第一回CEU Workshopを終えて。

先日(と言っても一週間前ですが)のWorkshop、無事に終わりました!
前日は久しぶりに緊張で良く眠れなかった…。夜中に起きては考えすぎて気持ち悪くなってまた寝る、を何度か繰り返してしまいました。目覚ましを待つように飛び起きて、異様に早く会場入り。
8時半に受付開始なのに7時前にはついてましたよ。ふふふ…。

私は先陣切って一番に行かせてもらいまして、
「Tensegrity and Scar Tissue Mobilization」というタイトルの講義を担当しました。
Manual workshopをやるから何かトピックを、と言われた時に一番に思いついたのが
大先輩・まささんに教えていただいたのがきっかけで興味をもち、
当時色々調べていた「Active scar」。それを中心に何かできないか、と考えて、
色々肉付けをして1時間の講義、30分の実技練習、という構造にすることに。
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内容はお金を払って受講して下さった方限定なので省きますが、
自分ではかなり面白いもんができたのでは、という手応えがありました。
ぶっちゃけあんまり現代のアメリカではまだまだ学べない内容だったのではないでしょうか。
文献に使ったのも、イタリアとかチェコとかカナダとかそんなところのばっかりだったし。
まぁ、だからこそ皆がどれだけ食いつくかがちょっと心配だったのですが、
実技練習を終えたあと、今回のスピーカーでもあり、私の良きAT友人でもあり、切磋琢磨できる相手であるGAのBrettが、「Syよ、これはやばいな。やばいぞ」と目をフルフルさせていて、「どうしたよ、気に入った?シンプルだけど面白いコンセプトでしょ」と言うと、「俺2ヶ月半前に前十字断裂と半月板損傷して、2ヶ月前に手術したろ。十分な治療やリハビリもできてなかったし、ここ最近、膝の屈曲が全然できなくなってたんだ。でもさっきパートナー組んでお前の言うActive scarのmobilizationっていうやつをやっただけで、もう何の痛みもなく曲げられるようになった。すごすぎるぞ、これ」とのたもうておりました。
他にも、講習後に「すごく良かった!」と個人的に話に来て下さった参加者さんが何人か。
ふぅー、初めてのCEU講習にしては上出来です。

講習でも何度か強調したのですが、万人が万人に効くわけではない。
でも、シンプルなコンセプトで、5-10分とかからないようなテクニックなので、知っているか知らないかでは大違い。患者をevalする上で心の隅に留めておいて、あなた自身のpracticeに加えるにはきっと非常に有意義なものなんじゃないかな、と思ってます。

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ここからはイチ参加者として書きまーす。

他のプレゼンターの講義も勉強になりました。
Danのやってくれた"An Intro to Joint Mobilization"もPTならではの切り口で面白かった。
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まず聞かれたのが、「ATの皆さんはJoint mobどれくらいやってますか?」
ということだったのですが、「日常的にやる」というのに手を上げたのはチラホラ数えるほど。
やっぱりあまりやらないという人がほとんどでした。
ATのカリキュラムではがっつりJoint mobをhands-onで習う機会がないですからね。…というか、CIレベルでちゃんと説明できるレベルでこのスキルを使えている人がどれだけいるのやら。

私はと言うと一応Therapeutic modalitiesを教える立場になり、苦手としていたこういうテクニックも自分なりに勉強して、たいぶbenefitが見いだせると気がついたので、数年前から飛躍的にやるようになりました。でもやっぱり独学が中心だったので、ちょっと限界を感じていたところ。今回FormalにがっつりJoint mobをカバーするPT界の教育をシェアしてもらえたのはラッキーでした。

「苦手意識もあるのかも知れませんが、『持ち場争い』の激しいこの医療界、」
と切り出したDan氏。
「使わない技術はどんどん失われていきますよ。ATさんたちがJoint mobsを使わなくなったら、それらはPTの専売特許になっちゃいます。かなり有効な徒手療法であるこの技術をせっかく使える立場にあるのだから、もっと知って、積極的に使っていかなくては」
というのは非常にもっともなargumentで、思わず頷いちゃいました。

