日米交流会(?)。

今日はフロリダ時代にちょこちょこつるんだ仲間、公裕と雄介に会って来ました。
1時集合という異例の飲み開始の早さ…みんなでダメな大人してます。

雄介は大学のひとつ下のATの後輩(年齢は同じだけど)。Texas State University-San Marcosを卒業したあとマイナーリーグでインターンを積み、その後一年弱ほど日本に帰国しており、今度8月から、大学院進学にまた渡米予定。新天地はカリフォルニア。

公裕はメジャーリーグの審判を目指してマイナーリーグで修行を積んでいたときに出会い、その後彼は不幸にも、試合中にファウルボールが頭部に激突。一時意識不明になる重度の脳震盪を起こし、それが初めてでなかったこともあって、ドクターストップでキャリアを断念せざるを得なくなりました。心機一転、日本に帰国してからはPT(理学療法)・ATの学生として同じ道を歩み始めた彼は、アメリカに“野球の審判にもAthletic Trainerをつけるべき”という流れを生んだ張本人でもあります。

それに私、という、実にクセのある面子で今日は飲んでましてね。
専門分野は似たような3人なのに、私は専門知識を習ったのは全て英語、公裕が日本語、
なので、雄介が間に入ってくれないと、会話が成り立たないったら!

  公裕:大腿二頭筋が…
  私:ダイタイニトウキンってなに?
  雄介:Hamの、外側にあるやつ。
  私:ああ、Biceps Femorisね。

  私:Glute Maxが…
  公裕:それなに?
  雄介:大臀筋。

…みたいな感じで(汗)。

いやでも楽しかったです。日本のPT・AT事情を色々聞けて。
日本は日本で、アメリカの猿真似をしなくていいと思うので、
違いがあってこそ、と思って色々な話を楽しく聞いていたのですが、
“日本ではSpine boardingは全くしないんだよ、脳震盪でも脊髄損傷の可能性があっても、普通にアタマ動かしちゃうし、何かあれば担架で運ぶだけ”というのにはちょっと衝撃を受けました。
そ、それはどうなんでしょう?
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ちょっと前に、サンフレッチェ広島の選手が試合開始直後に頭部を負傷しながらもそのままプレーを続け、後半になって自ら交代を申し出て、頭蓋骨骨折と急性硬膜外血腫と診断され、試合後に緊急手術、なんてお粗末なことがありましたが(命に別状はなかったというのが何よりです…でもアメリカならメディカルスタッフ全員クビでしょうね)、こういう話だけ耳にしていると、ちょっとEmergency Careへの意識が低いように感じます。アメフトのような激しい接触の起こるスポーツはそれほど盛んでないとは言え、こういった重度の損傷が起こる可能性はゼロではありません。万が一起きてしまったとして、一歩処置を間違え、例えば頚椎骨折の患者の頚部をひょいと動かして、脊髄損傷で一生身体に障害が残ったら…最悪の場合、命を落とさせてしまったら…そういう危機管理ってAthletic Trainerですらあまり徹底しないものなのでしょうか?この職業って、常に“Worst case scenario(最悪の場合)”を想定しつつ、それが起こってしまったときにスムーズに対処できる能力が必要不可欠ですから…うぅん、私は聞いていてかなり怖いんですけれども。

(以前Spine Boardingについてまとめた時に、“スパインボードを日本語で何と言うか分からない
 のですが…”と書きましたが、正確にはスパインボードがまだ日本に存在しないため、
 言葉もまだない、と言ったほうが正しかったみたいです)

この話を聞いて、思わずクチをついて出た一言は、“そのうち死人が出るよ?”だったのですが、
死人が出ないと分からないのかも知れません…でも今のうちになんとかならないものか!
私達の仕事は、患者の症状を一秒でも早くrecognizeし、それに適切な対応を取ること。
患者の症状を悪化させてしまうような“ミス”を犯すなどもってのほかです!
プロとして絶対に絶対に許されることではありません。
現場で多大な時間を過ごすATだからこそ、ここんとこの教育やシステムはもっと強化されるべき、と思いますね。何かあってからでは遅いんです。
やはり、母体組織がもうちょっとそこを取り仕切って、NATAでいうPosition Statement的なプロとしての指針を打ち立てていかないと、現場では徹底されないでしょうね。“猿真似をしても…”と書きましたが、ここは個人的にはアメリカの良い所を見習うべきなのでは、と思います。
言うほど簡単ではないのは重々理解していますが、これは優先事項にされるべきでしょうね。

…と、ちょっと色々書きましたが、
でも日本の解剖学のレベルはすごいんじゃないかと思いますね!
アメリカよりよっぽど時間使ってやってるんだろうな、という印象を受けました。
“Know your anatomy! It's the base of everything”というのが私の教師としての口癖ですが、
日本の学生は基礎がしっかりしてるんだから、伸び幅はきっとかなりのものでしょう。
これからも進化し続ける公裕氏に期待しつつ、
引き続き日本の“今”について色々教えてもらおうと企んでいます。
私も負けてらんないやっ!もっと頑張ろうっと。
みんなでのびていこー!
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  by supersy | 2011-05-29 23:30 | Athletic Training | Comments(4)

Commented by nori at 2011-05-30 00:41 x
スパインボードは使うし、必要であればスパインボーディングするよ。少なくともアメフトではどんなレベルの試合であれ脊柱のケガには審判もチームも寛容です。
また会ったときに話しますが、いろいろな人の意見を聞いてほしいと思って。
ただ、まだ広がりが十分でないのは事実やと思う。コーチにも選手にもこういった知識や技術を広めていきたいし、そのようなスキームを作りたい。
Commented by さゆり at 2011-05-30 00:59 x
なるほど、ゼロではないんですね!友人の研修先にもアメフトのチームはあるが、スパインボードそのものが設備されていないし、練習をしたこともない、そうです。googleで“スパインボード”ではヒットが3万件、“Spine board”では800万件…確かにまだまだ長い道のりですね。ゼロでないというのは嬉しいニュースですが、やはり全国統一したスタンダードを作る必要性は感じます。
Commented by よる at 2011-05-30 07:41 x
ちなみにサンフレッチェのATはかなりATCが占めていたと思います。
Commented by さゆり at 2011-05-30 09:27 x
えぇ、知り合いもいるので滅多なことは言えないんですけどね。あれはあまりに。そこらへんも思うことは多いのですが、あまりこういう場では言及は避けておきます。

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