6/24~30、NATA in Las Vegas その2。

6/26
この日は早起きして7:30amの講義から出席!

Maybe It's Time to Eliminate Dual Appointments in Athletic Training Education?
by Ryan Wilkinson, EdD, ATC, CSCS
  これだけはどうしても出ておきたかった。組織の上の人間を動かすためには、
  私自身がもっと多面的情報を持っている必要があったからです。
  まずこの講義でのポイントだったのは、最後に「?」が付いていること。
  Dual Appointmentには、全く要らないものではない。良い所も悪い所もある、
  というのは、3年間こういう仕事をしてきた私自身感じているところでもあります。
  この講義で指摘された良いところは、Credibility
  やっぱりATに関して教えてもらうなら、今でもpracticeしている人からがいいでしょ?
  もう5年も前に現場からは引退しました、という人だと、本当に情報に実用性があるのか、
  transferableなのか、古い知識ではないのか…ちょっと不安になりますもんね。

  しかし、Wilkinson氏自身の研究で明らかになってきたデメリットも多くあります。
  全米レベルのアンケートで浮かび上がってきたのは、
  ●Time-related issues
   例えば理論上50%/50%になっているべきだけど、実際は80%/65%で合計が100%を
   軽く超えてる…なんてsplit界ではよくある話です。課せられている仕事が多いのだから、
   勤務時間は必然的に長くなる→家に持ち帰る仕事量も増えます。
   教える授業があるのに遠征が…、なんてdirect time conflictも毎学期だし。
   Conflictがあれば必然的に他のスタッフに「お願い」しなければいけないことも
   増えてくる。理解があって快くやってくれる同僚・部下ばかりならいいけれど…。
  ●Role relationships
   Athletics always get "more" than their share of the splt、
   という話題も出ました。そうなんですよねぇ、なんだかんだAthleticsの要求のほうが
   unreasonableだし、どう考えても量的に多い。
  ●Support & appreciation from administration & peers
   これだけ時間に制限のあるsplitが成功するには、周りの協力が必要不可欠。
   でもコーチたちは練習時間をギリギリになって変えたりするし、
   しかもそれをこっちに全く連絡してこなかったりする。身に覚え、皆さんもあるでしょ?
   その時間は授業があって行けないんです…というと、えっ、とすっとんきょうな顔を
   されたり、あーじゃあ学生送ってくれればいいよ、と言われたり。
   学生は私の監督の下でないとだめなんです。あうう、理解して下さい。
  ●Role clarification, negotiation, role accommodation
   AthleticsとAcademics同士のコミュニケーションがもっとあって、
   彼ら同士で直接「この時間はSyはこっちね」とagreementを結んでくれれば
   どんなにラクか。お互い譲り合うmindsetがないまま、どちらがどれだけ(私から)奪うか
   だけを考えていればひどいことになるのは目に見えています。
   やはり同様に感じている人は多いらしく、役割や線引きをもっとはっきりして欲しい、
   という強い意見がありました。

  中でも一番興味深かったのは、
  The more % of athletic appointment a person has, the more his/her teaching tends to
  become teacher-focused and thus negatively impacted

  と言う研究内容。(メモしそびれてcitationが見つけられない…)
  つまり、Athletics/Academicsの比重が25%/75%の人に比べて、
  75%/25%の人のほうがTeachingがおざなりになり、「学生が内容をちゃんと受け止め
  られているか(=student-focused)」よりも「教えなきゃいけない内容はカバーできているか
  (=teacher-focused)」みたいなほうに気がいってしまう。結果、学生の満足度は
  下がる傾向にある…ということなんだそう。
  絶対に教育の手は抜かない!と誓ってここまでやってきた自分だけど、
  やっぱり知らぬうちに質も悪いものを提供しちゃってるんだろうか。ちょっとショック。

  毎年少しずつ、両サイドから頼まれることも増えている、という話も出ました。
  (やっぱりどこも一緒なのね 涙) さすがに、増やされ続けたらどこかで無理ですって
  言わないといけないよなぁ。

