Evidenceに基づいた前十字靭帯断裂の診断 - Update
●Intrarater Reliability
更に驚くことに、intrarater reliabilityが研究されてるのはLachman'sだけなんですね。
その結果をまとめてみると…(記事中のTable 3を参考に作りなおしました)
●Interrater Reliability
オリジナルのTable 4にはProportion of Positive Agreement(Ppos)というvalueが入っていたんですが(Peeler et al, 2010)、この数値の価値をイマイチ私自身理解できなかったので、勝手にこの表では外しています。これが知りたい方は元記事を読んで下さいませ。そんなわけで、下の表(↓)はKappaとICCに絞って見ています。
Lachmanの数値はかなりバラつきがあり、Lange et alはLachmanのinterrater reliabilityに関しては「現時点で結論を導き出すのは難しい」としています。
このSystematic review2は、1) QUADAS-2を使っている、2) SensitivityやSpecificityではなく、LRのみに重点を置いてまとめている、という点でなかなかユニークです。こういうreviewは初めて見ますが、もしやこういうのがこれからの診断のsystematic review/meta-analysisのnormになっていくのかしらん?それともこれは異端児?QUADAS-2はともかく、Sn/Spは無視してLRのみ、というのはなかなか冒険的だと思うのだけれど…。+/-predictive valuesは実用性が無さ過ぎると思うので私も無視しているけど(授業でも教えておりません)、Sn/Spってやっぱり大事じゃないかな?この論文でも、せっかく各研究から2x2 tableを抽出しているのだからSn/Spはついでに書いておいてくれればよかったのに…と私は思ってしまいます。
…おっと、話が反れました。
個人的な希望を述べても仕方ありませんよね。
で、このsystematic reviewがreviewした14の研究結果の詳細がこちら。
私が勝手にpoint valueと95%CIに基いて、positive but non-conclusiveは黄色に、positive and definitiveな結果は赤で色を付けてみました。
Wagemakers et al (2010)の研究を引用して、何か効果的なコンビネーションはないか、という模索・議論もあったのですが、結果が「2 Positive History Findingsと(+) Anterior Drawerがrule inに有効なのではないか」というちょっと緩い感じのもので(ちなみにここのHistoryというのは、popping sensation, giving way, effusion, immediate pain at trauma and inability to continue activityの5つのうちどれかを指すもののことだそうです)、その根拠が+LR = 4.8 (2.3-10.2)という数字…。この試みとstatement、私は将来への可能性は感じますが、差し迫った現実性を伴う実用性は感じないのです。4.8って高い数字じゃないし、95%CIの幅も広い。だったら単独Special Testとそれほど変わらないんじゃないですかね…。現時点でClinical Prediction Ruleと呼ぶには程遠いかな。
そんなわけで、最新のsystematic reviewを読み込んでみましたが、
私の中でのACL Ruptureの診断アプローチをそれほど変えるものではありませんでした。
敢えて言うなら、一番有効性があるLachmanをする場合、
Interrater reliabilityにバラつきがあったのにIntrarater reliabilityは比較的一貫性があり高かった、ということは、やっぱりLachmanは練習して上手くなるより他ないってことじゃないですかね。練習して、経験を積めばより一貫性のある結果が出せるようになる。Lachmanに関してSwain et al (2014)でLR値の幅が出てしまっているのもこの要素が大きいかも知れない可能性は否めませぬ。
1. Lange T, Freiberg A, Dröge P, Lützner J, Schmitt J, Kopkow C. The reliability of physical examination tests for the diagnosis of anterior cruciate ligament rupture - A systematic review. Man Ther. 2014. pii: S1356-689X(14)00223-9. doi: 10.1016/j.math.2014.11.003
2. Swain MS, Henschke N, Kamper SJ, Downie AS, Koes BW, Maher CG. Accuracy of clinical tests in the diagnosis of anterior cruciate ligament injury: a systematic review. Chiropr Man Therap. 2014;22:25. doi: 10.1186/s12998-014-0025-8. eCollection 2014.
by supersy | 2015-03-27 23:59 | Athletic Training