あとですね、私自身もここ数年悩んでいて、Danも言及していたのですが、
「断言はできないのですが、僕の知る限り『ATはGrade V Joint mobs (Manipulation)をやっちゃだめ』っていうのは、『常識』として教えられてますが、別に取り決まりとしては、法律のどこにも明言されていないんですよね」
そうなんです!私もScope of practiceを何度も読んでいるんですが、
どこにも書類として書かれてはいないんです!…ということは、別にManipulationはカイロの専売特許じゃない!私達もしてもいいことになりますよね。目から鱗!

PTの相方曰く、PT界では(少なくともフロリダの法律によれば)Chiropractic manipulationをPTがすることに関しては条件付きで、でもかなりの範囲でOkで、multi-segment spinal manipulationはダメだけど、segmental spinal manipulationは問題なし、ということなんだそう。もちろん、ちゃんと習った上で、ですけどね。AT界では、学生時代に「私たちはGrade Vはできない」と習ったような気がするのですが、それをbackupする法律を、もう私はずっと探しているのですが見つからないのです。
どなたか知ってらっしゃる方いましたら是非お教え下さい!

まぁでも私が学んだポイントはそこではなくて、
「Grade IVとVのoutcomeというのは実は大差ありません。Vのほうがボキッと音もして派手で、患者さんも『なんかやってもらった!』という満足感がそれだけで強いですが、医療行為としての効果は実はIVもVも違いなく良い、と出ています。だから、IVを使いこなせれば十分だと思います」
というところは面白かったです。あと、
「OAはたまにContraindicationとしても挙げられることがあるのですが、最近の研究では膝や股関節のOAにJoint mobを使ってアプローチすることでTotal joint replacementが20%減らせるという数字が出ています。かなり効果があるのです」
というのもびっくりでした。私の授業内容も変えていかないと!

あと、言葉の使い方で面白いなと思ったのが、
「マッサージ業界ではよく使われる言い回しですが、
しっかり『improved purchase』を得た上でtissueをmobilizeすること」
というものでした。日本語にすると、手と組織のコンタクトを最大に持って、手の力が直接組織に伝わる状態を作り上げた上で、…という感じでしょうか。同じくPT出身の相方に聞くと、「俺らは『take all the slacks out (=組織に緊張を生んだ上で)』と言っていたかなー」だそうで、多少terminologyに違いはあるようですが、組織をしっかりpurchaseした上でJoint mobsを、という言葉が意外に頭の中でしっくりきたので、こうしてメモをとって覚えた次第です(笑)。

あとは、PRTを中心にまとめてくれたBrett、様々なInstrument-assisted soft-tissue mobilization(IASTM)を紹介し、たっぷり実技練習させてくれたDr. Peters、それぞれのスピーカーがしっかり仕事をできたworkshopでした。
値段設定が親切すぎて利益は思ったよりちょっと少なかったんですが(苦笑)、
これから集客力がつくにつれ、それはぼちぼち改善されていくでしょう。
とりあえず、第一回が無事に終わって本当に良かった!
次回は、一ヶ月後のConcussion Workshopです。これも、特に高校AT界では今非常にアツいトピックなので、磨きをかけて面白くまとめられたら、と思っています。ちょっと休んで、また頑張るぞー。
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  by supersy | 2012-06-10 17:00 | Athletic Training | Comments(9)

