New NATA Position Statement: Ankle Sprains in Athletesを考察する。

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さて、前述してますが、ついに出ましたね!
今回これ(↑)をじっくり読んで、更にNATAコンベンションでも第一著者であるKaminski氏の講義に足を運ぶこともできたので、自分なりにこの長いArticleをまとめてみようと思います。
あ、ちなみに実際の記事を読みたい方はこちら。Hard copyは次のJATに出るはずです。

始めに言っておくと、NATAがこういったPosition Statementを出した、ということは、
これが全ATCの医療行為のスタンダードとして考えられるようになる、ということでもあります。
NATAは今までに数々のPosition Statementsを発表してますが、
プロの皆さん、これ全てちゃんと把握できていますか?
もし皆さんがこれらのStandardにそぐわないことを現場でして、更に患者から訴えられた場合、
検事は間違いなくこのPosition Statementを引っ張りだしてくることでしょう。「あなたの母体である組織がこうしろと言っているんですよね?何故あなたはそれをしなかった?」という議論になりかねません。
もちろん、NATAが総力を上げて、スペシャリストを次々投入して調べた結果の
「これが今は一番」という結論なのだからきちんとfollowすべき、というethicalな理由もあるけれど、Stay current, don't let these position statements kick your butt!!!ですよ!

話が反れましたね、本題に戻ります。さて、全ては無理ですが、
私が個人的偏見で重要だと思う部分を抜粋、考察してみたいと思います。ちなみに
このPosition Statementでは、Evidenceのレベル別に内容がカテゴリー分けされており、
Evidence A: Based on consistent, good quality patient-oriented evidence
      = What we MUST do
Evidence B: Based on inconsistent or limited-quality patient-oriented evidence
      = What we SHOULD do
Evidence C: Based on consensuss, usual practice, opinion, disease-oriented evidence,
      case series for studies of diagnosis, treatment, prevention, or screening
      = What we CAN do
これらを内容を解釈する上での参考にしてください、ということみたいです。
では、まずは診断から。

Diagnosis:
1. Special test(i.e. anterior drawer, talar tilt etc)は受傷直後にするか(Evidence C)
 受傷5日後以降にしたほうが(Evidence B)より正確。
 つまり腫れががつんと出ている間はstress testのaccuracyはcompromiseされるわけですね。

2. The Ottawa Ankle RulesはX-ray画像診断の必要性を決めるのにとても効果的な道具である
 (Evidence A)
 OARに関しては以前にまとめたことがありますね。
 Position Statementでも約半ページに渡ってOARの有効性が綴られていますが、
 それにちょっと付け加えさせて頂きます。
 OARはAnkle/midfootの骨折をrule outするのには素晴らしい力を発揮するのですが、
 rule inにはまだまだ完璧ではありません。False positiveが多いんですよね。
 なので、positive OARをどうclinicianが解釈するかは難しいところだと思います。
 positiveだからって毎回X-rayにreferしていたら、それはそれで大変なことになると思う、
 プロじゃない限りは。高校や大学なんかは経済的に厳しいですよね。
 (Buffalo Ruleのほうがspecificityが高いのですし、それもPosition Statementの中では
 短く触れられているのですが、だからといってOARに比べてBRが優れているとか劣っている
 とかそういう断言はされないに留まりました。個人的にはもっとそこ掘ってもいいのでは、
 と思ったけど。OARの方がはるかにstudyされているからですかねー)


3. Stress radiography(↓)はligamentous disruptionをdetectするのに良いツールとは言えない
 (Evidence B)MRI is reliable to detect acute tears of the ATF & CF ligaments
 (Evidence B), diagnostic ultrasound is also useful but less accurate and
 sensitive than MRI (Evidence B).
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あれ、Special testは他には?と思う方もいるかもしれません。
実は、Ankle sprainのspecial testってほとんど研究されていないんですよねぇ。
変な話ですよね、ankle sprainがスポーツで一番多い怪我だって言っているのに。
分かっている範囲で上げると、
 - Anterior drawer: sensitivity ranges from 32%-80%,
          specificity was reported only in 1 study, and was 80%
 - Inversion Talar tilt: Only reported once, sensitivity was 52%
…これだけなんです、すごいでしょ。
だから、Position Statementは「引き続き使うべきだけど、もっと研究しないといけないエリア」
みたいなふわっとしたまとめ方をされています。


Treatment and Rehabilitation:
1. RICE is recommended for acute ankle sprains(Evidence C)
 これがEvidence Cってのも意外ですね。

2. NSAIDsの使用は捻挫後の痛み、腫れ、short-term functionを改善するのに効果的
 (Evidence A)
 もちろん、受傷から48時間以内の使用は控えつつ、ですが。

3. Grade III sprainの場合は最低10日はrigid stirrup braceかbelow-knee castで固定し
 その後controlled therapeutic exerciseを(Evidence B)。Grade I or IIの場合は
 固定をするよりも早期のリハビリ開始が効果的(Evidence A)

4. リハビリにはcomprehensive ROM, flexibility, & strengthening of the surrounding
 musculature
を含め(Evidence B)Balance trainingをリハビリ早期~中期~終盤まで
 しっかりと続ける
ことでreinjury rateを下げることができる(Evidence A)

