NATA Convention in New Orleans その3。

今日は早く早く起きなければいけなかったのです。
何故かと言うと同僚のJay Dawesが(彼はATのスタッフではなくKinesiology Departmentの教授で、NSCAのお偉いさんでもあるのですが)“The Art and Science of Agility Training Program Design”という特別実技講義(Learning Labs)を行うので、私はそのLab Assistantの一員としてお手伝いすることになっていまして。講義開始が8:15am。で、私はその30分前には行ってないといけないから、余裕を持って7:30am頃には着いているとして、ホテルからコンベンションセンターまで歩いて10分…と逆算していたら、遅くとも6:30頃には起きていないといけない計算に。コンベンションでこれは早いぜよー、というわけで前日のお祭り騒ぎはほどほどに切り上げたりしたのでした。

講義はほぼ予定通りの満員御礼っぷり、聴衆約150人弱ほど。
レクチャーはスムーズに進み、40分ほどで実技指導へ。
スーツから短パンTシャツに各々着替え、ladderやcone drillsやらで動きまくり。
朝イチではちょっときつかったですが、参加してくれた方々も楽しんでくれたようで良かった!
事前にもらっていた資料&聞いていた内容から、正直言ってそんなに目新しい情報はないなー、
なんて思っていたのですが、そこはさすが年間何十というプレゼンをこなすベテランのJay。
当日の講義はとっても上手で、interesting factsをどんどん入れてくる。
私までばっちりと勉強になりました。喋り上手いなー、私ももっと勉強しなくては。

これは完全にボランティアのつもりでお手伝いさせていただいたのですが、
終わった後にNATAの方から、“これ、ほんのお礼です”と、こんなもの(↓)を頂きました。
うわーNATAのロゴ入ってるぅぅ。いいのかしら、こんな素敵なのもらっちゃって。
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さて。
そのあとは“Osteopathic Treatment of the Runner's Pelvis”という講義に。
これは実はさほど知らなかった話は無くて、ふーんと聞いていたのですが、
全くpelvisに関係ないところで、Shoe wearing pattern云々の話になったんですね。
そこでDr. Rance McClain氏がリストしていて面白かったfactsがこちら。
 ・After 500 miles of running, 1/3 of cushioning in a shoe is gone.
  で、1/3という数字はway more than you need to develop an injury.
 ・故に、300-500 miles (約480-800 km)くらい走ったら靴を替えるのが理想的。
 ・しかし靴というのはやはり沢山走った後はぺちゃんこになっているもんで、
  It takes about 36 hours for the shoes to restore their functions.
 ・つまるところ、靴を2 pairs持っておいて、それを交互に使うのが望ましい
…ということ。
靴って、回復するんだ!人間と一緒で酷使したあとは休まないとだめなんですね。新しい発想!
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この後に向かったのは、今回のコンベンションで最後となるレクチャー。
タイトルは“Unraveling the 『Tendinitis』 Myth: Embracing the Tendinopathy Paradigm”というもの。以前の記事でも少し触れたことがある通り、Tendinitis(腱炎)は私たちが思うほど頻繁に起こるものではない、というのは皆さんもご存知かと思いますが、そのかわりにContinuum Modelを使おうではないか、というのがプレゼンターであるDr. Randall Lazicki氏の主張。
ざっくり解説すると、tendinopathyはステージで説明されがちだが、本当はcontinuum(連続した流れ)であるべきなんではないか、ということ。“一応”用意されているステージたちは、
  ①Reactive Tendinopathy
  ②Tendon Disrepair
  ③Degenerative Tendinopathy

という3つなのですが、loadが加えられたり取り除かれたりすることによって、
tendonは徐々に変化をしていく、というtheory。図にすると(↓)こういうこと。
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このコンセプトは非常に面白かったのでこれから色々と調べてみる予定。