Commented by Shun at 2012-06-11 11:10 x
はじめまして、いつも読ませて頂いています。僕はUNLVでGAとして活動しています。Grade V Joint Mobの件ですが、ネバダ州では法律に出来ないと明記されていますよ。僕もscope of practiceなどの他の書類で書かれていなかったように思います。
Commented by Jiden at 2012-06-11 12:55 x
ちっととある理由で joint manipulation がAthletic training のscope of practiceとして州法に記述されてあるか調べてんねんけど、今のところ、ほとんど州で、Manipulationあかんでって州法のどこにも明言されてへんけど、Mayland state にて"Practice athletic training" does not include:The practice of: 1. Chiropractic, including adjustments, manipulation, or high velocity mobilizations of the spine or extremitiesって記述されてあった。またupdateするわ。
Commented by sh at 2012-06-11 20:45 x
最後にconcussionとありましたので、1つお伺いしたいのですが

特に夏場など、水分補給に関して口うるさく選手に指導しますが、水分過剰摂取(いわゆる水中毒)に関してconcussionに近い症状などを呈した症例を経験されたことはありますか?
もしくはアメリカで水分過剰接種がtopicとして挙がることはあるのでしょうか?

ブログ内容とあまり関係ないことですみません…
Commented by さゆり at 2012-06-12 07:29 x
>Shunさん
コメントありがとうございます!

>Jiden
何か、良く同じようなタイミングで似たようなことを調べてるねぇ(笑)。そうか、ということは、ネバダとメリーランドは確実にNo、だけど、他はまだ未確定。もしかしたら定めている法律はないかも、なんだね。何かホントに、思ったより明言されてなくてびっくりだわ!

>shさん
私の背景(テキサスとフロリダにしか住んだことがない)と不勉強もあるかもしれませんが、スポーツ医学に関して水分過剰摂取は習ったことも文献を見たこともありません。実際患者さんを見たこともないですねぇ…。テキサスでは特に、冗談ではなく水分補給をするかしないかが生死に関わるので、多少水を飲み過ぎて気分が悪くなったり、吐いたりする程度の弊害と比べるとやっぱり水分をいかにpushするかのほうに重きが置かれます。
Commented by Shun at 2012-06-12 08:17 x
日本で言われているスポーツ時の水分過剰摂取もしくは水中毒はアメリカではExercise Associated Hyponatremia (EAH)の事だと思います。間違っていたらすみません。。。EAHの場合でも脳震盪のような症状があります。ラスベガスマラソンでメディカルスタッフとして活動していた時に2件程ありました。
Commented by さゆり at 2012-06-12 08:37 x
あーなるほど!運動による発汗が原因でsodiumを失ったところに、水分のみを補給することで更に血液中のsodium濃度が低下する、ということか。っていうか水中毒ってhyponatremiaのことだったんですね…。Overhydration?とか、Water intoxication?とかわけ分からない英語を想像していて、そこが結びつきませんでした。申し訳ありません。こんなんも見つけました。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2014811/
Commented by sh at 2012-06-12 12:44 x
平石さん、shunさん
ありがとうございます!
ちなみに自分も水中毒=water intoxicationだと思っていました・・・
やはりhyponatremiaの重篤な症例ではcentral nerve systemに大きな問題が生じるのですね。
実際にhyponatremia(EHA含め)のguidelineなどNATAなどで出しているものやアメリカでmajorなものがあればぜひ教えていただきたいです。

夏場にどの程度まで飲ませていいのか(もちろん水や薄めたsports drinkのみではhyponatremiaの危険性が付きまといますが)など、大変に難しいです。
常に高額な経口保水液を用意するというわけにもなかなかいきませんので。。。
Commented by さゆり at 2012-06-14 10:39 x
…というわけでまとめてみました。最新のエントリーをご覧になってください。これ以上のことは、ご自分で調べて頂ければ幸いです。個人的には、これが原因でアグレッシブな水分補給をしなくなることのほうが怖いと思いますが、shさんもshさんのクリニシャンとしての判断を下してみてください。
Commented by sh at 2012-06-14 10:50 x
ありがとうございます。
これだけで授業が1コマ出来るのではないでしょうか。
本来であれば自身で調べなければならないですね…

これを機に自分でも調べ、EAHに関して周囲に対して啓蒙していければと思います。

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