"Passing" the FMS - Is the cutoff score of 14 really realistic?

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前回FMSの講習を受けてから、FMSについての研究をあれこれと読んでいます。
FMSは7つのエクササイズをして、それぞれ0~3点数で採点される、
つまり、最高21得点が可能、というスコアシステムを使ったスクリーニングツールですが、
FMSからは一応14得点という数字を目安にするように言われたんですよね。
21点中14点超えていれば合格ラインですね、と。

この合格ラインに関しては私自身少し疑問が残り、
「Objectiveな得点方式に痛みというsubjective componentを入れている以上、
 それが得点に影響するのであれば14点という数字はどれだけreliableと言えるのか」
と考え始めたら少し悶々として、ですね。。。まぁ、答えという答えもないと思うのですが、
自分なりに14得点が合格ラインという根拠を見てみないことには、と思いまして。
引用している研究は有名なものばかりですか、少し参考になればと。。。

"The Firefighter Study" - Peate et at. 20071
これは最も初期の研究なので、この後に行われた他の研究とは少し違う基準を用いており、
FMSのスコアが17以上であれば合格、ということになっています。参加者の統計は以下のとおり。
  Number of Subjects: 433 (408 males - 94.2%, 25 females - 5.8%)
  Mean Age: 41.8 y/o (male), 37.4 y/o (female)
で、FMSテストの結果に基づき、テストから2ヶ月ほどのコア・トレーニングを実践。
その後、怪我の予防にどれだけ効果があったかを一年間の怪我発生の統計を取って比較、
というデザイン。

FMSを合格した被験者(Pass)と不合格だった被験者(Fail)とを分けて、
結果をArticleから抜粋してまとめてみました。下の表を参考にしてください。
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結論をシンプルに述べていくと、まずはFMSそのものの結果ですが、
  1. There was a significant correlation between age, rank, and tenure and FMS score.
  FMSのスコアそのものは、年齢とともに下降する傾向にある。

  2. There is a correlation between past musculoskeletal injury and FMS score based on
  linear regression (An injury lowered the fire fighter FMS score by 3.44.).
  過去に整形外科の怪我を経験したことのある被験者のスコアは、怪我をしたことのない者に比べて
  平均で3.44ポイント下降する。
  
そして、最も重要なのが、この研究で、
  3. FMSに基づいた外傷予防のプログラムには効果があった。
…という点。FMSテストを行なってScreenをし、結果に基づいたコア・トレーニングをすることで、その後一年間の怪我の総数は44%減少、怪我によるLost time (勤務不能になってしまった期間の長さ)は62%も減少したそうです。

"The Marine Officer Study" - O'Conner et al, 20112
一方で、海軍の役人になるためのトレーニングを受けに来た候補者を対象にトレーニング開始前に全員をFMSを用いてscreen、トレーニング中の怪我の発生とスコアを比べる、ということを行ったのがこちらの研究。

ふたつの異なるトレーニング期間があったので、短い方のトレーニング(Short-cycle, 6 weeks, 38 days)に参加した被験者をSCグループ、長いトレーニング(Long-cycle, 10 weeks, 68 days)に参加したほうをLCと名付けて結果をまとめると、こんな感じ。
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FMS総合得点の分布を表にしたものがこちら(↓)。
綺麗なベル・カーブになっており、全体の平均得点は16.6点ほど。
これはSCグループもLCグループも大きな差は無し。
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7つのエクササイズのうち、それぞれどのくらいの頻度で何点得点するのか、というもう少し細かいところを表にまとめているのがこちら(↑)。ほとんどの項目で平均して2得点、というのが普通ですが、特筆すべきは1) Shoulder mobilityが最も1を記録する可能性の高い項目であった、2) Push-upが最も被験者が3を記録しやすい項目だった、3) Rotary Stabilityは2を記録する可能性が非常に高い項目だった、ということと、この実験の被験者全てが男性だった、という事実でしょうか。

さて、この研究の大きな結論はというと、
  1. SCグループにおいて、FMSのスコアが14以下だった被験者がトレーニング中に
  受傷する確率は、15以上のそれに比べて1.91倍高かった。LCグループでは
  その数字は1.65倍。全体では1.5倍怪我をする確率が高かった。