  この講義では、「絶対に無くすべき」という結論付けをしたわけではなくて、
  あくまで「無くすべき?」という疑問調だったのだけれど、
  Dual Appointmentが多くの人のストレスになっていることは確か。
  どちらの仕事も最高の質を持ってしているとはとても言えない現状のようです。
  解決の仕方は色々あるだろうと思うけれど、Academics/Athleticsのadminの理解・協力
  無しにはDual Appointmentの未来は無いと個人的には思います。
  お金がない、便利だし、dualにしちゃえー。という選択肢は安易だけれど、
  それなりの制限も付きまとう、ということを上の立場の人にも知ってもらいたい。
  そうでなければ、Dualで働いている人が利用されて利用されて、
  心身がボロボロになる頃にやめて、また次の人が入って…の繰り返し。
  私がここを離れる前に、しっかりとしたreportを上の人に提出できるようにしたい。
  そのためにもこの分野はこつこつと勉強を続けていきたいと思います。

What Cryotherapy Cannot Do
  4グループの発表があったのですが、ここで一番面白かったのは、
  「IceもE-stimもそれぞれ患者の痛みを軽減するのに有効だということは証明済み」
  「では、IceとE-stimを同時に使えば、痛みの現象はより大きなものになるのか?」
  という実験の発表でした。 え、これのどこが面白いのかって?
  だってよく考えると、患部を冷やして痛みを軽減するメカニズムって、
  Decreased Nerve Conduction Velocity, Increased Threshold…つまり、
  神経の伝達機能を冷やして鈍く遅くすることで「痛い」という情報が次から次へと
  送られてしまうのを防ぐ、ってことですよね。
  逆に、E-stimは皮膚を通じて電気で感覚受容体を刺激し、ノイズを混ぜることで
  痛みのシグナルの伝達を邪魔する、シンプルに言うところのGate control theory
  (activation of A-delta/C fiber)を使ったpain reductionをする、というのが狙い。

  つまり、Iceは伝達そのものをゆっくりゆっくりゆ~~~くり出来る限り遅くする、
  E-stimは別のシグナルをどんどか送りつけ、神経系をoverwhelmすることで痛みの伝達を
  ブロックする…。間逆といってもいいほどのメカニズムなのに、お気づきでしたか?
  これを同時にやってしまっていいんでしょうか?

  で、実験です。被験者に対して1) Ice only, 2) E-stim only, 3) Ice + E-stimの3種の治療を
  実践。結果、痛みの減り具合は「どのグループも等しく効果的」と出るに留まりました。
  このグループの結論は、「IceとE-stimを合わせたからと行って相乗効果は期待できない」
  「故に、We do NOT recommend the use of Ice & E-stim」だそうです。
  へぇーへぇー。

Cryotherapy for the 21st Century: Updated Recommendations, Techniques, and Outcomes
by Kimberly Rupp MEd, ATC & Noelle Selkow PhD, ATC
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  この講義は
  "The effectiveness of cryotherapy for pain and inflammation is well-documented"
  から始まり、「じゃあ他の3つはどうだろうか?」という切り口で進んでいきました。

  Edema: IceのみではEdema reductionは期待できない、あくまでElevationと
  Compressionが効くのであるとは随分はっきり言われていましたし、これは私も納得です。
  Edemaが出来た後にIceをしても、Edemaがより固まって動かなくなるだけで、
  Iceのみだと効果は期待できないと思います。
  *ただ、私はEdema preventionには効果があると思うんだなぁ。
  受傷後2-4時間以内にiceを使えば、↓metabolismで↓edema formationじゃないか、
  という研究者は少なくありませんし、evidenceも多少あります。これは講義でも
  短く触れられましたが、「研究のデザインが難しい」ということで、
  fully provenされるには時間がかかりそうです。

  Blood Flow: これは意外にも、「Subcutaneous blood flowはCryotherapyによって
  slow downすることが確認されているが、intramuscularの効果は確認されていない」
  のだそう。

  よって、結論:↓Blood flow & Edema have not been well proven at this point

  それから、面白かったのが、「Iceが本当に効果的なtemp decrease(-7~8℃)を
  もたらすまでにどのくらいの時間がかかるのか?」というものでした。
  このトピックは私が物理療法の授業を教えるときにも学生に何度も強調するので、
  是非皆さんにも知ってもらいたい内容です。ちょっと私自身の意見も交えてまとめます。

