NATA Convention in St. Louis その1。

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今年もやってきましたコンベンション、ということで、
写真はExhibit HallのMuellerにあった巨大足首サポーターの展示です。
毎年Muellerは派手なことするけど、今年は格別だな。運ぶの大変だったろうに。
6月26日(火)の夕方に現地入りして、その日はご飯食べてお酒ちびっと飲んで大人しくしておりました。…というのも、翌日の朝イチのMinicourseに登録していたもんで。翌朝は5:45am起きで6時半にちゃっちゃとRegistrationをすませ、まず向かったのは…

1. Clinical Applications of Tararell & Simon's TrP Techniques by Peggy Houglum
Trigger Pointの種類やPrevalenceから始まって、話はElectrophysiology of TrPから、Histopathological Charateristics of TrPに。Sustained fiber contractionが起こってしまってmetabolic demandが増える一方、blood flowは制限されるしATPも供給されづらくなることからEnergy crisis & Hypoxiaが起こる、という電気生理学的悪循環と、筋肉に付随して筋膜も厚く硬くなり、癒着を起こして行動を制限→痛みがさらに増えるという組織学的悪循環でどんどんごりごりしてくる、というのはイメージがしやすく、Trigger pointのmechanicを独学でしか勉強したことなかった自分としては、「Trigger pointのできた筋繊維を、結んでコブ(knot)のできたゴムとしてイメージしてみて(↓)。必然的にもっとテンションが出来、ほかの繊維よりもストレスがかかるでしょう?」みたいな比喩が聞けたのは有難かった。なるほど、こう言われると想像しやすい。
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あと、TrPを正しく治療する上で把握しておかなければならないのがReferral Pattern。
例えば、下の図のバツ印(X)が実際にTrPが出来ている場所で、
赤い部位が痛み(Referred Pain)が出る箇所なのですが、
実際に治療すべきは必ずしも痛みの出ている箇所ではなく、TrPが出来てしまった箇所なわけですよね。赤い部位をいくらマッサージ、ストレッチ、電気治療しようが、根本を解決していないので何もBenefitはない、と。
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例えば、面白いのがSupraspinatusのTrP Pain Pattern。SupraspinatueにTrPが出来ると、その痛みはDeltoidのinsertion周りとLateral Epicondyleにreferします。私、deltoidは有名なので知ってましたが、Lat epicondyleは知らなかった!これに気づかず、Lat epicondilitis(テニス肘)かも、なんて思って患者にelbow strapあげたり、Eccentric load中心の腱のリハビリなんかしても、何の効果も出ずに時間を無駄にするだけになっちゃいますよね。同様に、Subscapの痛みは手首に出たり(↑)、Soleusの痛みは踵に出るのでPlantar fascitiisと勘違いしたり、Gluteus Mediusの痛みがSIに出るのでSIJ dysfunctionと間違えたり(↓)…なんていうことがあります。
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感覚的に分かっているつもりでも、個々のPatternを完璧に把握出来てる自信はないなぁ…
もうちょっと時間を使って勉強してみよう。

2. Management of Shoulder Instability in the Athlete
この講義は予想外にめちゃめちゃ面白かった!!!
まず、肩の「手術を必要とするtear」と言えばSLAPやBankartが代表的ですが、Humeral Avulsion of the Glenohumeral Ligament (HAGL) Lesionというのはこの講義で初めて知りました。
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Forceful abduction等でInferior GH ligamentが断裂を起こし(ほぼ確実にDislocationを伴います)、anterior instabilityに結びつくのだそう。Bankart等と比べてrecurrent rateも高いんだそうな。へー。

で。「Shoulder instabilityのclassificationは、思われるほど統一性がなく、未定義なものである」というイントロから、講義はSurgical Consideration & Outcomeの話へ。
- 一般的に、肩の脱臼はクセになりやすく、手術をしない場合の再発率は50%である。
- クセになってしまった肩の脱臼はOAのリスクを高める。
- しかし、手術をすること自体もOAのリスクを高める、という統計もあるため、どっちにしても一度怪我をしてしまえばOAは起こりやすくなる。
- 手術をしないほうがいい、contraindicationとなる事項は、以下の通り。
 ▼"Volitional" Instability
 ▼Neurologic shoulder
  (例えばaxillary nerveが損傷してdeltoidがfireできなくなって付随的に起こっているinstabilityの場合、など)
 ▼Developmental Instability, Collagen Disorders, etc
  (Marfan's syndromeとか、ですね)

面白かったのがこの"Volitional" instabilityに関してで、
つまるところ、「自分の肩をガコッと外しちゃぁそれを楽しんでいる患者さん」のことです。
皆さんも回りにいませんか?「俺の肩、外れるんだよね」とか、「私の指、こんなに曲がるのよ」とか、身体に起こっている『異常』を、「私って何て特別」と思っちゃってる、自慢のタネにしちゃってる人。

例えば、上の動画。これはただのVoluntary subluxationのデモの動画で、"volitional" patientではないのですが、例えばお医者さんに「肩のinstabilityということだけど、どういったときに外れそうな感覚があるの?見せてもらえる?」と聞かれて、「ちょっと痛みが出るんでやりたくないんですけど…こういう感じです」と"しぶしぶ"見せるのがnon-volitional patient。「いいですよ!」と、うきうき自慢げに笑みを浮かべながらごきゅごきゅ外して見せちゃうのが"volitional" patientというわけ。Dr. Kuhn曰く、「こういう人は精神的に問題があるので、私たちのところよりも先に、精神科医に診察していただかないといけない」と随分はっきりモノを申しておりました。「こういう患者が手術で満足できる結果を得られるわけがない。そもそも脱臼を楽しんでいるのだから、手術によってstabilityが戻ってくればむしろそれを悲しく思うわけだ。また外そうとしてあれこれやって、instabilityを再発させるに決まっている。こういう患者は、手術する意味がない」というわけなんだそう。

その他にも、EBMに基づいた肩の脱臼のreduction、手術、術後のimmobilizationに関しては:
①What we KNOW (Level I-II evidence)
  Open surgeryとArthroscopic surgeryは、昔は内視鏡手術のほうが成功率が低かったが、
  技術の進歩もあり、今ではどちらも同様にsuccessfulである。
  術後のimmobilizationは、従来の『IRで固定』よりも、『ERで固体』のほうが経過が良い。
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②What we THINK are true (Level III-IV evidence)
  脱臼を直す場合にはFARESが一番良いが、成功率は患者の年齢や体型にも左右される。
  (年齢で言うと、若い方がreduceしやすく、又、体型は太めに比べて細身のほうが成功しやすい)
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*FARES: 肩をtractionかけつつ、oscillationしながらfully abduct。120°くらいで通常reduceする。

③What we BELIEVE (Level V evidence)
  安全にRTPするには、患者が健側と比べて、『normal ROM, normal strength,
  little to no pain, sport-specific taskが可能であること』という条件をクリアしているべき。
ということが分かっているんだそう。講義を行ってくれた医者たちもプレゼンが上手で、
かなり勉強になりました。紹介されたアーティクルたちにも興味深いものがあったので、
探して見つけて、読んでみようと思っています。うちにも肩の故障がある子が多いので、
勉強しなきゃと思っていたのよ。ちょうど良い。

ほかにも初日に様々なレクチャーにいったのですが、随分長くなってしまったので今日はここまで!
次回に続きます。
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  by supersy | 2012-06-27 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

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