  2. FMS14点以下の45.8%の被験者がトレーニング中に怪我をしたのに比べ、
  15以上の被験者では怪我の確率は30.6%に留まった。しかし、これらは全て
  acute injuryに関してで、overuse injuryに関しては大きな差が見られなかった。
  ふぅむ。Overuseも影響ありそうなのに、このへんは面白いですね。

しかし、私が個人的に一番興味深かったのはむしろこちら。
  3. 驚くべきことに、FMSのスコアが18以上の被験者は、逆に怪我の可能性が高い
  という結果になった。得点が15~17の被験者に比べて、怪我の可能性は1.34倍に上昇。

はて。これは面白いですね。スコアは高ければ高いほど良いというものでもない?
もしこれは真実だとすれば、スコアが15~17の選手はそれ以上スコア改善のトレーニング・リハビリを積まないほうが良いということにもなるのでしょうか?スコア改善→怪我率悪化、にも繋がりかねませんよね?

"男女差Study" - Schneiders et al, 20113
そもそもFMSの合計点って男女で差が出るんじゃない?
という実に当たり前そうで皆が見逃していた点を研究したのがSchneiders氏。
18~40歳の間のphysically active individualsを、女性108人、男性101人集めて、
各項目の得点分布をまとめると、このようになりました。
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結果によれば、男女差の出やすい項目は、
●Active SLR & Shoulder Mobility- 女性のほうがFlexible、よりに高い得点が出やすい。
●Trunk Stability Push-Up - ほとんどの男性が3を取るのに対し、女性はほどんと1という極端な差が。
●Rotary Stability - 男性のほうが総じてスコアが良し。

しかし、全ての項目の合計はというと、意外にも
  1. 合計得点の男女差は無し。性別関係のない合計平均得点は15.7 ± 1.9なのに対し、
  女性は15.6 ± 2.0、男性は15.8 ± 1.8だった。
…というわけで、合計で言うと辻褄は合ってしまうみたいです。これもこれで面白いですね。

さて。個々の研究を見ていてもキリがないので、ここまでを踏まえつつ、
新しい研究たちも混ぜてひとつひとつの疑問に答えていきたいと思います。

▶Is there male vs female score difference?
Schneiders et al3 - No.
まぁ、これはいいですよね。個々の項目での男女差はあっても、合計得点は差が無い。

▶Can a history of past injuries affect the FMS score negatively?
Schneider et al,3 O'Conner et al2 - No
Peate et al1 - Yes. It can decrease the FMS total score by the mean of 3.44.
Kiesel et al4 - Yes. It can decrease the FMS total score by the mean of 3.1.
怪我を以前にしたことがある vs 全く無いで、FMSのスコアはどう変わるのか?
ここは意見が割れるところ。怪我の種類にもよるのでしょうか。

▶So, is the cutoff score of 14 appropriate?
Kiesel et al5 - No. The average FMS score for the lineman was 11.8±1.8 and for the non-lineman group was 13.3±1.9 (62 NFL players, all male).
Cowen et al6 - No. The average FMS score was 13.25 (108 firefighters, both male and female).

Kiesel et al4 - Yes. The average FMS score was 16.9±3.0 (46 NFL players, all male).
Teyhen et al7 - Yes. The average FMS score was 15.7±0.2 (53 males, 11 females Army)
Schneiders et al3 - Yes. The average FMS score was 15.7±1.9 (101 males, 108 females, physically active)
O'Conner et al2 - Yes. The average FMS score was 16.6±1.7 (874 Marine officer candidates, all male)
Peate et al1 - Yes. The average FMS score was 17.2 (408 male and 25 female firefighters)

ここも割れますね。しかし、NFL選手の平均が14未満(しかもラインマンは11.8)ということもあるのだから、14をcutoff scoreにしてしまうと統計的にほぼ全員がテストにfailしたことに…?それは基準として合っていると言えるのか…。しかし、数にするとより多くの研究が「平均は15~17」「14をcutoffにするのは適切」とも言っています。
これはFMSのウェブサイトでも議論になっていて、こんな動画も現在紹介されています。
可能性として、今後この数字が下がることは十分有り得るかも知れません。

