SWATA Annual Conference in Houston その5。

Acute Careのまとめ分に3日も費やしたので、日付がずれてきています。
そんなわけで今日書くのは、私が7/15(金)に行った、
“Diabetes, Type 1 and Type 2”というものについてです。
Diabetes、つまり日本語でいうところの糖尿病。Type 1・2は1型2型と言うみたいですね。
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さて。例によってまず少しだけBackgroundを。
アメリカには、現在26 millionの糖尿病患者がいると言われています。
この数字は、平均するとアメリカ人口全体の8-9%が糖尿病に犯されているということになり、こと成人に絞って数値を見ると、11.3%…10人に一人以上は糖尿病患者なわけです。恐ろしい。加えて、7 millionは本人も自覚がないだろうとのこと。も、ものすごい数字ですね。
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糖尿病には以下の2つのタイプがあり、それぞれ違いがあります。

  Type 1: β cell destruction & Complete lack of Insulin
  - Big genetic component (先天的:遺伝的要素が強い)
  - 2 in 1000 (0.2%) prevalence
  - Rising incidence world-wide (原因不明??)

  Type 2: β cell dysfunction & Insulin resistance
   - More of a life-style-induced (後天的:生活習慣に起因する)
   - DIRECTLY related to excess weight
   - Used to be a disease of adults, but increasingly diagnosed in children
    in parallel to rising obesity rates

前述した26millionの糖尿病患者のうち、90%がこのType 2に分類されるそう。
さすが肥満大国・アメリカですね。

さて。それでは、この両タイプの描写に出てくる、Insulinとは何か?
インスリンとは脾臓の中のβ細胞によって分泌されるホルモンのことで、
血糖値を一定に保つ役割を果たします。
特に骨格筋とは密接な関係があり、人体における筋肉たちは収縮の度に常にエネルギー源である糖分を燃やしているわけですが、インスリンには血液中にある糖分たちを筋肉へと導く→筋肉がそれらを消費し、運動を生むという重要な仕事があります。
私がインスリンと聞いていつも頭に浮かべるのは、警察官の交通整理(↓)。道路を血管、車を血液中の糖分と考えたときに、警察官がピッピと車を裁いて、適切な方向に進ませてあげる(=糖分が行くべきところである筋肉へ辿り着け、消費される)からこそ、Trafficが円滑に流れるわけです。
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もしインスリンがいなくなったら、もしくはいるのに効き目を失ってしまったらどうなるか?
交通整理をしてくれる人がいなくなった道路はどこに行っていいか分からない車で溢れかえり、大渋滞を生むでしょう。道路に車がたくさんある=血糖値が異様に上がってしまった状態、ということになります。正常に機能するインスリン無しでは、血液中の糖分が筋肉へ辿りつけず、消費されずに飽和状態になってしまうのです。
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そんなわけで血糖値が上がってしまうと血液はドロドロになり、血圧は上がり、血栓ができ易くなったり動脈硬化を起こしたりします。結果、特に細く小さな血管での血流が滞り、足の指のようなDistalな部位で壊死を起こしたり、網膜症を併発し、失明につながったりします。最悪の場合、腎不全、手や足の切断、もしくは心筋梗塞や脳梗塞を起こして死亡、というケースもよく見られます。