中でも、眼からウロコだったのが、
tendinopathyの痛みの原因にneovascularizationがある、という点。
Tendonは血液のsupplyがほとんどない、というのは良く知られていますが、
(だからこそ炎症を起こすのが非常に難しい部位なわけなんですけれども)
Tendinosisが進んで損傷が激しくなってくると、体もそこを一生懸命治そうとして、
非常に細い細い新しい血管を、そのtendonの中に作り出すのです。
このプロセスを、neovascularization (neo=new, vascularization=血管形成)と言います。

血管は体にとって言わば物資を運ぶための整備された道路のようなもの。
血管ができれば血流がそこに流れてきて、栄養分もどんどん運ばれてくるわけだから、
repairがpromoteされていいじゃないか、と思う方もいるでしょう。そうです、そのとおりなのです。
でも、これにはdisadvantageもあります。血管あるところに神経あり、というのが解剖学の常。
つまり、血管形成がされたところに同時に神経も付随して作られるわけで、
神経というのは痛みを生む何よりの原因になるのです。
神経が通っていなければ、痛みは感じない。でも通っていれば、それを感じてしまう、でしょ?
more nerves, more pain。
新たに神経が形成された部位は、ますます痛みに敏感になってしまうというわけ。
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これ(↑)はPatellar tendinosisの超音波画像ですが、色が付いている部分が血流が確認されているところ = Neovascularizationが起こっているところ、ということになります。画像では確認することが不可能ですが、この血管の周りに新しく形成された神経もある、というわけ。
うーむ、体が自身を治そうとする努力が、皮肉にもこうして裏目に出てしまうなんて!

このあとDr. Lazickiは色々と治療法の話もしてくれたのですが、
中には“このNeovascularizationが問題なのだから”と考える人もいるらしく、
血管を壊してしまえばいい→薬を直接部位に注射して、血管を破壊する、という治療法もあるのだとか。痛みだけ抑えられればいいっていう力ずくの発想で、Dr. Lazicki氏自身も“根本の解決にはなっていないのでどうかと思う”と仰っていましたが、名前はSclerotherapyというそうです。

これ以外にも聞いたこと無いTreatment方法がごっそりでした。面白いなー。
もうちょっと色々調べてみて、これからの授業にも活かそうと思っています!
ちなみにTendinopathyにおける手術の失敗率は20-30%
十分に高い数字だと思うのですが、Dr. Lazicki氏曰く、“他のメジャーな手術と比べて、特別高いってわけではないよ”…うーん、確かに、ACL手術も厳密に言えば“成功”しているものはかなり少ないしなぁ。難しいところです。やっぱり治癒力の低い部位はかなり難しいですよね。

そんなわけで、自分が出た講義についてはほぼ全部まとめてみました!
これ以外にもまとめそびれたもの、相方に教えてもらって面白いと思った講義、
それからExhibit Hallで出会った面白い最新のSports Medicine Productsのあれこれなど、
引き続き書いていきたいと思います!観光もしたしね。
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  by supersy | 2011-06-22 23:59 | Athletic Training | Comments(3)

Commented by Hiro at 2011-06-29 16:37 x
色々と面白い情報UPしてくれてありがとう。
コンベンションも中々いけない自分としては、勉強になります!
Commented by daichi at 2011-06-30 05:08 x
色々と面白い情報UPしてくれてありがとう。
コンベンションに行っても授業を受けずに遊びまくってる自分としては、勉強になります!
Commented by さゆり at 2011-06-30 10:12 x
>Hiroさん
いえいえ、恐縮です!
行きたい講義に限って被っていて、選ぶのが大変でした。missしたやつもNATAのサイトから資料を見てはみてるんですが、やっぱりその場にいないといまいちなんですよねぇ。

>daichi
遊びまくってるってか、今回は大変だったでしょ。私も過去2年間は全く講義に行けなかったもの。そのうちdaichiもこういうのまとめてくれるようになったら、お互いいけなかった講義の情報収集ができるじゃんか!来年はよろしく。

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