5. DFlexと機能をフルに回復するためにはPassive joint mobilizationsとMWMが有効
 (Evidence B)
 これについても以前まとめました。TarocluralやSubtalar jointのmobilizationも
 もちろんですが(Position StatementはAnteroposterior joint mobilization &
 Posterior talar mobilization with movement techniqueが特に強調されています)、
 特筆すべきはMulliganの名前と共にPositional fault of the fibulaも記述がされていたこと!
 個人的にはDistal tibfib joint mobilizationも同様に重要だと思います。
 是非皆さんの現場でも試してもらいたいテクニックです。


RTP Considerations:
1. 目に見える機能のみでなく、患者本人が自分自身の能力をどのように感じているか
 (patient's perception of function)をRTP decision makingの過程でしっかり取り入れること
 (Evidence C)


2. 当然、目に見える機能もしっかりとassessすること。Single-legged hop for distanceや
 Star Excursion Balance Test (SEBT)等のテストを用い、健側と比べて患側の機能が
 最低でも80%回復していることを確認すること(Evidence B)

3. 競技復帰の際、捻挫のhistoryがある患者はテーピングかサポーターをすること。
 Lace-up, semirigid ankle braceも、traditional ankle taping(↓)も
 recurrent rateを下げることが証明されている(Evidence B)。 
 以前に足首のテーピングとサポーターどっちがいいの?という話を書いたこともありました。
 このあたりのDiscussionはPosition Statementでもかなり長く書かれていますが、
 最終的なところは「まだ分からないことも多いが、足首の捻挫を既にした選手の場合、
 テーピングでもサポーターでも大いに効果がある」という感じです。(捻挫をしたことが
 ない選手に対しての効果はまちまち、なので、チーム全員mandatoryのテーピング・
 サポーター強制着用に関してはその必要性に疑問が残る、という記述もされています)
 靴のセレクションにも少し触れていて、バスケットボール選手に関しては、
 high-top shoes with ankle tapeはlow-top shoes with ankle tapeよりも
 足首の捻挫率が低いという研究がある一方で、アメフトではlow-top shoes with ankle
 stabilizerのほうが怪我が少なかった、という矛盾した事実はなかなか興味深かかったです。
 どういうタイプの靴が良い or 悪い、と言い切るには
 もうちょっとこのへんは研究が必要みたいですね。
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Prevention:
1. Clinicians working with athletes should implement a multi-intervention injury-prevention
 program lasting at least 3 months
that focuses on balance and neuromuscular control
 to reduce the risk of ankle injury. Athletes with a history of ankle injury may benefit
 more from this type of training. (Evidence A)
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んー、こんなところですかねぇ。
これ、実際のPosition Statementを読んで頂ければ分かるのですが、
かなり色々と省いてますので、興味のある方はご自分で是非一度全部読んでみてくださいね。
(Syndesmotic ankle sprainやCAIの記述も実際は結構あるので)
いや、違うな、プロのATCならご自分で一度は必ず読まなきゃダメ!ですね。

今から、この内容をどう授業に組み込んでいこうか、
そしてニュースレターでPreceptor向けにどう紹介するか、
色々考えてうきうきです。このPosition Statementを作るのに6-7年の年月と、
努力を費やして下さった専門家の方々に感謝!大切なresource、有効に使いたいですね!
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  by supersy | 2013-07-03 19:15 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by じでん at 2013-07-04 12:42 x
このPosition statementとりあげてくれてありがとう。online上でしか出てへんくて結構読んでへん人多いから。Position statement に載ってるDataは少し古いから、Special testについて少しUpdate. 2nd authorのJayが去年International Ankle Symposiumで発表したんやけど、Anterior drawer test(ADT)のsensitivityは0.74で specificityは0.38 Positive LRは1.21、negative LRは0.66 (diagnostic ultrasound reference standardを使ってADTのPositiveをnegativeを評価)。diagnostic ultrasoundとADTをコンビネーションすべきって確か言ってたな。あと、talofibular intervalをdiagnostic ultrasoundでチェックするのも効果的かもと提案してる (Croy T, Saliba S, Saliba E, Anderson MW, Hertel J.Talofibular Interval Changes After Acute Ankle Sprain: A Stress Ultrasonography Study of Ankle Laxity.J Sport Rehabil. 2013 May 20. )。もしかしたら、こらからdiagnostic ultrasoundがLASの評価の主流になったりして。

あと来年には、CAIのPosition statementが出ると思うからお楽しみあれ。
Commented by さゆり at 2013-07-07 04:03 x
さすがthe guy the most up-to-date!最新の情報ありがとう。つってもあれだね、足首の捻挫のspecial testなんてかなり需要のあるものがunstudiedでundevelopedなのって面白いね。膝なんかは気がつくと知らないspecial testが10個くらい出てたりすんのに。diagnoscit USは捻挫以外もかなりこれから他の怪我・症状の診断に重要性が見出されてくると思うわ。MRIほどのqualityじゃないにしてもquick & cheap, safeだもんなぁ。

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