さて。またしても前書きが長くなってしまいましたが、
この講義で面白いと思った点をいくつか。

●高血糖は数年かけてじわじわ人を殺すが、低血圧は一分で人を殺す。
"High blood sugar kills you over years, low blood sugar kills you in a minute”
なので、Unconscious diabetic athleteがいたら、Hypoglycemic(低血糖症)とみなして扱ったほうが良い、とのことでした。Glucagon Emergency Kit(↓)をすぐに取り出して、injectすべし。
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●New-Onset Type 1 Dianetes
私、今まで1型糖尿病の選手を持ったことがないので、まだまだ理解が浅いなぁと実感しました。
Type 1は先天的だ、と習ったから、生まれつきのもんだと思ってたんですよね。
シロかクロかで言ったら、生まれたときからクロ!だと。
でも、これって全然間違いでした!実は、生まれたときはシロで、徐々に灰色になっていて、
そのうち完全にクロになる、という感覚のほうが正しいのではないかと思います。
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上の表を見ていただければかなりイメージがつくと思うんですけども、
Type 1の遺伝子を持って生まれてきた子も、赤ちゃんのうちはβ細胞は正常に機能していて、
それどころか数は増えていき、健康な人と同じように100% massに達します(つまりシロ)。しかし、食事や生活環境がImmunologic triggerとなって、徐々にβ細胞が破壊されていき、それに伴ってインスリンの分泌能力も徐々に低下してきます(灰色)。ひとたびβ細胞が残り10%を切るかという辺りでClinical onsetを迎え(=自覚症状が出始める)、晴れて(?)糖尿病、という診断が下るわけです(つまりここでクロ)。ちなみに、この“β細胞の数が減ってきているけれども、まだ糖尿病とまではなっていない”灰色状態のことを、Pre-diabetic、糖尿病予備軍と呼ぶらしいです。
β細胞が減り始めるTrigger(きっかけ)がいつkick inするかはヒトによって異なるので、
何歳で10%を切るか、つまり「糖尿病」という診断が下るかはかなり個人差があるそうです。
講義によれば、第一次ピークは4-6歳。そして第二次ピークは10-14歳で、
20-25歳で発覚するヒトも意外に少なくないのだとか。
Type 1 Diabetes=Juvenile Diabetesという名前の刷り込み効果で、
私は大学レベルで働いているから、Type 1の選手で自覚がまだない子などいないだろう、
という思い込みを持つのは危険ですね。常に可能性として頭に入れておくべきかと思います。

一番記憶に残ったのは、講師の“糖尿病ってひとりひとり進行度が違うんです。
だから、治療プランも対処の仕方もひとりひとり丁寧になされるべき”という言葉。
患者のβ cell massがどのくらい残っているのか、まだ残っているものがあるなら、
それをいかに永らえさせるか、というのも治療の大きなポイントになるんだそう。

●Acanthosis nigricans(黒色表皮腫)
では、どうやってUndiagnosed diabetesをrecognizeすればいいのか?
それには、やはり糖尿病の症状を把握することが第一歩ですね。

糖尿病の初期症状の代表的なものに、polyuria(頻尿)、polydipsia(口渇)、polyphagia(空腹感)があります。神経性の異常で、痺れや、筋肉が頻繁に攣ったりすることも。
あと、私が最近知ったものの中にAcanthosis uigricansというのがあります。
首の後ろや脇の下、肘や指の節々(body folds)といったところが黒ずんでいる状態(↓)のことです。
これは、決してお風呂でちゃんと体を洗っていないわけではなくって、insulinが肌のmelanocytesにもたらす影響で起きます。Type 2 Diabetes患者によく見られるそうです。
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こういう友人知人選手が知り合いにいるという方、やんわりと血液検査を勧めてみるのが良いかも知れません。糖尿病でなくても、他のEndocrinopathiesである可能性も…(Hypo/hyperthyroidism、Acromegaly、Polycystic ovary disease、Cushing's disease etc)。

ちなみに、糖尿病持ちの選手がいる場合のATCのMust-Haveアイテムは、
   - Glucagon Emergency Kit
   - Back-up Insulin
   - Ketone Test Strips
   - Rapid Acting CHO Choices (Sports drinks, glucose tabs/gel)
    蜂蜜も良いらしいです!ファーストフード店なんかでたまに置いてある、お持ち帰り用パックのやつとか。

該当する選手を担当するATCの皆さん!ちゃんと全部お持ちですか?
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  by supersy | 2011-07-18 23:30 | Athletic Training | Comments(0)

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