Thoracic Outlet Syndrome(胸郭出口症候群)の診断について考察する。その2。

…で、前回の続きです。TOSのSpecial Testsなんですが…。

これが、久しぶりに「何でこのトピックに手を出してしまったんだろう」と思うくらいの複雑さ!
同じ名前でも内容の違うテストがあったり、同じテストなのに3つも4つも別名があったり!
膝のテスト並みに大混乱!なにこれ!ちょっと誰か統一したほうがいいんじゃないのっ!

そんなわけで、私が調べた限りで、出来る限りoriginal descriptionに近いもの、
そして把握できる限りでその派生系も紹介していきたいと思います。

まずは、超有名!Adson's Test。
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これは実はOriginal Adson'sとModified Adson'sがあることが判明。
Originalのほうは「Scaleneを収縮させる」ことが狙いなので首を患部を向けるように回旋させるのに対し、Modifiedのほうは「Scaleneで挟むなら、収縮よりも伸ばしたほうがいいんじゃないの?」というコンセプトなので、患部から背けるように首を回旋させるのが違いです。
このテストが「何をテストしているのか」にもはっきりと注目して下さいね。
脈の変化を計測しているのですから、これはATOSのみのテストになります。
NTOSやVTOSはテストしていません。

さて、次に有名なのがWright's Test.
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こちらは、ATOSはATOSでもScalaneではなくてPec minorの下での圧迫の有無を調べるテストです。部位が違うことに注目して下さいね。腕をHyperabductすることで、動脈がUの字を書いて圧迫されるようなイメージができるかと思います。このテストは、Hyperabduction Maneuverとも呼ばれます。

…で、調べていて他のHyperabduction Test/Maneuverも発見。
似ているけど、少し違うんです。私が見つけた中で、他にもう2バージョンありました。
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90°以上Abductして(つーか、このくらいの緩さだと別に"hyper"abductという名前は合わないのでは…?)、そこから1) 深呼吸を一つする、というものと、2) 一分間この姿勢を保持する、というものに別れています。もうひとつ特筆すべき点は、これはATOSにもNTOSにも両方に使えるテストだと言うこと。脈の変化もそうですが、患者の痺れや痛み、感覚異常などもチェックできることが特筆されていました。

さて、次はAllen。実はこれはModified Wright's Testなのです。
これを略して、Wright's Testと表記している本もあるので、もう本当にややこしー!"Original" Wright'sと"Modified" Wright's=Allenは異なるということを覚えておいて下さい。
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さて、お次はこちら。みんな大好きRoos Test。
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このテストの悪いところは別名が何と最大で4つも存在すること。Roosという名前が最も有名かとは思いますが、EAST Testという名前もそこそこ文献で見かけるので覚えておくといいかなと。

ここで更にごちゃごちゃになってきます。
とある本には、Hyperabduction TestとEAST Testは同じものだと表記されていました。
私にとってEAST (=Roos)は手を開いたり閉じたりする、動的姿勢を保つというのが特徴的で、静的にその姿勢のみを一分保つだけではテストの本質が少し変わってくるのでは、と考えています。故に、区別されるべきものだろうと。Roosは3種全てのTOSをテストできるというのも大きなポイントですよね。HyperabductでVTOSを調べられるという記述はどこにも見当たらなかったので…。

それからもうひとつ。私は学生自体、Military Brace Testとしてこれを習いましたが、
どうやらCostoclavicular Testという名前のほうが一般的のようです。
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恐らくこれが最もオリジナルの描写に近いのではないかと…。
他にもShoulderがextendするだけじゃなく、abduct 30°も、とか、首はextendしないバージョンとかも見つけたんですけども。大きな特徴は、これは姿勢をmaneuverすることで、鎖骨下での圧迫を狙っている、というところでしょうか。

そして最後に極めつけのもうひとつ!混乱のラストパンチ!
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Halstead Maneuverと呼ばれるこのテスト、costoclavicular testという別名もあるそうで、それじゃあ、一つ上のMilitary Braceとどう区別すればいいのさ?というツッコミをしたくなりますが…。もうひとつ突っ込むとすれば、このテストを考案したと思われるdr. Halstedの名前は"Halsted"なのに、このテストの名前は"Halstead"…。誰かがスペルを間違えたまま広まっちゃったんじゃないの?どうなの?

…ともあれ、それぞれのテストに10くらいの派生系があるので、
今回は調べていて本当にぐったりしてしまいました。

思ったよりここまで時間がかかってしまったのと、今回も長くなってしまったので、次回はそれぞれのテストの実用性やValidityついて簡単にまとめて、このシリーズは終わりにしたいと思います!
ではまた。
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  by supersy | 2013-12-29 23:00 | Athletic Training | Comments(0)

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