NATA Convention in St. Louis その2。 Diversity and Inclusiveness。

前回の続きです。27日に参加したイベント。

3. Demonstrating the Value of AT Services Regardless of Workplace Setting
これは正直予想外に面白くなかった…。
Billableなサービスは記録していつでもpresentできるよう手元に持っておけ、とか、(君を雇ったことでわが社はどれだけお金をsaveできたのかね、と聞かれたときに、2-3日待って下さいね、すぐやります、と言うのと、このくらいです、とサッと資料を出せるのとでは大違い、という話は納得)
テーピングや怪我の評価はその際に記録に入れるべきではない…が、
referした件数はbillable serviceになる、とか、
(なんかここらへんはよくわからん。それじゃー何でもreferすればいいの?)
しまいには、Physician Extenderみたいなsettingの場合、仕事を振り返って、患者さんの高いsatisfactionを得ることも大事だけど、一番大事なのはお医者さんをsatisfyさせること
…という、医者の犬になれってこと?みたいな講義内容もあり。

正直、これからATという専門職をどう日本で価値を示し、確立させていくかという
ヒントが得られれば、と思って行ったんだけど、学んだことは特にありませんでした。
うーむ。ま、こういうのもある。

4. The Game Changer: The Importance of Diversity in Your Setting
これはNATA Ethnic Diversity Advisory Committee (EDAC)がホストしたプレゼンだったのですが、今までこんなに聴衆が明確な目的意識と意図を持って講義に臨んだことがあるんだろうか、と思えるほどパワフルでinspirationalな2時間でした。イヤほんと、参加してない皆さん、勿体無いっすよ!

まず最初に議題に上ったのは、「DiversityとInclusivenessは違う」ということ。
Diversityというのは統計的なものであり、Inclusivenessを必ずしも伴わない
というstatementは非常に理解しやすかったし、多くの現場に欠けているのはそっちだよな、
と身をもって体験している私は聞きながらうんうんと頷いてしまいました。
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「Melting potという表現がよく使われるけれど、Toss saladと呼ぶべきよね」
と言ったのは、プレゼンターのJoann Jackson氏。「混ぜて混ぜて溶けて一緒になるんじゃなくて、違いを楽しむのよ。ちょっと苦味が欲しければピーマンを、酸味が欲しければオリーブを、
ぱりっとした食感を楽しみたければレタスを一口。それぞれのメンバーがテーブルに何を
持ち寄ってきたものを、ひとつひとつリスペクトするの。それこそがInclusivenessってことね」と。
さらに、有名ホテルの人事を任されてきた彼女は、
「ホテルの従業員を雇うことになって面接したんだけど、場所がカリフォルニアだったから、応募してきた人の中にアジア人が結構いてね。聞くべき沢山の質問の中に『あなたの上司が間違ったことをしていたらどうしますか?』っていうのがあったの。もちろん指摘するとかさらに上に報告するとか、そういった答えを期待していたんだけど、アジア人の候補者は皆『上司の言うとおりにします』と言うのよ。『でも会社に損失を招くかもしれないわ、どうするの?』って更につっこむと、皆『じゃあ会社を辞めます』と言うの。この時、ああ、私たちが彼らの文化を正しく理解していない、この質問は適切じゃない、と思ったわ。だって、彼らの文化では上司に逆らうことは許されないことなんですもの」なんて経験もしたそうで。ちょっと苦笑いしちゃいました。これはちょっと極端な例かも知れないけど、でもお互いの文化や、大切にしているものを理解しようという気持ちはとても大事。それを押し付け合うのはまたちょっと違うけどね。

しかしInclusivenessを持つためにはDiversityを理解しておかなければいけない、
ということで、現在NATAのメンバーのPopulationは:
  White 79.12%
  Asian 3.61%
  Hispanic 3.52%
  Black 2.92%
  Multi-Ethnicity 1.03%
なんだそうです。この世界はやっぱりまだまだWhite-dominantってことですね。
しかしこのパーセンテージ、本当にDiversityがアメリカ中どこでも実践されていれば、
例えば勤務先として、高校、NCAA Division-I、プロスポーツの世界別に統計を出しても
同じ割合になるはず…ですが、実際は全然なっていません。
傾向として、高いレベルに入れば入るほどやはりminorityの割合は減り、
白人の占めるパーセンテージが多くなってきます。難しいですね。

