Healing】
- Vogrin et al PRPグループの方が、骨と靭帯の境界面の
  vascularization度が高い(P<0.001)
【Clinical Evaluation】
- Vogrin et al AP knee stabilityがPRPグループの方が優れている(P=0.011)

この結果を見ると、Tunnel healing/Clinical evalに関してはまだ結論を出しづらいものの、Graft maturationを早める効果がある、というのはそこそこpromisingと言ってもいいかと。どうせ手術するならPRPの手間がものすごくかかるわけでもないし(費用は…多少上乗せされちゃうのかな?この辺は実は詳しくないです。アメリカだと手術の最後に抜いておいた血液をドバドバ、と患部にかけるだけという印象なので)、どの研究でもPRPが悪影響を及ぼした、という結果はひとつも確認されなかったわけだし、やることによるデメリットは患者にも施術者にもない。やるに越したことはない、というprocedureではあるのかなと思います。これからもう少ししたら、Parameterに関してもより細かい指定や基準が生まれてくるのかも知れませんね。

個人的にはPRPを使ったgraftと使わなかったもののfailure rateなんか見てみたいなー。

1. Figueroa D, Figueroa F, Calvo R, Vaisman A, Ahumada X, Arellano S. Platelet-rich plasma use in anterior cruciate ligament surgery: systematic review of the literature. Arthroscopy. 2015:S0749-8063(14)00940-2. doi: 10.1016/j.arthro.2014.11.022.
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  by supersy | 2015-04-01 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by A.P at 2015-05-28 17:48 x
こんにちは。
ブログ拝見させてもらいました。
自分は大学からアメフトを始めた大学三年生のものです。
質問なのですが、今回自分はACL断裂と外側の半月板を損傷して、ACL再建と半月板縫合の手術を受けました。半月板は血の通っていない内側を損傷したのですが、若いからというのとACL再建によって血がドバドバでるから治るかもしれないということで半月板を縫合しました。
オペ後二週間と少し経ったのですがこの時期にPRP治療は有効でしょうか?
拙い文章で申し訳ありませんが、ご回答宜しくお願い致します。
Commented by さゆり at 2015-05-28 21:14 x
A.P.様、コメントありがとうございます。ただ、申し訳ありませんが他の医療機関を受診されている患者様の治療方針に、顔を一度も拝見しないで横からクチを出すのは医療従事者として憚られますのでどうかご理解ください。特にPRP治療は我々アスレティックトレーナーの仕事の範疇からは出たことですから。担当のお医者様とご相談なさって意見を聞くのがいいと思います。
それを踏まえた上で、半月板縫合とACL再建手術を同時に行うのは、少なくとも半月板縫合という観点からは良いと言われています。どの程度の『血の通ってない』部分なのかにもよりますが、損傷が綺麗に回復しますこと願っております。

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