  どのくらいのDurationが適切なのか?答えは、「modeによる」です。
  例えば、Cold immersionやIce massageは、ただIce bagをぽんと患部におくより
  格段に冷却効果が早く、その分治療時間も短くすみます。
  え、Ice bagを最も頻繁に使うからそれについてもっと知りたいって?ではこちらのStudyを。
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  これは私も授業で毎年使わせてもらってる研究で、今回の講義でもやはり
  引用されていました。Iceの効果が身体に浸透するのに、一番の敵は脂肪!
  そんなわけで、異なる脂肪の厚みを持つ(0-10mm, 11-20mm, 21-30mm, 31-40mmの
  4グループ)被験者に対し、1cm subadipose IM tempが7℃減少するのにどれ程の時間が
  かかったか、チャートにしてまとめたものです(↑)。1 これを見ると、
  脂肪の厚みが31-40mmある被験者の場合、適切な冷却効果が得られるまで60分かかる、
  ということが言えます。
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  もうひとつ別のStudyも講義では紹介されていました(↑)。
  このArticle、探したんだけど見つからないよー。タイトル知っている人がいたら是非教えて
  下さい。こちらはActivity levelや性別差、部位別にrecommendationをまとめたもので、
  Recreational femaleにおいてはThigh/Deltoid/MCLは気持ち長め(~40min)にIceを
  したほうが良いことが分かります。

  つまり、Ice bagのDurationは「患者によって、患部によって、Target Tissueによって
  微調整することが大事!!!
」なんです。私たちが何も考えずに使ってしまっている
  20-min standardには何の根拠もありません。きちんと目的に合ったDurationを選び、
  適切にapplyすることが大切です。 (ちなみに、以前にもIce Bag Application
  についてはまとめたことがあるので、興味のある方はこちら)

J&J Feature Presentation: Sudden Cardiac Arrest: Are We Overlooking Something?
by Mark Link, MD, Ron Courson ATC, PT, NREMT, Jonathan Drezner MD
  一人目のLink氏はCommotio Cordisのスペシャリスト。
  Articleもいくつか読ませてもらっています。
  Commotio Cordisそのものについては以前もまとめたことがある(こちら)ので
  あれですが、彼が予防法としてsuggestしたことの中で面白かったことをいくつか。
  1. Better Chest Wall Protectors - 今のところ、ホッケー、ラクロス、野球(キャッチャー)
  が着ける胸部のプロテクターは、Commotio Cordis予防に効果が無いことが分かっています。
  Must be more robust and cover the chest during ALL MOVEMENTS
  ということで、まだまだ改良が必要なようです。

  2. Age-Appropriate Safety Ball should be used - Commotio Cordis患者の
  多くはリトルリーグの野球少年たち(96% male, 80% <18 y/o)。
  ここらへんの年齢に限って、もっと柔らかい素材で出来た野球ボールを使うべきなのでは、
  という提案です。ささっと検索したらこんな記事もでてきました。
  Spongyな感触で、あまりに普通の野球ボールとは異なるので反対派も多いようですが、
  Commotio Cordisしかり、その他の脳・頭部の怪我予防にもかなりの効果を発揮しそう
  です。
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  Courson氏の発表は5年前に聞いた内容とほぼ一緒でした…が、
  SCA時にSeizure-like activityの他に、いびきのようなAgonal respirationが聞こえるケースも
  多い(30-40% of SCA patietns)、ということが加えられており、これは初めて耳にしました。
  痙攣して動いているから、息をしているからと行ってSCAをrule outしないことですね。

  最後のDrezner氏の発表は、「これらを予防するためにECG screeningをしよう」という、
  まさについこないだまとめたような内容でした。わーお。
  コスト、High false positive rateなど、今まで障害となっていたものが取り除かれつつある。
  だからこそ、もっとアスリートを対象としたCardiac Screeningが積極的に行われるべきだ、
  という内容で、CardeaScreenの名前も一瞬ですが出ていました。

