β-Thalassemia、地中海性貧血について。その3。完結編。

β-Thalassemiaはgenetic disorder(遺伝性疾患)であり、
うちの選手も「両親とも貧血だという自覚はなかった」と言っていますが、
おそらくはどちらかがβ-Thalassemia Minorのキャリアーだったのでしょう。

そうなると、患者が知っておかなければならないのは、
自分が子供を持つときにどういったことが、どの程度の可能性で起こりえるのか、
危険を避ける方法はあるのか、どういった選択肢があるか、などということがあります。
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例えば、両親ともにβ-Thalassemia Minorを持っていた場合、
妊娠毎に50%の確率でβ-Thalasemia Minorの子供が、そして25%の確率でβ-Thalassemia Majorの子供が生まれる可能性が出てきます。昨日まとめたように、β-Thalassemia Majorは非常に重い疾患。治療は一生続きますし、そのprognosisは決して素晴らしくはありません。

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β-Thalassemiaだけではありません。Thalassemia以外の他のHemoglobin β geneに影響を与える病気にも気を配る必要があります。例えば、ヘモグロビンE病。この病気自体はマイルドで、β-Thalassemiaをもっと軽くしたようなものなのですが、片親からヘモグロビンE遺伝子を、そしてもう片親からβ-Thalassemia遺伝子を受け取った場合、Hemoglobin E/β-Thalassemiaという、β-Thalassemia Majorに匹敵するほどの深刻な症状を引き起こします。

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Sickle Cell Traitのキャリアーとβ-Thalassemia Minorキャリアーの間に生まれる子供は、同様に25%の確率でSickle/β-Thalassemiaをdevelopする可能性があります。Sickle Cell Traitとβ-Thalassemia Minorのコンボですから、運動にも危険性がつきまといます。

うちのチームドクター曰く、「私も知り合いでβ-Thalassemia Minorと診断された人がいるけどね、パートナーがHemoglobin E持ちだったので、リスクを考えて子供をもうけずに養子をとることにしていたわ。25%とはいえ、子供の人生の妨げになる可能性があるなら、と思ったみたい」というケースもあるそうで。

パートナーとこの組み合わせなら、絶対に子供を儲けてはダメ!なんて言うつもりはありませんし、私が個人的に何かを推進しようとしているわけでもありません。ただ、自分がβ-Thalassemia Minorという遺伝子を持っているということを認識したならば、子供を持つ前に少し時間をとってパートナーと一緒に検査に行き、子供にどういった影響が出かねないのかを前もって知り、考えておくことは非常に大事だと思います。
同様に、例えば自分の子供もβ-Thalassemia Minorを持って生まれたならば、子供にきちんとそれを伝えること、そして教育をすることは遺伝子をpass onした親の責任でもあると思います。どちらにしても、子供の人生、そして自分自身の人生に何がベストなのかを考えた上での決断が必要になるかなと思うのです。

「(専門医から)なんか子供に関するパンフレットもらった。よくわからんけど取っておいてある」といううちの選手はまだ若いので、「遺伝的なものだからね、組み合わせによっては深刻になることもあるから、子供を持つことを考え始めるような年になったら、もう一回読んでみるといいよ。そんで、相手を連れて医者に相談しに行くようにね」と伝えてあります。そして「なんかわかんないことがあったら聞きにくるんだよ、お蔭様で色々勉強できたから、手助けはできると思うよ」とも。アスレチックトレーナーは、たった4年ほどとはいえ、誰かの人生に寄り添い、健康や身体に関するアドバイスや教育をの発信源となれる存在。そういった意味でも、毎日成長の機会をくれる選手たちに(時に恨めしい目で見ながらも)非常に感謝しています。勉強になりましたなり。ふー。
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  by supersy | 2012-09-28 13:00 | Athletic Training | Comments(0)

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