自分の歯を保つには?抜かない歯科治療というコンセプト。

さて。以前。「顎の話をしよう」という記事で整形外科疾患にも顔や歯、
額関節の評価をすることが大事なのでは、なんて話を書きましたが、
今回はそれの続きというか、おまけです。
予め断っておくと、ATにはあまり関係ないかも知れません。

非効率なのであまりこういうことはしないのですが、
どうしても日本語で読みたい本があり、Amazonジャパンを通じて国際便で本を購入しました。
下がその写真です(↓)。送料は案の定本の値段以上だったけど、
今日一気に注文した本を二冊とも読んでみて、「買ってよかった!」と納得。
特に「100歳まで自分の歯を残す4つの方法」という本の方は
一般の方にも是非是非読んでもらいたいです。ちょっとまとめてみたいと思います。
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●歯を抜かない治療をする
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「歯の根が腐ってますね。この歯を放っておいては周りの歯までダメになります」
「手遅れになる前に一刻も早く抜歯しましょう」
なんてプロの歯科医師さんに言われたら、誰だって焦りますよね。
「お願いします」と条件反射で答えてしまう人がほとんどでしょう。

しかし、ちょっと待った!その歯、本当に抜かないといけないのでしょうか?
それ以外の選択肢は、もう本当にないのでしょうか?

この本の著者の木野氏・齋藤氏は「実際のところ、よほど状態が悪くない限り歯は残すことができる」が「歯科医の多くはそれを知りながら、患者さんに伝えていない」のが実情だと指摘(p. 13)。失った歯は決して元には戻らないわけですから、抜歯を勧められたらすぐに承知せずに「ちょっと考えさせて下さい」と時間を置かせてもらい、セカンドオピニオンをもらうのが懸命だと言います。歯科医の治療方針や診断技術は一般の人が思うよりも多種多様。他の角度からもこの問題を見たほうが「何が本当に適切な治療なのか」
が分かってくるというわけです。

どの世界のプロでもそうでしょうが、特に医療界に置いて本当のプロは「これをしなければ歩けなくなります、一生寝たきりになります、全ての歯がどんどん腐っていきます」なんて威圧的な脅し文句を使って患者とコミュニケートはしないもの。患者さんと様々な選択肢を話し合い、それぞれのメリット・デメリットをシェアした上で治療の方向性を決めていくものです。齋藤氏は、敬愛するという織家勝氏の「歯を抜くということは、歯医者の敗北である」という言葉を引用し(p.162)、歯を削ったり抜いたりすることは、歯科治療の最終手段であるべきだ、と訴えています。

インプラント治療も同様で、
「私自身もインプラントをやるケースは実際にあるが」と前置きした上で、
安易なインプラント治療は勧められるべきではないと断言。
 - インプラントの歯は自然歯よりもより丁寧な口腔ケアが求められる。
 - インプラントの歯の周辺で歯周病が起きてしまうと非常に厄介(ネジを伝って深く進行
  してしまい、とにかく治療が難しい)な上、発見がより困難(自覚できるような歯肉の
  腫れや痛みがほとんどなく進行してしまう)。
 - インプラントの耐久性(何年保つのか)はまだ不明。部品供給メーカーの入れ替わりや
  部品の変更も激しく、例えば10年後に不具合があったので部品を交換しましょう、
  と言ってもそれが手に入る保証が無い。
などと、私の今まで知らなかったデメリットが一杯でした。
なるほど、本当に限定的に行われるべき治療法なのね。
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●Conflict of Interests
それでは何故、多くの歯科医が安易に「削る・抜く」という選択肢をしてしまうのか?
答えは単純。歯科医院の飽和で経営が苦しいところが多く、
『抜かない治療は儲からない』んだそうです。
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医療をビジネスにすることの一番の矛盾点ってそこなんですよね。
歯科界だけでなく、整形外科でも内科でも、理学療法でもこのような話はよく聞かれます。
患者さんに本当に一番良いことよりも、商売として一番利益が上がることが優先されてしまうことが、悲しいかな、珍しくありません。
歯医者さんの懐を暖めるために無知な患者が犠牲になっているんだとしたら、
それはそれは悲しいことです。

