続・脳震盪の新たな治療法?DHAサプリメントについて考察する。

意外と色々と反響頂けて嬉しく思っております。
(ここでは静かだけど主にFacebookとTwitterで)
こういう論文あるよ!とか言って下さったり送って下さったりする皆さん大好きです。
…というかリアクション返してくださる皆様の面々が豪華すぎて本当に有り難いです。

さて。今日は某ゆっけ氏が送って下さった論文(これは壮絶なcase studyだった…)と、
某じでんが勧めてくれたもひとつのcase report、それから
某しゅうへい氏がsuggestしてくれたSystematic reviewを読んでみました。
(もはや某に意味が無くなってますが)
さすが、皆の紹介してくれる論文は最新のものだったりマニアックだったり。勉強になります。
結構ジデンの紹介してくれた記事1(↓)がユニークで面白かったので、まずそこから。
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これは、交通事故でsubdural & epidural hematomaが起きてしまった、10代の男性患者の話。
受傷後10日で、植物人間になるのを避けるため、チューブを介してのenternal feeding
(腸内投与)を始めたらしいのですが、それと同時に15mL/d x2 a day (30mL/d、DHAにして6756mg/d)というかなりaggressiveな量のOmega-3 fatty acidもサプリメントで投与。
そこから患者は驚異的な回復を見せ、事故から2年後、喋れる&杖をついて歩けるようにまで
回復したとのこと。Case studyではありますが、サプリメントの投与が大いな効果をもたらした
例として紹介されています。

この研究に紹介されていた別の研究結果で興味深かったのが、
"When DHA was given within an hour of spinal cord injury, neuromotor function was maintained; but the effect was lost when treatment was delayed for 4 hours"2
という一文。更に、"Early nutrition intervention in TBI is underappreciated. Patients not fed within 5 and 7 days after TBI have a 2- and 4-fold increased likelihood of death, respectively; and decreasing amount of nutrition in the first 5 days is related to increased mortality rates"3という表記も。
つまり、この論文では『早期のアグレッシブな栄養療法』の重要性を大きく訴える結論が導かれており、「ERか、もしくはそれよりもっと早い事故現場ででも」投与を始めるべきだとしています。量も、一日約7000mg近い量のDHAというかなりアグレッシブなdosageを2年に渡って投与していましたが、何も副作用は見られなかった、それくらいでいいのでは、と。

投与開始のタイミングは気になっていたところだったので、
ASAPというこの一つの答えの提示は興味深いです!

で。Systematic review4(↓)で学んだこともさらっとまとめます。
こちらは、hematomaとかじゃなくてsport-concussionに特化したreviewになっています。
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Rest or Exercise
- 意外とrestがConcussionにはいいんだぜ!というエビデンスも欠如してるもんなんですね。
 受傷時期を問わず(脳震盪受傷から一週間の患者も一ヶ月経っている患者もひっくるめて)
 有無を言わさず一週間休ませ(complete physican & cognitive rest)たら、
 総じてPost-Concussion Symptom ScaleとImPACTのスコアが改善された、という研究が
 ひとつあるのと、(control groupは無かったのでデザインとしてはイマイチと評されてますが)
 Retrospective studyで「受傷後に運動を全くしないのもしすぎるのも回復には逆効果。
 ほど良いジョギングくらいのlight activityをしていた患者が一番回復が見られた」

 というものがありました。
 まとめとしては、「受傷後2-3日、特に脳がvurnableになり、neurometabolic crisisを起こして
 いる期間はphysical cognitive restが望ましい。その後は、軽い運動ならもしかしたらbeneficial
 かも知れない…でもまだ分からない」
みたいな感じでした。ほわほわしとる。
 「prolonged bed restは好ましくない」という表記もありましたが(休むにしたってそこまでする
 ことはない、という意味で)、とにかく良い研究に欠けており、強いevidenceではないみたい。

Pharmacotherapy
- 症状が21日以上続いている脳震盪患者にAmantadine (100mg x2 daily for 3-4 wks)を処方。
 Historical controlsと比較した所、両グループ共に改善が見られたが、Amantadineグループ
 の方がverbal memory, reaction time, number of symptomsにおいて特に改善幅が
 大きかった。しかしcontrol groupのほうが元々スコアが総じて悪かったというから…うーむ?
 ちなみに、Amantadine(アマンタジン)というのはパーキンソン病の治療に使われたりする、
 ドーパミンの放出を促す薬(↓)なんだとか…。初めて聞いた。
 これはひとつの研究にしか基づいていませんが、脳震盪からの回復を早める可能性のある
 薬として、これからも研究が続けばいいなぁと思います。注目ですね。
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Other Therapy
- Cervical spine manual therapy, neuromotor retraining, sensorimotor retraining
 and vestibular physiothetapy treatment
は回復が遅い患者に対し効果があったそう。5-6
 具体的な内容は、オリジナルを読んでいないので分かりませぬ。。。

そんなわけで、このsystematic reviewは総じて「もっとhigh quality studyが必要」という結論ではあったのですが、いくつか今後の脳震盪治療へのヒントは散りばめられている感じでした。早期のDHAサプリメント投与、Amantadineという薬の処方、初期のrestからの適度な運動への移行、そして複合セラピー(manual therapy, vestibular exercises, neuromotor/sensorimotor re-training)の可能性…これからも目をしっかり開けて、将来わんさか出てくるであろう論文達に大いなる期待をしたいと思います!

改めまして、色々な論文を紹介してくれた友人たち、ありがとう!

1. Lewis M, Ghassemi P, Hibbeln J. Case report: therapeutic use of omega-3 fatty acids in severe head trauma. Am J Emerg Med. 2013;31:273.e5-273.e8.
2. Michael-Titus AT. Omega-3 fatty acids: their neuroprotective and regenerative potential in traumatic neurological injury. Clinical Lipidology. 2009;4(3):343(311).
3. Hartl R, Gerber LM, Ni Q, et al. Effect of early nutrition on deaths due to severe traumatic brain injury. J Neurosurg. 2008;109(1):50-56.
4. Schneider KJ, Iverson GL, Emery CA, et al. The effects of rest and treatment following sport-related concussion: a systematic review of the literature. Br J Sports Med. 2013;47:304-307.
5. Schneider K, Meeuwisse W, Emery C. Symptoms and functional improvements followinf a course of vestibular rehabilitation, manual therapy and spinal stabilization exercise in high performance athletes with complex concussions. Clin J Sport Med. 2009;19:265-266.
6. Schneider K, Meeuwisse W, Boyd L, et al. Multimodal physiotherapy in the treatment of individuals with persistent symptoms following a sport related concussion; a randomized controlled trial. Clin J Sport Med. 2012;22:295.

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  by supersy | 2013-05-28 22:30 | Athletic Training | Comments(0)

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