▶Can FMS predict injuries?
Kiesel et al4 - Yes. FMSのスコアが14以下の場合は、15以上と比べて怪我をする確率が
 11.7倍になる。14得点以下とSerious injuryのつながりは、Sensitivity=0.54, Specificity=0.91
 (46 NFL players, all male)

O'Conner et al2 - Yes. FMSのスコアが14以下か、18以上の場合は15~17と比べてそれぞれ
 1.73倍と1.34倍怪我の確率が上がる。14得点以下とSerious injuryのつながりは、
 Sensitivity=0.19, Specificity=0.90
 (874 Marine officer candidates, all male)

Hoover et al8 - No. 統計結果がpoorすぎる。
 14点をcut-offとした場合の怪我との関係は、Sensitivity=0.083, Specificity=0.945
 (60 marathon runners)

Sorenson - No. 統計結果がpoorすぎる。
 14点をcut-offにした場合の怪我との関係は、Sensitivity=0.538, Specificity=0.523
 (112 high school basketball players)

これが今回の私のmain focusだったわけですが、こちらもそれなりに割れています。
中でも特にやはり、FMSのスコアが高すぎると逆に怪我につながりやすいのでは、
というこの結果が興味を引きますね。
これはあくまでひとつの研究結果にすぎませんが、subjectの数が他と比べて桁違いに多いので、なかなか重みのあるデータなのでは、と思っています。

私なりに説明を考えてみたのですが、FMSでは非常にMobilityを強調しているので、
("Mobility before stability")Hypermobilityは特に悪とされていないところがあり、
stabilityさえあってコントロールできていればいいのではないか、と論じられています。
でも、患者が例えばコンタクトスポーツをしていれば、
普通にnon-contactで走ったり跳んだりというレベルじゃない負荷が
プレー中に関節にかかる可能性も大いにあるわけですよね。
フットボールのタックルなんかが良い例です。ああいう衝撃が加わった場合、果たしてこれらFMSで測っているStability力でHypermobilityを補えるのか?HypermobilityがStabilityを超え、そして怪我につながってしまうのでは?そういう可能性は大いにあるのかなと感じますね。

さて、長くなってしまったので、このへんで!
グレーな部分も多く、完璧ではない。前回も言ったとおり、FMSはあくまでツール。
だからこそ、これの一番良い解釈の仕方を自分で調べ、納得したくて、色々と今回研究を読んでみました。この道具、どう使うかは自分次第!です。これからの研究にも、注目したいですね。

1. Peate WF et al. Core strength: a new model for injury prediction and prevention. J Occup Med Toxicol. 2007;2:3.
2. O'Conner FG et al. Functional movement screening: predicting injuries in officer Candidates. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(12):2224-30.
3. Schneiders AG et al. Functional movement screen normative values in a young, active population. Int J Sports Phys Ther. 2011;6(2):75–82.
4. Kiesel K et al. Can serious injury in professional football be predicted by a preseason functional movement screen? N Am J Sports Phys Ther. 2007;2(3):147-58
5. Kiesel K et al. Functional movement test scores improve following a standardized offseason intervention program in professional football players. Scand J Med Sci Sports. 2011 Apr;21(2):287-92
6. Cowen VS. Functional fitness improvements after a worksite-based yoga initiative. J Bodyw Mov Ther. 2010;14(1):50-4.
7. Teyhen D et al. The Functional Movement Screen: a reliability study. J Orthop Sports Phys Ther. 2012;42(6):530-40.
8. Hoover D et al. Predictive validity of the Functional Movement Screen in a population of recreational runners training for a half marathon. Med Sci Sports Exerc. 2008;40(5):S219.
9. Sorenson EA. Functional movement screen as a predictor of injury in high school basketball athletes [dissertation]. Eugene (OR):University of Oregon; 2009. p.89.

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  by supersy | 2013-07-27 23:00 | Athletic Training | Comments(0)

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