いかにMinorityをrecruitし、retainするのか?これは"人種のるつぼ"アメリカが何年も直面している課題であります。Joann氏が繰り返し言っていたのは、「組織を変えるには、組織のトップに立つ人間がinitiativeをとらないといけない。会社ならCEOやSenior leaderたちがその動きを先導しないと駄目ね」ということ。他のEDACのメンバーや参加者からもそれに関しては大きな賛成意見があり、「この部屋を見てください。私たちが伝えようとしていることは、肝心な人たちに伝わっていないのではないでしょうか」と指摘する人もいました。部屋を見渡すと、黒人とヒスパニックがほとんどで、アジア系は私のみ。白人に至っては、プレゼンターの一人であるDr. Perrin氏以外はゼロでした。もちろん、NATAのプレジデントなんているわけありません。当面の課題は、こういったトピックにmajorityの人たち、そしてNATAという組織のトップに立つ人たちをどう呼ぶかというところなんではないか、と思いました。
Minorityのrecruit、retentionに対して積極的に活動しているところだと、
こういった例もありますよ、と挙げられたのがNYUのこのビデオ。興味深い試みです。


日本人としての感想を言うと、あれだけ日本人のNATA参加者が毎年いて、
こういったイベントに参加している人は皆無に近いというのはちょっと恥ずかしく感じますね。
もちろん、今回のNATA Conventionに於いて他にもNATA EDACは複数のイベントをホストしており、
それらに参加された日本人の方もいらっしゃることと思います。スケジュールの関係もありますし、
全てのEDAC eventに出なきゃ駄目だぜ、なんて言うつもりは毛頭ありません。
でも、どんなに忙しくても3-4日あるNational Conventionのうち、
皆さんひとつくらいは絶対に出られると思うんです。
興味を持たない、というのは一番怖いことです。

アメリカという国で、「ガイコクジン」というレッテルを貼られて生きていくのは簡単なことではありません。私たちがアメリカ人と同様に扱われることはありませんし、雇用の機会、就労ビザにグリーンカードの取得は、信じられないくらいの困難にぶち当たります。
それに関して文句を言う日本人を沢山見てきましたし、そういう方の言い分も分かります…が、何か変えたければ、私たちも何か行動を起こさなければいけません。怒りでなくポジティブな動機を持って、リーダーシップを取り、人を先導して、解決策を示さなければいけません。こういう風に変われたらこんなに素敵になるよ、と皆の想像力を掻き立てるくらいでなければなりません。それをせずにただ文句だけを言うのは、非建設的以外の何者でもありませんよね。私はNATAのコンベンションにおけるこういったEDACのイベントって、完璧なopportunityだと思うんです。あれだけの人が、ATCたちが毎年集まる場です。新しいアイデアや経験を共有し、交流を深め、NATAが組織として、また、自分個人の職場を、ローカルレベルでどう変えていけるのか、模索する最高の場所だと思うのです。皆にも、もっともっと有効活用してもらいたいなぁと思います。

…というのも、たぶんここには書いていなかったと思うのですが、
こういった集まりや、EDAC committee memberに日本人が一切参加していないのが以前から不思議でならなかったので、それなら自分がやろう、と、私はこの春からSWATAのEDACに加えて頂くことになりまして。もっともっとこういったDiversityやInclusivenessという問題にもlocallyにもgloballyにも取り組んでいけたらと思っています。今回の講義でも、自分の大学で挑戦・実践できるかもしれないアイデアを色々もらいました。小さいですが、まずはうちのATEPから始めていけたらなー、と思っています。

違いを楽しむ、という簡単なこと。
自国から一歩も出たこと無い人には、案外難しいコンセプトなのかも知れない。
時間をかけて、何かを生み出せればと思います。日本とアメリカ、両側から働きかけたいな。
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  by supersy | 2012-06-28 22:30 | Athletic Training | Comments(2)

Commented by sh at 2012-07-13 13:49 x
NATAのメンバーのうち、Asian(というよりも日本人)の割合はもっと多いのかと思っていましたが、意外と少ないように感じます。
NATAのHPには「The NATA has grown to more than 30,000 members worldwide today」とありましたので、ざっと1000人弱がAsianということですよね?(間違っていたらすみません)

恥ずかしながら、日本からは1歩も外へ出たことがありません。ただ、近々(とは言っても来年以降になりますが...)外の世界に触れて、自分の可能性をさらに広げたいなぁと勝手に思っているところです。
もちろん、日本のAT界にも微力ながら貢献できればと考えています!
Commented by さゆり at 2012-07-14 00:27 x
仰るとおり、30,000人のうちの3.61%だと、1000人ちょいの計算になりますね。
海外経験が全てとは思いません。が、アメリカによくいる、自分の生まれた州から、下手すると生まれたneighborhoodから出たこと無い、なんて子に矢印を外に向けろと言っても難しいかなぁと思います。世の中にはこことは全く違う文化が存在するんだ、そういう人の思う常識と、自分の考える常識は全く異なることもあるんだ、ということを考えられないのも無理はないかなと。自分は18才でアメリカに来て、日本を外からも見られるようになったことで日本にも興味が持てるようになりました。

でも、ただのアメリカかぶれにはならないように気をつけます(苦笑)。

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