逆に言うと、一般の患者さんでも最低限の知識を持っていないと、
それに付け入られて損をする可能性は大いにあるわけです。
金銭的な損はまだしも、一生ものの自分の身体に傷つけられちゃたまりません。
まさに、自分の身は自分で守らねば!
お医者さんに専門用語でたたみ掛けられても「もう少し分かりやすく説明して頂けますか」とお願いしたり、分からないことは質問したり(本当に不安なことがあるのであれば「時間を取らせて悪いかな」なんて思わずきっちり聞いちゃいましょう。本当に良い医療従事者は、患者との会話を一番大切にするもの。面倒くさい顔はしません)、どうしても納得できなければ「分かりました、考えさせて下さい」とすぐに決断をしないのも手です。一番は、どの分野でもきちんとお話をしてくれる、信頼に足る「かかりつけ医」をしっかり持っておくことですね。

●100歳まで自分の歯を残す、4つの方法
詳しいことは是非この本を読んでいただきたいですが、
手短にこの本が挙げていた「4つの方法」をまとめてみます。

1. 歯の接触時間を減らす
これは、以前にもまとめたことがありますね。
新たに加えることとしては、今回のこの本では木野氏が自覚症状の無いTCHも早期治療すべき、という態度を取っておられることでした。雨だれが石を穿つ(↓写真)ように、TCHは軽い力であっても長期的に続けば歯の消耗を早め、歯のぐらつきや歯根のひびの原因になったり、詰め物やインプラントも長持ちしないと言います。
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あと、TCH診断方法にも面白いものがひとつ加えられていました。
それは、ものすごく単純なこと。
姿勢を正しくし、前を向いた状態で「唇を軽く閉じ、上下の歯を僅かに離」してもらう。
(=リラックス時、人の口は本来こうあるべきという自然の状態)
この状態で、シンプルに患者が違和感を感じるかどうか、を見極めるのだそう。
もし明らかな違和感がなくても、患者が「これをとても5分間維持できそうも無い」
と感じれば陽性と考えてよし。唇を閉じたときには歯が触れるのが癖になってしまっているTCH患者は、意識的にこういうことをしようと思うとどうしても無理なことをしている、という違和感が残るのだそう。
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ちなみに私はTCH患者なので10秒間でも「ナンカオカシイ」と顎がそわそわしちゃいます。
ひどい人は唇が震えだしたりもするのだとか。

2. 砂糖を極力取らない
砂糖の摂取量を減らせば虫歯のリスクは確実に減るんだそう。
甘いものが好きな人は、間食でなく食事と共に取ると良い。食後、すぐにうがいをする。
(砂糖は時間が経つと口内で粘りを帯びてしまうため)
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3. 正しい歯磨きを、一日一回
磨きすぎも歯や歯肉に傷をつけてしまい、逆効果なんですって。
食事の後にプラーク(歯垢)が形成され、実害をもたらすまでに最低24時間はかかる。
よって、一日に一回、しっかりとした正しい歯磨きが出来ていれば十分だそう。
舌磨きもしっかりしましょう。

4. 3ヶ月に一回は歯科医受信
自分自身でやれることをやるのはもちろんですが、それでもやっぱりプロの手助けは必要。
三ヶ月に一回はプロにしか出来ない歯周ポケットの掃除等、クリーニングをすることも大事です。
初期の虫歯発見も、定期的に受診していれば可能ですしね。

そんなわけで、本来調べていた目的とはちょっと離れていたにも関わらず、
あまりにこれらの本が面白かったのでついつい一生懸命読んでしまいました。
以前、私の知り合い(お年は高齢の域の方)に「歳を取ったら美味しいものを食べるくらいが楽しみになるんだ。歯は大切にしたほうがいいよ」と言われ、あまりそういうことを考えたことのなかった私はへぇぇなるほどと思ったものですが、やっぱり食事は最後まで自分の歯でしたいものですよね。8020(はちまるにいまる)運動にもありますが、80歳になっても20本以上自分の歯を保ち、ばくばくもぐもぐ美味しいものにかぶりつける様でありたいなーと思ってます。
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  by supersy | 2013-08-19 18:00 | Athletic Training | Comments(0)

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