Thoracic Outlet Syndrome(胸郭出口症候群)の診断について考察する。完結編。

まだTulsaにいます。今夜はSnow stormが来るかもということらしいけど、どうなるでしょう。
さて、昨日の続きです。今日で本当に終わります。本当です。

●ひとつがダメなら…
色々見た上で、これを単独で使えば!という万能なprovocative testは
今の所存在しないというのがひとつの結論でした。それぞれに細かい改善点があり、
それらを修正した上でrandomized clinical trialをもっと行わないと
その実用性は証明されません。

でも、ひとつがダメならいくつか合わせてみれば?という考え方もあります。
例えば、Ribbe氏とその同僚たちは1315人のcervicobrachial symptoms患者を対象にした研究を行った結果、TOSをdetectする上で最もrealiableな症状群は:
 1) History of aggravation of symptoms with the arm elevated
 2) History of paresthesias in C8-T1
 3) Supraclavicular tenderness
 4) (+) Roos
94%のTOS患者がこの4項目のうち、最低3つ当てはまったそうなので、
この4項目のセットのことを、Ribbe氏らは"Thoracic Outlet Syndrome Index"と名付け、
これを診断基準にすべきではないかと提案しています。

Gillard氏ら2
 1) Original Adson test
 2) Original Wright's test
 3) Hyperabduction test (with a deep inhalation, for reproduction of symptoms)
 4) Roos test (3 min)
 5) Tinel's sign (both infra/supraclavicular fossa, for reproduction of symptoms)
という5つのSpecial Testを合わせた結果、統計を以下のように発表しています。
まずは、様々な組み合わせでふたつのテストをcombineしてみた場合。
b0112009_2522469.png
総合的に一番数字が好かったのはAdson + Hyperabductionという組み合わせ。
Rule inするにはAdson + Wright (+ for pulse)がかなり優秀な数字が出ています。
(どれもrule outにはイマイチですね)
b0112009_1414397.png
また、2つ以上のテストを組み合わせた場合の統計はこちら。
テストを合わせれば合わせるほどrule inの価値が上がり、LR-も良くなっています。
5つのテストの全てが陽性ならTOS、という診断基準にすると(5 of 5)、
統計的にはGood to rule in AND out、ということになりますね。



色々今回は長いシリーズになってしまいましたが、
最後にまとめです。私としては、個人的にこういう風に考えていこうかなぁ、と…。

▶TOSを症状に基づき分類する: ATOS vs VTOS vs NTOS?
 ATOS - Symptoms in distal parts (fingers)? Diminished distal pulse?
 VTOS - Swelling?
 NTOS - Weakness? Headache? Raynaud's? Neck/shoulder pain?
これらの症状が特にそれぞれの『特徴的』なもの、と言えるかと。
細かい問診とobservationで分類は比較的簡単に絞込が可能なハズ。

**Keep in mind - >95%がNTOSであるということ!

▶NTOSだとして、どのProvocative Testsを使うか。
 残念ながら、現時点で完璧なテストは存在しません。
 複数使いながらの絞り込みが最も有効です。
 …よって、NTOSの場合、私が使うであろうテストは…
 - ULTT:
 - Supraclavicular Pressure Test (もしくはTinel's, Supraclavicular tenderness)
 - Roos Test: 3分ではなく90秒
ここらへんが妥当なところかなと思いますね。
これらが陽性だった場合、よりdistalなNeuropathyも見越して、
例えばTine's sign @ulnar groove, @carpal tunnel等、
他のdistal nerve pathologyの有無をassessするテストも行い、それらをr/oする、
ということももちろん忘れずに。

▶万が一、ATOSということがあれば…
 可能性が無いとは言えません!もしこの可能性をテストする必要があれば、
 occlusionがどこに起きているかを様々なテストを使いながら判別する必要があります。
 (NTOS同様、ひとつではなく出来る限りのテストを用いてclusterにしたほうが賢いでしょう)
 この場合、陽性のサインはpulseの変化ではなく、単純にshoulder/arm/hand painにしたほうが
 より正確な結果が出るのではと思われます。

 Scalene、Pec minorでの圧迫を疑う場合、
 Gillard氏が推奨する5つのテストをclusterとして使うことは悪くないかも知れません。
 Costoclavicular spaceの場合は、Military Brace, Halstead, Roos…かな。

今回、キリがないのでFirst rib hypomobilityに関するテストや研究は除外させて頂きました。
こちらも是非機会があれば調べてみたい…。TOS治療は姿勢や肩甲骨のstability/mobility等も関わってくるので、診断を付けた後でも頭を痛める分野かも知れません。皆さんもぜひご自分でエビデンスを色々調べて、stay up-to-dateしてくださいね!

1. Ribbe E, Lindgren SHS, Norgren L. Clinical diagnosis of thoracic outlet syndrome—evaluation of patients with cervicobrachial symptoms. Manual Med. 1986;2:82-85.
2. Gillard J. Perez-Cousin M, Hachulla E, et al. Diagnosing thoracic outlet syndrome: contribution of provocative tests, ultrasonography, electrophysiology, and helical computed tomography in 48 patients. Joint Bone Spine. 2001;68:416-424.

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  by supersy | 2014-01-04 12:00 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by takashi at 2014-01-05 17:18 x
はじめまして。
日本で治療院を開業しながらトレーナーとして現場仕事も行っている者です。
ブログを拝読させて頂きました。貴重なブログありがとうございます。とても勉強になります。

意外とTOSの症状を訴えて来られる方も少なくないので非常に勉強になりました!

ブログを拝読して私自身、TOSだけでなく他の分野においても、まだまだ曖昧にしてしまっている部分が多過ぎていた事に反省しきりです。

ブログでシェアして頂いた情報も含めて、妥協しないで色んな引き出しを持てるように、しっかりと勉強していきたいと思います。

長々と失礼致しました。いつも気付きの多いブログをありがとうございます。
Commented by さゆり at 2014-01-06 02:49 x
Takashiさん、ご丁寧にありがとうございます。私も学生時代にきちんと習えなかったことが多く、今になってこうしてひとつひとつ潰しているという感じです。
学生時代、教授に言われて嫌々やっていたことを今では自ら進んで楽しんでいるというのはおかしなものですが、学生の時分にこの志があれば。。。プロになろうとも日々勉強ですね!

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