NATA General Session and Annual Member's Meeting & Keynote Presentation
  ここでNATA Presidentからのサプライズ発表!
  「全米規模の調査の結果、私たちのProfessionの名前はAthletic Trainerのまま、
  変えずに行くことが決定しました。それを受けてNATAでは『私たちはAthletic Trainerだ』
  というidentityを今までに増して確立していくために、新たなロゴを採用することにしました」
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  「今までのロゴは、人が走っているようなイメージで、我々がHealthcare Professional
  であるということを適切にpromoteするものではなかった」
  「ATという文字を真ん中で際立たせることにより、ATというacronymがより浸透するように」
  等、色々と狙いがあるよう。本当によく練られたデザインだし、何より意図が私が好きです。
  NATAオフィシャルの詳しい説明を読みたい方はこちら

  「ロゴを発表したところで…」
  「この新たなロゴが印刷されたTシャツを、この講義が終わり次第配布開始します。」
  ああ!いっつもRegistrationの時にもらえるはずだったTシャツが「水曜日に配布しますんで」
  となっていたのはこういうわけだったのか!講義を終えコンベンションセンターに出てみると、
  ありとあらゆるところにあった旧ロゴが新ロゴに入れ替えられてる!
  NATA websiteの絵まで変わってる!NATAのTwitterアカウントまで!
  なんて大掛かりな演出。いいねいいね。

  そんなわけで、賛否両論あるようですが、
  私はこのNATAの力強い改革を嬉しく思いますし、明確な意思表示は頼もしいです。
  これからもATでいく、と決まったのだから、決まったからにはそれを全力でpromoteしていく
  しかありません。私も微力ながら、地道な活動を続けていければと思います。

Promoting Athletic Training Overseas
by Mark Gibson, MS, ATC, PT
  この日出た最後の講義…なんだけど、思っていた内容とは少し違いました。
  ドイツやスペイン等とAT交換留学をこういう風に始めましたー、という話と、
  アメリカのATのこういうところが売りだよー、という話で、
  うーん、なんか…。ヨーロッパ・オセアニア中心だったということもあるけど、
  これはちょっとあまり日本でATを革新させていく参考にはならなかったかな。残念!
  でもやっぱり、日本でATが発展していくにはアメリカのATCと同等の国家医療資格
  ができないと無理だということは痛感しました。うぅむ。長い道のりだ。

そんなわけでこの日は合計で12人ものスピーカーの話を聞くことができました。
7:30amから5:45pmまで、がっつり学んだー!実り多き一日。
そのあとは、JATOのMeetingにお邪魔して今年も色々な方々とお話することができたし。

あ、そういえば。
JATOで友人たちと話していて「さゆりこれからどうするの?」と多くの方に聞かれたのですが、
それがよくわかんないんだよねぇ(只今迷走中)…色々あるよねぇ…と答えていると、
「さゆりはこういうことをするべきだよ!」と勢い勇んで熱心に語ってくれる友人が多々おり、
なんだかびっくりしました。自分のことのようにあれこれ考えてくれてもらって嬉しい。
「へぇぇそういうことが合っているとか、出来そうだと思ってもらえてるんだ」と、
新しい気づきがあってとても新鮮でした。
一人でもんもんとしていると、本当に自分に何が向いているのか、引いては何をしたいのか分からなくなってドツボにはまるんだけど、客観的な主観的な視点から「さゆりにはこういうことをして欲しい!」と、本当に勝手な意見でも妄想でもなんでも言ってもらえると、ちょっとeye-openingなのです。皆さんの意見しっかり受け取りました。友人っていいね。ありがとう!

1. Otte JW, et al. Subcutaneous adipose tissue thickness alters cooling time during cryotherapy. Arch Phys Med Rehabil. 2002 Nov;83(11):1501-5.
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  by supersy | 2013-06-26 23:59 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by at 2013-08-27 11:35 x
Skinfold Thickness at 8 Common Cryotherapy Sites in Various Athletic Populations, JATですよ。
Commented by さゆり at 2013-10-14 14:04 x
返信が遅くなってすみません。ありがとうございました!とても助かります。

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